JPH11243670A - 無方向性電磁鋼板を使用した電気器材の焼鈍方法および低鉄損コア - Google Patents

無方向性電磁鋼板を使用した電気器材の焼鈍方法および低鉄損コア

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JPH11243670A
JPH11243670A JP29881598A JP29881598A JPH11243670A JP H11243670 A JPH11243670 A JP H11243670A JP 29881598 A JP29881598 A JP 29881598A JP 29881598 A JP29881598 A JP 29881598A JP H11243670 A JPH11243670 A JP H11243670A
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JP
Japan
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annealing
steel plate
steel sheet
gas
atmosphere gas
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JP29881598A
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English (en)
Inventor
Hiromichi Koshiishi
弘道 輿石
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KYUSHU DENJIKOU CENTER KK
Original Assignee
KYUSHU DENJIKOU CENTER KK
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 モータやトランスのコアなどの無方向性
電磁鋼板を使用した電気器材の焼鈍において、H単独ガ
ス、またはHとAr、He、Neのいずれか1種以上と
の混合ガスを主成分とする雰囲気ガス中で、均熱温度8
00℃以上で焼鈍する。 【効果】 鋼板中に含まれるAlと窒化反応を起こさな
い雰囲気ガスを用いることにより、焼鈍時の均熱温度を
高めても結晶粒の成長を促進することができ、磁気特性
の一層の向上が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はモータやトランスの
コアなどの無方向性電磁鋼板を使用した電気器材の焼鈍
方法およびこの方法により製造したコアに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境、資源問題から電気機器に対
し省エネルギー、高効率化の要請が高まってきている。
モータやトランスにとってもその効率向上は最大の要求
であり、このためには鉄損や銅損、機械損を減少させる
ことが必要である。このようなモータやトランスのコア
として、無方向性電磁鋼板の積層物が使用されている
が、このコアが鉄損に大きく影響していることはよく知
られていることである。
【0003】以下、モータコアを例にとって説明する。
図2に示すように、モータコアには固定子コア(同図の
(a))10と回転子コア(同図の(b))20がある
が、両者を総称してモータコアという。
【0004】このモータコアは、無方向性電磁鋼板のフ
ープに打ち抜き油を塗布した状態で所定の形状にプレス
で打ち抜き、これを多数枚積層してカシメあるいは溶接
により固着して製作される。この後、付着した打ち抜き
油を除去するための加熱処理が行われ、さらにその後、
焼鈍が行われる。
【0005】この焼鈍の目的は、第一義的には打ち抜き
時に生じた歪みの除去にあり、同時に結晶粒の成長を促
進して磁気特性の向上を図ることにある。従来、モータ
コアの焼鈍は、たとえば特開昭54−1803号公報や
特開昭63−39444号公報に記載にように、非酸化
性ないし還元性雰囲気のもとで、均熱温度約750℃で
約2時間保持の条件で行われている。
【0006】一方、モータコアの材料として使用される
無方向性電磁鋼板は、所定の化学成分に調整された熱延
板に、1回または複数回の焼鈍を含む冷間圧延を施して
製造される。この無方向性電磁鋼板の化学成分は、鋼板
の磁気特性の向上、とくに高い磁束密度と低い鉄損を得
るため、特定成分の低減と添加が行われている。本発明
の対象とする高級な無方向性電磁鋼板は、通常の冷間圧
延鋼板と比べて特徴的な成分はSiとAlであり、一般
的にSiは2〜3.5%、Alは0.1〜2.5%含有
されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のモータコアの焼
鈍において、焼鈍炉の炉内雰囲気を非酸化性ないし還元
性雰囲気としているのは、付着した打ち抜き油を除去す
るための加熱処理を行った後、焼鈍中に電磁鋼板の表面
が酸化されないようにするためである。このときに用い
る雰囲気ガスは、窒素ガスを主体とし、これに水素ガス
あるいはCOガスが混じったものが一般的である。
【0008】本発明者は、上記のようなモータコアの焼
鈍において、磁気特性をさらに向上させるための焼鈍方
法について研究を重ね、以下の知見を得た。その第1
は、従来の窒素ガスを主体とした炉内雰囲気ガスのもと
での焼鈍において、均熱温度を従来一般に採用されてい
る750℃よりさらに高めていくと、磁気特性がさらに
向上することであり、その第2は、均熱温度が850℃
より高くなると逆に磁気特性が低下することである。
【0009】均熱温度を750℃から850℃まで高め
たときの磁気特性の向上の原因は、結晶粒の成長が促進
されることにある。一方、均熱温度が850℃より高く
なると磁気特性が低下する原因については、本発明者の
研究の結果、モータコアの材料である無方向性電磁鋼板
に含有されるAlが雰囲気ガス中のNと反応してあらた
なAlNが生成し、このAlNが焼鈍時の鋼板表面近傍
の結晶粒の成長を阻害しているためであることが明らか
になった。
【0010】このことから、従来の窒素ガスを主体とし
た雰囲気ガスでの焼鈍においては、均熱温度は850℃
が上限となり、これ以上の磁気特性の向上は望めないこ
とが明らかになった。
【0011】本発明において解決すべき課題は、モータ
やトランスのコアなどの無方向性電磁鋼板を使用した電
気器材の焼鈍において、焼鈍条件を改善して焼鈍後の磁
気特性の一層の向上を図ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前述したように、モータ
コアの焼鈍の目的は、材料の打ち抜き工程で生じた歪み
の除去と結晶粒の成長促進による磁気特性の向上にある
が、後者の結晶粒の成長促進に関しては、材料の化学成
分の影響が非常に大きい。ところが、一般のモータ製造
者にとっては、材料である無方向性電磁鋼板の化学成分
については、C,Si,Mn,P,Sのいわゆる5元素
以外の微量元素や添加元素についての情報は必ずしも十
分に開示されておらず、これらの微量元素や添加元素の
含有量と焼鈍条件との関係についての研究が不充分であ
った。本発明者は、材料である無方向性電磁鋼板の化学
成分とモータコアの焼鈍条件について鋭意研究の結果、
本発明を完成するに至ったものである。
【0013】すなわち本発明は、モータやトランスのコ
アなどの無方向性電磁鋼板を使用した電気器材の焼鈍方
法であって、前記鋼板中に含まれるAlと窒化反応を起
こさない雰囲気ガス中で焼鈍することを特徴とする。
【0014】無方向性電磁鋼板の製造工程において、鋼
中のO(酸素)は焼鈍時の結晶粒成長を阻害し、磁気特
性を低下させるので、製鋼工程において脱酸のために一
定範囲のAlが添加されている。添加されたAlのう
ち、一部はいわゆるinsolAlの形態で、残りはs
olAlの形態で鋼板中に存在している。
【0015】このsolAlの形態で存在しているAl
は化学的に活性であり、焼鈍時の高温雰囲気ガス中にN
が存在すると、AlとNが反応してあらたなAlNを生
成する。このAlNは、焼鈍時の鋼板表面近傍の結晶粒
成長を阻害し、磁気特性の向上を抑制するという悪影響
を及ぼす。
【0016】そこで本発明においては、焼鈍時の炉内雰
囲気ガスとして、鋼板中に含まれるAlと窒化反応を起
こさない雰囲気ガスを用いる。Alと窒化反応を起こさ
ない雰囲気ガスとしては、H単独ガス、またはHとA
r、He、Neのいずれか1種以上との混合ガスを主成
分とするガスを用いることができる。
【0017】鋼板中に含まれるAlと窒化反応を起こさ
ない雰囲気ガスを用いることにより、Alを0.1〜
2.5%含有する無方向性電磁鋼板を使用してモータや
トランスのコアを製作し、これを焼鈍するときに、均熱
温度を高めても鋼板中にあらたなAlNが生成すること
がなく、したがって結晶粒の成長をより促進することが
でき、これにより、鉄損が大幅に低減したコアを得るこ
とができ、このコアを使用したモータやトランスの効率
が一層向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実験
例に基づいて説明する。表1は実験に使用した無方向性
電磁鋼板の化学成分と雰囲気ガスを示す表であり、図1
は実験結果からみた均熱温度と鉄損との関係を示すグラ
フである。
【0019】
【表1】
【0020】図1から明らかなように、電磁鋼板中に含
まれるAlと窒化反応を起こさない雰囲気ガス中で焼鈍
した実施例1〜6は、均熱温度800℃以上において著
しい鉄損低減の効果が得られた。これに対しNを主体と
する雰囲気ガス中で焼鈍した比較例1、2では、均熱温
度が750℃を超えても鉄損低減の効果は僅かであり、
均熱温度が900℃になると逆に鉄損が増加する傾向と
なる。このときの鋼板中のN分析値は、焼鈍前において
20ppmのNが、均熱温度900℃で焼鈍後では、実
施例1〜6の鋼板はは20ppmであり、比較例1、2
の鋼板は30ppmであったことから、比較例1、2の
焼鈍においては雰囲気ガス中のNが鋼板中に吸収された
ことがわかる。
【0021】
【発明の効果】モータやトランスのコアなどの無方向性
電磁鋼板を使用した電気器材の焼鈍において、鋼板中に
含まれるAlと窒化反応を起こさない雰囲気ガスを用い
ることにより、焼鈍時の均熱温度を高めても鋼板中にあ
らたにAlNが生成することがなく、したがって結晶粒
の成長をより促進することができ、これにより、鉄損が
大幅に低減したコアを得ることができる。このコアを使
用することにより、モータやトランスの効率を一層向上
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実験結果からみた均熱温度と鉄損との関係を
示すグラフである。
【図2】 モータコアを示す斜視図である。
【符号の説明】
10 モータの固定子コア 20 モータの回転子コア

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータやトランスのコアなどの無方向性
    電磁鋼板を使用した電気器材の焼鈍方法であって、前記
    鋼板中に含まれるAlと窒化反応を起こさない雰囲気ガ
    ス中で焼鈍することを特徴とする無方向性電磁鋼板を使
    用した電気器材の焼鈍方法。
  2. 【請求項2】 前記雰囲気ガスがH単独ガス、またはH
    とAr、He、Neのいずれか1種以上との混合ガスを
    主成分とするガスである請求項1記載の無方向性電磁鋼
    板を使用した電気器材の焼鈍方法。
  3. 【請求項3】 前記焼鈍における均熱温度が800℃以
    上である請求項1,2記載の無方向性電磁鋼板を使用し
    た電気器材の焼鈍方法。
  4. 【請求項4】 無方向性電磁鋼板を材料としたモータや
    トランスのコアであって、所定の形状に打ち抜いた無方
    向性電磁鋼板を積層したコアを、前記電磁鋼板中に含ま
    れるAlと窒化反応を起こさない雰囲気ガス中で焼鈍し
    て鉄損を低減させたことを特徴とする低鉄損コア。
JP29881598A 1997-12-24 1998-10-20 無方向性電磁鋼板を使用した電気器材の焼鈍方法および低鉄損コア Pending JPH11243670A (ja)

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JP29881598A JPH11243670A (ja) 1997-12-24 1998-10-20 無方向性電磁鋼板を使用した電気器材の焼鈍方法および低鉄損コア

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JP9-354896 1997-12-24
JP35489697 1997-12-24
JP29881598A JPH11243670A (ja) 1997-12-24 1998-10-20 無方向性電磁鋼板を使用した電気器材の焼鈍方法および低鉄損コア

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102355096A (zh) * 2011-10-12 2012-02-15 文登奥文电机有限公司 电机冲片氧化退火处理工艺
JP2014241703A (ja) * 2013-06-12 2014-12-25 株式会社三井ハイテック 積層鉄心の製造方法
JP2018085894A (ja) * 2016-11-25 2018-05-31 トヨタ自動車株式会社 ロータコアの製造方法およびモータコアの製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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