JPH11250805A - 表示装置へ光反射防止膜を貼着する方法 - Google Patents

表示装置へ光反射防止膜を貼着する方法

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JPH11250805A
JPH11250805A JP10049775A JP4977598A JPH11250805A JP H11250805 A JPH11250805 A JP H11250805A JP 10049775 A JP10049775 A JP 10049775A JP 4977598 A JP4977598 A JP 4977598A JP H11250805 A JPH11250805 A JP H11250805A
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JP
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film
filter
hard coat
layer
coat layer
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JP10049775A
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English (en)
Inventor
Tomio Kobayashi
富夫 小林
Osamu Ito
修 伊藤
Koichi Kaneko
晃一 金子
Shinobu Hara
忍 原
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】外光の反射や帯電の防止機能を有する光反射防
止膜(ARフィルター)であって、従来のARフィルタ
ー(鉛筆硬度3H相当の硬度)に比較して、高硬度であ
るARフィルター(鉛筆硬度5H相当)を、ARフィル
ターにクラックを発生させずに、表示装置のパネルガラ
ス前面に貼着する方法を提供する。 【解決手段】基材21上に、接着剤層を介してハードコ
ート層22、反射防止用薄膜(AR膜)23a、23b
を順に積層し、ARフィルターを形成する工程と、AR
フィルターを陰極線管等の表示装置のパネルガラスに面
着させる工程と、ARフィルターを硬化させるための加
熱処理、好適には、80〜180℃、特に85〜130
℃において、70〜10分間の加熱処理を行う工程とを
有する、表示装置に光反射防止膜を貼着する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パネルガラス前面
に、光反射防止膜が貼付された陰極線管等の表示装置の
製造方法に関し、特に、クラックがなく、硬度の高い光
反射防止膜が貼付された表示装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】表示装置として陰極線管(CRT;ca
thode ray tube)について例示する。C
RTにおいては、パネルガラス表面で外光が反射される
ために、CRTに表示された画像が見づらくなるという
問題がある。また、CRTのパネルガラス内面に形成さ
れた蛍光面に高電圧が印加されることにより、パネル表
面の電位が変化する。それにより、パネル表面にゴミが
付着したり、手で触れた場合に放電が起こるという問題
もある。
【0003】そのため、CRTのパネルガラス前面に低
反射率の光反射防止膜(ARフィルター;anti−r
eflection filter)を接着させ、CR
Tパネルにおける反射を低減させる方法が広く採用され
ている。このARフィルターに導電物からなる層を設け
ることにより、ARフィルターに帯電防止機能を付与す
ることも行われている。
【0004】上記のようなCRTパネルガラスに貼付す
るためのARフィルターとして、種々のものが提案され
ており、例えば、特願平7−170925号公報には、
図4に断面図を示すようなARフィルターが開示されて
いる。このARフィルターは、基材41上にハードコー
ト層42と、多層の反射防止用光学薄膜(AR膜;an
ti−reflection膜)43a、43bとが形
成された構造を有する。
【0005】基材41には、ポリエチレンテレフタレー
トやポリカーボネート等の樹脂が用いられ、ハードコー
ト層42には、ポリメチルメタクリレート等の樹脂が用
いられる。ハードコート層42と接して上層に形成され
る、第1層目のAR膜(透明導電性光吸収膜)43aに
は、Ag、Au、TiNx (x=0.3〜1)、TiO
x y (x=0.3〜1、y<1、y≦x)、TaNx
(x=0.2〜1)、Pt、Al、Cu、Ta、Ni−
Cr、Cu−Al、Cu−Zn−Al、Cu−Ni−A
lおよびCu−Sn−Alから構成された群から選択さ
れた材料が用いられ、膜厚は4〜40nm程度である。
【0006】第2層目のAR膜43bには、第1層目の
AR膜43aの材料よりも屈折率の低い材料を用い、好
適にはSiO2 またはMgF2 を用いる。第2層目のA
R膜43bの膜厚は、例えば、100nm程度とする。
ここで、AR膜43は3層以上とすることもできる。
【0007】また、特開平9−80205号公報には、
帯電防止機能や電磁放射遮蔽機能が付与されたARフィ
ルターであって、AR膜のハードコート層に対する密着
性がより優れた、図5に断面図を示すようなARフィル
ターが開示されている。このARフィルターは、特願平
7−170925号公報記載のARフィルターと同様
に、基材51上にハードコート層52と、少なくとも2
層のAR膜53a〜cが積層された層構成を有する。図
5には、AR膜53が3層からなる積層体の場合を示し
た。
【0008】このARフィルターは、上記の特願平7−
170925号公報記載のARフィルターと同様に、2
層目のAR膜53bが、第1層目のAR膜53aよりも
低屈折率であることを特徴とする(AR膜が2層からな
る場合)。さらに、第1層目のAR膜53aが、反応性
物理的気相成長法により形成された透明導電性酸化膜か
らなり、第1層目のAR膜53aには、酸素との親和力
が透明導電性酸化膜を構成する元素と同等以上である元
素が含有されていることを特徴とする。
【0009】これにより、ハードコート層52上に、例
えば、In−Snを合金ターゲットとして、O2 雰囲気
において反応性スパッタリングを行った場合、ITO
(SnをドープしたI2 3 )膜からなる第1層目のA
R膜53aが、ハードコート層52に対して、十分な付
着強度で形成される。
【0010】上記の特開平9−80205号公報記載の
ARフィルターには、基材51として、ポリエチレンテ
レフタレートやポリカーボネート等からなるロール状の
フィルムが用いられる。ハードコート層52には、酸素
を構成元素として含有する材料、例えば、シリコン系材
料、多官能アクリレート系材料、ウレタン樹脂系材料お
よびエポキシ樹脂系材料の他、メラミン樹脂系材料が用
いられ、特に、強度等の点から、アクリル系材料のポリ
メチルメタクリレートが用いられる。
【0011】第1層目のAR膜(透明導電性酸化膜)5
3aには、ITOの他、SnO2 、ZnO、I2 3
ZrO2 、TiO2 、SiOx (x=1〜2)、SiO
x y (x=1〜2、y=0.2〜0.6)、CrOx
(x=0.2〜1.5)等を用いることができる。ま
た、AR膜を3層以上とし、第1層目以外のAR膜に帯
電防止層(導電体層)を設ける場合には、第1層目のA
R膜53aの導電性は低くてもよい。
【0012】第1層目のAR膜53aを、上記の透明導
電性酸化物膜を用いて形成した場合は、第2層目のAR
膜53bには、材料としてSiO2 またはMgF2 等を
用いることができる。また、第1層目のAR膜53a
を、上記の透明酸化物膜を用いて形成し、第2層目のA
R膜53bには、Ag、Au、TiNx (x=0.3〜
1)、TiOxy (x=0.3〜1、y<1、y≦
x)、TaNx (x=0.2〜1)、Pt、Al、C
u、Ta、Ni−Cr、Cu−Al、Cu−Zn−A
l、Cu−Ni−AlおよびCu−Sn−Alから構成
された群から選択された材料を用い、第3層目のAR膜
53cに、材料としてSiO2 またはMgF2 を用いる
こともできる。
【0013】上記のような構成を有するARフィルター
は、接着剤層または粘着剤層を介して、CRTのパネル
ガラス表面に貼付されて使用される。ARフィルターを
貼付する際には、真空引きしながらARフィルターに圧
力を加えることにより、ARフィルターとCRTとの間
に空気が入るのを防ぐことができる。また、貼付された
ARフィルターにしわが入るのを防ぐため、ARフィル
ターを貼付する際、ARフィルターを基材の軟化点以下
の温度で加熱してもよい。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来のCRT用ARフィルターにおいては、ARフィル
ターの耐擦傷性、耐久性を向上させるため、ARフィル
ムの硬度を大きくしようとすると、ARフィルター自体
にクラックが生じ、ARフィルターが破損してしまうと
いう問題がある。
【0015】図5に示すようなARフィルターの場合、
例えばアクリル系樹脂からなるハードコート層の膜厚は
4〜6μmであるのに対し、AR膜は極めて薄く、5層
程度積層した場合にも、AR膜の膜厚の合計は100〜
300nm程度である。上記のことから、ARフィルタ
ーの硬度に対しては、ハードコート層および基材の硬度
が支配的であり、ARフィルターの硬度を大きくするに
は、ハードコート層および基材の硬度を大きくすること
が効果的と推測される。
【0016】ハードコート層の樹脂の硬化を促進させ、
鉛筆硬度5H〜6H相当の硬度を有するARフィルター
も作製されている。しかしながら、そのような高硬度の
基材を長尺ロールフィルムとして、スパッタロールコー
ター、湿式ロールコーター、スリッター、裁断機(カッ
ター)、ロール検査機等、一連のフィルター製造装置の
中を走行させた場合、ロール走行メカニズムの中で、裏
曲がり、表曲がりの変形を余儀なくされるため、フィル
ムにクラックが発生する。
【0017】このクラックを回避するためには、ガイド
ロールの直径を増大させ、ガイドロール表面の曲率を上
げればよい。しかしながら、直径30〜50cm程度の
ガイドロールで機械を構成することは現実的に不可能で
あり、実際には、直径10cm以下のガイドロールが使
用される。したがって、直径10cm以下のガイドロー
ルが用いられるロールフィルム走行メカニズムにおい
て、フィルムにクラックが発生しないよう、フィルムに
一定の柔軟性(鉛筆硬度の2H〜3H程度に相当する硬
度)を維持する必要がある。
【0018】また、ロールフィルム走行メカニズム以外
においても、フィルムのハンドリング時における力点の
応力集中によりクラックが発生しやすいため、ハードコ
ート層および基材からなるARフィルムをCRTのパネ
ルガラスに貼付する以前の、屈曲加工が行われる工程に
おいては、ARフィルムの硬化を十分に促進させること
はできない。
【0019】以上、CRTを例示して光反射防止膜を貼
着する方法について記述したが、CRT以外の表示装
置、例えば、LCDパネル等についても同様の問題が発
生する場合がある。本発明は上記の問題点を鑑みてなさ
れたものであり、したがって本発明は、クラックがな
く、従来のARフィルターに比較して高硬度であるAR
フィルターが貼付されたCRT等の表示装置の製造方法
を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の表示装置へ光反射防止膜を貼着する方法
は、基材フィルム上に、接着剤層を介してハードコート
層を形成する工程と、前記ハードコート層上に反射防止
用光学薄膜を積層させ、光反射防止膜を形成する工程
と、前記光反射防止膜を表示装置のパネルガラスに面着
させる工程と、加熱処理により前記光反射防止膜を硬化
させる工程とを有することを特徴とする。
【0021】これにより、屈曲加工を伴う、一連のAR
フィルター製造装置の中を走行させる製造工程において
は、フィルムに柔軟性が維持されているため、クラック
の発生を防止することができる。また、ARフィルター
をCRT表面に貼付後、ARフィルターを加熱硬化させ
るため、最終的には従来のARフィルターに比較して高
硬度で耐擦傷性に優れるARフィルターが得られる。
【0022】また、CRTパネルガラス表面に貼付され
るフィルターは、主に、外光の反射、帯電および電磁放
射を防止する目的で設けられるが、一方では、CRTの
爆縮を防止し、爆縮によるガラスの飛散を防止する手段
(特開昭52−87352号公報、特開昭52−873
53号公報他)でもある。
【0023】本発明の表示装置へ光反射防止膜を貼着す
る方法によれば、高硬度なARフィルターが形成される
ため、CRTの爆縮防止、爆縮によるガラスの飛散防止
という副次的な効果も得られる。特に、大型CRTや、
平面パネルを有するCRTの場合、CRTの防爆には、
機械的強度の大きいパネルガラスが要求される。そのた
め、パネルガラスを厚くしてガラス強度を補強すること
が多いが、装置の軽量化の点からは好ましくない。
【0024】本発明の表示装置へ光反射防止膜を貼着す
る方法によれば、高硬度なARフィルターによりパネル
ガラスの強度が補強されるため、パネルガラスの薄膜化
が可能となり、したがって、装置を軽量化することもで
きる。
【0025】上記の本発明の表示装置へ光反射防止膜を
貼着する方法は、好適には、前記加熱処理の温度は80
〜180℃、さらに好適には、85〜130℃であり、
前記加熱処理の時間は70〜10分間であることを特徴
とする。
【0026】図1に、本発明の表示装置へ光反射防止膜
を貼着する方法において、加熱処理によりARフィルタ
ーを硬化させる場合の、熱処理条件とARフィルターに
及ぼす影響との関係を示す。曲線Aより上部の領域で
は、接着剤層内に気泡が発生したり、また、紫外線硬化
型接着剤の場合には、接着剤層に浮き状剥離が発生した
りするという問題が生じる。曲線Cより下部の領域で
は、樹脂の硬化がほとんど進行しない。
【0027】曲線Aと曲線Bで囲まれる領域では、AR
フィルターに剥離等の問題が発生せずに、樹脂の硬化が
起こる。しかしながら、曲線Bより上部の条件では、時
間が長過ぎるためコスト高となる。したがって、曲線B
と曲線Cで囲まれる領域の条件が、加熱硬化の最適条件
となり、これにより、高硬度で耐擦傷性に優れるARフ
ィルターが得られる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の表示装置へ光反
射防止膜を貼着する方法の実施の形態について、図面を
参照して下記に説明する。図2は、本実施形態により製
造されるARフィルムの断面図の例である。基材21上
にハードコート層22が形成され、その上層に、高屈折
率材料からなるAR膜23a、低屈折率材料からなるA
R23bが順に積層され、最上層には防汚層24が形成
されている。
【0029】本発明において、基材21は光を透過し得
る材料であれば、いかなる材料から構成されてもよい。
基材の材料は、要求される仕様やARフィルターの使用
分野に応じて、プラスチックまたはガラス材料から適宜
決定すればよい。基材21に用いることのできるプラス
チック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリメチル
メタクリレートおよびその共重合体、スチレンメチルメ
タクリレート、不飽和ポリエステル、ポリスチレン、ア
クリルニトリル−スチレン共重合体、塩化ビニル、ポリ
ウレタン、エポキシ樹脂、トリアセチルセルロースやジ
アセチルセルロース等のセルロース系樹脂が挙げられ
る。特に、光透過性、表面硬度、加工性の点からポリエ
チレンテレフタレートまたはポリカーボネートが好まし
い。
【0030】基材21上に、接着剤層を介してハードコ
ート層22を形成する。ハードコート層22は、シリコ
ン系材料、多官能アクリレート系材料またはウレタン樹
脂系材料、メラミン樹脂系材料またはエポキシ樹脂系材
料等を用いて形成することができる。ここで、シリコン
系材料としては、テトラアルコキシシランや、アルキル
トリアルコキシシランと、エポキシ基やメタクリル基等
を有するシランカップリング剤の共加水分解物が挙げら
れる。多官能アクリレート系材料としては、例えば、ポ
リオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウ
レタンアクリレート、エポキシアクリレート等が挙げら
れる。
【0031】ハードコート層22は、上記の樹脂の他、
アクリル−シリコンや、親水性ゾルや疎水性ゾルの形態
のコロイダルシリカを用いても形成することができる。
上記のハードコート層22材料のうち、アクリル系樹
脂、特に、ポリメチルメタクリレートが耐擦傷性および
基材への密着性の点から好ましい。ハードコート層22
は、ディップコーティング法、スピンコーティング法、
スプレーコーティング法、フローコーティング法等の従
来公知の塗布法により材料を塗布し、塗布された樹脂を
乾燥させ、熱または紫外線照射により樹脂を硬化させる
ことにより形成される。ハードコート層22の膜厚は、
通常、4〜6μm程度とする。
【0032】ハードコート層22上に、高屈折率膜/低
屈折率膜の順に、少なくとも2層のAR膜23a、23
b、好適には、高屈折率膜/低屈折率膜/高屈折率膜/
低屈折率膜の順に、繰り返しAR膜23を成膜すること
により、反射防止機能が付与される。AR膜23の材料
としては、導電性酸化物、非導電性酸化物のいずれも用
いることができるが、ARフィルターの帯電および電磁
放射防止機能を向上させるには、導電性酸化物を用いる
のが好ましい。
【0033】AR膜の高屈折率膜23aに用いることが
できる材料としては、TiO2 、ZrO2 、Ta
2 5 、Y2 3 、ITO等が挙げられる。これらの材
質は、550nm付近における屈折率が1.8〜2.7
であり、TiO2 、ZrO2 、Ta2 5 、Y2
3 は、ポリメチルメタクリレートからなるハードコート
層に対する密着性も優れる。
【0034】AR膜の低屈折率膜23bに用いることが
できる材料としては、SiO2 およびMgF2 が挙げら
れる。550nmにおける屈折率は、SiO2 が1.4
6で、MgF2 が1.38である。その他にも、低屈折
率膜23bには屈折率が約1.7以下の材料、例えば、
CaF2 、LaF3 、Na3 AlF6 、Na5 Al3
14、NdF3 、CeF3 、BaF2 、NaF、Al2
3 等を用いることができる。
【0035】ハードコート層22上に、通常、スパッタ
リング法により上記のようなAR膜23a、23bを形
成する。AR層23の膜厚は、積層体としての合計で、
通常、100〜300nm程度とする。
【0036】AR膜23a、23bの上層(AR膜が3
層以上の積層体である場合は、最上層のAR膜の上層)
に、防汚層24を形成することもできる。防汚層24の
材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、
テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフ
ルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエ
チレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、
クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリ
ビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド等の
フッ素系材料が挙げられ、これにより、指紋等の付着を
低減することができる。防汚層24の膜厚は、3〜10
0nm程度とする。
【0037】上記のような構成からなるARフィルター
を、接着剤層を介して、CRTのパネルガラスに貼付す
る。その後80〜180℃、好適には85〜130℃の
加熱処理を70〜10分間行う。ARフィルターの加熱
は、例えば、ARフィルターが貼着されたCRT表面に
赤外線ヒーターを照射することにより、また、パネル面
が加熱されるようにトンネル炉を通過させることにより
行うことができる。上記のように、ARフィルターを加
熱硬化させることにより、高硬度で耐擦傷性に優れたA
RフィルターがCRTパネルガラス表面に形成される。
【0038】
【実施例】図3に、比較例1、2および実施例のARフ
ィルターの断面図を示す。 (比較例1)本比較例は、従来法によりハードコート層
32が形成された場合の例である。基材31としては、
膜厚188μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムを用いた。基材31上に、ポリメチルメタクリレー
ト樹脂からなるハードコート層32を膜厚5μmで形成
した後、紫外線照射により鉛筆硬度3Hに相当する硬度
となるまでハードコート層32の硬化を行った。この時
点においてハードコート層32表面に、目視で確認でき
るクラック(以下、クラックの判定方法は同様とす
る。)は皆無であった。
【0039】次に、ハードコート層32上に、5層から
なる膜厚200nm程度のAR膜33a〜eを形成し
た。AR膜を構成する各層については、第1層目33a
を膜厚3±2nmのSiOx 膜、第2層目33bを膜厚
21±3nmのITO膜、第3層目33cを膜厚32±
3nmのSiO2 膜、第4層目33dを膜厚42±3n
mのITO膜、第5層目33eを膜厚103±3nmの
SiO2 膜とした。ここで、ハードコート層32上に高
屈折率膜としてITO膜をマグネトロンスパッタリング
により成膜しようとすると、ハードコート層32に対す
る付着強度が不十分となるため、ハードコート層32へ
の密着性を向上させる目的で、第1層目のSiOx 膜3
3aを設ける。
【0040】AR膜33a〜eの各層は、O2 ガス/A
rガスの混合ガス雰囲気で反応性スパッタリングを行う
ことにより形成した。フィルム走行スピードは共通に、
0.8m/分とした。AR膜33a〜eを形成した時点
において、ハードコート層32にみられるクラックは皆
無であった。基材31上にハードコート層32が積層さ
れた広巾フィルム(1200mm巾)を17インチCR
Tサイズにスリットし、裁断した。この時点においてハ
ードコート層32のクラックは皆無であった。
【0041】17インチCRTサイズに裁断したフィル
タの接着面に、アクリル系粘着剤を膜厚50±2μmで
均一に塗布した後、60℃で乾燥させ、接着剤層を形成
した。上記のARフィルターをゴムローラーを用いて押
圧しながら、CRT用クリアガラスに貼付した。その
後、紫外線照射により接着剤層を固化させた。この時点
においてハードコート層32のクラックは皆無であり、
CRT前面に鉛筆硬度3Hに相当する硬度を有するAR
フィルターが形成された。
【0042】形成されたARフィルターの450〜65
0nmの波長域における光学反射率は0.4%であり、
全光線透過率は90%であった。また、電気抵抗は50
0Ω/□以下であり、十分な帯電防止機能が確認され
た。
【0043】(比較例2)本比較例は、基材31上にハ
ードコート層32を形成後、AR膜33a〜eを形成す
る前に、ハードコート層32を硬化させた場合の例であ
る。比較例1と同様に、基材31としては膜厚188μ
mの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを用い
た。基材31上に、ポリメチルメタクリレート樹脂から
なるハードコート層32を膜厚5μmで形成した後、比
較例1の場合よりも長時間の紫外線照射を行うことによ
り、鉛筆硬度5Hに相当する硬度となるまでハードコー
ト層32を硬化させた。この時点においてハードコート
層32表面に、20〜30ヶ所/m2 のクラックが確認
された。
【0044】次に、比較例1と同様にスパッタリングを
行い、ハードコート層32上に5層からなる膜厚200
nm程度のAR膜33a〜eを形成した。AR膜33a
〜eの各層の膜厚および組成は、比較例1と同様とし
た。AR膜33a〜eを形成した時点において、ハード
コート層32のクラックは25〜50ヶ所/m2 に増加
した。
【0045】基材31上にハードコート層32が積層さ
れた広巾フィルム(1200mm巾)を17インチCR
Tサイズにスリットし、裁断した。この時点においてハ
ードコート層32のクラックは30〜40ヶ所/枚(3
00〜400ヶ所/m2 に相当)となり、裁断工程にお
いてクラックは著しく増加した。
【0046】17インチCRTサイズに裁断したフィル
タの接着面に、アクリル系粘着剤を膜厚50±2μmで
均一に塗布した後、60℃で乾燥させ、接着剤層を形成
した。上記のARフィルターをゴムローラーを用いて押
圧しながら、CRT用クリアガラスに貼付した。その
後、紫外線照射により接着剤層を固化させた。この時点
においてハードコート層32のクラックは40〜50ヶ
所/枚であり、CRT前面に、鉛筆硬度5Hに相当する
硬度を有するARフィルターが形成された。
【0047】(実施例)本実施例は、本発明の製造方法
に従って、フィルムの屈曲加工を伴う工程においてはハ
ードコート層32の硬化を行わず、CRTパネル上にA
Rフィルターを貼付した後、ハードコート層32の硬化
を行った場合の例である。
【0048】基材31としては、上記の比較例1・2と
同様に膜厚188μmの透明ポリエチレンテレフタレー
トフィルムを用いた。基材31上に、ポリメチルメタク
リレート樹脂からなるハードコート層32を膜厚5μm
で形成した後、紫外線照射を行うことにより鉛筆硬度3
Hに相当する硬度となるまでハードコート層32を硬化
させた。この時点において、ハードコート層32表面の
クラックは皆無であった。
【0049】次に、比較例1・2と同様にスパッタリン
グを行い、ハードコート層32上に5層からなる膜厚2
00nm程度のAR膜33a〜eを形成した。AR膜3
3a〜eの各層の膜厚および組成は、比較例1・2と同
様とした。AR膜33a〜eを形成した時点においてハ
ードコート層32のクラックは皆無であった。
【0050】基材31上にハードコート層32が積層さ
れた広巾フィルム(1200mm巾)を17インチCR
Tサイズにスリットし、裁断した。この時点においてハ
ードコート層32のクラックは皆無であった。17イン
チCRTサイズに裁断したフィルタの接着面に、アクリ
ル系粘着剤を膜厚50±2μmで均一に塗布した後、6
0℃で乾燥させ、接着剤層を形成した。上記のARフィ
ルターをゴムローラーを用いて押圧しながら、CRT用
クリアガラスに貼付した。その後、紫外線照射により接
着剤層を固化させた。この時点においてハードコート層
32のクラックは皆無であった。
【0051】上記のARフィルターが貼付されたCRT
パネルガラスに、加熱処理(100℃、30分間)を施
した。この加熱工程においても、ハードコート層32に
クラックは発生せず、鉛筆硬度5Hに相当する硬度を有
するARフィルターが形成された。
【0052】形成されたARフィルターの450〜65
0nmの波長域における光学反射率は0.4%であり、
全光線透過率は90%であった。また、電気抵抗は50
0Ω/□以下であり、十分な帯電防止機能が確認され
た。以上の比較例1・2および実施例について、各製造
工程におけるハードコート層の状態を表1にまとめた。
【0053】
【表1】
【0054】本発明の表示装置へ光反射防止膜を貼着す
る方法は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、
ARフィルターの基材として、ポリエチレンテレフタレ
ートの代わりにポリカーボネートからなるフィルムを用
いることもできる。また、本発明の表示装置へ光反射防
止膜を貼着する方法を、例えばLCD等の陰極線管以外
の表示装置に適用することも可能である。その他、本発
明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であ
る。
【0055】
【発明の効果】本発明の表示装置へ光反射防止膜を貼着
する方法によれば、屈曲加工を伴う、一連のARフィル
ター製造装置の中を走行させる製造工程において、AR
フィルターのハードコート層にクラックが発生するのを
防ぐことができる。また、CRT等の表示装置の表面に
ARフィルターを貼付した後、加熱硬化させることによ
り、従来のARフィルターに比較して、高硬度で耐擦傷
性に優れるARフィルターを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示装置へ光反射防止膜を貼着する方
法において、加熱処理によりARフィルターを硬化させ
る場合の、熱処理条件とARフィルターに及ぼす影響と
の関係を表すグラフである。
【図2】本発明の表示装置へ光反射防止膜を貼着する方
法により製造されるARフィルターの断面図である。
【図3】本発明の実施例および比較例1、2に示す製造
方法により製造されるARフィルターの断面図である。
【図4】従来方法により製造されるARフィルターの断
面図の例である。
【図5】従来方法により製造されるARフィルターの断
面図の例である。
【符号の説明】
21、31、41…基材、22、32、42、52…ハ
ードコート層、23a…高屈折率の反射防止用光学薄膜
(AR膜)、23b…低屈折率のAR膜、24…防汚
層、33a…第1層目のAR膜(SiOx 膜)、33b
…第2層目のAR膜(ITO膜)、33c…第3層目の
AR膜(SiO2 膜)、33d…第4層目のAR膜(I
TO膜)、33e…第5層目のAR膜(SiO2 膜)、
43a、53a…第1層目のAR膜、43b、53b…
第2層目のAR膜、53c…第3層目のAR膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H04N 5/72 G02B 1/10 A (72)発明者 原 忍 岐阜県瑞浪市小田町1905番地 ソニー瑞浪 株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材フィルム上に、接着剤層を介してハー
    ドコート層を形成する工程と、 前記ハードコート層上に反射防止用光学薄膜を積層さ
    せ、光反射防止膜を形成する工程と、 前記光反射防止膜を表示装置のパネルガラスに面着させ
    る工程と、 加熱処理により前記光反射防止膜を硬化させる工程とを
    有する表示装置へ光反射防止膜を貼着する方法。
  2. 【請求項2】前記加熱処理の温度は80〜180℃であ
    り、前記加熱処理の時間は70〜10分間である請求項
    1記載の表示装置へ光反射防止膜を貼着する方法。
  3. 【請求項3】前記加熱処理の温度は、好適には、85〜
    130℃である請求項2記載の表示装置へ光反射防止膜
    を貼着する方法。
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