JPH1125785A - 酸化物超電導撚線および酸化物超電導ケーブル導体の製造方法ならびに被覆線材、撚線およびケーブル導体 - Google Patents

酸化物超電導撚線および酸化物超電導ケーブル導体の製造方法ならびに被覆線材、撚線およびケーブル導体

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JPH1125785A
JPH1125785A JP9313889A JP31388997A JPH1125785A JP H1125785 A JPH1125785 A JP H1125785A JP 9313889 A JP9313889 A JP 9313889A JP 31388997 A JP31388997 A JP 31388997A JP H1125785 A JPH1125785 A JP H1125785A
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wire
oxide superconducting
stranded wire
stranded
layer
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JP9313889A
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English (en)
Inventor
Jun Fujigami
純 藤上
Norihiro Saga
宣弘 嵯峨
Shiyuuji Mokura
修司 母倉
Kazuya Daimatsu
一也 大松
Hideo Ishii
英雄 石井
Shoichi Honjo
昇一 本庄
Yoshihiro Iwata
良浩 岩田
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Tokyo Electric Power Company Holdings Inc
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Tokyo Electric Power Co Inc
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Abstract

(57)【要約】 【課題】 素線間が絶縁され、かつ高い臨界電流を示す
酸化物超電導撚線を提供する。 【解決手段】 酸化物超電導材料とそれを覆いかつ銀ま
たは銀合金からなるマトリックスとからなる線材11
に、塗料槽15においてシリコーンポリマー等の有機金
属ポリマーまたは第一リン酸アルミニウムを主成分とす
る塗料を塗布し、乾燥炉16、焼き付け炉17を経て塗
料を焼き付ける。塗料が焼き付けられた線材を複数本撚
り合わせた後、得られた撚線を酸化物超電導材料の焼結
に必要な温度まで加熱する。このように焼結工程を経て
得られた撚線は、高い臨界電流を示すことができる。ま
た、塗料の焼き付けによって、耐熱性を有する絶縁コー
ティング層が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物超電導体を
用いた撚線およびケーブル導体を製造するための技術に
関し、特に、酸化物超電導体の焼結工程に適した電気絶
縁材料を提供し、そのような電気絶縁材料を用いて高い
臨界電流を示す撚線、ケーブル導体を提供するための技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化物超電導線材は、液体窒素温度で超
電導状態を示すことから、超電導ケーブルなどへの応用
が期待され、その開発が進められている。特に、ビスマ
ス系2223相酸化物超電導体が銀によって被覆された
線材は、長尺のものを容易に得ることができ、比較的高
い臨界電流密度(Jc)が得られることから、その研究
開発が進んでいる。
【0003】酸化物超電導線材を交流用途に使用すると
き、交流損失が問題となる。特に、電力ケーブルに応用
する場合、自己磁界損失が問題となる。自己磁界損失を
低減するためには、電力ケーブルを構成する素線を転位
させた構造が有効であることがわかっている。素線の転
位は、撚線によって可能になる。しかし、撚線プロセス
において素線に大きな曲げ歪みがかかるため、比較的脆
い酸化物超電導体を有する線材をその超電導特性を低減
させることなく撚り合わせることは、非常に困難であっ
た。また、撚線による顕著な効果を得るためには、素線
に電気的絶縁を施すことが重要になる。金属系超電導体
を用いた撚線においては、素線をエナメルで被覆するな
どの処置が講じられている。また、Nb3 Snを応用す
る分野においては、たとえば絶縁材料としてガラスが用
いられる。たとえば、ワインド・アンド・リアクト法に
よってNb3 Sn超電導体のコイルを製造する場合、ガ
ラスで被覆された線材がコイル状に巻かれ、熱処理され
る。
【0004】ケーブル導体に関しては、テープ形状のビ
スマス系銀シース超電導線をフォーマー上に多層で螺旋
巻した構造が一般的である。しかし、この構造では、電
流の偏流が生じやすい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の1つの目的
は、酸化物超電導線材を用いて、優れた超電導特性を有
する撚線およびケーブル導体を製造するための技術を提
供することにある。
【0006】本発明のもう1つの目的は、好ましい電気
絶縁材料を見いだし、それを用いて酸化物超電導撚線お
よび酸化物超電導ケーブル導体を提供することである。
【0007】本発明のさらなる目的は、優れた超電導特
性を有しかつ交流損失の低い酸化物超電導撚線および酸
化物超電導ケーブル導体を提供することである。
【0008】本発明のさらなる目的は、酸化物超電導ケ
ーブル導体において、交流損失の低い構造を提供するこ
とである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明により、酸化物超
電導材料とそれを覆いかつ銀または銀合金からなるマト
リックスとからなる線材を用いて撚線を製造する方法が
提供される。この方法は、酸化物超電導材料とそれを覆
いかつ銀または銀合金からなるマトリックスとからなる
線材のマトリックス表面に、酸化物超電導材料の焼結に
必要な温度以下の温度で熱分解して電気絶縁性のセラミ
ックスを生成させる化合物または窒化ホウ素を主成分と
する塗料を塗布する工程と、酸化物超電導材料の焼結に
必要な温度以下の温度において塗料を焼き付ける工程
と、塗料が焼き付けられた線材を複数本調製する工程
と、得られた複数本の線材を撚り合わせる工程と、得ら
れた撚線を酸化物超電導材料の焼結に必要な温度まで加
熱する工程とを備える。
【0010】本発明による製造方法において、ケイ素系
有機金属ポリマーなどの有機金属ポリマーを主成分とす
る塗料、リン酸アルミニウムを主成分とする塗料などを
線材に塗布することができる。撚線を構成すべき線材の
長手方向に垂直な断面の形状は、円形であるかまたは略
回転対称の多角形であることが好ましい。本発明の製造
方法において、塗料を塗布する前に、線材に塑性加工を
施して内部の酸化物超電導材料をより緻密にすることが
好ましい。また、本発明による製造方法において、線材
を撚り合わせた後、得られた撚線を、たとえばその断面
が扇形になるよう成形することができる。また、線材を
撚り合わせた後、得られた撚線を平角状に成形すること
もできる。次いで、成形された撚線を酸化物超電導材料
の焼結に必要な温度まで加熱する。このように成形を行
なった後焼結を行なうことで、成形時による影響を減殺
し、高い臨界電流および臨界電流密度を示す成形撚線が
得られる。成形された撚線は、よりコンパクトなケーブ
ル導体を構成するために有用である。
【0011】本発明は、上述した製造方法によって得ら
れた撚線を複数本円筒状または螺旋状のフォーマーに巻
付ける工程を備える、超電導ケーブル導体の製造方法を
提供する。
【0012】本発明により、酸化物超電導撚線の製造に
用いることができる被覆線材が提供される。この被覆線
材は、酸化物超電導材料からなるフィラメント部と、フ
ィラメント部を覆いかつ銀または銀合金からなるマトリ
ックスと、マトリックスの表面を覆いかつ酸化物超電導
材料の焼結に必要な温度以下の温度で熱分解して電気絶
縁性のセラミックスを生成させる化合物または窒化ホウ
素を主成分とする塗料を200℃〜800℃の温度で焼
き付けることにより生成したコーティング層とを備え
る。
【0013】本発明による被覆線材において、コーティ
ング層は、ケイ素系有機金属ポリマー等の有機金属ポリ
マーを200℃〜800℃の温度で焼き付けてなる材料
から構成することができる。またコーティング層は、リ
ン酸アルミニウムを500℃〜800℃の温度で焼き付
けてなる材料から構成することができる。
【0014】本発明により、上述した被覆線材を複数本
撚り合わせかつ酸化物超電導材料を焼結するために必要
な熱処理を施してなる酸化物超電導撚線を提供すること
ができる。また本発明により、上述した被覆線材を複数
本撚り合わせ、得られた撚線をその断面が扇形になるよ
う成形するかまたは平角状に成形し、かつ酸化物超電導
材料を焼結するために必要な熱処理を施してなる酸化物
超電導撚線を提供することができる。さらに、本発明に
より、このような酸化物超電導撚線を複数本円筒状また
は螺旋状のフォーマーに巻付けてなる酸化物超電導ケー
ブル導体を提供することができる。
【0015】本発明により、酸化物超電導材料とそれを
覆いかつ銀または銀合金からなるマトリックスとからな
る線材を用いて撚線を製造する別の方法が提供される。
この方法は、酸化物超電導材料の焼結に必要な温度以下
の温度で酸化することにより電気絶縁性の酸化物を生成
する非磁性金属を線材のマトリックス表面にめっきする
工程と、非磁性金属がめっきされた線材を複数本調製す
る工程と、得られた複数本の線材を撚り合わせる工程
と、得られた撚線上の非磁性金属を酸化する工程と、得
られた撚線を酸化物超電導材料の焼結に必要な温度まで
加熱する工程とを備える。
【0016】この製造方法において、非磁性金属には
銅、錫、鉛等を用いることができる。撚線のための素線
の長手方向に垂直な断面の形状は、円形または略回転対
称の多角形であることが好ましい。この製造方法におい
ても、めっき工程の前に線材に塑性加工を施し、酸化物
超電導材料をより緻密にすることが好ましい。また、撚
線工程の後、焼結工程の前に、得られた撚線を、その断
面が扇形になるよう成形してもよいし、平角状に成形し
てもよい。
【0017】本発明により、上述した製造方法によって
得られた撚線を複数本円筒状または螺旋状のフォーマー
に巻付ける工程を備える酸化物超電導ケーブル導体の製
造方法が提供される。
【0018】さらに本発明により、上述した酸化物超電
導撚線の製造方法に用いることができる被覆線材が提供
される。この被覆線材は、酸化物超電導材料からなるフ
ィラメント部と、フィラメント部を覆いかつ銀または銀
合金からなるマトリックスと、マトリックスの表面を覆
いかつ酸化物超電導材料の焼結に必要な温度以下の温度
で酸化することにより電気絶縁性の酸化物を生成する非
磁性金属からなるめっき層とを備える。被覆線材におい
て、非磁性金属には銅、錫、鉛等を用いることができ
る。線材の長手方向に垂直な断面の形状は、円形または
略回転対称の多角形が好ましい。
【0019】本発明により、上述した被覆線材を複数本
撚り合わせ、めっき層を酸化しかつ酸化物超電導材料を
焼結するために必要な温度まで加熱してなる酸化物超電
導撚線が提供される。この撚線では、撚り合わせた線材
同士が非磁性金属の酸化物によって電気的に絶縁されて
いる。また本発明により、上述した被覆線材を複数本撚
り合わせ、得られた撚線をその断面が扇形になるよう成
形するかまたは平角状に成形し、めっき層を酸化しかつ
焼結してなる酸化物超電導撚線を提供することができ
る。この撚線においても、撚り合わせた線材同士が非磁
性金属の酸化物によって電気的に絶縁されている。本発
明により、このような撚線を複数本円筒状または螺旋状
のフォーマーに巻付けてなる超電導ケーブル導体が提供
される。
【0020】上述してきた酸化物超電導ケーブル導体に
おいて、複数本の撚線は、複数層でフォーマー上に螺旋
状に巻付けることができる。複数層におけるm層目(m
は1以上の整数)の撚線の螺旋巻ピッチPmと、複数層
におけるn層目(nは2以上の整数で、m<n)の撚線
の螺旋巻ピッチPnとの間には、Pn≦Pmの関係が成
立することが好ましい。複数層の層数は、設計の自由度
の観点から、2がより好ましい。
【0021】本発明による酸化物超電導ケーブル導体に
おいて、酸化物超電導材料からなる複数のフィラメント
の断面は、アスペクト比2以上の略矩形または略楕円形
とすることができる。この場合、フォーマー上の撚線に
おいて、フィラメント断面の長軸がフォーマーの周方向
に揃っていることが好ましい。
【0022】本発明による酸化物超電導ケーブル導体
は、撚線が右巻に巻かれた層と、撚線が左巻に巻かれた
層とを有することができる。右巻の層の数と左巻の層の
数とは等しいことが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】酸化物超電導体、たとえばビスマ
ス系2223相酸化物超電導体が銀または銀合金等の安
定化金属で被覆された線材の製造において、たとえば約
850℃の高温において焼結が行なわれる。焼結体を有
する線材は、相対的に曲げ歪みに弱く、たとえば0.3
%を越えるような曲げ歪みにおいて臨界電流の劣化を生
じ得る。したがって、焼結工程を経て得られた複数の線
材を撚り合わせると、曲げ歪みによって焼結体の破壊が
起こり、それぞれの線材において臨界電流等の特性が劣
化することがある。本発明者は、撚線工程の後に焼結の
ための熱処理を行なうことで、撚線においても優れた超
電導特性を示す酸化物超電導体の焼結組織を得ようとし
た。
【0024】撚線の後焼結を行なう方法を採用した場
合、エナメルなどの従来用いられてきた有機化合物は5
00℃程度で分解してしまうため使用することができな
かった。本発明者は、酸化物超電導体の焼結温度に耐
え、線材に対する密着性および強度に優れる絶縁材料を
見い出すべく、研究を行なった。その結果、ケイ素系有
機金属ポリマー等の有機金属ポリマー、リン酸アルミニ
ウムなどの酸化物超電導材料の焼結に必要な温度以下で
熱分解して電気絶縁性のセラミックスを生成させる化合
物、または窒化ホウ素が、耐熱性、密着性および強度に
優れた絶縁コーティングをもたらし得ることを見い出し
た。これらの材料は、適当な形態で密着性に優れた塗膜
を線材の表面に形成することができ、熱処理中に徐々に
セラミックを生成し、緻密化していくという特性を有す
る。これらの材料を用いれば、撚線時に剥がれにくくか
つ強度に優れたコーティング層を形成することができ
る。
【0025】本発明による製造方法では、酸化物超電導
材料の焼結に必要な温度以下の温度で熱分解して電気絶
縁性のセラミックスを生成させる化合物または窒化ホウ
素を主成分として含有する塗料を線材のマトリックス表
面に塗布する。この塗料は、該主成分の他に、密着性の
よい電気絶縁性セラミックス被膜の形成を妨げない範囲
で、セラミックス粉末、無機系着色顔料、充填材、塗料
用分散剤、溶剤等を含有してもよい。塗料における主成
分の含有量は、特に限定されるものでなく、形成すべき
コーティング層の材質、厚み等に応じて、適切な粘度の
塗料が得られるよう調製される。
【0026】本発明において、ケイ素系有機金属ポリマ
ー等の有機金属ポリマーは、耐熱性、密着性および強度
に優れた絶縁コーティング層を生成させることができ
る。有機金属ポリマーとは、炭素−金属結合を有する化
合物のポリマーを指す。本発明において好ましい有機金
属ポリマーとして、ケイ素系有機金属ポリマーが挙げら
れる。ケイ素系有機金属ポリマーは、炭素−ケイ素結合
を有する化合物のポリマーであり、有機基を持つケイ素
が酸素と交互に結合した結合を骨格に有するシリコーン
樹脂またはシリコーンポリマー、ポリカルボシラン骨格
(−(Si−C) n −)の主鎖がチタン有機化合物によ
って架橋された網目状の有機ケイ素ポリマーであるチラ
ノポリマー(ポリチタノカルボシラン)等を含む。シリ
コーンポリマー、チラノポリマー等を主成分とする塗料
を線材に塗布した後、200℃〜800℃の温度で塗料
を焼き付けることができる。焼き付け工程によって形成
された塗膜は、焼き付け温度によって種々の組成を有し
得る。たとえば、相対的に低い温度で焼き付けを行なう
ことにより、シリコーンポリマー、チラノポリマー等の
有機金属ポリマーがそのまま残存した塗膜を形成するこ
とができる。一方、焼き付け温度が高くなると、有機金
属ポリマーは熱分解される。有機金属ポリマーの一部が
熱分解した塗膜を形成してもよい。また、より高い温度
で焼き付けを行なうことにより、有機金属ポリマーが完
全に熱分解してセラミックス、特に非晶質のセラミック
スとなった塗膜を形成してもよい。いずれの場合にせ
よ、残存した有機金属ポリマーまたはセラミックスに至
る前の有機金属ポリマーの熱分解物は、酸化物超電導材
料の焼結に必要な温度において、電気絶縁性のセラミッ
クス、特に非晶質のセラミックスに変換することができ
る。本発明において、たとえば、1〜200μmの塗膜
を形成することができる。塗料の焼き付け工程後に得ら
れる線材は、上述したようにシリコーンポリマー、チラ
ノポリマー等の有機金属ポリマーがたとえば200℃〜
800℃の温度で線材の表面に焼き付けられてなるコー
ティング層を有する。コーティング層の組成は上述した
ように温度によって異なるが、いずれにしても、900
℃程度の温度においても線材のマトリックス表面から剥
がれることなく、電気絶縁性を保持することができる。
また、単にSiO2 粒子、Al2 3 粒子等を分散剤中
に分散させた塗料からセラミックスコーティングを形成
した線材と比較して、本発明による線材は、室温での曲
げ歪によるセラミックスコーティングの割れおよび剥離
が少なく、かつコーティングの密着性および付着安定性
に優れている。本発明の製造方法において、有機金属ポ
リマーは最終的に電気絶縁性のセラミックス、特に非晶
質のセラミックスにされるが、このセラミックス化は、
塗料の焼き付け工程において完了させてもよいし、塗膜
を有する線材を撚り合わせた後の焼結工程において完了
させてもよい。シリコーンポリマー、シリコーン樹脂を
熱分解してセラミックスにした場合、ケイ素および酸素
からなり、シロキサン結合が残存したセラミックスを得
ることができる。一方チラノポリマーを熱分解してセラ
ミックスを得る場合、ケイ素、炭素、酸素およびチタン
からなる非晶質セラミックスを得ることができる。チラ
ノポリマーからのセラミックス中には、カルボシラン結
合および微量のシロキサン結合が残存し得る。シリコー
ンポリマー(シリコーン樹脂)またはチラノポリマーを
主成分とする塗料は、市販品として入手することができ
る。
【0027】また本発明において、リン酸アルミニウ
ム、特に第一リン酸アルミニウム(Al(H2 PO4
3 )を主成分とする塗料を用いることもできる。この塗
料は、リン酸アルミニウムの水溶液を含有し、その他に
顔料、分散剤等を含有することができる。この塗料を線
材に塗布し、500℃〜800℃の温度で焼き付けるこ
とにより、脱水反応を含む熱分解反応を起こし、電気絶
縁性のセラミックス膜を生成させることができる。焼き
付けにより生成させる塗膜の厚みは、たとえば1〜20
0μmとすることができる。
【0028】また本発明において、窒化ホウ素(BN)
を主成分とする塗料を用いることもできる。この塗料
は、窒化ホウ素粉末および塗料用分散剤の他に、無機質
のバインダを含有することができる。窒化ホウ素粉末の
平均粒径は、0.1〜2μm好ましくは0.1〜1μm
とすることができる。分散剤としては、水、キシレン等
を用いることができる。バインダとしては、シリコーン
樹脂等を用いることができる。この塗料を300〜90
0℃の温度において焼き付けることにより、窒化ホウ素
およびバインダによって構成される電気絶縁性のセラミ
ックス膜を形成することができる。この膜は、密着性お
よび強度に優れ、約1000℃の温度にも耐え得る。
【0029】一方、本発明において、上述したような塗
料によるコーティング層を形成する代わりに、非磁性金
属のめっき層を形成してもよい。このめっき層は、可撓
性および密着性に優れている。Ni、Crなどの磁性体
は、大きなヒステリシス損失をもたらすので、交流用ケ
ーブルには適さない。したがって、銅、錫、鉛等の非磁
性金属を線材にめっきすることが好ましい。めっきは、
ピロリン酸銅浴、非磁性金属のホウフッ化塩浴などを用
いる電気めっき等により施すことができる。めっき層の
厚みは、たとえば0.5〜5μmとすることができる。
本発明では、このめっき層を酸化して、電気絶縁性の酸
化被膜を形成する。非磁性金属として銅を用いる場合、
銅めっきを施した線材を撚り合わせた後、酸化物超電導
体を焼結する熱処理を行なう過程で、銅めっき層の表面
または全体を酸化銅に変えることができる。酸化銅の層
は、好ましい電気絶縁層として機能する。
【0030】上述したように塗膜が形成された複数の線
材または非磁性金属めっき層が形成された複数の線材
は、撚線を形成するため撚り合わせる。得られた撚線
は、酸化物超電導体を焼結するための熱処理に供され
る。焼結のための熱処理は、たとえば、800℃〜90
0℃の温度、好ましくは840℃〜850℃の温度で行
なわれる。このように撚線を形成した後焼結を行なうこ
とで、撚線時の歪みによる影響を減殺し、高い臨界電流
および臨界電流密度を示す撚線が得られる。
【0031】また、ビスマス系酸化物超電導材料、特に
ビスマス系2223相酸化物超電導材料を用いる線材
は、塑性加工および熱処理を複数回繰返すと、フィラメ
ントの緻密化が起こり、線材の臨界電流密度を増加させ
ることができる。したがって、フィラメントの緻密化の
ために塑性加工を線材に施した後、最終熱処理の前に塗
料の塗布または非磁性金属のめっきを施すことが好まし
い。次いで、撚線工程の後、焼結のための最終的な熱処
理を行なうことで、さらに高い臨界電流密度を有しかつ
素線同士が電気的に絶縁された酸化物超電導撚線を得る
ことができる。
【0032】また、得られた撚線を、平角、扇形などの
形状に成形することで、パッキングファクタを大きくす
ることができ、よりコンパクトにすることができる。
【0033】さらに、撚線工程を繰返して二次以上の高
次撚線を得ることができる。これにより、より電流容量
の大きな撚線を得ることができる。また、撚り本数が増
えるほど、転位の効果が大きくなり、交流損失を大きく
低減することができる。その際、素線径は約1mmφ以
下、好ましくは0.5mmφ以下とすることが、コンパ
クトでかつ低損失な撚線を得る上で有利である。また本
発明によれば、撚線工程の後に焼結を行なうことができ
るため、撚りピッチを短くして、交流損失をさらに低減
することができる。
【0034】このようにして作製した超電導撚線を、円
筒状または螺旋状のフォーマーと呼ばれる芯材に複数本
集合して超電導ケーブル導体を製造することができる。
フォーマーは、たとえば銅、ステンレス、アルミニウ
ム、FRP(繊維強化プラスチック)等から形成でき
る。複数本の撚線は、1層または2層以上で、フォーマ
ー上に螺旋状に巻付けることができる。たとえば、円筒
形または螺旋形のフォーマーに、複数の撚線を1層で巻
付けた構造により、素線が完全に転位された超電導ケー
ブル導体を得ることができる。このような構造により、
交流電流を通電したときに発生する自己磁界損失は低減
される。また、超電導撚線をフォーマーにスパイラル状
に巻付けることは、良好な可撓性を有するケーブル導体
を得るという点からも望ましい。
【0035】得られたケーブル導体の端末部は、常電導
性の電流リードや他の超電導ケーブル導体に接続される
ため、次に示すような条件を満たす端末部を形成するこ
とができる。
【0036】(a) 端末部の絶縁材料が除去されてい
ること。 (b) 端末部の長さは、撚線の撚りピッチよりも長い
こと。好ましくは、端末部は撚りピッチの2倍以上であ
る。すなわち、端末部においても線材は撚られている状
態である。
【0037】(c) 端末部の接続抵抗は、導体部のイ
ンピーダンスに比べて小さいこと。数十m級以上の長尺
の導体の場合、相対的に端末部の影響は小さくなるが、
特に数m級以下の短尺の導体においては端末部の影響は
大きい。端末部での電流の乗移りが不均等になり交流損
失低減の効果が小さくなることを防止するため、上述し
た条件で端末部の処理を行なうことが必要である。
【0038】1層導体では、転位によりすべての素線の
位置を電磁気的にほぼ等価にすることができる。この場
合、導体内の電流分布が均一になり、偏流による交流損
失の増大を防ぐことができる。また、撚線を芯材上に螺
旋状に巻く場合、撚線を2層として、1層目と2層目の
巻く方向を逆にすることは、導体の長手方向の磁場成分
を相殺するため有効である。撚線を2層以上有する導体
の場合、層間のインピーダンスの違いによる、層間の偏
流とそれに伴なう交流損失の増大を防ぐか、または最小
限に抑えることが望ましい。
【0039】本発明において用いられる酸化物超電導体
には、ビスマス系酸化物超電導体、タリウム系酸化物超
電導体、水銀系酸化物超電導体、イットリウム系酸化物
超電導体等がある。特に、(Bi,Pb)2 Sr2 Ca
2 Cu3 10-X、Bi2 Sr 2 Ca2 Cu3 10-X等の
ビスマス系2223相酸化物超電導体を用いることが好
ましい。酸化物超電導体のための安定化マトリックスと
して、銀または銀合金が用いられる。銀合金としては、
Ag−Au合金、Ag−Mn合金、Ag−Al合金、A
g−Sb合金、Ag−Ti合金等を挙げることができ
る。ビスマス系酸化物超電導体の焼結体を生成させる場
合、熱処理は700℃〜900℃の範囲の温度で行なわ
れることが好ましく、特に撚線後の最終的な熱処理で
は、840℃〜850℃の温度が所定の時間保持される
ことが望ましい。焼結体を生成させるための熱処理は、
大気雰囲気等の酸化性雰囲気下で行なうことができる。
【0040】本発明に従って、複数本の撚線をフォーマ
ー上に多層に巻付けて、大容量の導体を得ることができ
る。図6に示すように、フォーマー60上に所定のピッ
チPで撚線62を螺旋状に巻付けて大容量の導体を構成
することができる。複数本の撚線を2層またはそれ以上
の層でフォーマー上に巻付けて、多層構造の導体が得ら
れる。たとえば、図7は、4層構造の導体を示してい
る。超電導ケーブル導体70において、円筒形のフォー
マー80上には、平角撚線90が4層で螺旋状に巻付け
られている。第1層71は、右巻であり、第2層72は
左巻、第3層73は右巻、第4層74は左巻である。本
発明では、このように巻方向を交互に変えることができ
るが、巻方向はそれに限定されるものではない。たとえ
ば、すべての層が同方向で巻かれていてもよいし、複数
の層毎に巻方向が変わっていてもよい。また、本発明に
おいて、層数は、その用途、規格等に応じて、任意の数
とすることができる。
【0041】本発明に従って撚線を螺旋状に複数の層で
フォーマー上に巻付けたケーブル導体において、フォー
マーから外側の層にいくほど撚線の螺旋ピッチが小さく
なることが好ましい。すなわち、m層目(mは1以上の
整数)の螺旋ピッチPmと、n層目(nは2以上の整数
で、m<n)の螺旋ピッチPnとの間に、Pn≦Pmの
関係が成立することが好ましい。そのような構造によっ
て、層間のインピーダンスの差を小さくすることができ
る。その結果、層内の偏流だけでなく、層間の偏流も抑
制することができ、大容量でかつ低損失のケーブル導体
が実現できる。
【0042】また、多層構造の導体において、右巻の層
の数と、左巻の層の数とを一致させることにより、導体
中に発生する軸方向の磁界を、すべての層で撚線を同方
向に巻くよりも、低減することができる。このような構
造は導体のインピーダンスを小さくすることができる。
また、後述するような種々の解析により、層数を増加さ
せるに従って、電流の均一化を行なうために選択できる
ピッチの範囲が限定されてくることがわかった。層数が
2の場合、電流の均一化のために必要なピッチ、導体の
構造についてバリエーションは広く、フレキシブルな設
計が可能であり、電流の均一化が最も容易であることが
わかった。
【0043】酸化物超電導体は高い異方性を有している
ため、大きな臨界電流密度を得るには、撚線の超電導フ
ィラメントにおいて超電導体結晶の板状組織が配向して
いることが好ましい。本発明においても、酸化物超電導
体からなる超電導フィラメントの断面の形が、アスペク
ト比2以上の略矩形または略楕円形であることが好まし
い。矩形の場合、アスペクト比は短辺に対する長辺の比
とすることができ、楕円形の場合、アスペクト比は、短
軸に対する長軸の比とすることができる。図8に、安定
化マトリックス中に埋込まれた超電導フィラメントの具
体例を示している。図8(a)に示すように、撚線の安
定化マトリックス83中に埋込まれた超電導フィラメン
ト81の断面は、略矩形である。フィラメント81のア
スペクト比は、w/tとして求めることができる。図8
(b)に示すように、撚線の安定化マトリックス83中
に埋込まれた超電導フィラメント82の断面は、略楕円
形である。フィラメント82のアスペクト比は、b/a
として求めることができる。長手方向に垂直な断面がこ
のような矩形または楕円形の超電導フィラメントは、た
とえば、撚線のための素線を製造するプロセスにおける
圧延加工等の塑性加工、または撚線の平角成形加工等に
よって得ることができる。このような加工の際の圧縮力
によって板状の超電導組織を配向させることができる。
【0044】略矩形または略楕円形の超電導フィラメン
トは、磁場に対して高い異方性を有する。たとえば図8
に示すような矢印の方向、すなわち超電導フィラメント
断面の長軸に平行な方向に、磁場が印加される場合、比
較的良好な臨界電流密度(Jc)−磁界(B)特性が得
られる。この性質を、超電導ケーブル導体に生かすこと
ができる。フォーマー上に線材を集合させた構造を有す
る超電導ケーブル導体において、通電時に発生する磁界
の成分は、周方向のものが主である。そこで、超電導フ
ィラメント断面が矩形または楕円形である場合、フィラ
メント断面の長軸が、周方向(フォーマーの周方向)に
略平行に揃っていることが好ましい。フォーマー上に巻
付けられる撚線において、すべてのフィラメント断面の
長軸が周方向に揃っていることが好ましいが、たとえ
ば、撚線におけるすべてのフィラメントのうち、主要な
(たとえば半分以上の)フィラメントの断面の長軸が周
方向に揃っておれば、好ましい臨界電流密度−磁界特性
が得られる。撚線においてフィラメント断面の長軸が揃
っている場合と、揃っていない場合とをそれぞれ図9お
よび図10に示す。図9に示すように、フォーマー10
0上に巻付けられた撚線102において、複数の素線間
で、複数のフィラメント断面104の長軸は、フォーマ
ー100の周方向(矢印の方向)に略平行に揃ってい
る。一方、図10に示されるフォーマー100上に巻か
れた撚線112においては、複数のフィラメント断面1
14の長軸の方向は、素線間で異なる方向を向いてい
る。このようにフィラメントの方向が揃った撚線は、撚
り時の素線にかかる後方張力の調整と撚り返し率の調
整、撚線成形時の圧縮力の制御等によってもたらすこと
ができる。撚り返し率の調整においては、素線サプライ
ボビンの回転数の制御、たとえば1ピッチ巻付ける際に
ボビンを1回転させる撚り返しの調整によって、素線の
方向を揃え、それによってフィラメントの方向を揃える
ことができる。また、たとえば撚線を適当な圧縮力で平
角成形することによって、内部のフィラメント断面の長
軸が圧縮力の方向に対してほぼ垂直に向いた撚線を得る
ことができる。
【0045】本発明において、たとえばパウダー・イン
・チューブ法を用いて製造した線材を用いることができ
る。本発明に従って撚線を得るためには、特に断面形状
が円形または略回転対称の多角形である線材(素線)を
用いることが好ましい。略回転対称の多角形は、略正多
角形が好ましく、さらに六角形以上の略正多角形が好ま
しい。そのような断面を有する線材において、酸化物超
電導材料からなるフィラメントの形状は、線材の長手方
向に延びるリボン形状であることがより好ましい。たと
えば、酸化物超電導材料からなりリボン形状で線材の長
手方向に延びる複数のフィラメント部と、複数のフィラ
メント部を覆う安定化マトリックスとを備える線材を好
ましく用いることができる。この線材において、リボン
形状のフィラメントのアスペクト比、すなわちフィラメ
ントの厚みに対する幅の比は、4〜40の範囲、好まし
くは4〜20の範囲、より好ましくは5〜20の範囲と
することができる。このようなアスペクト比のフィラメ
ントを形成することにより、結晶粒のc軸を十分に配向
させ、高い臨界電流密度を有する線材をもたらすことが
できる。また、フィラメントの厚みは1μm〜50μm
の範囲、好ましくは1μm〜10μmの範囲とすること
ができる。4〜40のアスペクト比および5〜50μm
の厚みを有するフィラメントにおいて、超電導相を構成
する結晶粒のc軸を、線材の長手方向と略垂直に配向さ
せることができる。このような範囲の数値を有するフィ
ラメントは、断面が円形または略回転対称である多角形
の線材においても、十分な密度を有し、高い臨界電流密
度を有することができる。なお、回転対称の多角形に対
し、対称軸についての回転角度が90°以下のものすな
わち4回軸以上のものがより好ましい。断面が円形また
は多角形であり、リボン形状のフィラメントを有する線
材は、たとえば次のようにしてパウダー・イン・チュー
ブ法を用いて製造することができる。まず、超電導体を
構成する元素の酸化物または炭酸塩の粉末を所定の配合
比で混合し、焼結した後、得られる焼結物を粉砕する。
焼結および粉砕は複数回行なうことが好ましい。得られ
た粉末を、銀または銀合金からなるチューブに充填す
る。粉末が充填されたチューブには、塑性加工が施され
る。塑性加工には、伸線加工、圧延加工、プレス加工等
が用いられる。粉末が充填されたチューブに、たとえば
伸線加工および圧延加工を施し、テープ状線材を得る。
得られたテープ状線材において、原料粉末からなる部分
は、4〜40、好ましくは4〜20のアスペクト比を有
するリボン形状である。テープ状線材は、単芯、多芯の
いずれでもよい。得られたテープ状線材は、通常、切断
され、複数本の線材とされる。得られた複数のテープ状
線材を、次いで銀または銀合金からなるチューブに充填
する。充填では、たとえば、断面形状が正多角形である
角柱体の安定化材を準備し、その側面にテープ状線材を
積み重ね、それらをチューブに充填することができる。
テープ状線材は、角柱体の安定化材の各側面に1層また
は2層以上積み重ねることができる。また、安定化材か
らなるシートを準備し、その上にテープ状線材を複数本
平行に配置し、それらを円柱体の安定化材に巻付け、シ
ートとともに円柱体の安定化材に巻付けられたテープ状
線材を円筒形のチューブに充填することもできる。さら
に、複数のテープ状線材を積層した集合体をまずチュー
ブに充填し、次いで、隙間に集合体とは異なる方向にさ
らにテープ状線材を充填し、高い充填密度でチューブに
線材を充填することもできる。テープ状線材が充填され
たチューブに、塑性加工を施し、断面が略円形または略
回転対称である多角形の線材を得る。塑性加工には、主
として伸線加工を用いることができる。また伸線加工に
は、駆動式ロールダイスを用いることができる。得られ
た線材は、本発明に従って塗料の塗布工程または非磁性
金属のめっき工程に供することができる。一方、得られ
た線材に超電導材料の緻密化のための塑性加工を施す
か、焼結のための熱処理および緻密化のための塑性加工
を施した後、塗料の塗布工程または非磁性金属のめっき
工程に供してもよい。以下、実施例により本発明をより
詳細に説明する。
【0046】
【実施例】
実施例1 Bi2 3 、PbO、SrCO3 、CaCO3 およびC
uOの粉末を、Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.
8:0.4:2:2:3の組成比となるよう混合した。
得られた混合物に対し、仮焼結のための熱処理および粉
砕を3回繰返し、酸化物超電導体の前駆体である粉末を
得た。得られた粉末を、外径15mm、内径13mmの
銀パイプに充填した。粉末が充填された銀パイプを、
1.02mmφまで伸線し、次いで0.2mmの厚さま
で圧延して、テープ線材を得た。得られたテープ状線材
を外径12mm、内径10mmの銀パイプに、図1に示
すような配置で充填した。図1に示すように、銀パイプ
1内には、中央部に単芯のテープ線2が15枚重ねて充
填され、その両側に、それぞれ単芯のテープ線2が3枚
ずつ重ねて充填されている。両側のテープ線2は、中央
のテープ線2に対してほぼ垂直に配置される。このよう
にして21本のテープ線を充填した銀パイプを、伸線加
工して直径が1.15mmφの丸線を得た。得られた丸
線を850℃で焼結した後、伸線して直径1.02mm
φの丸線を得た。
【0047】得られた丸線に、図2に示すような装置に
より塗膜を付与した。図2に示す塗膜形成ライン10に
おいて、丸線11はサプライリール12から供給され、
ローラ13を経てローラ14が設けられた塗料槽15に
送られる。ローラ14上において槽15内に収容される
塗料が塗布された線材は、予備乾燥炉16に送られ、乾
燥される。乾燥炉16において塗料が乾燥された後、丸
線は焼き付け炉17に送られ、ここで塗料が焼き付けら
れる。焼き付け炉17を出た丸線はローラ18を経てリ
ール19に巻き取られる。シリコーン樹脂を主成分とす
る市販の溶液タイプのシリコーンワニスおよびチラノポ
リマーを主成分とする市販の耐熱塗料をそれぞれ塗料槽
15に収容し、図2に示すラインにおいてそれぞれの塗
料を丸線に塗布し、乾燥、焼き付けを行なった。乾燥は
100℃程度の温度で行ない、焼き付けは約680℃の
温度で行なった。丸線の送り速度は3m/分であり、丸
線の各部分は、それぞれ5秒程度の時間で乾燥炉および
焼き付け炉を通過した。塗膜が形成された線材を適当な
長さに切断し、得られた線材を3本撚り合わせて、85
0℃で50時間焼結した。焼結の後得られた撚線におい
て、素線間の電気抵抗を測定したところ、いずれの塗料
を用いた場合も、約800kΩの抵抗値が得られた。
【0048】実施例2 第一リン酸アルミニウムの水溶液に白色顔料およびその
分散剤が添加された市販の塗料を、実施例1で得られた
線材を切り出して得た短い丸線のサンプルに塗布し、1
00℃で10分間乾燥した後、700℃で10分間の熱
処理を行なった。塗料を塗布した直後の白色のコーティ
ングは、700℃の熱処理により淡黄色に変わり、丸線
に密着するコーティング層が得られた。700℃の熱処
理により得られた丸線を10mmφの曲率で曲げても、
コーティング層は剥離しなかった。さらに700℃、1
0分の熱処理を行なった後、ほぼセラミック化したコー
ティング層を有する丸線を3本撚り合わせて、850℃
で50時間の焼結を行なった。その後、素線間の電気抵
抗を測定したところ、3MΩの抵抗値が得られた。
【0049】実施例3 実施例1と同様にして、直径1.02mmφの丸線に、
シリコーン樹脂を主成分とする溶液タイプの市販のシリ
コーンワニスを塗布し、同様のラインにおいて焼き付け
を行なった。なお、用いた1.02mmφの丸線は、塗
料を塗布せずに850℃の温度で熱処理すると、3Aの
臨界電流(Ic)を示すものであった。塗膜を形成した
線材を適当な長さに切断し、まず、銀からなる丸線の周
りに塗膜を形成した丸線を6本撚り合わせて1次撚線を
作製した。次いで、得られた1次撚線を4本撚り合わせ
て2次撚線を作製した。
【0050】得られた2次撚線の端末部において絶縁コ
ーティング層を除去した後、端末部を再び撚り、840
℃、50時間の熱処理を行なった。得られた撚線の諸元
は表1に示すとおりである。
【0051】
【表1】
【0052】得られた撚線27本を銅パイプ上に集合し
てケーブル導体を作製した。ケーブル導体における撚線
の螺旋ピッチは500mmであった。絶縁コーティング
層が剥がされた導体端末部の長さは2次撚線のピッチと
同じ100mmであった。得られたケーブル導体の断面
構造を図3に示す。ケーブル用導体30において、円筒
状の銅パイプ31上には、1層で2次撚線32が27本
配置されている。2次撚線32は、1次撚線33が4本
撚り合わされたものである。1次撚線33は、中心にA
g丸線35を配置し、その周りに塗膜が形成された丸線
34を6本撚り合わせたものである。得られたケーブル
導体の臨界電流は1500Aであった。得られた転位型
ケーブル導体について交流損失を測定した。比較のた
め、実施例1で得られた1.02mmφの丸線を塗料を
塗布せずに850℃で50時間熱処理し、3Aの臨界電
流を有する素線を形成し、得られた素線を648本円筒
状の銅パイプの周りに10層で配置したケーブル導体を
作製した。層間はマイラーテープで絶縁した。その結
果、図3に示すような構造の1〜2kA級ケーブル導体
の交流損失は、臨界電流以下の領域において比較のため
作製されたケーブル導体の約1/10であった。
【0053】実施例4 表2に示すような諸元の2次撚線を作製した。実施例1
で作製された直径1.02mmφの丸線を使用した。実
施例1と同様にして、シリコーン樹脂を主成分とする市
販のシリコーンワニスを塗布し、乾燥、焼き付けした
後、塗膜が形成された丸線を得た。塗膜が形成された6
本の丸線を、1本の銀線の周りに所定のピッチで撚り合
わせて1次撚線を作製した。次いで得られた1次撚線
を、所定のピッチで4本撚り合わせ2次撚線を得た。表
2に示すように、撚りピッチの異なる2種類の撚線N
o.1およびNo.2を作製した。また、直径1.02
mmφの丸線に塗料を塗布せずに同様にして2次撚線を
作製した。すなわち、1本の銀線の周りに塗膜のない6
本の素線を撚り合わせて1次撚線を作製し、得られた1
次撚線を4本撚り合わせて2次撚線を作製した。得られ
た2次撚線を、表2においてNo.3として示してい
る。それぞれ得られたNo.1〜No.3の2次撚線に
ついて端末部の処理をした後、840℃、50時間、熱
処理した。得られたNo.1、No.2およびNo.3
の2次撚線を、図4に示すように銅パイプ41の周りに
12本、それぞれをまっすぐにして並べて1層で配置
し、1mの長さのケーブル導体を作製した。さらに比較
のため、直径1.02mmφの丸線を塗料を塗布せずに
850℃、50時間焼結した後、得られた素線を288
本4層で銅パイプの周りに配置した1mの長さのケーブ
ル導体を作製した。得られた4種類の導体の臨界電流は
いずれも300Aであり、導体の内径は19mmφであ
り、外径は27mmφであった。得られた4種類の導体
について交流損失を測定した。交流損失は51Hzにお
いて通電4端子法により測定した。導体の端末部は10
cmの長さ分はんだ付けした。得られた交流損失を併せ
て表2に示す。表2に示すように、撚線により交流損失
を低減できることが明らかである。また、素線間の絶縁
を行なうことにより損失は顕著に低減している。なお、
交流損失の低減効果を得るため、絶縁コーティングが剥
がされた端末部の長さは、撚線のピッチよりも長いこと
が重要であった。
【0054】
【表2】
【0055】実施例5 実施例1で得られた丸線と同様の丸線を、0.8mmφ
まで伸線した後に、850℃、50時間の熱処理を行な
い、次いで、0.7mmφまでダイス1パスの伸線を行
なった。得られた線材に、シリコーン樹脂からなる塗料
を塗布し、120℃で乾燥した後、680℃で焼き付け
を行なった。塗膜を形成した線材を3本撚り合わせて撚
線を作製した。得られた1次撚線を4本撚り合わせた2
次撚線を形成し、さらに得られた2次撚線を4本撚り合
わせて3次撚線を形成した。3次撚りを行なう際に、成
型ロールを通すことによって3次撚線の断面を扇形に成
型した。成型された3次撚線に対し、840℃、50時
間の焼結を行なった。得られた成型3次撚線を12本、
外径19mmφ、内径18mmφの銅パイプ上に配置し
てケーブル導体を得た。得られたケーブル導体の構成を
図5に示す。銅パイプ51上には、断面が扇形に成形さ
れた3次撚線52が12本、円筒状に配置されている。
3次撚線52は、丸線53が3×4×4本撚り合わされ
てなるものである。得られた導体の臨界電流(Ic)は
3100Aであった。
【0056】実施例6 実施例1と同様の工程で、φ1.15mmまで伸線加工
した未焼結の線材について、φ0.9mmまで伸線した
後、シリコーン樹脂を主成分とする溶液タイプの市販の
シリコーンワニスを塗布し、実施例1と同様の手順で焼
き付けを行なった。塗膜を形成した線材を適当な長さに
切断し、丸線6本を撚り合わせ、その直後に成形ロール
中を通過させることによって、平角形状に成形した。得
られた撚線のサイズは、幅4mm、厚さ1.5mmであ
った。得られた撚線に、850℃、50時間の熱処理を
施し、その後圧延機を用いて撚線を塑性加工し、さら
に、840℃、50時間の熱処理を行なった。得られた
撚線の臨界電流(Ic)は15Aであった。
【0057】得られた撚線の、端末部および電圧端子部
の、絶縁コーティングを除去した後、撚線の交流損失
を、交流4端子法を用いて液体窒素中で測定した。測定
の結果、通電時の交流損失は、理論式(ノリスの式)か
ら見積もられる損失量よりも小さくなることを確認し
た。この結果は、撚線によって偏流現象が抑制されたこ
とを示す。
【0058】実施例7 実施例1と同様の工程で、φ1.15mmまで伸線加工
した未焼結の線材について、φ0.9mmまで伸線した
後、シリコーン樹脂を主成分とする溶液タイプの市販の
シリコーンワニスを塗布し、実施例1と同様の手順で焼
き付けを行なった。塗膜を形成した線材を適当な長さに
切断し、丸線6本を銀線上に撚り合わせて一次撚線を作
製した。さらに、得られた一次撚線を4本撚り合わせ
て、その直後に成形ロール中を通過させることによっ
て、平角形状に成形した。得られた平角撚線のサイズ
は、幅8mm、厚さ3mmであった。得られた撚線につ
いて、850℃、50時間の熱処理を行ない、その後圧
延機を用いて塑性加工を撚線に施し、その後840℃、
50時間の熱処理を行なった。得られた撚線の臨界電流
は50Aであった。
【0059】得られた撚線の、端末部および電圧端子部
の、絶縁コーティングを除去した後、撚線の交流損失
を、交流4端子法を用いて液体窒素中で測定した。測定
の結果、通電時の交流損失は、理論式(ノリスの式)か
ら見積もられる臨界電流50Aを有する超電導体の損失
量よりも小さくなることを確認した。この結果は、撚線
によって偏流現象が抑制されたことを示す。
【0060】実施例8 実施例1と同様の工程で、丸線をφ1.02mmまで伸
線した後、850℃、50時間の熱処理を行ない、その
後φ0.9mmまで伸線加工した。次に、シリコーン樹
脂を主成分とする溶液タイプの市販のシリコーンワニス
を塗布し、実施例1と同様の手順で焼き付けを行なっ
た。塗膜を形成した線材を適当な長さに切断し、丸線6
本を撚り合わせて、その直後に成形ロール中を通過させ
ることによって、平角形状に成形した。得られた撚線の
サイズは、幅4mm、厚さ1.5mmであった。得られ
た撚線に、840℃、50時間の熱処理を施した。得ら
れた撚線の臨界電流は15Aであった。
【0061】得られた撚線の端末部および電圧端子部の
絶縁コーティングを除去した後、撚線の交流損失を、交
流4端子法を用いて液体窒素中で測定した。測定の結
果、通電時の交流損失は、理論式(ノリスの式)から見
積もられる臨界電流15Aを有する超電導体の損失量よ
りも小さくなることを確認した。この結果は、撚線によ
って偏流現象が抑制されたことを示す。
【0062】実施例9 実施例1と同様の工程で、丸線をφ1.02mmまで伸
線した後、850℃、50時間の熱処理を行なった。次
いで、φ0.9mmまで伸線加工し、得られた丸線にシ
リコーン樹脂を主成分とする溶液タイプの市販のシリコ
ーンワニスを塗布し、実施例1と同様の手順で焼き付け
を行なった。塗膜を形成した線材を適当な長さに切断
し、丸線6本を銀線上に撚り合わせて一次撚線を製作し
た。さらに、得られた一次撚線を4本撚り合わせて、そ
の直後に成形ロール中を通過させることによって、平角
状に成形した。得られた平角撚線のサイズは、幅8m
m、厚さ3mmであった。得られた撚線について、84
0℃、50時間の熱処理を行なった。得られた撚線の臨
界電流は50Aであった。
【0063】得られた撚線の端末部および電圧端子部の
絶縁コーティングを除去した後、撚線の交流損失を、交
流4端子法を用いて液体窒素中で測定した。測定の結
果、通電時の交流損失は、理論式(ノリスの式)から見
積もられる臨界電流50Aを有する超電導体の損失量よ
りも小さくなることを確認した。この結果は、撚線によ
って偏流現象が抑制されたことを示す。
【0064】本発明に従って得られる平角撚線の一例
を、図11に示す。平角撚線110は、6本の素線によ
って構成される。各素線の断面は、撚線の成形時に、平
たくつぶされている。
【0065】実施例10 実施例6〜9で製作した撚線を、フォーマー上にスパイ
ラル巻した導体について検討を行なった。直径φ18m
mの円筒状のフォーマー上へ、撚線を多層でスパイラル
巻した場合の、交流電流の分布を解析した。
【0066】解析の手順は以下のとおりである。 (1) 多層構造のケーブル導体をモデル化し、各層の
インピーダンスを導出する。
【0067】(2) 導出結果をもとに回路方程式を立
てる。 (3) 各層の電流が均等となる条件で方程式を解き、
電流の均等化に必要なピッチを求める。
【0068】まず、端末のインピーダンスが無視できる
ほど導体が十分長い場合、N層導体は、図12のように
モデル化できる。図中、Nは層の総数、nおよびmは、
それぞれフォーマーから数えた層の順序数を示す。in
およびRnは、第n層に流れる電流および抵抗成分をそ
れぞれ表わし、n=0はフォーマーに相当する。
【0069】第n層(n≠0)は、図13に示すよう
に、スパイラル巻した撚線で構成されている。巻付け角
をθnとすれば、第n層の通電電流inは、周方向の電
流成分in・sinθnと、軸方向の電流成分in・c
osθnに分解できる。このときの周方向磁場φcによ
るインダクタンスをLc(n,m)と定義し、軸方向磁
場φaによるインダクタンスをLa(n,m)と定義す
る。ここで、n=mのときは、第n層の自己インダクタ
ンスを表わし、n≠mのときは、n層−m層間の相互イ
ンダクタンスを表わす。
【0070】長さλのN層導体における第n層のインダ
クタンスLc(n,m)およびLa(n,m)は、それ
ぞれ(1)式および(2)式のように表わせる。また、
式中で用いる導体パラメータを表3にまとめる。(2)
式において、La>0は、m層とn層が同方向巻の場合
に対応し、La<0は、m層とn層が逆方向巻の場合に
対応している。
【0071】
【数1】
【0072】
【表3】
【0073】導体の各層において、撚線はピッチpn、
巻付け角θnで、複数本スパイラル巻されており、層の
厚さは導体径と比較して十分小さい。また、最外層とし
てシールド層が設けられる。
【0074】電源からの供給電流をI(I=Σin)と
し、導体の発生電圧をVとすれば、表3の諸元を有する
多層導体において、(3)式が成立する。
【0075】
【数2】
【0076】ここで以下の仮定を行なった。 (1) 超電導層の抵抗成分は十分小さい。
【0077】(2) フォーマーのインピーダンスは超
電導層のインピーダンスと比較して十分大きい。
【0078】以下、(1)および(2)を前提にして各
層の電流が均一となる条件を(3)式をもとに計算し
た。まず、(3)式をもとにして、2層導体について各
層の電流を均一にするための巻ピッチ条件を求めた。そ
の結果、1層目と2層目のピッチを同じにすると、1層
目と2層目に流れる電流を完全には均一にすることがで
きないことがわかった。次に、ピッチを調整すること
で、各層の電流を均一化することを考えた。この場合、
次に示す(4)式が成立する。
【0079】
【数3】
【0080】解析は、表4に示す諸元の導体について行
なった。
【0081】
【表4】
【0082】表4に示すNo.1の導体について計算を
行なった結果、1層目のピッチを100mm以上100
0mm以下に設定した場合には、すべての領域で2層目
のピッチを解析的に解くことができた。たとえば、1層
目のピッチを200mmにすると、電流の均一化のため
に必要な2層目のピッチは110mmとなった。また、
いずれの場合にも、電流の均一化のために必要な2層目
のピッチは、1層目よりも小さくなることがわかった。
【0083】表4に示すNo.2の導体に関して計算を
行なった結果、1層目のピッチを100mm以上100
0mm以下に設定した場合には、すべての領域で2層目
のピッチを解析的に解くことができた。たとえば1層目
のピッチを200mmとすると、電流の均一化のために
必要な2層目のピッチは100mmとなった。また、い
ずれの場合にも、電流の均一化のために必要な2層目の
ピッチは1層目よりも小さくなることがわかった。
【0084】但し、No.1の導体とNo.2の導体に
関して、インピーダンスの総和を比較すると、常にN
o.1の方がインピーダンスが小さくなる結果を得た。
これは、交互巻の場合には、軸方向の相互インダクタン
スが負になり、同方向に巻かれた場合にはそれが正の値
になることに起因している。この結果より、多層構造の
撚線導体の巻方向は、左巻の層数と左巻の層数とを等し
くさせることが有利であるという結論に至った。
【0085】表4に示すNo.3の導体に関して計算を
行なった結果、1層目のピッチを100mm以上100
0mm以下に設定した場合には、各層の電流を完全に均
一化するためのピッチは、1層目のピッチを400mm
以上と設定すると解析的に解くことができなかった。
【0086】また、表4に示すNo.4の導体に関して
は、1層目のピッチを100mm以上1000mm以下
に設定すると、すべての領域で、各層の電流を完全に均
一化するためのピッチを解析的に解くことができなかっ
た。このように、層数を増やすに従って、電流均一化の
バリエーションは狭くなっていった。最もフレキシブル
な設計が可能になるのは2層導体であることがわかっ
た。
【0087】図14に、本発明に従う2層導体の構造を
模式的に示す。円筒状のフォーマー120上には、撚線
122が2層で螺旋状に巻付けられている。ここに示す
導体では、1層目の巻方向と、2層目の巻方向が互いに
逆である。また、2層目の巻ピッチは、1層目の巻ピッ
チよりも短くなっている。図15に示す2層導体では、
フォーマー150上に巻付けられた撚線152の巻方向
は、1層目と2層目とで同じである。2層目の巻ピッチ
は、1層目の巻ピッチよりも短くなっている。これらの
導体には、さらにシールド層を設けることができる。シ
ールド層には、シールド電流を流すために、超電導線を
用いてもよいし、銅パイプ等を用いてもよい。
【0088】実施例11 実施例9と同様の工程で、幅8mm、厚さ3mmの平角
成形撚線を作製した。その際、比較のために、素線に絶
縁コーティングを設けない平角撚線も作製した。それら
を用いてフォーマー上にスパイラル巻して、表4のN
o.2の諸元を有する長さ1.5mの2層導体を作製し
た。作製後の導体のIcを測定した結果、絶縁を施した
導体のIcは300Aであった。一方、絶縁を施さない
導体のIcは10A以下となった。絶縁を施さない導体
の場合、撚線加工後の熱処理によって素線同士の拡散接
合が起こり、素線間のフレキシビリティが小さくなった
結果、Icが低下したと考えられた。素線のための絶縁
コーティングは、撚線を集合してケーブル導体を作製す
る際にも有利であることが明らかになった。
【0089】以上のようにして絶縁コーティングを有す
る電線を用いて作製された導体について、撚線の端末部
および電圧端子部の絶縁コーティングを除去した後、撚
線の交流損失を、交流4端子法を用いて液体窒素中で測
定した。測定の結果、通電時の交流損失は理論式(ノリ
スの式)から見積もられる臨界電流300Aを有する円
筒形状の超電導導体の損失量よりも小さくなることを確
認した。この結果は、撚線および導体における撚線の螺
旋ピッチの調整によって、偏流現象が抑制されたことを
示す。
【0090】撚線の螺旋ピッチの調整による1層目と2
層目との電流の均一化を確認するために、導体の端末
を、1層目と2層目とで独立して通電できる構造にし、
端末部に取付けたロゴスキーコイルによって各層に流れ
る電流量を調査した。その結果、1層目と2層目にほぼ
均等に電流が流れることを確認した。
【0091】実施例12 実施例1と同様の工程で粉末を銀パイプに充填し、伸線
加工および圧延加工を経てテープ線材を得た。得られた
テープ状線材を、外径12mm、内径10mmの銀パイ
プに充填した。銀パイプの中央部に、実施例1と同様に
してテープ線材を15本重ねて充填した。その両側の隙
間には、粉末が充填されたテープ線材の代わりに銀テー
プを充填した。充填された銀パイプを、φ1.02mm
まで伸線加工し、次いで850℃、50時間熱処理し
た。次いで、φ0.9mmまで伸線加工を行ない、得ら
れた丸線にシリコーン樹脂を主成分とする溶液タイプの
市販のシリコーンワニスを塗布し、実施例1と同様の手
順で焼き付けした。次いで、塗膜を形成した線材を適当
な長さに切断し、丸線6本を撚り合わせ、その直後に成
形ロール中を通過させることによって、平角形状に成形
した。得られた平角撚線のサイズは、幅4mm、厚さ
1.5mmであった。
【0092】上記撚線工程において線材サプライ部の回
転数の調整を行なったものと、そのような調整を全く行
なわなかったものの2種類の撚線を作製した。該調整で
は、1ピッチ巻付ける際にボビンを1回転させる撚り返
しの調整を行なった。回転数の調整によって、成形後に
得られた撚線における超電導フィラメント断面の長軸方
向は、ほぼ同一の方向に揃っていた。このような撚線を
フォーマー上に巻付けることによって、フィラメント断
面の長軸方向が、フォーマーの周方向に揃ったケープル
導体(タイプ1)が得られた。一方、撚線時に回転数の
調整を行なわなかった場合、超電導フィラメント断面の
長軸方向は、ほぼランダムであった。このような撚線を
フォーマー上に巻付けることによって、フィラメント断
面の長軸方向がフォーマーの周方向に対してほぼランダ
ムである導体(タイプ2)が得られた。それぞれの撚線
をφ18mmのフォーマー上に集合し1層導体を作製し
た。導体のIcは、タイプ1の場合で120A、タイプ
2の場合で100Aであった。導体に使用した各撚線か
ら、長さ5cmのサンプルを切出して、液体窒素中での
Jc−B特性を調査した。その結果、100ガウスの磁
場を平角撚線の主要面に平行に印加した場合、タイプ1
で使用した撚線のJcは、磁場無印加の場合と比較して
ほとんど低下しなかったのに対し、タイプ2で使用した
撚線は、磁場によって約50%Icが低下した。得られ
た2種類の1層導体のIc間には、大きな相違は見られ
なかった。しかしながら、上記Jc−B特性の結果か
ら、大容量化を進めて通電時の自己磁界が大きくなる場
合、タイプ1の構造の方が、自己磁界によるIcの低下
が小さいという点で有利であることがわかった。
【0093】
【発明の効果】以上示してきたように、本発明により、
耐熱性、密着性および強度に優れた絶縁コーティング層
を有する酸化物超電導撚線を提供することができる。本
発明に従って得られる撚線は、焼結工程後も素線間の電
気的絶縁が十分に保証されている。焼結工程後に得られ
る本発明の撚線は、高い臨界電流を有し、交流損失の小
さいものである。この撚線をフォーマー上に集合させる
ことによって、交流損失が小さくかつ大容量の電流を流
すことができるケーブル導体を作製することができる。
また本発明は、多層構造のケーブル導体において、交流
損失が低減された構造を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる線材を製造するため、銀パイプ
中にテープ線材が充填された様子を示す概略断面図であ
る。
【図2】本発明に従って線材に塗膜を形成するための装
置を示す模式図である。
【図3】本発明によるケーブル導体の断面構造を示す模
式図である。
【図4】本発明によるケーブル導体の断面構造を示す模
式図である。
【図5】本発明による他のケーブル導体の断面構造を示
す模式図である。
【図6】ケーブル導体において、撚線が螺旋状に巻付け
られる様子を示す斜視図である。
【図7】本発明による多層構造のケーブル導体の一例を
概略的に示す(a)斜視図および(b)断面図である。
【図8】安定化マトリックスに覆われた超電導フィラメ
ントの形状を示す模式図である。
【図9】超電導ケーブル導体において、フォーマー上に
巻付けられた撚線の超電導フィラメントがフォーマーの
周方向に揃っている様子を示す模式図である。
【図10】超電導ケーブル導体において、フォーマー上
に巻付けられた撚線における超電導フィラメントの方向
が、それほど揃っていない様子を示す模式図である。
【図11】本発明による撚線の一具体例を示す概略斜視
図である。
【図12】N層導体の回路モデルを示す図である。
【図13】ケーブル導体における磁場方向および電流方
向のモデルを示す模式図である。
【図14】本発明による2層導体の一具体例を示す概略
斜視図である。
【図15】本発明による2層導体のもう1つの例を示す
概略斜視図である。
【符号の説明】 11 丸線 15 塗料層 16 乾燥炉 17 焼き付け炉 30 ケーブル導体 31 フォーマー 32 2次撚線 33 1次撚線 34 塗膜が形成された丸線 35 Ag線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 母倉 修司 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 大松 一也 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 石井 英雄 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内 (72)発明者 本庄 昇一 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内 (72)発明者 岩田 良浩 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内

Claims (48)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物超電導材料とそれを覆いかつ銀ま
    たは銀合金からなるマトリックスとからなる線材を用い
    て撚線を製造する方法であって、 前記線材のマトリックス表面に、前記酸化物超電導材料
    の焼結に必要な温度以下の温度で熱分解して電気絶縁性
    のセラミックスを生成させる化合物または窒化ホウ素を
    主成分とする塗料を塗布する工程と、 前記酸化物超電導材料の焼結に必要な温度以下の温度に
    おいて、前記塗料を焼き付ける工程と、 前記塗料が焼き付けられた前記線材を複数本調製する工
    程と、 得られた複数本の線材を撚り合わせる工程と、 得られた撚線を、前記酸化物超電導材料の焼結に必要な
    温度まで加熱する工程とを備えることを特徴とする、酸
    化物超電導撚線の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記化合物が有機金属ポリマーである前
    記塗料を塗布することを特徴とする、請求項1に記載の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記有機金属ポリマーがケイ素系有機金
    属ポリマーであることを特徴とする、請求項2に記載の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記化合物がリン酸アルミニウムである
    前記塗料を塗布することを特徴とする、請求項1に記載
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記線材の長手方向に垂直な断面の形状
    が、円形であるかまたは略回転対称の多角形であること
    を特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記塗料を塗布する工程の前に、前記線
    材に塑性加工を施す工程を備えることを特徴とする、請
    求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記酸化物超電導材料の焼結に必要な温
    度まで加熱する工程の前に、得られた撚線を、その断面
    が扇形になるよう成形するかまたは平角状に成形する工
    程を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか
    1項に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製
    造方法によって得られた撚線を複数本円筒状または螺旋
    状のフォーマー上に集合することを特徴とする、酸化物
    超電導ケーブル導体の製造方法。
  9. 【請求項9】 酸化物超電導材料からなるフィラメント
    部と、 前記フィラメント部を覆いかつ銀または銀合金からなる
    マトリックスと、 前記マトリックスの表面を覆いかつ前記酸化物超電導材
    料の焼結に必要な温度以下の温度で熱分解して電気絶縁
    性のセラミックスを生成させる化合物または窒化ホウ素
    を主成分とする塗料を200℃〜800℃の温度で焼き
    付けることにより生成したコーティング層とを備えるこ
    とを特徴とする、被覆線材。
  10. 【請求項10】 前記コーティング層が、有機金属ポリ
    マーを200℃〜800℃の温度で焼き付けてなる材料
    からなることを特徴とする、請求項9に記載の被覆線
    材。
  11. 【請求項11】 前記有機金属ポリマーがケイ素系有機
    金属ポリマーであることを特徴とする、請求項10に記
    載の被覆線材。
  12. 【請求項12】 前記コーティング層が、リン酸アルミ
    ニウムを500℃〜800℃の温度で焼き付けてなる材
    料からなることを特徴とする、請求項9に記載の被覆線
    材。
  13. 【請求項13】 前記線材の長手方向に垂直な断面の形
    状が、円形であるかまたは略回転対称の多角形であるこ
    とを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項に記載
    の被覆線材。
  14. 【請求項14】 請求項9〜13のいずれか1項に記載
    の被覆線材を複数本撚り合わせかつ前記酸化物超電導材
    料を焼結するために必要な熱処理を施してなることを特
    徴とする、酸化物超電導撚線。
  15. 【請求項15】 請求項9〜13のいずれか1項に記載
    の被覆線材を複数本撚り合わせ、得られた撚線をその断
    面が扇形になるよう成形するかまたは平角状に成形し、
    かつ前記酸化物超電導材料を焼結するために必要な熱処
    理を施してなることを特徴とする、酸化物超電導撚線。
  16. 【請求項16】 請求項14または15に記載の酸化物
    超電導撚線を複数本円筒状または螺旋状のフォーマー上
    に集合してなることを特徴とする、酸化物超電導ケーブ
    ル導体。
  17. 【請求項17】 酸化物超電導材料とそれを覆いかつ銀
    または銀合金からなるマトリックスとからなる線材を用
    いて撚線を製造する方法であって、 前記酸化物超電導材料の焼結に必要な温度以下の温度で
    酸化することにより電気絶縁性の酸化物を生成する非磁
    性金属を、前記線材のマトリックス表面にめっきする工
    程と、 前記非磁性金属がめっきされた前記線材を複数本調製す
    る工程と、 得られた複数本の線材を撚り合わせる工程と、 得られた撚線上の前記非磁性金属を酸化する工程と、 得られた撚線を、前記酸化物超電導材料の焼結に必要な
    温度まで加熱する工程とを備えることを特徴とする、酸
    化物超電導撚線の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記非磁性金属が、銅、錫および鉛か
    らなる群から選択される少なくともいずれかであること
    を特徴とする、請求項17に記載の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記線材の長手方向に垂直な断面の形
    状が、円形であるかまたは略回転対称の多角形であるこ
    とを特徴とする、請求項17または18に記載の製造方
    法。
  20. 【請求項20】 前記めっき工程の前に、前記線材に塑
    性加工を施す工程を備えることを特徴とする、請求項1
    7〜19のいずれか1項に記載の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記酸化物超電導材料の焼結に必要な
    温度まで加熱する工程の前に、得られた撚線を、その断
    面が扇形になるよう成形するかまたは平角状に成形する
    工程を備えることを特徴とする、請求項17〜20のい
    ずれか1項に記載の製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項17〜21のいずれか1項に記
    載の製造方法によって得られた撚線を複数本同筒状また
    は螺旋状のフォーマー上に集合することを特徴とする、
    酸化物超電導ケーブル導体の製造方法。
  23. 【請求項23】 酸化物超電導材料からなるフィラメン
    ト部と、 前記フィラメント部を覆いかつ銀または銀合金からなる
    マトリックスと、 前記マトリックスの表面を覆いかつ前記酸化物超電導材
    料の焼結に必要な温度以下で酸化することにより電気絶
    縁性の酸化物を生成する非磁性金属からなるめっき層と
    を備えることを特徴とする、被覆線材。
  24. 【請求項24】 前記非磁性金属が銅、錫および鉛から
    なる群から選択される少なくともいずれかであることを
    特徴とする、請求項23に記載の被覆線材。
  25. 【請求項25】 前記線材の長手方向に垂直な断面の形
    状が、円形であるかまたは略回転対称の多角形であるこ
    とを特徴とする、請求項23または24に記載の被覆線
    材。
  26. 【請求項26】 請求項23〜25のいずれか1項に記
    載の被覆線材を複数本撚り合わせ、前記めっき層を酸化
    しかつ前記酸化物超電導材料を焼結するために必要な温
    度まで加熱してなるものであり、撚り合わせた線材同士
    が前記非磁性金属の酸化物によって電気的に絶縁されて
    いることを特徴とする、酸化物超電導撚線。
  27. 【請求項27】 請求項23〜25のいずれか1項に記
    載の被覆線材を複数本撚り合わせ、得られた撚線をその
    断面が扇形になるよう成形するかまたは平角状に成形
    し、前記めっき層を酸化し、かつ前記酸化物超電導材料
    を焼結するために必要な温度まで加熱してなるものであ
    り、撚り合わせた線材同士が前記非磁性金属の酸化物に
    よって電気的に絶縁されていることを特徴とする、酸化
    物超電導撚線。
  28. 【請求項28】 請求項26または27に記載の撚線を
    複数本円筒状または螺旋状のフォーマー上に集合してな
    ることを特徴とする、酸化物超電導ケーブル導体。
  29. 【請求項29】 前記集合において、前記複数本の撚線
    を、複数層で前記フォーマー上に螺旋状に巻付けること
    を特徴とする、請求項8に記載の酸化物超電導ケーブル
    導体の製造方法。
  30. 【請求項30】 前記集合において、前記複数層におけ
    るm層目(mは1以上の整数)の前記撚線の螺旋巻ピッ
    チPmと、前記複数層におけるn層目(nは2以上の整
    数で、m<n)の前記撚線の螺旋巻ピッチPnとの間
    に、Pn≦Pmの関係を成立させることを特徴とする、
    請求項29に記載の酸化物超電導ケーブル導体の製造方
    法。
  31. 【請求項31】 前記集合において、前記撚線が右巻に
    巻かれた層と、前記撚線が左巻に巻かれた層とを形成
    し、 前記右巻の層の数と前記左巻の層の数とを等しくするこ
    とを特徴とする、請求項29または30に記載の酸化物
    超電導ケーブル導体の製造方法。
  32. 【請求項32】 前記複数層の層数を2とすることを特
    徴とする、請求項29〜31のいずれか1項に記載の酸
    化物超電導ケーブル導体の製造方法。
  33. 【請求項33】 断面がアスペクト比2以上の略矩形ま
    たは略楕円形であり、かつ前記断面の長軸が特定の方向
    に配向した複数の酸化物超電導フィラメントを有する前
    記撚線を準備し、 前記複数の酸化物超電導フィラメントの断面の長軸が前
    記フォーマーの周方向に揃うよう、前記撚線を複数本前
    記フォーマー上に集合することを特徴とする、請求項8
    および29〜32のいずれか1項に記載の酸化物超電導
    ケーブル導体の製造方法。
  34. 【請求項34】 前記複数本の撚線が、複数層で前記フ
    ォーマー上に螺旋状に巻付けられていることを特徴とす
    る、請求項16に記載の酸化物超電導ケーブル導体。
  35. 【請求項35】 前記複数層におけるm層目(mは1以
    上の整数)の前記撚線の螺旋巻ピッチPmと、前記複数
    層におけるn層目(nは2以上の整数で、m<n)の前
    記撚線の螺旋巻ピッチPnとの間に、Pn≦Pmの関係
    が成立していることを特徴とする、請求項34に記載の
    酸化物超電導ケーブル導体。
  36. 【請求項36】 前記撚線が右巻に巻かれた層と、前記
    撚線が左巻に巻かれた層とを有し、 前記右巻の層の数と、前記左巻の層の数とが等しいこと
    を特徴とする、請求項34または35に記載の酸化物超
    電導ケーブル導体。
  37. 【請求項37】 前記複数層の層数が2であることを特
    徴とする、請求項34〜36のいずれか1項に記載の酸
    化物超電導ケーブル導体。
  38. 【請求項38】 前記撚線内部の前記酸化物超電導材料
    からなる複数のフィラメントの断面が、アスペクト比2
    以上の略矩形または略楕円形であり、 前記撚線において、前記複数のフィラメント断面の長軸
    が前記フォーマーの周方向に揃っていることを特徴とす
    る、請求項16および34〜37のいずれか1項に記載
    の酸化物超電導ケーブル導体。
  39. 【請求項39】 前記集合において、前記複数本の撚線
    を、複数層で前記フォーマー上に螺旋状に巻付けること
    を特徴とする、請求項22に記載の酸化物超電導ケーブ
    ル導体の製造方法。
  40. 【請求項40】 前記集合において、前記複数層におけ
    るm層目(mは1以上の整数)の前記撚線の螺旋巻ピッ
    チPmと、前記複数層におけるn層目(nは2以上の整
    数で、m<n)の前記撚線の螺旋巻ピッチPnとの間
    に、Pn≦Pmの関係を成立させることを特徴とする、
    請求項39に記載の酸化物超電導ケーブル導体の製造方
    法。
  41. 【請求項41】 前記集合において、前記撚線が右巻に
    巻かれた層と、前記撚線が左巻に巻かれた層とを形成
    し、 前記右巻の層の数と、前記左巻の層の数とを等しくする
    ことを特徴とする、請求項39または40に記載の酸化
    物超電導ケーブル導体の製造方法。
  42. 【請求項42】 前記複数層の層数を2とすることを特
    徴とする、請求項39〜41のいずれか1項に記載の酸
    化物超電導ケーブル導体の製造方法。
  43. 【請求項43】 断面がアスペクト比2以上の略矩形ま
    たは略楕円形であり、かつ前記断面の長軸が特定の方向
    に配向した複数の酸化物超電導フィラメントを有する前
    記撚線を準備し、 前記複数の酸化物超電導フィラメントの断面の長軸が前
    記フォーマーの周方向に揃うよう、前記撚線を複数本前
    記フォーマー上に集合することを特徴とする、請求項2
    2および39〜42のいずれか1項に記載の酸化物超電
    導ケーブル導体の製造方法。
  44. 【請求項44】 前記複数本の撚線が、複数層で前記フ
    ォーマー上に螺旋状に巻付けられていることを特徴とす
    る、請求項28に記載の酸化物超電導ケーブル導体。
  45. 【請求項45】 前記複数層におけるm層目(mは1以
    上の整数)の前記撚線の螺旋巻ピッチPmと、前記複数
    層におけるn層目(nは2以上の整数で、m<n)の前
    記撚線の螺旋巻ピッチPnとの間に、Pn≦Pmの関係
    が成立していることを特徴とする、請求項44に記載の
    酸化物超電導ケーブル導体。
  46. 【請求項46】 前記撚線が右巻に巻かれた層と、前記
    撚線が左巻に巻かれた層とを有し、 前記右巻の層の数と、前記左巻の層の数とが等しいこと
    を特徴とする、請求項44または45に記載の酸化物超
    電導ケーブル導体。
  47. 【請求項47】 前記複数層の層数が2であることを特
    徴とする、請求項44〜46のいずれか1項に記載の酸
    化物超電導ケーブル導体。
  48. 【請求項48】 前記撚線内部の前記酸化物超電導材料
    からなる複数のフィラメントの断面が、アスペクト比2
    以上の略矩形または略楕円形であり、 前記撚線において、前記複数のフィラメント断面の長軸
    が前記フォーマーの周方向に揃っていることを特徴とす
    る、請求項28および44〜47に記載の酸化物超電導
    ケーブル導体。
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