JPH11240064A - 射出延伸ブロー成形によるペイント容器等の広口容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 口部が内外周壁による二重構造で胴部が薄肉
のペイント等の広口容器を、延伸ブロー成形する際に生
ずる該口部の変形をリブにより防止する。 【解決手段】 広口容器を胴部２と一体の内周壁３と、
その内周壁３の外側に所要幅の接続部５を介してＨ状形
に一体形成した帯状の外周壁４と、接続部５により両壁
間の上下部に区画形成した環状溝７，８とから大径の口
部１を構成する。胴部２を内周壁３の下側から外周壁４
の下縁に接する所まで薄肉に延伸ブロー成形して胴部側
面を外周壁４と同一面に形成する。下部環状溝８により
口部下部内を中空に形成する。接続部５の下面の外周壁
側と外周壁４の内側面とのコーナーに、胴部延伸時の接
続部５の変形を防止するリブ９を内周壁３から離して斜
めに一体形成する。そのリブ９の所要数を下部環状溝８
内に一定間隔ごとに設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、射出延伸ブロー
成形により胴部が薄肉に形成された合成樹脂製のペイン
ト、ワックス等の広口容器に関するものである。

【０００２】

【発明が解決しようとする課題】ペイント、ワックス等
の広口容器では、口部を外周壁とその内側に環状溝を隔
てて該外周壁よりも低く形成した内周壁とから構成し、
その内周壁により形成された口部内側面に蓋体を嵌合す
ると共に、蓋体の周縁を外周壁の内側に嵌合して密閉状
態を維持している。また蓋体の取外しは、外周壁と蓋体
周縁との隙間にドライバー等の先端を差込み、外周壁を
支えとしてドライバーのグリップを押下げることにより
簡単に行えるようになっている。

【０００３】このような口部が二重壁による広口容器
は、金属製によるものが殆どであったが、最近では合成
樹脂製のものも射出成形や射出ブロー成形などを採用し
て製造している。しかしこれらの成形によるものは胴部
を薄肉に形成することができず、また金属に比べて強度
も劣ることから落下により破損し易いなどの課題を有す
る。

【０００４】そこで二軸延伸により樹脂の強化が可能な
射出延伸ブロー成形を採用して、ペイント容器等を製造
することが試みられている。国際公開公報９７／１９８
０１号に記載のペイント容器は、帯状の外周壁とその内
側に接続部により環状溝を隔てて該外周壁よりも低く形
成した内周壁とによる大径の口部と、その内周壁の下側
に連続成形された有底の胴部とからなるプリフォームを
射出成形し、そのプリフォームをペイント容器成形用の
ブロー金型に移行して、胴部以下を内周壁の下側から延
伸ブローして製造されるというものである。

【０００５】この射出延伸ブロー成形は、冷却固化した
口部外周壁と内周壁とを口部成形型とコア型とにより挟
持して、加熱状態にある胴部以下を軸方向に延伸し、殆
ど同時に胴部を外周壁の下側に突出形成したスカート部
までエアブローして、内周壁と胴部との境を未延伸の接
続部と、肩状に延伸された胴上部との一体化により形成
するというものである。

【０００６】かかる手段によるペイント容器では、延伸
ブローによる胴部及び底部の薄肉化と二軸配向によっ
て、射出成形又は射出ブロー成形によるものよりも軽量
で落下強度にも優れ、樹脂によってはガスバリア性にも
優れるなどの特徴を有する。

【０００７】しかしながら、上記従来技術では延伸ブロ
ーに際して、スカート部から内周壁の間には上記接続部
を支えるものがないことから、延伸ブロー時に軸方向へ
の引張応力が接続部に集中して、接続部がスカート部と
のコーナー部分から下側に引き込まれて変形し、それに
より内周壁に歪みが生じて、口部の嵌合縁及び内側面と
なる内周壁の口端縁及び内面の成形精度が損なわれ、蓋
体との嵌合に不都合が生ずると共に密閉性も失われるな
どの課題を有する。

【０００８】この軸方向の延伸による内周壁の歪みは、
接続部のスパーンが長いほど顕著に現れ、スパーンを短
く形成することによって改善することはできるが、スパ
ーンを短く形成すると胴部の半径方向の膨張が制限され
て、胴部上方が厚肉になり、底部になるにしたがい薄肉
になるという偏肉が生ずるようになる。このような偏肉
は胴部における座屈強度の低下の原因ともなり、多数個
の容器を多段に積み重ねたときに、荷重による最下段の
容器の変形を招く。

【０００９】また特開昭５７−７７４３９号公報に記載
された射出ブロー成形によるペイント容器のように、外
周壁と内周壁とをリブで繋いで接続部を支えることも考
えられるが、そこに記載のような外周壁と内周壁とにわ
たるようなリブでは、リブのあるところとないところで
は肉厚に差が生ずるため、射出成形時にリブの部分に引
けが生じ易く、さらに延伸ブロー時にも延伸状態に差が
生じ易いことなどから、これらが原因で蓋体と嵌合する
内周壁の内面が凹凸面となり、成形精度が損なわれるこ
とが多い。

【００１０】またリブは外周壁と内周壁とに接してその
間に位置することから、引張応力に耐えるように、リブ
までをも完全に冷却固化するには時間を要し、一方胴部
以下は延伸ブローに必要な熱量を保有する状態でプリフ
ォームの離型を行わなければならないので、リブの形成
による支えは射出延伸ブロー成形にとって必ずしも有効
な手段ととは言い難いものであった。

【００１１】そこで本発明者は、軸方向への延伸による
上記内周壁の引張変形にの防止について研究を重ねた結
果、リブによる接続部の支えであつても、リブの形成の
仕方によってこれまでのような欠点が起こらず、射出延
伸ブロー成形によるペイント容器のような広口容器で
も、延伸による接続部の引張変形を防止し、またリブに
よる口部内側面の凹凸変形も回避でき、冷却固化も短時
間で済ませることができることを見い出したのである。

【００１２】したがって、この発明の目的は、上記接続
部の引張り変形に起因する内周壁の歪みによる課題が、
僅かなリブによる補強手段の採用により解決され、合成
樹脂製であっても二軸配向により胴部が薄肉で落下強度
にも優れた射出延伸ブロー成形によるペイント容器など
の大口径の広口容器を提供することにある。

【００１３】またこの発明は、ペイント缶等と同様に口
部の外周壁と胴部とが同一側面に形成されることによっ
て、胴部の半径方向への膨張が制限されるものであって
も、特定の断面形状のプリフォームの採用により偏肉を
来すことなく胴部の成形を可能とし、多数個の広口容器
の積み重ねをも可能とする射出延伸ブロー成形によるペ
イント容器などの大口径の広口容器を提供することにあ
る。

【００１４】更にまたこの発明は、外周壁を利用して口
部両側にわたり取手を回動自在に取付けることができ、
また蓋体の取外しに際する反動又は容器内の圧力上昇な
どによる蓋体の飛出しなどをも防止することができる射
出延伸ブロー成形によるペイント容器などの大口径の広
口容器を提供することにある。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記目的によるこの発明
は、有底の胴部と一体の内周壁と、その内周壁の外側に
所要幅の接続部を介してＨ状形に一体形成した帯状の外
周壁と、上記接続部により両壁間の上下部に区画形成さ
れた環状溝とから大径の口部を構成し、上記胴部を内周
壁の下側から外周壁の下縁に接する所まで薄肉に延伸ブ
ロー成形して、胴部側面を上記外周壁と同一面に形成す
るとともに、下部環状溝により口部下部内を中空に形成
した広口容器であって、上記接続部の下面の外周壁側と
外周壁の内側面とのコーナーに、胴部延伸時の接続部の
変形を防止するリブを上記内周壁から離して斜めに一体
形成し、その所要数を下部環状溝内に一定間隔ごとに設
けてなる、というものである。

【００１６】このような構成では、射出成形したプリフ
ォームの延伸ブロー成形に際して、内周壁に作用する軸
方向の引張力が接続部に集中しても、上記リブにより接
続部が一定間隔ごとに支えられているので、接続部が耐
えて引張力により内周壁が下方に歪むことがなく、この
ため内周壁の口端縁には変形が起こらず、射出成形時の
水平精度を保つようになる。またリブの位置は外周壁側
にあって、内周壁とは隔離されていることから、リブの
存在による内周壁の内面の引けや延伸状態の差がなどに
起因する内周壁の内面に凹凸が生ずるという課題も解決
され、さらに外周壁と共に速く冷却固化するので、リブ
により口部の冷却時間が長くかかるようなこともなくな
る。

【００１７】またこの発明は、有底の胴部と一体の内周
壁と、その内周壁の外側に所要幅の接続部を介してＨ状
形に一体形成した帯状の外周壁と、上記接続部により両
壁間の上下部に区画形成された環状溝とからなる大径の
口部を備えた射出成形によるプリフォームを、上記内周
壁の下側から胴部が高温状態にあるうち、該胴部を冷却
固化した上記口部を保持して、上記外周壁と同一面に延
伸ブローしてなる、というものでもある。

【００１８】上記プリフォームとしては、上記内周壁に
連なる胴部を厚肉の偏平な円錐体による延伸膨張部と、
その延伸膨張部の頂部を外方へ突出して形成したプリフ
ォーム中央の所要内径の窪み部とから形成し、その窪み
部の底面をほぼ平で薄肉に形成するとともに、窪み部周
囲の延伸膨張部を内方へ弯曲形成したものからなる、と
いうものである。

【００１９】このようなプリフォームでは、上記窪み部
に延伸ロッドの先端部が嵌り込み、伸長により底面が押
圧されると、加熱状態にある延伸膨張部が内周壁の境か
ら引き伸ばされて薄肉化してゆく。このため胴部の半径
方向への膨張が外周壁の位置に制限されるものであつて
も、胴部の肉厚がほぼ均一な広口容器が得られるように
なる。

【００２０】またこの発明は、上記プリフォームの成形
時に外周壁の対称位置に取付穴を形成し、その取付穴に
可撓性を有する紐状の取手の両端内側に突設した嵌合子
を、それぞれ回動自在に嵌合係止して開口部両側にわた
り該取手を取付けてなるというものであり、その上記嵌
合子はタブレット状で、先端上側に半円形の係止片を有
し、かつ取手端部と嵌合子には下端から中央部にわたる
割り溝が形成され、その割り溝による取手端部及び嵌合
子の縮小により係止片とともに嵌合子を上記取付穴に回
動自在に挿入して、該係止片を外周壁の内側に掛け止め
してなる、というものである。

【００２１】さらにこの発明は、合成樹脂による蓋体の
周側縁に掛止用の突起を突設し、その突起を外周壁の側
面に穿設した嵌合穴に差込んで蓋体を閉じることによ
り、開蓋時の反動による蓋体の飛出しを防止してなる、
というものである。

【００２２】さらにまたこの発明は、上記蓋体を上記内
周壁の内面と外周壁の口端縁との両方に嵌合できるよう
に、該蓋体の周縁部を外周壁の口端縁上まで大径に形成
してその周縁を嵌合溝に形成する一方、外周壁の口端縁
外周に係合縁を形成し、その係合縁と上記嵌合溝の内側
の環状溝との二次的な嵌合により、容器の内圧による蓋
体の口部内面との嵌合の緩みによる自然開蓋を阻止した
構造からなるというものであり、また上記蓋体の口部内
面との嵌合の緩みにより漏出したガスを排出してペイン
ト容器内を低減して、口部内面との嵌合による密閉を復
元する通気孔を上記外周壁に穿設してなる、というもの
でもある。

【００２３】

【発明の実施の形態】図１に示す広口容器は、ポリエチ
レンテレフタレート（ＰＥＴ）により成形したペイント
容器であつて、大径の口部１は、有底の胴部２と一体の
内周壁３と、その内周壁３の外側に所要幅の接続部５を
介してＨ状形に一体形成した帯状の外周壁４と、上記接
続部５により両壁間３，４の上下部に区画形成された環
状溝７，８とから構成されている。また外周壁４は内周
壁３よりも高く形成され、その口端縁の外側に突縁６が
一体成形してある。

【００２４】上記胴部２は、内周壁３の下側から外周壁
４の下縁に接して側面が上記外周壁４と同一面となる所
まで薄肉（０．５mm）に、かつ垂直に延伸ブロー成形さ
れており、これにより口部１の下部内が下部環状溝８に
より中空に形成され、また胴部２に連なる底部１０に内
周壁４よりも若干小径の糸底１１が突出成形された広口
のペイント容器を形成している。

【００２５】９，９は上記接続部５を支えるリブで、上
記下部環状溝８の８個所に間隔を同じくして設けられて
いる。このリブ９は接続部５の下面の外周壁側と外周壁
４の内側面とのコーナーに、上記内周壁３から離して斜
めに一体形成され、これにより胴部延伸時の接続部５の
変形を防止している。

【００２６】このような構成のペイント容器は、周知の
ペイント缶と同様に内周側３の内面に蓋体３０が嵌り込
み、その蓋体３０の周縁部３０ａを内周壁３の口端縁３
ａが受けて、蓋体３０が外周壁４の内側に収まるように
なる。

【００２７】図３は上記ペイント容器のプリフォーム１
２を示すもので、上記ペイント容器の口部１は、同一構
造のプリフォーム１２の口部１３として、上記内周壁３
に連なるプリフォーム１２の有底の胴部と共に予め射出
成形される。このプリフォーム胴部は厚肉の偏平な円錐
体による延伸膨張部１４と、その延伸膨張部の頂部１５
を外方へ突出して形成したプリフォーム中央の所要内径
の窪み部１６とから形成し、その窪み部１６の底面１７
をほぼ平で薄肉に形成するとともに、窪み部１６の周囲
の延伸膨張部１４ａを内方へ弯曲形成してなるというも
のである。

【００２８】このプリフォーム１２は、内周壁３の下側
から延伸膨張部１４側が加熱状態にあるうちに射出金型
から離型される。この時点では既にプリフォーム口部１
３は冷却固化されているので、図５に示すように、プリ
フォーム口部１３の外側を抱持している射出成形時の口
部成形型１８により、ブロー金型１９に移送した後に内
周壁４に嵌合したブローコア２０とにより、既に固化し
たプリフォーム口部１３を挟持して、広口容器に延伸ブ
ロー成形される。

【００２９】この延伸ブロー成形は、ブローコア２０に
仕込んだ延伸ロッド２１の先端部２２を窪み部１６に収
め、その延伸ロッド２１によりプリフォーム中央部を下
方へ押圧して、プリフォーム胴部を内周壁３の下側から
軸方向に伸長し、殆ど同時にエアブローにより延伸膨張
部１４を半径方向へ膨張させることにより行われる。

【００３０】上記延伸ロッド２１の伸長によりプリフォ
ーム１２では、まず延伸膨張部１４の上部が引き伸ばさ
れて僅かではあるが薄肉化する。その薄肉化によりその
部分の温度が低下するので延伸は下側の未延伸部に移
り、さらに内方へ弯曲形成した窪み部１６の周囲の延伸
膨張部１４ａが延伸されて、プリフォーム胴部は縦長の
円錐体に変形してゆく、これによりブロー金型１９のキ
ャビティ面に対するプリフォーム胴部の距離が底部にな
るに従い長くなって、上方と下方とにおける半径方向へ
の延伸倍率に差が生じても、その差は肉厚によってある
程度相殺されることになって、ペイント容器の胴部２の
偏肉が防止される。

【００３１】このようなことから、胴部上方になるにし
たがい半径方向の膨張延伸が制限されて厚肉に形成され
る形態のペイント容器であつても、内周壁３から外周壁
４の下縁に接する所まで薄肉に膨張形成された胴部２の
肉厚分布が整えられて座屈強度が向上するようになる。

【００３２】このような延伸ブロー成形は、加熱状態に
ある上記延伸膨張部１４の表面温度が、内部熱により加
熱されてピークに達する前に行う成形法を採用して行う
ことが好ましい。

【００３３】また上記延伸ロッド２１による軸方向の延
伸に際して、プリフォーム口部１３は既に固化状態にあ
って、口部成形型１８とブローコア２０とにより挟持さ
れているが、内周壁３は片面のみブローコア２０により
保持され、またその保持は上記突縁６の嵌合による外周
壁４の保持と異なって単なる面接触によることから、下
方への引張力により内周壁３に滑りが生じて上記接続部
５に応力が集中するようになる。

【００３４】しかし、その引張応力は接続部５と外周壁
４とのコーナーに形成した上記リブ９，９によって外周
壁４にも分散され、コーナー部分への応力の集中は殆ど
なくなり、またリブ９，９により接続部５が引張力に対
抗する結果、上記内周壁３の接続部５からの歪みが阻止
されて、延伸ブロー成形されたペイント容器でっても、
内周壁３により形成された口部内面及び口端縁３ａに変
形が起こらず、射出成形時の形状と水平精度が確保され
るようになる。

【００３５】また変形防止を下部環状溝８内のリブ９，
９により行うが、そのリブ９，９は内周壁３から隔離さ
れているので、内周壁３と外周壁４とにわたり形成され
た周知のリブと異なって、外周壁４と共に冷却固化され
やすく、また隔離によって内周壁３と接することはない
ので、リブによる内面の引け（射出成形時）や凹凸変形
（延伸ブロー時）も生じ難いものとなる。

【００３６】さらにまた成形後において、接続部５の下
部環状溝８がブロー成形された胴部２によって閉鎖され
た空洞となって残っても、上記リブ９，９が外力に対す
る外周壁４の補強として作用するので、外力による外周
壁４の歪みが阻止されることから、外力による口部１の
変形も防止される。

【００３７】このようなことから、広口容器が延伸ブロ
ー成形による合成樹脂製のものであっても、射出成形に
よる口部１の成形精度に狂いが生じないので、蓋体の嵌
め込みに支障を来さず、密封不良も生じ難いものとな
り、また胴部の二軸配向によって衝撃強度及びガスバリ
ア性も向上し、内容物を外部から識別できるペイント等
の広口容器として使用することが可能となる。さらにま
た延伸ブロー成形が可能な合成樹脂であれば同様な構造
の広口容器として製造できるので、揮発性の内容物の広
口容器として広く応用し得るものとなる。

【００３８】図７〜図１０は、上記外周壁４を利用して
取手２３をペイント容器に取付けた場合であって、上記
プリフォーム１２の成形時に割型の口部成形型１８に設
けた凸部（図は省略）により、外周壁４の対称位置に取
付穴２４，２４を形成し、その取付穴２４，２４に、可
撓性を有する合成樹脂（たとえばポリプロピレン等）に
よる紐状の取手２３の両端内側に突設した嵌合子２５，
２５を、それぞれ回動自在に嵌合係止することによる。

【００３９】上記嵌合子２５，２５はタブレット状で、
先端上側に半円形の係止片２６を有する。また取手端部
と嵌合子２５には下端から中央部にわたる割り溝２７が
形成してあり、この割り溝２７により取手端部と共に嵌
合子２５を押し潰して縮小し、係止片２６を上向きに斜
めに取付穴２４に挿入することができるようにしてあ
る。これにより係止片２６は上記空洞の下部環状溝８内
に収まって、外周壁４の内側に掛け止められる。なお２
８は外周壁４の外側面に凹設した延伸ブロー時の保持溝
である。

【００４０】またペイント容器の底部は、上記糸底１１
に換えて、図７に示すような周囲を段部２ａに形成した
底部であってもよい、この場合、段部２ａの外径を上記
外周壁４の内径よりも若干小径にして、外周壁４の内側
に収まるようにし、また底部周辺２ｂが外周壁４の口端
縁上に重なる高さに形成すると図７，１１に示すよう
に、複数個のペイント容器を積み重ねたときに、荷重が
下側のペイント容器の蓋体３０の押さえとなり、また荷
重により胴部が歪むようなことがあっても外周壁４によ
り支えられて倒れないようになる。

【００４１】図１０は、合成樹脂による上記蓋体３０の
周側縁３０ａに掛止用の突起３０ｂを突設し、その突起
３０ｂの嵌合穴２９を外周壁４の側面に穿設して場合
で、その嵌合穴２９に突起３０ｂを差込んで蓋体３０を
閉じるようにし、また開蓋は突起３０ｂの反対側をこじ
あけるようにして行い、これにより開蓋時の反動による
蓋体３０の飛出しを防止してなるというものである。

【００４２】このような構成では、嵌合穴２９の穿設分
だけ外周壁４の背が内周壁３よりも高く成形され、外周
壁４の口端縁を支点としてドライバー等による蓋体３０
の開蓋が行えなくなるので、図９に示すように、嵌合穴
２９の反対側の縁辺に開蓋用の切欠部３１を形成してい
る。この切欠部３１は上記個所に限定されず他の複数個
所に設けてもよい。

【００４３】図１１は、合成樹脂による蓋体３０を、内
周壁３の内面と外周壁４の口端縁との両方に嵌合するよ
うに、周縁部３０ａをその口端縁上まで大径に形成して
その周縁を嵌合溝３０ｃに形成する一方、外周壁４の口
端縁外周に係合縁３２を形成し、その係合縁３２と上記
嵌合溝３０ｃの内側の環状溝３０ｄとの二次的な嵌合に
より、蓋体３０が熱気などによるソルベントの蒸発によ
り、ペイント容器の内圧が上昇して口部内面との嵌合が
緩み、自然に開蓋するようなことがあつても、周縁部３
０ａと外周壁４の口端縁との嵌合により開蓋を阻止し
て、蓋体３０の飛散を防止した構造からなる。

【００４４】また外周壁４に通気孔３３を穿設し、内圧
の上昇により口部内面との嵌合が損なわれて内部から蒸
発ガスが漏れるようなときには、その通気孔３３からガ
スを排気して内圧を低減し口部内面との嵌合による密閉
を復元するというものでもある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明に係る延伸ブロー成形による広口容
器の縦断面図である。

【図２】 同上の要部拡大断面図である。

【図３】 プリフォームの縦断面図ある。

【図４】 プリフォームの底面図である。

【図５】 プリフォームの延伸ブロー状態を鎖線で示す
ペイント容器成形時の断面図である。

【図６】 同上の口部の拡大部分断面図である。

【図７】 取手付きペイント容器の正面図で、鎖線によ
り積み重ね状態を示す図である。

【図８】 同上の側面図である。

【図９】 同上の一部を切除した平面図である。

【図１０】 取手の取付状態と蓋体周側縁の嵌合状態と
を示す口部の部分縦断面図である。

【図１１】 外周壁の口端縁との嵌合手段を有する蓋体
を備えた口部の部分縦断面図である。

【符号の説明】

１ 口部 ２ 胴部 ３ 内周壁 ３ａ 口端縁 ４ 外周壁 ６ 突縁 ５ 接続部 ７ 上部環状溝 ８ 下部環状溝 ９ リブ １０ 底部 １２ プリフォーム １３ 口部 １４ 延伸膨張部 １４ａ 窪み部周囲の延伸膨張部 １５ 頂部 １６ 窪み部 １４ 底面 ２４ 取付穴 ２５ 嵌合子 ２６ 係止片 ２７ 割り溝 ２９ 嵌合穴 ３０ 蓋体 ３０ａ 周側縁 ３０ｂ 突起 ３０ｃ 嵌合溝 ３０ｄ 環状溝 ３１ 切欠部 ３２ 係合縁 ３３ 通気孔

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 有底の胴部と一体の内周壁と、その内周
   壁の外側に所要幅の接続部を介してＨ状形に一体形成し
   た帯状の外周壁と、上記接続部により両壁間の上下部に
   区画形成された環状溝とから大径の口部を構成し、 上記胴部を内周壁の下側から外周壁の下縁に接する所ま
   で薄肉に延伸ブロー成形して、胴部側面を上記外周壁と
   同一面に形成するとともに、下部環状溝により口部下部
   内を中空に形成した広口容器であって、 上記接続部の下面の外周壁側と外周壁の内側面とのコー
   ナーに、胴部延伸時の接続部の変形を防止するリブを上
   記内周壁から離して斜めに一体形成し、その所要数を下
   部環状溝内に一定間隔ごとに設けてなることを特徴とす
   る射出延伸ブロー成形によるペイント容器等の広口容
   器。
2. 【請求項２】 有底の胴部と一体の内周壁と、その内周
   壁の外側に所要幅の接続部を介してＨ状形に一体形成し
   た帯状の外周壁と、上記接続部により両壁間の上下部に
   区画形成された環状溝とからなる大径の口部を備えた射
   出成形によるプリフォームを、上記内周壁の下側から胴
   部が高温状態にあるうち、該胴部を冷却固化した上記口
   部を保持して、上記外周壁と同一面に延伸ブローしてな
   ることを特徴とする請求項１記載の射出延伸ブロー成形
   によるペイント容器等の広口容器。
3. 【請求項３】 上記プリフォームは、上記内周壁に連な
   る胴部を厚肉の偏平な円錐体による延伸膨張部と、その
   延伸膨張部の頂部を外方へ突出して形成したプリフォー
   ム中央の所要内径の窪み部とから形成し、その窪み部の
   底面をほぼ平で薄肉に形成するとともに、窪み部周囲の
   延伸膨張部を内方へ弯曲形成したものからなることを特
   徴とする請求項２記載の射出延伸ブロー成形によるペイ
   ント容器等の広口容器。
4. 【請求項４】 上記プリフォームの成形時に外周壁の対
   称位置に取付穴を形成し、その取付穴に可撓性を有する
   紐状の取手の両端内側に突設した嵌合子を、それぞれ回
   動自在に嵌合係止して開口部両側にわたり該取手を取付
   けてなることを特徴とする請求項１記載の射出延伸ブロ
   ー成形によるペイント容器等の広口容器。
5. 【請求項５】 上記嵌合子はタブレット状で、先端上側
   に半円形の係止片を有し、かつ取手端部と嵌合子には下
   端から中央部にわたる割り溝が形成され、その割り溝に
   よる取手端部及び嵌合子の縮小により係止片とともに嵌
   合子を上記取付穴に回動自在に挿入して、該係止片を外
   周壁の内側に掛け止めしてなることを特徴とする請求項
   ４記載の射出延伸ブロー成形によるペイント容器等の広
   口容器。
6. 【請求項６】 合成樹脂による蓋体の周側縁に掛止用の
   突起を突設し、その突起を外周壁４の側面に穿設した嵌
   合穴に差込んで蓋体を閉じることにより、開蓋時の反動
   による蓋体の飛出しを防止してなる請求項１記載の射出
   延伸ブロー成形によるペイント容器等の広口容器。
7. 【請求項７】 上記蓋体を上記内周壁の内面と外周壁の
   口端縁との両方に嵌合できるように、該蓋体の周縁部を
   外周壁の口端縁上まで大径に形成して、その周縁を嵌合
   溝に形成する一方、外周壁の口端縁外周に係合縁を形成
   し、その係合縁と上記嵌合溝の内側の環状溝との二次的
   な嵌合により、容器の内圧による蓋体の口部内面との嵌
   合の緩みによる自然開蓋を阻止した構造からなる請求項
   １記載の射出延伸ブロー成形によるペイント容器等の広
   口容器。
8. 【請求項８】 上記蓋体の口部内面との嵌合の緩みによ
   り漏出したガスを排出してペイント容器内を低減して、
   口部内面との嵌合による密閉を復元する通気孔を上記外
   周壁に穿設してなる請求項７記載の射出延伸ブロー成形
   によるペイント容器等の広口容器。