JPH11242814A - 磁気テープ - Google Patents

磁気テープ

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JPH11242814A
JPH11242814A JP4392498A JP4392498A JPH11242814A JP H11242814 A JPH11242814 A JP H11242814A JP 4392498 A JP4392498 A JP 4392498A JP 4392498 A JP4392498 A JP 4392498A JP H11242814 A JPH11242814 A JP H11242814A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 データエリアの面積を減少させることなくサ
ーボトラッキングを行い得る磁気テープを提供するこ
と。 【解決手段】 支持体とバックコート層との間に光反射
層を設けると共に、該光反射層と該バックコート層との
間に、光学的にコントラストを生じさせ得る所定形状の
パターンを有する中間層を設け、該パターンからの光情
報に基づき上記磁性層のデータトラックのサーボトラッ
キングが行われるようになされていることを特徴とする
磁気テープ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録面と反対
側の面に形成された所定形状のパターンを利用して、サ
ーボトラッキングが可能になされている磁気テープに関
する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
パソコンネットワークの規模増大やデータ管理のセキュ
リティ面から、データのバックアップ用媒体である磁気
テープの大容量化が要求されている。大容量化の手段と
しては、記録密度を向上させる方法とテープ長を長くす
る方法とがある。
【0003】ハードディスクドライブの記録密度に対し
て、磁気テープはトラック密度が低いため記録密度が低
く、特にサーペンタイン方式の磁気テープの記録密度は
低い。これに対して、もう一方の記録方式であるヘリカ
ルスキャン方式の磁気テープは、ATF(Automatic Tr
ack Finding )と呼ばれるサーボトラッキング方式を採
用しているため、サーペンタイン方式の磁気テープより
もトラック密度が高い。
【0004】サーペンタイン方式の磁気テープにおいて
もトラック密度を向上させるための手段としてサーボト
ラッキング方式が採用されており、そのようなサーボト
ラッキング方式として磁気記録面のデータトラックと同
じトラックにサーボ信号を書込む方式(埋め込みサーボ
方式)や、磁気記録面に専用のサーボトラックを設ける
方法等が提案されてきた。特にデータトラックのピッチ
が数十μmになった場合のサーボトラッキング方式とし
て、特公平7−82626号公報においては磁気記録面
に専用のサーボトラックを設け且つ複数のサーボ信号再
生ヘッドによってサーボ信号を読み出してトラッキング
する方式が提案されている。しかしこの方法は、トラッ
ク数の増加に伴いサーボ信号再生ヘッドの数を増やさな
ければならず、それを避ける為にはサーボトラックを増
やさなければならない。このように従来のサーボトラッ
キング方式は、磁気記録面のデータエリアと同じエリア
をサーボトラッキングのためのエリアとして使用するた
め、データエリアの面積が減少してしまうという問題が
ある。特に特公平7−82626号公報記載のサーボト
ラッキング方式では、トラック密度が約30tpmm
(トラック/mm)以上といった高トラック密度になる
とその問題が著しくなる。
【0005】従って、本発明の目的は、データエリアの
面積を減少させることなくサーボトラッキングを行い得
る磁気テープを提供することにある。また、本発明の目
的は、トラック密度が向上した磁気テープを提供するこ
とにある。更に、本発明の目的は、高記録容量を有する
磁気テープを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、磁気テープにおける支持体とバックコート層と
の間に、光反射層と所定形状のパターンを有する中間層
とを形成することにより、磁性層のデータエリアの面積
を減少させることなくサーボトラッキングを行い得るこ
とを知見した。更に、これらの層を形成してもバックコ
ート層本来の機能が損なわれないことも知見した。
【0007】本発明はこれらの知見に基づきなされたも
ので、支持体の一方の面上に磁性層が設けられ、他方の
面上にバックコート層が設けられてなる磁気テープにお
いて、上記支持体と上記バックコート層との間に光反射
層を設けると共に、該光反射層と該バックコート層との
間に、光学的にコントラストを生じさせ得る所定形状の
パターンを有する中間層を設け、該パターンからの光情
報に基づき上記磁性層のデータトラックのサーボトラッ
キングが行われるようになされていることを特徴とする
磁気テープを提供することにより上記目的を達成したも
のである。
【0008】また、本発明は、上記磁気テープを用いた
好ましいトラッキング方法および該磁気テープが使用さ
れる好ましい磁気記録再生装置を提供するものである。
即ち、上記トラッキング方法は、上記磁気テープの上記
パターンに光を照射し、該光の反射光を検出して、該反
射光の強度に基づき記録・再生ヘッドの変位を補正する
か又は上記磁気テープの幅方向への変位を補正して、上
記磁性層におけるデータトラックのトラッキングを行う
ようにしたことを特徴とするものである。また、上記磁
気記録再生装置は、上記磁気テープの上記バックコート
層に対向して設置された光源と、該光源から上記パター
ンに入射した光の反射光を検出する手段と、該反射光の
強度に基づき記録・再生ヘッドの変位を補正するか又は
上記磁気テープの幅方向への変位を補正して、上記磁性
層におけるデータトラックのトラッキングを行う手段と
を具備することを特徴とするものである。
【0009】本明細書において、中間層が所定形状のパ
ターンを有するとは、中間層を平面視したときに、該中
間層がある形状のパターンをなしている場合と、中間層
の表面が平面でなく、ある立体的な形状のパターンを有
している場合との二つの場合を包含している。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、その好ましい実
施形態に基づき図面を参照して説明する。ここで、図1
は、本発明の磁気記録再生装置の要部を示す概略図であ
り、図2は本発明の磁気テープの第1の実施形態の構成
を示す概略図であり、図3は図2に示す磁気テープをバ
ックコート層側からみたときの要部を示す図である。
【0011】図1に示す磁気記録再生装置10は、磁気
ヘッドユニット21、一対の位置決めガイドロール2
2,22’及び並びに順方向用光学ユニット23及び逆
方向用光学ユニット23’を備えている。磁気記録再生
装置10は、磁気テープ1の順方向(図1中、矢印Fで
示す方向)及び逆方向(図1中、矢印Rで示す方向)へ
の走行が可能なようになされている。順方向用光学ユニ
ット23は、磁気ヘッドユニット21に対して順方向F
の下流側に配されている。同様に、逆方向用光学ユニッ
ト23’は、磁気ヘッドユニット21に対して逆方向R
の下流側に配されている。磁気ヘッドユニット21は三
個の磁気ヘッドがテープ走行方向に沿って直線状に並設
されたものから構成されており、中央に記録ヘッド17
が配されている。そして、記録ヘッド7に対して順方向
Fの上流側に順方向用再生ヘッド18が配されていると
共に、逆方向Rの上流側に逆方向用再生ヘッド19が配
されている。また、磁気記録再生装置10は、順方向用
光学ユニット23及び逆方向用光学ユニット23’と電
気的に接続され且つこれらのユニット23,23’で発
生した電気信号に基づき磁気テープ1の幅方向への変位
を判断するサーボトラッキング処理装置24を備えてお
り、更にこのサーボトラッキング処理装置24と電気的
に接続され且つこの装置24からの指令に基づき磁気ヘ
ッドユニット21及び/又は位置決めガイドロール2
2,22’を駆動させるサーボ機構25を備えている。
尚、図示していないが、磁気記録再生装置1には、これ
らの部材の他に、通常の磁気記録再生装置に備えられて
いる各種部材、例えば磁気テープの駆動装置等と同様の
ものが備えられていることはいうまでもない。
【0012】本発明の磁気テープの第1の実施形態につ
いて説明すると、図1に示す磁気記録再生装置10によ
って記録再生が行われる磁気テープ1は、図2に示すよ
うに、支持体2上に下層3が設けられており、下層3に
隣接して最上層としての磁性層4が設けられている。一
方、支持体2の他方の面上にバックコート層5が設けら
れている。そして、支持体2とバックコート層5との間
に光反射層6が設けられており、更に光反射層6とバッ
クコート層5との間に中間層7が設けられている。中間
層7は平面視したときに所定形状のパターンを構成して
いる。即ち、図3に示すように、中間層7は、磁気テー
プ1の長手方向に沿う2本の幅広の連続線状体から構成
されており、磁気テープ1のほぼ全長に亘って形成され
ている。そして、斯かる連続線状体から構成される中間
層7により、磁気テープ1の幅方向中央部には、テープ
長手方向に沿う1本の幅狭の直線状溝部8が形成されて
いる。
【0013】図2に示す磁気テープ1は、サーペンタイ
ン記録方式に用いられるものであり、磁性層4には、磁
気テープ1の走行方向と平行に複数本のデータトラック
が形成されている。この磁気テープ1の使用時には、所
定個数の磁気ヘッドを備えたヘッドユニットを磁気テー
プ1の幅方向に順次移動させてデータトラックの切り替
えを行いながら、各磁気ヘッドにより対応するデータト
ラックに対して記録または再生が行われる。そして、デ
ータトラックの切り替えの際ならびに記録および再生の
際に、各磁気ヘッドが適正なデータトラック上に位置す
るようにサーボトラッキングが行われる。サーボトラッ
キングは、2本の連続線状体から構成される中間層7お
よび該中間層7によって画定される溝部8からのトラッ
キング情報に基づき行われるようになされている。尚、
上述の通り、磁性層4におけるデータトラックも溝部8
と同様に磁気テープ1の長手方向に沿って直線状に形成
されているが、データトラックと溝部8との相対的な位
置関係については特に制限はない。
【0014】中間層7および該中間層7によって画定さ
れる溝部8からのトラッキング情報の読み取り方法に
は、中間層7と溝部8との間で生ずる光学的なコントラ
スト(光情報)を利用した読み取り方法、具体的にはバ
ックコート層5の側から所定波長の光を入射させ、中間
層7からの反射光と溝部8からの反射光との強度の強弱
によるコントラストを利用した読み取り方法がある。斯
かる読み取り方法を用いたサーボトラッキングを行う場
合には、プッシュプル法や3ビーム法等の光サーボ方式
によりサーボトラッキングを行うことができる。プッシ
ュプル法や3ビーム法等の光サーボ方式は、各種光ディ
スクのサーボトラッキングに一般的に用いられている技
術である。
【0015】上記磁気テープ1のサーボトラッキング
を、プッシュプル法を用いた場合を例にとり図4を参照
して説明する。ここで、図4は図1に示す光学ユニット
23の要部を示す図である。尚、以下の説明では、簡便
のために磁気テープ1が順方向に走行する場合、即ち、
順方向用光学ユニット23を用いてサーボトラッキング
が行われる場合についてのみ説明するが、磁気テープ1
が逆方向に走行する場合についても順方向の場合と同様
の説明が適用される。
【0016】図4(a)に示すように、光学ユニット2
3は、光源30、レンズ31、ハーフミラー32及び光
検出器33から構成されている。紙面に対して直角方向
に走行する磁気テープにおけるバックコート層5に対向
して設置された半導体レーザー等の光源30からの光は
レンズ31によって所定径のビーム状に絞られ、ハーフ
ミラー32を通過して、図4(b)に示すように溝部8
に入射する。この際、ビーム径は溝部8の幅Wよりも若
干小さくなされている。溝部8においては光反射層6が
露出しており、光の反射率が高くなされている。従っ
て、溝部8から強い反射光が生じる。この反射光はハー
フミラー32において反射し進行方向が変わり、光検出
器33によってその強度が検出される。反射光の強度は
電気信号に変換されて、サーボトラッキング処理装置2
4に送られる。サーボトラッキング処理装置24(これ
については後述する)は、この状態をオントラックの状
態、即ち、磁気ヘッドが磁性層における所定のデータト
ラック上に適正に位置している状態と判断する。
【0017】一方、図4(c)及び(d)に示すよう
に、光が溝部8にすべて入射せずに、溝部8の左右何れ
かにずれて中間層7にも入射した場合には、中間層7が
遮光率の高い材料から構成されているため、入射光が中
間層7と光反射層6との界面にまで到達しにくく、十分
な反射が行われない。その結果、反射光の強度は図4
(b)に示す場合よりも弱くなる。サーボトラッキング
処理装置24は、これらの状態をオフトラックの状態、
即ち、磁気ヘッドが磁性層における所定のデータトラッ
ク上に適正に位置していない状態と判断する。
【0018】サーボトラッキング処理装置24における
オントラック・オフトラックの判断について詳述する
と、このサーボトラッキング処理装置24では、反射光
のビーム強度の対称性についての処理がなされる。即
ち、ビーム強度が所定のしきい値よりも大きければ、十
分な反射光が生じており光源30からの光が溝部8にす
べて入射していると判断する〔図4(b)〕。この場
合、サーボトラッキング処理装置24は、磁気ヘッドユ
ニット21のサーボ機構25に対してトラッキングの指
令は発しない。一方、ビーム強度がゼロか或いは所定の
しきい値よりも小さく、ビームの中心線に関して左右何
れかに非対称である場合には、光が中間層7にも入射し
ていることになるので、入射光が溝部8の中心線から左
方または右方の何れかの方向にずれて入射していると判
断する〔図4(c)及び(d)〕。この場合、サーボト
ラッキング処理装置24は、ビーム強度の非対称性に基
づき磁気テープが幅方向の何れの方向に変位したかを判
断し、磁気ヘッドユニット21のサーボ機構25及び/
又は位置決めガイドロール22,22’に対して磁気ヘ
ッドユニット21を適正な位置に移動するよう指令を発
する。その結果、該サーボ機構25によってトラッキン
グが行われ、磁気ヘッドユニット21はデータトラック
上の適正な位置に復帰する。尚、このサーボ機構として
は、磁気記録再生装置に通常用いられているものと同様
のものが使用される。
【0019】中間層7の厚みT(図2参照)は、支持体
2の厚みやバックコート層5の厚みにもよるが、0.0
5〜1μmとすることが好ましい。厚みTが0.05μ
mに満たないと溝部8との物理的差異が現れにくく、サ
ーボトラッキングが困難となることがあり、1μmを超
えると、中間層7上のバックコート層5の厚みが溝部8
におけるバックコート層5の厚みよりも相対的に薄くな
る結果、溝部8におけるバックコート層5の表面に窪み
が生じる場合がある。斯かる窪みが生じた磁気テープを
巻回すると、該窪みの形状が磁性層4の表面に転写して
磁性層4の表面性が低下する結果、エラーレートの増加
を招くおそれがある。厚みTの更に好ましい範囲は0.
05〜0.5μmである。
【0020】中間層7間の間隔、即ち溝部8の幅W(図
2及び図3参照)は、情報の読み取り方法等にもよる
が、0.25〜30μmの範囲であると、良好にサーボ
トラッキングが可能となることから好ましい。幅Wの更
に好ましい範囲は0.25〜25μmである。
【0021】所定パターンの中間層7によって画定され
る溝部8は、図3に示すパターンの他、図5に示すよう
に、磁気テープ1の幅方向全域に亘り所定間隔をおいた
複数本の連続な幅狭の直線状パターンからなっていても
よい。或いは、磁気テープ1の幅方向に関して一部分に
のみ、例えば幅方向中央部に所定間隔をおいて複数本存
在していてもよく、また左右何れかの側方部にのみ所定
間隔をおいて複数本存在していてもよい。更には磁気テ
ープ1の幅方向に関して二カ所またはそれ以上の箇所に
所定間隔をおいて存在していてもよい。例えば、左右両
側方部に同一または異なる本数でそれぞれ一本以上、中
央部および左右何れかの側方部に同一または異なる本数
でそれぞれ一本以上、或いは中央部および左右両側方部
に同一または異なる本数でそれぞれ一本以上存在してい
てもよい。そして、これら何れの場合においても、溝部
8の本数は磁性層4におけるデータトラックの本数の整
数分の1であることが好ましい。
【0022】更に、中間層7によって画定される溝部8
はテープ長手方向に平行でなくてもよい。例えば図6に
示すように、テープ長手方向に対して所定の角度θ傾斜
した斜線からなる溝部8がテープ幅方向を横切るように
所定間隔をおいて規則的に配列されていてもよい。
【0023】更に、中間層7によって画定される溝部8
は直線状でなくてもよく、例えば磁気テープ1の長手方
向に沿う一本または複数本の正弦波状の連続なパターン
からなっていてもよい。更に、溝部8は連続でなくても
よく、例えば図7に示すように、磁気テープ1の長手方
向に沿う不連続なパターンからなっていてもよい。
【0024】図7に示す溝部8について説明すると、該
溝部8は中間層7と共に海島構造をなしており、中間層
7が海部に相当し、溝部8が島部に相当している。溝部
8は磁気テープ1の長手方向に関して角度θ°傾斜した
溝部8aと、角度−θ°傾斜した溝部8bとが、磁気テ
ープ1の長手方向に沿って交互に且つ磁気テープの長手
方向に沿う中心線Cに関して対称に形成されたものから
構成されている。角度θの値はサーボトラッキングの位
置決め精度に影響するので、充分な精度を確保するため
に、該角度θの値を5〜85°、特に10〜30°とす
ることが好ましい。溝部8a及び溝部8bの長さは異な
っていてもよく、それぞれ5〜140mm、特に5〜8
0mmであることが好ましい。磁気テープ1の長手方向
に関する溝部8aと溝部8bとの間隔gは、加工上の制
約もあるが、できるだけ小さい方が望ましい。そして、
図7に示す溝部8を用いた場合にも、図2及び図3の場
合と同様のサーボトラッキングを行うことができる。
【0025】次に、本発明の磁気テープの第2の実施形
態を図8及び図9を参照して説明する。ここで、図8
は、本発明の磁気テープの第2の実施形態の構成を示す
概略図(図2相当図)であり、図9は、図8に示す磁気
テープをバックコート層側から見たときの要部を示す図
(図3相当図)である。尚、第2の実施形態について
は、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、同
じ点については特に説明しないが、第1の実施形態に関
して詳述した説明が適宜適用される。図8及び図9にお
いて図2及び図3と同じ部材には同じ符号を付した。
【0026】第2の実施形態の磁気テープが第1の実施
形態の磁気テープと異なる点は、第1の実施形態では、
2つの中間層7が形成されることによって、テープ幅方
向中央部に所定幅の溝部8が形成されていたが、第2の
実施形態においては、図8及び図9に示すように、一方
のテープエッジEからテープ幅方向中央線Cまでの間の
領域に一本の幅広の連続線状体からなる中間層7が形成
されており、残りの領域、即ち、テープ幅方向中央線C
からもう一方のテープエッジE’まで間の領域には中間
層が形成されておらず、中間層非形成部9となされてい
る点である。
【0027】詳細には、図8及び図9に示すように、中
間層7及び中間層非形成部9は何れも同幅となされてお
り、それぞれテープ長手方向に沿う一本の連続な幅広の
直線状パターンをなしている。そして、中間層7と中間
層非形成部9との境界K(この境界Kはテープ幅方向中
央線Cと同位置にある)から得られるトラッキング情報
に基づき磁性層4のデータトラックのサーボトラッキン
グが行われるようになされている。尚、第1の実施形態
の場合と同様に、境界Kの位置と磁性層4におけるデー
タトラックとの相対的な位置関係については特に制限は
ない。
【0028】中間層7と中間層非形成部9との境界Kか
ら得られるトラッキング情報の読み取り方法としては第
1の実施形態に関して詳述した方法と同様の方法を用い
ることができる。トラッキング情報の読み取り方法とし
て、反射光の強度の強弱によるコントラストを利用した
読み取り方法を、図10を参照して説明する。ここで、
図10は、第2の実施形態の磁気テープにおけるトラッ
キング情報の読み取りに用いられる光学ユニットの要部
を示す図(図4相当図)である。
【0029】本実施形態におけるトラッキング情報の読
み取りも、バックコート層5に入射した光の反射光の強
度を検出することによって行われる。図10(a)に示
すように、半導体レーザー等の光源30からの光はレン
ズ31によって所定径のビーム状に絞られ、ハーフミラ
ー32を通過して、バックコート層5に入射する。この
場合、第1の実施形態の場合と同様に、中間層非形成部
9の反射率は中間層7の反射率よりも高くなるようにな
されている。従って、図10(b)に示すように、光が
中間層7と中間層非形成部9との境界Kに入射した場合
には、反射光の強度は、中間層7からの反射光の強度と
中間層非形成部9からの反射光の強度との中間の値にな
る。一方、図10(c)に示すように光が中間層7にす
べて入射した場合には、その反射光の強度は図10
(b)に示す場合よりも小さくなり、逆に図10(d)
に示すように光が中間層非形成部9にすべて入射した場
合には、その反射光の強度は図10(b)に示す場合よ
りも大きくなる。このように、光が入射する位置によっ
て反射光の強度が連続的に変化し、その強度は光検出器
33によって検出される。光検出器33で検出された反
射光の強度は電気信号に変換されて、サーボサーボトラ
ッキング処理装置24に送られる。サーボトラッキング
処理装置24は、電気信号の値に応じて、磁気ヘッドが
磁性層における所定のデータトラック上に適正に位置し
ているか否かを判断し、磁気ヘッドが所定のデータトラ
ック上に適正に位置していないと判断した場合にはサー
ボ機構25に対してサーボトラッキングを行うよう指令
を発する。
【0030】次に、本発明の磁気テープの第3の実施形
態を図11を参照して説明する。ここで、図11は、本
発明の磁気テープの第3の実施形態の構成を示す概略図
(図2相当図)である。尚、第3の実施形態について
は、第1及び第2の実施形態と異なる点についてのみ説
明し、同じ点については特に説明しないが、第1及び第
2の実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。
図11において図2と同じ部材には同じ符号を付した。
【0031】本実施形態の磁気テープが第1及び第2の
実施形態の磁気テープと異なる点は、第1及び第2の実
施形態の磁気テープでは、中間層を平面視したときに、
該中間層がある形状のパターンを構成していたのに対
し、本実施形態の磁気テープでは、中間層は平面視して
所定のパターンを構成するものではなく、代わりに、中
間層の表面が平面でなく立体的な形状となっており、斯
かる形状により所定のパターンが形成されている点であ
る。
【0032】詳述すると、図11に示すように、中間層
7は光反射層6の全面を被覆するように形成されている
と共に、その表面(即ち、バックコート層5との界面)
が凹凸形状となっている。従って、本実施形態の磁気テ
ープは、第1及び第2実施形態の磁気テープと異なり、
バックコート層5と光反射層6とが直接接していない。
凸部7’は、テープ長手方向に沿う幅広の直線状パター
ンとなっており、2本形成されている。一方、凹部7”
は2本の凸部7’,7’間に位置しており、テープ長手
方向に沿う幅狭の直線状パターンとなっている。凸部
7’及び凹部7”は何れもテープ長手方向全域に亘って
形成されている。
【0033】本実施形態の磁気テープにおけるサーボト
ラッキングの方法は第1の実施形態の磁気テープのそれ
と同様である。即ち、第1の実施形態の磁気テープにお
いては、中間層7からの反射光と溝部8からの反射光と
の強度の差を利用してサーボトラッキングが行われる
が、これと同様に本実施形態の磁気テープについても、
凸部7’からの反射光と凹部7”からの反射光との強度
の差を利用してサーボトラッキングが行われる。詳細に
は、本実施形態の磁気テープにおける中間層7は、第1
の実施形態の磁気テープにおける中間層と同様に、遮光
性の高い材料から構成されているので、中間層7におけ
る凸部7’と凹部7”とで厚みが異なることに起因して
両者の反射光の強度が異なる。具体的には厚みの小さい
凹部7”からの反射光の方が、凸部7’からの反射光よ
りも強度が高くなる。つまり、本実施形態における凹部
7”は第1の実施形態における溝部8に相当し、一方、
本実施形態における凸部7’は第1の実施形態における
中間層7に相当している。その結果、本実施形態の磁気
テープは、第1の実施形態の磁気テープと同様のサーボ
トラッキングが行われる。
【0034】本実施形態の磁気テープにおける中間層7
の厚みT(即ち、凸部7’の厚み、図11参照)は第1
及び第2の実施形態と同様である。また、凹部7”の幅
Wは、第1の実施形態における溝部8の幅Wと同様であ
り、凹部7”の深さdは、中間層7の厚み(即ち凸部
7’の厚み)Tの5〜99%、特に10〜90%である
ことが好ましい。凹部7”の深さdが斯かる範囲内であ
れば、凸部7’からの反射光と凹部7”からの反射光と
の光学的コントラストが、精密なサーボトラッキングを
行うのに十分となる。また、磁性層4への転写の問題も
生じない。
【0035】次に、第1〜第3の実施形態における中間
層7、バックコート層5及び光反射層6についてそれぞ
れ説明する。
【0036】中間層7は、光学的コントラストを十分に
得るために、遮光性の高い材料から構成されていること
が好ましい。また、形成および加工が容易な材料から形
成されていることも好ましい。これらの点から、中間層
は、結合剤中に遮光性材料が分散されて形成されている
ことが好ましい。遮光性材料としては、黒色系粉末、例
えばカーボンブラック等が好ましく用いられる。一方、
結合剤としては、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及
び反応型樹脂並びにこれらの混合物などが挙げられる。
具体的には、塩化ビニルの共重合体及びその変成物、ア
クリル酸、メタクリル酸及びそのエステルの共重合体、
アクリロニトリルの共重合体(ゴム系の樹脂)、ポリエ
ステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、繊維素
系樹脂、ポリアミド樹脂などを使用できる。結合剤の数
平均分子量は2,000〜200,000であることが
好ましい。上記遮光性材料の分散性を向上させるため
に、上記結合剤に水酸基、カルボキシル基またはその
塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、ニ
トロ基または硝酸エステル基、アセチル基、硫酸エステ
ル基またはその塩、エポキシ基、ニトリル基、カルボニ
ル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルアンモニ
ウム塩基、スルホベタイン、カルボベタインなどのベタ
イン構造などの分極性の官能基(いわゆる極性基)を含
有させてもよい。結合剤は、上記遮光性材料100重量
部に対して、25〜900重量部、特に60〜500重
量部配合されることが好ましい。また、中間層7に従来
公知の潤滑剤や硬化剤を配合させてもよい。
【0037】第1及び第2の実施形態の磁気テープのよ
うに、中間層7が、平面視して所定形状のパターンを構
成する場合には、該中間層は例えばレーザー加工や印刷
により形成されることが好ましい。一方、第3の実施形
態のように、中間層7の表面に所定のパターンが形成さ
れている場合には、該中間層は例えばエンボス加工やレ
ーザー加工により形成されることが好ましい。
【0038】前者の例としてレーザー加工を用いた場合
について、図2及び図3に示す磁気テープの中間層の形
成方法を図12を参照して説明すると、先ず、上述した
成分が溶剤中に溶解・分散されてなる中間層塗料を光反
射層6の全面に塗布し乾燥させたウエブを作製する。次
いで図12に示すように、図中、矢印A方向に所定速度
で走行する上記ウエブ1’の中間層7に向けて、レーザ
ー光源40からレーザービーム41を照射し、このレー
ザービーム41のエネルギーによって中間層7を破壊し
て、光反射層6が露出するようにし、溝部8を形成す
る。この際、レーザービーム41のビーム径をコントロ
ールすることによって溝部8の幅を調節することができ
る。ビーム径は0.25〜30μm、特に0.25〜2
5μmであることが好ましい。また、出力は0.02〜
5W、特に0.1〜1Wであることが好ましい。溝部8
の形成の際には、図示していないが、ウエブ1’におけ
る何れかのエッジを所定の手段によって規制し、ウエブ
幅方向の走行振れが起こらないようにして、テープエッ
ジから溝部8までの距離が一定になるようにすることが
好ましい。
【0039】上記レーザー加工に代えて印刷を用いる場
合には、各種印刷方法、例えばグラビア印刷やフレキソ
印刷等が特に制限無く用いられる。これらの印刷方法は
公知であり、例えば「印刷工学便覧」(財団法人 日本
印刷学会編、1983年発行)、「機械工学便覧」エン
ジニアリング編 C1産業機械の装置(日本機械学会編、
昭和63年11月25日発行)、「コーティング工学」
(原崎勇次著、昭和46年3月20日発行)等に記載さ
れているので、ここでは特に説明しない。これらの印刷
方法のうち、特に精密な印刷が可能であることから、レ
ーザー等で高精度に彫刻されたグラビアロールを用いた
グラビア印刷等が好ましい。
【0040】後者の例として、エンボス加工を用いた場
合について、図11に示す磁気テープの中間層の形成方
法を図13を参照して説明すると、先ず、上記中間層塗
料を光反射層6の全面に塗布し乾燥させたウエブを作製
する。次いで図13に示すように、回転方向に沿って突
条52が形成されたロール面を有するエンボスロール5
0と平滑ロール51との間に、上記ウエブ1’を矢印A
方向に向かって通す。この場合、ウエブ1’における中
間層7の面がエンボスロール50のロール面に当接する
ようにする。両ロール50,51からの押圧によって、
中間層7には、突条52に対応する凹部7”が形成さ
れ、それ以外の部分が凸部7’となる。そして、突条5
2の幅および高さ、ロールの線圧等をコントロールする
ことによって、凹部7”の深さd及び幅Wを調節するこ
とができる。突条52の幅は、1.0〜30μm、特に
1.5〜25μmであることが好ましく、高さは0.0
8〜0.5μm、特に0.08〜0.35μmであるこ
とが好ましい。また、ロールの線圧は50〜300kg
/cm、特に50〜120kg/cmであることが好ま
しい。凹部7”の形成の際には、上述のレーザー光加工
の場合と同様の手段を用いて、テープエッジから凹部
7”までの距離が一定になるようにすることが好まし
い。
【0041】上記エンボス加工に代えてレーザー加工を
用いる場合には、上述した溝部形成に用いられるレーザ
ー加工を用いることができる。但し、この場合には溝部
の形成と異なり、中間層をその表面から所定の深さまで
除去して凹部を形成するようにする。
【0042】バックコート層5には、通常の磁気テープ
におけるバックコート層の機能が当然に必要とされる。
従って、バックコート層5は、通常のバックコート層と
同様に、結合剤を主体として形成されている。結合剤と
しては、中間層に用いられるものと同様のものが用いら
れる。更に、磁気テープ1の走行性や耐久性を高めるた
めに潤滑剤が含有されていてもよい。潤滑剤としては一
般に脂肪酸及び脂肪酸エステルが用いられる。脂肪酸と
しては、例えば、炭素数8〜30の直鎖又は分岐のもの
が使用でき、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、
パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノ
レン酸、オレイン酸が好適である。一方、脂肪酸エステ
ルとしては、例えば、上記脂肪酸のアルキルエステル等
が挙げられ、総炭素数12〜36のものが好ましい。潤
滑剤は、上記結合剤100重量部に対して好ましくは
0.5〜20重量部配合される。更に、バックコート層
5の塗膜強度を高めるために、上記結合剤の硬化剤が含
有されていてもよい。硬化剤としては、一般に、日本ポ
リウレタン工業(株)製のコロネートL(商品名)に代
表されるイソシアネート系硬化剤やアミン系硬化剤が用
いられる。硬化剤は、上記結合剤100重量部に対して
好ましくは10〜80重量部、更に好ましくは15〜3
0重量部、一層好ましくは15〜20重量部配合され
る。
【0043】サーボトラッキングを確実にするために、
バックコート層5側から中間層7に入射した光(第1及
び第2の実施形態の場合)又は凸部7’(第3の実施形
態の場合)に入射した光の反射率を低くする共に(以
下、当該部分を低反射率部という)、中間層7が形成さ
れていない部分に入射した光(第1及び第2の実施形態
の場合)又は凹部7”(第3の実施形態の場合)に入射
した光の反射率を高くすること(以下、当該部分を高反
射率部という)が好ましい。そして、高反射率部の反射
率/低反射率部の反射率の値が2以上、特に2.5以上
であると、反射光のS/N比が十分でトラッキング精度
が良好となるので好ましい。更には、高反射率部に入射
した光の反射率を10%以上、特に20%以上とし、低
反射率部に入射した光の反射率を15%以下、特に10
%以下とすることが好ましい。尚、本明細書において、
光反射率の値は、サーボトラッキングに用いられる光の
波長において測定された値である。
【0044】また、バックコート層5は以下の性状であ
ることが好ましい。 (1)サーボトラッキングに用いられる中間層7のパタ
ーンの、磁性層4への転写防止のため、中心線平均粗さ
Raが5〜50nm、特に7〜30nmであること。 (2)同様の目的のため、十点平均粗さRzが40〜2
50nm、特に50〜200nmであること。 (3)帯電防止のため、表面電気抵抗が1×109 Ω/
□以下であること。 (4)上述した反射率が得られる程度の透明性を有する
こと。
【0045】上記(1)及び(2)の性状が満たされる
ためには、バックコート層5に、球状もしくは無定形で
平均粒子径が1〜50nmの無機粉末(以下、粉末A1
という)又は針状で短軸長が1〜50nmの無機粉末
(以下、粉末A2 という)と、平均粒子径が50〜70
0nmの無機粉末(以下、粉末Bという)とを含む二種
以上の無機粉末を含有させることが好ましい。粉末A1
又は粉末A2 と粉末Bとの混合比率(重量比)は10
0:0.1〜100:20、特に100:0.2〜10
0:15であることが好ましい。これら粉末A1 、粉末
2 及び粉末Bの総量は、上記結合剤100重量部に対
して50〜800重量部、特に100〜700重量部で
あることが好ましい。
【0046】上記無機粉末としては、例えば特開平9−
35246号公報の第6欄3行目〜14行目に記載のも
のの他、非磁性のMn含有酸化鉄、アンチモンドープ酸
化錫(ATO)、インジウムドープ酸化錫(ITO)、
酸化インジウム、SiO2 及びアルキル変性シリコーン
樹脂粒子などが挙げられる。
【0047】上記(3)の性状が満たされるためには、
バックコート層5に、導電性の無機粉末を含有させるこ
とが好ましい。斯かる導電性の無機粉末としては、上述
した無機粉末のうち、カーボンブラック、非磁性のMn
含有酸化鉄、ATO、ITO及び酸化インジウム等が好
ましい。特に、上記(3)の性状に加えて(4)の性状
をも満たす目的で、導電性の無機粉末として非磁性のM
n含有酸化鉄、ATO、ITO及び酸化インジウムを用
いることが好ましい。導電性の無機粉末の大きさは、上
述した粉末A1 又は粉末A2 の大きさと同様の範囲が好
ましい。導電性の無機粉末は、上記結合剤100重量部
に対して10〜800重量部、特に30〜700重量
部、更には50〜700重量部配合されることが好まし
い。
【0048】上記(4)の性状が満たされるためには、
非黒色系粉末を、バックコート層5に配合される各種粉
末の主成分として使用することが好ましい。但し、十分
な透明性、ひいては上述した程度の反射率が確保できる
範囲においてカーボンブラック等の黒色系粉末を併用す
ることは妨げられない。該非黒色系粉末の大きさは、上
述した粉末A1 若しくは粉末A2 又は粉末Bの大きさと
同様の範囲であればよい。
【0049】バックコート層5は、上述の各成分が溶剤
に分散されてなるバックコート塗料を塗布することによ
って形成されている。このバックコート塗料を塗布して
形成されるバックコート層5の厚さB(図2参照)は、
中間層7の厚みや、磁性層4及び中間層3の合計厚さと
のバランス等を考慮して0.1〜0.8μm、特に0.
1〜0.6μmとすることが好ましい。特に、バックコ
ート層5の厚みBと中間層7の厚みTとの比(前者/後
者)を2〜120、とりわけ10〜60とすることが、
溝部8に窪みが生ずることを効果的に防止し得る点から
好ましい。
【0050】光反射層6は光反射率の高い材料から構成
されている。該材料としては、金属、合金もしくは半金
属またはその全部もしくは一部が酸化膜、炭化膜からな
って材料等が挙げられる。特に反射率の高い材料として
は、金属としてアルミニウム、亜鉛、銅、すず、ニッケ
ル、銀およびコバルト等が挙げられ、合金としてこれら
の金属を含む任意の合金が挙げられる。本発明の効果を
逸脱しない範囲であれば、金属の一部または全部をケイ
素、ゲルマニウム、ヒ素、スカンジウム及びアンチモン
等の半金属などに置き換えることができる。また、上記
金属、合金または半金属に対して酸化反応または炭化反
応等を行い一部または全部を酸化膜または炭化膜などの
ようにセラミックス化させた材料を用いることもでき
る。更に、これらの物質からなる光反射層6に添加物を
ドープして、その導電率等を向上させることも好まし
い。
【0051】光反射層6の形成方法に特に制限は無く、
公知の薄膜形成手段が適宜選択されて用いられる。薄膜
形成手段としては、蒸着型磁気テープやハードディスク
等の製造に用いられる真空蒸着法、スパッタリング法、
イオンプレーティング法等が挙げられ、生産性の高さか
ら真空蒸着法が好適に用いられる。このようにして形成
される光反射層6の厚みは、0.001〜0.1μm、
特に0.01〜0.05μmであることが好ましい。
【0052】次に、本発明の磁気テープにおける一般事
項について説明する。
【0053】図2、図8及び図11に示す磁気テープ1
においては、磁性層4は、強磁性粉末および結合剤を含
む磁性塗料を塗布することにより形成されている。即
ち、上記磁気テープ1は塗布型の磁気テープである。
【0054】上記強磁性粉末としては、特開平9−35
246号公報3欄2行目〜第4欄24行目記載のものが
使用できる。例えば針状または紡錘状の強磁性粉末およ
び板状の強磁性粉末を用いることができる。該針状また
は紡錘状の強磁性粉末としては、鉄を主体とする強磁性
金属粉末や、強磁性酸化鉄系粉末などが挙げられる。一
方、該板状の強磁性粉末としては、強磁性六方晶系フェ
ライト粉末などが挙げられる。
【0055】強磁性金属粉末としては、金属分が40重
量%以上であり、該金属分の40%以上が鉄である強磁
性金属粉末が挙げられる。また、強磁性酸化鉄系粉末と
しては、γ−Fe2 3 、Co被着γ−Fe2 3 、C
o被着FeOx (4/3≦x<1.5)などが挙げられ
る。これら強磁性粉末は、その長軸長が0.03〜0.
2μm、特に0.05〜0.16μmであることが好ま
しく、針状比(即ち、長軸長/短軸長)が3〜15、ま
た、その保磁力(Hc)は125〜200kA/mが好
ましく、その飽和磁化(σs)は110〜170Am2
/kgであることが好ましい。また、これら強磁性粉末
のBET比表面積は40〜70m2 /gであることが好
ましい。
【0056】強磁性六方晶系フェライト粉末としては、
例えば特開平9−35246号公報の第4欄1〜5行に
記載の微小平板状フェライト粉末が挙げられる。該強磁
性六方晶系フェライト粉末は、その板径が10〜90n
m、とりわけ10〜40nmであることが好ましく、板
状比(板径/板厚)が2〜7、特に2〜5であることが
好ましい。その保磁力(Hc)は135〜260kA/
mであることが好ましく、その飽和磁化(σs)は27
〜72Am2 /kgであることが好ましい。また、強磁
性六方晶系フェライト粉末のBET比表面積は30〜7
0m2 /gであることが好ましい。
【0057】上記強磁性粉末には、必要に応じて希土類
元素や遷移金属元素を含有させることができる。更に、
上記強磁性粉末には、その分散性などを向上させるため
に、例えば特開平9−35246号公報の第4欄9〜2
4行に記載の表面処理を施してもよい。
【0058】上記結合剤としては、中間層7の形成に用
いられる結合剤として例示したものと同様のものを用い
ることができる。従って、該結合剤の詳細については特
に説明しないが、中間層7に関して詳述した説明が適宜
適用される。該結合剤は、上記強磁性粉末100重量部
に対して10〜40重量部、特に15〜25重量部配合
されることが好ましい。
【0059】磁性層4は、上述の成分に加えて、研磨材
粒子、カーボンブラック、潤滑剤、硬化剤等を含んでい
てもよい。
【0060】研磨材粒子としては、例えばアルミナ、シ
リカ、ZrO2 、Cr2 3 等のモース硬度が7以上の
物質の粉末が好ましく用いられる。該研磨材粒子の一次
粒径は、走行時の摩擦係数の低下および走行耐久性の向
上の点から0.03〜0.6μmであることが好まし
く、0.05〜0.3μmであることが更に好ましい。
上記研磨材粒子は、上記強磁性粉末100重量部に対し
て、2〜20重量部、特に5〜15重量部配合されるこ
とが好ましい。
【0061】潤滑剤および硬化剤としては、中間層7の
形成に用いられるものと同様のものを用いることができ
る。また、カーボンブラックとしては一次粒径が15〜
80nm、特に17〜40nmのものを用いることが好
ましい。上記潤滑剤は、上記強磁性粉末100重量部に
対して、0.5〜10重量部、特に0.5〜5重量部配
合されることが好ましい。上記硬化剤は、上記強磁性粉
末100重量部に対して、1〜6重量部、特に2〜5重
量部配合されることが好ましい。上記カーボンブラック
は上記強磁性粉末100重量部に対して、0.1〜10
重量部、特に0.1〜5重量部配合されることが好まし
い。
【0062】磁性層4には、上述の成分の他に、磁気テ
ープに通常用いられている分散剤、防錆剤、防黴剤等の
各種添加剤を必要に応じて添加することもできる。
【0063】磁性層4の保磁力は十分な記録再生特性を
付与し得る点から110〜280kA/mであることが
好ましい。また、磁性層4の飽和磁束密度は、0.1〜
0.5Tであることが好ましい。
【0064】磁性層4の厚さは、S/Nの向上や自己減
磁の防止の点から0.1〜3μmであることが好まし
く、更に好ましくは0.1〜2μmである。
【0065】次に、下層3について説明する。下層3
は、磁性を有する層であってもよく、非磁性の層であっ
てもよい。下層3が磁性を有する層である場合には、該
下層3は磁性粉末を含有する磁性の層であり、磁性粉
末、非磁性粉末、結合剤および溶剤を主成分とする磁性
の塗料を用いて形成される。一方、下層3が非磁性の層
である場合には、該下層5は非磁性粉末、結合剤および
溶剤を主成分とする非磁性の塗料を用いて形成される
(以下、これらの塗料を総称して「下層塗料」とい
う)。
【0066】上記磁性粉末としては、強磁性粉末が好ま
しく用いられ、該強磁性粉末としては硬磁性粉末および
軟磁性粉末の何れもが好ましく用いられる。上記硬磁性
粉末としては、例えば、磁性層4に用いられるものと同
様のものが使用できる。これらのうち、強磁性六方晶系
フェライト粉末を用いることが特に好ましい。これらの
磁性粉末の詳細については、磁性層4に用いられる強磁
性粉末と同様である。一方、上記軟磁性粉末としては、
酸化物軟磁性粉末や金属軟磁性粉末を使用することがで
きる。
【0067】非磁性粉末としてはモース硬度6未満の無
機物の粉末が好適に用いられ、その例としては、特開平
9−35246号公報の第9欄44行〜第10欄5行に
記載のもの等が挙げられる。これらの中でも非磁性の酸
化鉄(ベンガラ)、酸化チタン、窒化ホウ素などが好ま
しく用いられる。これら非磁性粉末は単独で又は二種以
上を混合して用いてもよい。上記非磁性粉末の形状は、
球状、板状、針状、無定形の何れでもよい。その大きさ
は球状、板状、無定形のものにおいては5〜200nm
であることが好ましく、針状のものにおいては長軸長が
20〜300nmで針状比が3〜20であることが好ま
しい。上記非磁性粉末は、上記磁性粉末と併用される場
合(即ち、下層3が磁性の層の場合)には、該磁性粉末
100重量部に対して、好ましくは30〜70重量部、
更に好ましくは40〜60重量部用いられる。一方、上
記磁性粉末が用いられない場合(即ち、下層3が非磁性
の層の場合)には、該非磁性粉末100重量部に基づい
て他の成分の配合量が決定される。上述した各種非磁性
粉末には、必要に応じて、上記磁性粉末に施される表面
処理と同様の処理を施してもよい。
【0068】下層3は、磁性であると非磁性であるとを
問わず、上述した成分に加えて結合剤を含み、更に研磨
材粒子、潤滑剤、カーボンブラックおよび硬化剤等を含
んでいてもよい。これらの成分としては、特に説明しな
いが、中間層7及び磁性層4に用いられる成分と同様の
ものが用いられる。これらの成分の好ましい配合量は、
上記磁性粉末および非磁性粉末の合計量100重量部
(下層3が磁性の層である場合)または該非磁性粉末1
00重量部(下層3が非磁性の層である場合)に対し
て、それぞれ以下の通りである。 ・結合剤:5〜40重量部、特に10〜30重量部 ・研磨材粒子:3〜30重量部、特に5〜15重量部 ・潤滑剤:1〜20重量部、特に2〜10重量部 ・カーボンブラック:0.5〜30重量部、特に3〜2
5重量部 ・硬化剤:1〜12重量部、特に1〜8重量部 また、下層3には、必要に応じて磁性層4に配合される
添加剤と同様のものを配合することもできる。
【0069】下層3の厚さは、磁気テープ1の耐久性に
影響する潤滑剤の保持能力を制御する点から、ある程度
の厚みが必要であり、一方、厚すぎると変形時にクラッ
クが発生しやすくなることから、0.5〜10μm、特
に0.1〜3μmであることが好ましい。
【0070】下層3が磁性を有する層である場合、その
保磁力は、オーバライト特性及び低域〜高域での出力バ
ランスの点から、80〜350kA/mであることが好
ましい。また、その飽和磁束密度は、高すぎるとオーバ
ライト特性が悪化してノイズ量が増加し、一方、低すぎ
ると出力が不足する点から、0.02〜0.1Tである
ことが好ましい。
【0071】支持体2を構成する材料としては、特開平
9−35246号公報の第2欄30〜42行に記載のも
の等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み
合わせて用いることができる。これらの材料から構成さ
れる上記支持体には、必要に応じて一軸または二軸の延
伸処理や、コロナ放電処理、易接着処理等が施されてい
てもよい。支持体2の厚さには特に制限はないが、本発
明の磁気テープは特に高容量の磁気テープに適したもの
であることから、支持体2は薄い方が好ましく、具体的
には1〜13μm、特に1〜8μmであることが好まし
い。
【0072】次に図2、図8及び図11に示す実施形態
の磁気テープを製造するための好ましい方法の概略を説
明する。まず、支持体2上に磁性層4を形成する磁性塗
料と下層3を形成する下層塗料とを、各層が所定の厚さ
となるようにウエット・オン・ウエット方式により同時
重層塗布を行い、磁性層4および下層3の塗膜を形成す
る。即ち、磁性層4は、下層3の湿潤時に塗設・形成さ
れることが好ましい。次いで、これらの塗膜に対して、
磁場配向処理を行った後に乾燥処理を行い巻き取る。こ
の後、カレンダー処理を行い、更に支持体2の裏面上に
光反射層6を形成し、更にその上に所定形状のパターン
を有する中間層7を上述した方法により形成する。その
上にバックコート塗料を塗布してバックコート層5を形
成する。あるいは光反射層6、中間層7及びバックコー
ト層5を形成した後に下層3及び磁性層4を形成しても
よい。次いで、40〜80℃下で6〜100時間エージ
ング処理し、所望の幅にスリットして磁気テープ1を得
る。具体的な製造方法は、特開平9−35246号公報
の第11欄5行〜第12欄7行に記載の方法に準じるこ
とが好ましい。
【0073】尚、磁気テープ1の製造に際しては、必要
に応じ、磁性層4の表面の研磨やクリーニング工程等の
仕上げ工程を施すこともできる。また、磁性塗料および
下層塗料の塗布は、通常公知の逐次重層塗布方法により
行うこともできる。
【0074】以上、本発明の磁気テープをその好ましい
実施形態に基づき説明したが、本発明は、上記実施形態
に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において
種々の変更が可能である。例えば、第1の実施形態にお
いては、磁気テープ1の長手方向に沿う一本または複数
本の連続な溝部と、磁気テープ1の長手方向に沿う不連
続な溝部とを組み合わせて用いてもよい。また、図5に
おいては、隣り合う中間層7の間隔を、規則的に増加ま
たは減少するように変化させてもよい。また、溝部8と
して、平面視して円形や楕円形もしくはその他の形状の
パターン又はこれらのパターンの任意の組み合わせを用
いてもよい。また、図2、図8及び図11に示す磁気テ
ープ1において、支持体2と下層3との間もしくは支持
体2と光反射層6との間、又は光反射層6と中間層7と
の間にプライマー層を設けてもよい。また、図3、図
5、図6及び図7においては、中間層7と溝部8との位
置関係が逆になっていてもよい。例えば、図3に対し
て、図14のような関係になっていてもよい。また、図
9においては、境界Kとテープ幅方向中心線Cとが同位
置にあるが、これに代えて境界Kの位置を、テープ幅方
向中心線Cから何れかのテープエッジE,E’の方向へ
ずらしてもよい。更に、同図においては、中間層7及び
中間層非形成部9による幅広の直線状パターンがそれぞ
れ一本ずつ形成されているが、更に好ましい形態とし
て、中間層7及び中間層非形成部9による直線状パター
ンをそれぞれ一本以上形成し且つこれらの合計本数を3
〜5本程度にする(例えば図12及び図13に示すよう
な形態にする)と、トラッキング精度の一層の向上が期
待できる。また、第3の実施形態の磁気テープにおける
中間層7の凹凸形状は、図11に示すものに限られず、
他の形状を用いることもできる。例えば、第1及び第2
の実施形態に関して上述した説明において、中間層を凸
部に置き換え且つ溝部または中間層非形成部を凹部に置
き換えた形状のものを用いることができる。具体的に
は、図8に示す第2の実施形態の磁気テープにおける中
間層7を凸部7’に置き換え且つ中間層非形成部9を凹
部7”に置き換えた形状を有する図17に示す磁気テー
プを用いることもできる。また、上述した実施形態は塗
布型の磁気テープであるが、これに代えて金属蒸着型の
磁気テープを用いても同等の効果が奏される。
【0075】
【実施例】以下、実施例により本発明の磁気テープを更
に詳細に説明すると共にその有効性を例証する。しかし
ながら、本発明は斯かる実施例に限定されるものではな
い。尚、特に断らない限り、「部」は重量部を意味す
る。
【0076】〔実施例1〕下記の配合成分を(硬化剤を
除く)を、それぞれニーダーにて混練し、次いで撹拌器
にて分散し、更にサンドミルによって微分散し、1μm
のフィルターにて濾過後、硬化剤を最後に添加して下記
組成のバックコート塗料A、中間層塗料、磁性塗料およ
び下層塗料をそれぞれ調製した。
【0077】 <バックコート塗料A> ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 50部 〔日本ポリウレタン工業(株)製、「ニッポラン2301」(商品名)〕 ・ニトロセルロース(結合剤) 30部 〔旭化成工業社製、「Celnova BTH 1 /2 」(商品名)〕 ・カーボンブラック(一次粒径18nm) 5部 ・Mn−ヘマタイト(一次粒径100nm、非磁性) 25部 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 18部 〔武田薬品工業社製、「D-250N」(商品名)〕 ・銅フタロシアニン 5部 ・ステアリン酸(潤滑剤) 1部 ・メチルエチルケトン(溶剤) 150部 ・トルエン(溶剤) 150部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 150部
【0078】 <中間層塗料> ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 50部 〔日本ポリウレタン工業(株)製、「ニッポラン2301」(商品名)〕 ・ニトロセルロース(結合剤) 30部 〔旭化成工業社製、「Celnova BTH 1 /2 」(商品名)〕 ・カーボンブラック(一次粒径18nm) 50部 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 18部 〔武田薬品工業社製、「D-250N」(商品名)〕 ・銅フタロシアニン 5部 ・ステアリン酸(潤滑剤) 1部 ・メチルエチルケトン(溶剤) 150部 ・トルエン(溶剤) 150部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 150部
【0079】 <磁性塗料> ・強磁性粉末 100部 (鉄主体の針状強磁性金属粉末、長軸長80nm、保磁力183kA/m、飽和 磁化145Am2 /g、BET比表面積55m2 /g) ・塩化ビニル系共重合体(結合剤) 10部 〔日本ゼオン社製、「MR104」(商品名)〕 ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 10部 〔東洋紡社製、「UR8300」(商品名)〕 ・カーボンブラック(一次粒径30nm) 0.5部 ・α−アルミナ(研磨材粒子、一次粒径200nm) 10部 ・ミリスチン酸(潤滑剤) 2部 ・ブチルステアレート(潤滑剤) 0.5部 ・イソシアネート系化合物(硬化剤) 2部 〔日本ポリウレタン工業(株)製、「コロネートL」(商品名)〕 ・メチルエチルケトン(溶剤) 250部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 100部
【0080】 <下層塗料> ・針状のα−Fe2 3 (長軸長0.15μm、針状比7)100部 ・塩化ビニル系共重合体(結合剤) 10部 〔日本ゼオン社製、「MR104」(商品名)〕 ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 15部 〔東洋紡社製、「UR8300」(商品名)〕 ・α−アルミナ(研磨材粒子、一次粒径200nm) 3部 ・カーボンブラック(一次粒径20nm) 5部 ・ミリスチン酸(潤滑剤) 2部 ・ブチルステアレート(潤滑剤) 2部 ・イソシアネート系化合物(硬化剤) 5部 〔日本ポリウレタン工業(株)製、「コロネートL」(商品名)〕 ・メチルエチルケトン(溶剤) 150部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 50部
【0081】厚さ6μm、幅12.7mmのポリエチレ
ンテレフタレートフィルムからなる支持体上に、下層塗
料および磁性塗料を、下層および磁性層の乾燥厚さがそ
れぞれ1.5μm及び0.2μmとなるように、ダイコ
ーターにて同時重層塗布を行い、それぞれの塗膜を形成
した。次いで、これらの塗膜が湿潤状態にある間に40
0kA/mのソレノイドにより磁場配向処理を行った。
更に、乾燥炉にて80℃の温風を10m/分の速度で塗
膜に吹きつけ乾燥した。乾燥後、塗膜をカレンダー処理
し、下層および磁性層を形成した。引き続き、支持体の
反対の面上にアルミニウムからなる厚さ0.03μmの
光反射層を真空蒸着法により形成した。この光反射層の
全面に上記中間層塗料を塗布し乾燥させることによって
厚さ0.2μmの中間層を形成した。次に、図12に示
すレーザー加工装置を用い、テープの幅方向中央部に連
続した一本の幅狭の帯状の溝部が形成されるようにレー
ザー光を照射した。形成された溝部の幅W(図2参照)
は100μmであった。次に、中間層および溝部を被覆
するように上記バックコート塗料を塗布し、更に90℃
にて乾燥し厚みB(図2参照)が0.5μmであるバッ
クコート層を形成し、図2及び図3に示す磁気テープを
得た。
【0082】〔実施例2〜4〕実施例1における溝部の
幅Wを表1に示す通りとし且つバックコート塗料として
表1に示すものを用いる以外は実施例1と同様にして磁
気テープを得た。尚、表1に示すバックコート塗料B及
びCの詳細は下記の通りである。
【0083】 <バックコート塗料B> ・針状のα−Fe2 3 100部 (平均粒子径(長軸長):0.12μm、短軸長:12nm、針状比:10、B ET比表面積:48m2 /g) ・シリコーン粒子(平均粒子径:0.5μm) 3部 〔東芝シリコーン(株)製、商品名「トスパール105」〕 ・リン酸エステル(潤滑剤) 3部 〔東邦化学(株)製、ホスファノールRE610(商品名)〕 ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 28部 〔数平均分子量25000、スルホン酸基含有量:1.2×10-4モル/g、ガ ラス転移点45℃〕 ・ステアリン酸(潤滑剤) 0.5部 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 4部 〔日本ポリウレタン工業(株)製の「コロネートL」(商品名)、固形分75 %〕 ・メチルエチルケトン(溶剤) 120部 ・トルエン(溶剤) 80部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 40部
【0084】 <バックコート塗料C> ・インジウムドープ酸化錫(ITO) 100部 (平均粒子径:35nm) ・シリコーン粒子(平均粒子径:0.5μm) 3部 〔東芝シリコーン(株)製、商品名「トスパール105」〕 ・リン酸エステル(潤滑剤) 3部 〔東邦化学(株)製、ホスファノールRE610(商品名)〕 ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 28部 〔数平均分子量25000、スルホン酸基含有量:1.2×10-4モル/g、ガ ラス転移点45℃〕 ・ステアリン酸(潤滑剤) 0.5部 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 4部 〔日本ポリウレタン工業(株)製の「コロネートL」(商品名)、固形分75 %〕 ・メチルエチルケトン(溶剤) 120部 ・トルエン(溶剤) 80部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 40部
【0085】〔実施例5〕中間層の形成までは実施例1
と同様に行った。次いで、図13に示すエンボス加工装
置を用いて、テープの幅方向中央部に連続した一本の幅
狭の帯状の凹部が形成されるようにエンボス加工を施し
た。形成された凹部の幅は100μmであり、深さは
0.1μmであった。この後は実施例1と同様にして図
11に示す磁気テープを得た。
【0086】〔実施例6〜8〕実施例5における凹部の
幅Wを表1に示す通りとし且つバックコート塗料として
表1に示すものを用いる以外は実施例5と同様にして磁
気テープを得た。
【0087】〔実施例9〕光反射層の形成までは実施例
1と同様に行った。次いで、グラビア印刷を用い、一方
のテープエッジからテープ幅方向中心線までの間の領域
に厚さ0.2μmの中間層を形成した。この後は実施例
1と同様にして図8及び図9に示す磁気テープを得た。
【0088】〔実施例10〕バックコート塗料としてバ
ックコート塗料Bを用いる以外は実施例9と同様にして
図8及び図9に示す磁気テープを得た。
【0089】〔実施例11〕中間層の形成までは実施例
1と同様に行った。次いで、エンボス加工装置を用い
て、一方のテープエッジからテープ幅方向中心線までの
間の領域に連続した一本の幅広の帯状の凹部が形成され
るようにエンボス加工を施した。形成された凹部の深さ
は0.1μmであった。この後は実施例1と同様にして
図17に示す磁気テープを得た。
【0090】〔実施例12〕バックコート塗料としてバ
ックコート塗料Bを用いる以外は実施例11と同様にし
て図17に示す磁気テープを得た。
【0091】各実施例で得られた磁気テープの性能を評
価するために、これらの磁気テープについて、波長65
0nmの光による反射光の強度の強弱によるコントラス
トを利用した読み取り方法を用い、プッシュプル方式の
サーボトラッキングを行いつつ磁性層に信号を記録し
た。尚、実施例1〜8においては図4に示すサーボ方式
を用い、実施例9〜12においては図10に示すサーボ
方式を用いた。その結果、表1に示すように、何れの実
施例においても600本のデータトラックを記録した場
合にも、確実なサーボトラッキングが行われた。特に、
バックコート層にカーボンブラックが含有されていない
実施例3、4、7、8、10及び12の磁気テープで
は、表1に示すようにバックコート層における高反射率
部分の光反射率が極めて高く、一層確実なサーボトラッ
キングが行われた。更に、各実施例の磁気テープをそれ
ぞれリールに巻回して3ヶ月保存した後に磁性層の表面
状態を観察したところ、その結果は表1示す通りとな
り、保存前と同等のレベルの表面状態が保たれており、
中間層および光反射層を形成したことに起因するバック
コート層の表面形状の磁性層への転写が起こっていない
ことが判った。更に、表には示していないが、各実施例
の磁気テープは再生出力およびドロップアウトについて
も、通常の磁気テープと同等のレベルが保たれているこ
とが判った。
【0092】
【表1】
【0093】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明によれば、
データエリアの面積を減少させることなくサーボトラッ
キングを行い得る磁気テープが得られる。また、本発明
によれば、バックコート層本来の機能が損なわれること
なくサーボトラッキングを行い得る磁気テープが得られ
る。また、本発明によれば、トラック密度が向上した磁
気テープが得られる。更に、本発明によれば、高記録容
量を有する磁気テープが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録再生装置の要部を示す概略図
である。
【図2】本発明の磁気テープの第1の実施形態の構成を
示す概略図である。
【図3】図2に示す磁気テープをバックコート層側から
みたときの要部を示す図である。
【図4】図1に示す光学ユニットの要部を示す図であ
る。
【図5】中間層および溝部の別の態様を示す(図3相当
図)である。
【図6】中間層および溝部の別の態様を示す(図3相当
図)である。
【図7】中間層および溝部の別の態様を示す(図3相当
図)である。
【図8】本発明の磁気テープの第2の実施形態の構成を
示す概略図(図2相当図)である。
【図9】図8に示す磁気テープをバックコート層側から
見たときの要部を示す図(図3相当図)である。
【図10】第2の実施形態の磁気テープにおけるトラッ
キング情報の読み取りに用いられる光学ユニットの要部
を示す図(図4に相当図)である。
【図11】本発明の磁気テープの第3の実施形態の構成
を示す概略図(図3相当図)である。
【図12】レーザー加工により溝部を形成する方法を示
す模式図である。
【図13】エンボス加工により凹部を形成する方法を示
す模式図である。
【図14】図2に示す実施形態の磁気テープの別の実施
形態の構成を示す概略図である。
【図15】第2の実施形態における他の形態の構成を示
す概略図(図8相当図)である。
【図16】図12に示す磁気テープをバックコート層側
から見たときの要部を示す図(図9相当図)である。
【図17】第3の実施形態における他の形態の構成を示
す概略図(図11相当図)である。
【符号の説明】
1 磁気テープ 2 支持体 3 下層 4 磁性層 5 バックコート層 6 光反射層 7 中間層 7’凸部 7”凹部 8 溝部 9 中間層非形成部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の一方の面上に磁性層が設けら
    れ、他方の面上にバックコート層が設けられてなる磁気
    テープにおいて、 上記支持体と上記バックコート層との間に光反射層を設
    けると共に、該光反射層と該バックコート層との間に、
    光学的にコントラストを生じさせ得る所定形状のパター
    ンを有する中間層を設け、該パターンからの光情報に基
    づき上記磁性層のデータトラックのサーボトラッキング
    が行われるようになされていることを特徴とする磁気テ
    ープ。
  2. 【請求項2】 上記中間層が、テープ長手方向に沿う一
    本の連続線状体、又は間隔が0.25〜30μmである
    複数本の連続線状体からなり且つ該連続線状体の厚みが
    0.05〜1μmであることを特徴とする請求項1記載
    の磁気テープ。
  3. 【請求項3】 上記中間層に、テープ長手方向に沿う一
    本または複数本の連続な直線状凹凸部が形成されてお
    り、該中間層の厚みを0.05〜1μmとし、該凹部の
    幅を0.25〜30μmとし且つ深さを該中間層の厚み
    の5〜99%としたことを特徴とする請求項1記載の磁
    気テープ。
  4. 【請求項4】 上記連続線状体が印刷またはレーザー加
    工されて形成されていることを特徴とする請求項2記載
    の磁気テープ。
  5. 【請求項5】 上記凹凸部が、レーザー光加工されるか
    又はエンボスロール加工されて形成されていることを特
    徴とする請求項3記載の磁気テープ。
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