JPH11261318A - ２個のアンテナ素子を切替使用する方法、および切替式アンテナ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 短くて、電気的特性の良い収納式アンテナ装
置を提供する。 【解決手段】 電気的長さ約λ／４のヘリカルアンテナ
素子１０ｂと、電気的長さ約λ／４の線条アンテナ素子
１０ａとが一体的に直接接続されて導通し、複合アンテ
ナを形成している。上記二つのアンテナ素子の接続部に
は上方導通部１０ｄが形成されるとともに、線条アンテ
ナ素子１０ａの下端部には下方導通部１０ｃが形成され
ている。（Ａ）図のように複合アンテナを引き上げて伸
長させたとき、１／４波長で共振するアンテナ励振器
（略称λ／４励振器）１１の開放端が下方導通部１０ｃ
に対して静電容量ｃを介して結合される。（Ｂ）図のよ
うに収納すると、下方導通部１０ｃがアース端子１３に
接触，導通して接地される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ヘリカルトップ方
式のアンテナを無線機のケースに対して伸縮摺動可能に
支承する際、該ヘリカルトップ方式のアンテナを機械的
に支持するとともに電気的に接続する技術に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】小形の移動通信機、特に携帯無線電話機
においては、携帯に便利なようにアンテナが伸縮するこ
とが望まれ、さらに、収縮状態においても着呼の検知が
可能であることを必要とする。すなわち、収納状態にお
いては正常な使用状態ほどの感度は無くても良いが、或
る程度の感度を維持していることが要望される。こうし
た要請を満たすものとして内蔵アンテナを設ける技術が
公知であるが、該内蔵アンテナと伸縮式アンテナとを切
り替えるスイッチ手段を設けなければならないことや、
内蔵アンテナから放射される高周波が他の実装品に影響
を及ぼさないようにする手段を併設しなければならない
ことや、携帯無線電話機を握った手によって内蔵アンテ
ナの受信電波を遮らないようにする工夫が必要であるこ
との為に、内蔵アンテナの使用は種々の制約を受ける。

【０００３】内蔵アンテナを用いることなく、伸縮式の
アンテナが、収納時にも着呼を検知するための技術とし
て、ヘリカルアンテナと線条アンテナとを直列に接続し
て導通させてなるヘリカルトップ方式のアンテナを用い
ることが公知である。ヘリカルトップアンテナを適用す
れば、収納姿勢においてもヘリカルアンテナ部分を携帯
無線電話機のケース外に突出させておくことにより、着
呼検知が可能である。そして、線条アンテナ部分をケー
ス外へ伸長させることにより、安定した通話が得られる
ようになる。ヘリカルトップ方式のアンテナを携帯無線
電話機のケースに対して伸縮摺動可能に支持するととも
に、該アンテナを携帯無線電話機の高周波回路に対して
電気的に接続するための最近の技術として、特開平６−
１９６９１２号公報に開示されたアンテナ、および、米
国特許Ｎo ５，２０４，６８７（Ａｐｒ．２０．１９９
３）が公知である。

【０００４】次に、図５および図６を順次に参照しつ
つ、上記の公知技術を説明する。図５は特開平６−１９
６９１２号に開示された公知のアンテナを示し、（Ａ）
は線条アンテナ部分の大半をケース外に引き出して伸長
させた状態を模式的に描いた垂直断面図、（Ｂ）は線条
アンテナ部分をケース内に押し込んで収納してヘリカル
アンテナ部分のみをケース外に突出せしめた状態を模式
的に描いた垂直断面図である。１は携帯式無線電話機の
ケース、２はヘリカルトップ形の複合アンテナである。
上記複合アンテナ２は、電気的長さ１／４波長の線条ア
ンテナ２ａの上端に電気的長さ１／４波長のヘリカルア
ンテナ２ｂを機械的に接続するとともに電気的に導通さ
せてなり、前記のケース１に貫通固着されたスリーブ状
の導通端子３に挿通されている。電気的長さ１／４波長
とは、１／４波長で共振する意であって、以下λ／４と
略記する。後述するλ／２も同様に、１／２波長で共振
する意である。

【０００５】上記複合アンテナ２が図５（Ａ）のように
上方へ引き出された伸長姿勢は、通話に使用される正常
使用状態であって、この時、該複合アンテナ２の基端部
を回路基板４に導通させるため、前記λ／４線条アンテ
ナ２ａの下端部に、前記スリーブ状導通端子３と密に嵌
合する下方導通部２ｃが形成されている。また、図５
（Ｂ）のように下方へ押し込まれた収納姿勢は携帯時に
使用される状態であって、λ／４ヘリカルアンテナ部分
２ｂがケース１外に突出しているので着呼検知が可能で
ある。この状態で複合アンテナ２を回路基板４に導通さ
せるため、λ／４線条アンテナ２ａの上端部に、前記ス
リーブ状導通端子３と密に嵌合する上方導通部２ｄが形
成されている。そして、上記の収納姿勢においてλ／４
線条アンテナ２ａの下端部を接地する（詳しくは、回路
基板４のアース回路に導通させる）アース接片５が設け
られている。

【０００６】前記の米国特許に係るヘリカルトップアン
テナの接続構造は、外見的には上述した図５のアンテナ
に類似しているが、電気的導通状態は基本的に異なる。
図６は米国特許Ｎｏ５，２０４，６８７に係るヘリカル
トップ形アンテナの接続構造を示し、（Ａ）は複合アン
テナの線条アンテナ部分を上方に引き出した状態を模式
的に描いてあり、図５に示した公知例の（Ａ）に対応す
る垂直断面図であり、（Ｂ）は線条アンテナ部分をケー
ス内に収納した状態を模式的に描いてあり、図５に示し
た公知例の収納状態を描いた（Ｂ）に対応する、一部を
破断した垂直断面図である。この図６の構成を、前掲の
図５と対照・比較して差異を考察すると、線条アンテナ
６ａとヘリカルアンテナ６ｃとが電気絶縁体６ｅを介し
て機械的に接続されており、電気的には導通していな
い。上記電気絶縁体６ｅの一部は線条アンテナ６ａを包
んでいる。複合アンテナ６が図６（Ａ）のように伸長し
たとき、線状アンテナ６ａを回路基板４に導通させるた
め、該線条アンテナ６ａの下端部に大径の線条アンテナ
導通部６ｂを形成して、スリーブ状導通端子３と密に嵌
合するようにした構造は前掲の図５におけると類似の構
成である。複合アンテナ６が図６（Ｂ）のように収縮し
たとき、ヘリカルアンテナ６ｃを基板４に導通させるた
め、ヘリカルアンテナ導通部６ｄが該ヘリカルアンテナ
６ｃに固着，導通されていて、このヘリカルアンテナ導
通部６ｄがスリーブ状導通端子３と密に嵌合するように
なっている。この図６（Ｂ）の状態で、線条アンテナ６
ａはスリーブ状導通端子３に導通していないので、該線
条アンテナ６ａを接地する手段（図５のアース接片５に
対応する部材）は設けられていない。ヘリカルトップ方
式の複合アンテナを摺動可能に支持した構造によって、
内蔵アンテナを用いることなく、収納姿勢においても着
呼の検知を可能ならしめるとともに、伸長姿勢において
良好な受信感度を得るという基本的な技術は公知公用で
ある。しかし乍ら、このヘリカルトップ方式の複合アン
テナを、どのようにして機械的に支持し、どのようにし
て電気的に接続するかによって、その特性が変化する。
従って、これを携帯式無線電話機に適用しようとする
と、携帯式無線電話機として要求される種々の特性を、
いかにして最大限に満たすかということが、技術的な改
良，工夫の焦点に浮かび上がってくる。要請される特性
の主たるものとしては、 イ．アンテナを伸長させて正常の使用状態ならしめたと
き、電気接点に接触不良に因る導通不良を発生しないこ
と。 ロ．機械的強度が充分で耐久性に優れていること（修復
可能な曲がり変形は許されるが、折損して離断してはな
らない）。 ハ．静電耐圧性に優れていること。 ニ．なるべく高い利得が得られ、かつ、なるべく広い同
調周波数帯域を有していること。

【０００７】が挙げられる。これらの全項目を完全に満
たすことは、現実の問題として恐らく不可能に近いほど
困難であろうと考えられるが、携帯無線電話機のアンテ
ナ関係の技術者は、可能な限り多くの項目について、少
しでもより完全に近い特性を得ようとして試験，研究を
重ねている。先に従来技術として述べた二つの公知発明
は、それぞれの長所を有しているが、また、それぞれの
短所も有している。携帯無線電話機の総合開発に当たる
技術者は、各方式の長短を理解した上で、開発しようと
している携帯無線電話機の仕様や使用条件に適した方式
のアンテナを選択することになる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】先に述べた公知の二つ
の発明は、それぞれ技術的進歩の先駆的な創作として高
い価値を有するものであるが、更に改善の余地を探求す
るため、前記イ〜ニの各項目について上記２発明の特性
を考察すると次のごとくである。 イ．導通不良の虞れについて、 図５の発明も、図６の発明も、（Ａ）図の伸長状態と
（Ｂ）図の収納状態との導通切り換えが、スリーブ状導
通端子３に対する機械的な接触による導通のみに依存し
ているので、発生や異物噛み込みによる導通不良の絶無
を期し難い。 ロ．機械的強度について、 図６の発明に係る複合アンテナ６は、ヘリカルアンテナ
導通部６ｄと線条アンテナ６ａとを電気絶縁体６ｅを介
して機械的に接続しているので機械的強度が充分でな
く、特に、曲げ外力を受けたとき折損し易い。 ハ．静電耐圧性について、 図６の発明は電気絶縁体６ｅが設けられているので、ス
リーブ状導通端子３を絶縁物で覆うことによって静電耐
圧をとることができるが、構造上工夫が必要である。 ニ．利得および広帯域性について、 ヘリカルアンテナの電気的長さがλ／４であり、線条ア
ンテナの電気的長さもλ／４であるため、機械的な形状
を小型に構成できる利点は有るが、利得を上げることに
ついては限界が有る。そして、同調周波数帯域を広く取
ることは著しく困難である。

【０００９】上述の事情に鑑みて、（イ）電気接点の導
通不良というトラブルを発生する虞れが無く、（ロ）機
械的強度が大で耐久性に優れ、（ハ）静電耐圧性に優
れ、（ニ）高利得が得られて、同調周波数帯域の広い、
簡単で低コストのヘリカルトップアンテナを構成するた
め、電気的長さが約１／２波長である線条アンテナの片
方の端に、電気的長さ約１／２のヘリカルアンテナを接
続し、機械的に直接接触させるとともに電気的に導通せ
しめてヘリカルトップ形の複合アンテナ素子を形成し、
上記ヘリカルアンテナをケース外に位置せしめて、線条
アンテナをケースの壁に貫通せしめて摺動可能に支承
し、前記の線条アンテナを高周波回路に対して機械的に
直接接触させることなく、電気的にも導通させずに対向
せしめて、静電容量を介して結合し、かつ、上記線条ア
ンテナが高周波回路に対して容量結合されている個所か
ら、「線条アンテナにヘリカルアンテナが接続された片
方」の反対方向を見たとき、インピーダンスがアンテナ
側のインピーダンスよりも格段に高くなる手段を設ける
と有効である。この技術は本発明者が創作して、本出願
人によって別途に出願中（特願平７−３７０９６号）の
発明である。以下、これを先願の発明という。

【００１０】上記先願の発明によると、 イ）複合アンテナが容量結合されていて電気的に導通・
絶縁を切り換える接点部分を有していないので、接触不
完全に因る導通不良というトラブルを発生する虞れが無
く、 ロ）複合アンテナを金属材料で一体的に構成することが
でき、複数個の金属部材を絶縁材料で結合する構造を採
らないので機械的強度が大きく、耐久性に優れ、 ハ）前述のごとく、複合アンテナが高周波回路に対して
容量結合されていて直流的には絶縁されているので静電
耐圧性に優れ、 ニ）λ／２ヘリカルアンテナとλ／２線条アンテナとが
直列に接続されているので、アンテナ伸長時に１／２波
長で動作する。これにより利得を規格最大にすることが
できる。 以上、イ〜ニの特性が総合されて、携帯無線電話機用ア
ンテナとして、従来技術に比して格段に優れた性能を発
揮することができる。

【００１１】以上に説明した先願の発明によって、携帯
無線電話機用アンテナの実用面における技術は格段に進
歩した。しかし、時期的にこれと併行して携帯無線電話
機の高周波回路技術、特に小形化改良が長足の進歩を遂
げた。高周波回路を構成している回路基板の小形化によ
って、該携帯無線電話機のケースの小形化が可能にな
る。ところが、携帯無線電話機ケースは、アンテナを収
納するスペースを有していなければならないという制約
を受ける。すなわち、例えばヘリカルトップ方式のアン
テナの場合、携帯無線電話機ケースの縦方向の寸法は
（たとえ高周波回路基板がそれより小さくても）線条ア
ンテナの長さ寸法よりも小さくすることができない。携
帯無線電話機の技術的進歩は、多数の関連技術の協力，
協調によって達成されるものであるが、こうした協力の
一つとして、収納式アンテナ技術部門に対して更なる寸
法短縮が要請されている。前記先願の発明は、先に説明
したイ〜ニ各項の優れた特性を有しているが、線条アン
テナの電気的長さが約１／２波長であるから、その機械
的な長さ寸法も約１／２波長であって、これよりも短縮
することができない。

【００１２】本発明は上述の事情に鑑みて為されたもの
であって、前記先願の発明の長所を損なうことなく、ヘ
リカルトップ形アンテナの長さ寸法を短縮することを目
的とする。すなわち、（イ）アンテナを伸長させた通常
使用状態において接触不完全に因る導通不良を発生する
虞れが無く、（ロ）複合アンテナを構成する２個のアン
テナ素子が相互に機械的にも電気的にも一体的に接続さ
れていて機械的強度が大であり、アンテナ素子相互を接
続する電気絶縁性部材が折損するというトラブルを発生
せず、（ハ）アンテナを伸長させた通常使用状態におい
て静電耐圧が高くて安全性が大きく、（ニ）利得が高
く、かつ、同調周波数帯域が広い、ヘリカルトップ形
の、携帯無線電話機用アンテナ装置を提供することを目
的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに創作した本発明の基本的な原理について、その１実
施形態に対応する図１を参照して略述すると、短くて、
電気的特性の良い収納式アンテナ装置を提供するため、
本発明は、電気的長さ約λ／４のヘリカルアンテナ素子
１０ｂと、電気的長さ約λ／４の線条アンテナ素子１０
ａとが一体的に直接接続されて導通し、複合アンテナを
形成している。上記二つのアンテナ素子の接続部には上
方導通部１０ｄが形成されるとともに、線条アンテナ素
子１０ａの下端部には下方導通部１０ｃが形成されてい
る。（Ａ）図のように複合アンテナを引き上げて伸長さ
せたとき、１／４波長で共振するアンテナ励振器（略称
λ／４励振器）１１の開放端が下方導通部１０ｃに対し
て静電容量ｃを介して結合される。（Ｂ）図のように収
納すると、下方導通部１０ｃがアース端子１３に接触，
導通して接地される。

【００１４】以上に説明した原理に基づいて、請求項１
に係る発明方法の構成は、ヘリカルトップ方式のアンテ
ナを無線機のケースに対して伸縮摺動可能に支承すると
ともに、該ヘリカルトップ方式のアンテナを無線機ケー
ス内の高周波回路に対して電気的に接続する方法におい
て、電気的長さ約λ／４の線条アンテナ素子の上端に、
電気的長さ約λ／４のヘリカルアンテナ素子の下端を取
り付けて機械的に支持するとともに、電気的に導通せし
め、上記の線条アンテナ素子とヘリカルアンテナ素子と
から成る複合アンテナを、ケースから上方へ引き出して
伸長せしめた状態で、前記線条アンテナの下端部を高周
波回路の出力端に対して、アンテナ励振器を介して静電
容量結合して、複合アンテナ全体としてλ／２で共振せ
しめ、かつ、上記複合アンテナをケース内へ押し下げて
収納した状態で、前記ヘリカルアンテナ素子の下端部を
高周波回路の出力端に対して接触導通せしめるととも
に、前記線条アンテナ素子の下端部を接地することによ
り、ヘリカルアンテナ素子の下端から下方を見たときの
インピーダンスをほとんど無限大ならしめて、該ヘリカ
ルアンテナ素子をλ／４で共振せしめることを特徴とす
る。以上に説明した請求項１の発明方法によると、電気
的長さλ／４のヘリカルアンテナ素子と電気的長さλ／
４の線条アンテナ素子とによって複合アンテナが構成さ
れる。上記λ／４線条アンテナ素子の機械的長さ寸法は
ほぼ１／４波長であり、λ／４ヘリカルアンテナ素子の
外形の機械的長さ寸法は１／４波長よりも著しく短いの
で、これらのアンテナ素子を直列に同心状に一体的に連
設した複合アンテナの長さ寸法が短い。さらに、アンテ
ナを収納するに必要な無線機ケースの長さ方向の寸法
は、概要的に線条アンテナの機械的長さ寸法に相当する
（ヘリカルアンテナはケース外に突出せしめられる）。
これにより、λ／２線条アンテナを用いた先願の発明に
比して、これを収納すべき無線機ケースの長さ寸法を格
段に短縮せしめることができる。さらに、前記ヘリカル
アンテナ素子と線条アンテナ素子とが、従来技術におけ
るがごとく相互に電気絶縁性の部材を介して接続される
ことなく、直接的に接続されるので機械的強度が大き
く、とりわけ、曲げ外力を受けて折損する虞れが無い。
そして、複合アンテナを伸長させて使用状態としたと
き、線条アンテナ素子の下端部が高周波回路に対して静
電容量結合される。すなわち、直流的に導通されない。
従って静電耐圧が高く、安全性が大である。収納状態に
おいては該複合アンテナの上方導通部が高周波回路に対
して接触導通せしめられるが、この状態（収納姿勢）に
おいて複合アンテナの大半は無線機ケース内に隠れてお
り、ケース外に突出しているのはヘリカルアンテナ素子
部分だけである。しかも、該ヘリカルアンテナ素子はア
ンテナカバーを設けるなどして容易に、かつ確実に外部
物体に対する接触，導通を防止できるから、収納時にお
ける安全性を確保することができる。さらに、伸長状態
において複合アンテナの下端部が高周波回路に対して、
λ／４励振器を介して静電容量結合されるので、優れた
アンテナ特性が得られ、とりわけ高利得で、広い同調周
波数帯域が得られるので、ＰＤＣ方式の通信に好適であ
る。

【００１５】請求項２に係る発明方法の構成は、前記請
求項１の発明の構成要件に加えて、前記の複合アンテナ
をケース内へ押し下げて収納した状態で、前記線条アン
テナ素子の下端部に、該線条アンテナ素子と同心状に位
置せしめて針状ないし細棒状のアース端子を接触導通せ
しめて接地し、かつ、上記収納状態において線条アンテ
ナ素子とアース端子とが一体の導電部材として電気的長
さがλ／４となるように、線条アンテナ素子単体の電気
的長さをλ／４よりも僅かに短く構成しておき、上記複
合アンテナをケースから上方へ引き出して伸長せしめた
際、線条アンテナの電気的長さがλ／４よりも短いこと
を、前記アンテナ励振器の作用で補正して、該線条アン
テナ素子部分をλ／４で共振せしめ、これにヘリカルア
ンテナ素子を付加した複合アンテナ素子全体としてλ／
２で共振せしめることを特徴とする。以上に説明した請
求項２の発明方法によると、ヘリカルトップ形の複合ア
ンテナを収納したとき、該ヘリカルトップ形複合アンテ
ナの下半分を形成しているλ／４線条アンテナの下端部
を、狭隘なスペース内で確実に接地して、該λ／４線条
アンテナの上端部から下方を見たときのインピーダンス
を著しく大ならしめ、以てλ／４ヘリカルアンテナの収
納姿勢時におけるアンテナ特性を確保するとともに、伸
長姿勢において前記の接地に用いる端子部材の影響を相
殺する形に補正して、複合アンテナ全体としてλ／２で
共振させることができる。すなわち、λ／４線条アンテ
ナの下端部を接地するためのアース端子が針状ないし細
い棒状をなし、線条アンテナ素子の延長線上に位置せし
めるので、無線機ケース内の狭隘なスペースの片隅に接
地することが容易である。上記のように針状もしくは細
棒状のアース端子をλ／４線条アンテナの延長線上に位
置せしめると、該λ／４線条アンテナの電気的長さが延
長されたように動作するので、その長さ寸法を予め若干
短くしておかねばならない。そうすると、伸長姿勢にお
いてλ／４で共振するときの電気的長さが不足してしま
う。そこで本請求項２においては前述したλ／４励振器
を調節して、線条アンテナ素子の寸法不足を補い、伸長
姿勢における通常使用時のアンテナ性能を確保すること
により、収納時におけるλ／４線条アンテナ下端部の接
地と、伸長時におけるλ／４線条アンテナの共振とを両
立せしめることができる。

【００１６】請求項３に係る発明方法の構成は、前記請
求項１，同２の発明の構成要件に加えて、前記線条アン
テナ素子の下端部に、該線条アンテナ素子の下端部を接
地するための下方導通部を設けるとともに、該下方導通
部の下側に電気絶縁性のスリーブを固着し、一方、上記
線条アンテナ素子を下方へ延長した線上に位置せしめて
針状ないし細棒状のアース端子を配設し、上記アース端
子と同心状に外嵌した電気絶縁性のパイプ内に前記電気
絶縁性のスリーブを挿入し、該電気絶縁性のパイプによ
って「電気絶縁性のスリーブおよびこれに固着された下
方導通部」を案内し、前記針状ないし細棒状のアース端
子を相対的に絶縁性スリーブ内へ導いて、これを貫通せ
しめ、前記下方導通部に接触導通せしめることを特徴と
する。以上に説明した請求項３の発明方法によると、複
合アンテナの収納操作として、これをケース内へ押し下
げたとき、λ／４線条アンテナ素子の下端部に設けられ
ている下方導通部をアース端子へ確実に導いて相互に接
触導通せしめることができ、併せて、該下方導通部が高
周波回路の構成部材に接触して導通することを未然に、
かつ完全に防止することができる。

【００１７】請求項４に係る発明方法の構成は、前記請
求項１〜同３の発明の構成要件に加えて、前記アンテナ
励振器の電気的長さを約λ／４に構成するとともに、そ
の入力端を高周波回路の出力端に接続して導通せしめ、
前記複合アンテナをケース内へ押し下げて収納した状態
において、前記アンテナ励振器とヘリカルアンテナ素子
との相互作用により同調特性を広帯域ならしめることを
特徴とする。以上に説明した請求項４の発明方法による
と、複合アンテナを収縮せしめて線状アンテナ素子を無
線機ケース内に収納し、ヘリカルアンテナ素子単独でア
ンテナ機能を果たさせる際、「伸長時における複合アン
テナの機能を良好ならしめるために設けられているλ／
４アンテナ励振器」を利用し、該アンテナ励振器の入力
端を高周波回路の出力端および上方導通部に対して導通
せしめるとともに、該アンテナ励振器とλ／４ヘリカル
アンテナ素子との相互作用により広帯域同調特性を与え
ることができる。

【００１８】請求項５に係る発明装置の構成は、ヘリカ
ルアンテナ素子と線条アンテナ素子とより成る複合アン
テナが無線機ケースに対して伸縮摺動可能に機械的に支
持されるとともに、無線機の高周波回路に対して電気的
に接続されたアンテナ装置において、電気的長さ約λ／
４の線条アンテナ素子の上端に、電気的長さ約λ／４の
ヘリカルアンテナ素子が機械的に固着されるとともに電
気的に導通されており、前記ヘリカルアンテナ素子と線
条アンテナ素子との接続部付近に、電気接点として機能
し得る上方導通部が設けられており、前記線条アンテナ
の下端部に、電気接点として機能することができるとと
もに静電容量の電極としても機能し得る下方導通部が設
けられていて、前記の複合アンテナが無線機ケースから
上方へ引き出された伸長状態において前記下方導通部に
対向離間して静電容量を形成する電極部材が、電気的長
さ約λ／４のアンテナ励振器の開放端に接続されるとと
もに、該アンテナ励振器の入力端が無線機高周波回路の
出力端に接続されており、かつ、前記複合アンテナが無
線機ケース内に押し下げられた収納状態において前記ヘ
リカルアンテナ素子が無線機ケース外に残るようになっ
ていて、この収納状態において前記の上方導通部が無線
機高周波回路の出力端に接触導通されるとともに、前記
の下方導通部がアース端子に接触導通して接地されるよ
うになっていることを特徴とする。以上に説明した請求
項５の発明装置によると、λ／４励振器の入力端が高周
波回路の出力端に接続されるとともに、該λ／４励振器
の開放端が電極部材に接続されており、ヘリカルトップ
形の複合アンテナが伸長状態になったとき、該複合アン
テナの下端部に設けられている下方導通部が上記の電極
部材に対して静電容量を形成するので、この伸長状態に
おいて上記ヘリカルトップ形の複合アンテナの下端部
が、高周波回路出力端に対してλ／４励振器を介して静
電容量結合され、高利得，広帯域のアンテナ特性が得ら
れる。その上、上述のように静電容量結合されるので、
端子部材相互の接触・導通を必要とせず、従って、発錆
やゴミ噛込みに因る不完全接触のために導通不良トラブ
ルを生じる虞れが無い。しかも、上述のごとく静電容量
結合されている状態（伸長姿勢・通常の使用状態）にお
いて、複合アンテナは高周波回路に対して直流的に導通
していないので静電耐圧が高く、安全である。さらに、
前記複合アンテナの線条アンテナ素子が無線機ケース内
に収納された状態で、ヘリカルアンテナ素子が無線機ケ
ースから突出し、かつ、その根本部が高周波回路出力端
に対して導通されるようになっているので、この収納状
態においてヘリカルアンテナ素子が単独でアンテナ機能
を果たして着呼検知を可能ならしめ、また、電波状態が
良ければこの収納状態のままで交信することも可能であ
る。上記のように収納状態でヘリカルアンテナ素子がア
ンテナ機能を果たす際、線条アンテナ素子の下端部が接
地されるので、ヘリカルアンテナ素子下端部から線条ア
ンテナ素子を見たとき、そのインピーダンスが非常に大
きい。従って、線条アンテナ素子が「ヘリカルアンテナ
素子単独でのアンテナ性能」に対して悪影響を及ぼさな
い。

【００１９】請求項６に係る発明装置の構成は、前記請
求項５の発明装置の構成要件に加えて、前記無線機ケー
スの頂面に、前記線条アンテナ素子と摺動自在に嵌合す
る電気絶縁材料製のガイドスリーブが貫通固着されると
ともに、前記静電容量を形成する電極部材が上記ガイド
スリーブの外側に設置されていて、前記複合アンテナが
引き出された伸長状態において前記の下方導通部が該ガ
イドスリーブの内側に位置して、ガイドスリーブの壁を
隔てて電極部材に対向して静電容量を形成するようにな
っていることを特徴とする。以上に説明した請求項６の
発明装置によると、複合アンテナと電極部材とが、ガイ
ドスリーブの壁を隔てて対向するので、相互に接触する
虞れが無い。さらに、静止部材である電極部材と静止部
材であるガイドスリーブとは相対的な位置関係が不変で
あり、可動部材である複合アンテナの位置がガイドスリ
ーブによって規制されるので、該複合アンテナの上，下
方導通部と電極部材との位置関係が反復して同一状態を
再現する。これにより安定したアンテナ性能が得られ、
作動信頼性が高い。

【００２０】請求項７に係る発明装置の構成は、前記請
求項６の発明装置の構成要件に加えて、前記電気絶縁材
料製ガイドスリーブの下方に、これと同心状に筒状の端
子ホルダが取り付けられるとともに、該端子ホルダの中
に「無線機高周波回路の出力端に接続されたリング状端
子スプリング、もしくはこれと同等に機能する端子部
材」が収納されていて、前記複合アンテナが無線機ケー
ス内に押し下げられた収納状態において、前記の上方導
通部がガイドスリーブ内および端子ホルダ内に位置し
て、該上方導通部が前記リング状端子スプリングもしく
はこれと同等に機能する部材に接触導通して無線機高周
波回路の出力端に接続されるとともに、該上方導通部が
前記ガイドスリーブの壁を隔てて電極部材に対向して静
電容量を形成するようになっていることを特徴とする。
以上に説明した請求項７の発明装置によると、複合アン
テナが下方へ押し下げられた収納姿勢において、ヘリカ
ルアンテナ素子の下端に位置する上方導通部が、（ａ）
端子スプリングを介して高周波回路出力端に接続導通さ
れるとともに、（ｂ）上記アンテナ励振器の入力端は高
周波回路出力端に接続導通されている（請求項５の構成
要件）。ヘリカルアンテナとアンテナ励振器との相互作
用により、この収納状態において単独でアンテナ機能を
果たしているヘリカルアンテナ素子の同調周波数帯が広
くなり、ＰＤＣ方式用のアンテナとして好適である。

【００２１】請求項８に係る発明装置の構成は、前記請
求項５〜７の発明装置の構成要件に加えて、前記複合ア
ンテナの下端部に設けられた下方導通部の少なくとも下
半部が筒状に形成されるとともに、該筒状部の中に「下
方に向かって凹形をなす端子スプリング」が設置されて
おり、かつ、上記複合アンテナが下方に押し下げられた
収納状態において、上記凹形の端子スプリングに嵌合し
て導通する針状ないし細棒状のアース端子が、無線機ケ
ースに対して固定的に位置決め設置されていることを特
徴とする。以上に説明した請求項８の発明装置による
と、無線機ケースに固定されたガイドスリーブによって
摺動自在に支承されている複合アンテナが下方に押し下
げて収納される際、その下端部に設置されている端子ス
プリングが、無線機ケースに位置決めされているアース
端子に嵌合して、確実に接地され、かつ、スプリングの
作用によって上記の収納された姿勢が弾性的に保持され
る。そして、上記複合アンテナに手動操作力を加えて引
き上げる際、端子スプリングは操作者に対して操作フィ
ーリング（手応え）を与え、しかも、その操作を阻止す
るような大きい抵抗は与えない。

【００２２】請求項９に係る発明装置の構成は、前記請
求項８の発明方法の構成要件に加えて、前記下方導通部
の下半部に形成されている筒状部分の下方に、これと同
心に電気絶縁材料製の絶縁スリーブが取り付けられてい
て、複合アンテナが引き上げられた伸長状態で上記の下
方導通部がガイドスリーブの壁を隔てて電極部材に対向
して静電容量を形成したとき、上記絶縁スリーでが前記
リング状端子スプリングに接触してその内周面を覆い、
該リング状端子スプリングを介して高周波回路出力端が
下方導通部にショートしないように保護される構造であ
ることを特徴とする。以上に説明した請求項９の発明に
よると、複合アンテナが収納される際には下方導通部が
アース端子に接触・導通することを妨げず、かつ、該複
合アンテナが伸長されたとき、上記の下方導通部がリン
グ状端子スプリングを介して高周波回路出力端に接触・
導通することの無いよう、自動的に保護される。

【００２３】請求項１０に係る発明装置の構成は、前記
請求項９の発明装置の構成要件に加えて、前記筒状の端
子ホルダと、針状ないし細棒状のアース端子との間に、
これらの部材と同心状に、電気絶縁材料製のガイドパイ
プが設置されていて、前記複合アンテナが押し下げられ
た収納状態において線条アンテナがこのガイドパイプ内
に収納されるようになっていて、上記複合アンテナが収
納される際、前記絶縁スリーブが上記ガイドパイプに誘
導されて前記針状ないし細棒状のアース端子に接近し、
該アース端子が絶縁スリーブを貫通して、下方導通部の
中に設置されている端子スプリングに接触導通せしめら
れるようになっており、かつ、複合アンテナが収納され
る途中、および収納されている状態において、線条アン
テナおよび下方導通部が前記ガイドパイプに保護され
て、アンテナ装置以外の導電部材に接触しないようにな
っていることを特徴とする。以上に説明した請求項１０
の発明装置によると、複合アンテナを押し下げて収納す
る際、該複合アンテナの下端部に形成されている下方導
通部がガイドパイプによって案内されて、円滑，確実に
アース端子と同心に接近し、接触して導通せしめられ
る。さらに、上述のようにして収納される途中において
も収納されている間においても、該下方導通部が高周波
回路の構成部材に接触，導通して不測のトラブルを生じ
る虞れが無い。

【００２４】請求項１１に係る発明装置の構成は、前記
請求項５〜１０の発明装置の構成要件に加えて、前記線
条アンテナ素子とヘリカルアンテナ素子との接続部付近
に設けられる上方導通部は、線条アンテナの上端に嵌合
固着された筒状の部材であって、上下方向に関して中央
部と下半部とは、前記ガイドスリーブと摺動可能に嵌合
する外径を有しており、上記上方導通部の上端部にヘリ
カルアンテナ素子が取り付けられて導通しており、上記
上方導通部の中央部よりも上方寄りにフランジ状の大径
部が形成されていて、前記ヘリカルアンテナ素子を覆う
キャップ状のヘリカルアンテナカバーの下方の縁が、前
記フランジ状大径部の周囲縁に対して取り付けられてい
ることを特徴とする。以上に説明した請求項１１の発明
によると、複合アンテナが収納されたとき上方導通部が
ガイドスリーブに嵌合して防水機能を発揮するととも
に、無線機ケース外に突出しているヘリカルアンテナ素
子をヘリカルアンテナカバーによって保護する。上記ヘ
リカルアンテナ素子は収納状態において高周波回路出力
端に導通せしめられる構成部分であって、収納時には静
電耐圧が取れないので、収納時におけるヘリカルアンテ
ナ素子をカバーすることは、無線機回路を静電圧から保
護する意味においても実用価値が大きい。

【００２５】

【発明の実施の形態】図１は本発明の原理的な説明図で
あって、（Ａ）はヘリカルアンテナ素子と線条アンテナ
素子とより成るヘリカルトップ形の複合アンテナを伸長
させた状態を、（Ｂ）は収縮させた状態を、それぞれ示
している。本発明に係るアンテナ装置を携帯電話機に装
着した場合、どのような姿勢に保持されるかは不定であ
るが、図１（Ａ）のようにヘリカルアンテナ素子を上方
にし、線条アンテナ素子を立てて用いるのが通常の使用
姿勢である。本発明においては上記の通常の使用姿勢に
おける上方を上と呼び、下方を下という。すなわち、図
１〜図７における上方を上，下方を下と呼ぶ。図１に示
すごとく、電気的長さ約λ／４の線条アンテナ素子１０
ａの上方に、これと同心に電気的長さ約λ／４のヘリカ
ルアンテナ素子１０ｂを、機械的に接続するとともに電
気的に導通させる。本発明において導通とは交流的な結
合を含まず、直流的に接続される意である。以下、本明
細書の「発明の詳細な説明」において、λ／４ヘリカル
アンテナ素子１０とλ／４線条アンテナ素子１０ａとが
接続導通された部材を複合アンテナと略称する。上記λ
／４線条アンテナ素子１０ａの下端に下方導通部１０ｃ
を設けるとともに、該λ／４線条アンテナ素子１０ａの
上端（すなわち、λ／４ヘリカルアンテナ素子１０ｂと
の接続部）に上方導通部１０ｄを設けてある。これら
上，下方導通部の詳細な構造は図２〜図４を参照して後
述することとし、本図１においては原理的な作動を概説
する。 （図１（Ａ）参照）、図示の１１は電気的長さλ／４の
アンテナ励振器であって、その入力端は高周波回路１２
の出力端に接続，導通されている。そして、該アンテナ
励振器の開放端は、下方導通部１０ｅに対向，離間して
静電容量ｃを形成する。これにより、ヘリカルトップ形
の複合アンテナは、λ／４励振器１１を介して高周波回
路１２に静電容量結合される。この状態において上記の
複合アンテナは、λ／４励振器１１と静電容量ｃとの協
働作用により同調周波数が広帯域となり、しかも高いア
ンテナ利得が得られる。図８は、前掲の図１に示した実
施形態に係るアンテナ装置の伸長状態におけるＳＷＲ特
性図表である。図１（Ａ）に示した伸長状態において複
合アンテナが高周波回路１２に対して静電容量結合され
ているので静電耐圧が高く、かつ、接触導通を必要とし
ないので、接触不完全に因る導通不良といったトラブル
を生じない。

【００２６】図１（Ｂ）に示したように複合アンテナを
押し下げて収納状態にすると、高周波回路１２の出力端
が上方導通部１０ｄに接続・導通され、λ／４ヘリカル
アンテナ素子１０ｂが単独でアンテナ機能を果たす。上
記（Ｂ）図の収納状態において、線条アンテナ素子１０
ａの下端部は、下方導通部１０ｃおよび針状アース端子
１３を介して接地される。このため、上方導通部１０ｄ
から下方を見たときのインピーダンスがほとんど無限大
となり、λ／４ヘリカルアンテナ素子１０ｂに対してλ
／４線条アンテナ素子１０ａが悪影響を及ぼさない。図
１（Ｂ）においてλ／４線条アンテナ素子１０ａの見掛
け上のインピーダンスを無限大ならしめるためには、図
示のごとく針状アース端子１３を加えた電気的長さがλ
／４となるように構成しなければならない。従って、図
１（Ａ）に示した長さλ′／４は、厳密に言うとλ／４
よりも僅かに（針状アース端子１３に相当する分だけ）
短くなる。このλ′／４とλ／４との差は、λ／４励振
器１１を調節することにより補正できる。図１（Ｂ）の
収納状態において、λ／４励振器１１の入力端は上方導
通部１０ｄに接続導通され、λ／４励振器１１とλ／４
ヘリカルアンテナ素子１０ｂとの相互作用により、該λ
／４ヘリカルアンテナ素子１０ｂ単独でのアンテナ特性
は、その同調周波数帯域が広くなってＰＤＣ方式用のア
ンテナとして好適である。（上記のアンテナ励振器とヘ
リカルアンテナとの相互作用により広帯域性能が得られ
る機序について、理論的には未だ解明されていないが実
験的事実であり、その再現性も確認された。） 次に、図２〜図４を参照して各構成部分の具体的な構造
を詳述するに先立って、発明に係るアンテナ装置の各構
成部分の配置と、相互の関連を略述する。図７は、前掲
の図１に示した構成部分を半ば実体的に描いて、無線機
ケースとの関係を表した模式図である。本図７において
図１と同一の符号を付したものは、図１におけると同様
の構成部分である。無線機のケース１の頂壁に、ガイド
スリーブ１５が貫通固着されていて、λ／４線条アンテ
ナ素子１０ａの上下摺動自在に案内している。下方導通
部１０ｃの下方に絶縁スリーブ１０ｅが同心状に固着さ
れている。その詳細については図３を参照して後述す
る。前記ガイドスリーブ１５の下方に、リング状端子ス
プリング１４が配置され、高周波回路１２の出力端に接
続導通されている。複合アンテナが下方に押し込まれた
収納姿勢においては、このリング状端子スプリング１４
が上方導通部１０ｄに接触し、高周波回路１２の出力端
をλ／４ヘリカルアンテナ素子１０ｂに接続導通せしめ
る。上記複合アンテナが上方に引き出されて伸長姿勢に
なったとき、下方導通部１０ｃはガイドスリーブ１５を
隔ててλ／４励振器１１の開放端に対向して静電容量ｃ
を形成するが、このとき（伸長状態）前記リング状端子
スプリング１４は下方導通部１０ｃに接触することな
く、絶縁スリーブ１０ｅに接触するようになっている。

【００２７】図２は、本発明に係るアンテナ装置の１実
施形態を示し、模式図である図７に仮想線で囲んだＤ部
を垂直面で切断して描いた詳細図に励振器と高周波回路
とを付記した図である。ケース１の頂壁にガイドスリー
ブ１５が貫通固着され、その管状壁の外側に電極部材と
しての静電容量電極１１ａが設置されている。前記複合
アンテナが引き上げられて伸長姿勢になると、下方導通
部１０ｃは仮想線で示したようにガイドスリーブ内に位
置し、該ガイドスリーブ１５の管状壁を隔てて静電容量
電極１１ａと対向して静電容量を形成する。前記静電容
量電極１１ａは、λ／４励振器１１と別体に構成して接
続しても良く、またはλ／４励振器１１の開放端と一体
に形成しても良い。前記静電容量電極１１ａは静止部材
であり、下方導通部１０ｃはガイドスリーブ１５で位置
決めされるので、両者の間の静電容量の値は容易に正確
に規制することができ、臨界結合状態（最良のアンテナ
性能か得られる静電容量値）となるよう、設計的に、も
しくは実験的に設定される。前記ガイドスリーブ１５の
下側に筒状の端子ホルダ１６が同心に固着され、その中
にリング状端子スプリング１４（図７を参照して既述）
が収納されている。本発明を実施する際、前記リング状
端子スプリング１４は必ずしも外観的に環状を呈してい
なくても、機構学的にリング状スプリングと同様に作用
する導電性の部材であれば良い。同様に、前記筒状の端
子ホルダ１６も、機能的に筒状部材と同様に作用する部
材であれば良く、外観的に筒状であることを要しない。
前記ガイドスリーブ１５の下方に（本実施形態において
は端子ホルダ１６を介して下方に）ガイドパイプ１７が
同心状に固着されている。このガイドパイプ１７の作用
については図３を参照して後述する。

【００２８】図３は、本発明に係るアンテナ装置の１実
施形態における下方導通部付近を垂直面で切断して描い
た詳細図に針状アース端子を付記した図であって、全体
的な模式図である図７のＥ部付近に対応している。 （図３参照）１０ａは先に述べたλ／４線条アンテナ素
子であって、線条アンテナカバー１０ｆで覆われてい
る。その下端に、筒状の下方導通部１０ｃが接続導通さ
れている。この下方導通部１０ｃは、少なくとも下半部
が筒状をなし、その中にコンセント形端子スプリング１
０ｇが、下方に向けて凹なるごとく設置されている。上
記コンセント形端子スプリングとは、プラグ端子もしく
はこれと類似の電極部材を差し込まれる、いわゆるメス
形の弾性を有する導電部材である。上記下方導通部１０
ｃの下方に、これと同心に絶縁材料製のスリーブ１０ｅ
が固着されていて、さらにその延長線上に針状アース端
子１３、もしくは細棒状のアース端子（図示省略）が設
置されている。上記の針状と細棒状とはほとんど同意で
あるが、単に針状と言った場合、先端が鋭く尖っている
ものと限定解釈される虞れが有るので、細棒状と併記し
た。符号１７で示したガイドパイプは、前掲の図２にそ
の上端部が現れていた部材であって、電気絶縁材料製の
パイプである。このガイドパイプ１７は、前記のガイド
スリーブ（図２）、および前記針状アース端子１３と同
心状に設置され、前記下方導通部１０ｃおよび絶縁スリ
ーブ１０ｅを収納して、これらを上下に案内する。前記
複合アンテナの収納操作に伴って下方導通部１０ｃが下
降するとき、針状アース端子１３は矢印ａのごとく相対
的に上昇し、絶縁スリーブ１０ｅを貫通して下方導通部
１０ｃ内へ進入し、コンセント形端子スプリング１０ｇ
に接続して弾性的に挟みつけられ、導通する。

【００２９】図４は、本発明に係るアンテナ装置の１実
施形態におけるλ／４ヘリカルアンテナ付近の垂直断面
図であって、アンテナ装置の全体を模式的に描いた図７
に仮想線で囲んだＦ部に対応している。本例の上方導通
部１０ｄは全体的に筒状をなしている。本発明を実施す
る際、この上方導通部１０ｄの下半部のみを筒状に構成
し、上半部は段付円柱状に構成しても良い。図に示した
ごとく、上記上方導通部１０ｄの外径は段付状をなして
おり、中央部と下半部は小径、上端部は中径であり、小
径の部分と中径の部分との中間に当たる上端寄りの部分
はフランジ状の大径部になっていて、金属材料で構成さ
れている。上記上方導通部１０ｄはλ／４線条アンテナ
素子１０ａの上端に接続導通されるとともに、λ／４ヘ
リカルアンテナ素子１０ｂの下端に接続導通され、これ
ら双方のアンテナ素子を相互に接続し、導通させてい
る。このように、双方のアンテナ素子の間に電気絶縁性
の部材を介在させていないので、機械的に丈夫であり、
外力によって容易に折損する虞れが無い。λ／４ヘリカ
ルアンテナ素子１０ｂを覆って電気絶縁材料製のキャッ
プ状のヘリカルアンテナカバー１０ｈが設けられ、その
周囲縁は前記フランジ状大径部の周囲縁に取り付けられ
ている。当該アンテナ装置が収納姿勢のとき、ケース１
の外側に突出しているλ／４ヘリカルアンテナ素子１０
ｂが電気絶縁性のヘリカルアンテナカバー１０ｈで覆わ
れているので、該λ／４ヘリカルアンテナ素子１０ｂが
高周波回路に接続導通されても安全性が確保される。

【００３０】

【発明の効果】以上に本発明の実施形態を挙げてその構
成・機能を明らかならしめたように、請求項１の発明方
法によると、電気的長さλ／４のヘリカルアンテナ素子
と電気的長さλ／４の線条アンテナ素子とによって複合
アンテナが構成される。上記λ／４線条アンテナ素子の
機械的長さ寸法はほぼ１／４波長であり、λ／４ヘリカ
ルアンテナ素子の外形の機械的長さ寸法は１／４波長よ
りも著しく短いので、これらのアンテナ素子を直列に同
心状に一体的に連設した複合アンテナの長さ寸法が短
い。さらに、アンテナを収納するに必要な無線機ケース
の長さ方向の寸法は、概要的に線条アンテナの機械的長
さ寸法に相当する（ヘリカルアンテナはケース外に突出
せしめられる）。これにより、λ／２線条アンテナを用
いた先願の発明に比して、これを収納すべき無線機ケー
スの長さ寸法を格段に短縮せしめることができる。さら
に、前記ヘリカルアンテナ素子と線条アンテナ素子と
が、従来技術におけるがごとく相互に電気絶縁性の部材
を介して接続されることなく、直接的に接続されるので
機械的強度が大きく、とりわけ、曲げ外力を受けて折損
する虞れが無い。そして、複合アンテナを伸長させて使
用状態としたとき、線条アンテナ素子の下端部が高周波
回路に対して静電容量結合される。すなわち、直流的に
導通されない。従って静電耐圧が高く、安全性が大であ
る。収納状態においては該複合アンテナの上方導通部が
高周波回路に対して接触導通せしめられるが、この状態
（収納姿勢）において複合アンテナの大半は無線機ケー
ス内に隠れており、ケース外に突出しているのはヘリカ
ルアンテナ素子部分だけである。しかも、該ヘリカルア
ンテナ素子はアンテナカバーを設けるなどして容易に、
かつ確実に外部物体に対する接触，導通を防止できるか
ら、収納時における安全性を確保することができる。さ
らに、伸長状態において複合アンテナの下端部が高周波
回路に対して、λ／４励振器を介して静電容量結合され
るので、優れたアンテナ特性が得られ、とりわけ高利得
で、広い同調周波数帯域が得られるので、ＰＤＣ方式の
通信に好適である。

【００３１】請求項２の発明方法によると、ヘリカルト
ップ形の複合アンテナを収納したとき、該ヘリカルトッ
プ形複合アンテナの下半分を形成しているλ／４線条ア
ンテナの下端部を、狭隘なスペース内で確実に接地し
て、該λ／４線条アンテナの上端部から下方を見たとき
のインピーダンスを著しく大ならしめ、以てλ／４ヘリ
カルアンテナの収納姿勢時におけるアンテナ特性を確保
するとともに、伸長姿勢において前記の接地に用いる端
子部材の影響を相殺する形に補正して、複合アンテナ全
体としてλ／２で共振させることができる。すなわち、
λ／４線条アンテナの下端部を接地するためのアース端
子が針状ないし細い棒状をなし、線条アンテナ素子の延
長線上に位置せしめるので、無線機ケース内の狭隘なス
ペースの片隅に接地することが容易である。上記のよう
に針状もしくは細棒状のアース端子をλ／４線条アンテ
ナの延長線上に位置せしめると、該λ／４線条アンテナ
の電気的長さが延長されたように動作するので、その長
さ寸法を予め若干短くしておかねばならない。そうする
と、伸長姿勢においてλ／４で共振するときの電気的長
さが不足してしまう。そこで本請求項２においては前述
したλ／４励振器を調節して、線条アンテナ素子の寸法
不足を補い、伸長姿勢における通常使用時のアンテナ性
能を確保することにより、収納時におけるλ／４線条ア
ンテナ下端部の接地と、伸長時におけるλ／４線条アン
テナの共振とを両立せしめることができる。

【００３２】請求項３の発明方法によると、複合アンテ
ナの収納操作として、これをケース内へ押し下げたと
き、λ／４線条アンテナ素子の下端部に設けられている
下方導通部をアース端子へ確実に導いて相互に接触導通
せしめることができ、併せて、該下方導通部が高周波回
路の構成部材に接触して導通することを未然に、かつ完
全に防止することができる。

【００３３】請求項４の発明方法によると、複合アンテ
ナを収縮せしめて線状アンテナ素子を無線機ケース内に
収納し、ヘリカルアンテナ素子単独でアンテナ機能を果
たさせる際、「伸長時における複合アンテナの機能を良
好ならしめるために設けられているλ／４アンテナ励振
器」を利用し、該アンテナ励振器の入力端を高周波回路
の出力端および上方導通部に対して導通せしめるととも
に、該アンテナ励振器とλ／４ヘリカルアンテナ素子と
の相互作用により広帯域同調特性を与えることができ
る。

【００３４】請求項５の発明装置によると、λ／４励振
器の入力端が高周波回路の出力端に接続されるととも
に、該λ／４励振器の開放端が電極部材に接続されてお
り、ヘリカルトップ形の複合アンテナが伸長状態になっ
たとき、該複合アンテナの下端部に設けられている下方
導通部が上記の電極部材に対して静電容量を形成するの
で、この伸長状態において上記ヘリカルトップ形の複合
アンテナの下端部が、高周波回路出力端に対してλ／４
励振器を介して静電容量結合され、高利得，広帯域のア
ンテナ特性が得られる。その上、上述のように静電容量
結合されるので、端子部材相互の接触・導通を必要とせ
ず、従って、発錆やゴミ噛込みに因る不完全接触のため
に導通不良トラブルを生じる虞れが無い。しかも、上述
のごとく静電容量結合されている状態（伸長姿勢・通常
の使用状態）において、複合アンテナは高周波回路に対
して直流的に導通していないので静電耐圧が高く、安全
である。さらに、前記複合アンテナの線条アンテナ素子
が無線機ケース内に収納された状態で、ヘリカルアンテ
ナ素子が無線機ケースから突出し、かつ、その根本部が
高周波回路出力端に対して導通されるようになっている
ので、この収納状態においてヘリカルアンテナ素子が単
独でアンテナ機能を果たして着呼検知を可能ならしめ、
また、電波状態が良ければこの収納状態のままで交信す
ることも可能である。上記のように収納状態でヘリカル
アンテナ素子がアンテナ機能を果たす際、線条アンテナ
素子の下端部が接地されるので、ヘリカルアンテナ素子
下端部から線条アンテナ素子を見たとき、そのインピー
ダンスが非常に大きい。従って、線条アンテナ素子が
「ヘリカルアンテナ素子単独でのアンテナ性能」に対し
て悪影響を及ぼさない。

【００３５】請求項６の発明装置によると、複合アンテ
ナと電極部材とが、ガイドスリーブの壁を隔てて対向す
るので、相互に接触する虞れが無い。さらに、静止部材
である電極部材と静止部材であるガイドスリーブとは相
対的な位置関係が不変であり、可動部材である複合アン
テナの位置がガイドスリーブによって規制されるので、
該複合アンテナの上，下方導通部と電極部材との位置関
係が反復して同一状態を再現する。これにより安定した
アンテナ性能が得られ、作動信頼性が高い。

【００３６】請求項７の発明装置によると、複合アンテ
ナが下方へ押し下げられた収納姿勢において、ヘリカル
アンテナ素子の下端に位置する上方導通部が、（ａ）端
子スプリングを介して高周波回路出力端に接続導通され
るとともに、（ｂ）上記アンテナ励振器の入力端は高周
波回路出力端に接続導通されている（請求項５の構成要
件）。ヘリカルアンテナとアンテナ励振器との相互作用
により、この収納状態において単独でアンテナ機能を果
たしているヘリカルアンテナ素子の同調周波数帯が広く
なり、ＰＤＣ方式用のアンテナとして好適である。

【００３７】請求項８の発明装置によると、無線機ケー
スに固定されたガイドスリーブによって摺動自在に支承
されている複合アンテナが下方に押し下げて収納される
際、その下端部に設置されている端子スプリングが、無
線機ケースに位置決めされているアース端子に嵌合し
て、確実に接地され、かつ、スプリングの作用によって
上記の収納された姿勢が弾性的に保持される。そして、
上記複合アンテナに手動操作力を加えて引き上げる際、
端子スプリングは操作者に対して操作フィーリング（手
応え）を与え、しかも、その操作を阻止するような大き
い抵抗は与えない。

【００３８】請求項９の発明によると、複合アンテナが
収納される際には下方導通部がアース端子に接触・導通
することを妨げず、かつ、該複合アンテナが伸長された
とき、上記の下方導通部がリング状端子スプリングを介
して高周波回路出力端に接触・導通することの無いよ
う、自動的に保護される。

【００３９】請求項１０の発明装置によると、複合アン
テナを押し下げて収納する際、該複合アンテナの下端部
に形成されている下方導通部がガイドパイプによって案
内されて、円滑，確実にアース端子と同心に接近し、接
触して導通せしめられる。さらに、上述のようにして収
納される途中においても収納されている間においても、
該下方導通部が高周波回路の構成部材に接触，導通して
不測のトラブルを生じる虞れが無い。

【００４０】請求項１１の発明によると、複合アンテナ
が収納されたとき上方導通部がガイドスリーブに嵌合し
て防水機能を発揮するとともに、無線機ケース外に突出
しているヘリカルアンテナ素子をヘリカルアンテナカバ
ーによって保護する。上記ヘリカルアンテナ素子は収納
状態において高周波回路出力端に導通せしめられる構成
部分であって、収納時には静電耐圧が取れないので、収
納時におけるヘリカルアンテナ素子をカバーすること
は、無線機回路を静電圧から保護する意味においても実
用価値が大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の原理的な説明図であって、（Ａ）はヘ
リカルアンテナ素子と線条アンテナ素子とより成るヘリ
カルトップ形の複合アンテナを伸長させた状態を、
（Ｂ）は収縮させた状態を、それぞれ示している。

【図２】本発明に係るアンテナ装置の１実施形態を示
し、模式図である図７に仮想線で囲んだＤ部を垂直面で
切断して描いた詳細図に励振器と高周波回路とを付記し
た図である。

【図３】本発明に係るアンテナ装置の１実施形態におけ
る下方導通部付近を垂直面で切断して描いた詳細図に針
状アース端子を付記した図であって、全体的な模式図で
ある図７のＥ部付近に対応している。

【図４】本発明に係るアンテナ装置の１実施形態におけ
るλ／４ヘリカルアンテナ付近の垂直断面図であって、
アンテナ装置の全体を模式的に描いた図７に仮想線で囲
んだＦ部に対応している。

【図５】特開平６−１９６９１２号に開示された公知の
アンテナを示し、（Ａ）は線条アンテナ部分の大半をケ
ース外に引き出して伸長させた状態を模式的に描いた垂
直断面図、（Ｂ）は線条アンテナ部分をケース内に押し
込んで収納してヘリカルアンテナ部分のみをケース外に
突出せしめた状態を模式的に描いた垂直断面図である。

【図６】米国特許Ｎｏ５，２０４，６８７に係るヘリカ
ルトップ形アンテナの接続構造を示し、（Ａ）は複合ア
ンテナの線条アンテナ部分を上方に引き出した状態を模
式的に描いてあり、図５に示した公知例の（Ａ）に対応
する垂直断面図であり、（Ｂ）は線条アンテナ部分をケ
ース内に収納した状態を模式的に描いてあり、図５に示
した公知例の収納状態を描いた（Ｂ）に対応する、一部
を破断した垂直断面図である。

【図７】前掲の図１に示した構成部分を半ば実体的に描
いて、無線機ケースとの関係を表した模式図である。

【図８】前掲の図１に示した実施形態に係るアンテナ装
置の伸長状態におけるＳＷＲ特性図表である。

【符号の説明】

１…ケース、２…複合アンテナ、２ａ…λ／４線条アン
テナ、２ｂ…λ／４ヘリカルアンテナ、２ｃ…下方導通
部、２ｄ…上方導通部、３…スリーブ状導通端子、４…
回路基板、５…アース接片、６…複合アンテナ、６ａ…
線条アンテナ、６ｂ…線条アンテナ導通部、６ｃ…λ／
４ヘリカルアンテナ、６ｄ…ヘリカルアンテナ導通部、
６ｅ…電気絶縁体、１０ａ…λ／４線条アンテナ素子、
１０ｂ…λ／４ヘリカルアンテナ素子、１０ｃ…下方導
通部、１０ｄ…上方導通部、１０ｅ…絶縁スリーブ、１
０ｆ…線条アンテナカバー、１０ｇ…コンセント形端子
スプリング、１１…λ／４励振器、１１ａ…静電結合電
極、１２…高周波回路、１３…針状アース端子、１４…
リング状端子スプリング、１５…ガイドスリーブ、１６
…端子ホルダ、１７…ガイドパイプ。

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヘリカルトップ方式のアンテナを無線機
   のケースに対して伸縮摺動可能に支承するとともに、該
   ヘリカルトップ方式のアンテナを無線機ケース内の高周
   波回路に対して電気的に接続する方法において、 電気的長さ約λ／４の線条アンテナ素子の上端に、電気
   的長さ約λ／４のヘリカルアンテナ素子の下端を取り付
   けて機械的に支持するとともに、電気的に導通せしめ、 上記の線条アンテナ素子とヘリカルアンテナ素子とから
   成る複合アンテナを、ケースから上方へ引き出して伸長
   せしめた状態で、前記線条アンテナの下端部を高周波回
   路の出力端に対して、アンテナ励振器を介して静電容量
   結合して、複合アンテナ全体としてλ／２で共振せし
   め、 かつ、上記複合アンテナをケース内へ押し下げて収納し
   た状態で、前記ヘリカルアンテナ素子の下端部を高周波
   回路の出力端に対して接触導通せしめるとともに、前記
   線条アンテナ素子の下端部を接地することにより、ヘリ
   カルアンテナ素子の下端から下方を見たときのインピー
   ダンスをほとんど無限大ならしめて、該ヘリカルアンテ
   ナ素子をλ／４で共振せしめることを特徴とする、２個
   のアンテナ素子を切替使用する方法。
2. 【請求項２】 前記の複合アンテナをケース内へ押し下
   げて収納した状態で、前記線条アンテナ素子の下端部
   に、該線条アンテナ素子と同心状に位置せしめて針状な
   いし細棒状のアース端子を接触導通せしめて接地し、 かつ、上記収納状態において線条アンテナ素子とアース
   端子とが一体の導電部材として電気的長さがλ／４とな
   るように、線条アンテナ素子単体の電気的長さをλ／４
   よりも僅かに短く構成しておき、 上記複合アンテナをケースから上方へ引き出して伸長せ
   しめた際、線条アンテナの電気的長さがλ／４よりも短
   いことを、前記アンテナ励振器の作用で補正して、該線
   条アンテナ素子部分をλ／４で共振せしめ、これにヘリ
   カルアンテナ素子を付加した複合アンテナ全体としてλ
   ／２で共振せしめることを特徴とする、請求項１に記載
   した２個のアンテナ素子を切替使用する方法。
3. 【請求項３】 前記線条アンテナ素子の下端部に、該線
   条アンテナ素子下端部を接地するための下方導通部を設
   けるとともに、該下方導通部の下側に電気絶縁性のスリ
   ーブを固着し、 一方、上記線条アンテナ素子を下方へ延長した線上に位
   置せしめて針状ないし細棒状のアース端子を配設し、 上記アース端子と同心状に外嵌した電気絶縁性のパイプ
   内に前記電気絶縁性のスリーブを挿入し、該電気絶縁性
   のパイプによって「電気絶縁性のスリーブおよびこれに
   固着された下方導通部」を案内し、 前記針状ないし細棒状のアース端子を相対的に絶縁性ス
   リーブ内へ導いて、これを貫通せしめ、前記下方導通部
   に接触導通せしめることを特徴とする、請求項１もしく
   は請求項２に記載した２個のアンテナ素子を切替使用す
   る方法。
4. 【請求項４】 前記アンテナ励振器の電気的長さを約λ
   ／４に構成するとともに、その入力端を高周波回路の出
   力端に接続して導通せしめ、 前記複合アンテナをケース内へ押し下げて収納した状態
   において、前記アンテナ励振器とヘリカルアンテナ素子
   との相互作用により同調特性を広帯域ならしめることを
   特徴とする、請求項１ないし請求項３の何れかに記載し
   た２個のアンテナ素子を切替使用する方法。
5. 【請求項５】 ヘリカルアンテナ素子と線条アンテナ素
   子とより成る複合アンテナが無線機ケースに対して伸縮
   摺動可能に機械的に支持されるとともに、無線機の高周
   波回路に対して電気的に接続されたアンテナ装置におい
   て、 電気的長さ約λ／４の線条アンテナ素子の上端に、電気
   的長さ約λ／４のヘリカルアンテナ素子が機械的に固着
   されるとともに電気的に導通されており、 前記ヘリカルアンテナ素子と線条アンテナ素子との接続
   部付近に、電気接点として機能し得る上方導通部が設け
   られており、 前記線条アンテナの下端部に、電気接点として機能する
   ことができるとともに静電容量の電極としても機能し得
   る下方導通部が設けられていて、 前記の複合アンテナが無線機ケースから上方へ引き出さ
   れた伸長状態において前記下方導通部に対向離間して静
   電容量を形成する電極部材が、電気的長さ約λ／４のア
   ンテナ励振器の開放端に接続されるとともに、該アンテ
   ナ励振器の入力端が無線機高周波回路の出力端に接続さ
   れており、 かつ、前記複合アンテナが無線機ケース内に押し下げら
   れた収納状態において前記ヘリカルアンテナ素子が無線
   機ケース外に残るようになっていて、この収納状態にお
   いて前記の上方導通部が無線機高周波回路の出力端に接
   触導通されるとともに、前記の下方導通部がアース端子
   に接触導通して接地されるようになっていることを特徴
   とする、２個のアンテナ素子切替式アンテナ装置。
6. 【請求項６】 前記無線機ケースの頂面に、前記線条ア
   ンテナ素子と摺動自在に嵌合する電気絶縁材料製のガイ
   ドスリーブが貫通固着されるとともに、前記静電容量を
   形成する電極部材が上記ガイドスリーブの外側に設置さ
   れていて、 前記複合アンテナが引き出された伸長状態において前記
   の下方導通部が該ガイドスリーブの内側に位置して、ガ
   イドスリーブの壁を隔てて電極部材に対向して静電容量
   を形成するようになっていることを特徴とする、請求項
   ５に記載した２個のアンテナ素子切替式アンテナ装置。
7. 【請求項７】 前記電気絶縁材料製ガイドスリーブの下
   方に、これと同心状に筒状の端子ホルダが取り付けられ
   るとともに、該端子ホルダの中に「無線機高周波回路の
   出力端に接続されたリング状端子スプリング、もしくは
   これと同等に機能する端子部材」が収納されていて、 前記複合アンテナが無線機ケース内に押し下げられた収
   納状態において、前記の上方導通部がガイドスリーブ内
   および端子ホルダ内に位置して、 該上方導通部が前記リング状端子スプリングもしくはこ
   れと同等に機能する部材に接触導通して無線機高周波回
   路の出力端に接続されるとともに、 該上方導通部が前記ガイドスリーブの壁を隔てて電極部
   材に対向して静電容量を形成するようになっていること
   を特徴とする、請求項６に記載した２個のアンテナ素子
   切替式アンテナ装置。
8. 【請求項８】 前記複合アンテナの下端部に設けられた
   下方導通部の少なくとも下半部が筒状に形成されるとと
   もに、該筒状部の中に「下方に向かって凹形をなす端子
   スプリング」が設置されており、 かつ、上記複合アンテナが下方に押し下げられた収納状
   態において、上記凹形の端子スプリングに嵌合して導通
   する針状ないし細棒状のアース端子が、無線機ケースに
   対して固定的に位置決め設置されていることを特徴とす
   る、請求項５ないし請求項７の内の何れか一つに記載し
   た、２個のアンテナ素子切替式アンテナ装置。
9. 【請求項９】 前記下方導通部の下半部に形成されてい
   る筒状部分の下方に、これと同心に電気絶縁材料製の絶
   縁スリーブが取り付けられていて、 複合アンテナが引き上げられた伸長状態で上記の下方導
   通部がガイドスリーブの壁を隔てて電極部材に対向して
   静電容量を形成したとき、上記絶縁スリーでが前記リン
   グ状端子スプリングに接触してその内周面を覆い、該リ
   ング状端子スプリングを介して高周波回路出力端が下方
   導通部にショートしないように保護される構造であるこ
   とを特徴とする、請求項８に記載した２個のアンテナ素
   子切替式アンテナ装置。
10. 【請求項１０】 前記筒状の端子ホルダと、針状ないし
    細棒状のアース端子との間に、これらの部材と同心状
    に、電気絶縁材料製のガイドパイプが設置されていて、
    前記複合アンテナが押し下げられた収納状態において線
    条アンテナがこのガイドパイプ内に収納されるようにな
    っていて、 上記複合アンテナが収納される際、前記絶縁スリーブが
    上記ガイドパイプに誘導されて前記針状ないし細棒状の
    アース端子に接近し、 該アース端子が絶縁スリーブを貫通して、下方導通部の
    中に設置されている端子スプリングに接触導通せしめら
    れるようになっており、 かつ、複合アンテナが収納される途中、および収納され
    ている状態において、線条アンテナおよび下方導通部が
    前記ガイドパイプに保護されて、アンテナ装置以外の導
    電部材に接触しないようになっていることを特徴とす
    る、請求項９に記載した２個のアンテナ素子切替式アン
    テナ装置。
11. 【請求項１１】 前記線条アンテナ素子とヘリカルアン
    テナ素子との接続部付近に設けられる上方導通部は、線
    条アンテナの上端に嵌合固着された筒状の部材であっ
    て、上下方向に関して中央部と下半部とは、前記ガイド
    スリーブと摺動可能に嵌合する外径を有しており、 上記上方導通部の上端部にヘリカルアンテナ素子が取り
    付けられて導通しており、 上記上方導通部の中央部よりも上方寄りにフランジ状の
    大径部が形成されていて、 前記ヘリカルアンテナ素子を覆うキャップ状のヘリカル
    アンテナカバーの下方の縁が、前記フランジ状大径部の
    周囲縁に対して取り付けられていることを特徴とする、
    請求項５ないし請求項１０の内の何れか一つに記載し
    た、２個のアンテナ素子切替式アンテナ装置。