JPH11240836A - ステロイド化合物の医薬組成物 - Google Patents

ステロイド化合物の医薬組成物

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JPH11240836A
JPH11240836A JP10308379A JP30837998A JPH11240836A JP H11240836 A JPH11240836 A JP H11240836A JP 10308379 A JP10308379 A JP 10308379A JP 30837998 A JP30837998 A JP 30837998A JP H11240836 A JPH11240836 A JP H11240836A
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JP10308379A
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Akio Miwa
明生 三輪
Tomohiro Yamahira
智浩 山平
Atsuo Ishibe
厚夫 石部
Shigeru Itai
茂 板井
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Taisho Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Taisho Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的はステロイド化合物を可溶化す
ることであり、これにより注射剤では水不溶性のため注
射が不可能であった薬物の製剤化、経口剤では溶解性が
悪いため吸収性が悪かった薬物についての吸収促進が可
能である。 【解決手段】 親水基と疎水基を導入したキトサン誘導
体とステロイド化合物により形成されるミセル様水性組
成物、及び親水基と疎水基を導入したキトサン誘導体を
ステロイド化合物と共に水性溶媒中に加えミセル様水性
組成物を形成させることによりステロイド化合物を可溶
化する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、親水基及び疎水基
を導入したキトサン誘導体を用いて疎水性のステロイド
化合物を可溶化する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、界面活性剤、シクロデキスト
リン類、その他高分子化合物を用いることによる疎水性
薬物の可溶化について報告されている。そのうち、キト
サン誘導体については、特公昭63−28414号公報
にキチン及び/又はキトサンを用いて疎水性薬物の溶出
性を改善させた製剤が、特開平2−131434号公報
に低分子量キトサンを用いて疎水性薬物の水に対する溶
解性及び溶出性を改善させた製剤が、特開平4−180
36号公報にアルカリ可溶性の低分子量キトサンとアル
カリ不溶性の高分子量キトサンとを用いて疎水性薬物の
水に対する溶解性及び溶出性を改善させた製剤が開示さ
れている。しかしながら、前記のキチン又はキトサン類
を用いてもミセル様水性組成物を形成させることができ
ず、それゆえ、疎水性薬物の注射剤としての製剤化は困
難である。
【0003】また、最近キトサン誘導体で疎水性薬物を
可溶化した技術について報告されているが、カルボキシ
メチル基を導入したキトサン誘導体により疎水性薬物を
可溶化した例はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ミセ
ル様水性組成物を形成し得るステロイド化合物含有医薬
組成物を提供することであり、これにより注射剤では水
不溶性のため注射が不可能であった薬物の製剤化、経口
剤では溶解性が悪いため吸収性が悪かった薬物について
の吸収促進が可能である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的に
ついて鋭意検討した結果、親水基と疎水基を導入した新
規キトサン誘導体が疎水性のステロイド化合物とミセル
様水性組成物を形成することを見いだし本発明を完成し
た。すなわち、本発明は下記(1)及び(2) (1)式
【0006】
【化5】
【0007】(式中、Rは炭素原子数1〜13のアルキ
ル基を示す。)で表されるステロイド化合物、(2)式
【0008】
【化6】
【0009】(式中、R1は水素原子、アセチル基、炭
素原子数9〜21のアルキル基又は炭素原子数9〜21
のアルカノイル基を示し、R2は水素原子又はカルボキ
シ−C1-5アルキル基を示す。)で表され、かつR1で示
されるN−アセチル基の脱アセチル化度が70〜100
%であり(1単糖につき1個脱アセチル化された場合を
100%とする)、R1で示されるアルキル基の置換度
が10〜100%であり(1単糖につき1個置換された
場合を100%とする)、カルボキシ−C1-5アルキル
基の置換度が50〜200%であり(1単糖につき2個
置換された場合を200%とする)、更にカルボキシメ
チルキチン換算分子量が15万以下であるキトサン誘導
体又はその塩からなる医薬組成物であり、又他の本発明
は式[I]のステロイド化合物を可溶化するにあたり、ス
テロイド化合物を前記キトサン誘導体又はその塩と混合
しミセル様水性組成物とすることを特徴とするステロイ
ド化合物の可溶化方法である。
【0010】本発明において、Rで示される炭素原子数
1〜13のアルキル基とは直鎖状又は分枝鎖状のアルキ
ル基を意味し、例えばメチル基、エチル基、イソブチル
基、イソペンチル基、イソヘキシル基、イソヘプチル
基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基などであり、
疎水性及び薬効面からノニル基又はデシル基においてよ
り効果が発揮できる。また、カルボキシメチルキチン換
算分子量とは前記式[II]において炭素原子数9〜21の
アルキル基又は炭素原子数9〜21のアルカノイル基を
導入する前の原料カルボキシメチルキチンの分子量に換
算した分子量をいう。
【0011】前記式[II]において、R1で示される炭素
原子数9〜21のアルキル基とは、直鎖状又は分枝鎖状
のいずれでもよいが、好ましくは直鎖状のC9-21アルキ
ル基、すなわち、式 -(CH2)nCH3(式中、nは8〜20
の整数)で表されるアルキル基である。R1で示される
炭素原子数9〜21のアルカノイル基とは、直鎖状又は
分枝鎖状のいずれでもよいが、好ましくは直鎖状の飽和
9-21アルカノイル基、すなわち、式 -CO(CH2)nCH
3(式中、nは7〜19の整数)で表されるアルカノイ
ル基である。また、R2で示されるカルボキシ−C1-5
ルキル基のアルキル部分は直鎖状又は分枝鎖状のいずれ
でもよいが、好ましくは直鎖状のカルボキシ−C1-5
ルキル基、すなわち、式 -(CH2)nCOOH(式中、nは1
〜5の整数)で表される基、具体的にはカルボキシメチ
ル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピ
ル基、4−カルボキシブチル基、5−カルボキシペンチ
ル基である。当該カルボキシ−C1-5アルキル基のカル
ホキシル部分は塩、好ましくはナトリウム塩、カリウム
塩等のアルカリ金属塩を形成していてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明におけるステロイド化合物
は、抗腫瘍活性を有する新規な化合物であり、特にRが
ノニル基又はデシル基の場合において抗腫瘍活性を発揮
する。当該ステロイド化合物は文献(Chem.Be
r.,第100巻,第464頁,1967年)記載のス
テロイド誘導体3β,12β−ジヒドロキシ−5α−プ
レグナン−20−オン(1)を出発原料として用い、下
記のスキーム1及びスキーム2に示す製法にしたがって
合成することができる。以下にRがノニル基又はデシル
基の場合を例としたステロイド化合物の合成法を概説す
る。
【0013】
【化7】
【0014】
【化8】
【0015】化合物(1)にN,N−ジイソプロピルエ
チルアミンなどの塩基存在下、クロロメチルメチルエー
テルを反応させて3位及び12位の水酸基を保護した誘
導体(2)を得る。化合物(2)に1−ブロモデカン又
は1−ブロモウンデカンから調製したグリニヤール試薬
を作用させて20位アルコール体(3):低極性異性体
及び(4):高極性異性体を得る。引続き、化合物
(3)と化合物(4)の混合物をイソプロパノールなど
の低級アルコール中、濃塩酸、濃硫酸又はパラトルエン
スルホン酸などの酸と作用させて20,22−(E)−
オレフィン体(5)を主生成物として得る。化合物
(5)に触媒量の酸化バナジウムアセチルアセトナート
の存在下、及び炭酸水素ナトリウムなどの塩基の存在下
又は非存在下、tert−ブチルヒドロペルオキシド又
はクメンヒドロペルオキシドを作用させて、20,22
−β−エポキシ体(6):高極性異性体及び20,22
−α−エポキシ体(7):低極性異性体を約10:1〜
5:1の生成比で得る。化合物(6)と化合物(7)の
混合物をピリジンなどの溶媒中、4−ジメチルアミノピ
リジンなどの塩基存在下、無水酢酸と反応させて3β,
12β−ジアセトキシ体(8)及び(9)を得る。両化
合物をカラムクロマトグラフィーにて分離し、得られた
β−エポキシ体(8)を塩化水素などの酸を含有した、
酢酸エチルなどの有機溶媒中にて反応させ、3β,12
β−ジアセトキシアリルアルコール体(10)及び3
β,22α−ジアセトキシ体(11)の混合物を得る。
両化合物をカラムクロマトグラフィーにて分離し、得ら
れた化合物(10)を塩化水素などの酸を含有した、酢
酸エチルなどの有機溶媒中にて反応させ、化合物(1
0)及び化合物(11)の混合物を得る。両化合物をカ
ラムクロマトグラフィーにて分離し、得られた化合物
(10)に対して上記と同様の操作を繰り返して化合物
(11)を得る。化合物(11)に触媒量の酸化バナジ
ウムアセチルアセトナートの存在下、tert−ブチル
ヒドロペルオキシド又はクメンヒドロペルオキシドを作
用させて、20,21−エポキシ体(12)を得る。化
合物(12)をメタノールなどの低級アルコール中、炭
酸カリウムなどの塩基と反応させて本発明のステロイド
化合物(13)を得る。
【0016】本発明は、ステロイド化合物とキチン誘導
体を含有することを特徴とするミセル様水性組成物又は
その乾燥組成物を提供するものである。ここで本発明で
いうミセル様水性組成物とはステロイド化合物が水性溶
媒中に均一に分散し肉眼的には澄明又は乳白色になり、
薬物が可溶化した溶液状の組成物を意味する。ここで用
いる水性溶媒としては蒸留水等が挙げられる。更に、こ
れに適宜、塩類、糖類、酸などが添加されていてもよ
く、これらの例として、注射用蒸留水、生理食塩水、糖
液、輸液、緩衝液等が挙げられる。更に、前記の水溶性
溶媒は毒性を示さない限り、水溶性有機溶媒、例えば少
量のエタノール等を含んでいてもよい。また、その水性
組成物を適宜常法の乾燥手段により乾燥したものを乾燥
組成物という。
【0017】ステロイド化合物とキトサン誘導体との配
合割合は、重量比で1:0.5〜1:5であることが好
ましい。
【0018】可溶化に際してその手段は特に限定されな
いが、キトサン誘導体の膨潤の際は温度をかけた方が好
ましく、温度は20〜100℃、更に好ましくは40〜
60℃である。薬物を添加しミセルを形成させる際は、
超音波処理することが好ましい。溶解量は超音波処理時
間に影響され、処理時間は10〜120分、更に好まし
くは20〜40分である。例えば、キトサン誘導体2重
量部を温度をかけて撹拌し高分子を膨潤溶解させる。そ
の後、ステロイド化合物を1重量部添加して、超音波処
理を施すと薬物が均一に分散したミセル様水性組成物が
得られる。注射剤とするには水性組成物等の溶液を調製
する際に滅菌状態の溶液、例えば滅菌蒸留水を用い、メ
ンブランフィルターろ過等の滅菌処理を行う。
【0019】本発明の医薬組成物はミセル様水性組成物
あるいはその乾燥組成物のいずれでも良いが、乾燥組成
物はステロイド化合物が安定に保存されることからより
好ましい。乾燥組成物を得るには、一度水性組成物とし
た溶液を各種の乾燥手段により、乾燥物とする方法等が
挙げられる。乾燥手段としては、凍結乾燥法、スプレー
ドライ法、減圧乾燥法等があるが、特に凍結乾燥法が好
ましい。このようにして得られた本発明のミセル様水性
組成物又は乾燥組成物は、注射剤、経口剤、坐剤、経粘
膜投与剤及び外用剤等の製剤として使用可能である。
【0020】
【実施例】以下に製造例、実施例及び試験例を挙げて本
発明を説明するが、本発明はこれらの記載のみに限定さ
れるものではなく、製造機器、製造手法、薬物の種類及
び配合量、高分子の分子量、置換基の種類、置換度、配
合量について本明細書に開示した範囲で任意に設定する
ことが可能である。
【0021】なお、製造例に記載する化合物番号はスキ
ーム1及びスキーム2に示した化合物番号と対応してい
る。また、製造例に記載する化合物番号に付随するaは
スキーム1及びスキーム2に示した化合物のRがノニル
基(n−C919)の場合を示し、bはスキーム1及び
スキーム2に示した化合物のRがデシル基(n−C10
21)の場合を示している。
【0022】製造例1(ステロイド化合物のRがノニル
基の場合) 1)化合物(2)の合成 化合物(1)7.0gをジクロロメタン70mlに溶解
し、クロロメチルメチルエーテル5.05g及びN,N−
ジイソプロピルエチルアミン8.10gを加え、7時間
還流した。放冷後、反応液に氷水を加えて酢酸エチルに
て抽出し、抽出液を水、飽和食塩水にて順次洗浄し、無
水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を留去して得ら
れた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
[ヘキサン:酢酸エチル=2:1(v/v)にて溶出]
に付し、当該化合物画分を得た。これをヘキサンより再
結晶し、無色プリズム晶(2)を6.7g得た。
【0023】mp:94〜95℃ Anal.Calcd for C25425:C,71.05;
H,10.02 Found:C,71.25;H,10.10 IR(KBr)νcm-1:1701,1150,10421 H−NMR(200MHz,CDCl3)δppm:0.
74(3H,s),0.82(3H,s),2.19(3H,s),2.68(1H,t,J=8Hz),3.
34(3H,s),3.36(3H,s),3.34-3.43(1H,m),3.43-3.58(1H,
m),4.63-4.74(4H,m) FABMS(+KI) m/z:461(MK+)。
【0024】2)化合物(3a)及び化合物(4a)の
合成 マグネシウム603mgにジエチルエーテル20ml及
び触媒量のヨウ素を加え、窒素雰囲気下、1−ブロモデ
カン4.71gのジエチルエーテル40ml溶液を室温
にて滴下し、1時間撹拌した。このグリニヤール試薬溶
液を0℃に冷却した後、化合物(2)3.00gのベン
ゼン15ml溶液を滴下し、0℃にて1時間撹拌した。
反応液を塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルに
て抽出した。抽出液を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸
マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧下留去して粗生成
物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー
[ヘキサン:酢酸エチル=3:1(V/V)にて溶出]
にて精製し、化合物(3a)と化合物(4a)の混合物
を4.05g得た。この混合物は分離することなく、次
の反応に用いた。この混合物の一部を上記と同様のシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーにて分離し、先に溶出
する画分から無色粘性物質(3a)を得、引き続き後か
ら溶出する画分から無色粘性物質(4a)を得た。
【0025】化合物(3a) IR(neat)νcm-1:3431,2927,1467,1152,110
1,1050,10241 H−NMR(300MHz,CDCl3)δppm:0.
83(3H,s),0.86(3H,s),0.88(3H,t,J=6.5Hz),1.19(3H,s),
1.97-2.07(1H,m),3.32-3.40(1H,m),3.37(3H,s),3.41(3
H,s),3.42-3.56(1H,m),4.68(2H,s),4.70(1H,d,J=6.9H
z),4.84(1H,d,J=6.9Hz),5.18(1H,s) FABMS(+KI) m/z:603(MK+)。
【0026】化合物(4a) IR(neat)νcm-1:3434,2927,1467,1151,110
2,1050,10241 H−NMR(300MHz,CDCl3)δppm:0.
83(3H,s),0.84(3H,s),0.88(3H,t,J=6.7Hz),1.05(3H,s),
1.97-2.07(1H,m),3.33-3.43(1H,m),3.37(3H,s),3.42(3
H,s),3.43-3.57(1H,m),4.68(2H,s),4.70(1H,d,J=6.7H
z),4.79(1H,s),4.83(1H,d,J=6.6Hz) FABMS(+KI) m/z:603(MK+)。
【0027】3)化合物(5a)の合成 化合物(3a)と化合物(4a)の混合物4.05gを
イソプロパノール100mlに溶解し、濃塩酸2mlを
加えて6.5時間還流した。反応液を冷却後、溶媒を留
去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー[ヘキサン:酢酸エチル=2:1(V/V)にて溶
出]にて精製し、無色アモルファス(5a)を2.40
g得た。
【0028】IR(KBr)νcm-1:3459,2925,285
3,1467,10421 H−NMR(300MHz,CDCl3)δppm:0.
74(3H,s),0.82(3H,s),0.88(3H,t,J=6.7Hz),2.28(1H,t,J
=9.6Hz),3.52-3.66(2H,m),5.49(1H,t,J=7.2Hz) FABMS(+KI) m/z:497(MK+)。
【0029】4)化合物(6a)の合成 化合物(5a)2.40gをジクロロメタン90mlに
溶解し、炭酸水素ナトリウム1.32g及び酸化バナジ
ウムアセチルアセトナート138mgを加えて窒素雰囲
気下、0℃に冷却した。この溶液にtert−ブチルヒ
ドロペルオキシド(3.86Mジクロロメタン溶液)1
3.5mlを加え、0℃にて3.5時間撹拌した。反応液
に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及
び飽和食塩水にて順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムに
て乾燥した。溶媒を減圧下留去して得られた粗生成物を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン:酢酸
エチル=2:1〜3:2(V/V)にて溶出]にて精製
し、化合物(6a)と化合物(7a)の混合物[(6
a)が主生成物]を1.90g得た。この混合物は分離
することなく、次の反応に用いた。上記のクロマトグラ
フィーにて先に溶出する画分から化合物(7a)と化合
物(6a)の混合物が得られ、後から溶出する画分から
無色アモルファス(6a)が得られた。
【0030】化合物(6a) IR(KBr)νcm-1:3400,2925,1467,10471 H−NMR(300MHz,CDCl3)δppm:0.
69(3H,s),0.80(3H,s),0.88(3H,t,J=6.7Hz),1.29(3H,s),
3.23(1H,dd,J=11.3 and 4.6Hz),3.29(1H,t,J=6.1Hz),4.
44(1H,s) FABMS(+KI) m/z:513(MK+)。
【0031】5)化合物(8a)の合成 化合物(6a)と化合物(7a)の混合物1.90gを
ピリジン20mlに溶解し、無水酢酸2.04g及び4
−ジメチルアミノピリジン244mgを加え、室温にて
14時間撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、希塩酸
及び飽和食塩水にて順次洗浄後、無水硫酸マグネシウム
にて乾燥した。溶媒を減圧下留去して得られた粗生成物
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン:酢
酸エチル=8:1(V/V)にて溶出]にて精製し、先
に溶出する画分から無色粘性物質(8a)を1.26g
得、引き続き化合物(9a)を含む画分を得た。
【0032】化合物(8a) IR(neat)νcm-1:2926,2855,1739,1468,136
9,1245,10241 H−NMR(300MHz,CDCl3)δppm:0.
82(3H,s),0.86(3H,s),0.88(3H,t,J=6.5Hz),1.25(3H,s),
2.01(3H,s),2.05(3H,s),2.57(1H,dd,J=8.5 and2.4Hz),
4.61(1H,dd,J=11.1 and 4.8Hz),4.62-4.75(1H,m) LSIMS m/z:559(MH+)。
【0033】6)化合物(10a)及び化合物(11
a)の合成 化合物(8a)6.92gに0.01規定塩化水素酢酸エ
チル溶液500mlを加え、室温にて5時間撹拌した。
反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、飽和食
塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。
溶媒を減圧下留去して得られた粗生成物をシリカゲルフ
ラッシュカラムクロマトグラフィー[ヘキサン:酢酸エ
チル=10:1〜4:1(V/V)にて順次溶出]にて
精製し、先に溶出する画分から無色粘性物質(11a)
を3.37g、後から溶出する画分から無色粘性物質
(10a)を3.14g得た。
【0034】ここで得られた化合物(10a)3.14
gに0.01規定塩化水素酢酸エチル溶液200mlを
加え、室温にて4時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素
ナトリウム水溶液を加え、飽和食塩水にて洗浄後、無水
硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧下留去して
得られた粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマ
トグラフィー[ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜5:1
(V/V)にて順次溶出]にて精製し、先に溶出する画
分から化合物(11a)を1.28g、後から溶出する
画分から化合物(10a)を1.40g得た。この化合
物(10a)1.40gを上記と同様に反応させ、化合
物(11a)(全収量5.55g)及び化合物(10
a)(収量644mg)を得た。
【0035】化合物(10a) IR(neat)νcm-1:3469,2927,2845,1737,137
0,1247,10261 H−NMR(300MHz,CDCl3)δppm:0.
84(3H,s),0.88(3H,t,J=6.8Hz),0.91(3H,s),1.92(3H,s),
2.01(3H,s),2.33(1H,t,J=9.9Hz),3.84-3.91(1H,m),4.61
-4.74(2H,m),4.97(1H,s),5.02(1H,s) LSIMS m/z:597(MH+)。
【0036】化合物(11a) IR(neat)νcm-1:2928,1736,1243,10241 H−NMR(300MHz,CDCl3)δppm:0.
78(3H,s),0.84(3Hs),0.88(3H,t,J=6.7Hz),2.02(3H,s),
2.08(3H,s),2.21(1H,t,J=9.9Hz),3.49(1H,dd,J=11.0 an
d 4.9Hz),4.61-4.75(1H,m),5.18(1H,s),5.25(1H,s),5.2
7(1H,t,J=7.2Hz) LSIMS m/z:597(MH+)。
【0037】7)化合物(12a)の合成 化合物(11a)5.55gをジクロロメタン200m
lに溶解し、窒素雰囲気下、0℃に冷却後、80%クメ
ンヒドロペルオキシド3.75gのジクロロメタン3m
l溶液を加えて0℃にて4.5時間撹拌した。反応液に
酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び
飽和食塩水にて順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて
乾燥した。溶媒を減圧下留去して得られた粗生成物をシ
リカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー[ヘキサ
ン:酢酸エチル=5:1〜4:1(V/V)にて溶出]
にて精製し、無色粘性物質(12a)を4.81g得
た。
【0038】IR(neat)νcm-1:3436,2927,28
54,1736,1241,10281 H−NMR(300MHz,CDCl3)δppm:0.
67(3H,s),0.82(3H,s),0.88(3H,t,J=6.7Hz),2.02(3H,s),
2.08(3H,s),2.73(1H,d,J=3.9Hz),3.07(1H,d,J=3.9Hz),
3.34(1H,dd,J=11.0 and 4.6Hz),4.18(1H,s),4.62-4.75
(1H,m),4.77(1H,t,J=6.7Hz) FABMS m/z:575(MH+)。
【0039】8)化合物(13a)の合成 化合物(12a)4.81gをメタノール150mlに
溶解し、無水炭酸カリウム3.47gを加え、室温にて
1時間撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、水及び飽
和食塩水にて順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾
燥した。溶媒を減圧下留去して得られた粗生成物をシリ
カゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー[ヘキサ
ン:酢酸エチル=1:1〜2:3(V/V)にて溶出]
にて精製し、当該化合物画分3.0gを得た。これをヘ
キサン−酢酸エチルにて再結晶し、無色粉末(13a)
を2.54g得た。
【0040】mp:74〜77℃ Anal.Calcd for C31544:C,75.87;
H,11.09 Found:C,75.57;H,11.2
9 IR(KBr)νcm−1:3401,2926,28531 H−NMR(300MHz,CDCl3)δppm:0.
69(3H,s),0.81(3H,s),0.88(3H,t,J=6.7Hz),2.86(1H,d,J
=4.0Hz),3.05(1H,d,J=4.0Hz),3.30-3.41(1H,m),3.37(1
H,dd,J=10.9 and 4.6Hz),3.52-3.66(1H,m),4.15(1H,br
s) LSIMS(+KI) m/z:529(MK+)。
【0041】製造例2(ステロイド化合物のRがデシル
基の場合) 11)化合物(3b)及び化合物(4b)の合成 製造例1の2)に記載した方法に準拠し,1−ブロモウ
ンデカンを用いて反応を行い、化合物(3b)及び化合
物(4b)を得た。
【0042】化合物(3b) Anal.Calcd for C36665:C,74.69;
H,11.49 Found:C,74.68;H,11.54 IR(KBr)νcm-1:3431,2927,2853,1467,1382,1
152,1101,1050,10241H−NMR(300MHz,CD
Cl3)δppm:0.83(3H,s),0.86(3H,s),0.88(3H,t,J
=6.6Hz),1.19(3H,s),1.98-2.08(1H,m),3.33-3.39(1H,
m),3.36(3H,s),3.41(3H,s),3.43-3.58(1H,m),4.66(2H,
s),4.70(1H,d,J=6.8Hz),4.84(1H,d,J=6.8Hz),5.17(1H,
s,exchangeable) FABMS(+KI) m/z:617(MK+)。
【0043】化合物(4b) Anal.Calcd for C36665:C,74.69;
H,11.49 Found:C,74.52;H,11.53 IR(neat)νcm-1:3435,2927,2853,1467,136
7,1151,1101,1050,10241H−NMR(300MHz,C
DCl3)δppm:0.83(3H,s),0.84(3H,s),0.88(3H,
t.J=6.7Hz),1.05(3H,s),3.32-3.42(1H,m),3.36(3H,s),
3.41(3H,s),4.68(2H,s),4.70(1H,d,J=6.8Hz),4.78(1H,
s,exchangeable),4.83(1H,d,J=6.8Hz) FABMS(+KI) m/z:617(MK+)。
【0044】12)化合物(5b)の合成 製造例1の3)に記載した方法に準拠し,化合物(5
b)を得た。
【0045】mp:80〜83℃ IR(KBr)νcm-1:3446,2921,2851,1470,1449,1
381,1081,10451 H−NMR(300MHz,CDCl3)δppm:0.
74(3H,s),0.82(3H,s),0.88(3H,t,J=6.7Hz),1.67(3H,s),
2.27(1H,t,J=9.6Hz),3.52-3.66(2H,m),5.49(1H,t,J=6.9
Hz) FABMS m/z:471(MH+)。
【0046】13)化合物(6b)の合成 製造例1の4)に記載した方法に準拠し,化合物(6
b)を得た。
【0047】化合物(6b) IR(KBr)νcm-1:3401,2924,28541 H−NMR(300MHz,CDCl3)δppm:0.
69(3H,s),0.80(3H,s),1.29(3H,s),3.23(1H,dd,J=11.1 a
nd 4.5Hz),3.29(1H,t,J=6.0Hz),3.52-3.66(1H,m),4.43
(1H,s) LSIMS(+KI) m/z:527(MK+)。
【0048】14)化合物(8b)の合成 製造例1の5)に記載した方法に準拠し,化合物(8
b)を得た。
【0049】化合物(8b) IR(neat)νcm-1:2926,2854,1737,12451 H−NMR(300MHz,CDCl3)δppm:0.
82(3H,s),0.86(3H,s),0.88(3H,t,J=6.7Hz),2.01(3H,s),
2.05(3H,s),2.57(1H,dd,J=8.7 and 2.4Hz),4.60(1H,dd,
J=11.0 and 4.9Hz),4.61-4.74(1H,m) FABMS(+KI) m/z:611(MK+)。
【0050】15)化合物(10b)及び化合物(11
b)の合成 製造例1の6)に記載した方法に準拠し,化合物(10
b)及び化合物(11b)を得た。
【0051】化合物(10b) IR(neat)νcm-1:3479,2926,2854,1737,124
5,10271 H−NMR(300MHz,CDCl3)δppm:0.
84(3H,s),0.88(3H,t,J=6.7Hz),0.92(3H,s),1.92(3H,s),
2.01(3H,s),2.33(1H,dd,J=10.8 and 9.1Hz),3.85-3.93
(1H,m),4.62-4.75(2H,m),4.98(1H,s),5.02(1H,s) FABMS(+KI) m/z:611(MK+)。
【0052】化合物(11b) IR(neat)νcm-1:3543,2926,2854,1736,124
3,10241 H−NMR(300MHz,CDCl3)δppm:0.
78(3H,s),0.84(3H,s),0.88(3H,t,J=6.7Hz),2.02(3H,s),
2.08(3H,s),2.21(1H,t,J=9.9Hz),2.32(1H,d,J=2.8Hz),
3.44-3.53(1H,m),4.62-4.75(1H,m),5.18(1H,s),5.25(1
H,s),5.27(1H,t,J=7.2Hz) FABMS(+KI) m/z:611(MK+)。
【0053】16)化合物(12b)の合成 製造例1の7)に記載した方法に準拠し,化合物(12
b)を得た。 IR(neat)νcm-1:3452,2926,2854,1735,124
1,10291 H−NMR(200MHz,CDCl3)δppm:0.
67(3H,s),0.82(3H,s),0.88(3H,t,J=6.5Hz),2.02(3H,s),
2.08(3H,s),2.73(1H,d,J=3.8Hz),3.07(1H,d,J=3.8Hz),
3.34(1H,dd,J=10.8 and 4.6Hz),4.18(1H,s),4.59-4.78
(1H,m),4.78(1H,t,J=6.6Hz) FABMS m/z:589(MH+)。
【0054】17)化合物(13b)の合成 製造例1の8)に記載した方法に準拠し,化合物(13
b)を得た。 mp:84〜89℃ IR(KBr)νcm-1:3401,2926,28521 H−NMR(200MHz,CDCl3)δppm:0.
69(3H,s),0.80(3H,s),0.88(3H,t,J=6.5Hz),2.14(1H,t,J
=9.6Hz),2.25(1H,br s,exchangeable),2.86(1H,d,J=3.9
Hz),3.05(1H,d,J=3.9Hz),3.26-3.42(1H,m),3.37(1H,dd,
J=11.1 and 4.7Hz),3.49-3.72(1H,m),4.18(1H,br s,exc
hageable) FABMS(+KI) m/z:543(MK+) 高分解能FABMS(+KI) m/z:Calcd
for C32564 K:543.3816 Found:543.3813。
【0055】製造例3(キトサン誘導体の製造) 粉砕したキチン(ムラサキイカ甲由来)2gに55%水
酸化ナトリウム(8ml)、8%ドデシル硫酸ナトリウ
ム(200μl)を加え、4℃で2時間撹拌し、アルカ
リキチンを調製した。これを−20℃で8時間凍結後室
温で融解し、再度−20℃で8時間凍結後室温で融解し
た。これに2−プロパノール(30ml)を加え、撹拌
しながらモノクロロ酢酸を中和するまで加えて粗カルボ
キシメチルキチンを得た。これをメタノール洗浄、透
析、ろ過することで得られた精製カルボキシメチルキチ
ンに45%水酸化ナトリウム(40ml)、2−プロパ
ノール(40ml)を加え、110℃で1時間還流し
た。2−プロパノールを除去し、水層を塩酸で中和した
後、メタノールで粗カルボキシメチルキトサンを析出さ
せた。これを透析して得られた精製カルボキシメチルキ
トサンに40mlの水とメタノール(40ml)を加え
た。これにラウリルアルデヒド(4g)を加えて、30
分間撹拌した後、水素化ホウ素ナトリウム(1.3g)
を加えて、室温で8時間撹拌した。これにアセトンを加
えて得られた沈澱をメタノール、ヘキサンで洗浄し、透
析、凍結乾燥してラウリル化カルボキシメチルキトサン
(0.75g)を得た。得られたラウリル化カルボキシ
メチルキトサンの物性は下記表1のとおりであった。
【0056】
【表1】
【0057】なお、キチン及びその誘導体の物性(分子
量、脱アセチル化度、カルボキシメチル化度、ラウリル
化度)は、それぞれ次の方法で測定した。カルボキシメ
チルキチンの分子量は、井上らの方法(Inoue Y.,Kanek
o M. andTokura S., Rep.Progr.Polym.Phys.Jap.,25,75
9(1982))で測定した。脱アセチル化度、カルボキシメ
チル化度、ラウリル化度はキチン及びその誘導体を元素
分析計(2400CHN元素分析計 パーキンエルマー
社製)で測定し、得られた元素組成から置換度を算出し
た。
【0058】実施例 製造例3で得たラウリル化カルボキシメチルキトサン
(カルボキシメチルキチン分子量50000、ラウリル
化度90%、カルボキシメチル化度140%、脱アセチ
ル化度100%)240mgに精製水50mlを加え5
0℃で2〜3時間撹拌しキチン誘導体を膨潤させた。こ
れに、製造例1で得た化合物(13a)のエタノール溶
液(12mg/ml)10mlを添加した。その後、プ
ローブ型超音波処理装置(ブランソン製 sonifi
er250型,20kHz,20〜30W)にて40分
間超音波処理し、可溶化させることにより薄い乳白色を
帯びた溶液を得た。次いで精製水に対し室温で1晩透析
し、3000rpmで30分間遠心分離した後、上澄液
を孔径5μmのメンブランフィルターでろ過することに
より(13a)の化合物を封入したミセル様組成物を得
た。
【0059】本ミセル様組成物を、1日投与分(約5.
2ml)ずつバイアルに分注し(薬物濃度 1.2mg
/ml)、凍結乾燥(共和真空技術製 Triomas
ter−A−04)して保存した。
【0060】1バイアルにつき0.15Mリン酸緩衝液
(pH7.4)を5.2ml加え10分間撹拌した。箱型
超音波処理装置(ヤマト科学製 BRANSON820
0型)にて5〜30分超音波処理しさらにプローブ型超
音波処理装置(ブランソン製sonifier250
型,20kHz,20〜30W)にて5分間超音波処理
した。次いで、1500rpmで5分間遠心分離を行
い、上澄液を回収し定量及び粒子径測定のサンプルとし
た。
【0061】試験例 (13a)の化合物の定量については、サンプル500
μlを採取し凍結乾燥(ヤマト科学製 DC56A型)
したものにエタノールを1ml添加し箱型超音波処理装
置(ヤマト科学製 BRANSON8200型)で5分
間超音波処理した。遠心分離により不溶物を取り除き上
澄液を試料溶液とした。試料溶液30μlにつき、高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて含量を測
定した。
【0062】HPLC条件 カラム:内径4mm×15cmのステンレス管に直径5
μmの液体クロマトグラフ用ODSを充填する。
【0063】カラム温度:50℃ 充填剤:ODS80Tm 移動相:アセトニトリル:水=80:20 検出波長:228nm 流速:1.0ml/分 注入量:30μl。
【0064】実施例のサンプルについて動的光散乱法で
粒子径を測定した。
【0065】粒子径測定条件 装置:DLS7000(大塚電子) 希釈液:精製水 積算回数:200回 サンプリング時間:8μsec 解析方法:ヒストグラム法(マルカット法) 分布表示:重量分布 結果を表にまとめた。
【0066】
【表2】
【0067】(13a)はほとんど水には溶けない難溶
性薬物(水への溶解度は0.001mg/ml以下)で
あるが、実施例では(13a)をミセル様水性組成物に
封入することにより溶解量が格段に増大した。また、実
施例のミセル粒度分布は重量分布表示でほぼ単一なピー
クを示し、平均粒子径は73nmであった。本組成物は
澄明もしくは薄い乳白色を帯びた溶液となった。
【0068】
【発明の効果】親水基及び疎水基を導入したキトサン誘
導体を用いることにより、ステロイド化合物を可溶化し
た。従って、これまで水不溶性のため注射が困難であっ
たステロイド化合物についても製剤化でき、経口剤等で
溶解性が悪いため吸収性が悪かった薬物についても吸収
促進効果が期待できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 板井 茂 東京都豊島区高田3丁目24番1号 大正製 薬株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(1)及び(2)からなる医薬組成物 (1)式 【化1】 (式中、Rは炭素原子数1〜13のアルキル基を示
    す。)で表されるステロイド化合物、(2)式 【化2】 (式中、R1は水素原子、アセチル基、炭素原子数9〜
    21のアルキル基又は炭素原子数9〜21のアルカノイ
    ル基を示し、R2は水素原子又はカルボキシ−C1-5アル
    キル基を示す。)で表され、かつR1で示されるN−ア
    セチル基の脱アセチル化度が70〜100%であり(1
    単糖につき1個脱アセチル化された場合を100%とす
    る)、R1で示されるアルキル基の置換度が10〜10
    0%であり(1単糖につき1個置換された場合を100
    %とする)、カルボキシ−C1-5アルキル基の置換度が
    50〜200%であり(1単糖につき2個置換された場
    合を200%とする)、更にカルボキシメチルキチン換
    算分子量が15万以下であるキトサン誘導体又はその
    塩。
  2. 【請求項2】 Rがノニル基又はデシル基のステロイド
    化合物である請求項1記載の医薬組成物。
  3. 【請求項3】 ミセル様水性組成物である請求項1又は
    2記載の医薬組成物。
  4. 【請求項4】 乾燥組成物であり、水性溶媒に溶解した
    時にミセルを形成する請求項1又は2記載の医薬組成
    物。
  5. 【請求項5】 抗腫瘍剤である請求項1〜4のいずれか
    記載の医薬組成物。
  6. 【請求項6】 式 【化3】 (式中、Rは炭素原子数1〜13のアルキル基を示
    す。)で表されるステロイド化合物を可溶化するにあた
    り、ステロイド化合物を式 【化4】 (式中、R1は水素原子、アセチル基、炭素原子数9〜
    21のアルキル基又は炭素原子数9〜21のアルカノイ
    ル基を示し、R2は水素原子又はカルボキシ−C1-5アル
    キル基を示す。)で表され、かつR1で示されるN−ア
    セチル基の脱アセチル化度が70〜100%であり(1
    単糖につき1個脱アセチル化された場合を100%とす
    る)、R1で示されるアルキル基の置換度が10〜10
    0%であり(1単糖につき1個置換された場合を100
    %とする)、カルボキシ−C1-5アルキル基の置換度が
    50〜200%であり(1単糖につき2個置換された場
    合を200%とする)、更にカルボキシメチルキチン換
    算分子量が15万以下であるキトサン誘導体又はその塩
    とを混合しミセル様水性組成物とすることを特徴とする
    ステロイド化合物の可溶化方法。
  7. 【請求項7】 Rがノニル基又はデシル基のステロイド
    化合物である請求項6記載の可溶化方法。
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CN1318453C (zh) * 2005-07-21 2007-05-30 浙江大学 荧光标记疏水改性壳寡糖聚合物及制备方法和应用
CN108445236A (zh) * 2018-02-07 2018-08-24 深圳市新产业生物医学工程股份有限公司 甾体类衍生物和其保存液以及其应用

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