JPH11247116A - 舗装体接合部の補強方法と補強された接合部を有する舗装体 - Google Patents

舗装体接合部の補強方法と補強された接合部を有する舗装体

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JPH11247116A
JPH11247116A JP6191198A JP6191198A JPH11247116A JP H11247116 A JPH11247116 A JP H11247116A JP 6191198 A JP6191198 A JP 6191198A JP 6191198 A JP6191198 A JP 6191198A JP H11247116 A JPH11247116 A JP H11247116A
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pavement
joint
mixture
open
grain
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JP6191198A
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Norio Meshida
紀雄 召田
Bunichi Tatsushita
文一 達下
Akira Ito
亮 伊藤
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Nichireki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 開粒度舗装の耐久性並びに耐衝撃性を向上さ
せ、開粒度舗装の適用範囲を拡大することを課題とす
る。 【解決手段】 開粒度型舗装用混合物を用いて構築され
た舗装体と既設もしくは新設の他の舗装体との接合部と
その周辺に存在する空隙を、細骨材及びアスファルト乳
剤を含む注入材によって注入、充填することを特徴とす
る舗装体接合部の補強方法、並びに、開粒度型舗装用混
合物を用いて構築された舗装体と既設もしくは新設の他
の舗装体との接合部とその周辺に存在する空隙が、細骨
材及びアスファルト乳剤を含む注入材によって充填され
ている補強された接合部を有する舗装体を提供すること
によって上記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、舗装体接合部の補
強方法と補強された接合部を有する舗装体に関し、更に
詳しくは、開粒度型舗装用混合物を用いて構築された舗
装体と既設もしくは新設の他の舗装体との接合部とその
周辺に存在する空隙を特殊な注入材によって充填し、補
強する方法と、そのようにして補強された接合部を有す
る舗装体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】開粒度型混合物を用いて構築される開粒
度舗装は、透水性を有し、かつ、消音効果も備えている
点が注目され、近年、構築される機会が増しているが、
混合物自身が10〜40%もの空隙率を有するため、骨
材同士の結合力に劣り、車両の通過等によって走行荷重
やねじり荷重を受けて、損傷を受け易いという欠点があ
る。この傾向は他の舗装体との接合部において特に顕著
であり、例えば、開粒度舗装と他の舗装との接合部は、
段差が生じ易いばかりでなく、接合部を境に、密度や滑
り抵抗、更には膨張率などに不連続性があって、車両通
過時にタイヤ等によって不測の力が加わったり、経年変
化によってひび割れが生じたり、骨材の飛散が生じて路
面が荒れてしまい、このため隙間を生じることが多いも
のである。このため、開粒度舗装は、その優れた特性に
注目をされながらも、その耐久性に疑問が呈され、その
採用が躊躇されたり、採用する範囲が限定されたりし
て、その優れた特性が十分に生かされていないという問
題があった。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術のもつ欠点を解決するために為されたもので、透水性
を有し、かつ、消音効果も備えた開粒度舗装の優れた特
性を生かすべく、開粒度舗装の耐久性並びに耐衝撃性を
向上させ、開粒度舗装の適用範囲を拡大することを課題
とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく研究を重ねた結果、開粒度舗装においては
最も損傷を受け易い箇所は他の舗装との接合部及びその
周辺部であることに着目し、開粒度舗装と他の舗装との
接合部とその周辺部を特殊な注入材によって注入、充填
することによって開粒度舗装の耐久性並びに耐衝撃性を
向上させることができることを見出して本発明を完成し
た。
【0005】すなわち、本発明は、開粒度型舗装用混合
物を用いて構築された舗装体と既設もしくは新設の他の
舗装体との接合部とその周辺に存在する空隙を、細骨材
及びアスファルト乳剤を含む注入材によって注入、充填
することを特徴とする舗装体接合部の補強方法、並び
に、開粒度型舗装用混合物を用いて構築された舗装体と
既設もしくは新設の他の舗装体との接合部とその周辺に
存在する空隙が、細骨材及びアスファルト乳剤を含む注
入材によって充填されている補強された接合部を有する
舗装体を提供することによって上記課題を解決するもの
である。
【0006】本発明においては、開粒度型舗装用混合物
を用いて構築された舗装体と他の舗装体との接合部とそ
の周辺に存在する空隙が、細骨材及びアスファルト乳剤
を含む注入材によって注入、充填されることによって補
強されるものである。注入された注入材は、接合部とそ
の周辺に存在する空隙を充填し、固化して、開粒度舗装
と他の舗装体とを一体化し、両者の接合部における不連
続性を無くし、耐久性と耐衝撃性を向上させる。
【0007】注入材としては、細骨材とアスファルト乳
剤、更には水硬性無機材料を含む注入材が用いられる。
この注入材は、粘性、弾性、撓み性、柔軟性及び耐久性
に優れ、流動性の調節が可能であり、接合部とその周辺
の微細な空隙やひび割れ部にも良く浸透して目指す空隙
を十分に充填することが可能である。しかも、比較的簡
単な設備で少量でも製造することができ、短時間で強度
を発現して早期交通解放を可能にするばかりでなく、材
料を加熱する必要がないので、加熱に伴うCO2 の発生
がないという地球環境的にも優れた注入材である。
【0008】注入材による注入は、開粒度舗装と他の舗
装体との接合部を、上から下まで完全に充填するように
行うこともできるし、接合部の上部のみ、例えば、接合
部の厚さの1/4〜3/4程度のみを充填して、その下
の3/4〜1/4程度は未充填のままに残すことも可能
である。このように下部を未充填のまま残すことによっ
て、例えば、他の舗装体が同じく開粒度舗装の場合に
は、浸透してきた雨水等の流れを接合部で遮断すること
なく、また、たとえ他の舗装体が密粒度舗装の場合であ
っても、浸透してきた雨水等の流れを接合部で妨害する
ことなく、そのまま、道路側端部の集水桝などに、有孔
導水パイプ等を経て、導くことができるので、開粒度舗
装が本来備えている機能を損なうことなく、接合部の補
強を実現することができる。
【0009】また、本発明において注入材が注入、充填
される接合部とその周辺に存在する空隙とは、文字通
り、舗装体相互の接合部とその周辺に存在する空隙やひ
び割れ部を言い、例えば、開粒度舗装の空隙や、舗装体
の角欠部やその他の欠失部、舗装体表面の凹みなども含
まれる場合がある。
【0010】本発明が対象とする開粒度型舗装用混合物
を用いて構築された舗装体とは、既設、新設を問わず、
開粒度型舗装用混合物を用いて構築された全ての舗装体
を包含し、加熱タイプの舗装用混合物を用いて構築され
たものであっても、常温タイプの舗装用混合物を用いて
構築されたものであっても良い。また、そのような舗装
体としては、例えば、空隙率が10〜40%程度の範囲
にある舗装体が挙げられる。なお、本発明で言う空隙率
とは、混合物を通常の方法で転圧し締め固めた状態で空
中並びに水中での重量を測定し、(空中重量)/{(空
中重量)−(水中重量)}なる関係式で実際の密度を求
め、次いで、(空隙率%)=100−100×{(実際
の密度)/(理論密度)}なる式によって得られる値で
ある。
【0011】また、本発明における他の舗装体として
は、既設、新設を問わず、開粒度型舗装用混合物を用い
て構築された舗装体と隣接する全ての舗装体を包含し、
この他の舗装体自身が開粒度型舗装用混合物を用いて構
築された舗装体であっても良いし、密粒度舗装であって
も良い。従って、本発明は、既設の接合部の補強にも、
また、補修や新設等によって新たに生まれた接合部の補
強にも、いずれの場合にあっても適用することができる
ものであり、密粒度舗装と、それに隣接して構築された
開粒度舗装との接合部にも、また、開粒度舗装自体にお
けるセンタージョイント等の接合にも適用することがで
きるものである。しかも、接合部の方向も、例えば道路
にあっては、道路の縦断方向、横断方向、斜め等、どの
ような向きにあっても構うものではなく、その存在場所
も、一般道路、高速道路、駐車場、飛行場、港湾施設、
構内道路、屋上等、いずれの場所にあっても良い。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の舗装体接合部の補
強方法と補強された接合部を有する舗装体について詳細
に説明する。
【0013】図1は、本発明の補強された接合部を有す
る舗装体の断面の一例を示す図であり、図1において、
符号1は本発明の補強された接合部を有する舗装体を、
2は開粒度舗装用混合物を用いて構築された開粒度舗装
体を、3は隣接する他の舗装体であって、この図の場合
には既設の密粒度舗装の表層を、4は既設舗装の基層
を、5は既設舗装の上層路盤を示す。6は開粒度舗装体
2と既設舗装体3との接合部を、7は注入材を、8は既
設舗装体3の角欠部を、それぞれ表している。
【0014】図1に示すように、注入材7は、開粒度舗
装体2と密粒度舗装体3との接合部6とその周辺に注入
され、接合部6とその周辺の空隙、すなわち、開粒度舗
装体2の空隙や、密粒度舗装体3の角欠部8、及び図示
しないひび割れ部などを充填する。注入材7の注入は、
流下、散布、塗布等、どのような方法を用いて行っても
良く、要は、接合部6とその周辺に存在する空隙が注入
材7によって充填されれば良い。注入材7による充填厚
は、注入材7の粘度や注入量を調節することによって調
節できる。図1の場合には、充填は接合部6とその周辺
の上部のみ行われ、下部は未充填のままである。このよ
うにすることによって、接合部6周辺の開粒度舗装体2
の下部は、依然として所定の空隙率を有しており、開粒
度舗装本来の機能を保たせることができる。
【0015】注入材7は、接合部6を跨いで、開粒度舗
装体2及び密粒度舗装体3の上面を1〜2mm程度覆う
ように注入するのが好ましい。また、注入幅a、bに特
に制限はないが、接合部6から、開粒度舗装体2側及び
密粒度舗装体3側に、それぞれ、3〜350cmの幅
で、好ましくは、5〜300cmの幅で注入するのが好
ましく、密粒度舗装体3側の幅bよりも開粒度舗装体2
側の幅aが幅広になるように注入するのがより好まし
い。注入材7によって、接合部6とその周辺に存在する
空隙やひび割れ部は充填され、接合部6に密度や接触抵
抗などの不連続性はなくなり、車両通過時に車両搭乗者
に不快な振動を与えることがなく、開粒度舗装体2と既
設舗装体3とは強固に密着、一体化する。注入材7は、
粘性、弾性、撓み性、柔軟性及び耐久性に優れ、接合部
6やその周辺の骨材の飛散を防止するだけでなく、温度
変化に伴う隣接する舗装体相互間の膨張、収縮の違いを
吸収し、ひび割れや剥離などが生じ難い優れた接合部補
強構造を実現する。
【0016】次に、本発明で使用する注入材について説
明する。
【0017】本発明で使用する注入材は、細骨材とアス
ファルト乳剤を含み、更には、必要に応じて水硬性無機
材料を含むものである。
【0018】細骨材とは、2.5mmフルイを通過する
もので、例えば、川砂、丘砂、山砂、スクリーニング
ス、砕石ダスト、シリカサンド、人工骨材、石粉、焼却
炉灰、クレー、タルク、フライアッシュ、カーボンブラ
ックなどであり、このほか、ゴム粉粒、コルク粉粒、木
質粉粒、樹脂粉粒、パルプ、人工骨材等も挙げられ、こ
れらの細骨材は、その1種もしくは2種以上を用いるこ
とができる。
【0019】アスファルト乳剤とは、レーキアスファル
ト等の天然アスファルト、ストレートアスファルトやブ
ローンアスファルト、セミブローンアスファルト、溶剤
脱瀝アスファルト(例えば、プロパン脱瀝アスファル
ト)等の石油アスファルト、重油、タール、ピッチ等の
1種、または2種以上を混合した瀝青物を、各種界面活
性剤やクレー(例えばベントナイト)などの乳化剤を用
い、さらには、アルカリ、酸、塩、分散剤、保護コロイ
ドなどを必要に応じて添加して、コロイドミル、ホモジ
ナイザー、ホモミキサーなどの適当な乳化機によって、
水中に乳化させたものである。
【0020】乳化剤としては、カチオン系、アニオン
系、両性系のいずれをも用いることができる。
【0021】本発明で使用できるカチオン系の乳化剤と
しては、長鎖アルキル基を有する脂肪族あるいは脂環族
のモノアミン、ジアミン、トリアミン、アミドアミン、
ポリアミノエチルイミダゾリン、長鎖ヒドロキシアルキ
ルジアミン、ロジンアミン、これらアミン類の酸化エチ
レン付加物、アミンオキサイド、または、これらのアミ
ン系界面活性剤に塩酸、スルファミン酸、酢酸などの酸
を作用させた水溶性ないし水分散性の塩、さらには、こ
れらのアミン系界面活性剤の第四級アンモニウム塩等が
挙げられる。また、これらの界面活性剤と共に、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルアリルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピ
レンブロックコーポリマーなどのノニオン系界面活性剤
を併用することもできる。
【0022】本発明で使用できるアニオン系の乳化剤と
しては、高級アルコール硫酸エステル、アルキルアリル
スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、αオレ
フィンスルホン酸塩、高級アルコールエトオキシレー
ト、高級アルコールエトオキシレートサルフェート、石
鹸、ナフタリンスルホン酸塩およびホルマリン変性物、
アルカリリグニン塩、リグニンスルホン酸塩、カゼイン
のアルカリ塩、ポリアクリル酸塩等が挙げられる。
【0023】本発明で使用できる両性系の乳化剤として
は、アルキルフェノール、モノおよび多価アルコール
酸、脂肪族類、脂肪族アミン類、脂肪族アミド類、エタ
ノールアミン類等のアルキレンオキシドの付加物、など
が挙げられる。
【0024】また、アスファルト乳剤に用いられる分散
剤や保護コロイドとしては、ナフタリンスルホン酸ソー
ダ、カゼイン、アルギン酸、ゼラチン、カルボキシメチ
ルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソー
ダ、リグニンスルホン酸塩、ニトロフミン酸塩等が挙げ
られる。
【0025】本発明に使用されるアスファルト乳剤とし
ては、上記乳化分散される瀝青物に、ゴム及び熱可塑性
高分子重合物から選ばれる1種または2種以上を混和し
て改質した改質アスファルト乳剤を用いるのが好まし
い。
【0026】改質アスファルト乳剤に使用されるゴム及
び熱可塑性高分子重合物は、例えば、天然ゴム、ガタバ
ーチャ、環化ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレ
ン・イソプレンゴム、イソプレンゴム、ポリイソブチレ
ンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴ
ム、ハロゲン化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン、クロ
ロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、
EPTゴム、アルフィンゴム、スチレン・ブタジエンブ
ロック共重合ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重
合ゴムなどのゴム、及び、エチレン・酢酸ビニール共重
合物、エチレン・アクリレート共重合物、ポリエチレ
ン、酢酸ビニール・アクリレート共重合物などの熱可塑
性高分子重合物であり、これらの1種もしくは2種以上
が併用して使用される。これらは、例えば、粉末状、ラ
テックス状、エマルジョン状、水性状のものであり、ラ
テックス状、エマルジョン状、水性状のものはポストミ
ックスタイプの方法による改質アスファルト乳剤に専ら
使用されるが、プレミックスタイプの方法による改質ア
スファルト乳剤に使用しても良い。
【0027】上記のゴムや熱可塑性高分子重合物ととも
に、接着性や相溶性を改善するために、粘着付与剤とし
て熱可塑性固形樹脂や固形状ゴム、液状樹脂、軟化剤、
可塑剤などを添加しても良い。例えば、ロジンとその誘
導体、テルペン樹脂や石油樹脂とその誘導体、アルキッ
ド樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール
樹脂、クマロンインデン樹脂、合成テルペン樹脂、アル
キレン樹脂、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、イソ
ブチレンとブタジエンとの共重合物、鉱油、プロセスオ
イル、パイン油、アントラセン油、松根油、可塑剤、動
植物油、重合油などである。また、老化防止剤、酸化防
止剤、硫黄等も添加することができる。さらにまた、改
質アスファルト乳剤の粘度調整を目的に、MC、CM
C、HEC、PVA、ゼラチンなどの水溶性高分子保護
コロイドを添加することも可能である。
【0028】改質アスファルト乳剤中のアスファルト
と、ゴム及び熱可塑性高分子重合物との配合割合は、ア
スファルト100重量部に対してゴム及び熱可塑性高分
子重合物が1〜10重量部程度、好ましくは、3〜7重
量部程度である。ゴム及び熱可塑性高分子重合物の量が
1重量部未満では、改質アスファルト乳剤が分解、硬化
した後における改質アスファルト乳剤の骨材に対する接
着力、把握力が劣るのに対し、10重量部を越えると、
凝集力が強すぎて、かえって骨材からの剥離が生じ易
く、また、経済的でない。また、改質アスファルト乳剤
中のアスファルトとしては、分解、硬化した後の特性を
考慮して、針入度(25℃)が40〜300程度のもの
を使用するのが好ましい。改質アスファルト乳剤の蒸発
残留物(固形物)濃度は、通常、30〜70重量%程度
が好ましく、本発明では、特に40〜60重量%ものが
特に好ましい。蒸発残留物濃度が30重量%未満では、
決して使用できないという訳ではないが、注入材に所望
の粘弾性を与えることが難しく、一方、蒸発残留物濃度
が70重量%を越えると、これも決して使用できないと
いう訳ではないが、良好な施工性を確保しづらい傾向が
ある。
【0029】また、これらのアスファルト乳剤には、耐
熱性向上や、紫外線等による劣化防止、作業性向上、並
びに接着性向上等の目的で、紫外線吸収剤や、各種添加
剤、粘度調整剤などを添加しても良い。
【0030】アスファルト乳剤の分解は自然分解に頼る
のが一番であるが、場合によっては、分解剤を使用して
強制的に分解させても良い。
【0031】本発明の注入材に使用する水硬性無機材料
としては、セメント、無水石膏、半水石膏、粉末状スラ
グなどが挙げられる。
【0032】使用するセメントとしては、普通ポルトラ
ンドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポル
トランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、白色
ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメン
ト、アルミナセメント、膨張セメント、高炉コロイドセ
メント、コロイドセメント、超速硬セメント、白色セメ
ント、フライアッシュセメント、耐硫酸塩セメント、ジ
ェットセメントなどが挙げられる。これらの水硬性無機
材料は、その1種もしくは2種以上を併用することも可
能で、更には、水や、公知のセメント用混和材料、例え
ば、収縮補償材、硬化促進材、硬化遅延材、分散剤、空
気連行剤、増粘剤、減水剤、充填剤などを併用すること
も可能である。
【0033】上記細骨材、アスファルト乳剤更には水硬
性無機材料の配合割合としては、細骨材100重量部に
対して、アスファルト乳剤を蒸発残留分として5〜20
重量部、好ましくは9〜15重量部が好ましく、水硬性
無機材料は、同じく細骨材100重量部に対して、0〜
10重量部、好ましくは1〜6重量部の範囲で使用する
のが好ましい。アスファルト乳剤及び水硬性無機材料の
使用量が上記範囲を外れると、決して使用できないとい
う訳ではないが、注入材としての好ましい特性が得られ
難い。
【0034】本発明の注入材は、上述したような細骨
材、アスファルト乳剤更には水硬性無機材料を混合撹拌
して製造することができる。混合は、アスモルミキサー
等を用いて行い、典型的には次のような手順で行われ
る。すなわち、まず、ミキサーの中に細骨材と水硬性無
機材料とを入れ、20〜40秒撹拌する。次いで、アス
ファルト乳剤をミキサーに入れ、30〜60秒程度混
合、撹拌する。アスファルト乳剤中の水分で十分な混合
性が得られるが、混合性が不十分な場合には水を適宜添
加して、混合性を良好にすることができる。水は水道
水、工業用水が良いが、淡水であれば良く、河川水、湖
沼水などを使用しても特に支障はない。あるいは、細骨
材と水硬性無機材料とを予め混合したものを用い、それ
とアスファルト乳剤とを現場で簡単なミキサー等で混合
して製造することも可能である。いずれにしても、得ら
れる混合物はスラリー状であり流動性に優れている。流
動性の調整は、例えば、流動化剤を添加することによっ
て行っても良いし、水を添加して流動性を調整しても良
い。
【0035】以下、実施例を用いて、本発明を更に説明
するが、本発明がこれら実施例に限られるものでないこ
とは勿論である。
【0036】
【実施例1】既設の密粒度型舗装を、道路横断方向に全
幅(幅=5.5m)、道路縦断方向に10mの範囲で取
り除き、開粒度アスファルト混合物(空隙率21.0
%)を用いて開粒度舗装を5cmの厚さで舗設した。舗
設した開粒度舗装の一方の端部における既設の密粒度舗
装との接合部を本発明の方法で補強し、他方の端部にお
ける接合部は何らの補強も行わずに対照とした。
【0037】注入材として使用した材料は以下のとおり
であった。 細骨材及び水硬性無機材料:細骨材と、水硬性無機材料
としての早強ポルトランドセメントとの混合物。早強ポ
ルトランドセメントの細骨材に対する配合割合は、細骨
材100重量部に対して、3重量部。(商品名:ロメン
パッチ(ニチレキ(株)製。荷姿3.5kg/袋)) なお、細骨材の粒度は表1のとおり。
【0038】
【表1】
【0039】 アスファルト乳剤 :カチオン系アスファルト乳剤 アスファルト乳剤中の蒸発残留分の性状 蒸発残留物:44(重量%) 針入度(25℃):63(1/10mm) 軟化点:57(℃) (商品名:パックゾールS(ニチレキ(株)製。荷 姿1リットル/紙箱))
【0040】上記ロメンパッチ3.5kgに対して、パ
ックゾール1リットルを混合し、撹拌すると、約10秒
程度で、モルタル状の注入材が得られた。得られた注入
材の一部を取り、別途物性試験を行ったところ次のよう
な結果を得た。 〈硬化前の性状〉 可使時間(13℃) 8(分) 硬化時間(13℃) 22(分) 〈硬化後の性状〉 マーシャル安定度 369(kgf) マーシャルフロー値 35(1/100cm)
【0041】上記注入材を、接合部から既設の密粒度舗
装側へ20cm、開粒度舗装側へ150cmの幅で流し
込み、注入材が十分に浸透するのを待ち、同時に、開粒
度舗装の空隙内に早く充填させるために一部はゴムレー
キ等でしごくようにして充填させ、表面に溢れた注入材
が接合部を跨いで接合部両側の舗装体表面を1〜2mm
の厚さで覆うようにゴムレーキで敷き広げた。その後、
仕上げ面をポータブルガスバーナーで軽く焙り、約25
分経過すると、注入材は固化し、作業員が上に乗っても
足跡がつくことはなかった。続いて、付着防止のため、
乾燥単粒砂(商品名「ロメンサンド」、ニチレキ(株)
製)を0.04m3 /m2 散布し、直ちに交通開放し
た。
【0042】1ヶ月後、補強した接合部周辺から、コア
ーボーラーで5個のサンプルコアーを抜き取り観察した
ところ、開粒度舗装の充填厚は平均して2.4cmであ
り、開粒度舗装の空隙、並びに、既設舗装の角欠部等は
注入材によって完全に充填されていた。また、路面調査
を行ったところ、補強した接合部周辺には全く異常が見
られなかったのに対し、補強を行わなかった接合部周辺
では、点々と骨材の飛散した跡が見られた。
【0043】
【実施例2】上下方向合計2車線の内の片車線側に、長
さ20mの範囲で、開粒度アスファルト混合物(空隙率
20.6%)を用いて開粒度舗装を5cmの厚さで舗設
した。舗設した開粒度舗装のセンタージョイントの一部
(長さ10m)を本発明の方法で補強し、センタージョ
イントの残りの部分には何らの補強も行わずに対照とし
た。
【0044】注入材として使用した材料は以下のとおり
であった。 細骨材:2.5mm篩でふるい分けしたスクリーニング
ス なお、細骨材の粒度は表2のとおり。
【0045】
【表2】
【0046】 アスファルト乳剤:カチオン系アスファルト乳剤 アスファルト乳剤中の蒸発残留分の性状 蒸発残留物:44(重量%) 針入度(25℃):55(1/10mm) 軟化点:63(℃)
【0047】上記細骨材とアスファルト乳剤とを、重量
比で、細骨材:アスファルト乳剤=3.5:1.0の割
合で混合し、撹拌すると、約15秒程度で、モルタル状
の注入材が得られた。得られた注入材の一部を取り、別
途物性試験を行ったところ次のような結果を得た。 〈硬化前の性状〉 可使時間(8℃) 13(分) 硬化時間(8℃) 30(分) 〈硬化後の性状〉 マーシャル安定度 281(kgf) マーシャルフロー値 49(1/100cm)
【0048】上記注入材を、接合部であるセンタージョ
イントから、両側にそれぞれ15cmの幅で流し込み、
注入材が十分に浸透するのを待って、表面に溢れた注入
材が接合部を跨いで接合部両側の舗装体表面を1〜2m
mの厚さで覆うようにゴムレーキで敷き広げた。約50
分経過すると、注入材は固化し、作業員が上に乗っても
足跡がつくことはなかった。続いて、付着防止のため、
乾燥単粒砂(商品名「ロメンサンド」、ニチレキ(株)
製)を0.04m3 /m2 散布し、直ちに交通開放し
た。
【0049】1ヶ月後、補強したセンタージョイント周
辺から、コアーボーラーで5個のサンプルコアーを抜き
取り観察したところ、開粒度舗装の充填厚は平均して
1.9cmであり、センタージョイント部の空隙は注入
材によって完全に充填されており、どこに接合部が存在
するのか分からない程であった。また、路面調査を行っ
たところ、補強したセンタージョイント周辺には全く異
常が見られなかったのに対し、補強を行わなかったセン
タージョイント周辺では、骨材の飛散した跡が若干見ら
れた。
【0050】
【発明の効果】以上のように、本発明は、開粒度舗装用
混合物を用いて構築された舗装体と既設もしくは新設の
他の舗装体との接合部を、細骨材及びアスファルト乳剤
を含む注入材によって注入、充填して、開粒度舗装相
互、もしくは、開粒度舗装と密粒度舗装との接合部を密
着、一体化して強固に補強するものであるので、本発明
によれば、開粒度舗装の弱点であった特に接合部におけ
る耐久性の欠如が有効にカバーされ、開粒度舗装の使用
範囲が大幅に拡大されるものである。
【0051】使用する注入材は、粘性、弾性、撓み性、
柔軟性及び耐久性に優れ、流動性の調節が可能であり、
接合部とその周辺の微細な空隙にも良く浸透して目指す
空隙を十分に充填することが可能である。しかも、比較
的簡単な設備で少量でも製造することができ、短時間で
強度を発現して早期交通開放を可能にするばかりでな
く、材料を加熱する必要がないので、加熱に伴うCO2
の発生がないという地球環境的にも優れた注入材であ
る。この注入材によって接合部とその周辺の空隙を、場
合によってはその上部のみを充填することにより、開粒
度舗装の持つ本来の優れた特性を生かしつつ、その耐久
性を向上させ、多用な用途への可能性を開くものであ
り、産業上、極めて有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法によって接合部が補強された舗
装体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 補強された接合部を有する舗装体 2 開粒度舗装体 3 密粒度舗装体 4 基層 5 上層路盤 6 接合部 7 注入材 8 角欠部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開粒度型舗装用混合物を用いて構築され
    た舗装体と既設もしくは新設の他の舗装体との接合部と
    その周辺に存在する空隙を、細骨材及びアスファルト乳
    剤を含む注入材によって注入、充填することを特徴とす
    る舗装体接合部の補強方法。
  2. 【請求項2】 注入材が更に水硬性無機材料を含むもの
    である請求項1記載の舗装体接合部の補強方法。
  3. 【請求項3】 接合部とその周辺に存在する空隙の内、
    上部の空隙のみが注入、充填される請求項1または2記
    載の舗装体接合部の補強方法。
  4. 【請求項4】 開粒度型舗装用混合物が、空隙率10〜
    40%の舗装用混合物である請求項1、2または3記載
    の舗装体接合部の補強方法。
  5. 【請求項5】 開粒度型舗装用混合物を用いて構築され
    た舗装体と既設もしくは新設の他の舗装体との接合部と
    その周辺に存在する空隙が、細骨材及びアスファルト乳
    剤を含む注入材によって充填されている補強された接合
    部を有する舗装体。
  6. 【請求項6】 注入材が更に水硬性無機材料を含むもの
    である請求項5記載の補強された接合部を有する舗装
    体。
  7. 【請求項7】 接合部とその周辺に存在する空隙の内、
    上部の空隙のみが充填されている請求項5または6記載
    の補強された接合部を有する舗装体。
  8. 【請求項8】 開粒度型舗装用混合物が、空隙率10〜
    40%の舗装用混合物である請求項5、6または7記載
    の補強された接合部を有する舗装体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012012782A (ja) * 2010-06-29 2012-01-19 Yokohama Rubber Co Ltd:The 弾性舗装体の製造方法および弾性舗装体
JP2020200653A (ja) * 2019-06-10 2020-12-17 積水樹脂株式会社 埋設部材の設置構造およびその設置方法

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