JPH11246278A - 無機質発泡体の製造方法 - Google Patents

無機質発泡体の製造方法

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JPH11246278A
JPH11246278A JP5094198A JP5094198A JPH11246278A JP H11246278 A JPH11246278 A JP H11246278A JP 5094198 A JP5094198 A JP 5094198A JP 5094198 A JP5094198 A JP 5094198A JP H11246278 A JPH11246278 A JP H11246278A
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靖彦 戸田
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    • C04B20/02Treatment
    • C04B20/04Heat treatment
    • C04B20/06Expanding clay, perlite, vermiculite or like granular materials
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、石炭ガス化プロセスで副生する非晶
質スラグを原料とし、低吸水性且つ低単位容積質量の無
機質発泡体を、高い歩留まりで安定的に与える製造方法
の提供を目的とする。 【解決手段】本発明は、石炭の部分酸化プロセスで副生
する非晶質スラグを、未燃焼炭素の含有率が1重量%以
下となるように前処理した後、焼成して膨張・発泡させ
ることを特徴とする、低吸水性、低単位容積質量の無機
発泡体の製造方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭を部分酸化し
て水素を得る石炭ガス化プロセスで発生する副生非晶質
スラグから、低吸水性の無機質発泡体を製造する方法に
関するものである。本発明の方法で製造される無機質発
泡体は、その特性である軽量性と低吸水性を活かして、
軽量コンクリート又はモルタル用骨材として、主に建材
用途として好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】建築物などの構造物は、省エネルギー、
省資源及び耐震性向上のため、軽量化、高強度化及び断
熱化が進められており、それを具現化する方法の一つと
して骨材の軽量化が検討されている。従来、人工軽量骨
材は、真珠岩、松脂岩等の天然ガラス質岩石を出発原料
として製造されていたが、資源の枯渇に伴い、石炭燃焼
灰、石炭ガス化に伴って副生する非晶質スラグ等のガラ
ス質成分を含む産業廃棄物を出発原料とする方法が検討
されている。
【0003】石炭ガス化プロセスで副生する非晶質スラ
グを原料とする無機質発泡体の製造方法については、既
に、本出願人により幾つかの技術が開示されている。例
えば、特開昭61−251551号及び特開昭61−1
97479号公報には、非晶質スラグに含まれるSiO
2 、Al2 3 、CaO量を規定する技術が開示され、
特開昭62−12646号公報には、非晶質残滓中の硫
化物硫黄と未燃焼炭素の合量及び粒子径を規定した、微
少無機質発泡体の製造方法が開示されている。また、特
開平1−23694号公報には、非晶質残滓の粒子径を
規定し、且つ還元雰囲気下で焼成する方法が開示されて
いる。
【0004】石炭ガス化に伴って副生する非晶質スラグ
には、単に粒界に物理的に存在する自由水が十数重量%
含まれていることから、ロータリーキルンにおいて20
0〜300℃で加熱する乾燥前処理を施してこの水分を
除去しているが、ここで採用されている温度範囲では、
水分は除去されるものの炭素分は除去されないため、膨
張・発泡させる焼成段階では炭素含有量の多いものが焼
成されることになり、それに付随して種々の問題が発生
する。先ず、未燃焼炭素がキルン内で自燃すると急激な
温度上昇を引き起こし、特性的に優れた発泡体を得るの
に必要とされる適正な焼成温度を維持することが困難に
なる。また、自燃に伴う燃焼熱で粒子同士の融着が始ま
り、一旦融着が始まると塊は雪だるま式に成長して終に
は大塊に成長するのである。生成した大塊中では、熱が
均等に行き渡らないため、発泡の進み過ぎた過発泡粒子
と発泡が十分でない不完全発泡粒子が混在するのが避け
られない。過発泡粒子は吸水性が大であり、一方、不完
全発泡粒子は単位容積質量が大であり、何れも特性的に
欠陥品である。生成塊状物を欠陥品として除去すれば、
製品歩留まりの大幅な低下に繋がるのである。すなわ
ち、石炭ガス化に伴って副生する非晶質スラグは、本質
的に、優れた低吸水性無機質発泡体を与えるものである
が、大量に存在する未燃焼炭素は、装置の安定運転及び
製品歩留まり向上を図る上での障害となっており、この
面での改良が要求されていたのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来行なわ
れていた、石炭ガス化プロセスの副生非晶質スラグを原
料とする無機質発泡体製造技術が有していた上記問題の
解決を目的とする。すなわち、本発明は、石炭ガス化プ
ロセスで副生する非晶質スラグを原料とし、低吸水性且
つ低単位容積質量の無機質発泡体を、高い歩留まりで安
定的に与える製造方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、膨張・発泡
させる焼成時に存在する未燃焼炭素量を低減することに
より、無機質発泡体が100%近い高い歩留まりで安定
的に得られる事を見出し、本発明を完成した。すなわ
ち、本発明は、石炭の部分酸化プロセスで副生する非晶
質スラグを、未燃焼炭素の含有率が1重量%以下となる
ように前処理した後、焼成して膨張・発泡させることを
特徴とする、低吸水性、低単位容積質量の無機質発泡体
の製造方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】石炭を部分酸化して水素を取り出
す石炭ガス化プロセスに於ては、副生する非晶質スラグ
中にかなりの量の未燃焼炭素が残留するのは避けられな
い。未燃焼炭素の含有量は、非晶質スラグ二次粒子の粒
子径に依存して変化する。例えば、表1には非晶質スラ
グを分級した後、各粒分中に含まれる未燃焼炭素濃度を
測定した例を示すが、未燃焼炭素は、全体の60重量%
以上を占める、粒子径が1.19mmより大である粒分
には殆ど含まれておらず、粒子径の小さい方に偏在して
いることが分かる。このことは、粒子径の小さな非晶質
スラグ二次粒子には、非晶質スラグ全体としての平均未
燃焼炭素濃度よりも濃度が高いものが存在することを意
味する。発泡温度を、粒子融着の起こらない適切な値に
設定しても、この未燃焼炭素が急激に燃焼すれば、局所
的に温度が高い部分が発生し、二次粒子間の融着が生起
するのである。
【0008】このことから、未燃焼炭素の燃焼と発泡と
が同時に生起することを防止し、発泡温度を融着に至ら
ない適切な値に維持すれば、粒子間の融着が抑制され、
結果として、目標特性を有する無機質発泡体の、高歩留
まり且つ安定的な製造が可能となることが推定される。
また、その具体的手段として、未燃焼炭素の大半を除去
する前処理を行ない、焼成・発泡時には未燃焼炭素が殆
ど存在しないようにする方法が有効であると考えられ
る。
【0009】本発明者等は、含まれる未燃焼炭素量を1
重量%以下とした非晶質スラグにおいて、無機質発泡体
を高歩留まり且つ安定的に製造できることを実際に確か
め、た。
【0010】非晶質スラグ中に含まれる未燃焼炭素量を
1重量%以下に低減する方法は色々考えられるが、最も
容易で且つ現実的なものは、その燃焼性を利用して燃焼
させて低減することである。この方法では、炭素以外の
成分の損失は殆ど起こらず、その点からも理想的な方法
である。
【0011】前述のように、従来も、非晶質スラグ中の
水分除去のための加熱前処理が施されていた。しかし、
炭素の燃焼開始温度は550℃程度であり、この処理に
おいて採用されていた200〜300℃の温度域では、
非晶質スラグ中の未燃焼炭素量は減少しない。燃焼によ
り未燃焼炭素量を低減する方法においては、前処理温度
を、炭素の燃焼開始温度とされている550℃より高い
温度に設定する必要がある。しかし、余り高い温度で
は、炭素は燃焼して未燃焼炭素量は確かに減少するが、
発熱のコントロールが非常に困難であり、前処理段階で
既に粒子の融着を引き起こし、前処理は逆効果になる。
従って、燃焼により未燃焼炭素量低減する方法に於て
は、加熱前処理温度を550〜650℃に設定する必要
がある。この温度域で加熱前処理を行なうことにより、
水が除去されると共に未燃焼炭素が穏やかに燃焼し、粒
子融着を引き起こすこと無しにその量を低減することが
可能となる。
【0012】加熱前処理の時間は、加熱処理温度、使用
する加熱炉、非晶質スラグ中の炭素量等に依存して適宜
選択することになるが、最も一般的な、ロータリキルン
を使用する場合、設定最高温度帯での滞留時間を10〜
60分の範囲で設定することができる。
【0013】加熱前処理は、温度範囲が前記した範囲内
にあり、且つ、酸素が存在する雰囲気であれば問題なく
行ない得るが、空気中で行なうのが最も現実的な方法で
ある。
【0014】また、加熱前処理に当たっては、並流式又
は向流式ロータリーキルン、気流焼成炉、流動層焼成炉
等、通常使用されている公知の焼成装置を使用すること
が出来るが、生産性が高いこと及び品質のばらつきを低
減できることから、ロータリーキルンの使用が最も好ま
しい。
【0015】加熱前処理を行ない含まれる水分および未
燃焼炭素量を低減した非晶質残滓は、酸素含有ガス雰囲
気下、800〜950℃で焼成して膨張・発泡させて、
目的とする無機質発泡体を得ることが出来る。焼成・発
泡温度が低すぎると、発泡が不十分で単位容積質量の十
分低いものが得られず、焼成・発泡温度が高低すぎる
と、発泡が行き過ぎて開気孔が形成され、吸水性の十分
低いものが得られない。被焼成原料中には未燃焼炭素が
ほとんど存在しないため、最適焼成温度の維持が容易に
行なえるだけでなく、キルン内での融着物発生も抑制さ
れることから、単位容積質量が低く且つ低吸水性の無機
質発泡体を、高い歩留まりで安定的に製造することがで
きる。
【0016】
【実施例】以下に具体的例を挙げて、本発明の効果を更
に詳しく説明する。 (1)非晶質スラグ テキサコ法を利用した石炭ガス化炉から排出された非晶
質スラグを分級し、1.19〜0.149mmの粒度範
囲のものを加熱・発泡用原料として使用した。表1に示
すように、未燃焼炭素は、1.19〜0.149mmの
粒度範囲に高濃度で含まれるからである。尚、スラグ中
の未燃焼炭素量の測定は、堀場製の炭素・イオウ分析計
を使用して行なった。 (2)無機質発泡体特性 ・単位容積質量:100mlのメスシリンダに取って所
定回振動させた試料100mlの質量を測定して求め
た。 ・24時間吸水率:JIS A 1135に準じて測定
した (3)製品歩留り 生成無機質発泡体を目開き2.38mmの篩でふるった
後、次式で求めた。[粒径2.5mm以下の発泡体重量
/送入原料重量]×100
【0017】実施例1 目開き1.19mmの篩を通過した非晶質スラグを、並
流式ロータリキルン(管径0.6m×長さ6m)で、最
高部温度600℃、滞留時間20分の条件で加熱前処理
を行なった。前処理後の非晶質スラグに含まれる炭素量
は1重量%以下であった。前処理後の非晶質スラグは、
同じく並流式のロータリキルン(管径0.45m×長さ
12m)で、最高部温度875℃、滞留時間40分の条
件で焼成して無機質発泡体を得た。得られた無機質発泡
体の単位容積質量、24時間吸水率、及び、製品歩留ま
りを表2に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】比較例1 加熱前処理において、ロータリキルン最高部温度を20
0℃とした以外は実施例1と同様の条件で非晶質スラグ
の前処理を行なった。前処理後の非晶質スラグ中に含ま
れる炭素量は28%であり、前処理前後で殆ど変化がな
かった。前処理後の非晶質スラグは、実施例1と同様の
方法で焼成して無機質発泡体を得た。得られた、無機質
発泡体の単位容積質量、24時間吸水率及び製品歩留ま
りを表2に示す。
【0021】本発明の方法に従って製造された無機質発
泡体は、従来法で製造されたものに比べて、製品歩留ま
りが著しく改善されているだけでなく、単位容積質量お
よび吸水率共に優れていることが分かる。
【0022】
【発明の効果】本発明の方法は、石炭ガス化プロセスか
ら大量に排出され、未利用資源の一つである、非晶質残
滓を原料とし、低吸水性無機発泡体を、高歩留まりで安
定的に製造することを可能にした。生成した低吸水性無
機発泡体は、軽量骨材として建設資材用途に好適に使用
出来ることから、蓄積が問題となる産業廃棄物の有効利
用、その不足が懸念される骨材資源供給安定化の両面か
ら意義は大きい。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】石炭の部分酸化プロセスで副生する非晶質
    スラグを、未燃焼炭素の含有率が1重量%以下となるよ
    うに前処理した後、焼成して膨張・発泡させることを特
    徴とする、無機質発泡体の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1における前処理が、酸素含有雰囲
    気下において550〜650℃の温度範囲で加熱するこ
    とである、無機質発泡体の製造方法。
  3. 【請求項3】膨張・発泡させる焼成温度が800〜95
    0℃である、請求項1または2の何れかに記載の、無機
    質発泡体の製造方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002060281A (ja) * 2000-08-17 2002-02-26 Central Res Inst Of Electric Power Ind 人工軽量発泡体とその骨材
JP2009269760A (ja) * 2008-04-30 2009-11-19 Central Res Inst Of Electric Power Ind 石炭ガス化スラグ発泡体の製造方法及び製造システム
JP2011212597A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Central Res Inst Of Electric Power Ind スラグ発泡体の製造方法
JP2012180272A (ja) * 2012-04-23 2012-09-20 Central Research Institute Of Electric Power Industry 石炭ガス化スラグ発泡体の製造方法及び製造システム
CN107857496A (zh) * 2017-03-15 2018-03-30 吉林大学 一种煤气化细渣的综合利用方法
CN107857499A (zh) * 2017-03-15 2018-03-30 吉林大学 制备水泥掺合料的方法、水泥掺合料及水泥组合物

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