JPH11256770A - 瓦の吹き上がり防止装置 - Google Patents

瓦の吹き上がり防止装置

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JPH11256770A
JPH11256770A JP8275698A JP8275698A JPH11256770A JP H11256770 A JPH11256770 A JP H11256770A JP 8275698 A JP8275698 A JP 8275698A JP 8275698 A JP8275698 A JP 8275698A JP H11256770 A JPH11256770 A JP H11256770A
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tile
roof
tiles
roof tile
surface side
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JP8275698A
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Hisatoshi Uchida
久壽 内田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 屋根面の水の流れ方向の上面側の第1瓦と下
面側の第2瓦とに相互に係着する第1、第2係止部を設
けて係着させることにより、上下面で重畳する第1、第
2瓦の隙間に風が吹き込み離脱するのを防止することが
でき、瓦の破損、位置ずれがなく、瓦を葺設した屋根全
体や建物自体の耐用年数を増大することができる瓦の吹
き上がり防止装置及びその方法を提供する。 【構成】 一部を相互に重畳させつつ葺設される上面側
の第1瓦12a及び下面側の第2瓦12bを有し、第1
及び第2瓦には前記重畳状態から瓦どうしが離間しない
ように相互に係着し得る第1及び第2係止部14a、1
4bが設けられ、第1及び第2係止部を係着させて瓦の
吹き上がり離脱を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物の屋根面に葺
設した瓦の吹き上がり防止装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、住宅等の建物の屋根面に瓦を葺設
する場合には、瓦の縦長さと略同一の間隔巾で軒先と平
行に複数の瓦桟を屋根面の野地板に付設し、この瓦桟に
瓦の裏面の上端寄り位置に設けた掛突起を係着させて脱
落を防止しながら、各瓦の左側端部に設けた桟部を左右
方向に隣接する他の瓦の右側端側の上面に重畳させて軒
先と略平行に配置させている。また、屋根面の水流れ方
向においては、各上面側の瓦の下端側を対応した各下面
側の瓦の上端側に一部重畳させつつ順次葺設させてい
る。更に、屋根面の軒先、大棟、隅棟等寄り位置に葺設
させた各瓦は、水流れ方向の上端側の略中央位置に上下
方向に開孔させた釘孔から止釘を屋根面の野地板へ打ち
込んで係止している。
【0003】しかしながら、屋根面に葺設した各瓦にお
いては、上面側の各瓦の下端側から桟部にかけて、水流
れ下面側及び左側の下面に葺設した瓦との接合面に隙間
が発生し易く、台風時の強風等が隙間に吹き込んで上面
側の瓦が捲られて離脱し易い欠点がある。また、1枚の
瓦が離脱すると、その左右、上下周縁の各瓦が次々と捲
り上げられて離脱して破損したり、或は瓦が位置ずれし
たりするため、これらの瓦の補充、修理に多大の経費を
要する等の問題があった。
【0004】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたものであり、その一つの目的は、屋根面の水の流れ
方向の上面側の瓦と下面側の瓦とに相互に係着する係止
部を設けて係着させて連結するため、上面側の瓦と下面
側の瓦との接合面の隙間に強風が吹き込んでも上面側の
瓦が捲り上って離脱することもない瓦の吹き上り防止装
置及びその方法を提供することである。また、本発明の
他の目的は、屋根面に葺設され重畳された各瓦が強風で
吹き上がることがなく、瓦の破損、位置ずれを発生する
ことがなく、葺設した屋根全体及び建物自体の耐用年数
を長く保持することができる瓦の吹上り防止装置及びそ
の方法を提供することである。また、本発明の他の目的
は、上面側の瓦と下面側の瓦とに相互に係着する係止部
の構造が簡単で、瓦の製造コストも廉価であり、葺設作
業も通常の葺設作業時間と同程度に行える瓦の吹上がり
防止装置及びその方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、一部を相互に重畳させつつ葺設される上
面側の第1瓦12a及び下面側の第2瓦12bを有し、
前記第1及び第2瓦12a、12bには前記重畳状態か
ら瓦どうしが離間しないように相互に係着し得る第1及
び第2係止部14a、14bが設けられ、同第1及び第
2係止部14a、14bを係着させて瓦の吹き上がり離
脱を防止する瓦の吹き上がり防止装置10から構成され
る。
【0006】また、前記第1係止部14aは、前記第1
瓦12aの裏面側に設けられた差し込み片26であり、
前記第2係止部14bは前記第2瓦12bの水流れ上端
側に設けられた凹部28であることとしてもよい。
【0007】また、前記第1、及び第2係止部14a、
14bbは前記第1及び第2瓦12a、12bの桟部1
8側裏面に設けられてなることとしてもよい。
【0008】次に、本発明は、上面側の第1瓦12aに
差し込み片26を形成するとともに、下面側の第2瓦1
2bに差し込み受部38を形成し、第1瓦12aの差し
込み片26を第2瓦の差し込み受部38に差し込みつつ
一部を相互に重畳させて瓦の吹き上がり離脱を防止する
瓦の吹き上がり防止方法から構成される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に係る瓦の吹き上がり防止
装置は、一部を相互に重畳させつつ葺設される上面側の
第1瓦及び下面側の第2瓦を有し、前記第1及び第2瓦
には前記重畳状態から瓦どうしが離間しないように相互
に係着し得る第1及び第2係止部が設けられ、同第1及
び第2係止部を係着させて瓦の吹き上がり離脱や、位置
ずれを防止するものである。
【0010】屋根面において、上面側の第1瓦に設けた
第1係止部と下面側の第2瓦に設けた第2係止部とを相
互に係着させ、上面側の第1瓦が下面側の第2瓦から離
脱するのを防止するものである。好適には、第1、第2
係止部は、第1、第2瓦の重畳面の下面側の近傍位置で
相互に係着するように設けるほうがよい。また、第1、
第2瓦の重畳面の下面側に限ることなく、例えば、第2
瓦の上面に載着される第1瓦の水流れ下端側に第1係止
部を設け、第2瓦の上面側に設けた第2係止部に第1係
止部を係着させて上面側の第1瓦が下面側の第2瓦から
離脱するのを防止してもよい。第1、第2の係止部の構
成は任意に設定して良い。瓦の成型段階でフックとこの
フックが係着し得るフックやループ、孔を穿孔した板バ
ネと係止片、フックを有する回動片と係止段、それらに
ロック機構を施したもの等でも良い。
【0011】また、前記第1係止部は、前記第1瓦の裏
面側に設けられた差し込み片であり、前記第2係止部は
前記第2瓦の水流れ上端側に設けられた凹部であること
としてもよい。差し込み片は、断面丸形、角形、平形の
耐食性の棒鋼を素材として略L型に形成したがよい。こ
の差し込み片は、第1瓦の水流れ下端寄りの裏面位置に
L型の基部を植設して先端部を第1瓦の下端側の下方へ
突出させている。第2瓦側の凹部としては、第2瓦の上
端部側の下面に設けた長溝、或は第2瓦の上端面に埋設
された丸形管、角形管、平形管等がよい。また、第1係
止部の差し込み片は、第1瓦の下端側の端面に第2瓦の
上端側の上面へ向け突出した突出片に形成し、第2係止
部は、第2瓦の上端寄りの上面に、前記突出片が係着す
る係止孔を有した突起体として形成してもよい。第1瓦
の端面から突出させた突出片を第2瓦の上面側の突起体
に係合させて第1瓦の離脱を防止することができる。
【0012】また、前記第1及び第2係止部は前記第1
及び第2瓦の桟部側裏面に設けられてなることとしても
よい。第2瓦の上端寄り上面に下端側を重畳させた第1
瓦は、捲れ上りを生じさせ易い桟部側寄りの裏面側に相
互に係着する第1、第2係止部を設けることが好まし
い。上面側の第1瓦の桟部裏面に強風が吹き込んでも第
1瓦が第2瓦から離脱することがなく安定に保持するこ
とができる。また、第1、第2係止部は、例えば、第
1、第2瓦の桟部側寄りの上面側に設けてもよく、同様
に、第1、第2瓦の相互を安定に保持することができ
る。
【0013】次に、本発明は、上面側の第1瓦に差し込
み片を形成するとともに、下面側の第2瓦に差し込み受
部を形成し、第1瓦の差し込み片を第2瓦の差し込み受
部に差し込みつつ一部を相互に重畳させて瓦の吹き上が
り離脱を防止する瓦の吹き上がり防止方法から構成され
る。第1瓦の差し込み片と、これに係着する第2瓦の差
し込み受け部とを相互に係着させて第1瓦を第2瓦の一
部上面に重畳させるため、強風下において第1瓦が第2
瓦から捲り上げられて離脱したり、位置ずれしたりする
ことがなく、屋根全体や建物自体の耐用年数を長く保持
することができる。差し込み片と差し込み受部との係合
位置は、第1瓦と第2瓦との重畳面の下面側の近傍位置
が好適である。また、第1瓦と第2瓦との重畳面の上面
側の近傍位置で差し込み片と差し込み受部とを係合させ
てもよい。
【0014】
【実施例】以下、添付図面に基づき、本発明の実施例に
係る瓦の吹き上がり防止装置を説明する。図1は、本発
明の実施例に係る瓦の吹き上がり防止装置を備えた桟瓦
の表面斜視図である。図2は、図1に示す桟瓦の裏面斜
視図である。図3は、屋根面の野地板の上面に重畳させ
て葺設した第1、第2瓦の縦断説明図である。本発明に
係る瓦の吹き上り防止装置(以下、吹き上がり防止装置
と略する)10は、一部を相互に重畳させつつ葺設され
る上面側の第1瓦12a及び下面側の第2瓦12bを有
し、第1瓦12a及び第2瓦12bには重畳状態から瓦
どうしが離間しないように相互に係着し得る第1係止部
14a及び第2係止部14bが設けられている。この第
1係止部14a及び第2係止部14bを係着させて重畳
させた瓦の吹き上がり離脱を防止するものである。
【0015】実施例において、第1瓦12a、第2瓦1
2bは、図1、図2に示すように、それぞれが同一形状
の桟瓦であり、屋根面に葺設した下面側の各桟瓦の水流
れ上端側の上面に、上面側の各桟瓦の水流れ下端側を重
畳させつつ葺設する。上下に重畳させて葺設させた任意
の桟瓦のうちで、図3に示すように、上面側の桟瓦を第
1瓦12aとし、この第1瓦12aの下面側の桟瓦を第
2瓦12bとして説明する。
【0016】図1、図2に示すように、第1、第2瓦1
2a、12bは、平面視略四角形で両側端から縦中央線
位置の谷部15へ向けて浅く凹陥された瓦本体16を備
えている。この瓦本体16には、その左側端に沿って端
面視山形状に湾曲された桟部18と、図1上で左右斜め
対向した隅部に切欠された切り込み20、20とが形成
され、水流れ上端側の裏面には掛突起22が下方へ突設
されている。この掛突起22の略中央位置に上下面に貫
通された釘孔24が設けられている。
【0017】上面側の第1瓦12aと、下面側の第2瓦
12bは屋根面で相互に重畳させたときに、第1瓦12
a側の第1係止部14aと第2瓦12b側の第2係止部
14bとが相互に係着する。これによって第1、第2瓦
12a、12bの接合面に吹き込んだ強風で上面側の第
1瓦12aが下面側の第2瓦12bから捲れ上がるのを
防止し、屋根面に葺設した瓦に破損や位置ずれ発生する
ことがなく、瓦を葺設した屋根全体及び建物自体の耐用
年数を長く保持することができる。
【0018】図1、図2の実施例に示すように、第1、
第2係止部14a、14bは、第1、第2瓦12a、1
2bの桟部18寄り位置に設けられている。即ち、瓦本
体16の裏面の下端側の桟部18寄り位置に第1係止部
14aが設けられ、この第1係止部14aの位置を桟部
18と平行に瓦本体16の裏面に沿って上端側へ延長し
た端部裏面位置に第2係止部14bが設けられている。
従って、図3に示すように、屋根面に桟瓦を葺設する場
合に、下面側の第2瓦12bの水流れ上端側の上面位置
に上面側の第1瓦12aの下端側を重畳させると共に、
第1瓦12aを第2瓦12bへ向けて摺動させると、第
2瓦12bの第2係止部14bと第1瓦12aの第1係
止部14aが相互に係着し、第1、第2瓦12a、12
bの相互の接合面の隙間に風が吹き込んでも、上面側の
第1瓦12aが吹き上がるのを防止することができる。
【0019】図3の実施例に示すように、第1係止部1
4aは、第1瓦12aの裏面側に設けられた差し込み片
26として形成されている。また、第2係止部14bは
第2瓦12bの水流れ上端側の裏面に設けられた凹部2
8として形成されている。即ち、差し込み片26は例え
ば、断面形状が丸、角、六角、平等の棒鋼を素材とし、
略L形に折曲されている。この差し込み片26は、L形
の基部が第1瓦12aの瓦本体16の裏面位置に穿設し
た穴32に挿入されてモルタル、エポキシ樹脂のような
接着剤34で固着されている。差し込み片26のL形の
先端部は瓦本体16の裏面に対して、第2瓦12b側の
凹部28に係着するための間隙31をおいて突出されて
いる。凹部28は、第2瓦12bの瓦本体16の上端側
の裏面位置に、水流れ方向へ向けて凹陥するように設け
られている。差し込み片26はL形の挿入片構成に限ら
ない。形状は任意であるが、第1及び第2瓦の係合部に
おける吹き上がり離脱防止のため、下方側から上方へ持
ち上がるような力が加えられるときに、両瓦が簡単に離
開しないような構造であれば良い。
【0020】従って、瓦の葺設作業において、下面側に
配置された第2瓦12bと対応した上面側の第1瓦12
aを重畳させつつ葺設するときに、下面側の第2瓦12
bの凹部28に上面側の第1瓦12aの差し込み片26
を差し込みながら第2瓦12bに第1瓦12aを載着し
ながら順次葺設するものであり、差し込み片26を凹部
28に係合させて上下面の第1、第2瓦12a、12b
を連係することができる。この差し込み片26と凹部2
8とは、それぞれが瓦本体16の桟部18寄り位置の裏
面に設けているため、捲り上がりが生じ易い桟部18寄
り側の裏面位置において、上面側の第1瓦12aの桟部
18が捲り上がるのを防止することができる。また、差
し込み片26は、L形挿入片に限るものでない。要は、
下面側の第2瓦12bに設けた任意形状の第2係止部1
4bに相互に係着して上面側の第1瓦12aが風で捲り
上がるのを防止することができる任意形状の係止体であ
ればよい。
【0021】実施例において、第1、第2瓦12a、1
2bは、いずれも瓦本体16の水流れ下端側の裏面に差
し込み片26からなる第1係止部14aと、瓦本体16
の上端側の裏面に凹部28からなる第2係止部14bと
を備えている。屋根面に桟瓦を葺設するときに、水流れ
方向の下面側に配置する瓦を第2瓦12bとし、水流れ
方向の上面側に配置する瓦を第1瓦12aとして説明し
ている。しかし、屋根面で水流れ方向に重畳させた上面
側の第1瓦12aは、次の瓦を重畳させるときには下面
側の第2瓦12bとなり、第1、第2係止部14a、1
4bを共に備えた同一構成の桟瓦を相互に重畳する上面
側や下面側に兼用して葺設してもよい。
【0022】次に、添付図面に基づき、本発明の実施例
に係る瓦の吹き上がり防止方法を説明する。図3は、屋
根面に葺設した上面側の第1瓦と下面側の第2瓦との係
着状態を示した縦断説明図である。図4は、本発明に係
る瓦の吹き上がり防止方法を実施して葺設した瓦の斜視
説明図である。本実施例において、先の実施例と同一構
成部材には同一番号を付し、その詳細な説明は省略す
る。
【0023】本発明に係る瓦の吹き上がり防止方法は、
上面側の第1瓦14aに差し込み片26を形成するとと
もに、下面側の第2瓦14bに差し込み受部38を形成
し、第1瓦14aの差し込み片26を第2瓦14bの差
し込み受部38に差し込みつつ第1、第2瓦14a、1
4bの一部を相互に重畳させて瓦の吹き上がり離脱を防
止してなるものである。この瓦の吹き上がり防止方法に
おいては、一例として前述の実施例の凹部28が差し込
み受部38を構成している。
【0024】図3、図4に示すように、屋根面に瓦を葺
設する場合には、屋根面に固定した野地板40の上面
に、軒先と平行に付設した瓦桟42に各瓦12の裏面の
上端寄り位置に設けた掛突起22を係着し、また、上端
寄り位置の任意の釘孔24に止釘44を打ち込みながら
脱落を防止しつつ各瓦12の左側端部に設けた桟部18
を左右方向に隣接する他の瓦の右側端側の上面に重畳さ
せて軒先と略平行に配置させる。屋根面の水流れ方向に
おいて、上面側の第1瓦12aの水流れ下端側に設けた
差し込み片26を、この第1瓦12aと重畳する下面側
の第2瓦12bの水流れ上端側に設けた差し込み受部3
8に係合させながら第2瓦12bの上面に第1瓦12a
の下端側を重畳させて屋根面の水流れ方向へ第1、第2
瓦12a、12bを葺設する。屋根面で水流れ方向へ重
畳させた上面側の第1瓦12aは、次の瓦を重畳させる
ときには下面側の第2瓦12bとして扱われる。従っ
て、第1、第2瓦12a、12bは、上面側や下面側に
兼用して葺設し連係し得るように差し込み片26と差し
込み受部38とを備えるものである。
【0025】前述のように、上面側の瓦の差し込み片2
6は、L形の先端側を下流側に向けて形成されている。
そして、下面側の瓦の差し込み受部38は、水流れ下流
側に凹陥するように凹部を形成している。この差し込み
片26と差し込み受部38との係合により上面側の瓦が
風で吹き上がるのを防止する。差し込み片26と差し込
み受部38は上記実施例に限ることなく、例えば、上面
側の瓦に水流れ上流側に凹陥する凹部を設け、下面側の
瓦に水流れ上流側に突設した差し込み片26を設けても
良い。差し込み片と差し込み受部とは相互に係着する任
意形状でもよい。
【0026】上記したように、本発明に係る瓦の吹き上
がり防止方法は、屋根面に葺設する瓦を、上下面側の瓦
に設けた差し込み片と差し込み受部とを相互に係合させ
て瓦の吹き上がりを簡単に防止することができ、重畳さ
れた瓦の接合面側での連結力が強くて接合面の隙間に強
風が吹込んでも捲れ上がることがなく、瓦が破損した
り、位置ずれしたりすることがなく、葺設した屋根全体
及び建物自体の耐用年数を長く保持することができる。
同時に、その瓦の葺設作業も簡単で、通常の葺設作業時
間と同程度で葺設作業を行える。
【0027】上記実施例においては和型桟瓦について、
本発明に係る瓦の吹き上がり防止装置及びその方法を説
明しているが、本発明は和型桟瓦にのみに限ることな
く、その他の軒瓦に連続した桟瓦、袖瓦、或は洋型平瓦
等に実施して瓦の相互の連結力を高めて強風による瓦の
吹き上りを防止するようにしても良い。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る瓦の
吹き上がり防止装置は、一部を相互に重畳させつつ葺設
される上面側の第1瓦及び下面側の第2瓦を有し、前記
第1及び第2瓦には前記重畳状態から瓦どうしが離間し
ないように相互に係着し得る第1及び第2係止部が設け
られ、同第1及び第2係止部を係着させて瓦の吹き上が
り離脱を防止することにより、屋根面に葺設し重畳させ
た上面側の第1瓦の第1係止部と、下面側の第2瓦の第
2係止部とを相互に係着させて第1、第2瓦を連結する
ため、第1、第2瓦の相互の接合面の隙間に強風が吹込
んでも上面側の第1瓦が捲れ上がることがない。従っ
て、屋根面に葺設され重畳された各瓦が強風で吹き上が
って破損したり、位置ずれを発生することがなく、葺設
した屋根全体及び建物自体の耐用年数を長く保持するこ
とができる。
【0029】また、前記第1係止部は、前記第1瓦の裏
面側に設けられた差し込み片であり、前記第2係止部は
前記第2瓦の水流れ上端側に設けられた凹部であること
により、瓦の葺設作業に際し、上面側の第1瓦の差し込
み片を下面側の第2瓦の凹部に差し込むだけで第1瓦と
第2瓦とを手数を要することなく簡単に連係することが
できる。また、第1、第2瓦の相互に設けた差し込み片
と凹部の構成が簡単で、吹き上がり防止機構を備えた瓦
の製造コストも安価である。
【0030】また、前記第1、及び第2係止部は前記第
1及び第2瓦の桟部側裏面に設けられてなることによ
り、水流れ方向に重畳させつつ葺設する第1、第2瓦の
桟部の裏面と、この第1、第2瓦に左右方向へ重畳され
る他の瓦の上面との接合面に強風が吹き込んでも、特に
捲れ上りを生じさせ易い桟部側寄りの裏面で第1、第2
係止部が係着しているため、強風下であっても屋根面の
水流れ方向や左右方向に連続して葺設された瓦の相互を
安定に保持し、屋根面に対する瓦全体の定着を確実に維
持し得る。
【0031】次に、本発明に係る瓦の吹き上がり防止方
法は、上面側の第1瓦に差し込み片を形成するととも
に、下面側の第2瓦に差し込み受部を形成し、第1瓦の
差し込み片を第2瓦の差し込み受部に差し込みつつ一部
を相互に重畳させて瓦の吹き上がり離脱を防止すること
により、屋根面の水流れ方向に重畳させる上面側の第1
瓦と下面側の第2瓦との相互を、各第1、第2瓦に設け
た差し込み片と、差し込み受部とを係着させて連結する
ことができ、重畳された第1、第2瓦の接合面側での連
結力が強くて接合面の隙間に強風が吹込んでも捲れ上が
るのを防止でき、瓦が破損したり、位置ずれしたりする
ことがなく、葺設した屋根全体及び建物自体の耐用年数
を長く保持することができる。同時に、その瓦の葺設作
業も簡単で、通常の葺設作業時間と同程度で葺設作業を
行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る吹き上がり防止装置を備
えた瓦の表面側の斜視説明図である。
【図2】図1に示す瓦の裏面側の斜視説明図である。
【図3】屋根面に葺設した上面側の第1瓦と下面側の第
2瓦との係着状態を示した縦断説明図である。
【図4】本発明に係る吹き上がり防止装置を備えた瓦を
屋根面に葺設した状態の斜視説明図である。
【符号の説明】
10 瓦の吹き上がり防止装置 12a 第1瓦 12b 第2瓦 14a 第1係止部 14b 第2係止部 18 桟部 26 差し込み片 28 凹部 38 差し込み受部
【手続補正書】
【提出日】平成11年3月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 瓦の吹き上がり防止装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物の屋根面に葺
設した瓦の吹き上がり防止装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、住宅等の建物の屋根面に瓦を葺設
する場合には、瓦の縦長さと略同一の間隔巾で軒先と平
行に複数の瓦桟を屋根面の野地板に付設し、この瓦桟に
瓦の裏面の上端寄り位置に設けた掛突起を係着させて脱
落を防止しながら、各瓦の左側端部に設けた桟部を左右
方向に隣接する他の瓦の右側端側の上面に重畳させて軒
先と略平行に配置させている。また、屋根面の水流れ方
向においては、各上面側の瓦の下端側を対応した各下面
側の瓦の上端側に一部重畳させつつ順次葺設させてい
る。更に、屋根面の軒先、大棟、隅棟等寄り位置に葺設
させた各瓦は、水流れ方向の上端側の略中央位置に上下
方向に開孔させた釘孔から止釘を屋根面の野地板へ打ち
込んで係止している。
【0003】しかしながら、屋根面に葺設した各瓦にお
いては、上面側の各瓦の下端側から桟部にかけて、水流
れ下面側及び左側の下面に葺設した瓦との接合面に隙間
が発生し易く、台風時の強風等が隙間に吹き込んで上面
側の瓦が捲られて離脱し易い欠点がある。また、1枚の
瓦が離脱すると、その左右、上下周縁の各瓦が次々と捲
り上げられて離脱して破損したり、或は瓦が位置ずれし
たりするため、これらの瓦の補充、修理に多大の経費を
要する等の問題があった。
【0004】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたものであり、その一つの目的は、屋根面の水の流れ
方向の上面側の瓦と下面側の瓦とに相互に係着する係止
部を設けて係着させて連結するため、上面側の瓦と下面
側の瓦との接合面の隙間に強風が吹き込んでも上面側の
瓦が捲り上って離脱することもない瓦の吹き上り防止装
置及びその方法を提供することである。また、本発明の
他の目的は、屋根面に葺設され重畳された各瓦が強風で
吹き上がることがなく、瓦の破損、位置ずれを発生する
ことがなく、葺設した屋根全体及び建物自体の耐用年数
を長く保持することができる瓦の吹上り防止装置及びそ
の方法を提供することである。また、本発明の他の目的
は、上面側の瓦と下面側の瓦とに相互に係着する係止部
の構造が簡単で、瓦の製造コストも廉価であり、葺設作
業も通常の葺設作業時間と同程度に行える瓦の吹上がり
防止装置及びその方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、一部を相互に重畳させつつ葺設される上
面側の第1瓦12a及び下面側の第2瓦12bを有し、
前記第1及び第2瓦12a、12bには前記重畳状態か
ら瓦どうしが離間しないように相互に係着し得る第1及
び第2係止部14a、14bが設けられ、同第1及び第
2係止部14a、14bを係着させて瓦の吹き上がり離
脱を防止する瓦の吹き上がり防止装置10から構成され
る。
【0006】また、前記第1係止部14aは、前記第1
瓦12aの裏面側に設けられた差し込み片26であり、
前記第2係止部14bは前記第2瓦12bの水流れ上端
側に設けられた凹部28であることとしてもよい。
【0007】また、前記第1、及び第2係止部14a、
14bbは前記第1及び第2瓦12a、12bの桟部1
8側裏面に設けられてなることとしてもよい。
【0008】次に、本発明は、上面側の第1瓦12aに
差し込み片26を形成するとともに、下面側の第2瓦1
2bに差し込み受部38を形成し、第1瓦12aの差し
込み片26を第2瓦の差し込み受部38に差し込みつつ
一部を相互に重畳させて瓦の吹き上がり離脱を防止する
瓦の吹き上がり防止方法から構成される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に係る瓦の吹き上がり防止
装置は、一部を相互に重畳させつつ葺設される上面側の
第1瓦及び下面側の第2瓦を有し、前記第1及び第2瓦
には前記重畳状態から瓦どうしが離間しないように相互
に係着し得る第1及び第2係止部が設けられ、同第1及
び第2係止部を係着させて瓦の吹き上がり離脱や、位置
ずれを防止するものである。
【0010】屋根面において、上面側の第1瓦に設けた
第1係止部と下面側の第2瓦に設けた第2係止部とを相
互に係着させ、上面側の第1瓦が下面側の第2瓦から離
脱するのを防止するものである。好適には、第1、第2
係止部は、第1、第2瓦の重畳面の下面側の近傍位置で
相互に係着するように設けるほうがよい。また、第1、
第2瓦の重畳面の下面側に限ることなく、例えば、第2
瓦の上面に載着される第1瓦の水流れ下端側に第1係止
部を設け、第2瓦の上面側に設けた第2係止部に第1係
止部を係着させて上面側の第1瓦が下面側の第2瓦から
離脱するのを防止してもよい。第1、第2の係止部の構
成は任意に設定して良い。瓦の成型段階でフックとこの
フックが係着し得るフックやループ、孔を穿孔した板バ
ネと係止片、フックを有する回動片と係止段、それらに
ロック機構を施したもの等でも良い。
【0011】また、前記第1係止部は、前記第1瓦の裏
面側に設けられた差し込み片であり、前記第2係止部は
前記第2瓦の水流れ上端側に設けられた凹部であること
としてもよい。差し込み片は、断面丸形、角形、平形の
耐食性の棒鋼を素材として略L型に形成したがよい。こ
の差し込み片は、第1瓦の水流れ下端寄りの裏面位置に
L型の基部を植設して先端部を第1瓦の下端側の下方へ
突出させている。第2瓦側の凹部としては、第2瓦の上
端部側の下面に設けた長溝、或は第2瓦の上端面に埋設
された丸形管、角形管、平形管等がよい。また、第1係
止部の差し込み片は、第1瓦の下端側の端面に第2瓦の
上端側の上面へ向け突出した突出片に形成し、第2係止
部は、第2瓦の上端寄りの上面に、前記突出片が係着す
る係止孔を有した突起体として形成してもよい。第1瓦
の端面から突出させた突出片を第2瓦の上面側の突起体
に係合させて第1瓦の離脱を防止することができる。
【0012】また、前記第1及び第2係止部は前記第1
及び第2瓦の桟部側裏面に設けられてなることとしても
よい。第2瓦の上端寄り上面に下端側を重畳させた第1
瓦は、捲れ上りを生じさせ易い桟部側寄りの裏面側に相
互に係着する第1、第2係止部を設けることが好まし
い。上面側の第1瓦の桟部裏面に強風が吹き込んでも第
1瓦が第2瓦から離脱することがなく安定に保持するこ
とができる。また、第1、第2係止部は、例えば、第
1、第2瓦の桟部側寄りの上面側に設けてもよく、同様
に、第1、第2瓦の相互を安定に保持することができ
る。
【0013】次に、本発明は、上面側の第1瓦に差し込
み片を形成するとともに、下面側の第2瓦に差し込み受
部を形成し、第1瓦の差し込み片を第2瓦の差し込み受
部に差し込みつつ一部を相互に重畳させて瓦の吹き上が
り離脱を防止する瓦の吹き上がり防止方法から構成され
る。第1瓦の差し込み片と、これに係着する第2瓦の差
し込み受け部とを相互に係着させて第1瓦を第2瓦の一
部上面に重畳させるため、強風下において第1瓦が第2
瓦から捲り上げられて離脱したり、位置ずれしたりする
ことがなく、屋根全体や建物自体の耐用年数を長く保持
することができる。差し込み片と差し込み受部との係合
位置は、第1瓦と第2瓦との重畳面の下面側の近傍位置
が好適である。また、第1瓦と第2瓦との重畳面の上面
側の近傍位置で差し込み片と差し込み受部とを係合させ
てもよい。
【0014】
【実施例】以下、添付図面に基づき、本発明の実施例に
係る瓦の吹き上がり防止装置を説明する。図1は、本発
明の実施例に係る瓦の吹き上がり防止装置を備えた桟瓦
の表面斜視図である。図2は、図1に示す桟瓦の裏面斜
視図である。図3は、屋根面の野地板の上面に重畳させ
て葺設した第1、第2瓦の縦断説明図である。本発明に
係る瓦の吹き上り防止装置(以下、吹き上がり防止装置
と略する)10は、一部を相互に重畳させつつ葺設され
る上面側の第1瓦12a及び下面側の第2瓦12bを有
し、第1瓦12a及び第2瓦12bには重畳状態から瓦
どうしが離間しないように相互に係着し得る第1係止部
14a及び第2係止部14bが設けられている。この第
1係止部14a及び第2係止部14bを係着させて重畳
させた瓦の吹き上がり離脱を防止するものである。
【0015】実施例において、第1瓦12a、第2瓦1
2bは、図1、図2に示すように、それぞれが同一形状
の桟瓦であり、屋根面に葺設した下面側の各桟瓦の水流
れ上端側の上面に、上面側の各桟瓦の水流れ下端側を重
畳させつつ葺設する。上下に重畳させて葺設させた任意
の桟瓦のうちで、図3に示すように、上面側の桟瓦を第
1瓦12aとし、この第1瓦12aの下面側の桟瓦を第
2瓦12bとして説明する。
【0016】図1、図2に示すように、第1、第2瓦1
2a、12bは、平面視略四角形で両側端から縦中央線
位置の谷部15へ向けて浅く凹陥された瓦本体16を備
えている。この瓦本体16には、その左側端に沿って端
面視山形状に湾曲された桟部18と、図1上で左右斜め
対向した隅部に切欠された切り込み20、20とが形成
され、水流れ上端側の裏面には掛突起22が下方へ突設
されている。この掛突起22の略中央位置に上下面に貫
通された釘孔24が設けられている。
【0017】上面側の第1瓦12aと、下面側の第2瓦
12bは屋根面で相互に重畳させたときに、第1瓦12
a側の第1係止部14aと第2瓦12b側の第2係止部
14bとが相互に係着する。これによって第1、第2瓦
12a、12bの接合面に吹き込んだ強風で上面側の第
1瓦12aが下面側の第2瓦12bから捲れ上がるのを
防止し、屋根面に葺設した瓦に破損や位置ずれ発生する
ことがなく、瓦を葺設した屋根全体及び建物自体の耐用
年数を長く保持することができる。
【0018】図1、図2の実施例に示すように、第1、
第2係止部14a、14bは、第1、第2瓦12a、1
2bの桟部18寄り位置に設けられている。即ち、瓦本
体16の裏面の下端側の桟部18寄り位置に第1係止部
14aが設けられ、この第1係止部14aの位置を桟部
18と平行に瓦本体16の裏面に沿って上端側へ延長し
た端部裏面位置に第2係止部14bが設けられている。
従って、図3に示すように、屋根面に桟瓦を葺設する場
合に、下面側の第2瓦12bの水流れ上端側の上面位置
に上面側の第1瓦12aの下端側を重畳させると共に、
第1瓦12aを第2瓦12bへ向けて摺動させると、第
2瓦12bの第2係止部14bと第1瓦12aの第1係
止部14aが相互に係着し、第1、第2瓦12a、12
bの相互の接合面の隙間に風が吹き込んでも、上面側の
第1瓦12aが吹き上がるのを防止することができる。
【0019】図3の実施例に示すように、第1係止部1
4aは、第1瓦12aの裏面側に設けられた差し込み片
26として形成されている。また、第2係止部14bは
第2瓦12bの水流れ上端側の裏面に設けられた凹部2
8として形成されている。即ち、差し込み片26は例え
ば、断面形状が丸、角、六角、平等の棒鋼を素材とし、
略L形に折曲されている。この差し込み片26は、L形
の基部が第1瓦12aの瓦本体16の裏面位置に穿設し
た穴32に挿入されてモルタル、エポキシ樹脂のような
接着剤34で固着されている。差し込み片26のL形の
先端部は瓦本体16の裏面に対して、第2瓦12b側の
凹部28に係着するための間隙31をおいて突出されて
いる。凹部28は、第2瓦12bの瓦本体16の上端側
の裏面位置に、水流れ方向へ向けて凹陥するように設け
られている。差し込み片26はL形の挿入片構成に限ら
ない。形状は任意であるが、第1及び第2瓦の係合部に
おける吹き上がり離脱防止のため、下方側から上方へ持
ち上がるような力が加えられるときに、両瓦が簡単に離
開しないような構造であれば良い。
【0020】従って、瓦の葺設作業において、下面側に
配置された第2瓦12bと対応した上面側の第1瓦12
aを重畳させつつ葺設するときに、下面側の第2瓦12
bの凹部28に上面側の第1瓦12aの差し込み片26
を差し込みながら第2瓦12bに第1瓦12aを載着し
ながら順次葺設するものであり、差し込み片26を凹部
28に係合させて上下面の第1、第2瓦12a、12b
を連係することができる。この差し込み片26と凹部2
8とは、それぞれが瓦本体16の桟部18寄り位置の裏
面に設けているため、捲り上がりが生じ易い桟部18寄
り側の裏面位置において、上面側の第1瓦12aの桟部
18が捲り上がるのを防止することができる。また、差
し込み片26は、L形挿入片に限るものでない。要は、
下面側の第2瓦12bに設けた任意形状の第2係止部1
4bに相互に係着して上面側の第1瓦12aが風で捲り
上がるのを防止することができる任意形状の係止体であ
ればよい。
【0021】実施例において、第1、第2瓦12a、1
2bは、いずれも瓦本体16の水流れ下端側の裏面に差
し込み片26からなる第1係止部14aと、瓦本体16
の上端側の裏面に凹部28からなる第2係止部14bと
を備えている。屋根面に桟瓦を葺設するときに、水流れ
方向の下面側に配置する瓦を第2瓦12bとし、水流れ
方向の上面側に配置する瓦を第1瓦12aとして説明し
ている。しかし、屋根面で水流れ方向に重畳させた上面
側の第1瓦12aは、次の瓦を重畳させるときには下面
側の第2瓦12bとなり、第1、第2係止部14a、1
4bを共に備えた同一構成の桟瓦を相互に重畳する上面
側や下面側に兼用して葺設してもよい。
【0022】次に、添付図面に基づき、本発明の実施例
に係る瓦の吹き上がり防止方法を説明する。図3は、屋
根面に葺設した上面側の第1瓦と下面側の第2瓦との係
着状態を示した縦断説明図である。図4は、本発明に係
る瓦の吹き上がり防止方法を実施して葺設した瓦の斜視
説明図である。本実施例において、先の実施例と同一構
成部材には同一番号を付し、その詳細な説明は省略す
る。
【0023】本発明に係る瓦の吹き上がり防止方法は、
上面側の第1瓦14aに差し込み片26を形成するとと
もに、下面側の第2瓦14bに差し込み受部38を形成
し、第1瓦14aの差し込み片26を第2瓦14bの差
し込み受部38に差し込みつつ第1、第2瓦14a、1
4bの一部を相互に重畳させて瓦の吹き上がり離脱を防
止してなるものである。この瓦の吹き上がり防止方法に
おいては、一例として前述の実施例の凹部28が差し込
み受部38を構成している。
【0024】図3、図4に示すように、屋根面に瓦を葺
設する場合には、屋根面に固定した野地板40の上面
に、軒先と平行に付設した瓦桟42に各瓦12の裏面の
上端寄り位置に設けた掛突起22を係着し、また、上端
寄り位置の任意の釘孔24に止釘44を打ち込みながら
脱落を防止しつつ各瓦12の左側端部に設けた桟部18
を左右方向に隣接する他の瓦の右側端側の上面に重畳さ
せて軒先と略平行に配置させる。屋根面の水流れ方向に
おいて、上面側の第1瓦12aの水流れ下端側に設けた
差し込み片26を、この第1瓦12aと重畳する下面側
の第2瓦12bの水流れ上端側に設けた差し込み受部3
8に係合させながら第2瓦12bの上面に第1瓦12a
の下端側を重畳させて屋根面の水流れ方向へ第1、第2
瓦12a、12bを葺設する。屋根面で水流れ方向へ重
畳させた上面側の第1瓦12aは、次の瓦を重畳させる
ときには下面側の第2瓦12bとして扱われる。従っ
て、第1、第2瓦12a、12bは、上面側や下面側に
兼用して葺設し連係し得るように差し込み片26と差し
込み受部38とを備えるものである。
【0025】前述のように、上面側の瓦の差し込み片2
6は、L形の先端側を下流側に向けて形成されている。
そして、下面側の瓦の差し込み受部38は、水流れ下流
側に凹陥するように凹部を形成している。この差し込み
片26と差し込み受部38との係合により上面側の瓦が
風で吹き上がるのを防止する。差し込み片26と差し込
み受部38は上記実施例に限ることなく、例えば、上面
側の瓦に水流れ上流側に凹陥する凹部を設け、下面側の
瓦に水流れ上流側に突設した差し込み片26を設けても
良い。差し込み片と差し込み受部とは相互に係着する任
意形状でもよい。
【0026】上記したように、本発明に係る瓦の吹き上
がり防止方法は、屋根面に葺設する瓦を、上下面側の瓦
に設けた差し込み片と差し込み受部とを相互に係合させ
て瓦の吹き上がりを簡単に防止することができ、重畳さ
れた瓦の接合面側での連結力が強くて接合面の隙間に強
風が吹込んでも捲れ上がることがなく、瓦が破損した
り、位置ずれしたりすることがなく、葺設した屋根全体
及び建物自体の耐用年数を長く保持することができる。
同時に、その瓦の葺設作業も簡単で、通常の葺設作業時
間と同程度で葺設作業を行える。
【0027】上記実施例においては和型桟瓦について、
本発明に係る瓦の吹き上がり防止装置及びその方法を説
明しているが、本発明は和型桟瓦にのみに限ることな
く、その他の軒瓦に連続した桟瓦、袖瓦、或は洋型平瓦
等に実施して瓦の相互の連結力を高めて強風による瓦の
吹き上りを防止するようにしても良い。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る瓦の
吹き上がり防止装置は、一部を相互に重畳させつつ葺設
される上面側の第1瓦及び下面側の第2瓦を有し、前記
第1及び第2瓦には前記重畳状態から瓦どうしが離間し
ないように相互に係着し得る第1及び第2係止部が設け
られ、同第1及び第2係止部を係着させて瓦の吹き上が
り離脱を防止することにより、屋根面に葺設し重畳させ
た上面側の第1瓦の第1係止部と、下面側の第2瓦の第
2係止部とを相互に係着させて第1、第2瓦を連結する
ため、第1、第2瓦の相互の接合面の隙間に強風が吹込
んでも上面側の第1瓦が捲れ上がることがない。従っ
て、屋根面に葺設され重畳された各瓦が強風で吹き上が
って破損したり、位置ずれを発生することがなく、葺設
した屋根全体及び建物自体の耐用年数を長く保持するこ
とができる。
【0029】また、前記第1係止部は、前記第1瓦の裏
面側に設けられた差し込み片であり、前記第2係止部は
前記第2瓦の水流れ上端側に設けられた凹部であること
により、瓦の葺設作業に際し、上面側の第1瓦の差し込
み片を下面側の第2瓦の凹部に差し込むだけで第1瓦と
第2瓦とを手数を要することなく簡単に連係することが
できる。また、第1、第2瓦の相互に設けた差し込み片
と凹部の構成が簡単で、吹き上がり防止機構を備えた瓦
の製造コストも安価である。
【0030】また、前記第1、及び第2係止部は前記第
1及び第2瓦の桟部側裏面に設けられてなることによ
り、水流れ方向に重畳させつつ葺設する第1、第2瓦の
桟部の裏面と、この第1、第2瓦に左右方向へ重畳され
る他の瓦の上面との接合面に強風が吹き込んでも、特に
捲れ上りを生じさせ易い桟部側寄りの裏面で第1、第2
係止部が係着しているため、強風下であっても屋根面の
水流れ方向や左右方向に連続して葺設された瓦の相互を
安定に保持し、屋根面に対する瓦全体の定着を確実に維
持し得る。
【0031】次に、本発明に係る瓦の吹き上がり防止方
法は、上面側の第1瓦に差し込み片を形成するととも
に、下面側の第2瓦に差し込み受部を形成し、第1瓦の
差し込み片を第2瓦の差し込み受部に差し込みつつ一部
を相互に重畳させて瓦の吹き上がり離脱を防止すること
により、屋根面の水流れ方向に重畳させる上面側の第1
瓦と下面側の第2瓦との相互を、各第1、第2瓦に設け
た差し込み片と、差し込み受部とを係着させて連結する
ことができ、重畳された第1、第2瓦の接合面側での連
結力が強くて接合面の隙間に強風が吹込んでも捲れ上が
るのを防止でき、瓦が破損したり、位置ずれしたりする
ことがなく、葺設した屋根全体及び建物自体の耐用年数
を長く保持することができる。同時に、その瓦の葺設作
業も簡単で、通常の葺設作業時間と同程度で葺設作業を
行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る吹き上がり防止装置を備
えた瓦の表面側の斜視説明図である。
【図2】図1に示す瓦の裏面側の斜視説明図である。
【図3】屋根面に葺設した上面側の第1瓦と下面側の第
2瓦との係着状態を示した縦断説明図である。
【図4】本発明に係る吹き上がり防止装置を備えた瓦を
屋根面に葺設した状態の斜視説明図である。
【符号の説明】 10 瓦の吹き上がり防止装置 12a 第1瓦 12b 第2瓦 14a 第1係止部 14b 第2係止部 18 桟部 26 差し込み片 28 凹部 38 差し込み受部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一部を相互に重畳させつつ葺設される上
    面側の第1瓦及び下面側の第2瓦を有し、 前記第1及び第2瓦には前記重畳状態から瓦どうしが離
    間しないように相互に係着し得る第1及び第2係止部が
    設けられ、 同第1及び第2係止部を係着させて瓦の吹き上がり離脱
    を防止する瓦の吹き上がり防止装置。
  2. 【請求項2】 前記第1係止部は、前記第1瓦の裏面側
    に設けられた差し込み片であり、 前記第2係止部は前記第2瓦の水流れ上端側に設けられ
    た凹部である請求項1記載の瓦の吹き上がり防止装置。
  3. 【請求項3】 前記第1及び第2係止部は前記第1及び
    第2瓦の桟部側裏面に設けられてなる請求項1または2
    記載の瓦の吹き上がり防止装置。
  4. 【請求項4】 上面側の第1瓦に差し込み片を形成する
    とともに、下面側の第2瓦に差し込み受部を形成し、 第1瓦の差し込み片を第2瓦の差し込み受部に差し込み
    つつ一部を相互に重畳させて瓦の吹き上がり離脱を防止
    する瓦の吹き上がり防止方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006200227A (ja) * 2005-01-20 2006-08-03 Uesuto:Kk 屋根瓦およびその施工方法

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