JP2012036456A - 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.005%以下、Si:1.5%以上4.0%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、sol.Al:0.4%以上3.0%以下、P:0.04%以下、S:0.01%以下およびN:0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、平均結晶粒径が40μm以上180μm以下である鋼組織を有し、B50L≧1.680、B50L/B50C≧1.035、および{(2×B50L+B50C)/3}/{(B50L+2×B50D+B50C)/4}≧1.025を満足する磁気特性を有し、板厚が0.10mm以上0.35mm以下である。
【選択図】図1
Description
また、特許文献3〜特許文献5には、分割鉄心用の無方向性電磁鋼板に関する技術が開示されている。
B50L≧1.680 (1)
B50L/B50C≧1.035 (2)
{(2×B50L+B50C)/3}/{(B50L+2×B50D+B50C)/4}
≧1.025 (3)
(ここで、
B50L:磁化力5000A/mで磁化した際の圧延方向の磁束密度(T)
B50C:磁化力5000A/mで磁化した際の圧延直角方向の磁束密度(T)
B50D:磁化力5000A/mで磁化した際の圧延方向に対して45°方向の磁束密度(T)
である。)
(A)上述の化学組成を有する板厚1.8mm以上3.5mm以下の熱延鋼板に10%以上75%以下の圧下率での冷間圧延を施す第1冷間圧延工程
(B)上記第1冷間圧延工程により得られた冷延鋼板に700℃以上900℃以下の温度域に3時間以上40時間以下保持する中間焼鈍を施す中間焼鈍工程
(C)上記中間焼鈍工程により得られた中間焼鈍鋼板に50%以上85%以下の圧下率の冷間圧延を施して0.10mm以上0.35mm以下の板厚とする第2冷間圧延工程
(D)上記第2冷間圧延工程により得られた冷延鋼板に、900℃以上1200℃以下の焼鈍温度で仕上焼鈍を施す仕上焼鈍工程
本発明の無方向性電磁鋼板は、質量%で、C:0.005%以下、Si:1.5%以上4.0%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、sol.Al:0.4%以上3.0%以下、P:0.04%以下、S:0.01%以下およびN:0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、平均結晶粒径が40μm以上180μm以下である鋼組織を有し、上記式(1)〜(3)を満足する磁気特性を有し、板厚が0.10mm以上0.35mm以下であることを特徴とするものである。
まず、鋼板の化学組成の限定理由について説明する。なお、各元素の含有量を示す「%」は、特に断りのない限り「質量%」を意味するものである。
結晶粒径は大きくし過ぎても、小さくし過ぎても鉄損が劣化する。したがって、平均結晶粒径は40μm以上180μm以下とする。
なお、平均結晶粒径は、縦断面組織写真において、板厚方向および圧延方向について切断法により測定した結晶粒径の平均値を用いればよい。この縦断面組織写真としては光学顕微鏡写真を用いることができ、例えば50倍の倍率で撮影した写真を用いればよい。
L方向の磁気特性が優れ、L方向の磁気特性がC方向の磁気特性よりも優れた磁気特性を有するものとして、本発明においては、下記式(1)および(2)を満足する磁気特性を有するものとする。
さらに、L方向に重み付けを行ったL方向とC方向とを加重平均した磁気特性を全周方向の平均磁気特性により規格化した値が大きくなるような異方性が大きい無方向性電磁鋼板とすることが重要である。そこで、本発明においては、L方向の磁気特性をC方向の磁気特性に対して2倍の重み付けを行った磁気特性を全周方向の平均磁気特性により規格化した値を指標として用い、下記式(3)を満足する磁気特性を有するものとする。
B50L≧1.680 (1)
B50L/B50C≧1.035 (2)
{(2×B50L+B50C)/3}/{(B50L+2×B50D+B50C)/4}
≧1.025 (3)
ここで、
B50L:磁化力5000A/mで磁化した際の圧延方向の磁束密度(T)
B50C:磁化力5000A/mで磁化した際の圧延直角方向の磁束密度(T)
B50D:磁化力5000A/mで磁化した際の圧延方向に対して45°方向の磁束密度(T)
である。
エアコンや冷蔵庫などのコンプレッサーモータ、電気自動車やハイブリッド自動車などの駆動モータおよび発電機は高速回転域で使用されるため、鉄心材料である無方向性電磁鋼板は高周波域での鉄損が低いものが望ましい。高周波条件下での鉄損低減には板厚が薄い方が好ましい。したがって、板厚は0.35mm以下とする。好ましくは0.30mm以下である。一方、過度の薄肉化は鋼板やモータの生産性を著しく低下させる。したがって、板厚は0.10mm以上とする。好ましくは0.15mm以上である。
本発明の無方向性電磁鋼板は、後述する無方向性電磁鋼板の製造方法により製造することが好適である。
本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法は、下記工程(A)〜(D)を有することを特徴とする。
(A)上述の化学組成を有する板厚1.8mm以上3.5mm以下の熱延鋼板に10%以上75%以下の圧下率での冷間圧延を施す第1冷間圧延工程
(B)上記第1冷間圧延工程により得られた冷延鋼板に700℃以上900℃以下の温度域に3時間以上40時間以下保持する中間焼鈍を施す中間焼鈍工程
(C)上記中間焼鈍工程により得られた中間焼鈍鋼板に50%以上85%以下の圧下率の冷間圧延を施して0.10mm以上0.35mm以下の板厚とする第2冷間圧延工程
(D)上記第2冷間圧延工程により得られた冷延鋼板に、900℃以上1200℃以下の焼鈍温度で仕上焼鈍を施す仕上焼鈍工程
第1冷間圧延工程においては、上述の化学組成を有する板厚1.8mm以上3.5mm以下の熱延鋼板に10%以上75%以下の圧下率での冷間圧延を施す。
熱延鋼板は、通常、熱間圧延の際に鋼板表面に生成したスケールを酸洗により除去してから冷間圧延に供される。後述するように熱延鋼板に熱延板焼鈍を施す場合には、熱延板焼鈍前あるいは熱延板焼鈍後のいずれかにおいて酸洗すればよい。
中間焼鈍工程においては、上記第1冷間圧延工程により得られた冷延鋼板に700℃以上900℃以下の温度域に3時間以上40時間以下保持する中間焼鈍を施す。
中間焼鈍工程における焼鈍温度(以下、「中間焼鈍温度」ともいう。)が700℃未満であったり、700℃以上の温度域に保持する時間が3時間未満であったりすると、中間焼鈍後の結晶粒が粗大化されないために、目的とする磁気特性を得ることができない場合がある。一方、中間焼鈍温度を900℃超とするには特殊な設備が必要となりコストの増加を招く。また、700℃以上の温度域に保持する時間を40時間超としても効果が飽和してしまうので、コスト的に不利となる。したがって、中間焼鈍は700℃以上900℃以下の温度域に3時間以上40時間以下保持するものとする。保持時間は5時間以上35時間以下とすることが好ましい。
中間焼鈍の他の条件は特に限定されるものではない。
第2冷間圧延工程においては、上記中間焼鈍工程により得られた中間焼鈍鋼板に50%以上85%以下の圧下率の冷間圧延を施して0.10mm以上0.35mm以下の板厚とする。
第2冷間圧延工程における圧下率が50%未満または85%超であると、目的とする磁気特性を得ることができない場合がある。したがって、第2冷間圧延工程における圧下率は50%以上85%以下とする。下限については、54%以上が好ましい。さらに好ましくは58%以上である。上限については80%以下が好ましい。
また、上述の「A.無方向性電磁鋼板」の項に記載した理由により、第2冷間圧延後の板厚は0.10mm以上0.35mm以下とする。
冷間圧延時の鋼板温度、圧延ロール径など、冷間圧延の他の条件は特に限定されるものではなく、鋼板の化学組成、目的とする鋼板の板厚などにより適宜選択するものとする。
仕上焼鈍工程においては、上記第2冷間圧延工程により得られた冷延鋼板に、900℃以上1200℃以下の焼鈍温度で仕上焼鈍を施す。
仕上焼鈍における焼鈍温度(以下、「仕上焼鈍温度」ともいう。)が900℃未満では、粒成長不足により平均結晶粒径が40μm未満となって十分な磁気特性が得られない場合がある。一方、仕上焼鈍温度が1200℃超では、粒成長が過度に進行してしまい平均結晶粒径が180μm超となって十分な磁気特性が得られない場合がある。さらに、このような高温焼鈍には特殊な設備が必要になる場合があるためにコスト増加を招く恐れがある。したがって、仕上焼鈍温度は900℃以上1200℃以下とする。
仕上焼鈍の他の条件は特に限定されるものではない。
上記第1冷間圧延工程に供する熱延鋼板には、熱延板焼鈍を施してもよい。熱延板焼鈍を施すことにより、一層良好な磁気特性が得られる。
熱延板焼鈍は箱焼鈍および連続焼鈍のいずれによって行ってもよい。箱焼鈍により行う場合には、700℃以上900℃以下の温度域に3時間以上40時間以下保持することが好ましい。連続焼鈍により行う場合には、900℃以上1150℃以下の温度域に1秒間以上300秒間以下保持することが好ましい。熱延板焼鈍は箱焼鈍でも連続焼鈍でも所望の磁気特性を得ることができるが、L方向の磁気特性を重視する場合には箱焼鈍が好ましい。
熱延板焼鈍の他の条件は特に限定されるものではない。
上記冷間圧延工程に供する熱延鋼板は、上述の化学組成を有する鋼塊または鋼片(以下、「スラブ」ともいう。)に熱間圧延を施すことにより得ることができる。
熱間圧延においては、上記化学組成を有する鋼を、連続鋳造法あるいは鋼塊を分塊圧延する方法など一般的な方法によりスラブとし、加熱炉に装入して熱間圧延を施す。この際、スラブ温度が高い場合には加熱炉に装入しないで熱間圧延を行ってもよい。
熱間圧延での諸条件は特に規定しないが、仕上温度700℃以上、巻取温度300℃以上とするのが好ましい。
上記仕上焼鈍工程後に、一般的な方法に従って、有機成分のみ、無機成分のみ、あるいは有機無機複合物からなる絶縁被膜を鋼板表面に塗布するコーティングを施してもよい。環境負荷軽減の観点から、クロムを含有しない絶縁被膜を塗布するものであっても構わない。また、コーティングは、加熱・加圧することにより接着能を発揮する絶縁コーティングを施すものであってもよい。接着能を発揮するコーティング材料としては、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂またはメラミン樹脂などを用いることができる。
下記表1に示す化学組成を有するスラブを仕上温度800℃、巻取温度550℃で熱間圧延を施して板厚1.6mm〜3.1mmの熱延鋼板とし、酸洗を施した。これらの酸洗鋼板について、一部を除いて熱延板焼鈍を施さずに中間焼鈍を挟む第1冷間圧延工程および第2冷間圧延工程によって仕上板厚0.20mm〜0.35mmの冷延鋼板とした。一部は、箱焼鈍または連続焼鈍による熱延板焼鈍を施して、この内の一部は種々の条件での中間焼鈍を挟む第1冷間圧延工程および第2冷間圧延工程によって仕上板厚の冷延鋼板とし、残りは1回の冷間圧延工程にて仕上板厚の冷延鋼板とした。これらの冷延鋼板に950℃以上1180℃以下の温度で10秒間保持する仕上焼鈍を施して、平均結晶粒径55μm〜162μmの無方向性電磁鋼板とした。
一方、鋼板No.13〜15は2回冷延法ではないため、鋼板No.16は熱延鋼板の板厚が所定の範囲外であるため、鋼板No.17、18は中間焼鈍が連続焼鈍であるため、鋼板No.19、20は第1冷間圧延工程の圧下率が所定の範囲外であるため、鋼板No.21、22は第2冷間圧延工程の圧下率が所定の範囲外であるため、所望の磁気特性を得られなかった。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.005%以下、Si:1.5%以上4.0%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、sol.Al:0.4%以上3.0%以下、P:0.04%以下、S:0.01%以下およびN:0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
平均結晶粒径が40μm以上180μm以下である鋼組織を有し、
下記式(1)〜(3)を満足する磁気特性を有し、
板厚が0.10mm以上0.35mm以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
B50L≧1.680 (1)
B50L/B50C≧1.035 (2)
{(2×B50L+B50C)/3}/{(B50L+2×B50D+B50C)/4}
≧1.025 (3)
(ここで、
B50L:磁化力5000A/mで磁化した際の圧延方向の磁束密度(T)
B50C:磁化力5000A/mで磁化した際の圧延直角方向の磁束密度(T)
B50D:磁化力5000A/mで磁化した際の圧延方向に対して45°方向の磁束密度(T)
である。) - 下記工程(A)〜(D)を有することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法:
(A)請求項1に記載された化学組成を有する板厚1.8mm以上3.5mm以下の熱延鋼板に10%以上75%以下の圧下率での冷間圧延を施す第1冷間圧延工程;
(B)前記第1冷間圧延工程により得られた冷延鋼板に700℃以上900℃以下の温度域に3時間以上40時間以下保持する中間焼鈍を施す中間焼鈍工程;
(C)前記中間焼鈍工程により得られた中間焼鈍鋼板に50%以上85%以下の圧下率の冷間圧延を施して0.10mm以上0.35mm以下の板厚とする第2冷間圧延工程;および
(D)前記第2冷間圧延工程により得られた冷延鋼板に、900℃以上1200℃以下の焼鈍温度で仕上焼鈍を施す仕上焼鈍工程。 - 前記第1冷間圧延工程に供する熱延鋼板に、700℃以上900℃以下の温度域に3時間以上40時間以下保持する箱焼鈍による、または、900℃以上1150℃以下の温度域に1秒間以上300秒間以下保持する連続焼鈍による、熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程を有することを特徴とする請求項2に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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