JPH11242101A - 反射防止膜およびそれを配置した表示装置 - Google Patents

反射防止膜およびそれを配置した表示装置

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JPH11242101A
JPH11242101A JP10042593A JP4259398A JPH11242101A JP H11242101 A JPH11242101 A JP H11242101A JP 10042593 A JP10042593 A JP 10042593A JP 4259398 A JP4259398 A JP 4259398A JP H11242101 A JPH11242101 A JP H11242101A
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Japan
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refractive index
layer
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film
index layer
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JP10042593A
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English (en)
Inventor
Hirohisa Sotozono
裕久 外園
Tomokazu Yasuda
知一 安田
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】広範な波長領域において一様に低い反射率(反
射率1%以下)を示し、同時に膜強度、耐熱性、製造適
性に優れた反射防止膜を提供する。 【解決手段】支持体の上にオルガノシラン類の加水分解
物および/またはその部分縮合物を含有する組成物を塗
設して形成された低屈折率層を有する反射防止膜であっ
て、該低屈折率層の下に膜厚が1〜50nmであり、エポ
キシ基を含有するモノマーを重合硬化して形成される接
着層が塗設された反射防止膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置(L
CD)等の画像表示装置の表面の反射率低下に有効な反
射防止膜および反射防止膜を有する画像表示装置に関す
る。特に、量産性と高い膜強度を実現する反射防止膜お
よびそれを配置した表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶表示装置の普及、大型化や野
外使用化に伴い、その使用条件下でのタフネス化、例え
ば、反射光耐性(視認性確保)、防汚性や耐熱性の向上
が求められている。表示装置の視認性向上は該装置の主
機能に関わる課題であり、当然その重要性も高く、活発
に視認性向上のための施策が検討されている。一般に視
認性を低下させるのは外光の表面反射による景色の写り
込みであり、これらに対する対処として最表面に反射防
止膜を設ける方法が一般的に行われる。しかしながら、
この反射防止膜はその機能発現のために最表面に設けら
れるため、必然的に反射防止膜の性能に対してタフネス
化の観点から多くの高品質化の課題が集中してくる。例
えば、極限までの反射率低下(反射率1%以下)、指紋
や油脂等の付着防止や易除去性、炎天下や自動車室内の
ような高温環境下での諸性能の維持、高い表面硬度およ
び耐擦傷性などである。
【0003】従来、可視光の波長域を全てカバーできる
性能を有する広波長域/低反射率の反射防止膜として
は、金属酸化物等の透明薄膜を積層させた多層膜が用い
られてきた。単層膜では単色光に対しては有効であるも
のの、ある程度の波長域を有する光に対しては有効に反
射防止できないのに対し、このような多層膜においては
積層数が多いほど広い波長領域で有効な反射防止膜とな
るためである。そのため、従来の反射防止膜には、物理
又は化学蒸着法等の手段によって金属酸化物等を3層以
上積層したものが用いられてきた。しかしながら、この
ような多層蒸着した反射防止膜は、予め最適に設計され
た各層の屈折率と膜厚との関係に従い、その膜厚を高精
度に制御した蒸着を何回も行う必要があり、非常に高コ
ストなものであり、かつ、広い面積の膜を得ることの非
常に困難な大量製造適性に乏しいものであった。
【0004】一方、上述のような多層膜による方法の他
に、空気との界面において屈折率が除々に変化する様な
膜によって有効な反射防止効果を得る方法が従来知られ
ている。例えば、特開平2−245702号公報には、
ガラス基板とMgF2 の中間の屈折率を持つSiO2
微粒子とMgF2 超微粒子を混合してガラス基板に塗布
し、ガラス基板面から塗布膜面に向かって徐々にSiO
2 の混合比を減少させてMgF2 の混合比を増加させる
事により、塗布面とガラス基板との界面における屈折率
変化が緩やかとなり、反射防止効果が得られる事が記載
されている。
【0005】また、特開平5−13021号公報には、
エチルシリケート中に分散したMgF2 、SiO2 を有
する超微粒子を用いた二層からなる反射防止膜が開示さ
れている。例えば、第一層は、MgF2 /SiO2 が7
/3の層で、第二層は、MgF2 /SiO2 が1/1の
層で、第一層の屈折率が1.42そして第二層の屈折率
が1.44である。従って、屈折率変化は大きいとは言
えず、充分な反射防止効果は得られない。
【0006】更に特開平7−92305号公報には、コ
ア部とその周囲のシェル部からなる屈折率1.428の
超微粒子からなり、空気と微粒子とから形成された表面
が凹凸の上層部(低屈折率)と、微粒子のみから形成さ
れた下層部とからなる反射防止膜が、特開平7−168
006号公報には、空気と微粒子(例、MgF2 )とか
ら形成された表面が凹凸の上層部(低屈折率)、微粒子
のみの中層部(中屈折率)、及び微粒子とバインダーか
ら形成された下層部とからなる反射防止膜が開示されて
いる。
【0007】しかしながら、前記の特開平2−2457
02号公報、特開平5−13021号公報、特開平7−
92305号公報及び特開平7−168006号公報に
記載の反射防止膜は、空気に対する屈折率が膜厚方向に
徐々に変化する原理を利用したものである。これらの反
射防止膜は、その作成に、煩雑な操作と、熟練した技術
が必要であり、また得られる膜も満足な反射防止効果が
得られていない。
【0008】また、特公平6−98703号、特開昭6
3−21601号公報にはアルコキシシラン化合物の加
水分解部分縮合物からなる組成物をプラスチック基材表
面に塗布して反射光を低減化させる技術が開示されてい
る。これらの公報に記載の技術では、ゾルゲル法により
無機マトリックスが得られるため、非常に高い膜強度が
期待される。しかしながら、上記無機マトリックスは一
般に多くの基材との密着性に乏しく、剥離故障が生じや
すい欠点があった。これらの公報においては、基板の上
に約0.5μm以上の膜厚のコーティングを設け、さら
に必要ならば活性化ガス処理や薬品処理を行うことによ
り密着改良を行っている。しかしながら、該コーティン
グ層とオルガノシラン層との屈折率差が小さいため反射
防止性能としては十分なものが得られていない。ここ
で、反射防止性能を改善する施策として、該コーティン
グ層の下層により屈折率差の大きい素材を用い、かつ該
コーティング層を光学的な干渉が無視できる膜厚(約
0.05μm以下)まで薄くしたが、該コーティング層
のハードコート皮膜としての効果が無くなってしまい、
結果として反射防止性能は改善されるものの膜強度が悪
化してしまった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、広範
な波長領域において一様に低い反射率(反射率1%以
下)を示し、同時に膜強度、耐久性、耐汚れ付着性、耐
熱性に優れた反射防止膜を低コストで、大量かつ大面積
製造の適性のある方法で提供することにある。また、そ
の反射防止膜を配置した表示装置を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上述の課題は、
下記の反射防止膜によって達成された。 (1) 支持体の上にオルガノシランの加水分解物および/
またはその部分縮合物を含有する組成物を塗設して形成
された低屈折率層を有する反射防止膜であって、該低屈
折率層の下に膜厚が1〜50nmであり、エポキシ基を含
有するモノマーを重合硬化して形成される接着層が塗設
されていることを特徴とする反射防止膜。 (2) 該接着層が多官能エポキシ化合物の光カチオン重合
硬化膜であることを特徴とする上記(1) 記載の反射防止
膜。 (3) 該低屈折率層が金属キレート化合物を含有すること
を特徴とする上記(1)乃至(2) 記載の反射防止膜。 (4) 該金属キレート化合物がアルミニウムキレート化合
物であることを特徴とする上記(3) 記載の反射防止膜。 (5) 表層より順に、低屈折率層(1) 、接着層(2) 、高屈
折率層(3) 、から構成され、各層の屈折率および膜厚が
それぞれ、層(1):1.30〜1.45、50〜200n
m、層(2):1.45〜1.70、1〜50nm、層(3):
1.70〜2.20、50〜200nm、であることを特
徴とする上記(1) 乃至(4) 記載の反射防止膜。 (6) 該
高屈折率層(3) に隣接し、低屈折率層(1) の反対側に層
(4) を有し、該層(4) が層(1) と層(3) の中間の屈折率
を有し、膜厚が50〜200nmであることを特徴とする
上記(5) 記載の反射防止膜。 (7) 上記(1) 乃至(6) に記載の反射防止膜を配置したこ
とを特徴とする表示装置。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明によって得られる優れた反
射防止膜について以下に説明する。以下、オルガノシラ
ンの加水分解およびその部分縮合物からなる塗布液をゾ
ル液、ゾル液を塗設して形成される膜をゾルゲル膜と称
する。
【0012】本発明では、反射防止膜の最上層の低屈折
率層用素材として低屈折率かつ高い膜強度を有するゾル
ゲル膜を使用し、このゾルゲル膜と下層との密着を改善
するための層(以下接着層と称する)を両層の間に塗設
することにより、密着不良による膜強度損失を防ぎ、優
れた膜強度を有する反射防止膜を得る事を特徴とする。
また、この接着層が光学的に十分薄く、反射防止性能に
悪影響を及ぼさないため、優れた反射防止性能が得られ
ることも本発明の特徴である。
【0013】本発明の最上層に設けられる低屈折率層に
ついて以下に説明する。本発明では低屈折率層としてゾ
ルゲル膜を用いることを特徴とし、その原料となるオル
ガノシランについて以下に説明する。オルガノシランは
分子内に少なくとも1つの加水分解によりシラノールを
与えることのできる官能基を有するシラン化合物を表
し、本発明の組成物中では、加水分解、縮合して得られ
る加水分解物および/または部分縮合物となり組成物中
における結合剤としての働きをするものである。一般的
には式(R9)4Si で表される化合物である。式中、R9
炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基、炭素数
1〜5のアルコキシル基または炭素数1〜4のオキシア
シル基、ハロゲン原子を表す。1分子中の4個のR9
この定義の範疇であれば互いに同じであっても異なって
いても良く、自由に組み合わせて選択することができる
が、4つが同時に炭素数1〜10のアルキル基またはア
リール基になることはない。
【0014】R9 の具体例は、炭素数1〜10のアルキ
ル基またはアリール基としてメチル基、エチル基、n−
プロピル基、i−プロピル基などのアルキル基、そのほ
かγ−クロロプロピル基、ビニル基、 CF3- 、CF3CH2CH
2-、CF3CH2CH2CH2- 、C2F5CH 2CH2CH2-、C3F7CH2CH2CH
2-、C2F5CH2CH2- 、CF3OCH2CH2CH2-、C2F5OCH2CH2CH
2-、C3F7OCH2CH2CH2- 、(CF3)2CHOCH2CH2CH2- 、C4F9CH
2OCH2CH2CH2-、3−(パーフルオロシクロヘキシルオキ
シ)プロピル、H(CF2)4CH2OCH2CH2CH2- 、H(CF2)4CH2CH
2CH2- 、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリル
オキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、フェニ
ル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基などが
挙げられる。炭素数1〜5のアルコキシ基または炭素数
1〜4のオキシアシル基としては、例えばメトキシ基、
エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n
−ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ア
セトキシ基、ハロゲンとしてはフッ素、塩素、臭素、ヨ
ウ素などを挙げられる。
【0015】これらのオルガノシランの具体例として
は、以下で説明する(a) 〜(c) 成分のものを挙げること
ができる。 (a) 成分 (a) 成分は、一般式Si(OR1)4で表されるアルコキシシラ
ンであり、本発明の組成物中では、加水分解、縮合して
得られる加水分解物および/または部分縮合物となり組
成物中における結合剤としての働きをするものである。
かかるアルコキシシラン中のR1 は、炭素数1〜5のア
ルキル基または炭素数1〜4のアシル基であり、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル
基、n−ブチル基、sec-ブチル基、tert−ブチル基、ア
セチル基などが挙げられる。
【0016】これらのアルコキシシランの具体例として
は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラn−プロポキシシラン、テトラ-i−プロポキシシラ
ン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−アセトキシ
シランなどを挙げることができる。上記アルコキシシラ
ンは1種単独でも、その2種以上を併用しても良い。
【0017】(b) 成分 (b) 成分は、一般式R2Si(OR3)3で表されるオルガノシラ
ンであり、本発明の組成物中では、加水分解、縮合して
得られる加水分解物および/または部分縮合物となり組
成物中における結合剤としての働きをするものである。
かかるオルガノシラン中のR2 は、炭素数1〜10の有
機基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル
基、i−プロピル基などのアルキル基、そのほかγ−ク
ロロプロピル基、ビニル基、CF3-、CF3CH2- 、CF3CH2CH
2-、CF3CH2CH2CH2- 、C2F5CH2CH2CH2-、C3F7CH2CH2CH
2-、C2F5CH2CH2- 、CF3OCH2CH2CH2-、C2F5OCH2CH2CH2-
、C3F7OCH2CH2CH2- 、(CF3)2CHOCH2CH2CH2- 、C4F9CH2
OCH2CH2CH2-、3−(パーフルオロシクロヘキシルオキ
シ)プロピル、H(CF2)4CH2OCH2CH2CH2- 、H(CF2)4CH2CH
2CH2- 、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリル
オキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、フェニ
ル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基などが
挙げられる。また、オルガノシラン中のR3 は、炭素数
1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基であ
り、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−
プロピル基、n−ブチル基、sec-ブチル基、tert−ブチ
ル基、アセチル基などが挙げられる。
【0018】これらのオルガノシランの具体例として
は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシ
シラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピ
ルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラ
ン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエト
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4
−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、
3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシ
ラン、CF3CH2CH2Si(OCH3)3、CF3CH2CH2CH2Si(OCH3)3
C2H5CH2CH2CH2Si(OCH3)3、C2F5CH2CH2Si(OCH3)3 、C3F7
CH2CH2CH2Si(OCH3)3、C2F5OCH2CH2CH2Si(OCH3)3 、C3F7
OCH2CH2CH2Si(OC2H5)3、(CF3)2CHOCH2CH2CH2Si(OC
H3)3 、C4F9CH2OCH2CH2CH2Si(OCH3)3、H(CF2)4CH2OCH2C
H2CH2Si(OCH33 、3−(パーフルオロシクロヘキシ
ルオキシ)プロピルシラン等を挙げることができる。
【0019】このうち、フッ素原子を有するオルガノシ
ランが好ましい。また、R2 としてフッ素原子を有さな
いオルガノシランを用いる場合、メチルトリメトキシシ
ランまたはメチルトリエトキシシランを用いる事が好ま
しい。上記のオルガノシランは1種単独で使用してもよ
いし、2種以上を併用する事もできる。
【0020】(c) 成分 (c) 成分は、一般式R4 2Si(OR5)2 (式中、R4 およびR
5 は前記(b) 成分に使用されるオルガノシランで定義さ
れたR2 およびR3 と同義)で表されるジオルガノシラ
ンである。ただし、R4 およびR5 は(b) 成分と同じ置
換基でなくてもよい。本発明の組成物中では加水分解、
縮合して得られる加水分解物および/または部分縮合物
となり、組成物中における結合剤としての働きをすると
ともに、塗膜を柔軟化し耐アルカリ性を向上させるもの
である。
【0021】これらのジオルガノシランの具体例は、ジ
メチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、
ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラ
ン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロ
ピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシ
ラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジフェニル
ジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、(CF3
CH2CH2)2Si(OCH3)2 、(CF3CH2CH2CH2)2Si(OCH3)2、(C3F
7OCH2CH2CH2)2Si(OCH3)2、〔H(CF2)6CH2OCH2CH2CH22
Si(OCH3)2 、(C2F5CH2CH2)2Si(OCH3)2などを挙げる事が
でき、好ましくはフッ素原子を有するオルガノシランで
ある。またR4 としてフッ素原子を有さないオルガノシ
ランを用いる場合には、ジメチルジメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシランが好ましい。このようなR4 2Si
(OR5)2 で表されるオルガノシランは、1種単独で用い
てもよいし、あるいは2種以上を併用することもでき
る。
【0022】本発明のオルガノシランとして、上記(a)
〜(c) 成分を用いる場合、混合して用いることができ
る。混合割合は、それぞれ(a) 0〜90重量%、(b) 0
〜90重量%、(c) 0〜50重量%、かつ(a) と(b) の
合計が50〜100重量%、であることが好ましく、よ
り好ましくは、(a) 0〜70重量%、(b) 20〜90重
量%、(c) 0〜30重量%、かつ(a) と(b) の合計が6
0〜100重量%、である。
【0023】本発明の低屈折率層には、上記(a) 〜(c)
のオルガノシラン類の他に以下に説明するような(d) シ
リル基含有ビニルポリマーを添加して用いることも好ま
しい。この(d) シリル基含有ビニルポリマーは上記(a)
〜(c) のオルガノシラン類とともにゾルゲル反応を行な
い、低屈折率層ゾルゲル膜中に組みこまれるものであ
り、塗膜の製膜性や脆性の改良に効果がある。以下に本
発明の(d) シリル基含有ビニルポリマーについて説明す
る。
【0024】(d) シリル基含有ビニルポリマー (d) シリル基含有ビニルポリマーは、主鎖がビニル系重
合体からなり、末端あるいは側鎖に加水分解性基および
/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基
を重合体1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以
上含有するものであり、該シリル基の多くは、下記一般
【0025】
【化1】
【0026】(式中、Xはハロゲン原子、アルコキシ
基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基、チオ
アルコキシ基、アミノ基などの加水分解性基および/ま
たは水酸基、R10は水素原子、炭素数1〜10のアルキ
ル基、または炭素数1〜10のアラルキル基、aは1〜
3の整数である)で表される。
【0027】(d) シリル基含有ビニルポリマーは、
(イ)ヒドロシラン化合物を炭素−炭素二重結合を有す
るビニルポリマーと反応させることにより製造してもよ
く、また(ロ)下記一般式
【0028】
【化2】
【0029】(ただし、X、R10、aは前記に同じ、R
11は重合性二重結合を有する有機基である)で表される
シラン化合物と、各種ビニル系化合物とを重合すること
により製造してもよく、その製造方法は限定されるもの
ではない。
【0030】ここで、前記(イ)で示される製造方法で
使用されるヒドロシラン化合物としては、例えばメチル
ジクロルシラン、トリクロルシラン、フェニルジクロル
シランなどのハロゲン化シラン類;メチルジエトキシシ
ラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシ
ラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシランなどの
アルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェ
ニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシランなどの
アシロキシシラン類;メチルジアミノキシシラン、トリ
アミノキシシラン、ジメチルアミノキシシラン、トリア
ミノシランなどのアミノシラン類が挙げられる。
【0031】また、(イ)で示される製造方法で使用さ
れるビニルポリマーとしては、水酸基を含むビニルポリ
マーを除く以外に特に限定はなく、例えば(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシル、ベンジル(メタ)
アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートな
どの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル
酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸および無水
マレイン酸などの酸無水物;グリシジル(メタ)アクリ
レートなどのエポキシ化合物;ジエチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルな
どのアミノ化合物;(メタ)アクリルアミド、N−t−
ブチル(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、
α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸
ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシメチル
(メタ)アクリルアミドなどのアミド化合物;アクリロ
ニトリル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチ
レン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
N−ビニルピロリドン、
【0032】
【化3】
【0033】
【化4】
【0034】
【化5】
【0035】などから選ばれるビニル系化合物をアリル
メタクリレートのような側鎖に二重結合を有するモノマ
ーと共重合したビニルポリマーが好ましく、共重合モノ
マーとして含フッ素モノマーを少くとも1種用いたもの
が特に好ましい。
【0036】一方、(ロ)で示される製造方法で使用さ
れるシラン化合物としては、次のものが挙げられる。
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】また、(ロ)で示される製造方法で使用さ
れるビニル系化合物としては、前記(イ)の製造方法で
ビニルポリマーの重合時に用いられるビニル系化合物を
使用することが可能であるが、かかる(イ)の製造方法
に記載された以外に、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシビニルエーテル、N−メチロール
アクリルアミドなどの水酸基を含むビニル系化合物を挙
げることもできる。また、含フッ素モノマーを1種用い
たものが特に好ましい。
【0040】以上のようなシリル基含有ビニルポリマー
の好ましい具体例としては、例えば下記一般式
【0041】
【化8】
【0042】(式中、R12、R14は水素原子、フッ素原
子またはメチル基、R13は水素原子、炭素数1〜12の
アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、
アリル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンテル、n−
ヘキシル、ベンジル、(CF3)2CH- 、CF3CH2- 、C7F15CH2
- 、C2F15CH2CH2-、等の(a) 成分で説明したフッ素原子
を含むアルキル基)を表し、R15はメチレン基、エチレ
ン基、プロピレン基、ブチレン基などの炭素数1〜4の
アルキレン基、R16はR13と同様であり、m/(1+
m)=0.01〜0.4、好ましくは0.02〜0.2
である)で表されるトリアルコキシシリル基含有アクリ
ル重合体を挙げることができる。このシリル基含有ビニ
ルポリマーの数平均分子量は、好ましくは2,000 〜100,
000 、さらに好ましくは4,000 〜50,000である。
【0043】以上のような本発明に使用される(d) シリ
ル基含有ビニルポリマーの具体例としては、鐘淵化学工
業(株)製、カネカゼムラックや下記のポリマーを挙げ
ることができるが、これらに限定されるものではない。
【0044】P−1 メチルメタクリレート/γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン(90/10:
重量比) P−2 n−ブチルメタクリレート/γ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン(85/15:重量比) P−3 メチルメタクリレート/γ−アクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン(80/20:重量比) P−4 メチルメタクリレート/γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン(70/30:重量比) P−5 メチルメタクリレート/エチルアクリレート/
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(50
/35/15:重量比)
【0045】P−6 エチルメタクリレート/γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン(80/20:
重量比) P−7 n−ブチルメタクリレート/スチレン/γ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン(50/35
/15:重量比) P−8 メチルメタクリレート/シクロヘキシルアクリ
レート/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン(40/45/15:重量比) P−9 メチルメタクリレート/メチルアクリレート/
γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(40/
40/20:重量比) P−10 メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレー
ト/ビニルトリメトキシシラン(60/30/10:重
量比)
【0046】P−11 FM-1/γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン(85/15:重量比) P−12 FM-4/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン(85/15:重量比) P−13 FM-2/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン(85/15:重量比) P−14 FM-4/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン(70/30:重量比) P−15 FM-4/FM-7/γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン(30/55/15:重量比)
【0047】P−16 FM-2/FM-4/γ−アクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン(30/50/20:重量比) P−17 FM-3/FM-4/γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン(25/60/15:重量比) P−18 FM-9/メチルメタクリレート/γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン(60/25/15:
重量比) P−19 FM-7/メチルメタクリレート/γ−アクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン(40/45/15:重
量比) P−20 FM-4/メチルメタクリレート/ビニルトリメト
キシシラン(65/20/15:重量比) (d) シリル基含有ビニルポリマーの組成物中の割合は、
(a) 〜(c) 成分の原料であるオルガノシランに対し、0
〜100重量%、好ましくは0〜80重量%、さらに好
ましくは0〜50重量%であり、100重量%を超える
と得られる塗膜の耐久性の悪化を招く。
【0048】本発明の低屈折率層は上述の方法で調製し
た有機珪素を主成分とする網目高分子構造により形成さ
れている。この網目構造を構築する主成分(モノマー)
は上述の(a) ないし(d) の化合物である。これら有機珪
素モノマー化合物の本発明における好ましい組み合わせ
について下記および実施例に例示する。混合比はゾル液
調製時に使用した各化合物の重量(g) を示す。
【0049】SP−1 メチルトリメトキシシラン 10g、ジメチルジメトキ
シシラン 5g、上記化合物P−12 2.5g SP−2 メチルトリメトキシシラン 12g、ジメチルジエトキ
シシラン 8g、3,3,3−トリフルオロプロピルト
リメトキシシラン 4g、上記化合物P−12 3g SP−3 テトラエトキシシラン 15g、3,3,3−トリフル
オロブチルトリエトキシシラン 15g SP−4 テトラエトキシシラン 10g、ジメチルジメトキシシ
ラン 5g、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエ
トキシシラン 10g、上記化合物P−121.5g SP−5 メチルトリメトキシシラン 10g、ジメチルジメトキ
シシラン 5g、3−パーフルオロエトキシプロピルト
リメトキシシラン 5g、上記化合物P−52.5g
【0050】SP−6 テトラエトキシシラン 10g、ビス(3,3,3−ト
リフルオロプロピル)ジエトキシシラン 5g、上記化
合物P−7 3g SP−7 テトラエトキシシラン 5g、メチルトリメトキシシラ
ン 10g、ジメチルジメトキシシラン 5g、3,
3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン 1
2g SP−8 シクロヘキシルトリメトキシシラン 18g、ビス
(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシ
ラン 12g、テトラエトキシシラン 15g SP−9 テトラエトキシシラン 12g、ジメチルジクロロシラ
ン 10g、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエ
トキシシラン 15g SP−10 メチルトリエトキシシラン 12g、ジメチルジメトキ
シシラン 5g、ビス(3,3,3−トリフルオロプロ
ピル)トリメトキシシラン 5g、上記化合物P−8
4.5g
【0051】本発明においては、上記のオルガノシラン
類から得られるゾル液に加えて、金属キレート化合物の
添加が望ましい。この金属キレート化合物は通常ゾル液
の硬化促進剤として用いられるものでもあるが、本発明
においては単に低屈折率層の硬化促進のみならず、隣接
する接着層がエポキシ基を有する場合、このエポキシ基
とも反応し、かつ接着層自体の硬化促進も行い、この結
果両層の密着および膜強度が著しく改善する。
【0052】本発明に用いられる金属キレート化合物、
(e) 成分、について以下に説明する。 (e) 成分 (e) の金属キレート化合物は、一般式R17OH(式中、
17は炭素数1〜6のアルキル基を示す)、で表される
アルコールとR18COCH2 COR19(式中、R18は炭
素数1〜6のアルキル基、R19は炭素数1〜5のアルキ
ル基または炭素数1〜16のアルコキシ基を示す)で表
されるジケトンを配位子とした、遷移金属を中心金属と
するものであれば特に制限なく好適に用いることができ
る。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物
を併用しても良い。本発明の(e) 金属キレート化合物と
して好ましいものは中心金属にAl、Ti、Zrを有す
るものであり、一般式 Zr(OR17) p1(R18COCHCO
R19) p2 、Ti (OR17) q1(R18COCHCOR19) q2 および Al
(OR17) r1(R18COCHCOR19) r2 で表される化合物群から
選ばれるものが好ましく、より好ましくは中心金属にAl
を有するものである。
【0053】(e) 金属キレート化合物中のR17およびR
18は、同一または異なってもよく炭素数1〜6のアルキ
ル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロ
ピル基、n−ブチル基、sec −ブチル基、t−ブチル
基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R
5 は、前記と同様の炭素数1〜6のアルキル基のほか、
炭素数1〜16のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エ
トキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−
ブトキシ基、sec −ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウ
リル基、ステアリル基などである。また、(e) 金属キレ
ート化合物中のp 1 〜r2 は4あるいは6座配位となる
様に決定される整数を表す。
【0054】これらの(e) 金属キレート化合物の具体例
としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテート
ジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトア
セテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチル
アセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プ
ロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス
(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキ
ス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジル
コニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エ
チルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ
・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロ
ポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチ
タニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセ
トアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチル
アセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチ
ルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビ
ス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エ
チルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチ
ルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナ
ート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムな
どのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。こ
れらの(e) 金属キレート化合物のうち好ましいものは、
トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウ
ム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チ
タニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートア
ルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニ
ウムであり、より好ましくはトリス(アセチルアセトナ
ート)アルミニウムである。これらの(e) 金属キレート
化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用す
ることができる。また、(e) 成分としては、これらの金
属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもで
きる。
【0055】(e) 金属キレート化合物の組成物中の割合
は、ゾル液の原料であるオルガノシランに対し、0.0
1〜50重量%、好ましくは0.1〜50重量%、さら
に好ましくは0.5〜15重量%である。
【0056】本発明では上記(e) 金属キレート化合物以
外に、ゾル液硬化促進剤として他の通常の硬化促進剤も
お互いの促進効果が阻害されない範囲内で併用すること
ができる。本発明に用いられる硬化反応促進剤としては
特に制限はなく、用いたゾル液の構成成分に応じて縮合
反応を促進可能な成分を有するものであれば好適に用い
ることができる。一般的に有効なのは上記(e) および下
記(f) 〜(h) の化合物群であり、これらの中から好まし
い化合物を必要量添加することができる。また、これら
の群の中から2種以上をお互いの促進効果が阻害されな
い範囲内で適宜選択して併用することができる。なお、
硬化反応は促進化合物をオルガノシランに対して1〜2
0重量%用いることが好ましい。
【0057】(f) 成分 (f) の無機酸としては、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、
硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、亜燐酸など、有機
酸化合物としてはカルボン酸類(蟻酸、酢酸、プロピオ
ン酸、酪酸、コハク酸、シクロヘキサンカルボン酸、オ
クタン酸、マレイン酸、2−クロロプロピオン酸、シア
ノ酢酸、トリフルオロ酢酸、パーフルオロオクタン酸、
安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、フタル酸など)、
スルホン酸類(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、
トリフルオロメタンスルホン酸)、p−トルエンスルホ
ン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸など)、燐酸
・ホスホン酸類(燐酸ジメチルエステル、フェニルホス
ホン酸など)、ルイス酸類(三フッ化ホウ素エーテラー
ト、スカンジウムトリフレート、アルキルチタン酸、ア
ルミン酸など)、ヘテロポリ酸(燐モリブデン酸、燐タ
ングステン酸など)を挙げることができる。
【0058】(g) 成分 (g) の無機塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化
アルミニウム、アンモニアなど、有機塩基化合物として
はアミン類(エチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミ
ン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、テトラメチル
エチレンジアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリ
ン、エタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン、キ
ヌクリジン、アニリン、ピリジンなど)、ホスフィン類
(トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィンな
ど)、金属アルコキサイド(ナトリウムメチラート、カ
リウムエチラートなど)を挙げることができる。
【0059】(h) 成分 (h) の好ましい有機金属化合物としては特に制限はない
が有機遷移金属が活性が高く、好ましい。中でもスズの
化合物は安定性と活性が良く特に好ましい。これらの具
体的化合物例としては、(C4H9)2Sn(OCOC11H23)2 、(C4H
9)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2、(C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOC4H9)
2 、(C8H17)2Sn(OCOC11H23)2、(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOO
CH3)2 、(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC4H9)2、(C8H17)2Sn(O
COCH=CHCOOC8H17)2 、Sn(OCOCC8H17)2などのカルボン酸
型有機スズ化合物;(C4H9)2Sn(SCH2COOC8H17)2、(C4H9)
2Sn(SCH2COOC8H17)2、(C8H17)2Sn(SCH2COOC8H17)2 、(C
8H 17)2Sn(SCH2CH2COOC8H17)2、(C8H17)2Sn(SCH2COOC8H
17)2 、(C8H17)2Sn(SCH2COOC12H25)2
【0060】
【化9】
【0061】などのメルカプチド型有機スズ化合物
【0062】
【化10】
【0063】などのスルフィド型有機スズ化合物
【0064】(C4H9)2SnO、(C8H17)2SnO 、または(C4H9)
2SnO、(C8H17)2SnO などの有機スズオキサイドとエチル
シリケートマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、
フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成
物などの有機スズ化合物などを挙げることができる。
【0065】(i) 成分 (i) の金属塩類としては有機酸のアルカリ金属塩(例え
ばナフテン酸ナトリウム、ナフテン酸カリウム、オクタ
ン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、ラ
ウリル酸カリウムなど)が好ましく用いられる。
【0066】本発明の「ゾル液」には上記成分の他に必
要に応じて種々の化合物を添加して使用することができ
る。以下に主な併用素材を挙げて説明する。
【0067】A:溶媒 溶媒は各成分を均一に混合させ、本発明の組成物の固形
分調整をすると同時に、種々の塗布方法に適用できるよ
うにし、組成物の分散安定性及び保存安定性を向上させ
るものである。これらの溶媒は上記目的の果たせるもの
であれば特に限定されない。これらの溶媒の好ましい例
として、例えば水、アルコール類、芳香族炭化水素類、
エーテル類、ケトン類、エステル類等が好適である。
【0068】このうち、アルコール類としては、例えば
1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることがで
き、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽
和脂肪族アルコールが好ましい。これらのアルコール類
の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロ
ピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチル
アルコール、sec −ブチルアルコール、tert−ブチルア
ルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノ
ブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエ
ーテルなどを挙げることができる。
【0069】また、芳香族炭化水素類の具体例として
は、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類
の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンな
ど、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケト
ン、シクロヘキサノンなどを、エステル類の具体例とし
ては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プ
ロピレンなどを挙げることができる。これらの有機溶媒
は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用するこ
ともできる。有機溶媒の組成物中の割合は特に限定され
るものではなく、全固形分濃度を使用目的に応じて調節
する量が用いられる。
【0070】B:キレート配位子化合物 ゾル液に(e)金属キレート化合物を用いる場合、硬化反
応速度の調節や液安定性向上の観点でキレート配位能の
ある化合物を用いることも好ましい。好ましく用いられ
るものとしては一般式R18COCH2COR19 で表されるβ−
ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類であり、
本発明の組成物の安定性向上剤として作用するものであ
る。すなわち、(e) 金属キレート化合物(好ましくはジ
ルコニウム、チタニウムおよび/またはアルミニウム化
合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金
属キレート化合物による(a) 〜(d) 成分の縮合反応を促
進する作用を抑制し、得られる膜の硬化速度をコントロ
ールするものと考えられる。R18およびR19は、前記
(g) 金属キレート化合物を構成するR18およびR19と同
義であるが、使用に際して同一構造である必要はない。
【0071】このβ−ジケトン類および/またはβ−ケ
トエステル類の具体例としては、アセチルアセトン、ア
セト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−
プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n
−ブチル、アセト酢酸−sec-ブチル、アセト酢酸−t−
ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン
−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタ
ン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘ
キサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのう
ち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好まし
く、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジ
ケトン類および/またはβ−ケトエステル類は、1種単
独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。
かかるβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル
類は、(e) 金属キレート化合物1モルに対し2モル以
上、好ましくは3〜20モルであり、2モル未満では得
られる組成物の保存安定性に劣るものとなる。
【0072】C:水 本発明の好ましいゾル液には、前記(a) 〜(d) 成分を主
成分した混合物の加水分解・縮合用として水を添加す
る。水の使用量は、(a) 〜(d) 成分の加水分解基1モル
に対し、通常、1.2〜3.0モル、好ましくは1.3
〜2.0モル、程度である。本発明の好ましいゾル液
は、その全固形分濃度が、0.1〜50重量%、好まし
くは1〜40重量%であり、50重量%を超えると、組
成物の保存安定性が悪化して好ましくない。
【0073】D:充填剤 本発明のゾル液には、得られる塗膜の硬度向上を目的と
してコロイド状シリカを添加することも可能である。こ
のコロイド状シリカとしては、水分散コロイド状シリ
カ、メタノールもしくはイソプロピルアルコールなどの
有機溶媒分散コロイド状シリカを挙げることができる。
【0074】本発明の組成物には、得られる塗膜の着
色、凹凸性の付与、下地への紫外線透過防止、防蝕性の
付与、耐熱性などの諸特性を発現させるために、上記コ
ロイド状シリカの他に充填材を添加・分散させることも
可能である。この充填材としては、例えば有機顔料、無
機顔料などの非水溶性の顔料または顔料以外の粒子状、
繊維状もしくは鱗片状の金属および合金ならびにこれら
の酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物などが挙
げられる。この充填材の具体例としては、粒子状、繊維
状もしくは鱗片状の鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、
銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス
鋼、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸
化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、
酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水
酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレ
ー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウ
ム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト
緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェー
レ緑、緑上、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、
紺青、ピグメントグリーン、岩群青、コバルト青、セル
リアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバ
ルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレッ
ト、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化
鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム
黄、チタン黄、リサージ、ピグメントエロー、亜酸化
銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベ
ンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン
白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン
白、鉛亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン
白、硫酸鉛、黒鉛、ボーン黒、ダイヤモンドブラック、
サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィス
カー、二硫化モリブデンなどを挙げることができる。
【0075】これらの充填材の平均粒径または平均長さ
は、通常、5〜500nm、好ましくは10〜200nmで
ある。充填材を用いる場合の組成物中の割合は、(a) 〜
(d)成分の全固形分100重量部に対し、10〜300
重量部程度である。
【0076】E:その他の添加物 本発明のゾル液及び促進液には、そのほかオルトギ酸メ
チル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの
公知の脱水剤、各種界面活性剤、前記以外のシランカッ
プリング剤、チタンカップリング剤、染料、分散剤、増
粘剤、レベリング剤などの添加剤を添加することもでき
る。
【0077】さらに、本発明のゾル液中には、前記溶媒
以外の溶剤を含有させることができ、かかる溶剤として
は、前記(a) 〜(d) 成分を混合した際に、沈澱を生起し
ない溶剤であればどのようなものでもよく、一般の塗
料、コーティング剤などに用いられる脂肪族炭化水素
類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ケトン
類、エステル類、エーテル類、ケトンエーテル類、ケト
ンエステル類、エステルエーテル類などを挙げることが
でき、この具体例としては例えばベンゼン、トルエン、
キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢
酸ブチル、酢酸イソアミルなどである。これらの有機溶
剤は、本発明の組成物100重量部に対し、通常、10
0重量部以下程度使用される。
【0078】本発明のゾル液を調製するに際しては、ま
ず前記(a) 〜(d) 成分を含有する組成物を調製し、これ
に水を添加して加水分解する方法であれば如何なる方法
でもよい。この時必要に応じて加水分解を促進するため
に触媒を用いても良い。用いる触媒の量は、液の経時安
定性を損なわない範囲であれば特に制限はない。例えば
下記〜の調製方法が好ましい。 (a)〜(c) 成分の混合物にオルガノシラン類の加水分
解基1モルに対し0.2〜3モルの塩酸水を加えて加水
分解・縮合反応を行う方法。 (a)〜(d) 成分と溶媒及び加水分解触媒からなる溶液
に、オルガノシラン類の加水分解基1モルに対し0.2
〜3モルの水を加えて加水分解・縮合反応を行う方法。
【0079】 (a)〜(c) 成分と溶媒からなる溶液に、
オルガノシラン類の加水分解基1モルに対し0.2〜3
モルの水を加えて加水分解・縮合反応を行い、次いで
(d) シリル基含有ビニルポリマーと加水分解触媒を添加
する方法。 (a)〜(c) 成分と溶媒及び加水分解触媒からなる溶液
に、オルガノシラン類の加水分解基1モルに対し0.2
〜3モルの水を加えて加水分解・縮合反応を行い、次い
で(d) シリル基含有ビニルポリマーを加えて混合し、さ
らに縮合反応を行なう方法。
【0080】本発明のソル液及び促進液をカーテンフロ
ーコート、ディップコート、スピンコート、ロールコー
ト等の塗布法によって、予めあるいは同時重層塗布によ
り、接着層が塗設された透明フィルムあるいは高または
中屈折率層等に塗布し、常温での乾燥、あるいは30〜
200℃程度の温度で1分〜100時間程度加熱するこ
とにより、低屈折率層は形成される。
【0081】同時重層塗布をする場合には多段の吐出口
を有するスライドギーサー上で下層塗布液と上層塗布液
のそれぞれが必要な塗布量になる様に吐出流量を調整
し、形成した多層流を連続的に支持体に乗せ、乾燥させ
る方法(同時重層法)が特に好ましい。
【0082】本発明の接着層について以下に説明する。
本発明において接着層とは、低屈折率層の下層に予め塗
設され、低屈折率層の剥離故障を防止する機能を有する
膜のことを意味する。接着層用素材としては上記接着機
能を有する製膜可能な素材であれば特に制限はなく、有
機あるいは無機あるいは有機無機複合などの種々の素材
が使用可能である。例えば、ビニルモノマー重合体類、
エポキシ樹脂、オルガノシラン縮合体、ポリエステル樹
脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ポリウ
レタン樹脂、などが好適に使用でき、特にビニルモノマ
ー重合体類、エポキシ樹脂、オルガノシラン縮合体が好
ましい。さらに、上記接着層素材が低屈折率層素材と反
応できる官能基(以後反応性基と称する)を有すること
も好ましい。このような官能基としては、例えば、エポ
キシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ア
セチルアセトナート基、シラノール基、チオール基、イ
ソシアナート基、ビニル基、N−メチロール基、などが
挙げられるが、エポキシ基が特に好ましい。
【0083】以下に本発明の接着層に用いるエポキシ基
について説明する。エポキシ基の導入はエポキシ基含有
モノマーを用いる方法が好ましく用いられる。エポキシ
基含有モノマーは一分子内に少なくとも一つのエポキシ
基および少なくとも1つの重合官能基を有する化合物で
あればよく、市販品および合成品のいずれも好適に使用
できる。このエポキシ基含有モノマーの重合方法につい
ても特に制限はなく、該モノマーが反応により高分子鎖
に共有結合を介して組み込まれるものであればよいが、
好ましくは、カチオン重合、ラジカル重合、ゾルゲル反
応、などであり、特にカチオン重合が好ましい。以下、
カチオン重合、ラジカル重合、ゾルゲル法の順に説明す
る。上記エポキシ基含有モノマーの重合法がカチオン重
合の場合について説明する。カチオン重合性を有する官
能基としてはエポキシ基が好ましく、この場合本発明の
エポキシ基含有モノマーは単なるエポキシ基と重合性基
としてのエポキシ基をそれぞれ1つ以上有し、すなわち
一分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物を意味
する。カチオン重合性基を有するエポキシ基含有モノマ
ーの具体例を以下に示すが本発明はこれらに限定される
ものではない。また2種以上のモノマーを混合して用い
てもよい。
【0084】
【化11】
【0085】
【化12】
【0086】
【化13】
【0087】上記カチオン重合性モノマーは通常のカチ
オン重合開始剤を好適に用いることができるが、本発明
では塗布液安定性、製造適性、などの観点より、光カチ
オン重合開始剤が特に好ましい。光カチオン重合開始剤
としてはジアリールヨードニウム塩、トリアリールスル
ホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩などのオニウム塩な
どが挙げられる。また上記光カチオン重合開始剤と併用
して増感色素も好ましく用いることができる。光カチオ
ン重合開始剤の添加量としては全モノマー成分に対して
0.1〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.5
〜10重量%である。次に、上記エポキシ基含有モノマ
ーの重合法がラジカル重合である場合について説明す
る。ラジカル重合性を有する官能基としてはビニル基が
好ましい。ビニル基を有するエポキシ基含有モノマーの
具体例を以下に示すが本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0088】
【化14】
【0089】上記のラジカル重合性エポキシ基含有モノ
マーはいずれも重合性ビニル基を1つしか有していない
ため、他に2つ以上の重合性ビニル基を有する多官能ビ
ニルモノマーを加えて用いるのが好ましい。多官能ビニ
ルモノマーの具体例としては、例えばオレフィン類(例
えばブタジエン、ペンタジエン、ジビニルシクロヘキサ
ンなど)、アクリル酸エステル類(エチレングリコール
ジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートな
ど)、メタクリル酸エステル類(エチレングリコールジ
メタクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラメ
タクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレ
ートなど)、スチレン誘導体(1,4−ジビニルベンゼ
ン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエス
テルなど)、ビニルスルホン類(ジビニルスルホンな
ど)、アクリルアミド類(メチレンビスアクリルアミド
など)、メタクリルアミド類などを挙げることができる
が本発明はこれらに限定されるものではない。
【0090】上記多官能モノマーの最適な含量は併用す
る単官能モノマーの種類や組み合わせにより異なるが、
好ましくは共重合ポリマー成分の10〜90重量%、よ
り好ましくは20〜70重量%である。
【0091】上記ラジカル重合性モノマーの重合には通
常のラジカル重合開始剤を好適に用いることができる
が、本発明では塗布液安定性、製造適性、などの観点よ
り、光ラジカル重合開始剤が特に好ましい。光ラジカル
重合開始剤としては芳香族ケトン類、アセトフェノン
類、ジケトン類などのカルボニル化合物、ジスルフィド
類などの硫黄化合物、過酸化ベンゾイルなどの有機過酸
化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、
などが挙げられる。また上記光ラジカル重合開始剤と併
用して増感色素も好ましく用いることができる。光ラジ
カル重合開始剤の添加量としては全モノマー成分に対し
て0.1〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.
5〜10重量%である。
【0092】次に、上記エポキシ基含有モノマーの重合
法がゾルゲル法である場合について説明する。ゾルゲル
反応性を有する官能基としてはアルコキシシリル基が好
ましい。ゾルゲル反応性基を有するエポキシ基含有モノ
マーの具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキ
シシラン、4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメト
キシシラン、4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメト
キシシラン、などが挙げられるが本発明はこれらに限定
されるものではない。また上記エポキシ基含有モノマー
に加えて、前述のオルガノシラン類を必要に応じて用い
ることもでき、テトラエトキシシラン、テトラメトキシ
シラン、メチルトリメトキシシラン、などが好ましくは
用いられる。
【0093】以上、重合法がカチオン重合、ラジカル重
合、ゾルゲル法、の場合について説明したが、他の重合
法も同様に適用可能である。
【0094】本発明の接着層の形成方法について以下に
説明する。モノマーと開始剤を含む塗布液(接着層塗布
液)をカーテンフローコート、ディップコート、スピン
コート、ロールコートなどの塗布法によって、透明フィ
ルムあるいは高または中屈折率層等に塗布し、加熱乾
燥、紫外線照射などの必要に応じた処理を行うことによ
り、本発明の接着層は形成される。以上、接着層が反応
性基としてエポキシ基を有するモノマーの重合により得
られる場合について詳細に説明したが、反応性基がエポ
キシ基以外の官能基である場合、および反応性基を有し
ない場合も、適当なモノマーを用いることにより上記同
様に接着層を構成することができる。以下に本発明の接
着層組成の具体例を示すが本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0095】
【化15】
【0096】
【化16】
【0097】本発明の反射防止膜は、上記の方法で組成
物を塗設して形成された低屈折率層(1) および接着層
(2) が、それよりも高い屈折率を有する高屈折率層(3)
の上に形成され、3層以上の層より構成されることが好
ましい。低屈折率層の屈折率は1.45以下が好まし
く、特に1.40以下が好ましい。接着層の屈折率は特
に制限はないが、1.45以上1.7以下が好ましい。
高屈折率層の屈折率は1.7以上が好ましく、特に1.
75以上が好ましい。また、これらの層が支持体、好ま
しくは透明フィルム上に塗設されていることが好まし
い。
【0098】また、本発明の反射防止膜は、上記の方法
で組成物を塗設して形成された低屈折率層(1) および接
着層(2) が、それよりも高い屈折率を有する高屈折率層
(3)の上に形成され、高屈折率層(3) に隣接し、低屈折
率層(1) の反対側に中屈折率層(4) が、さらに層(5)
(支持体下塗など)の屈折率と高屈折率層の屈折率の中
間の屈折率を有する中屈折率層の上に高屈折率層が形成
された4層より構成されることが特に好ましい。高屈折
率層の屈折率としては、1.7以上が好ましく、特に
1.75以上が好ましい。また、これらの層が支持体、
好ましくは透明フィルム上に塗設されていることが好ま
しい。
【0099】それぞれの層の膜厚は、層(1) が50〜2
00nm、層(2) が1〜50nm、層(3) が50〜200n
m、層(4) が50〜200nm、層(5) が1μm〜100
μmが好ましく、更に好ましくは層(1) が60〜150
nm、層(2) が1〜30nm、層(3) が50〜150nm、層
(4) が60〜150nm、層(5) が5〜20μm、特に好
ましくは層(1) が60〜120nm、層(2) が1〜15n
m、層(3) が50〜100nm、層(4) が60〜120n
m、層(5) が5〜10μmである。層(5) は屈折率が
1.60以下であることが好ましく、層(4) は層(3) と
層(5) の中間の屈折率が好ましい。
【0100】本発明の反射防止膜の代表例を図1に示
す。各層はそれぞれ、低屈折率層11接着層14、高屈
折率層12、支持体13を示す。反射防止膜を構成する
層数の増加は、通常反射防止膜が適用可能な光の波長範
囲を拡大する。これは、金属化合物を用いる従来の多層
膜の形成原理に基づくものである。
【0101】上記三層を有する反射防止膜では、高屈折
率層12及び低屈折率層11がそれぞれ下記の条件(1)
及び(2) を一般に満足する。 mλ/4×0.7<n1 1 < mλ/4×1.3 (1) nλ/4×0.7<n2 2 < nλ/4×1.3 (2) 上記式に於て、mは正の整数(一般に、1、2又は3)
を表し、n1 は高屈折率層の屈折率を表し、d1 は高屈
折率層の層厚(nm)を表し、nは正の奇数(一般に、
1)を表し、n2 は低屈折率層の屈折率を表し、そして
2 は低屈折率層の層厚(nm)を表す。高屈折率層の屈
折率n1 は、一般に透明フィルムより少なくとも0.0
5高く、そして、低屈折率層の屈折率n2 は、一般に高
屈折率層の屈折率より少なくとも0.1低くかつ透明フ
ィルムより少なくとも0.05低い。更に、高屈折率層
の屈折率n1 は、一般に1.7〜2.2の範囲にある。
上記条件(1) 及び(2) は、従来から良く知られた条件で
あり、例えば、特開昭59−50401号公報に記載さ
れている。
【0102】本発明の反射防止膜の他の代表例を図2に
示す。下塗層20と中屈折率層22が透明フィルム(支
持体)23上に形成され、高屈折率層24が中屈折層2
2上に形成され、さらに接着層25および低屈折率層2
1が高屈折率層24上に形成されている。中屈折層率2
2の屈折率は、高屈折率層24と下塗層20との間の値
を有する。図2の反射防止膜は、図1の反射防止膜に比
較して、更に適用可能な光の波長領域が拡がっている。
【0103】四層を有する反射防止膜の場合、中、高及
び低屈折率層がそれぞれ下記の条件(3) 〜(5) を一般に
満足する。 hλ/4×0.7<n3 3 <hλ/4×1.3 (3) kλ/4×0.7<n4 4 <kλ/4×1.3 (4) jλ/4×0.7<n5 5 <jλ/4×1.3 (5) 上記式に於て、hは正の整数(一般に、1、2又は3)
を表し、n3 は中屈折率層の屈折率を表し、d3 は中屈
折率層の層厚(nm)を表し、kは正の整数(一般に、
1、2又は3)を表し、n4 は高屈折率層の屈折率を表
し、d4 は高屈折率層の層厚(nm)を表し、jは正の奇
数(一般に、1)を表し、n5 は低屈折率層の屈折率を
表し、そしてd5 は低屈折率層の層厚(nm)を表す。中
屈折率層の屈折率n3 は、一般に1.5〜1.7の範囲
にあり、高屈折率層の屈折率n4 は、一般に1.7〜
2.2の範囲にある。
【0104】本発明の反射防止膜は、一般に、支持体と
その上に設けられた低屈折率層からなる。支持体は通
常、透明フィルムである。透明フィルムを形成する材料
としては、セルロース誘導体(例、ジアセチルセルロー
ス、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニル
セルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニ
ルセルロース及びニトロセルロース)、ポリアミド、ポ
リカーボネート(例、米国特許第3,023,101号
に記載のもの)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレン
テレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシ
エタン−4,4′−ジカルボキシレート及び特公昭48
−40414号公報に記載のポリエステル)、ポリスチ
レン、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピ
レン及びポリメチルペンテン)、ポリメチルメタクリレ
ート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリスルホ
ン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリ
エーテルイミド及びポリオキシエチレンを挙げることが
できる。トリアセチルセルロース、ポリカーボネート及
びポリエチレンテレフタレートが好ましい。透明フィル
ムの屈折率は1.40〜1.60が好ましい。
【0105】本発明の反射防止膜が、多層膜である場
合、一般に、低屈折率層は、低屈折率層より高い屈折率
を有する少なくとも一層の層(即ち、前記の高屈折率
層、中屈折率層)と共に用いられる。上記より高い屈折
率を有する層を形成するための有機材料としては、熱可
塑性樹脂(例、ポリスチレン、ポリスチレン共重合体、
ポリカーボネート、ポリスチレン以外の芳香環、複素
環、脂環式環状基を有するポリマー、またはフッ素以外
のハロゲン基を有するポリマー);熱硬化性樹脂組成物
(例、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ないしエポキシ
樹脂などを硬化剤とする樹脂組成物);ウレタン形成性
組成物(例、脂環式ないしは芳香族イソシアネートおよ
びポリオールの組み合わせ);およびラジカル重合性組
成物(上記の化合物(ポリマー等)に二重結合を導入す
ることにより、ラジカル硬化を可能にした変性樹脂また
はプレポリマーを含む組成物)などを挙げることができ
る。高い皮膜形成性を有する材料が好ましい。上記より
高い屈折率を有する層は、有機材料中に分散した無機系
微粒子も使用することができる。上記に使用される有機
材料としては、一般に無機系微粒子が高屈折率を有する
ため有機材料単独で用いられる場合よりも低屈折率のも
のも用いることができる。そのような材料として、上記
に述べた有機材料の他、アクリル系を含むビニル系共重
合体、ポリエステル、アルキド樹脂、繊維素系重合体、
ウレタン樹脂およびこれらを硬化せしめる各種の硬化
剤、硬化性官能基を有する組成物など、透明性があり無
機系微粒子を安定に分散せしめる各種の有機材料を挙げ
ることができる。
【0106】さらに有機置換されたケイ素系化合物をこ
れに含めることができる。これらのケイ素系化合物は一
般式: R51 m 52 n SiZ(4-m-n) (ここでR51及びR52は、それぞれアルキル基、アルケ
ニル基、アリル基、またはハロゲン、エポキシ、アミ
ノ、メルカプト、メタクリロイルないしシアノで置換さ
れた炭化水素基を表し、Zは、アルコキシル基、アルコ
キシアルコキシル基、ハロゲン原子ないしアシルオキシ
基から選ばれた加水分解可能な基を表し、m+nが1ま
たは2である条件下で、m及びnはそれぞれ0、1また
は2である。)で表される化合物ないしはその加水分解
生成物である。
【0107】これらに分散される無機系微粒子の好まし
い無機化合物としては、アルミニウム、チタニウム、ジ
ルコニウム、アンチモンなどの金属元素の酸化物を挙げ
ることができる。これらの化合物は、微粒子状で、即ち
粉末ないしは水および/またはその他の溶媒中へのコロ
イド状分散体として、市販されている。これらをさらに
上記の有機材料または有機ケイ素化合物中に混合分散し
て使用する。
【0108】上記より高い屈折率を有する層を形成する
材料として、被膜形成性で溶剤に分散し得るか、それ自
身が液状である無機系材料(例、各種元素のアルコキシ
ド、有機酸の塩、配位性化合物と結合した配位化合物
(例、キレート化合物)、活性無機ポリマー)を挙げる
ことができる。これらの好適な例としては、チタンテト
ラエトキシド、チタンテトラ−i−プロポキシド、チタ
ンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラ−n−ブト
キシド、チタンテトラ−sec −ブトキシド、チタンテト
ラ−tert−ブトキシド、アルミニウムトリエトキシド、
アルミニウムトリ−i−プロポキシド、アルミニウムト
リブトキシド、アンチモントリエトキシド、アンチモン
トリブトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジル
コニウムテトラ−i−プロポキシド、ジルコニウムテト
ラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブト
キシド、ジルコニウムテトラ−sec −ブトキシド及びジ
ルコニウムテトラ−tert−ブトキシドなどの金属アルコ
レート化合物;ジイソプロポキシチタニウムビス(アセ
チルアセトネート)、ジブトキシチタニウムビス(アセ
チルアセトネート)、ジエトキシチタニウムビス(アセ
チルアセトネート)、ビス(アセチルアセトンジルコニ
ウム)、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニ
ウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、
アルミニウムジ−i−プロポキシドモノメチルアセトア
セテート及びトリ−n−ブトキシドジルコニウムモノエ
チルアセトアセテートなどのキレート化合物;さらには
炭素ジルコニルアンモニウムあるいはジルコニウムを主
成分とする活性無機ポリマーなどを挙げることができ
る。上記に述べた他に、屈折率が比較的低いが上記の化
合物と併用できるものとしてとくに各種のアルキルシリ
ケート類もしくはその加水分解物、微粒子状シリカとく
にコロイド状に分散したシリカゲルも使用することがで
きる。
【0109】本発明の反射防止膜は、表面にアンチグレ
ア機能(即ち、入射光を表面で散乱させて膜周囲の景色
が膜表面に移るのを防止する機能)を有するように処理
することができる。例えば、このような機能を有する反
射防止膜は、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成
し、そしてその表面に反射防止膜(例、低屈折率層等)
を形成することにより得られる。上記微細な凹凸の形成
は、例えば、無機又は有機の微粒子を含む層を透明フィ
ルム表面に形成することにより行なわれる。50nm〜2
μm の粒径を有する微粒子を低屈折率層形成塗布液に、
0.1〜50重量%の量で導入し、反射防止膜の最上層
に凹凸を形成しても良い。アンチグレア機能を有する
(即ち、アンチグレア処理された)反射防止膜は、一般
に3〜30%のヘイズを有する。
【0110】本発明の反射防止膜(アンチグレア機能を
有する反射防止膜が好ましい)は、液晶表示装置(LC
D)、プラズマディスプレイ(PDP)、エクレトロル
ミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置
(CRT)等の画像表示装置に組み込むことができる。
このような反射防止膜を有する画像表示装置は、入射光
の反射が防止され、視認性が格段に向上する。本発明の
反射防止膜を備えた液晶表示装置(LCD)は、たとえ
ば、下記の構成を有する。透明電極を有する一対の基板
とその間に封入されたネマチック液晶からなる液晶セ
ル、及び液晶セルの両側に配置された偏光板からなる液
晶表示装置であって、少なくとも一方の偏光板が表面に
本発明の反射防止膜を備えている液晶表示装置。
【0111】本発明においては、中間層としてハードコ
ート層、防湿防止層、帯電防止層等を、透明フィルム上
に設けることもできる。ハードコート層としては、アク
リル系、ウレタン系、エポキシ系のポリマー及び/又は
オリゴマー及びモノマー(例、紫外線硬化型樹脂)の他
に、シリカ系の材料も使用することができる。
【0112】
【実施例】以下に実施例を挙げ本発明を更に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例中、部および%は、特に断らない限り重量基準で
ある。
【0113】(1) シリル基含有ビニル系樹脂(P−12)
の調製 還流冷却器、攪拌機を装着した1リットル三ツ口フラスコ
に、フッ素モノマーFM−4を30.6g、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン5.4gを入れ、
窒素気流下70℃に加熱攪拌した。2,2′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)
よりV−65の名称で市販)4.8gをメチルエチルケ
トン25mlに溶解した溶液を添加すると同時に、27
5.4gのFM−4、γ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン48.6gに19.2gのV−65を溶
解した溶液の滴下を開始し、等速で6時間かけて滴下し
た。滴下終了後、4.8gのV−65と25mlのメチル
エチルケトン溶液を加え、80℃でさらに4時間加熱攪
拌を行ったのちメチルエチルケトン280mlを加え、冷
却する事により標記P−12の溶液635gを得た。固
形分含量は54.4%、得られたポリマーのゲルパーミ
エーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算
数平均分子量は9600であった。
【0114】(2) 低屈折率層用ゾル液の調製 (ゾル液A)攪拌機、還流冷却器を備えた反応器にメチ
ルトリメトキシシラン100g、ジメチルジメトキシシ
ラン50g、シリル基含有ビニル樹脂(固形分50%に
調製)50g、エタノール40gを加え混合したのち、
0.01N塩酸水溶液30gを加え、60℃で4分間反
応させたのち、室温まで冷却し、低屈折率層用ゾル液A
を得た。
【0115】(ゾル液B)攪拌機、還流冷却器を備えた
反応器にテトラエトキシシラン25g、3,3,3−ト
リフルオロプロピルトリメトキシシラン25g、0.0
1N塩酸水溶液15gを加え、25℃で20時間攪拌
し、低屈折率層用ゾル液Bを得た。
【0116】(3) 接着層用塗布液の調製 (イ)グリセルロースポリグリシジルエーテル(ナガセ
化成工業(株)製デナコールEX−314)100重量
部、光カチオン重合開始剤(ユニオン・カーバイト・日
本(株)製、サイラキュアUVI−6990)5重量部
をメチルエチルケトンで希釈し、接着層用塗布液イとし
た。
【0117】(ロ)ジペンタエリスリトールヘキサアク
リレート50重量部、メタクリル酸グリシジル50重量
部、光ラジカル重合開始剤(チバガイギー社製イルガキ
ュア907)5重量部、光増感剤(日本化薬社製カヤキ
ュア−DETX)1.3重量部をメチルエチルケトンで
希釈し、接着層用塗布液ロとした。
【0118】(ハ)ジペンタエリスリトールヘキサアク
リレート50重量部、アセトアセトキシエチルメタクリ
レート50重量部、光ラジカル重合開始剤(チバガイギ
ー社製イルガキュア907)5重量部、光増感剤(日本
化薬社製カヤキュアーDETX)1.3重量部をメチル
エチルケトンで希釈し、接着層用塗布液ハとした。
【0119】(ニ)テトラエトキシシラン33.5重量
部、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン
33.5重量部、0.01N塩酸水溶液23重量部を混
合し、25℃で20時間攪拌した後、トリス(アセチル
アセトナート)アルミニウム5重量部を加え、さらにメ
チルエチルケトンで希釈し、接着層用塗布液ニとした。
【0120】(ホ)ポリメタクリル酸メチルをメチルエ
チルケトンで希釈し、接着層用塗布液ホとした。
【0121】(4) 第1層(ハードコート層)の塗設 25重量部のジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサア
クリレート(商品名:DPHA、日本化薬(株)製)、
25重量部のウレタンアクリレートオリゴマー(商品
名:UV−6300B、日本合成化学工業(株)製)、
2重量部の光重合開始剤(商品名:イルガキュアー90
7、チバ−ガイギー社製)及び0.5重量部の増感剤
(商品名:カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)
を50重量部のメチルエチルケトンに溶解した塗布液
を、90μm の厚みを有するTACフィルム上にワイヤ
ーバーを用いて塗布し、次いで塗布膜に紫外線照射して
ハードコート層(屈折率:1.53、層厚:5μm )を
形成した。
【0122】(5) 第2層(中屈折率層)の塗設 TiO2 の微分散液とバインダーとしてポリメチルメタ
クリレート(屈折率:1.48)を含む塗布液(固形
分:2重量%、TiO2 /バインダー=22/78、重
量比)を、ハードコート層の上にワイヤーバーを用いて
塗布し、100℃で乾燥して、中屈折率層(屈折率:
1.62、層厚:78nm)を形成した。 (6) 第3層(高屈折率層)の塗設 TiO2 の微分散液と上記バインダーを含む塗布液(固
形分:2重量%、TiO2 /バインダー=68/32、
重量比)を、中屈折率層の上にワイヤーバーを用いて塗
布し、100℃で乾燥して、高屈折率層(屈折率:2.
00、層厚:127nm)を形成した。 (7) 第4層(接着層)の塗設 上記(3) の接着層用塗布液イ〜ホをメチルエチルケトン
で希釈し、高屈折率層の上に表1に示す膜厚になる様に
ワイヤーバーを用いて塗布し、接着層を形成した。この
とき接着層用塗布液イ、ロおよびハは塗布後100℃で
1分間乾燥した後12W/cmの高圧水銀灯を用いて1分
間紫外線照射し重合硬化させた。塗布液ニおよびホは塗
布後120℃で3分間乾燥した。
【0123】
【表1】
【0124】(8) 第5層(低屈折率層)の塗設 上記(2) の低屈折率層用ゾル液AおよびBに表1に示す
金属キレート化合物をゾル液に対して8重量%加え、さ
らにメチルエチルケトンで希釈し、接着層の上に膜厚9
5nmとなる様にワイヤーバーを用いて塗布し、120
℃、5分間乾燥して低屈折率層を形成した。層の屈折率
は1.3〜1.5の範囲であった。 (9) 塗設フィルムの性能評価 こうして得られた第1〜5層を塗設したフィルムについ
て、表面反射率(光波長400〜650nmの平均反射
率)および膜表面強度の測定および剥離試験を実施し
た。膜表面強度は、ティッシュ、消しゴム、手指爪先、
スチールウールでそれぞれこすり、目視観察し、ティッ
シュこすりで傷付くものを0、消しゴムこすりで傷付く
ものを1、手指爪先こすりで傷付くものを2、スチール
ウールこすりで傷付くものを3、どの方法でも傷が認め
られないものを4とした。剥離試験は、セロハンテープ
を用いて行ない、全く剥離しないものを○、剥離したも
のを×、とした。結果を表2に示した。
【0125】
【表2】
【0126】本実施例から明らかなように、本発明の反
射防止膜は非常に低い表面反射率と広い波長領域を有
し、かつ十分に強靱な膜強度および密着性を有している
ことがわかる。また、指紋跡もティッシュふき取りで容
易に消す事ができ耐汚れ付着性も良好であった。一方、
比較例では表面反射率あるいは密着性が不十分のものが
多かった。
【0127】(10)(反射防止フィルムを設置した表示装
置の作成) 上記実施例で作成した実施例1〜10、比較例1〜3の
反射防止フィルムを日本電気株式会社より入手したパー
ソナルコンピューターPC9821NS/340Wの液
晶ディスプレイ表面に貼り付け、表面装置サンプルを作
成し、その表面反射による風景映り込み程度を目視にて
評価した。本発明の実施例1〜10の反射防止フィルム
を設置した表示装置は周囲の風景映り込みが殆どなく、
快適な視認性を示しかつ充分な表面強度および密着性を
有するものであった。これに対して、比較例2および3
のフィルムを設置した表示装置は周囲の映り込みが多
く、視認性が劣るものであった。また、比較例1のフィ
ルムを設置したものは密着性が劣るものであった。
【0128】
【発明の効果】本発明では、オルガノシランの加水分解
物および/またはその部分縮合物を塗設して成る低屈折
率層を、予め塗設した光学的に十分薄い接着層の上に塗
設することにより、光学特性、膜強度、密着性に優れた
大面積の反射防止膜を安価にかつ製造適性を有した形で
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止膜の代表的な一例の断面図を
示す。
【図2】本発明の反射防止膜の代表的な別の一例の断面
図を示す。
【符号の説明】
11、21:低屈折率層 14、25:接着層 12、24:高屈折率層 22:中屈折率層 13、23:透明フィルム 20:下層層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の上にオルガノシランの加水分解
    物および/またはその部分縮合物を含有する組成物を塗
    設して形成された低屈折率層を有する反射防止膜であっ
    て、該低屈折率層の下に膜厚が1〜50nmであり、エポ
    キシ基を含有するモノマーを重合硬化して形成される接
    着層が塗設されていることを特徴とする反射防止膜。
  2. 【請求項2】 該接着層が多官能エポキシ化合物の光カ
    チオン重合硬化膜であることを特徴とする請求項1記載
    の反射防止膜。
  3. 【請求項3】 該低屈折率層が金属キレート化合物を含
    有することを特徴とする請求項1または2記載の反射防
    止膜。
  4. 【請求項4】 更に高屈折率層を有し、表層より順に、
    低屈折率層(1) 、接着層(2) 、高屈折率層(3) 、から構
    成され、各層の屈折率および膜厚がそれぞれ、層(1):
    1.30〜1.45、50〜200nm、層(2):1.45
    〜1.70、1〜50nm、層(3):1.70〜2.20、
    50〜200nm、であることを特徴とする請求項1乃至
    3記載の反射防止膜。
  5. 【請求項5】 該高屈折率層(3) に隣接し、低屈折率層
    (1) の反対側に層(4) を有し、該層(4) が層(1) と層
    (3) の中間の屈折率を有し、膜厚が50〜200nmであ
    ることを特徴とする請求項4記載の反射防止膜。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5に記載の反射防止膜を配
    置したことを特徴とする表示装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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