JP2001032040A - ヒートシュリンクバンド用鋼板およびその製造方法 - Google Patents

ヒートシュリンクバンド用鋼板およびその製造方法

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JP2001032040A
JP2001032040A JP20750899A JP20750899A JP2001032040A JP 2001032040 A JP2001032040 A JP 2001032040A JP 20750899 A JP20750899 A JP 20750899A JP 20750899 A JP20750899 A JP 20750899A JP 2001032040 A JP2001032040 A JP 2001032040A
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less
steel sheet
magnetic permeability
heat shrink
magnetic
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JP20750899A
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Hideki Matsuoka
秀樹 松岡
Satoshi Kodama
悟史 児玉
Tatsuhiko Hiratani
多津彦 平谷
Kenji Tawara
健司 田原
Yasushi Tanaka
靖 田中
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 防爆性に問題を生じないレベルの強度を保ち
つつ、充分な磁気シールド性を有するヒートシュリンク
バンド用鋼板およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.01%以下、Si: 1%以
下、Mn:0.1%以上2%以下、sol.Al:0.01%以下、N:
0.005%超え0.1%以下を含み、残部が実質的にFeからな
り、焼きばめ後の状態で0.3 Oeの磁界における透磁率μ
と板厚t(mm)との積μ×tが380以上であるヒートシュ
リンクバンド用鋼板。前記鋼板は、熱間圧延し、引き続
いて冷間圧延し、次いで、得られた鋼板を650℃以上870
℃以下の温度域にて焼鈍し、あるいは、この焼鈍の後さ
らに圧延率0.5%以下の調質圧延を施し得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テレビ等のカラー
陰極線管において、パネル部周囲を緊締するヒートシュ
リンクバンド用鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー陰極線管では、管体内が1.0×10
-7Torrの高真空状態であることから、パネル面の変形防
止および管体の内爆防止といった処理を必要としてい
る。このような観点から、バンド状に成形した鋼板から
なるヒートシュリンクバンドを400℃から600℃程度の温
度域で数秒〜数十秒間加熱・膨張させ、カラー陰極線管
ガラスパネルにはめこみ、冷却・収縮によって張力を付
与する、いわゆる焼きばめ処理することによってパネル
面の変形を補正している。
【0003】さらに、このようなヒートシュリンクバン
ドは、内部磁気シールドと同様、地磁気のシールドを行
う機能をも有しており、地磁気による電子ビームの蛍光
面上に対する着弾位置のずれを防止し、結果的に色ずれ
が生じるのを防止する機能を有している。
【0004】従来から、このヒートシュリンクバンド用
鋼板には、地磁気レベル(約0.3 Oe)での透磁率がおよ
そ200程度の軟鋼板にめっきを施した鋼板が用いられて
いるが、その磁気シールド性は不充分であり、色ずれ防
止効果は充分とはいえない。また、地磁気による色ずれ
に対しては、蛍光面の位置を調整するなどの煩雑な工程
が必要となっていた。
【0005】特開平10−208670号公報には、大気圧によ
るパネル面の変形を補正する張力が確保されるととも
に、十分な磁気シールド性を有するヒートシュリンクバ
ンドの製造方法が提案されている。
【0006】この技術では、重量%で、C≦0.005%、2.
0%≦Si≦4.0%、0.1%≦Mn≦1.0%、P≦0.2%、S≦0.0
20%、Sol.Al≦0.004%又は0.1%≦Sol.Al≦1.0%、N≦
0.005%を含有する鋼を、熱間圧延及び/又は冷間圧延す
る工程と、700〜900℃で焼鈍する工程と、冷圧率3〜15
%で軽冷圧する工程とを備える。その結果、上記軽冷圧
する工程後に、加熱冷却された後の0.3 Oeにおける透磁
率μが250以上となり、降伏応力YSが40kgf/mm2以上と
なる。
【0007】また、特開平11−158548号公報には、スク
ラップの多量消費および磁気特性と強度の両立を目的
に、Si、Mn、P、Alなどの固溶体強化元素および介在物
のAl2O3の割合を規定した、TVブラウン管シュリンクバ
ンド用熱延鋼板およびその製造方法が開示されている。
【0008】特開平11−158549号公報には、スクラップ
の多量消費および磁気特性と強度の両立を目的に、Si、
Mn、P、Alなどの固溶体強化元素および介在物のAl2O3
割合を規定した、TVブラウン管シュリンクバンド用冷延
鋼板およびその製造方法が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
10−208670号公報記載の技術では、Si量の増加により、
透磁率が向上するという効果はあるが、3%前後添加し
ているため、表面欠陥が発生しやすく、歩留まり低下に
伴うコストアップにつながりかねないという問題があっ
た。
【0010】特開平11−158548号公報および特開平11−
158549号公報記載の技術では、通常、磁気シールド性の
指標とされる地磁気程度の低磁場透磁率に関する記載
は、低磁場透磁率と保磁力がほぼ反比例することに言及
しているのみであり、地磁気シールド性と保磁力との相
関に関する記載がないため、ブラウン管の地磁気シール
ド性向上効果が必ずしも明確ではない。
【0011】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、防爆性に問題を生じないレベルの強度を保ち
つつ、充分な磁気シールド性を有するヒートシュリンク
バンド用鋼板およびその製造方法を提供することを目的
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
【0013】(1)固溶C量および/または固溶N量を増加
させると、透磁率を損なうことなく強度を高めることが
可能であること。
【0014】(2)地磁気レベルの外部磁界強度である
0.3 Oeでの透磁率μと板厚t(mm)との積:μ×tが380
以上となると、色ずれの改良がみられること。
【0015】本発明は、このような知見に基づいて完成
されたものであり、次の発明により解決される。
【0016】第1発明は、重量%で、C:0.01%以下、S
i: 1%以下、Mn:0.1%以上2%以下、sol.Al:0.01%
以下、N:0.005%超え0.1%以下を含み、残部が実質的
にFeからなり、焼きばめ後の状態で0.3 Oeの磁界におけ
る透磁率μと板厚t(mm)との積μ×tが380以上である
ことを特徴とするヒートシュリンクバンド用鋼板であ
る。
【0017】第2発明は、重量%で、C:0.01%以下、S
i:1%以下、Mn:0.1%以上2%以下、sol.Al:0.01%
以下、N:0.01%以上0.1%以下を含み、残部が実質的に
Feからなり、焼きばめ後の状態で0.3 Oeの磁界における
透磁率μと板厚t(mm)との積μ×tが380以上であるこ
とを特徴とするヒートシュリンクバンド用鋼板である。
【0018】第3発明は、重量%で、C:0.01%以下、S
i:1%以下、Mn:0.1%以上2%以下、sol.Al:0.01%
以下、N:0.005%超え0.1%以下、P:0.15%以下、S:
0.03%以下、Cr:0.01%以上0.1%以下、O:0.01%以下
を含み、残部が実質的にFeからなり、焼きばめ後の状態
で0.3 Oeの磁界における透磁率μと板厚t(mm)との積
μ×tが380以上であることを特徴とするヒートシュリン
クバンド用鋼板である。
【0019】第4発明は、重量%で、C:0.01%以下、S
i:1%以下、Mn:0.1%以上2%以下、sol.Al:0.01%
以下、N:0.01%以上0.1%以下、P:0.15%以下、S:0.
03%以下、Cr:0.01%以上0.1%以下、O:0.01%以下を
含み、残部が実質的にFeからなり、焼きばめ後の状態で
0.3 Oeの磁界における透磁率μと板厚t(mm)との積μ
×tが380以上であることを特徴とするヒートシュリンク
バンド用鋼板である。
【0020】第5発明は、第1発明ないし第4発明のいず
れか1項に記載の化学成分を有する鋼を熱間圧延し、引
き続いて冷間圧延し、次いで、得られた鋼板を650℃以
上870℃以下の温度域にて焼鈍し、あるいは、この焼鈍
の後さらに圧延率0.5%以下の調質圧延を施すことを特
徴とするヒートシュリンクバンド用鋼板の製造方法であ
る。
【0021】なお、これらの手段において、「残部実質
的にFe」とは、本発明の作用効果を無くさない限り、不
可避不純物をはじめ、他の微量元素を含有するものが本
発明の範囲に含まれることを意味する。また、本明細書
において、鋼の成分を示す%はすべて重量%である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。
【0023】まず、色ずれと透磁率との関係について説
明する。試料として、C:0.007%、Si:0.02%、Mn:0.
8%、P:0.02%、S:0.006%、sol.Al:0.004%、N:
0.012%の組成を有する鋼を実験室溶解後、まず板厚3.2
mmまで熱間圧延した。その後、板厚0.8mm〜1.6mmまで冷
間圧延し、650〜800℃で90秒の焼鈍後、そのまま調質圧
延を施さずに、所定の形状のバンドに加工した。
【0024】加工したバンドを、500℃で60秒間加熱
後、29インチTV陰極線管パネルにはめ込み、地磁気ドリ
フト性の評価を行なった。結果を図1に示す。ここで、
従来鋼として、C:0.04%、Si:0.01%、Mn:0.21%、
P:0.015%、S:0.013%、sol.Al:0.02%、N:0.002
%の組成を有し、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍、過時効処
理後、さらに1%の調質圧延を施した板厚1.2mmの材料に
ついても同様のバンドに加工し、同様の評価を行なっ
た。
【0025】図中の横軸は、地磁気相当の外部磁界0.3
Oeでの透磁率μと板厚t(mm)との積μ×tの値である。
なお、透磁率μは、焼きばめ前の焼鈍板から採取したリ
ング試験片について、焼きばめ相当の500℃で60秒の熱
処理を施した後に測定を行なった。
【0026】また、地磁気ドリフト性は地磁気による電
子ビ−ムのランディングポイントのドリフト量をもって
評価した。図1の縦軸はこのようなドリフト量Bh、Bvを
示す。具体的には、カラー陰極線管(CRT)に対して0.3
5 Oeの垂直磁界と0.3 Oeの水平磁界を印加した状態で、
CRTを360°回転させ、電子ビームのランディングポイン
トの基準点に対する位置ずれ(ランディングエラー)を
測定し、これのピークからピークの値を水平ドリフト量
Bhとした。また、水平磁界を0 Oeとし、垂直磁界を0 Oe
から0.35 Oeに変化させたときのランディングエラーを
垂直ドリフト量Bvとして測定した。なお、縦軸のランデ
ィングエラーのドリフト量については、従来鋼の値を1
としたときの相対値をもって示している。
【0027】図1から明らかなように、μ×tが300程度
まではBh、Bv共に従来鋼との比が1.0前後で、従来鋼と
同程度の値であるが、380以上では、Bh、Bv共に顕著に
減少する傾向が見られる。これより、地磁気による色ず
れは、μ×tが増加することによって改善され、その値
が380以上で従来鋼よりも優れた値になることがわか
る。以上より、μ×tは380以上、より好ましくは400以
上、さらに好ましくは420以上とする。
【0028】以下、鋼成分限定理由について説明する。 C:鋼板の強化に寄与する元素であるが、過度に添加す
ると炭化物を形成し透磁率の劣化を招くので0.01%以下
とする。
【0029】Si:鋼板の強化に寄与し、また磁気特性を
向上される元素である。しかし、高温強度を高めること
から、1%を超えて添加すると、焼きばめ収縮時にパネ
ルとバンドとの密着性が低下し、隙間が生じ、磁気シー
ルド性を劣化されるおそれがある。そのため、1%以
下、好ましくは0.5%以下とする。
【0030】Mn:熱間延性の改善に効果があり、また、
固溶強化による鋼板の強度上昇にも寄与する元素である
ため、0.1%以上添加する。ただし、2%を超えて添加し
た場合には、透磁率の劣化をもたらすため、2%以下と
する。なお、これらの規定範囲内では、所望の強度レベ
ルに応じてMnを選択すればよい。
【0031】sol.Al:製鋼時に脱酸材として使用される
ことの多い元素であるが、過剰に存在すると窒化物を形
成し、固溶N量を減少させる。この悪影響を防ぐため
に、0.01%以下とする。
【0032】N:Cと同様、鋼板の強化に寄与する元素で
あるので、0.005%超え、好ましくは0.01%以上添加す
る。ただし、過度の添加は、製鋼に際して特殊な配慮を
要するのみならず、透磁率にとっても好ましくないた
め、上限を0.1%とする。
【0033】P:鋼板の強化に寄与する元素であり、必
要に応じて添加してもよい。しかし、0.15%を超えて添
加した場合には、鋼板の脆化を招き、冷間圧延時のコイ
ル破断などの問題を生じるため、0.15%以下とするのが
好ましい。
【0034】S:熱間延性および透磁率の両者にとって
好ましくなく、これらに悪影響をおよぼさない観点か
ら、0.03%以下とするのが好ましい。さらに好ましく
は、0.02%以下である。
【0035】Cr:Cと結び付いて二次硬化析出するの
で、焼きばめ処理時の鋼板強度上昇に寄与する。すなわ
ち、鋼板から所定形状のバンドに組み立て終わった後の
焼きばめ時に高強度化できるので有効な元素である。た
だし、0.01%未満だとその効果は小さく、0.1%を超え
ると固溶C量が減少して降伏点伸びが小さくなるばかり
でなく、炭化物の形態変化にともない透磁率が劣化する
場合がある。したがって、Crを添加する場合には、0.01
%以上0.1%以下とするのが好ましい。
【0036】O:鋼中酸化物の形成を通じ、熱間延性お
よび透磁率の両者にとって好ましくなく、これらに悪影
響をおよぼす場合がある。そのため、0.01%以下とする
のが好ましい。
【0037】なお、Ti、Nb、Bなど、炭化物あるいは窒
化物を形成する元素は固溶C量・固溶N量を減少させ、固
溶C・固溶Nによる高強度化を阻害するため、積極的に添
加しない。添加もしくは不純物として混入する場合で
も、これらの元素の含有量は極力少ないことが望まし
い。
【0038】以下、製造方法について説明する。製鋼・
鋳造・熱間圧延・冷間圧延は常法に従えばよい。最終板
厚は特に限定されるものではないが、たとえば、0.6mm
から2.0mmの範囲が好ましい。
【0039】次に、調質圧延率と透磁率との関係につい
て説明する。 C:0.004%、Si:0.01%、Mn:1.0%、P:0.01%、S:
0.005%、sol.Al:0.006%、N:0.014%の組成を有す
る鋼を実験室溶解後、板厚2.8mmまで熱間圧延し、その
後、板厚1.2mmまで冷間圧延し、800℃で90秒の焼鈍後、
圧延率0〜2%の調質圧延を施して鋼板を製造した。その
鋼板について調質圧延率と透磁率との関係を調査した。
【0040】図2は、調質圧延率と透磁率の関係を示す
図である。0.3 Oeの磁界における透磁率μの測定は、鋼
板に焼きばめ相当の熱処理である500℃、60秒の焼鈍を
施した材料について行った。
【0041】図2より、調質圧延率が0.5%までは、調質
圧延率の増加に従い材料の透磁率が若干低下するもの
の、著しい透磁率の変化は認められない。一方、調質圧
延率が0.5%を超えると、透磁率の著しい低下が認めら
れる。
【0042】この原因は必ずしも明らかではないが、本
発明者らの考察結果によれば、調質圧延率が0.5%まで
の極めて小さい場合は、調質圧延により鋼板に導入され
る歪みが鋼板の極表面に比較的均一に導入されるもの
の、鋼板内部では極めて粗にしか導入されず、その結
果、透磁率の低下が少なかったものと推察される。
【0043】この種の鋼板において、調質圧延は、一般
的に加工成形後のストレッチャ・ストレインマークと呼
ばれる表面不良を防止する目的で行われるものである
が、ヒートシュリンクバンドの場合、バンドとするため
の成形・加工はもともと厳しいものではないため、調質
圧延を施さずとも著しい表面不良は発生しない。むし
ろ、高い透磁率を得るという観点からは、外観上問題な
い場合には、調質圧延を省略することが望ましい。以上
より、調質圧延率は0.5%以下(調質圧延を施さない場
合も含む)であるのが好ましい。
【0044】次に焼鈍温度限定理由について説明する。
本発明では、透磁率を確保する1つの方法として、650℃
以上870℃以下の焼鈍を行う。焼鈍温度が650℃未満で
は、焼鈍温度の上昇にともない材料の透磁率が若干向上
するものの、著しい透磁率の変化は認められない。一
方、650℃〜870℃の温度域で焼鈍を施すと、透磁率が著
しく向上する。さらに、870℃を超えて焼鈍温度を高め
ると、逆に透磁率は減少する。
【0045】この透磁率の変化は鋼板のミクロ組織と対
応しており、焼鈍温度が650℃未満の場合は再結晶お
よびその後の粒成長が不十分なために透磁率の大幅な向
上が認められず、焼鈍温度が650℃以上870℃以下の場
合には再結晶・粒成長にともなって、透磁率が向上し、
焼鈍温度が870℃を超えると変態が生じるため結晶粒
が微細化して再び透磁率が低下するものと考えられる。
【0046】したがって、焼鈍温度は、650℃以上870℃
以下であることが必要であり、750℃以上870℃以下であ
ることが好ましい。高温域での材質安定性を考慮する
と、焼鈍温度は750℃以上860℃以下であることがさらに
好ましい。
【0047】なお、焼鈍後あるいは焼鈍と調質圧延の間
で、たとえば250℃以上500℃以下の温度域にて過時効処
理を実施してもよい。本発明に関わる鋼の場合、過時効
処理を行っても、磁気特性に悪影響を及ぼすような粗大
な炭化物は析出しないから、磁気特性におよぼす過時効
処理の影響が小さく、過時効処理を実施しても磁気特性
の面で支障はないと考えられる。したがって、焼鈍帯に
引き続いて過時効帯を有する連続焼鈍設備において本鋼
板を製造する場合でも、過時効帯を室温付近にまで冷却
することなく、たとえば、250〜500℃の温度域のまま通
板しても差し支えないので、製造計画策定にあたり制約
が少なくなる、という利点もある。
【0048】なお、ヒートシュリンクバンドには、耐食
性の観点からめっきを施してもよい。例えば、電気めっ
きの場合には、上述の方法で製造された鋼板に、常法に
従って電気めっきを施せばよい。めっき種は、特に限定
されるものではなく、たとえば、Zn、Zn-Ni合金、Ni、S
n、Crなどの単層めっき、またはこれらの複層めっき、
などが適用可能である。
【0049】また、溶融めっきの場合、例えば、ライン
内に焼鈍設備を有する連続溶融めっきラインで製造する
場合を例にとると、ライン内焼鈍温度を本発明範囲内に
設定して通板すれば、所望の磁気特性を有するすなわち
地磁気シールド性の優れためっき鋼板が得られる。溶融
めっきの場合もめっき種は特に限定されるものではな
く、たとえば、Zn、Zn-Al合金、Alなどの単層めっき、
これらの複層めっき、あるいは、めっき層と地鉄とを一
部または全部合金化させためっき、などが適用可能であ
る。
【0050】一方、鋼板表面、あるいはめっき表面に各
種の化成処理皮膜を形成することも可能である。
【0051】
【実施例】表1の供試鋼を溶製後、1200℃〜1280℃に加
熱し、仕上温度870℃、巻取温度600℃にて板厚3.2mmに
熱間圧延した。得られた熱延板を酸洗し、板厚0.8mm〜
1.6mmまで冷間圧延した後、600℃〜900℃にて90秒間焼
鈍し、その後、一部の鋼板については、2分間の過時効
処理を施し供試材を得た。
【0052】
【表1】
【0053】以上の要領で得られた供試材について降伏
応力、直流磁気特性および地磁気ドリフト性を評価し
た。これらの性能評価は以下のようにして行った。
【0054】(1)降伏応力 供試材を焼きばめ相当の500℃、5秒間の加熱を施し、室
温まで空冷した後、降伏応力を測定した。
【0055】(2)直流磁気特性 供試材を焼きばめ相当の500℃、5秒間の加熱を施し、室
温まで空冷した後、0.3 Oeにおける透磁率および外部磁
界10 Oeまで励磁したときの保磁力をリング試験片(外
径45mm、内径33mm)によって測定した。
【0056】(3)地磁気ドリフト性 供試材(調質圧延を施したものも含む)を所定の形状の
バンドに加工し、500℃に加熱後29インチTV陰極線パネ
ルにはめ込み、評価を行った。なお、その値については
表1に示す従来材である供試鋼Eの1%調質圧延材の地磁
気ドリフト量を1としたときの相対値で表示した。
【0057】これらの評価結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】表2に示すように、供試鋼成分、焼鈍温
度、調質圧延率が本発明範囲にある本発明例にあって
は、0.3 Oeの磁界における透磁率μと板厚t(mm)との
積μ×tが380以上であり、地磁気ドリフト性に優れた特
性を示すことが確認された。また、本発明例にあって
は、過時効処理の有無、あるいは過時効処理温度によら
ず、安定した磁気特性を示すことが確認された。一方、
供試鋼成分、焼鈍温度、調質圧延率の少なくとも一つが
本発明範囲を外れた比較例にあっては、μ×tが適正値
を外れており、色ずれ対策として煩雑な工程が必要とな
る。
【0060】
【発明の効果】本発明は、CやNを固溶状態で存在せし
め、炭化物・窒化物の形成を抑制しているため、低Siに
もかかわらず高い透磁率を確保でき、また、ヒートシュ
リンクバンドとして必要な強度を確保できる。さらに、
透磁率と板厚との積に着目して色ずれの低減を図ってい
る。
【0061】その結果、本発明によれば、透磁率が高く
地磁気ドリフトが小さい鋼板が得られる。
【0062】さらに、本発明による鋼板を陰極線管のヒ
ートシュリンクバンドに用いることによって、充分な磁
気シールド性が確保され、色ずれの問題が解決され、ヒ
ートシュリンクバンド用として好適な鋼板が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】μ×tと地磁気ドリフト量との関係を示す図で
ある。
【図2】調質圧延率とμとの関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平谷 多津彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 田原 健司 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 田中 靖 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K037 EA01 EA04 EA11 EA15 EA18 EA22 EA23 EA25 EA27 EB03 EB06 EB08 EB09 FA03 FC04 FE02 FH01 FJ04 FJ05 FJ06 FL01 FL02 FM02 GA05 JA02 JA06 5C032 AA02 CC03 CD01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.01%以下、Si: 1%以
    下、Mn:0.1%以上2%以下、sol.Al:0.01%以下、N:
    0.005%超え0.1%以下を含み、残部が実質的にFeからな
    り、焼きばめ後の状態で0.3 Oeの磁界における透磁率μ
    と板厚t(mm)との積μ×tが380以上であることを特徴
    とするヒートシュリンクバンド用鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.01%以下、Si: 1%以
    下、Mn:0.1%以上2%以下、sol.Al:0.01%以下、N:
    0.01%以上0.1%以下を含み、残部が実質的にFeからな
    り、焼きばめ後の状態で0.3 Oeの磁界における透磁率μ
    と板厚t(mm)との積μ×tが380以上であることを特徴
    とするヒートシュリンクバンド用鋼板。
  3. 【請求項3】 重量%で、C:0.01%以下、Si: 1%以
    下、Mn:0.1%以上2%以下、sol.Al:0.01%以下、N:
    0.005%超え0.1%以下、P:0.15%以下、S:0.03%以
    下、Cr:0.01%以上0.1%以下、O:0.01%以下を含み、
    残部が実質的にFeからなり、焼きばめ後の状態で0.3 Oe
    の磁界における透磁率μと板厚t(mm)との積μ×tが38
    0以上であることを特徴とするヒートシュリンクバンド
    用鋼板。
  4. 【請求項4】 重量%で、C:0.01%以下、Si: 1%以
    下、Mn:0.1%以上2%以下、sol.Al:0.01%以下、N:
    0.01%以上0.1%以下、P:0.15%以下、S:0.03%以
    下、Cr:0.01%以上0.1%以下、O:0.01%以下を含み、
    残部が実質的にFeからなり、焼きばめ後の状態で0.3 Oe
    の磁界における透磁率μと板厚t(mm)との積μ×tが38
    0以上であることを特徴とするヒートシュリンクバンド
    用鋼板。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に
    記載の化学成分を有する鋼を熱間圧延し、引き続いて冷
    間圧延し、次いで、得られた鋼板を650℃以上870℃以下
    の温度域にて焼鈍し、あるいは、この焼鈍の後さらに圧
    延率0.5%以下の調質圧延を施すことを特徴とするヒー
    トシュリンクバンド用鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103436779A (zh) * 2013-07-24 2013-12-11 上海华篷防爆科技有限公司 一种铁质阻隔防爆材料

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