JPH11251066A - 有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法

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Publication number
JPH11251066A
JPH11251066A JP10062145A JP6214598A JPH11251066A JP H11251066 A JPH11251066 A JP H11251066A JP 10062145 A JP10062145 A JP 10062145A JP 6214598 A JP6214598 A JP 6214598A JP H11251066 A JPH11251066 A JP H11251066A
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JP
Japan
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layer
solvent
solubility parameter
transport layer
electron
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP10062145A
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English (en)
Inventor
Satoshi Ishii
聡 石井
Hodaka Tsuge
穂高 柘植
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP10062145A priority Critical patent/JPH11251066A/ja
Publication of JPH11251066A publication Critical patent/JPH11251066A/ja
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 湿式法を用い下層有機膜を損傷せず下層有機
膜上に上層有機膜が形成された有機EL素子の提供。 【解決手段】 本発明の有機EL素子は、陽極層と陰極
層と、この陽極層と陰極層のうちの一方は透明であり、
陽極層と陰極層との間に形成された正孔輸送性有機物か
らなる正孔輸送層と、電子輸送層の成膜温度における正
孔層輸送層の溶解度パラメータの最大溶解点より±0.
4(cal/cm31/2以上離れた溶解度パラメータを
有する溶液であって、かつ105℃以下の沸点を有し、
かつ室温における前記溶媒中への水の溶解度が2重量%
以下である溶媒に溶解可能なバインダー材料としての高
分子化合物と該溶媒に溶解可能あるいは分散可能な電子
輸送性低分子とからなり、または高分子化合物B電子輸
送性高分子であるときは、電子輸送性低分子無しでも良
く、正孔輸送層と陰極層間に前記溶媒を用いて湿式法に
より形成された電子輸送層とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機エレクトロル
ミネッセンス素子に関し、特に簡易な構造を有しながら
発光効率の高い有機エレクトロルミネッセンス素子と、
その有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】現在種々の発光素子が使用されている
が、面発光が可能で、大面積の発光素子の製造可能性か
ら有機エレクトロルミネッセンス素子が注目されてい
る。
【0003】有機エレクトロルミネッセンス素子は、そ
の特徴から、自動車、自転車等の方向指示機やテールラ
ンプなど、パーソナルコンピューター、ファミリーコン
ピューターなどのディスプレイ、液晶表示装置のバック
ライト、玩具用発光素子、道路工事用夜間表示灯などの
用途に用いられることが予想される。
【0004】従来、有機エレクトロルミネッセンス素子
では、陽極/有機発光層/陰極の構造の単層有機エレク
トロルミネッセンス素子が知られている。陰極からは電
子が発光層に注入され、陽極からは正孔が発光層に注入
される。注入された電子と正孔が、発光層内で再結合す
るときに発光が行われる。
【0005】その後、種々の構造を持った有機エレクト
ロルミネッセンス素子が開発されている。例えば、陽極
/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる多層
積層構造である。正孔輸送層/発光層/電子輸送層は薄
膜として形成されている。
【0006】正孔輸送層は陽極から注入される正孔を発
光層まで輸送するための層であり、電子輸送層は陰極か
ら注入される電子を発光層まで輸送するための層であ
る。発光層は正孔輸送層と陰極の間に設けられ、発光材
として蛍光物質を含んでいる。発光層は高い発光量子効
率を有する蛍光物質単体、あるいはこれらが低分子ある
いは高分子化合物中に分散させられた形で形成されてい
る。発光材は、色素レーザー用の色素、蛍光増白剤、あ
るいは紫外線照射により蛍光を示す蛍光物質の中から任
意に用いることができる。
【0007】上記構造以外に、例えば正孔注入層、電子
注入層、正孔阻止層が設けられた有機エレクトロルミネ
ッセンス素子も知られている。
【0008】例えば、特開平3−137186号公報に
は、陽極/正孔注入輸送層/発光層/正孔阻止層/陰極
からなる多層積層構造の有機エレクトロルミネッセンス
素子が開示されている。正孔阻止層は、発光層と陰極の
間に設けられる。正孔阻止層が設けられない場合には、
発光に寄与することがない正孔は発光層内を通過してゆ
く。正孔阻止層はそのような正孔を発光層内にとじ込
め、発光に寄与させるために使用される。この結果、高
い発光効率が得られる。
【0009】電子注入層は、発光層と陰極の間あるいは
正孔阻止層と陰極の間に設けられ、陰極からの電子の注
入を容易にする。正孔注入層は、発光層と陽極の間に設
けられ、陽極からの正孔の注入を容易にする。
【0010】従来の有機エレクトロルミネッセンス素子
の製造において、各有機層は蒸着法により形成されてい
た。しかしながら、蒸着法で大面積の有機エレクトロル
ミネッセンス素子を生産することは生産効率の点で問題
がある。
【0011】そこで、有機層が浸漬塗工法により形成さ
れる有機エレクトロルミネッセンス素子が特開平3―1
37186号公報に開示されている。また、特開平4−
2096号公報には、有機層が塗布により形成されてい
る。これにより、生産効率を改善できる可能性がでてき
た。
【0012】ところが、十分な性能をもつ有機エレクト
ロルミネッセンス素子を得るには、厳しく管理された成
膜条件の下で、数十nmの有機薄膜を塗布形成する必要
がある。特開平3―137186号公報、また、特開平
4−2096号公報に述べられているように、有機層の
上に更に有機層を塗布形成する際には、下層が実質的に
溶解あるいは溶出しないことが大切である。しかしなが
ら、どのような条件で成膜すれば下層を実質的に溶解あ
るいは溶出することなく上層を塗布形成することができ
るかは上記引例には何らの記載もない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】量子効率の点から積層
構造と単層構造を比較すると積層構造を有する有機エレ
クトロルミネッセンス素子の方が発光効率が高く優れて
いる。これは、積層構造では、界面でキャリアがブロッ
クされることにより、キャリアの再結合確率が高まり、
また、再結合部位が界面に集約され、金属電極による一
重項励起子の消光が防げることによる。よって積層構造
を有する有機エレクトロルミネッセンス素子では単層構
造の有機エレクトロルミネッセンス素子と比べて少ない
パワーで同じ発光を得ることができる。
【0014】そのような積層構造を実現するために従来
の有機エレクトロルミネッセンス素子では蒸着法が用い
られている。しかしながら、蒸着法では大規模な素子を
実現するのは困難である。また、生産効率も悪い。そこ
で、例えば塗布法のような湿式法により有機膜を形成す
ることが考えられた。この方法では、大規模な素子を容
易に実現でき、また生産効率もよい。
【0015】しかしながら、下層の有機膜を形成した後
に、上層を湿式法により形成する場合、下層の有機膜が
溶け、界面での材料の濃度バランスがくずれ、キャリア
をブロックする効果が減少するという問題がある。また
下層の有機膜の膜厚は薄いので、下層にピンホール等が
形成され、良質な有機エレクトロルミネッセンス素子を
得ることが困難であるという問題があった。
【0016】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたものである。従って、本発明の目的は、湿式法を用
いて下層有機膜を損傷することなく下層有機膜の上に上
層有機膜を形成する有機エレクトロルミネッセンス素子
の製造方法を提供することにある。
【0017】また、本発明の他の目的は、簡易な構造で
発光効率のよい有機エレクトロルミネッセンス素子を提
供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の有機エレクトロ
ルミネッセンス素子は、陽極として作用する陽極層と、
陰極として作用する陰極層と、前記陽極層と前記陰極層
のうちの一方は透明であり、前記陽極層と前記陰極層と
の間に形成された正孔輸送性有機物からなる正孔輸送層
と、前記正孔輸送層中の有機物の溶解度パラメーターの
最大溶解点より±0.4(cal/cm3)1/2以上離れた溶解
度パラメーターを有する溶媒で、かつ常圧において10
5℃以下の沸点を有し、かつ室温における前記溶媒中へ
の水の溶解度が2重量%以下である溶媒に溶解可能なバ
インダー材料としての高分子化合物と該溶媒に溶解可能
あるいは分散可能な電子輸送性低分子とからなり、また
は前記高分子化合物が電子輸送性高分子であるときに
は、該電子輸送性低分子無しでも良く、前記正孔輸送層
と前記陰極層との間に前記溶媒を用いて湿式法により形
成された電子輸送層とを具備することを特徴とする。こ
こで前記溶媒は、2種類以上の溶媒からなる混合溶媒で
も良く、ここで、溶解度パラメーターは、前記電子輸送
層の成膜温度における溶解度パラメーターを意味し、以
下の式で表され、
【0019】SP={(ΔH−RT)/V}1/2
【0020】ここで、SPは溶解度パラメーター(cal/
cm3)1/2であり、ΔHは蒸発熱(cal/mol)であり、Rは
気体定数(cal/(mol・K))であり、Tは絶対温度Kであ
り、Vはモル体積cm3/molである。
【0021】また、本発明の有機エレクトロルミネッセ
ンス素子は、陽極として作用する陽極層と、陰極として
作用する陰極層と、前記陽極層と前記陰極層のうちの一
方は透明であり、前記陽極層と前記陰極層との間に形成
された正孔輸送性有機物からなる正孔輸送層と、前記正
孔輸送層中の有機物の溶解度パラメーターの最大溶解点
より±0.4(cal/cm3)1/2以上離れた溶解度パラメー
ターを有する溶媒で、かつ常圧において105℃以下の
沸点を有し、かつ室温における前記溶媒中への水の溶解
度が2重量%以下である溶媒に溶解可能なバインダー材
料としての高分子化合物と該溶媒に溶解可能あるいは分
散可能な電子輸送性低分子とからなり、または前記高分
子化合物が電子輸送性高分子であるときには、該電子輸
送性低分子無しでも良く、前記正孔輸送層と前記陰極層
との間に前記溶媒を用いて湿式法により形成された電子
輸送層とを具備し、前記電子輸送層の形成後の走査距離
500μmにおける中心線平均粗さ(Ra)は10nm
以下であることを特徴とする。ここで前記溶媒は2種類
以上の溶媒からなる混合溶媒でも良く、ここで、溶解度
パラメーターは、前記電子輸送層の成膜温度における溶
解度パラメーターを意味し、以下の式で表され、
【0022】SP={(ΔH−RT)/V}1/2
【0023】ここで、SPは溶解度パラメーター(cal/
cm3)1/2であり、ΔHは蒸発熱(cal/mol)であり、Rは
気体定数(cal/(mol・K))であり、Tは絶対温度Kであ
り、Vはモル体積cm3/molである。
【0024】ここで、前記正孔輸送層はポリ(N−ビニ
ルカルバゾール)からなる層であることが望ましい。
【0025】前記溶媒は、前記正孔輸送層がポリ(N−
ビニルカルバゾール)からなる層である場合、室温にお
いて9.3(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを
有する溶媒、または室温において9.3(cal/cm3)1/2
以下の溶解度パラメーターを有し、ケトン、エステル、
エーテル、アルコール、カルボン酸、アミン、アルデヒ
ド類等の水素結合の強い溶媒を除く炭化水素、ハロゲン
化炭化水素、ニトロ化炭化水素、ニトリル類等の水素結
合の弱い溶媒であることが望ましい。
【0026】前記正孔輸送層と前記電子輸送層の少なく
とも一方はさらにドーピング発光材料としての蛍光物質
を含有していることが望ましい。
【0027】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素
子の製造方法は、基板上に陽極として作用する陽極層を
形成するステップと、正孔輸送性有機物が溶解された第
1の溶媒溶液を用いて湿式法により前記陽極層上に正孔
輸送層を形成するステップと、電子輸送層の成膜温度に
おける前記正孔輸送層中の有機物の溶解度パラメーター
の最大溶解点より±0.4(cal/cm3)1/2以上離れた溶
解度パラメーターを有する溶媒で、かつ常圧において1
05℃以下の沸点を有し、かつ室温における前記溶媒中
への水の溶解度が2重量%以下である第2の溶媒中にバ
インダー材料としての高分子化合物が溶解され、電子輸
送性低分子が溶解あるいは分散された第2の溶媒溶液、
あるいは前記高分子化合物が電子輸送性高分子である場
合は前記電子輸送性低分子無しでも良い前記第2の溶媒
溶液を用いて湿式法により前記正孔輸送層上に電子輸送
層を形成するステップと、陰極として作用する陰極層を
前記電子輸送層上に形成するステップとを具備すること
を特徴とする。ここで前記溶媒は、2種類以上の溶媒か
らなる混合溶媒でも良く、ここで、溶解度パラメーター
は、以下の式で表され、
【0028】SP={(ΔH−RT)/V}1/2
【0029】ここで、SPは溶解度パラメーター(cal/
cm3)1/2であり、ΔHは蒸発熱(cal/mol)であり、Rは
気体定数(cal/(mol・K))であり、Tは絶対温度Kであ
り、Vはモル体積cm3/molである。
【0030】前記正孔輸送層はポリ(N−ビニルカルバ
ゾール)からなる層であることが望ましい。
【0031】前記第2の溶媒は、前記正孔輸送層がポリ
(N−ビニルカルバゾール)からなる層である場合、室
温において9.3(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメー
ターを有する溶媒、あるいは前記第2の溶媒は、室温に
おいて9.3(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーター
を有し、ケトン、エステル、エーテル、アルコール、カ
ルボン酸、アミン、アルデヒド類などの水素結合の強い
溶媒を除く炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化炭
化水素、ニトリル類等の水素結合の弱い溶媒であること
が望ましい。
【0032】前記正孔輸送層と前記電子輸送層の少なく
とも一方はさらにドーピング発光材料としての蛍光物質
を含有していることが望ましい。
【0033】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照して、本
発明による有機エレクトロルミネッセンス素子について
詳細に説明する。
【0034】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素
子は、陽極/正孔輸送層/電子輸送層/陰極の積層構造
を有する。ドーピング発光材料としての蛍光物質は、電
子輸送層内に分散されることが望ましいが、正孔輸送層
内に分散されてもよいし、あるいは電子輸送層と正孔輸
送層の両方に分散されていてもよい。また、正孔輸送層
中の正孔輸送性有機物と電子輸送層中の電子輸送性有機
物の少なくとも一方が蛍光物質である場合は、ドーピン
グ発光材料としての蛍光物質は分散されていなくても良
い。ここで、正孔輸送層が発光層である場合は、正孔輸
送層は、正孔輸送発光層を意味する。また電子輸送層が
発光層である場合は、電子輸送層は電子輸送発光層を意
味する。また、必要により、他の層、例えば、発光効率
を向上させるために正孔阻止層や電子阻止層、あるいは
バッファ層として正孔注入層や電子注入層を設けてもよ
い。
【0035】陽極としては透明絶縁性支持体、例えばガ
ラス基板上に形成された透明な導電性物質が用いられ
る。陽極の材料としては、酸化錫、酸化インジウム、酸
化錫インジウム(ITO)などの導電性酸化物、あるい
は金、銀、クロムなどの金属、よう化銅、硫化銅などの
無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリ
アニリン等の導電性ポリマーなどを挙げることができ
る。陰極が透明な場合には陽極は不透明な材料で形成さ
れてもよい。但し、陽極としてポリマーが使用されると
きは、正孔輸送層を形成するときに、溶出しないことが
必要である。
【0036】正孔輸送層は、正孔輸送性有機物を含む有
機層である。正孔輸送層用の有機物は、
【化10】 [化10]に示すポリ(N−ビニルカルバゾール)(以
下PVKともいう)、
【化11】 [化11]に示すポリ(パラ−フェニレンビニレン)な
どの高分子からなることが好ましい。あるいは、
【化12】 [化12]に示すN,N’−ジフェニル−N,N’−ビ
ス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−
4,4’−ジアミン(以下TPDともいう)、
【化13】 [化13]に示す4,4’−ビス(9−カルバゾリル)
ビフェニル、
【化14】 [化14]に示すN,N’−ジフェニル−N,N’−ビ
ス(1−ナフチル)―1,1’−ビフェニル−4,4’
−ジアミン、
【化15】 [化15]に示す4,4’−ビス(10−フェノチアジ
ニル)ビフェニル、
【化16】 [化16]に示すカッパーフタロシアニン等の正孔輸送
性低分子からなることが好ましい。
【0037】電子輸送層は、電子輸送性低分子とバイン
ダー材料としての高分子化合物からなる有機層であり、
さらにドーピング発光材料としての蛍光物質を含有する
ことが望ましい。また、前記高分子化合物が電子輸送性
高分子である場合には、前記電子輸送性低分子は無くと
もよい。
【0038】蛍光物質は、クマリン1、クマリン2、ク
マリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン10
2、クマリン106、クマリン334、クマリン33
7、
【化19】 [化19]に示す(2−(2−(4−(ジメチルアミ
ノ)フェニル)エテニル)−6−メチル−4H−ピラン
−4−イリデネ)プロパンジニトリル(以下DCMとも
いう)、ナイルレッドなどの色素類、5,6,11,1
2−テトラフェニルナフタセン(以下ルブレンともい
う)、キナクリドン、芳香族化合物、アントラセン、ア
ニン系などの芳香族アミン、芳香族イミンの誘導体、
【化18】 [化18]に示す1,1,4,4−テトラフェニル−
1,3−ブタジエン(以下TPBともいう)、1−(9
−アントラセニル)−4−フェニル−1、3−ブタジエ
ン、1−(4−キノリル)−4−(P−ジメチルアミ
ノ)フェニル−1,3−ブタジエンなどのブタジエン誘
導体、アクリジンの誘導体、4,4’−ビス(5−メチ
ル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベンなどのスチル
ベンの誘導体、1,3−イソベンゾフランなどのイソベ
ンゾフランの誘導体、1,3−ジピレニルプロパンなど
のエキサイマーあるいはエキサイプレックス発光を示す
化合物、7−(p−メトキシベンジルアミノ)−4−ニ
トロベンゾオキサジアゾールなどのベンゾオキサジアゾ
ール誘導体、オキサゾール、オキサジアゾ−ル、ベンゾ
イミダゾール、チアゾール誘導体などの蛍光増白剤、8
−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、ル
テニウム錯体、希土類錯体、ベンゾイルトリフルオロア
セトン、フロイルトリフルオロアセトン、ヘキサフルオ
ロアセトンのユーロビウム錯体に代表されるような蛍光
性の金属錯体、希土類錯体、あるいはピコリン酸テルビ
ウムなどの希土類塩などをあげることができる。ここ
で、蛍光物質が正孔輸送層内に分散される場合は、蛍光
物質は電子輸送層の形成時に使用される溶媒に不溶であ
ることが望ましい。
【0039】電子輸送性低分子は、
【化5】 [化5]に示すトリス(8−ヒドロキシキノリナート)
アルミニウム(以下Alq3ともいう)、
【化6】 [化6]に示す3−(4−ビフェニリル)−5−(4−
tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−1,2,
4−トリアゾール(以下、TAZともいう)、
【化7】 [化7]に示す2−(4−ビフェニリル)−5−(4−
tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジア
ゾール(以下PBDともいう)、
【化8】 [化8]に示す4,4’−ビス(1,1−ジフェニルエ
テニル)ビフェニル(以下にDPVBiともいう)、
【化9】 [化9]に示す2,5−ビス(1−ナフチル)−1.
3.4−オキサジアゾール(以下にBNDともいう)、
【化17】 [化17]に示される4,4’−ビス(1,1−ビス
(4−メチルフェニル)エテニル)ビフェニル(以下D
TVBiとも言う)、
【化20】 [化20]に示される2,5−ビス(4−ビフェニソ
ル)−1.3.4−オキサジアゾール(以下BBDとも
いう)などを挙げることができる。
【0040】また、高分子化合物は、ポリ(エチレン−
co−ビニルアセテート)、ポリブタジエンのcisとtra
ns、ポリ(2−ビニルナフタレン)、ポリビニルピロリ
ドン、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、
ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(2−ビニルピリジン
−co−スチレン)、ポリアセナフチレン、ポリ(アクリ
ロニトリル−co−ブタジエン)、ポリ(ベンジルメタク
リレート)、ポリ(ビニルトルエン)、ポリ(スチレン
−co−アクリロニトリル)、ポリ(4−ビニルビフェニ
ル)、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0041】また、電子輸送性高分子は、
【化1】
【化2】 [化1]、[化2]で示されるようなオキサジアゾール
系高分子化合物、
【化3】
【化4】 [化3]、[化4]で示されるようなトリアゾール系高
分子化合物などが挙げられる。
【0042】電子輸送層の形成に使用される溶媒は、前
記電子輸送層の成膜温度における前記正孔輸送層中の有
機物の溶解度パラメーターの最大溶解点より±0.4
(cal/cm3)1/2以上離れた溶解度パラメーターを有する
溶媒で、かつ、常圧において105℃以下の沸点を有
し、かつ室温における上記溶媒中への水の溶解度が2重
量%以下である溶媒であり、ここで前記溶媒は、2種類
以上の溶媒からなる混合溶媒でも良く、2,4−ジメチ
ルペンタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサ
ン、2,2,4−トリメチルペンタン、1,1,2,2
−テトラクロロ−1,2−ジフルオロエタン、1−ヘプ
テン、ヘキサン、ヘプタン、2−クロロブタン、メチル
シクロペンタン、1−クロロブタン、シクロヘキセン、
シクロヘキサン、2,3−ジメチルブタン、テトラクロ
ロメタン、ヘキサフルオロベンゼン、1−クロロ−2−
メチルプロパン、1,1,1−トリクロロエタン、1−
ブロモプロパン、ジエチルスルファイド、トリクロロエ
チレン、フルオロベンゼン、1.2−ジクロロプロパ
ン、ベンゼン、イソブチロニトリル、1,2−ジクロロ
エタン、チオフェン、クロロブロモメタン、等及び、こ
れらの混合溶媒が挙げられる。
【0043】これらの溶媒のうち、正孔輸送層がポリ
(N−ビニルカルバソール)からなるときに電子輸送層
の形成に使用される溶媒は、室温において、9.3(ca
l/cm31/2以下の溶解度パラメーターを有し、ケト
ン、エステル、エーテル、アルコール、カルボン酸、ア
ミン、アルデヒド類などの水素結合の強い溶媒を除く炭
化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化炭化水素、ニト
リル類等の水素結合の弱い溶媒である事が望ましく、こ
こで前記溶媒は、2種類以上の溶媒からなる混合溶媒で
も良く、2,4−ジメチルペンタン、2−メチルヘキサ
ン、3−メチルヘキサン、2,2,4−トリメチルペン
タン、1,1,2,2−テトラクロロ−1,2−ジフル
オロエタン、1−ヘプテン、ヘキサン、ヘプタン、2−
クロロブタン、メチルシクロペンタン、1−クロロブタ
ン、シクロヘキセン、シクロヘキサン、2,3−ジメチ
ルブタン、テトラクロロメタン、ヘキサフルオロベンゼ
ン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1,1,1−ト
リクロロエタン、1−ブロモプロパン、ジエチルスルフ
ァイド、トリクロロエチレン、フルオロベンゼン、1,
2−ジクロロプロパン、ベンゼン等及び、これらの混合
溶媒が望ましい。
【0044】ここで、溶解度パラメーターは、以下の式
で表される。
【0045】SP={(ΔH−RT)/V}1/2
【0046】ここで、SPは溶解度パラメーター(cal/
cm3)1/2であり、ΔHは蒸発熱(cal/mol)であり、Rは
気体定数(cal/(mol・K))であり、Tは絶対温度Kであ
り、Vはモル体積cm3/molである。
【0047】陰極として好ましいのは例えばインジウ
ム、銀、金、銅、錫、アルミニウム、鉛、マグネシウ
ム、リチウム、ランタン、ユーロピウム、イッテルビウ
ムなどの金属や希土類単体、フッ化リチウムあるいはこ
れらを複合して形成した半透明または不透明電極が挙げ
られる。
【0048】次に、本発明の有機エレクトロルミネッセ
ンス素子の製造方法について説明する。
【0049】最初に、ガラス基板のような透明基板上に
陽極が蒸着される。
【0050】次に、正孔輸送層用の前記正孔輸送性の高
分子あるいは低分子が第1の溶媒中に溶解される。その
第1の溶媒溶液から湿式法により陽極上に正孔輸送層が
形成される。このとき、溶媒は自然乾燥により蒸発し
て、正孔輸送層が形成される。加熱、紫外線の照射によ
る重合、硬化等の処理は行う必要がない。従って、製造
工程が簡単であり、生産効率を向上させることができ
る。
【0051】本発明で使用される湿式法には、たとえば
キャスティング法、ブレードコート法、浸漬塗工法、ス
ピンコート法、スプレイコート法、ロール塗工法などの
通常の塗工法が含まれる。
【0052】次に、第2の溶媒中に前記電子輸送性低分
子とバインダー材料としての前記高分子化合物が溶解さ
れる。この第2の溶媒は、電子輸送層の成膜温度におけ
る輸送層中の有機物の溶解度パラメーターの最大溶解点
より±0.4(cal/cm31/2以上離れた溶解度パラメ
ーターを有し、かつ、常圧において105℃以下の沸点
を有する溶媒で、かつ室温における前記第2の溶媒中へ
の水の溶解度が2重量%以下である溶媒である。ここで
前記第2の溶媒は2種類以上の溶媒からなる混合溶媒で
も良い。例えば、前記第2の溶媒は、正孔輸送層中の正
孔輸送性有機物がポリ(N−ビニルカルバゾール)であ
る場合、室温において9.3(cal/cm31/2以下の溶
解度パラメーターを有し、ケトン、エステル、エ−テ
ル、アルコ−ル、カルボン酸、アミン、アルデヒド類等
の、水素結合の強い溶媒を除く炭化水素、ハロゲン化炭
化水素、ニトロ化炭化水素、ニトリル類等の水素結合の
弱い溶媒であることが望ましく、2,4−ジメチルペン
タン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,
2,4−トリメチルペンタン、1,1,2,2−テトラ
クロロ−1,2−ジフルオロエタン、1−ヘプテン、ヘ
キサン、ヘプタン、2−クロロブタン、メチルシクロペ
ンタン、1−クロロブタン、シクロヘキセン、シクロヘ
キサン、2,3−ジメチルブタン、テトラクロロメタ
ン、ヘキサフルオロベンゼン、1−クロロ−2−メチル
プロパン、1,1,1−トリクロロエタン、1−ブロモ
プロパン、ジエチルスルファイド、トリクロロエチレ
ン、フルオロベンゼン、1,2−ジクロロプロパン、ベ
ンゼン等及び、これらの混合溶媒が挙げられる。
【0053】いずれにしても、室温における前記第2の
溶媒中への水溶解度は2重量%以下であり、1重量%以
下であることがより好ましい。これにより、上層を成膜
したときに、溶媒溶液中の水分が残留して下層と上層の
界面にボイドが発生したり、発光特性を劣化させること
が無くなる。
【0054】また、前記第2の溶媒の常圧における沸点
は105℃以下であり、さらに65℃以上であることが
より好ましい。これにより、上層を成膜した時に、溶媒
の沸点が高く気化が遅い事による下層の溶出や、沸点が
低く気化が早い事による面粗度の悪化が防げ、発光特性
を劣化させることが無くなる。
【0055】また、この第2の溶媒溶液中に、さらにド
ーピング発光材料としての蛍光物質が溶解あるいは分散
させられることが望ましく、また前記高分子化合物が電
子輸送性高分子である場合は、前記電子輸送性低分子は
無くともよい。この第2の溶媒溶液を用いて、湿式法に
より下層の正孔輸送層の上に電子輸送層が形成される。
ここで正孔輸送層が発光層である場合は、正孔輸送層
は、正孔輸送発光層を意味する。また、電子輸送層が発
光層である場合は、電子輸送層は電子輸送発光層を意味
する。従って、湿式法により上記正孔輸送層の上に電子
輸送層が形成されるときに、下層の正孔輸送層中の有機
層は溶媒によりほとんど溶かされず、正孔輸送層と電子
輸送層との界面が粗くはならない。よって界面での材料
の濃度バランスがくずれる事もなく、キャリアである電
子あるいは正孔をブロックする効果が発生し、高い発光
効率が得られる。
【0056】その後、陰極が蒸着法等により形成され、
有機エレクトロルミネッセンス素子が完成する。
【0057】
【実施例】[実験1]サンプルを3つ作り発光特性を調
べた。
【0058】第1のサンプルは、陽極/バイポーラー発
光層/陰極の単層構造を有する。陽極は市販のITO基
板(旭ガラス社製:20Ω/□)を使用した。バイポー
ラー発光層は、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(以
下、PVKという)と、2−(4−ビフェニリル)−5
−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサ
ジアゾール(以下、PBDという)からなり、クマリン
6をドーピング発光材料として含んでいる。バイポーラ
ー発光層はスピンコート法により100nmの厚さを有
するように形成された。陰極は、Mg、Agからなり共
蒸着法により形成された。
【0059】第2のサンプルは、陽極/正孔輸送層/電
子輸送発光層/陰極の積層構造を有する。陽極は市販の
ITO基板(旭ガラス社製:20Ω/□)を使用した。
正孔輸送層は、PVKからなり、40nmの膜厚を有す
るようにスピンコート法で形成された。電子輸送層は、
トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム
(以下、Alq3という)からなり、60nmの膜厚を
有するように蒸着法により形成された。陰極は、Mg、
Agからなり、共蒸着法により形成された。
【0060】第3のサンプルは、陽極/正孔輸送層/電
子輸送発光層/陰極の積層構造を有する。第3のサンプ
ルはすべての層が蒸着法により製作された。このサンプ
ルはTangにより公表された構造として有機エレクトロル
ミネッセンス素子で代表的な素子構造をもっている。陽
極は市販のITO基板(旭ガラス社製:20Ω/□)を
使用した。正孔輸送層は、N,N’−ジフェニル−N,
N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェ
ニル−4,4’−ジアミン(以下、TPDという)から
なり、40nmの膜厚を有する様に形成された。電子輸
送層は、Alq3からなり、60nmの膜厚を有する様
に形成された。陰極は、Mg、Agからなり、共蒸着法
により形成された。
【0061】これらの素子で発光特性を確認したとこ
ろ、蒸着法により製造されたか湿式塗布法により製造さ
れたかにかかわらず、積層構造を有する有機エレクトロ
ルミネッセンス素子は、単層構造を有する有機エレクト
ロルミネッセンス素子より高い量子効率を有することが
分かった。量子効率は発光強度に直接影響するので、積
層構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を形
成すべきことが分かった。
【0062】しかしながら、積層構造を蒸着法で形成す
ることは有機エレクトロルミネッセンス素子の量産化を
考慮したとき、生産性が悪い。従って、湿式法により生
産性を上げることが考えられた。
【0063】[実験2]陽極/正孔輸送層/電子輸送発
光層/陰極の積層構造を有するサンプルでの発光特性を
調べる実験をおこなった。
【0064】陽極材料として市販のITO基板(旭ガラ
ス社製:20Ω/□)を使用した。正孔輸送層としてP
VK層がスピンコート法により50nmの膜厚を有する
様に形成された。電子輸送層は電子輸送性低分子として
PBDを含み、バインダー材料としてポリスチレン(以
下、PSという)を含みドーピング発光材料としてクマ
リン6を含む。PBDとPSとクマリン6が1,2−ジ
クロロエタン溶媒中に溶解され、正孔輸送層が形成され
ている基板を回転した状態でスピンコートされ、50n
mの膜厚を有する様に形成された。その後、陰極材料の
Mg、Agが共蒸着されてサンプルが完成した。
【0065】完成したサンプルの発光特性を調べようと
したところ、ほとんど発光しなかった。これは、1,2
−ジクロロエタンがPVK層を溶解し、ピンホールが形
成されたためと考えられる。
【0066】湿式法により積層構造を形成する場合、上
層を形成するときに下層が溶解されるおそれがあること
が特開平3−137186号公報に記載されている。し
かしながら、特開平3−137186号公報は上記問題
の指摘にとどまり、どのような溶媒を使用すべきか具体
的な解決策を何ら提示していない。また、上記公報では
上層を形成する前に、加熱あるいは紫外線照射等により
下層を硬化あるいは重合させておくことが好ましいと述
べているが、それでは余分な工程が必要であり、製造工
程が複雑になり、安価に有機エレクトロルミネッセンス
素子を提供することができない。
【0067】[実験3]そこで、溶媒と湿式法との関係
を調べる実験を行った。
【0068】ガラス基板上に陽極/PVK層の構造を有
する複数のサンプルを製作した。陽極材料として市販の
ITO基板(旭ガラス社製:20Ω/□)を使用した。
PVK層は、1000rpmで基板を回転させて、1秒
間のスピンコートにより約80nmの膜厚を有するよう
に成膜した。
【0069】図1(a)に示される様に、PVK成膜後
の基板を静止させた状態でサンプル1では、トリクロロ
エチレンを滴下してから基板を1000rpmで1秒間
回転させてスピンコートを行いPVK層の膜厚の変化を
調べた。同様にサンプル2では、スチレンを滴下してか
ら基板を1000rpmで1秒間回転させてスピンコー
トを行いPVK層の膜厚の変化を調べた。
【0070】膜厚は、図1(b)に示される様に、PV
Kに対して良溶媒である1,2−ジクロロエタン中に基
板を1mm/秒の速度で半分まで下降させ、下降端で1
0秒間に静止後1mm/秒の速度で上昇させることを2
回繰り返し、PVKを半分除去し、その段差を測定する
ことにより求めた。
【0071】図2は各溶媒によるPVK層の溶解後の膜
厚を示す。図2から明らかなように、実験前にはPVK
層の膜厚は約80nmであった。サンプル1では、PV
K層の膜厚は70nmと10%ほどしか減少しなかっ
た。サンプル2では、PVK層の膜厚は約30nmにま
で減少していた。PVK層は約60%溶出している。こ
れにより、上層の有機膜としての電子輸送層を形成する
際に、下層の有機膜が溶かされていることが分かった。
【0072】上記各溶媒の溶解度パラメーターは、室温
においてどちらも、PVKの可溶範囲内である9.3
(cal/cm3)1/2であり、溶解度パラメーターが同じで
あっても溶出量が異なっている。これは、トリクロロエ
チレンは常圧における沸点が87.2℃と低く、PVK
が溶出する前に気化してしまうのに対し、スチレンは1
45.1℃と高く、気化する前にPVKが溶出してしま
う為と思われる。
【0073】[実験4]次に、下層有機層の溶解性が溶
媒の沸点と溶解度パラメーターによりどのような影響を
受けるかを調べた。
【0074】ガラス基板上に陽極/PVK層の構造を有
する複数のサンプルを製作した。陽極材料として市販の
ITO基板を使用した。PVK層は、1000rpmで
基板を回転させて1秒間のスピンコートにより約80n
mの膜厚を有するように成膜した。
【0075】溶媒として、クロロホルム、ベンゼン、フ
ルオロベンゼン、トリクロロエチレン(以下、TriC
Eという)、トルエン、スチレン、1,2−ジクロロエ
タン(以下、DCEという)、1,1,2,2−テトラ
クロロエタン(以下、TetCEという)、チオフェン
を用意した。各溶媒についてPVK層の溶解実験を行っ
た。図1(a)に示されるように、PVK成膜後の基板
を静止させた状態で溶媒を基板に滴下し、その後基板を
1000rpmで1秒間回転させてスピンコートを行い
PVK層の膜厚の変化を調べた。
【0076】膜厚は図1(b)に示される様に、実験3
と同様に求めた。
【0077】
【表1】
【0078】表1は、各溶媒の常圧における沸点と、室
温における溶解度パラメーターを示す。
【0079】表1から分かるように、クロロホルムは沸
点が61.2℃で、9.4(cal/cm31/2の溶解度パ
ラメーターを有する。ベンゼンは沸点が80.1℃で、
9.2(cal/cm31/2の溶解度パラメーターを有す
る。フルオロベンゼンは沸点が84.7℃で、9.0
(cal/cm31/2の溶解度パラメーターを有する。トリ
クロロエチレンは沸点が87.2℃で、9.3(cal/c
m31/2の溶解度パラメーターを有する。トルエンは沸
点が110.6℃で、8.9(cal/cm31/2の溶解度
パラメーターを有する。スチレンは沸点が145.1℃
で、9.3(cal/cm31/2の溶解度パラメーターを有
する。1,2−ジクロロエタンは沸点が83.5℃で、
9.7(cal/cm31/2の溶解度パラメーターを有す
る。1,1,2,2−テトラクロロエタンは、沸点が1
46.3℃で9.1(cal/cm31/2の溶解度パラメー
ターを有する。チオフェンは、沸点が84.2℃で9.
9(cal/cm31/2の溶解度パラメーターを有する。こ
こで沸点は常圧における値、溶解度パラメーターは室温
における値である。
【0080】室温におけるPVKの溶解度パラメーター
の可溶範囲は、8.8(cal/cm31/2より大きく、1
0.1(cal/cm31/2未満であり、最大溶解点は9.
7(cal/cm31/2付近に存在すると考えられ、前記の
各溶媒はこの範囲内に入っている。
【0081】図3は、各溶媒によるPVK層の溶解後の
膜厚を示す。図3から明らかなように、各溶媒により1
0−80%のPVK層が溶出することが分かった。
【0082】室温における溶解度パラメーターが、PV
Kの最大溶解点9.7(cal/cm31/2より±0.4(c
al/cm31/2以上離れた溶解度パラメーターを有する溶
媒においては、常圧における沸点が80℃付近のベンゼ
ン、フルオロベンゼン、トリクロロエチレンではPVK
の膜厚の減少は約10%と小さかった。これらに対し
て、常圧における沸点が110℃付近のトルエンでは、
約40%、140℃付近のスチレン、1,1,2,2−
テトラクロロエタンでは約60%のPVKの膜厚の減少
がみられた。
【0083】即ち、沸点の低い、即ち常圧において10
5℃以下のトリクロロエチレン(87.2℃)などの溶
媒を用いた場合には、スピンコートを行っても、PVK
層を溶出する前に溶媒が気化していると考えられる。
【0084】一方、沸点の高い、即ち常圧において10
5℃より大きいトルエン(110.6℃)等の溶媒を用
いた場合には、スピンコートを行ったとき、それらの溶
媒が気化する前にPVK層を溶出していると考えられ
る。従って、PVK層(下層有機層)の溶解度パラメー
ターの可溶範囲であっても、沸点の低い、例えば沸点が
常圧において105℃以下の溶媒を使用すれば下層のP
VK層を溶解することなく、上層を湿式法により形成す
ることができることが分かった。
【0085】しかしながら、室温における溶解度パラメ
ーターが、PVKの最大溶解点9.7(cal/cm31/2
より±0.4(cal/cm31/2未満の範囲においては、
常圧における沸点が60℃付近のクロロホルム、80℃
付近の1,2−ジクロロエタン、チオフェンでは、約8
0%のPVKの膜厚の減少がみられた。
【0086】これは、下層のPVK層に対する溶解性が
大きい溶解度パラメーター範囲では、溶媒の沸点が低い
場合でもPVK層が溶解してしまうためと考えられる。
【0087】即ち、上層の成膜温度における下層中の有
機物の溶解度パラメーターの最大溶解点より±0.4
(cal/cm31/2以上離れた溶解度パラメーターを有す
る溶媒であって、かつ常圧において105℃以下の沸点
を有する溶媒を上層の成膜に使用すれば、下層の劣化無
く上層を成膜することができることが分かった。
【0088】[実験5]次に、ポリスチレン9mgを表
1のそれぞれの溶媒に10mlに溶解させた溶液を作
り、80nmの膜厚のPVK膜が成膜されている基板を
静止させた状態で溶液を滴下し、その後基板を1000
rpmで1秒間回転させて、スピンコートを行った。こ
のとき成膜された膜の走査距離500μmにおける中心
線平均粗さ(Ra)を測定した。
【0089】図4は実験の結果を示す。図4を参照する
と、常圧における沸点が105℃以上の溶媒及び、室温
における溶解度パラメーターが、PVKの最大溶解点
9.7(cal/cm31/2より±0.4(cal/cm31/2
満の溶媒では中心線平均粗さ(Ra)が10nm以上と
かなり粗くなっている。それに対しPVK膜の膜厚減少
の少ないベンゼン、フルオロベンゼン、トリクロロエチ
レンでは中心線平均粗さ(Ra)は10nm以下になっ
ている。即ち、スピンコートに使用する溶媒の室温にお
ける溶解度パラメータに対する中心線平均粗さ(Ra)
の関係は、図3に示される滴下溶媒の室温における溶解
度パラメータに対するPVK層の膜厚の変化に対応する
結果を示している。
【0090】即ち、上層を形成するために使用される溶
媒は、上層成膜後に10nm以下の走査距離500μm
における中心線平均粗さ(Ra)を与えるものであれば
よいことが分かった。
【0091】[実験6]上層を形成する際の溶媒の溶解
度パラメータと沸点の影響が分かったので、次に表1の
各溶媒を電子輸送発光層の成膜に用いて有機エレクトロ
ルミネッセンス素子を製作して発光特性を調べた。
【0092】サンプルは、図5に示されるように、陽極
/正孔輸送層/電子輸送発光層/陰極の積層構造を有す
る。
【0093】陽極は市販のITO基板(旭ガラス社製:
20Ω/□)を使用した。正孔輸送層は、基板を100
0rpmで回転させて、溶媒に6.9mg/mlのPV
Kを溶解した溶液を1秒間スピンコートすることにより
50nmの膜厚に形成した。電子輸送発光層は、正孔輸
送層形成后の基板を1000rpmで回転させて、表1
の各溶媒にそれぞれ5から6.25mg/mlのPBD
と5から6.25mg/mlのポリスチレンと0.22
から0.28mg/mlのクマリン6を溶解した溶液を
1秒間スピンコートすることにより50nmの膜厚に形
成した。その上に共蒸着法によりMgとAgを重量比1
0:1で200nm形成し、陰極を形成した。更にその
上にAgを100nm蒸着して封止した。こうして素子
1から9を作成した。
【0094】また、比較のためサンプルを2種類(素子
10と素子11)作製して発光特性を調べた。
【0095】比較サンプル1(素子10)は、陽極/バ
イポーラー発光層/陰極の単層構造を有する。バイポー
ラー発光層は、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(以
下、PVKという)と、2−(4−ビフェニリル)−5
−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサ
ジアゾール(以下、PBDという)からなり、クマリン
6をドーピング発光材料として含んでいる。バイポーラ
ー発光層はスピンコート法により100nmの厚さを有
する様に作成された。
【0096】比較サンプル2(素子11)は、陽極/正
孔輸送層/電子輸送層/陰極の積層構造を有する。比較
サンプル2は蒸着法により製作された。正孔輸送層は、
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフ
ェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン
(以下、TPDという)からなり、40nmの膜厚を有
する様に形成された。電子輸送層は、トリス(8−ヒド
ロキシキノリナート)アルミニウム(以下、Alq3と
いう)から成り、60nmの膜厚を有する様に形成され
た。
【0097】
【表2】
【0098】10mA/cm2の電流密度の時の輝度を
表2に示す。表2から明らかなように、沸点が105℃
以下のトリクロロエチレン(TriCE)、フルオロベ
ンゼン、ベンゼンを用いた素子が高い輝度を示してい
る。一方、沸点が105℃以上のトルエン、スチレン、
1,1,2,2−テトラクロロエタンを用いた素子の輝
度は低かった。
【0099】トリクロロエチレンとスチレンを比較した
場合、トリクロロエチレンを溶媒として使用した有機エ
レクトロルミネッセンス素子は、発光時に高い量子効率
が得られている。一方、スチレンを使用した有機エレク
トロルミネッセンス素子では、量子効率が低い。
【0100】これは、前述のように、下層PVK層に対
する溶解度が比較的小さい溶解度パラメーター領域で
は、即ち室温における溶解度パラメーターがPVKの最
大溶解点9.7(cal/cm31/2より±0.4(cal/cm
31/2以上離れた範囲では、溶媒の沸点が大きく影響し
ていると考えられる。即ち、表2から明らかなように、
沸点の低いトリクロロエチレン(87.2℃)を用いた
有機エレクトロルミネッセンス素子では、PVK層を溶
出する前にトリクロロエチレンが気化していると考えら
れる。一方、沸点の高いスチレン(145.1℃)を用
いた場合には、スチレンが気化する前にPVK層を溶出
して、界面の状態を劣化させていると考えられる。
【0101】このように、溶媒の沸点が105℃以下の
溶媒を使用すれば、溶解度パラメーターが下層有機物の
可溶溶解度パラメーター領域に入っていても、溶解性が
低い場合には、十分に使用に耐えることが分かった。
【0102】図4を参照すると、トリクロロエチレンを
用いたときの面粗度は不溶性のエチルベンゼンを用いた
ときと同様である。一方、スチレンを用いたときの面粗
度は、かなり低下している。これは、表2の電流密度と
輝度の関係の結果に対応している。
【0103】室温においてPVKに対する溶解性の大き
いクロロホルム、ジクロロエタン、チオフェンを電子輸
送発光層の形成のための溶媒に用いた有機エレクトロル
ミネッセンス素子では、トリクロロエチレンを用いたも
のと較べて輝度が1−2桁低かった。
【0104】これは、下層PVK層の上に上層電子輸送
層を形成するために使用される溶媒へのPVKの溶解性
の増加に伴い、下層PVK層の溶出量が増えたためと考
えられる。即ち、溶出量の増加に伴い、PVK層の面粗
度が低下し、ピンホールが発生し、界面の状態が悪化し
たためと考えられる。これは、図4の面粗度の結果と一
致している。
【0105】表2を参照すると、湿式塗布法による積層
構造を有する上記有機エレクトロルミネッセンス素子の
うち、いくつかは、蒸着法による積層構造を有する有機
エレクトロルミネッセンス素子に較べて、10mA/cm
2の電流密度に対する輝度、すなわち発光の量子効率は
ほぼ同じである。これらの素子は、上層の電子輸送層の
成膜時に下層の正孔輸送層の溶解が少ない。すなわち、
室温における溶解度パラメーターが9.7(cal/cm3
1/2より±0.4(cal/cm31/2以上離れたの溶媒で、
かつ常圧における沸点が105℃以下の溶媒が用いられ
たので、蒸着法による有機エレクトロルミネッセンス素
子と同様の積層構造が形成されたためと考えられる。ま
た、これにより、キャリアーブロック効果が現れたと考
えられる。
【0106】
【表3】
【0107】素子12から24は、ポリスチレンのかわ
りにそれぞれ表3に示す高分子化合物をバインダー材料
として用いた以外は素子4と全く同じ構造である。これ
らの発光特性を表3に示す。その結果はいずれの素子も
鮮明な発光を示した。
【0108】
【表4】
【0109】素子25から29は、PBDのかわりにそ
れぞれ表4に示す電子輸送性低分子を用いた以外は素子
4と全く同じ構造である。これらの発光特性を表4に示
す。その結果はいずれの素子も鮮明な発光を示した。
【0110】
【表5】
【0111】素子30から42は、クマリン6のかわり
にそれぞれ表5に示す蛍光物質をドーピング発光材料と
して用いた以外は素子4と全く同じ構造である。これら
の発光特性を表5に示す。その結果はいずれの素子も鮮
明な発光を示した。
【0112】素子43は、陽極/正孔輸送発光層/電子
輸送層/陰極の積層構造を有する。陽極は市販のITO
基板(旭ガラス社製:20Ω/□)を使用し、正孔輸送
発光層は、基盤を1000rpmで回転させ、溶媒に
6.9mg/mlのPVKと0.11mg/mlのクマ
リン6を溶解した溶液を1秒間スピンコートすることに
より、50nmの膜厚に形成した。電子輸送層は、正孔
輸送発光層形成後の基板を1000rpmで回転させ
て、トリクロロエチレンに、5.6mg/mlのPBD
と5.6mg/mlのポリスチレンを溶解した溶液を1
秒間スピンコートすることにより50nmの膜厚に形成
した。その上に共蒸着法により、MgとAgを重量比1
0:1の割合で200nm成膜し陰極を形成した。更に
その上にAgを100nm蒸着して封止した。こうして
素子43を作成した。素子43の10mA/cm2の電
流密度のときの輝度は250cd/m2であった。
【0113】
【表6】
【0114】素子44から48は、ポリスチレンのかわ
りにそれぞれ表6に示す高分子化合物をバインダー材料
として用いた以外は、素子43と全く同じ構造を有す
る。これらの発光特性を表6に示す。その結果はいずれ
の素子も鮮明な発光を示した。
【0115】
【表7】
【0116】素子49から53は、PBDのかわりにそ
れぞれ表7に示す電子輸送性低分子を用いた以外は素子
43と全く同じ構造を有する。これらの発光特性を表7
に示す。その結果はいずれの素子も鮮明な発光を示し
た。
【0117】
【表8】
【0118】素子54から61は、クマリン6のかわり
にそれぞれ表8に示す蛍光物質をドーピング発光材料と
して用いた以外は、素子43と全く同じ構造を有する。
これらの発光特性を表8に示す。その結果はいずれの素
子も鮮明な発光を示した。
【0119】素子62は、50nmのPVKで形成され
る正孔輸送層上に[化1]で示される電子輸送性高分子
9mgと蛍光物質クマリン6 0.2mgをトリクロロ
エチレン1mlに溶解した溶液をスピンコートで50n
mの膜厚に成膜した。10mA/cm2の電流密度の時
の発光特性は250cd/m2であった。
【0120】素子63は、50nmのPVKとクマリン
6で形成される正孔輸送発光層上に化1で示される電子
輸送性高分子7mgをトリクロロエチレン1mlに溶解
した溶液をスピンコートで50nmの膜厚に成膜した。
10mA/cm2の電流密度の時の発光特性は180c
d/m2であった。
【0121】素子64は、正孔輸送性高分子であるポリ
(1−ビニルピレン)8mgをジクロロエタン1ml中
に溶解してスピンコートにより50nmに成膜し、素子
4と同様に電子輸送発光層を形成した。10mA/cm
2の電流密度の時の発光特性は190cd/m2であっ
た。
【0122】素子65は、正孔輸送性高分子であるポリ
(1−ビニルピレン)8mgとクマリン6 0.2mg
をジクロロエタン1ml中に溶解してスピンコートによ
り50nmに成膜し、素子43と同様に電子輸送発光層
を形成した。10mA/cm2の電流密度の時の発光特
性は160cd/m2であった。
【0123】
【表9】
【0124】比較例として、素子66と67は、トリク
ロロエチレンのかわりに表9に示す室温における水溶解
度が2重量%より大きい溶媒を使用した以外は素子4と
全く同じ構造である。これらの発光特性を表9に示す。
これらの溶媒を使用した場合には素子中に水が混入し低
い輝度しか示さなかった。
【0125】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の有機エレ
クトロルミネッセンス素子によれば、下層正孔輸送層と
してポリ(N−ビニルカルバゾール)を用いている。上
層の電子輸送層の形成には、室温におけるポリ(N−ビ
ニルカルバゾール)の溶解度パラメーターの最大溶解点
9.7(cal/cm31/2より±0.4(cal/cm31/2
上離れた溶解度パラメーターを有し、かつ105℃以下
の沸点を有する溶媒を使用しているので、下層のポリ
(N−ビニルカルバゾール)層の溶出が少なく、高い輝
度を持つ高品質の有機エレクトロルミネッセンス素子を
提供することができる。
【0126】また、下層正孔輸送層及び上層電子輸送層
が湿式法により形成されているので、高い生産効率で高
い輝度を持つ高品質の有機エレクトロルミネッセンス素
子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、ポリ(N−ビニルカルバゾー
ル)層の溶媒による溶解性の測定方法を示す図であり、
(b)はポリ(N−ビニルカルバゾール)層の膜厚の測
定方法を示す図である。
【図2】図2は、図1に示される実験でのポリ(N−ビ
ニルカルバゾール)層の各溶媒による溶解性の測定結果
を示す図である。
【図3】図3は、図1に示される実験でのポリ(N−ビ
ニルカルバゾール)層の各溶媒による溶解性の測定結果
を示す図である。
【図4】図4は、ポリ(N−ビニルカルバゾール)層上
に、各溶媒を用いてポリスチレンをスピンコートした時
の面粗度の測定結果を示す図である。
【図5】図5は、各溶媒を使用して形成された有機エレ
クトロルミネッセンス素子の構造を示す図である。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極として作用する陽極層と、 陰極として作用する陰極層と、前記陽極層と前記陰極層
    のうちの一方は透明であり、 前記陽極層と前記陰極層との間に形成された正孔輸送性
    有機物からなる正孔輸送層と、 前記正孔輸送層中の有機物の溶解度パラメーターの最大
    溶解点より±0.4(cal/cm3)1/2以上離れた溶解度パ
    ラメーターを有する溶媒で、かつ常圧において105℃
    以下の沸点を有し、かつ室温における前記溶媒中への水
    の溶解度が2重量%以下である溶媒に溶解可能な高分子
    化合物と該溶媒に溶解可能あるいは分散可能な電子輸送
    性低分子とからなり、または前記高分子化合物が電子輸
    送性高分子であるときには、該電子輸送性低分子無しで
    も良く、前記正孔輸送層と前記陰極層との間に前記溶媒
    を用いて湿式法により形成された電子輸送層と、ここで
    前記溶媒は、2種類以上の溶媒からなる混合溶媒でも良
    く、 ここで、溶解度パラメーターは、前記電子輸送層の成膜
    温度における溶解度パラメーターを意味し、以下の式で
    表され、 SP={(ΔH−RT)/V}1/2 ここで、SPは溶解度パラメーター(cal/cm3)1/2であ
    り、ΔHは蒸発熱(cal/mol)であり、Rは気体定数(ca
    l/(mol・K))であり、Tは絶対温度Kであり、Vはモル
    体積cm3/molであり、を具備することを特徴とする有機
    エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 【請求項2】陽極として作用する陽極層と、 陰極として作用する陰極層と、前記陽極層と前記陰極層
    のうちの一方は透明であり、 前記陽極層と前記陰極層との間に形成された正孔輸送性
    有機物からなる正孔輸送層と、 前記正孔輸送層中の有機物の溶解度パラメーターの最大
    溶解点より±0.4(cal/cm3)1/2以上離れた溶解度パ
    ラメーターを有する溶媒で、かつ常圧において105℃
    以下の沸点を有し、かつ室温における前記溶媒中への水
    の溶解度が2重量%以下である溶媒に溶解可能な高分子
    化合物と該溶媒に溶解可能あるいは分散可能な電子輸送
    性低分子とからなり、または前記高分子化合物が電子輸
    送性高分子であるときには、該電子輸送性低分子無しで
    も良く、前記正孔輸送層と前記陰極層との間に前記溶媒
    を用いて湿式法により形成された電子輸送層と、ここで
    前記溶媒は、2種類以上の溶媒からなる混合溶媒でも良
    く、ここで、溶解度パラメーターは、前記電子輸送層の
    成膜温度における溶解度パラメーターを意味し、以下の
    式で表され、 SP={(ΔH−RT)/V}1/2 ここで、SPは溶解度パラメーター(cal/cm3)1/2であ
    り、ΔHは蒸発熱(cal/mol)であり、Rは気体定数(ca
    l/(mol・K))であり、Tは絶対温度Kであり、Vはモル
    体積cm3/molであり、を具備し、 前記電子輸送層の形成後の走査距離500μmにおける
    中心線平均粗さ(Ra)は10nm以下であることを特
    徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 【請求項3】前記正孔輸送層はポリ(N−ビニルカルバ
    ゾール)からなる層である請求項1または2に記載の有
    機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 【請求項4】前記溶媒は、室温において9.3(cal/cm
    3)1/2以下の溶解度パラメーターを有することを特徴と
    する請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素
    子。
  5. 【請求項5】前記溶媒は、室温において9.3(cal/cm
    3)1/2以下の溶解度パラメーターを有し、ケトン、エス
    テル、エーテル、アルコール、カルボン酸、アミン、ア
    ルデヒド類などの水素結合の強い溶媒を除く炭化水素、
    ハロゲン化炭化水素、ニトロ化炭化水素、ニトリル類等
    の水素結合の弱い溶媒であることを特徴とする請求項3
    に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 【請求項6】前記正孔輸送層中の正孔輸送性有機物と、
    前記電子輸送層中の電子輸送性有機物の少なくとも一方
    は蛍光物質であることを特徴とする請求項1から5のい
    ずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 【請求項7】前記正孔輸送層と前記電子輸送層の少なく
    とも一方は蛍光物質を含有することを特徴とする請求項
    1乃至6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセ
    ンス素子。
  8. 【請求項8】基板上に陽極として作用する陽極層を形成
    するステップと、 正孔輸送性有機物が溶解された第1の溶媒溶液を用いて
    湿式法により前記陽極層上に正孔輸送層を形成するステ
    ップと、 電子輸送層の成膜温度における前記正孔輸送層中の有機
    物の溶解度パラメーターの最大溶解点より±0.4(ca
    l/cm3)1/2以上離れた溶解度パラメーターを有する溶媒
    で、かつ常圧において105℃以下の沸点を有し、かつ
    室温における前記溶媒中への水の溶解度が2重量%以下
    である第2の溶媒中に高分子化合物が溶解され、電子輸
    送性低分子が溶解あるいは分散された第2の溶媒溶液、
    あるいは前記高分子化合物が電子輸送性高分子である場
    合は前記電子輸送性低分子無しでも良い前記第2の溶媒
    溶液を用いて湿式法により前記正孔輸送層上に電子輸送
    層を形成するステップと、ここで前記第2の溶媒は2種
    類以上の溶媒からなる混合溶媒でも良く、ここで、溶解
    度パラメーターは、以下の式で表され、 SP={(ΔH−RT)/V}1/2 ここで、SPは溶解度パラメーター(cal/cm3)1/2であ
    り、ΔHは蒸発熱(cal/mol)であり、Rは気体定数(ca
    l/(mol・K))であり、Tは絶対温度Kであり、Vはモル
    体積cm3/molであり、 陰極として作用する陰極層を前記電子輸送層上に形成す
    るステップとを具備することを特徴とする有機エレクト
    ロルミネッセンス素子の製造方法。
  9. 【請求項9】前記正孔輸送層はポリ(N−ビニルカルバ
    ゾール)からなる層である請求項8に記載の有機エレク
    トロルミネッセンス素子の製造方法。
  10. 【請求項10】前記第2の溶媒は、室温において9.3
    (cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有すること
    を特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロルミネッ
    センス素子の製造方法。
  11. 【請求項11】前記第2の溶媒は、室温において9.3
    (cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有し、ケト
    ン、エステル、エーテル、アルコール、カルボン酸、ア
    ミン、アルデヒド類などの水素結合の強い溶媒を除く炭
    化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化炭化水素、ニト
    リル類等の水素結合の弱い溶媒であることを特徴とする
    請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の
    製造方法。
  12. 【請求項12】前記正孔輸送層中の正孔輸送性有機物
    と、前記電子輸送層中の電子輸送性有機物の少なくとも
    一方は蛍光物質である事を特徴とする請求項8から11
    のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子
    の製造方法。
  13. 【請求項13】前記正孔輸送層と前記電子輸送層の少な
    くとも一方は蛍光物質を含有することを特徴とする請求
    項8乃至12のいずれかに記載の有機エレクトロルミネ
    ッセンス素子の製造方法。
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