JP2002012956A - 地磁気シールド特性に優れる高強度冷延鋼板および高強度めっき鋼板とその製造方法 - Google Patents

地磁気シールド特性に優れる高強度冷延鋼板および高強度めっき鋼板とその製造方法

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JP2002012956A
JP2002012956A JP30263197A JP30263197A JP2002012956A JP 2002012956 A JP2002012956 A JP 2002012956A JP 30263197 A JP30263197 A JP 30263197A JP 30263197 A JP30263197 A JP 30263197A JP 2002012956 A JP2002012956 A JP 2002012956A
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Koji Sakuma
康治 佐久間
Akira Tanaka
暁 田中
Takeshi Kubota
猛 久保田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地磁気シールド特性が優れる、すなわち0.
3エールステッド前後の直流磁場における比透磁率が大
きい高強度冷延鋼板および高強度めっき鋼板とその製造
方法を提供すること。 【解決手段】 Cが0.0040%以下の極低炭素鋼
で、析出強化によらず、Si、Mnにより固溶強化した
鋼をAlが鋼中に実質的に残存しないようSiで脱酸す
るか、Alにより脱酸を行う場合にはAlNの析出を抑
制するためBを添加したうえ、750℃〜980℃で仕
上圧延し、60〜90%の冷間圧延を施した後、連続焼
鈍設備またはライン内焼鈍式の連続溶融亜鉛めっき設備
で750℃以上Ac3 点以下の温度範囲で焼鈍すること
により、その金属組織におけるフェライト結晶粒径を1
0〜30μmにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地磁気シールド特性
に優れる高強度冷延鋼板および高強度めっき鋼板とその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】家庭電気製品や自動車、家具、建築など
の用途に薄鋼板を使用する場合、強度、防錆性等が必要
とされる特性の代表的なものであるが、TVブラウン管
の防爆バンドやサポートフレーム等の部品にはその部品
によって構成される空間内を電子ビームが通過する際に
偏向しないよう地磁気の影響をシールドすることが要求
される。ここで地磁気シールド性に優れるとは地磁気に
相当する0.3エールステッド前後の直流磁場における
比透磁率が大きいことを意味し、電子制御化の進展が著
しい自動車でもこのような鋼板を使用することにより、
機器の誤作動を抑制できる可能性がある。
【0003】地磁気シールド性を優れたものとすること
は一般にJIS C2552に規定されるような無方向
性電磁鋼板を用いることで容易に実現できるが、必要と
されるのは地磁気に相当する0.3エ−ルステッド前後
の直流磁場における比透磁率を大きくすることだけであ
り、回転機のような高磁場における特性は必要とせず、
プレス加工用の薄鋼板と同一設備で製造できれば、製造
可能な板厚範囲も広く製造コストも低減できる。地磁気
に相当する0.3エ−ルステッド前後の直流磁場におけ
る比透磁率を大きくするためには、鋼中に存在する微細
な析出物を減じ、またフェライト結晶粒を粗大化して磁
壁の移動を容易とすることが有効なことが知られてお
り、例えば、特開平3−61330号公報では低炭素A
lキルド鋼を用いてオ−プンコイル脱炭焼鈍することに
より結晶粒を粗大化する方法が、また特公平8−613
4号公報や特開平8−27520号公報ではCを0.0
1%以下とし、不純物を少なくした鋼を連続焼鈍するこ
とにより結晶粒を粗大化する方法が記載されているが、
かかる発明による鋼板では降伏点はたかだか250MP
aに過ぎないと推定される。
【0004】一方、軽量化やライフサイクルアセスメン
ト(LCA)の観点から鋼材使用量を低減しようとする
場合には、例えば250〜300MPa以上の高い降伏
点が要求され、固溶強化、細粒強化、析出強化、加工強
化のうち一つまたは二つ以上の手段を組み合わせて降伏
点を高める必要があるが、いずれの場合も降伏点の増加
にともなって地磁気シールド特性は急激に劣化し、また
高Si化した場合には圧延時に板破断が発性しやすくな
り、生産性、歩留りとも低下するため目的を達すること
はできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来技術
の問題点を解決し、地磁気シールド特性に優れる高強度
冷延鋼板および高強度めっき鋼板とその製造方法を提供
することを課題とする。ここで、冷延鋼板およびめっき
鋼板とはTVブラウン管の防爆バンドやサポートフレー
ムをはじめとした家庭電気製品や自動車、家具、建築な
どの用途に使用されるものであり、表面処理をしない狭
義の冷延鋼板、防錆のために例えばZnやZn−Ni等
の合金をめっきした電気めっき鋼板や、溶融亜鉛めっき
鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板と、さらにはプレス成
形性と防錆の一層の改善のためにめっき層の合金化や上
層に有機皮膜処理などを施した表面処理鋼板を含むもの
を言う。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するべく、地磁気に相当する0.3エールステッ
ド前後の直流磁場における比透磁率を大きくすることと
降伏点で代表されるような強度を高めることの両立に
は、Cが0.0040%以下の極低炭素鋼を用いて、析
出強化によらずフェライト結晶粒を微細化せずに固溶強
化することが肝要であることに着目し、鋭意検討を加え
た結果、Si、Mnによる固溶強化を主としたうえで、
Alが鋼中に実質的に残存しないようSiによる脱酸を
行うか、Alによる脱酸を行う場合にはNに対し一定割
合以上のBを添加することにより、フェライト結晶粒径
が10〜30μmで0.3エールステッドの直流磁場に
おける比透磁率が500以上となり、地磁気シールド特
性を優れたものとできることを見出した。すなわち、本
発明はこのような新知見に基づいて構成された従来には
ない全く新しい鋼板であり、その要旨とするところは以
下のとおりであるが、後で説明するようにPの添加量を
Siによって一定範囲内とすれば製造も極めて容易であ
る。
【0007】(1)重量%で、C:0.0003〜0.
0040%、Si:0.3〜1.8%、Mn:0.5〜
1.8%、P:0.08%以下、S:0.001〜0.
012%、Al:0.005%未満、N:0.0030
%以下を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からな
り、その金属組織においてフェライト結晶粒径が10〜
30μmであることを特徴とする、0.3エールステッ
ドの直流磁場における比透磁率が500以上の地磁気シ
ールド特性に優れる高強度冷延鋼板。
【0008】(2)重量%で、C:0.0003〜0.
0040%、Si:0.3〜1.8%、Mn:0.5〜
1.8%、P:0.08%以下、S:0.001〜0.
012%、Al:0.005〜0.04%、N:0.0
030%以下、B:0.0010〜0.0030%、且
つ%N、%BをそれぞれN、B含有量とした場合に%B
/%N≧0.5を含有し,残部Fe及び不可避的不純物
からなり、その金属組織においてフェライト結晶粒径が
10〜30μmであることを特徴とする、0.3エール
ステッドの直流磁場における比透磁率が500以上の地
磁気シールド特性に優れる高強度冷延鋼板および高強度
めっき鋼板。 (3)前記(1)、または(2)に記載の0.3エール
ステッドの直流磁場における比透磁率が500以上の地
磁気シールド特性に優れる高強度めっき鋼板。
【0009】(4)前記(1)、または(2)に記載の
化学成分よりなるスラブを750℃〜980℃で仕上圧
延し、60〜90%の冷間圧延を施した後、連続焼鈍設
備またはライン内焼鈍式の連続溶融亜鉛めっき設備で7
50℃以上Ac3 点以下の温度範囲で焼鈍し、その金属
組織においてフェライト結晶粒径が10〜30μmであ
ることを特徴とする、0.3エールステッドの直流磁場
における比透磁率が500以上の地磁気シールド特性に
優れる高強度冷延鋼板の製造方法。
【0010】(5)前記(3)に記載の化学成分よりな
るスラブを750℃〜980℃で仕上圧延し、60〜9
0%の冷間圧延を施した後、連続焼鈍設備またはライン
内焼鈍式の連続溶融亜鉛めっき設備で750℃以上Ac
3 点以下の温度範囲で焼鈍し、その金属組織においてフ
ェライト結晶粒径が10〜30μmであることを特徴と
する、0.3エールステッドの直流磁場における比透磁
率が500以上の地磁気シールド特性に優れる高強度め
っき鋼板の製造方法、である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、C、Si、Mn、P、S、Al、B、及びNの限
定理由について述べる。Cは固溶強化あるいは析出強化
により降伏点を高める極めて重要な元素であるが、0.
0040%を超えると時効にともなう微細炭化物の析出
にともなって地磁気シールド特性が劣化する。一方、C
を0.0003%未満とすることは真空脱ガスに極めて
長い時間が必要となり、製造コストの増大が著しいため
好ましくない。
【0012】Siはフェライト結晶粒径を大きく変化せ
ずに、結晶中に固溶してFe原子を置換し、結晶格子を
歪ませることにより降伏点を高める。一方で地磁気シー
ルド特性への悪影響が小さいため、降伏点を高める目的
で0.3%以上添加し、特に300MPaを超すために
は1.0%以上を添加することが望ましい。しかし、そ
の添加量が1.8%を超えると鋼板の表層に内部酸化層
を生じて、表面欠陥の一因となり、また溶融亜鉛めっき
を行う場合には表層にSiO2 の被膜が形成されるため
にめっき密着性を劣化する。
【0013】MnはSiと同じようにフェライト結晶粒
径を大きく変化せずに結晶中に固溶してFe原子を置換
し、結晶格子を歪ませることにより降伏点を高める。一
方で地磁気シールド特性への悪影響が小さいため、降伏
点を高める目的で0.5%以上添加する。しかし、その
添加量が1.8%を超えるとフェライト結晶粒の微細化
が顕著となり、地磁気シールド特性が大きく劣化するば
かりかC量を本発明範囲とすることと両立するには極め
て高コストとなる。
【0014】Pはフェライト結晶粒を微細化するため、
同じ固溶強化元素とされるSiやMnと比べて地磁気シ
ールド性への悪影響が大きいが、特に降伏点強度を高め
る必要がある場合には、析出強化や加工強化に比べれば
地磁気シールド性の劣化が許容できるものであるため最
大0.12%まで添加することができる。その量が0.
12%を超えるとフェライト結晶粒の微細化が顕著とな
り、地磁気シールド特性が大きく劣化するばかりか中心
偏析が著しいため、冷間圧延性が劣化する。また本発明
のような極低炭素鋼板においてSiとともに多量に添加
すると脆化が著しく、これを避けるためにはSiの添加
量を%Siとした場合に、Pの添加量を(0.12−
0.04×%Si)%以下とすることが望ましい。
【0015】SはMnSを形成して磁壁の移動を阻害
し、またフェライト結晶粒成長を抑制することにより、
地磁気シールド特性を劣化させるので上限を0.012
%とする。一方、0.001%未満にすることは製造コ
ストを極めて高くするので好ましくない。Alは一般に
鋼の脱酸のために用いられるが、微細なAlNを析出し
て磁壁の移動を阻害し、またフェライト結晶粒成長を抑
制するため地磁気シールド特性を劣化させる。このため
Oを捕捉するのに過剰となるような添加は好ましくな
く、鋼中に実質的に残存しないよう0.005%未満と
する。しかし、本発明のSi量を添加する場合にその添
加量を0.005%未満とすることは極めて高コストと
なる場合もあり、BをNに対し一定以上添加した場合に
はその悪影響が見られないため0.005%以上添加
し、十分に脱酸を行うことが表面性状の向上にとって好
ましい。一方0.04%を超えることは地磁気シールド
特性への悪影響が大きいばかりか表面性状も劣化させ
る。
【0016】Nは微細析出物となって磁壁の移動を阻害
し、地磁気シールド特性を劣化するので0.0030%
以下とする。また、Alと化合物を形成することにより
磁壁の移動を阻害するとともにフェライト結晶粒成長を
抑制するので、本発明では鋼中にAlが残存する場合に
は特にBを添加し、BNとして析出させることにより地
磁気シールド特性の劣化を抑制する。
【0017】Bは本発明において鋼中にAlが残存する
場合に極めて重要な元素であり、BNを形成することに
より微細なAlNの析出を抑制し、地磁気シールド特性
を改善する目的で添加する。この目的はその添加量が
0.0010%以上で、かつ%N、%BをそれぞれN、
B含有量とした場合に、%B/%N≧0.5 である時に達
せられる。一方、0.0030%を超える場合にはフェ
ライト結晶粒の成長が抑制され、むしろ地磁気シールド
特性が劣化することがあるため避ける必要がある。これ
らを主成分とする鋼にTi、Nb、Cu、Sn、Zn、
Zr、Mo、W、Cr、及びNi等の不可避的不純物を
含むが、本発明の目的とする地磁気シールド特性と高強
度を両立するためには好ましくなく、その含有量は合計
で0.3%未満とすることが好ましい。
【0018】次に、製造条件の限定理由について述べ
る。熱間圧延に供するスラブは特に限定するものではな
い。すなわち,連続鋳造スラブや薄スラブキャスター等
で製造したものであればよい。また鋳造後直ちに熱間圧
延を行う連続鋳造−直送圧延(CC−DR)のようなプ
ロセスにも適合する。熱間圧延の条件は特定するもので
はない。熱間圧延の仕上温度は750℃〜980℃とす
る。仕上温度が750℃未満の場合には未再結晶状態の
組織が残存し、冷延性を悪化させるとともに冷延、焼鈍
後のフェライト結晶粒を10μm以上とすることが容易
ではなく地磁気シールド特性が劣る。一方、980℃を
超えるような温度で熱延を仕上げるには加熱温度を著し
く上げることが必要となり好ましくない。特に冷延、焼
鈍後のフェライト結晶粒の成長を容易にするという観点
からは800℃以上Ar3 点以下とすることが望まし
い。熱延後の冷却方法および巻取温度は特に限定しない
が、スケール厚の増加による酸洗性の劣化を避けるため
に700℃以下とすることが望ましい。
【0019】冷間圧延は通常の条件でよく、特に効率よ
くスケールの酸洗を行う目的からその圧延率は60%以
上とする。一方、90%を超す圧延率で冷間圧延を行う
ことは多大の冷延負荷が必要となるため現実的ではな
い。連続焼鈍設備またはライン内焼鈍式の連続溶融亜鉛
めっき設備で焼鈍する際、その焼鈍温度は750℃以上
Ac3 点以下とする。焼鈍温度が750℃未満では再結
晶が不十分であり、加工組織が残存するため地磁気シー
ルド特性が著しく劣化する。地磁気シールド特性は焼鈍
温度が上昇し、フェライト結晶粒が成長するとともに向
上するが、Ac3 点を超すような温度で焼鈍し、変態に
よる混粒組織が生じると低下することがあるため避ける
ことが望ましい。この後、必要により防錆のために、例
えばZnめっきやZn−Niをはじめとした合金めっき
などの表面処理、さらにはその上に有機皮膜処理などを
施しても本発明の特徴とする地磁気シ−ルド特性への影
響は見られない。
【0020】また、焼鈍後、調質圧延や鋼板の剪断、部
品形状への加工にともなって0.3エールステッド前後
の直流磁場における比透磁率は低下するが、TVブラウ
ン管の防爆バンドやサポートフレームは約600℃から
強制冷却した時の熱収縮により圧縮した、すなわち焼き
ばめ状態で使用されるため、600℃に再加熱される過
程で付加されたひずみの多くが解放され、地磁気シール
ド特性、すなわち0.3エールステッド前後の直流磁場
における比透磁率は焼鈍直後の状態と大きくは違わな
い。すなわち、地磁気シールド特性が優れることと降伏
点で代表されるような強度が高いことを両立できる。
【0021】
【実施例】次に本発明例を実施例にて説明する。 (実施例1)表1に示す組成からなる鋼を表2に示す条
件により3.0〜6.0mm厚に熱間圧延し、酸洗後、
冷間圧延を施して0.7〜1.6mm厚の冷間圧延鋼帯
とした後、連続焼鈍設備を用いて表2に示すような条件
の熱処理を行い、さらに伸び率0.3%の調質圧延を行
った。このようにして製造された鋼帯から圧延方向に平
行にJIS5号試験片を切り出し、常温での引張試験を
行うことにより降伏強さ(YP)、引張強さ(TS)を
求めた。また同じ鋼帯から切り出した30mm×300
mmの試料を組み合わせ、JIS C2550に準拠し
た直流エプスタイン法により、0.3エールステッドの
直流磁場における比透磁率を求めた。さらに断面を腐食
後、倍率100倍で光学顕微鏡観察することにより、フ
ェライト結晶粒の平均粒径を求めた。結果を表2に示
す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】この表から明らかなように、本発明に規定
する化学組成を有しフェライト結晶粒径が10〜30μ
mである試料No1〜6、8、10、11、16、17
及び19は0.3エ−ルステッドの直流磁場において5
00以上の比透磁率を有すると同時に、降伏点が250
MPa以上であり、特にSi添加量が1.0%以上の場
合には降伏点が300MPa以上となることから、地磁
気シ−ルド特性に優れる高強度冷延鋼板であることがわ
かる。これに対して試料No7、9、12、18、及び
20のように、本発明に規定する化学組成を有しても製
造条件が不適切であり、フェライト結晶粒径が10〜3
0μmの範囲になく、特に未再結晶粒が含まれたり、混
粒組織となる時には0.3エ−ルステッドの直流磁場に
おける比透磁率は500未満であり、地磁気シ−ルド特
性に劣っている。
【0025】一方、本発明成分以外の鋼では、試料No
13、14のようにSiやMnの添加量が少ないと、
0.3エールステッドの直流磁場において500以上の
比透磁率を有したとしても300MPa以上の降伏点を
得ることが難しく、あるいは試料No15、21〜24
のように過剰にMn、Pが添加されていたり、Al、B
の添加量が不適切であると降伏点が300MPa以上で
あってもフェライト結晶粒径を10〜30μmとするこ
とが難しいために、また試料No25のようにCが0.
0040%を超えると時効による微細炭化物が析出しや
すく、0.3エールステッドの直流磁場における比透磁
率は500未満であり、地磁気シールド特性に劣る。
【0026】(実施例2)表1に示す組成からなる鋼
B、Cを表3に示す条件により4.5〜6.0mm厚に
熱間圧延し、酸洗後、1.0〜1.6mm厚に冷間圧延
した後、ライン内焼鈍式の連続溶融亜鉛めっき設備を用
いて表2に示すような条件の熱処理を行いながらその表
層に溶融亜鉛めっきを付した鋼帯に、さらに伸び率0.
3%の調質圧延を行った。このようにして製造された鋼
帯から圧延方向に平行にJIS5号試験片を切り出し、
常温での引張試験を行うことにより、降伏強さ(Y
P)、引張強さ(TS)を求めた。また同じ鋼帯から切
り出した30mm×300mmの試料を組み合わせ、J
IS C2550に準拠した直流エプスタイン法によ
り、0.3エールステッドの直流磁場における比透磁率
を求めた。さらに断面を腐食後、倍率100倍で光学顕
微鏡観察することにより、フェライト結晶粒の平均粒径
を求めた。結果を表3に示す。
【0027】
【表3】
【0028】この表から明らかなように、本発明に規定
する化学組成を有し、フェライト結晶粒径が10〜30
μmである試料No1、2、4、及び5は降伏点が30
0MPa以上の高強度冷延鋼板であると同時に、0.3
エールステッドの直流磁場において500以上の比透磁
率を有し、地磁気シールド特性に優れている。これに対
し試料No3、6のように、本発明に規定する化学組成
を有しても製造条件が不適切であり、フェライト結晶粒
径が10〜30μmの範囲になく、特に未再結晶粒が含
まれたり、混粒組織となる時には0.3エールステッド
の直流磁場における比透磁率は500未満となり地磁気
シールド特性に劣る。
【0029】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は地磁気に
相当する0.3エールステッド前後の直流磁場における
比透磁率が大きく、地磁気シールド特性が優れることと
降伏点で代表されるような強度が高いことを両立した高
強度冷延鋼板および高強度めっき鋼板とその製造方法を
提供するものであり、またプレス加工用の薄鋼板が製造
されるのと同じ連続焼鈍設備またはライン内焼鈍式の連
続溶融亜鉛めっき設備を用いて容易に製造できるため、
TVブラウン管の防爆バンドやサポートフレームのみな
らず、家庭電気製品や自動車、家具、建築などの薄鋼板
が用いられる広い用途に適用でき、産業上極めて大きな
効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保田 猛 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 4K033 AA01 CA08 CA09 DA01 EA02 FA03 FA10 HA02 JA00 4K037 EA01 EA04 EA15 EA18 EA23 EA25 EA27 EA28 EB02 EB05 EB06 EB09 FA00 FC03 FC04 FH01 GA05 JA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.0003〜0.0040%、 Si:0.3〜1.8%、 Mn:0.5〜1.8%、 P:0.08%以下、 S:0.001〜0.012%、 Al:0.005%未満、 N:0.0030%以下 を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、その
    金属組織においてフェライト結晶粒径が10〜30μm
    であることを特徴とする、0.3エールステッドの直流
    磁場における比透磁率が500以上の地磁気シールド特
    性に優れる高強度冷延鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C:0.0003〜0.0040%、 Si:0.3〜1.8%、 Mn:0.5〜1.8%、 P:0.08%以下、 S:0.001〜0.012%、 Al:0.005〜0.04%、 N:0.0030%以下、 B:0.0010〜0.0030%、 且つ%N、%BをそれぞれN、B含有量とした場合に%
    B/%N≧0.5を含有し、残部Fe及び不可避的不純
    物からなり、その金属組織においてフェライト結晶粒径
    が10〜30μmであることを特徴とする、0.3エー
    ルステッドの直流磁場における比透磁率が500以上の
    地磁気シールド特性に優れる高強度冷延鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1、または請求項2に記載の0.
    3エールステッドの直流磁場における比透磁率が500
    以上の地磁気シールド特性に優れる高強度めっき鋼板。
  4. 【請求項4】 請求項1、または請求項2に記載の化学
    成分よりなるスラブを750℃〜980℃で仕上圧延
    し、60〜90%の冷間圧延を施した後、連続焼鈍設備
    またはライン内焼鈍式の連続溶融亜鉛めっき設備で75
    0℃以上Ac3点以下の温度範囲で焼鈍し、その金属組
    織においてフェライト結晶粒径が10〜30μmである
    ことを特徴とする、0.3エールステッドの直流磁場に
    おける比透磁率が500以上の地磁気シールド特性に優
    れる高強度冷延鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の化学成分よりなるスラ
    ブを750℃〜980℃で仕上圧延し、60〜90%の
    冷間圧延を施した後、連続焼鈍設備またはライン内焼鈍
    式の連続溶融亜鉛めっき設備で750℃以上Ac3 点以
    下の温度範囲で焼鈍し、その金属組織においてフェライ
    ト結晶粒径が10〜30μmであることを特徴とする、
    0.3エールステッドの直流磁場における比透磁率が5
    00以上の地磁気シールド特性に優れる高強度めっき鋼
    板の製造方法。
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