JPH11246945A - 色ずれの少ないヒートシュリンクバンド用メッキ鋼板 - Google Patents
色ずれの少ないヒートシュリンクバンド用メッキ鋼板Info
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- JPH11246945A JPH11246945A JP6928698A JP6928698A JPH11246945A JP H11246945 A JPH11246945 A JP H11246945A JP 6928698 A JP6928698 A JP 6928698A JP 6928698 A JP6928698 A JP 6928698A JP H11246945 A JPH11246945 A JP H11246945A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 従来の鋼板と同等以上の張力を保持し、かつ
充分な磁気シールド性を維持し、色ずれの少ないヒート
シュリンクバンド用メッキ鋼板を提供すること。 【解決手段】 降伏応力を２４ｋｇ／ｍｍ2以上、０．
３Ｏｅの磁界における透磁率μと板厚との積を３００以
上とすることにより、色ずれの少ないヒートシュリンク
バンド用メッキ鋼板が得られる。
充分な磁気シールド性を維持し、色ずれの少ないヒート
シュリンクバンド用メッキ鋼板を提供すること。 【解決手段】 降伏応力を２４ｋｇ／ｍｍ2以上、０．
３Ｏｅの磁界における透磁率μと板厚との積を３００以
上とすることにより、色ずれの少ないヒートシュリンク
バンド用メッキ鋼板が得られる。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、テレビ等のカラー
陰極線管において、パネル部周囲を緊締するヒートシュ
リンクバンドに適用される鋼板に関し、特に色ずれの少
ないヒートシュリンクバンド用メッキ鋼板に関する。
陰極線管において、パネル部周囲を緊締するヒートシュ
リンクバンドに適用される鋼板に関し、特に色ずれの少
ないヒートシュリンクバンド用メッキ鋼板に関する。
【０００２】
【従来の技術】カラー陰極線管では、管体内が１．０×
１０-7Ｔｏｒｒの高真空状態であることから、パネル面
の変形防止および管体の内爆防止といった観点から、バ
ンド状に成形した鋼板からなるヒートシュリンクバンド
をパネル部の周囲に設け、これにより張力を付与するこ
とによってパネル面の変形を補正している。
１０-7Ｔｏｒｒの高真空状態であることから、パネル面
の変形防止および管体の内爆防止といった観点から、バ
ンド状に成形した鋼板からなるヒートシュリンクバンド
をパネル部の周囲に設け、これにより張力を付与するこ
とによってパネル面の変形を補正している。
【０００３】さらに、このようなヒートシュリンクバン
ドは、内部磁気シールドと同様、地磁気のシールドを行
う機能も有しており、地磁気による電子ビームの蛍光面
に対する着弾位置のずれを防止し、結果的に色ずれが生
じるのを防止する機能を有している。
ドは、内部磁気シールドと同様、地磁気のシールドを行
う機能も有しており、地磁気による電子ビームの蛍光面
に対する着弾位置のずれを防止し、結果的に色ずれが生
じるのを防止する機能を有している。
【０００４】従来から、このヒートシュリンクバンドに
は、降伏応力がおよそ２４ｋｇｆ／ｍｍ2程度の軟鋼板
にメッキを付着させた鋼板が用いられているが、その地
磁気シールド性は不充分であり、色ずれ防止効果は充分
とはいえない。
は、降伏応力がおよそ２４ｋｇｆ／ｍｍ2程度の軟鋼板
にメッキを付着させた鋼板が用いられているが、その地
磁気シールド性は不充分であり、色ずれ防止効果は充分
とはいえない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来のヒートシュリンクバンドでは、磁気シールド性が不
充分であり、優れた色ずれ防止性能を有するヒートシュ
リンクバンド用メッキ鋼板が要求されている。また、こ
のようなメッキ鋼板は本質的にメッキ付着性が要求され
る。
来のヒートシュリンクバンドでは、磁気シールド性が不
充分であり、優れた色ずれ防止性能を有するヒートシュ
リンクバンド用メッキ鋼板が要求されている。また、こ
のようなメッキ鋼板は本質的にメッキ付着性が要求され
る。
【０００６】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であり、従来の鋼板と同等以上の張力を保持し、かつ充
分な磁気シールド性を維持し、色ずれの少ないヒートシ
ュリンクバンド用メッキ鋼板を提供することを目的とす
る。また、メッキ密着性を良好に維持しつつ、従来の鋼
板と同等以上の張力を保持し、かつ充分な磁気シールド
性を維持し、色ずれの少ないヒートシュリンクバンド用
メッキ鋼板を提供することを目的とする。
であり、従来の鋼板と同等以上の張力を保持し、かつ充
分な磁気シールド性を維持し、色ずれの少ないヒートシ
ュリンクバンド用メッキ鋼板を提供することを目的とす
る。また、メッキ密着性を良好に維持しつつ、従来の鋼
板と同等以上の張力を保持し、かつ充分な磁気シールド
性を維持し、色ずれの少ないヒートシュリンクバンド用
メッキ鋼板を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく研究を重ねた結果、以下の知見を得た。 （１）メッキ付着後のヒートシュリンクバンド用鋼板の
０．３Ｏｅ（地磁気レベル）における透磁率μと板厚ｔ
との積μ×ｔが３００以上となると、色ずれの改良がみ
られること。 （２）上記の透磁率を保持しつつ、強度を従来鋼と同等
以上とするためには、Ｓｉが重量％で０．２％以上必要
であること。 （３）鋼中のＳｉ量が重量％で３％を超えると、メッキ
密着性が低下すること。
を解決すべく研究を重ねた結果、以下の知見を得た。 （１）メッキ付着後のヒートシュリンクバンド用鋼板の
０．３Ｏｅ（地磁気レベル）における透磁率μと板厚ｔ
との積μ×ｔが３００以上となると、色ずれの改良がみ
られること。 （２）上記の透磁率を保持しつつ、強度を従来鋼と同等
以上とするためには、Ｓｉが重量％で０．２％以上必要
であること。 （３）鋼中のＳｉ量が重量％で３％を超えると、メッキ
密着性が低下すること。
【０００８】本発明は、このような知見に基づいて完成
されたものであり、第１に、降伏応力が２４ｋｇ／ｍｍ
2以上、０．３Ｏｅの磁界における透磁率μと板厚との
積が３００以上であることを特徴とする、色ずれの少な
いヒートシュリンクバンド用メッキ鋼板を提供するもの
である。
されたものであり、第１に、降伏応力が２４ｋｇ／ｍｍ
2以上、０．３Ｏｅの磁界における透磁率μと板厚との
積が３００以上であることを特徴とする、色ずれの少な
いヒートシュリンクバンド用メッキ鋼板を提供するもの
である。
【０００９】第２に、重量％で、Ｃ：０．００５％以
下、Ｎ：０．００５％以下、Ｐ：０．１％以下、Ｓ：
０．０２％以下、Ｓｉ：０．２％以上３．０％以下、Ｍ
ｎ：１．０％以下、ｓｏｌ．Ａｌ：１．０％以下であ
り、降伏応力が２４ｋｇ／ｍｍ2以上、０．３Ｏｅの磁
界における透磁率μと板厚との積が３００以上であるこ
とを特徴とする、色ずれの少ないヒートシュリンクバン
ド用メッキ鋼板を提供するものである。
下、Ｎ：０．００５％以下、Ｐ：０．１％以下、Ｓ：
０．０２％以下、Ｓｉ：０．２％以上３．０％以下、Ｍ
ｎ：１．０％以下、ｓｏｌ．Ａｌ：１．０％以下であ
り、降伏応力が２４ｋｇ／ｍｍ2以上、０．３Ｏｅの磁
界における透磁率μと板厚との積が３００以上であるこ
とを特徴とする、色ずれの少ないヒートシュリンクバン
ド用メッキ鋼板を提供するものである。
【００１０】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。まず、本発明に至った経緯について説明する。 １．色ずれ性と透磁率の関係 Ｃ：０．００３％、Ｓｉ：１．３５％、Ｍｎ：０．２０
％、Ｐ：０．０５％、Ｓ：０．００３％、Ａｌ：０．２
０％、Ｎ：０．００２％の組成を有する鋼を実験室溶解
後、熱間圧延し、その後０．８〜１．２ｍｍｔまで冷間
圧延し、５００℃〜８００℃で９０秒の焼鈍を施した
後、電気メッキにより亜鉛を合金板の両面に１９ｇ／ｍ
２付着した後、所定の形状のバンドに加工し、このバン
ドを５００℃に加熱後、２９インチＴＶ陰極線管パネル
にはめ込み、地磁気ドリフト性の評価を行った。その結
果を図１に示す。
明する。まず、本発明に至った経緯について説明する。 １．色ずれ性と透磁率の関係 Ｃ：０．００３％、Ｓｉ：１．３５％、Ｍｎ：０．２０
％、Ｐ：０．０５％、Ｓ：０．００３％、Ａｌ：０．２
０％、Ｎ：０．００２％の組成を有する鋼を実験室溶解
後、熱間圧延し、その後０．８〜１．２ｍｍｔまで冷間
圧延し、５００℃〜８００℃で９０秒の焼鈍を施した
後、電気メッキにより亜鉛を合金板の両面に１９ｇ／ｍ
２付着した後、所定の形状のバンドに加工し、このバン
ドを５００℃に加熱後、２９インチＴＶ陰極線管パネル
にはめ込み、地磁気ドリフト性の評価を行った。その結
果を図１に示す。
【００１１】図中の横軸は、やきばめ前のメッキ合金板
から採取したリング試験片を焼きばめ相当の熱処理を施
した後に測定を行った、地磁気相当の外部磁界０．３Ｏ
ｅにおける透磁率μと板厚ｔとの積μ×ｔの値である。
から採取したリング試験片を焼きばめ相当の熱処理を施
した後に測定を行った、地磁気相当の外部磁界０．３Ｏ
ｅにおける透磁率μと板厚ｔとの積μ×ｔの値である。
【００１２】また、磁気ドリフト性は地磁気による電子
ビームのランディングポイントのドリフト量をもって評
価した。図１の縦軸はこのような磁気ドリフト量Ｂｈ、
Ｂｖを示す。具体的には、ＣＲＴに対して０．３５Ｏｅ
の垂直磁界と０．３Ｏｅの水平磁界を付加した状態で、
ＣＲＴを３６０°回転させ、電子ビームのランディング
ポイントの基準点に対する位置ズレ（ランディングエラ
ー）を測定し、これのピークｔｏピークの値を水平ドリ
フト量Ｂｈとした。また、水平磁界を０Ｏｅとし、垂直
磁界を０Ｏｅから０．３５Ｏｅに変化させたときのラン
ディングエラーを垂直ドリフト量Ｂｖとして測定した。
なお、縦軸のランディングエラーのドリフト量について
は、軟鋼の値を１としたときの相対値をもって示してい
る。
ビームのランディングポイントのドリフト量をもって評
価した。図１の縦軸はこのような磁気ドリフト量Ｂｈ、
Ｂｖを示す。具体的には、ＣＲＴに対して０．３５Ｏｅ
の垂直磁界と０．３Ｏｅの水平磁界を付加した状態で、
ＣＲＴを３６０°回転させ、電子ビームのランディング
ポイントの基準点に対する位置ズレ（ランディングエラ
ー）を測定し、これのピークｔｏピークの値を水平ドリ
フト量Ｂｈとした。また、水平磁界を０Ｏｅとし、垂直
磁界を０Ｏｅから０．３５Ｏｅに変化させたときのラン
ディングエラーを垂直ドリフト量Ｂｖとして測定した。
なお、縦軸のランディングエラーのドリフト量について
は、軟鋼の値を１としたときの相対値をもって示してい
る。
【００１３】図１から明らかなように、μ×ｔが増加す
るとＢｈ、Ｂｖともに低下する傾向があり、地磁気によ
る色ずれは、μ×ｔが増加することによって改善され、
その値が３００以上で従来鋼よりも優れた値となること
がわかる。
るとＢｈ、Ｂｖともに低下する傾向があり、地磁気によ
る色ずれは、μ×ｔが増加することによって改善され、
その値が３００以上で従来鋼よりも優れた値となること
がわかる。
【００１４】２．Ｓｉ量と地磁気ドリフト量および強度
との関係 図２は、Ｃ：０．００２％、Ｍｎ：０．２４％、Ｐ：
０．０２％、Ｓ：０．００３％、Ａｌ：０．２２％、
Ｎ：０．００２８％とし、Ｓｉ量を変化させた鋼を、
１．０ｍｍｔまで冷間圧延後７００℃で焼鈍を施し、そ
の後鋼板両面に付着量２２ｇ／ｍ２で亜鉛を電気メッキ
後、所定の形状のバンドに加工し、２９インチＴＶ陰極
線管パネルに５００℃加熱後はめ込み、地磁気ドリフト
性の評価を行った結果を示す。
との関係 図２は、Ｃ：０．００２％、Ｍｎ：０．２４％、Ｐ：
０．０２％、Ｓ：０．００３％、Ａｌ：０．２２％、
Ｎ：０．００２８％とし、Ｓｉ量を変化させた鋼を、
１．０ｍｍｔまで冷間圧延後７００℃で焼鈍を施し、そ
の後鋼板両面に付着量２２ｇ／ｍ２で亜鉛を電気メッキ
後、所定の形状のバンドに加工し、２９インチＴＶ陰極
線管パネルに５００℃加熱後はめ込み、地磁気ドリフト
性の評価を行った結果を示す。
【００１５】Ｓｉ量が２％までは、Ｓｉ量が増加する
と、材料の透磁率が向上し、その結果地磁気ドリフト量
が減少する。特にＳｉ量が０．２％以上では、従来鋼と
比べて優れた地磁気ドリフト量となる。さらに２％を超
えると、透磁率が高まるものの、地磁気ドリフト量の改
善効果は少ない。この原因は明らかではないが、バンド
用鋼材の高温強度が鋼中Ｓｉ量の増加に伴って上昇し、
バンドとパネル面の密着性が変化したためと考えられ
る。
と、材料の透磁率が向上し、その結果地磁気ドリフト量
が減少する。特にＳｉ量が０．２％以上では、従来鋼と
比べて優れた地磁気ドリフト量となる。さらに２％を超
えると、透磁率が高まるものの、地磁気ドリフト量の改
善効果は少ない。この原因は明らかではないが、バンド
用鋼材の高温強度が鋼中Ｓｉ量の増加に伴って上昇し、
バンドとパネル面の密着性が変化したためと考えられ
る。
【００１６】すなわち、鋼中のＳｉ量が増加すると、Ｓ
ｉの固溶強化によって高温強度が上昇し、高温でのパン
ド張力が上昇する。焼きばめ冷却時、バンドが収縮して
パネルを締め付け始めた際の強度が高いと、加工上の精
度や加熱温度ムラ等で変形したバンドの形状が凍結され
やすく、室温まで冷却してもパネル全面でバンドが密着
しない状況となる。その結果、充分に磁気シールドする
ことができず、透磁率が高まった分ほどは磁気ドリフト
量が改善されないのである。
ｉの固溶強化によって高温強度が上昇し、高温でのパン
ド張力が上昇する。焼きばめ冷却時、バンドが収縮して
パネルを締め付け始めた際の強度が高いと、加工上の精
度や加熱温度ムラ等で変形したバンドの形状が凍結され
やすく、室温まで冷却してもパネル全面でバンドが密着
しない状況となる。その結果、充分に磁気シールドする
ことができず、透磁率が高まった分ほどは磁気ドリフト
量が改善されないのである。
【００１７】次に、鋼中のＳｉ量とメッキ材との密着性
について検討した結果を述べる。Ｃ：０．００３％、Ｍ
ｎ：０．２５％、Ｐ：０．０５％、Ｓ：０．００３％、
Ａｌ：０．２５％をベース組成としてＳｉを０．１％か
ら３．５％まで変化させた鋼をそれぞれ実験室溶解後、
熱間圧延を行い、その後１．２ｍｍｔまで冷間圧延を施
し、それぞれ７００℃、９０秒の焼鈍後、電気メッキに
より亜鉛を２０ｇ／ｍ2両面に付着させ、この鋼板を５
００℃、５秒の焼きばめ相当の熱処理を施した後に密着
曲げを行い、テープ試験により剥離性の評価を行った結
果を表１に示す。
について検討した結果を述べる。Ｃ：０．００３％、Ｍ
ｎ：０．２５％、Ｐ：０．０５％、Ｓ：０．００３％、
Ａｌ：０．２５％をベース組成としてＳｉを０．１％か
ら３．５％まで変化させた鋼をそれぞれ実験室溶解後、
熱間圧延を行い、その後１．２ｍｍｔまで冷間圧延を施
し、それぞれ７００℃、９０秒の焼鈍後、電気メッキに
より亜鉛を２０ｇ／ｍ2両面に付着させ、この鋼板を５
００℃、５秒の焼きばめ相当の熱処理を施した後に密着
曲げを行い、テープ試験により剥離性の評価を行った結
果を表１に示す。
【００１８】
【表１】
【００１９】この表から、Ｓｉが３％を超えると、メッ
キの密着性が低下し、密着曲げ時にメッキの剥離が生じ
ることがわかる。一方、鋼中のＳｉ量が３％以下の場合
は、密着曲げにおいてもメッキの剥離は認められなかっ
た。鋼中のＳｉ量が増加すると鋼板表面にＳｉ系の不活
性な酸化物が残りやすく、このような酸化物はメッキの
前処理として行われる酸洗によっても完全に除去されな
いため、清浄なメッキ結合（金属間結合）を妨げ、メッ
キ密着性を低下せしめるものと考えられる。したがっ
て、鋼中のＳｉ量は３％以下が望ましい。
キの密着性が低下し、密着曲げ時にメッキの剥離が生じ
ることがわかる。一方、鋼中のＳｉ量が３％以下の場合
は、密着曲げにおいてもメッキの剥離は認められなかっ
た。鋼中のＳｉ量が増加すると鋼板表面にＳｉ系の不活
性な酸化物が残りやすく、このような酸化物はメッキの
前処理として行われる酸洗によっても完全に除去されな
いため、清浄なメッキ結合（金属間結合）を妨げ、メッ
キ密着性を低下せしめるものと考えられる。したがっ
て、鋼中のＳｉ量は３％以下が望ましい。
【００２０】なお、本発明のメッキ層を構成するメッキ
金属としてはＳｎ、Ｚｎ、Ｎｉ、Ｃｒ、Ｃｕ、Ａｌなど
が好適であり、その付着量は３〜４０ｇ／ｍ2が好まし
い。また、メッキ方法は、電気メッキ、溶融メッキのい
ずれでもよい。
金属としてはＳｎ、Ｚｎ、Ｎｉ、Ｃｒ、Ｃｕ、Ａｌなど
が好適であり、その付着量は３〜４０ｇ／ｍ2が好まし
い。また、メッキ方法は、電気メッキ、溶融メッキのい
ずれでもよい。
【００２１】上述した（１）〜（３）の知見は以上のよ
うな結果に基づくものであり、本発明はこれらの結果を
基礎とするものである。
うな結果に基づくものであり、本発明はこれらの結果を
基礎とするものである。
【００２２】本発明は、降伏応力が２４ｋｇ／ｍｍ2以
上、０．３Ｏｅの磁界における透磁率μと板厚との積が
３００以上のメッキ鋼板とすることにより、従来と同等
の強度を維持しつつ色ずれを有効に防止するものである
が、好ましい組成範囲として、重量％で、Ｃ：０．００
５％以下、Ｎ：０．００５％以下、Ｐ：０．１％以下、
Ｓ：０．０２％以下、Ｓｉ：０．２％以上３．０％以
下、Ｍｎ：１．０％以下、ｓｏｌ．Ａｌ：１．０％以下
と規定する。
上、０．３Ｏｅの磁界における透磁率μと板厚との積が
３００以上のメッキ鋼板とすることにより、従来と同等
の強度を維持しつつ色ずれを有効に防止するものである
が、好ましい組成範囲として、重量％で、Ｃ：０．００
５％以下、Ｎ：０．００５％以下、Ｐ：０．１％以下、
Ｓ：０．０２％以下、Ｓｉ：０．２％以上３．０％以
下、Ｍｎ：１．０％以下、ｓｏｌ．Ａｌ：１．０％以下
と規定する。
【００２３】以下、成分をこのように規定した理由につ
いて説明する。Ｓｉ：Ｓｉは、本発明で最も重要な成分
である。Ｓｉを添加することにより、固溶体強化によっ
て強度を上昇させつつ、透磁率を高めることが可能とな
る。このような強度・透磁率バランスはＳｉが０．２％
以上含まれた場合に優れたものとなり、従来鋼以上の強
度・透磁率となる。しかしながら、Ｓｉが３％を超えて
含まれるとメッキ密着性が著しく低下するので、３％以
下とする。なお、色ずれの観点からは、ドリフト量が著
しく改善されるＳｉ量が１％以上２％以下がより好まし
い。
いて説明する。Ｓｉ：Ｓｉは、本発明で最も重要な成分
である。Ｓｉを添加することにより、固溶体強化によっ
て強度を上昇させつつ、透磁率を高めることが可能とな
る。このような強度・透磁率バランスはＳｉが０．２％
以上含まれた場合に優れたものとなり、従来鋼以上の強
度・透磁率となる。しかしながら、Ｓｉが３％を超えて
含まれるとメッキ密着性が著しく低下するので、３％以
下とする。なお、色ずれの観点からは、ドリフト量が著
しく改善されるＳｉ量が１％以上２％以下がより好まし
い。
【００２４】Ｃ：Ｃは鋼板の強化に寄与する元素である
が、それ以上に透磁率にとって好ましくなく、その透磁
率に対する悪影響を防ぐためには、０．００５％以下と
する必要がある。
が、それ以上に透磁率にとって好ましくなく、その透磁
率に対する悪影響を防ぐためには、０．００５％以下と
する必要がある。
【００２５】Ｍｎ：Ｍｎは熱間延性改善するため０．１
％以上添加する。ただし、１．０％を超えて添加した場
合には透磁率の劣化をもたらすため、１．０％以下に規
制する。
％以上添加する。ただし、１．０％を超えて添加した場
合には透磁率の劣化をもたらすため、１．０％以下に規
制する。
【００２６】Ｐ：Ｐは鋼板の強化に寄与する元素であ
り、必要に応じて添加してもよい。しかしながら０．２
％を超えた場合には、鋼板の脆化を招き、冷間圧延時の
コイル破断等問題を生じるため、その含有量を０．２％
以下とする。
り、必要に応じて添加してもよい。しかしながら０．２
％を超えた場合には、鋼板の脆化を招き、冷間圧延時の
コイル破断等問題を生じるため、その含有量を０．２％
以下とする。
【００２７】Ｓ：Ｓは熱間延性および透磁率の両者にと
って好ましくなく、これらに悪影響を及ぼさない観点か
ら０．０２０％以下とする。
って好ましくなく、これらに悪影響を及ぼさない観点か
ら０．０２０％以下とする。
【００２８】ｓｏｌ．Ａｌ：ｓｏｌ．Ａｌは加工性を劣
化させる。この影響を防ぐために、その含有量を１．０
％以下とする。
化させる。この影響を防ぐために、その含有量を１．０
％以下とする。
【００２９】Ｎ：ＮはＣと同様、鋼板の強化に寄与する
以上に透磁率にとって好ましくない元素であり、この悪
影響を防ぐために、その含有量を０．００５％以下とす
る。
以上に透磁率にとって好ましくない元素であり、この悪
影響を防ぐために、その含有量を０．００５％以下とす
る。
【００３０】
【実施例】表２の供試鋼を溶製後、１２００℃に再加熱
し、仕上温度８２０℃、巻取温度６８０℃にて板厚３．
２ｍｍに熱間圧延した。得られた熱延板を酸洗し、板厚
０．８〜１．２ｍｍまで冷間圧延した後、７００℃で９
０秒間焼鈍し、鋼板の両面に２２ｇ／ｍ２の付着量で亜
鉛を電気メッキした。これらの鋼板にさらにヒートシュ
リンク相当の５００℃、５秒間の加熱を施し、室温まで
空冷した後、降伏応力、直流磁気特性（０．３Ｏｅにお
ける透磁率と０．５Ｔまで励磁したときの保磁力）を測
定した。さらに７００℃焼鈍材を、所定の形状のバンド
に加工、２９インチＴＶ陰極線管パネルに５００℃に加
熱後はめ込み、地磁気ドリフト性の評価を行った。その
結果を表３に示す。なお、表３中、Ｂｈ、Ｂｖは水平ド
リフト量、Ｂｖは垂直ドリフト量であり、上述したよう
に軟鋼の値を１としたときの相対値で示している。
し、仕上温度８２０℃、巻取温度６８０℃にて板厚３．
２ｍｍに熱間圧延した。得られた熱延板を酸洗し、板厚
０．８〜１．２ｍｍまで冷間圧延した後、７００℃で９
０秒間焼鈍し、鋼板の両面に２２ｇ／ｍ２の付着量で亜
鉛を電気メッキした。これらの鋼板にさらにヒートシュ
リンク相当の５００℃、５秒間の加熱を施し、室温まで
空冷した後、降伏応力、直流磁気特性（０．３Ｏｅにお
ける透磁率と０．５Ｔまで励磁したときの保磁力）を測
定した。さらに７００℃焼鈍材を、所定の形状のバンド
に加工、２９インチＴＶ陰極線管パネルに５００℃に加
熱後はめ込み、地磁気ドリフト性の評価を行った。その
結果を表３に示す。なお、表３中、Ｂｈ、Ｂｖは水平ド
リフト量、Ｂｖは垂直ドリフト量であり、上述したよう
に軟鋼の値を１としたときの相対値で示している。
【００３１】
【表２】
【００３２】
【表３】
【００３３】表３に示すように、降伏応力ＹＳ≧２４ｋ
ｇｆ／ｍｍ2、μ×ｔ≧３００を満たす本発明例は、地
磁気ドリフトが従来の軟鋼板と比較して低い値であるこ
とが確認された。一方、降伏応力ＹＳ≧２４ｋｇｆ／ｍ
ｍ2、μ×ｔ≧３００のいずれかを満たさない比較例に
あっては、地磁気ドリフト性が従来の軟鋼板（従来例）
と同程度であり、陰極線管用のヒートシュリンクバンド
として十分な特性を満たさないことが確認された。さら
に、本発明の範囲であっても、Ｓｉが３％を超えたもの
は、地磁気ドリフトが従来の軟鋼板と比較して低い値で
あるものの、メッキ密着性に劣ることが確認された。
ｇｆ／ｍｍ2、μ×ｔ≧３００を満たす本発明例は、地
磁気ドリフトが従来の軟鋼板と比較して低い値であるこ
とが確認された。一方、降伏応力ＹＳ≧２４ｋｇｆ／ｍ
ｍ2、μ×ｔ≧３００のいずれかを満たさない比較例に
あっては、地磁気ドリフト性が従来の軟鋼板（従来例）
と同程度であり、陰極線管用のヒートシュリンクバンド
として十分な特性を満たさないことが確認された。さら
に、本発明の範囲であっても、Ｓｉが３％を超えたもの
は、地磁気ドリフトが従来の軟鋼板と比較して低い値で
あるものの、メッキ密着性に劣ることが確認された。
【００３４】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ＹＳ≧２４ｋｇｆ／ｍｍ2、μ×ｔ≧３００を満たすこ
とにより、従来の鋼板と同等以上の張力を保持しなが
ら、地磁気ドリフトが小さく、色ずれの少ないヒートシ
ュリンクバンド用メッキ鋼板が提供される。また、さら
に鋼板の組成を特定範囲に規定することにより、メッキ
密着性を良好に維持しつつ、従来の鋼板と同等以上の張
力を保持し、かつ充分な磁気シールド性を維持し、色ず
れの少ないヒートシュリンクバンド用メッキ鋼板が提供
される。
ＹＳ≧２４ｋｇｆ／ｍｍ2、μ×ｔ≧３００を満たすこ
とにより、従来の鋼板と同等以上の張力を保持しなが
ら、地磁気ドリフトが小さく、色ずれの少ないヒートシ
ュリンクバンド用メッキ鋼板が提供される。また、さら
に鋼板の組成を特定範囲に規定することにより、メッキ
密着性を良好に維持しつつ、従来の鋼板と同等以上の張
力を保持し、かつ充分な磁気シールド性を維持し、色ず
れの少ないヒートシュリンクバンド用メッキ鋼板が提供
される。
【図１】０．３Ｏｅの磁界における透磁率μと板厚との
積と、地磁気ドリフト性との関係を示す図。
積と、地磁気ドリフト性との関係を示す図。
【図２】鋼板のＳｉ量と地磁気ドリフト性との関係を示
す図。
す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾田 善彦 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 高田 康幸 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 高橋 紀隆 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 佐藤 長八 東京都品川区北品川６丁目７番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 竹内 輝夫 東京都品川区北品川６丁目７番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 齋藤 一郎 東京都品川区北品川６丁目７番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 加藤 広明 東京都品川区北品川６丁目７番35号 ソニ ー株式会社内
Claims (2)
- 【請求項１】 降伏応力が２４ｋｇ／ｍｍ2以上、０．
３Ｏｅの磁界における透磁率μと板厚との積が３００以
上であることを特徴とする、色ずれの少ないヒートシュ
リンクバンド用メッキ鋼板。 - 【請求項２】 重量％で、Ｃ：０．００５％以下、Ｎ：
０．００５％以下、Ｐ：０．１％以下、Ｓ：０．０２％
以下、Ｓｉ：０．２％以上３．０％以下、Ｍｎ：１．０
％以下、ｓｏｌ．Ａｌ：１．０％以下であり、降伏応力
が２４ｋｇ／ｍｍ2以上、０．３Ｏｅの磁界における透
磁率μと板厚との積が３００以上であることを特徴とす
る、色ずれの少ないヒートシュリンクバンド用メッキ鋼
板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6928698A JPH11246945A (ja) | 1998-03-05 | 1998-03-05 | 色ずれの少ないヒートシュリンクバンド用メッキ鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6928698A JPH11246945A (ja) | 1998-03-05 | 1998-03-05 | 色ずれの少ないヒートシュリンクバンド用メッキ鋼板 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11246945A true JPH11246945A (ja) | 1999-09-14 |
Family
ID=13398221
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6928698A Pending JPH11246945A (ja) | 1998-03-05 | 1998-03-05 | 色ずれの少ないヒートシュリンクバンド用メッキ鋼板 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH11246945A (ja) |
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2003050317A1 (fr) * | 2001-12-10 | 2003-06-19 | Jfe Steel Corporation | Bande thermoretrecissable, tole d'acier pour bande thermoretrecissable, et procede de production |
| KR100451819B1 (ko) * | 2000-11-25 | 2004-10-08 | 주식회사 포스코 | 자기차폐성이 우수한 브라운관 수축밴드용 냉연강판 및 그제조방법 |
| KR100544536B1 (ko) * | 2001-12-21 | 2006-01-24 | 주식회사 포스코 | 시변 전자계 전자기장 차폐성이 우수한 강판 |
| KR100544583B1 (ko) * | 2001-12-22 | 2006-01-24 | 주식회사 포스코 | 전자기장 차폐성이 우수한 고강도 강판 |
| KR100568355B1 (ko) * | 2001-12-22 | 2006-04-05 | 주식회사 포스코 | 전자기장 차폐성이 우수한 용융도금강판 |
| KR100584730B1 (ko) * | 2001-03-29 | 2006-05-30 | 주식회사 포스코 | 건자재용 전자파 차폐 냉연강판 및 그 제조방법 |
| CN107058881A (zh) * | 2017-04-17 | 2017-08-18 | 唐山钢铁集团有限责任公司 | 适于彩涂的低成本冷轧镀锌钢带及其制备方法 |
-
1998
- 1998-03-05 JP JP6928698A patent/JPH11246945A/ja active Pending
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| CN107058881A (zh) * | 2017-04-17 | 2017-08-18 | 唐山钢铁集团有限责任公司 | 适于彩涂的低成本冷轧镀锌钢带及其制备方法 |
| CN107058881B (zh) * | 2017-04-17 | 2019-04-23 | 唐山钢铁集团有限责任公司 | 适于彩涂的低成本冷轧镀锌钢带及其制备方法 |
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