JPH11263119A - 熱発生器及びそのロータ - Google Patents

熱発生器及びそのロータ

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JPH11263119A
JPH11263119A JP10069972A JP6997298A JPH11263119A JP H11263119 A JPH11263119 A JP H11263119A JP 10069972 A JP10069972 A JP 10069972A JP 6997298 A JP6997298 A JP 6997298A JP H11263119 A JPH11263119 A JP H11263119A
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rotor
layer portion
drive shaft
shearing
inner layer
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JP10069972A
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English (en)
Inventor
Takahiro Moroi
隆宏 諸井
Hidefumi Mori
英文 森
Kenji Takenaka
健二 竹中
Tatsuyuki Hoshino
辰幸 星野
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F24HEATING; RANGES; VENTILATING
    • F24VCOLLECTION, PRODUCTION OR USE OF HEAT NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F24V40/00Production or use of heat resulting from internal friction of moving fluids or from friction between fluids and moving bodies

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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱発生器の駆動軸に対してロータを確実に圧入
固定できるとともに安価に製造可能な熱発生器用ロータ
を提供する。 【解決手段】ロータ20は、円板状の剪断部21と、そ
の剪断部21の中央に突出形成されたボス部22とを有
しており、そのボス部22の周囲に環状部材23を嵌め
合わせることで製造される。剪断部21とボス部22と
はプレス用鋼板にプレス加工を施すことで一体形成され
る。環状部材23は、剪断部21及びボス部22とは別
体化されている。ボス部22の周囲に環状部材23が存
在することで、ボス部22内に駆動軸13を圧入したと
き、ボス部内周面22aの駆動軸13の外周面に対する
面圧が高まり、前記圧入固定がより強固なものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハウジング内に区
画形成された発熱室に収容された粘性流体をロータで剪
断することで熱を発生させる熱発生器と、その熱発生器
に用いられる剪断手段としてのロータに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】車輌用暖房装置の補助熱源として、ハウ
ジング内に収容されたシリコーンオイル等の粘性流体を
特定形状のロータで剪断することで熱を発生させる熱発
生器が知られている。かかる熱発生器用ロータとして
は、ロータ表面と対向する発熱室内壁面との間にラビリ
ンス状の溝を形成するように加工されたラビリンス形状
のロータ(特開平2−246823号公報参照)や、多
数の回転フィンを有するロータ(実開平3−98107
号公報参照)など様々である。本件出願人も、必要十分
な発熱性能を得ることのできる熱発生器として、円盤状
ロータないし平円板状ロータ(これ以後、両者を含めて
「円盤状ロータ」という)を、熱発生器のハウジング内
に回転可能に支持された駆動軸に対して圧入固定するタ
イプの熱発生器を提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】当初、円盤状ロータ
は、炭素鋼(例えばS45C)等の鋼材を総切削するこ
とにより、中心に圧入用の孔を持つ所定の円盤形状に削
り出すことによって作製されていた。その圧入用孔の内
径は駆動軸の外径よりも若干小さく設定され、該駆動軸
の端部を前記圧入用孔に圧入することで、駆動軸の一端
に円盤状ロータを緩みなく固定していた。かかる総切削
加工によれば、圧入用孔の周囲の肉部を他の部位よりも
特に肉厚にすることで、いわゆるボス部をロータに付与
することも可能となる。このような肉厚なボス部が孔の
周囲にある場合、圧入時において、圧入用孔の内周面の
駆動軸外周面に対する面圧が高まり、駆動軸へのロータ
の固定が確実になるという利点があった。特に、前記面
圧が高いほど、熱発生器内の温度上昇や温度低下に影響
されることなく、駆動軸とロータとの一体的結合が維持
されるという事情がある。
【0004】しかしながら、材料となる鋼材を総切削し
て必要な形状のロータを削り出すことは大変な手間とコ
ストを要するため、熱発生器を量産化する場合には採用
し難い製造方法である。
【0005】そこで、比較的薄手のプレス用鋼板(例え
ばSPCC,SPHC)に深絞り加工等のプレス加工を
施し、所望の円盤状ロータを製作することが試みられ
た。ところが、一般にプレス用鋼板は引張り強度が弱
い。そのため、円盤状ロータの各部(特に圧入用孔の周
囲の肉部)における引張り強度を上げるために、プレス
加工直後のロータに対して更に焼き入れ加工を施し、そ
の後に円盤状ロータの圧入用孔に駆動軸を圧入するとい
う手順が必要とされる。このような焼き入れ加工によっ
て、本来的な引張り強度の弱さを補い、円盤状ロータの
圧入用孔の周囲の肉部が駆動軸を締め付ける力を増すこ
とができる。
【0006】しかしながら、焼き入れ加工も大変コスト
が嵩む加工手法である。焼き入れ加工自体が割高という
にとどまらず、焼き入れによって生じた歪みや変形を取
り除くために、焼き入れ加工後にしばしば再変形や研磨
等の歪み取り作業が必要になる。それ故、時として熱発
生器の製造コストの半分が、前記ロータの焼き入れ加工
及びその後の追加作業のために費やされてしまうことも
ある。これでは、コスト低減のために総切削に代えてプ
レス加工を採用する意味が無い。
【0007】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、駆動軸に対してロータを確実に圧
入固定できるとともに安価に製造することができる熱発
生器と、その熱発生器用のロータを提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、ハウ
ジング内に区画形成された発熱室に収容された粘性流体
をロータで剪断することで熱を発生させる熱発生器であ
って、前記ロータは、前記ハウジング内に回転可能に支
持された駆動軸に対して該ロータを圧入固定するための
環状固定部と、その環状固定部から半径方向に延在する
剪断部とを備え、前記環状固定部は、前記駆動軸の外周
面を圧接する内周面が形成された内層部と、その内層部
を包囲する外層部とを備えてなることを特徴とする。
【0009】この構成によれば、ロータの環状固定部
は、それを構成する内層部と外層部とによりロータの半
径方向に少なくとも二層の構造をなしている。駆動軸に
対してロータの環状固定部を圧入することで、駆動軸の
外周面が内層部の内周面によって圧接されるが、内層部
を包囲する外層部が存在することにより、その圧接力、
即ち内層部の内周面の駆動軸外周面に対する面圧が高め
られる。従って、駆動軸へのロータの圧入固定が確実と
なり、駆動軸を介しての外部駆動源からロータへのトル
ク伝達が確実となる。
【0010】なお、前記外層部の更に外側に、前記内層
部及び外層部を包囲する追加の外層部(例えば第2の外
層部、第3の外層部等)を設けてもよい。又、前述の環
状固定部における「環状」とは、リング形状、円筒形状
その他の駆動軸を取り囲むあらゆる形状を意味するもの
である。
【0011】請求項2の発明は、請求項1に記載の熱発
生器において、前記ロータの剪断部及び内層部はプレス
加工によって一体形成され、前記外層部は前記内層部を
締め付ける別体の環状部材であることを特徴とする。
【0012】この構成によれば、ロータの剪断部及び内
層部をプレス加工によって一体形成しても、その内層部
を包囲する外層部として別体の環状部材を併用するの
で、内層部の内周面の駆動軸外周面に対する面圧を十分
に確保できる。それ故、プレス加工後に焼き入れ加工や
歪み取り加工等を施すことが不要となり、低コストで熱
発生器を製造することが可能となる。
【0013】なお、環状部材を別体としたことで、環状
部材の半径方向への厚み設定の自由度が大きくなり、内
層部内周面の駆動軸外周面に対する面圧の設定がし易く
なるという利点がある。
【0014】請求項3の発明は、請求項1に記載の熱発
生器において、前記ロータの剪断部、内層部及び外層部
はプレス加工によって一体形成されるとともに、前記外
層部は内層部の一部を折り返し形成したものであること
を特徴とする。
【0015】この構成によれば、ロータの剪断部、内層
部及び外層部をプレス加工によって一体形成した後、内
層部の一部を折り返し形成して外層部としている。この
場合でも、その外層部が内層部を外から圧迫する結果、
内層部内周面の駆動軸外周面に対する面圧を十分に確保
できる。それ故、プレス加工後に焼き入れ加工や歪み取
り加工等が不要となり、低コストでロータを製造するこ
とが可能となる。
【0016】又、内層部の一部を折り返し形成して外層
部を形成した後に、その外層部を内層部に向かってカシ
メることは更に好ましい。カシメによって前記面圧を更
に高めることが可能となるためである。なお、このカシ
メは、ロータを駆動軸に圧入固定した後のみならず、圧
入固定する前に行われてもよい。
【0017】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれ
か一項に記載の熱発生器において、前記ロータの剪断部
は円板形状をなしており、前記発熱室内において、円板
状のロータ剪断部の各面は、それと対向する発熱室の内
壁面との間に主たる剪断領域となるクリアランスを形成
することを特徴とする。
【0018】ロータの剪断部が円板形状をなし、その表
面が発熱室内壁面との間にクリアランスを形成するタイ
プの熱発生器においては、粘性流体の剪断発熱に起因す
る発熱室の温度変化にかかわらず、発熱室内でのロータ
の位置が確定している必要がある。請求項1〜3のよう
な構成を採用することで、駆動軸に対するロータの圧入
固定が強固なものとなり位置ずれの心配もなくなるの
で、前記クリアランスは常に一定となり、所望の発熱能
力を安定的に発揮することが保証される。
【0019】請求項5の発明は、粘性流体を剪断するこ
とで熱を発生する熱発生器に用いられる剪断手段として
のロータであって、前記熱発生器の駆動軸に対して該ロ
ータを圧入固定するための環状固定部と、その環状固定
部から半径方向に延在する剪断部とを備えており、前記
環状固定部は、前記駆動軸の外周面を圧接する内周面が
形成された内層部と、その内層部を包囲する外層部とを
備えてなるロータである。
【0020】請求項5の発明(ロータ)の技術的意義
は、請求項1の発明と同じである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を車輌用空調シス
テムに組み込まれる車輌用熱発生器に具体化した一実施
形態について図1〜図3を参照しつつ説明する。
【0022】図1に示すように、車輌用熱発生器は、前
部ハウジング本体1及び後部ハウジング本体2を備えて
いる。前部ハウジング本体1は、前方(図示左方)に向
かって突出した中空筒状のボス部1aと、該ボス部1a
の基端部から後方に向かって大きく碗形状に延在した円
筒部1bとを有している。後部ハウジング本体2は、前
記円筒部1bの開口側を覆う蓋形状とされている。前部
ハウジング本体1と後部ハウジング本体2とは、前部ハ
ウジング本体1の円筒部1b内に前部区画プレート5及
び後部区画プレート6を内装しつつ、複数本のボルト3
によって締結されている。このように、この熱発生器の
ハウジングは、前部ハウジング本体1、後部ハウジング
本体2、前部区画プレート5及び後部区画プレート6か
ら構成され、これら(1,2,5,6)がハウジング構
成部材となる。なお、これらのハウジング構成部材はい
ずれもアルミニウム合金で作られている。
【0023】前部区画プレート5と後部区画プレート6
とはそれぞれ、その外周部に環状のリム部5a,6aを
有している。これらリム部5a,6aを、ボルト3によ
って相互に締結される両ハウジング本体1,2間に挟着
することで、両ハウジング本体1,2内に両区画プレー
ト5,6が移動不能に収納されている。また、前部区画
プレート5の後端側はそのリム部5aに対して凹んだ形
状となっており、両区画プレート5,6の相互接合によ
って両者間には、発熱室7が形成される。
【0024】前部区画プレート5は、その前端側におい
て、その中央部に形成された支持筒部5bと、当該支持
筒部5bの外側に沿って周方向に延びる同心円弧状に形
成された複数のガイドフィン5cとを有している。前部
区画プレート5は、支持筒部5bの一部が前部ハウジン
グ本体1の内壁部と密接するように、前部ハウジング本
体1内に嵌め込まれている。この結果、前部ハウジング
本体1の内壁部と前部区画プレート5の本体部との間に
は、発熱室7の前側に隣接する放熱室としての前部ウォ
ータジャケット8が区画される。この前部ウォータジャ
ケット8内において、前記リム部5a、支持筒部5b及
びガイドフィン5cは、循環流体としての循環水(例え
ばエンジン冷却水)の流れをガイドするガイド壁の役目
を果たし、前側放熱室内における循環水の流通経路を設
定する。
【0025】図1及び図2に示すように、後部区画プレ
ート6は、その後端側において、その中央部に形成され
た筒部6bと、当該筒部6bの外側に沿って周方向にの
びる同心円弧状に形成された複数のガイドフィン6cと
を有している。後部区画プレート6が前部区画プレート
5と共に前後ハウジング本体1,2間に挟着された状態
では、後部区画プレート6の筒部6bが後部ハウジング
本体2の環状壁2aと密接する。この結果、後部ハウジ
ング本体2と後部区画プレート6の本体部との間には、
発熱室7の後側に隣接する放熱室としての後部ウォータ
ジャケット9、及び、筒部6b内側に位置する貯留室1
0が区画される。この後部ウォータジャケット9内にお
いて、前記リム部6a,筒部6b及びガイドフィン6c
は、循環流体としての循環水の流れをガイドするガイド
壁の役目を果たし、後側放熱室内における循環水の流通
経路を設定する。
【0026】図2に示すように、前部ハウジング本体1
の側壁部には、車輌内に設けられた暖房回路19から前
部及び後部ウォータジャケット8,9に循環水を取り入
れる入水ポートIPと、前部及び後部ウォータジャケッ
ト8,9から循環水を暖房回路19に送り出す出水ポー
トOPとが並設されている。
【0027】図1に示すように、前部ハウジング本体1
及び前部区画プレート5には、軸受け11及びシール付
き軸受け12を介して駆動軸13が回動可能に支承され
ている。シール付き軸受け12は、前部区画プレート5
の支持筒部5bの内周面と駆動軸13の外周面との間に
介在され、発熱室7の前方を封止している。
【0028】駆動軸13の後端部には、略円盤形状のロ
ータ20が圧入によって固定されている。このロータ2
0は、該熱発生器の組立時に発熱室7内に配置され、そ
の結果、ロータ20の前後表面とそれに対向する発熱室
内壁面との間のクリアランスが一義的に定められる。ロ
ータ20の構造および駆動軸13への取り付け方法につ
いては後ほど詳述する。
【0029】後部区画プレート6の筒部6bと後部ハウ
ジング本体2の後端壁とによって囲まれる領域には貯留
室10が提供されている。又、後部区画プレート6は、
その本体部を前後に貫通する回収通路としての上側連通
孔6d及び供給通路としての下側連通孔6e、並びに、
該区画プレート6の前面において半径方向に延びる誘導
溝6fを有している。発熱室7と貯留室10とは、上側
及び下側連通孔6d,6eを介して相互に連通してい
る。尚、下側連通孔6eの連通断面積は、上側連通孔6
dのそれよりも大きく設定されている。
【0030】上側及び下側連通孔6d,6eを介して相
互に連通する発熱室7と貯留室10とは、熱発生器のハ
ウジング内において液密な内部空間を形成する。この内
部空間には、粘性流体としてのシリコーンオイル(図示
略)が所要量入れられる。シリコーンオイルの量は、そ
の常温時充填率が前記液密な内部空間内の空き容積に対
して5〜8割となるように決められている。かかる充填
量にもかかわらず、ロータ20の回転時にはシリコーン
オイルの伸張粘性のためにシリコーンオイルが下側連通
孔6e及び誘導溝6fを介して貯留室10から引き出さ
れて発熱室7の内壁面とロータ20の表面との間の微少
なクリアランス(主たる剪断領域)の全体に万遍なく行
き渡る。なお、シリコーンオイルの充填時において、回
収通路としての上側連通孔6dは、貯留室10内に貯留
されたシリコーンオイルの液位よりも上方に位置し、供
給通路としての下側連通孔6eは当該液位よりも下方に
位置する。
【0031】駆動軸13の前端部にはボルト15によっ
てプーリ16が固着されている。プーリ16は、その外
周部に巻き掛けられたVベルト17を介して、外部駆動
源としての車輌エンジン18と作動連結されている。
【0032】車輌エンジン18の起動前、即ち駆動軸1
3の停止時において、発熱室7と貯留室10とにおける
シリコーンオイル(粘性流体)の液位は等しく、ロータ
20の粘性流体との接触面積は小さい。それ故、エンジ
ン18の起動時には、小さなトルクでプーリ16、駆動
軸13及びロータ20を起動することができる。駆動軸
13と共にロータ20が一体回転されるに伴い、シリコ
ーンオイルが発熱室7の内壁面とロータ20の表面との
クリアランスにおいて剪断されて発熱する。発熱室7で
生じた熱は、各区画プレート5,6を介して前部及び後
部ウォータジャケット8,9を流れる循環水に熱交換さ
れる。加熱された循環水は暖房回路19を経て車室内の
暖房等に供される。
【0033】この熱発生器では、貯留室10は上側連通
孔6dを介して発熱室7のほぼ中央域と連通すると共
に、ロータ20の回転によって発熱室7内のシリコーン
オイルは駆動軸13に向かって移動する傾向(ワイセン
ベルク効果)を見せる。このため、シリコーンオイルが
上側連通孔6dを介して発熱室7から貯留室10内に回
収される。他方、貯留室10に回収されたシリコーンオ
イルは、その自重と該オイルの伸張粘性に起因するロー
タ20のオイル引込み作用とに基づき、貯留室10から
発熱室7に再供給される。
【0034】このように、駆動軸13及びロータ20の
駆動時には、発熱室7と貯留室10との間でシリコーン
オイルの入れ替え循環が行われる。この場合、下側連通
孔6eは上側連通孔6dよりも大きな連通断面積を有し
ているため、シリコーンオイルの貯留室10への回収量
よりも発熱室7への供給量の方が多くなる。故に、貯留
室10に貯留されていたシリコーンオイルは、誘導溝6
fを経由して発熱室7の外周域に迅速かつ滑らかに供給
され、発熱室7の外周域に供給されたシリコーンオイル
は、ワイセンベルク効果により迅速に発熱室7の中央域
に達するので、発熱室7の内壁面とロータ20の外表面
との間のクリアランスの全域にシリコーンオイルが万遍
なく行き渡る。また、上側連通孔6dを介して発熱室7
から貯留室10内に回収されたシリコーンオイルは、入
れ替え循環のサイクルタイムに応じた一定時間だけ貯留
室10に滞在する。発熱室7から回収直後のシリコーン
オイルは高温状態にあるが、貯留室10での滞在中にそ
の熱量の一部を貯留室10の区画部材(後部区画プレー
ト6)に伝達することで、シリコーンオイルは熱を奪わ
れる。その結果、高温のシリコーンオイルは冷却(除
熱)されて長時間の熱保持による劣化から守られる。
【0035】次に、前記熱発生器の剪断手段としてのロ
ータ20の構造および取り付け方法の詳細を図1及び図
3を参照して説明する。ロータ20は、一体形成された
円板部21及びボス部22と、そのボス部22の周囲に
配設される別体の環状部材23とから構成されている。
円板部21は円板形状の剪断部としての役目を担う。ボ
ス部22及び環状部材23は、駆動軸13への取付時に
環状固定部として機能する。この場合、ボス部22が、
駆動軸13の外周面を圧接する内周面22aが形成され
た内層部となり、環状部材23がその内層部を包囲する
外層部となる。
【0036】円板部21及びボス部22は、厚さが2〜
4mmのプレス用鋼板に対してプレス加工を施すことに
より一体形成される。ボス部22は円板部21の中心に
略円筒状に形成された部位であり、深絞り加工の手法に
よって形成されている。ボス部22の内径d1は、駆動
軸13の直径d2よりも僅かに小さく設定されている。
円筒状のボス部22は深絞り加工の結果物であるため、
ボス部22の肉厚は円板部21の肉厚(即ち材料となっ
たプレス用鋼板の板厚)にほぼ匹敵する。
【0037】環状部材23もプレス用鋼板に対するプレ
ス加工によって作られている。環状部材23の内径d3
はボス部22の外径d4に等しいかそれよりも僅かに小
さく設定されている。環状部材23の軸線方向の厚みt
1は、材料となった鋼板の厚みとほぼ同じであるが、環
状部材23の半径方向の厚みt2はプレス加工時のプレ
ス型次第で任意に設定可能である。本実施形態では、半
径方向の厚みt2は、ボス部22の半径方向の肉厚
[(d4−d1)/2]よりも大きく設定されている。
【0038】駆動軸13に対するロータ20の構築手順
としては、先ず、圧入治具を用いてボス部22の孔内に
駆動軸13の後端部を圧入するとともに、駆動軸13上
でのボス部22及び円板部21の位置決めを行う。この
位置決めによって円板部21の前後各面と、それらに対
向する発熱室内壁面との間のクリアランスがほぼ決定さ
れる。
【0039】駆動軸13の後端部にボス部22及び円板
部21を位置決めした後に、駆動軸13の前端側から環
状部材23を挿通し、ボス部22の外周にこの環状部材
23を嵌め込む。この嵌合により、環状部材23がボス
部22を外側から強く締め付けることになるので、ボス
部22の内周面22aが駆動軸13の外周面を押圧する
ときの面圧が十分に高まる。結果として、ロータ20が
駆動軸13上の所定位置に強固に圧入固定される。
【0040】なお、ロータ20の円板部21の周縁付近
には、円板部21を前後に貫通する複数のロータ連通孔
24が形成されている。これらロータ連通孔24は、駆
動軸13の回動軸線Xから等距離の位置において、駆動
軸13を取り囲んで等角度間隔となるように配置されて
いる。これら連通孔24は、ロータ20の前側のクリア
ランス領域と後側のクリアランス領域とを相互連通させ
て粘性流体の流動を促し、ロータ20の前後において流
体圧の不均衡が生じたり、流体温度が不均一化するのを
未然に防止する。
【0041】本実施形態によれば、以下のような効果を
得ることができる。 ○ ロータ20の剪断部としての円板部21及び内層部
としてのボス部22をプレス加工によって一体形成して
も、そのボス部22を包囲する外層部として環状部材2
3を併用しているので、ボス部内周面22aの駆動軸外
周面に対する面圧を十分に確保できる。それ故、プレス
加工後に焼き入れ加工や歪み取り加工等を施す必要がな
く、低コストでロータ20をひいては熱発生器を製造す
ることができる。
【0042】○ ボス部22の周囲に環状部材23を配
設することでロータ20の駆動軸13に対する圧入固定
を強固なものとしている。それ故、発熱室7内の温度
が、寒冷地での想定最低温度である−40℃付近から剪
断発熱時の想定最高温度である200℃超の範囲で変化
しても(そして、そのような温度変化の繰り返しがあっ
たとしても)、駆動軸13とロータ20との一体結合関
係が維持され、両者間で相対滑りを生ずるという事態を
防止又は極力回避することができる。
【0043】ここで述べた効果が本実施形態に特有のも
のであることは、次の参考例との比較で明らかとなる。
参考例としての熱発生器は、図1において環状部材23
を用いることなく、プレスで一体形成した円板部21及
びボス部22のみからなるロータを駆動軸13の後端部
に圧入した後、ボス部22と駆動軸13との接触部を溶
接することで両者の結合を補強したものである。この参
考例の熱発生器を、寒冷地に相当する極低温環境のもと
で断続的に運転および停止を数回繰り返した。即ち、そ
の熱発生器に−40℃〜200℃の範囲での温度変化を
繰り返し経験させた。数回の断続運転の後で参考例の熱
発生器を分解点検したところ、ボス部22と駆動軸13
との溶接部分に亀裂が観察され、両者の結合関係が途絶
える寸前の状況を呈していた。あと数回の断続運転を行
えば、ロータと駆動軸との間に相対滑りが生じトルク伝
達に支障を来たすことは明らかであった。
【0044】これに対し、本実施形態の熱発生器に同じ
条件での断続運転を経験させたが、ボス部22と駆動軸
13との間には何の異常もみられず、両者は強固な圧入
固定関係を維持していた。
【0045】○ 環状部材23を別体としたことで、環
状部材23の半径方向の厚みt2の設定の自由度が大き
くなり、ボス部内周面22aの駆動軸外周面に対する面
圧の設定が大変し易いという利点がある。
【0046】○ 本実施形態によれば、駆動軸13に対
するロータ20の圧入固定が強固なものとなり位置ずれ
の心配もなくなる。それ故、ロータ円板部21の前後面
と発熱室内壁面との間のクリアランスは常に一定とな
り、所望の発熱能力を安定的に発揮することが保証され
る。
【0047】なお、本発明の実施形態は以下のように変
更してもよい。 ○ 図4(A)及び(B)に示すように、別体の環状部
材23を用いることなく、ロータの剪断部、内層部及び
外層部の全てをプレス加工により一体形成してもよい。
【0048】図4(A)のロータ(剪断手段)30は、
剪断部としての円板部31と、その中心に形成された円
筒部32とを備え、その円筒部32の先端部を外方向に
折り返して反転させ、その円筒状の折り返し反転部33
を円筒部32の外周面上に重ね合わせ配置したものであ
る。この場合、円筒部32が内層部、折り返し反転部3
3が外層部となり、両部32,33によって環状固定部
が構成される。
【0049】図4(B)のロータ(剪断手段)30’
は、剪断部としての円板部31と、その中心に形成され
た円筒部32とを備え、その円筒部32の先端部を内方
向に折り返して反転させ、その円筒状の折り返し反転部
33を円筒部32の内周面に重ね合わせ配置したもので
ある。この場合、円筒部32が外層部、折り返し反転部
33が内層部となり、両部32,33によって環状固定
部が構成される。
【0050】図5は、前記ロータ30,30’の製造手
順の概要を示す。先ず、平円板状のプレス用鋼板35を
準備し(ステップ1)、その鋼板35の中心に円柱状の
プレス型36(一点鎖線で示す)を押し当てて凹み37
を作り出す(ステップ2)。そして、凹み37の底部を
切除して円筒部32を形成し(ステップ3)、その円筒
部32の先端を外方向(A)又は内方向(B)に折り返
して反転することで、円筒状の折り返し反転部33を有
するロータ30又は30’が完成する(ステップ4)。
【0051】図4(A)及び(B)に示すロータ30,
30’においても、環状固定部(32,33)の外層部
が内層部を外から圧迫する結果、内層部内周面の駆動軸
13の外周面に対する面圧を十分に確保できる。それ
故、プレス加工後に焼き入れ加工や歪み取り加工等が不
要となり、低コストでロータ30,30’を製造するこ
とができる。
【0052】○ 図4(A)及び(B)に示すロータ3
0,30’において、内層部の一部を折り返し形成して
外層部を形成した後に、その外層部を内層部に向かって
カシメてもよい。このカシメにより前記面圧を更に高め
ることが可能となる。
【0053】○ 図4(A)及び(B)のロータ30,
30’の円筒部32及び折り返し反転部33の更に外側
に、図3に示すような環状部材23を配設してもよい。 ○ 図4(A)及び(B)の構成において、前記折り返
し反転を二回以上行って折り返し反転部33自体を多層
構造化してもよい。
【0054】○ この明細書において「粘性流体」と
は、ロータの剪断作用を受けて流体摩擦に基づく熱を発
生するあらゆる媒体を意味するものであり、高粘度の液
体や半流動体に限定されるものではなく、ましてやシリ
コーンオイルに限定されるものではない。
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように、各請求項に記載の
発明によれば、熱発生器の駆動軸に対してロータを確実
に圧入固定することができる。又、ロータの全部又は一
部をプレス加工で形成した場合でも、プレス加工後に焼
き入れ等の追加加工を施す必要が無く、ロータ及びそれ
を用いた熱発生器を安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態に従う車輌用熱発生器の縦断面図。
【図2】図1のA−A線における横断面図。
【図3】駆動軸の一部とロータの構成部材とを示す断面
図。
【図4】(A)及び(B)はロータの別例を示す断面
図。
【図5】図4の各ロータの一連の製造工程の概略を示す
断面図。
【符号の説明】
1…前部ハウジング本体、2…後部ハウジング本体、5
…前部区画プレート、6…後部区画プレート(1,2,
5及び6はハウジングを構成する)、7…発熱室、8,
9…ウォータジャケット(放熱室)、13…駆動軸、2
0…ロータ(剪断手段)、21…円板部(剪断部)、2
2…ボス部(内層部)、22a…ボス部内周面、23…
環状部材(外層部)(22及び23は環状固定部を構成
する)、30,30’…ロータ(剪断手段)、31…円
板部(剪断部)、32…円筒部、33…折り返し反転部
(32及び33は環状固定部を構成する)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 星野 辰幸 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジング内に区画形成された発熱室に
    収容された粘性流体をロータで剪断することで熱を発生
    させる熱発生器であって、 前記ロータは、前記ハウジング内に回転可能に支持され
    た駆動軸に対して該ロータを圧入固定するための環状固
    定部と、その環状固定部から半径方向に延在する剪断部
    とを備え、前記環状固定部は、前記駆動軸の外周面を圧
    接する内周面が形成された内層部と、その内層部を包囲
    する外層部とを備えてなることを特徴とする熱発生器。
  2. 【請求項2】 前記ロータの剪断部及び内層部はプレス
    加工によって一体形成され、前記外層部は前記内層部を
    締め付ける別体の環状部材であることを特徴とする請求
    項1に記載の熱発生器。
  3. 【請求項3】 前記ロータの剪断部、内層部及び外層部
    はプレス加工によって一体形成されるとともに、前記外
    層部は内層部の一部を折り返し形成したものであること
    を特徴とする請求項1に記載の熱発生器。
  4. 【請求項4】 前記ロータの剪断部は円板形状をなして
    おり、前記発熱室内において、円板状のロータ剪断部の
    各面は、それと対向する発熱室の内壁面との間に主たる
    剪断領域となるクリアランスを形成することを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱発生器。
  5. 【請求項5】 粘性流体を剪断することで熱を発生する
    熱発生器に用いられる剪断手段としてのロータであっ
    て、前記熱発生器の駆動軸に対して該ロータを圧入固定
    するための環状固定部と、その環状固定部から半径方向
    に延在する剪断部とを備えており、前記環状固定部は、
    前記駆動軸の外周面を圧接する内周面が形成された内層
    部と、その内層部を包囲する外層部とを備えてなるロー
    タ。
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SE512642C2 (sv) * 1996-06-07 2000-04-17 Toyoda Automatic Loom Works Värmare med viskös fluid

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