JPH11238895A - 光起電力素子 - Google Patents

光起電力素子

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JPH11238895A
JPH11238895A JP10040234A JP4023498A JPH11238895A JP H11238895 A JPH11238895 A JP H11238895A JP 10040234 A JP10040234 A JP 10040234A JP 4023498 A JP4023498 A JP 4023498A JP H11238895 A JPH11238895 A JP H11238895A
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semiconductor layer
electrode
per unit
operating voltage
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JP10040234A
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English (en)
Inventor
Naoto Okada
直人 岡田
Hirokazu Otoshi
博和 大利
Sunao Yoshisato
直 芳里
Kouichirou Moriyama
公一朗 森山
Hirotsugu Shimoda
寛嗣 下田
Hiroyuki Ozaki
裕之 尾▲崎▼
Masahiro Kanai
正博 金井
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Original Assignee
Canon Inc
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワイヤーグリッドの様な集電電極を用いなが
らも動作電圧の高い太陽電池モジュールを提供するこ
と。 【解決手段】 光入射平面内に単位長さ当りの抵抗値の
平均値が違う少なくとも2種類の集電電極を持ち、かつ
2種類の該集電電極が交差部を有し該集電電極のうち単
位長さ当りの抵抗値の平均値が小さい集電電極の方向に
対して特性値が位置依存性を示していることを特徴とす
る光起電力素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は太陽電池等の大面積
の光起電力素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の太陽電池等の光起電力素子の発展
は目覚しく、その主たる利用分野の移行が確実に進みつ
つある。太陽電池の利用分野は従来までに多岐にわたる
ようになったが数の上では、時計等に組み込まれる小電
力用途が主たる利用分野であった。しかし近年の環境問
題への世界的な関心の高まりとともに太陽電池の電力分
野への利用がひろまりつつある。太陽電池での発電にお
いては数多くの太陽電池モジュールを連結し大電力を実
現するが、この時その利用形態により種々の太陽電池モ
ジュールの連結を工夫する必要がある。例えば住宅屋根
に設置する際にはそのスペースや屋根の向きによる日照
量の差異などを全て勘案し全体として最高の効率を発揮
するように設計されるのが普通である。この様な太陽電
池モジュールの連結を行う際にはその個々の太陽電池モ
ジュールの電圧や電流をもとに連結の仕方を設計するこ
とになる。そのため各太陽電池モジュールには従来のよ
うに単に変換効率のみでなく電圧や電流といった各特性
値に対してもその目的に適した性能が求められている。
特に電圧に関してはインバーターによる変換効率を高く
するためにも、太陽電池モジュール単体の状態から高い
電圧を達成していることが必要となる。従来において、
このようにある特定の特性値を重視して太陽電池モジュ
ールを設計の際には、半導体層の構成や各層の半導体物
性を検討する半導体デバイス単体としてのアプローチ
と、モジュール全体を捉え主に電流の収集過程に注目し
集電電極によるロスを極力抑えるといったモジュール構
成の観点からのアプローチがされてきた。モジュール構
成に関して、動作電圧を高くするために従来取られてき
た方法は集電電極による電圧降下を抑えるために櫛型電
極に代表されるような単位長さ当りの抵抗値を下げる方
法がとられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この様な櫛形の電極を
用いるのは単位長さ当りの抵抗値を変える事により集電
した電流量が増えるに従って電圧降下が大きくなるのを
防ぎ、太陽電池モジュールとしての動作電圧の低下を防
ぐ目的からである。しかしこの時単位長さ当りの抵抗値
を下げるために電極幅を広げる必要になるためにシャド
ウロスが発生し電流を下げてしまう問題があった。生産
性の観点からはワイヤーグリッドの様な一様の線幅の電
極を採用することが望ましいが、それでは場所によって
抵抗値を変化させるのは難しく太陽電池モジュールの動
作電圧の低下を招いてしまう問題が解決できなかった。
そこで上記問題点に鑑みシャドウロスを招かず低コスト
なワイヤーグリッドの様な集電電極を用いながらも動作
電圧の高い太陽電池モジュールを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前述したように動作電圧
を高めようとした際に集電電極のみで解決をするのには
限界がある。そこで本発明は半導体デバイスの設計によ
り高い動作電圧のモジュールを実現しようとするもので
ある。太陽電池としての光起電力素子は縦方向(膜厚方
向)デバイスとしての認識が強く、平面内方向の場所に
よる最適化については殆ど省みられなかった。本発明者
らはこの光起電力素子のその平面内における役割を明ら
かにしその最適化をはかり鋭意検討の結果、本発明に至
ったものである。
【0005】すなわち本発明の光起電力素子は、単位長
さ当りの抵抗値が違う少なくとも2種類の集電電極を持
ち、かつ該集電電極が交差部を有し該集電電極のうち単
位長さ当りの抵抗値が小さい集電電極の方向に対して特
性値に位置依存性を持たせることを特徴としている。ま
た本発明の光起電力素子は前記特性値が最大動作電圧で
あることを特徴としている。また本発明の光起電力素子
は前記最大動作電圧が交差部に向かって減少しているこ
とを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は本発明の光起電力素子101
の一例を示し、光電変換部102と光電変換部102の光照射
平面内に単位長さ当りの抵抗値の平均値が違う少なくと
も2種類の集電電極103、104を持つ。本発明の光電変換部
102は基体、半導体層、透明電極に大別される。
【0007】(集電電極)本発明の光起電力素子は集電
電極は単位長さ当りの抵抗値の平均値の違いから少なく
とも2種類あり単位長さ当りの抵抗値の高い集電電極(以
下グリッド電極と呼ぶ)103と単位長さ当りの抵抗値の低
い集電電極(以下バスバーと呼ぶ)104がある。グリッド
電極103は光電変換部102の各点で発生したキャリアを透
明電極を介して収集する役割を果たすために光電変換部
平面内に数多く設置される。そのためグリッド電極103
は半導体層への入射光を遮らないように要求される抵抗
値を限界に細くすることが望ましい。線幅は不均等でも
かまわないが生産性の観点から均等が望ましい。その材
質としてはAg、Au、Cu、Al、Fe等の金属またはその合金の線
材、あるいは導電ペースト等があげられる。バスバー10
4はグリッド電極103で収集された電流をさらに集め外部
に取り出す為に用いられるためにグリッド電極103と違
いはるかに低い抵抗値が望ましい。線幅は不均等でもか
まわないが生産性の観点から均等が望ましい。その材質
としてはAg、Au、Cu、Al、Fe等の金属またはその合金の線
材、板材あるいは導電ペースト等があげられる。
【0008】(作用)光起電力素子101の平面各部分にお
いて生成されたキャリアはまずグリッド電極103に流れ
込み次にバスバー104を通って外部に出力として取り出
される。前述したようにこの時バスバー104は各グリッ
ド電極103で収集された電流をさらに収集する役割を果
たすためにグリッド電極103の比べはるかに低い単位長
さ当りの抵抗値になっている。そのためバスバー104に
おいては殆ど電圧降下は発生せずバスバー104各点にお
ける電位は等電位と考えて差し支えない。これに対しグ
リッド電極103はシャドウロスを極力抑えるために流れ
る電流に対し十分に低い単位長さ当りの抵抗値まで下げ
ることができない。そのためグリッド電極103上の各点
おいて電位分布が無視できなくなる。
【0009】つぎに図2を用いてグリッド電極103上の
電位分布を考える。まずバスバー104との交差点を原点
としてl=0とし、グリッド電極103の長さをLとすると
グリッド電極103端部はl=Lとなる。このときグリッド
電極103上の任意の点iの位置をl=li、電位をViとしそ
こからバスバー104に対して離れた十分近い点i+1の位
置をl=li+Δ1、電位をVi+1、流れる電流をIi+1とし、
グリッド電極103の単位長さ当りの抵抗値をrとすると Vi+1−Vi=−rΔlIi+1 となる。これから電流がバスバー側へ流れる条件すなわ
ちI i+1<0を考えると、rは正の値しか取り得ない
からVi+1> Viとなる。すなわちグリッド電極103上の電
位はバスバー104側から先端部にむかって単調増加関数
でなけばならないことが分かる。これはrが定数でなくて
も結論は変わらない。
【0010】つぎに、光を照射した時の単位面積当たり
の発生電流を一定とすると、グリッド電極103はその向
きに対して垂直の方向に周期的に並んでいることから収
集される電流は単位長さ当りで考えられてそれをaとす
る。また先のrを一定値とすると電位分布V=V( l )は
【0011】
【外1】 となる。これをグラフにすると図4の実線のような形に
なる。すなわち全体の動作電圧V0が決まれば、流れる電
流量によって多少の変化はするが、グリッド電極103近
傍各点での電位が図4の様に決まってしまう。
【0012】一般的に光起電力素子の動作電圧Vopと出
力電力P(W)の関係の摸式図は図3のようになり、一つ
のピークをもった上に凸のグラフで最適動作電圧Vmopで
ピークをとる形をしている。また動作電圧V0を固定して
考え光起電力素子の各点で最適動作電圧Vmopが一定なと
きの状態を図4に示す。各点の最適動作電圧がVmop=V3
=V0で一定の時は各点での電位は最適動作電圧より、図
3から分かるように常に高い状態であり変換効率の大き
な低下を引き起こす事が分かる。これは各点での最適動
作電圧がVmop=V1の時でも同様なことが言えて、今度は
各点での電位は最適動作電圧より常に低くなるために変
換効率の大きな低下を引き起こす。ここで図4から分か
る様にV1とV3の間に各点での動作電圧を一定値にした場
合に変換効率のロスを一番少なくできるV2が存在するこ
とがわかる。しかしこの場合でも各点での電位は各点で
の最適動作電圧Vmop=V2からつねにずれていることには
変わりがなく、変換効率の低下を招くことになる。図5
に本発明による光起電力素子の各点での電位と各点の最
適動作電圧を表すグラフを示す。このようにグリッド電
極の先端からバスバー側に向けて最適動作電圧Vmopを変
化させることによって各点における電位と各点の最適動
作Vmopの差を先の最適動作Vmopを一定値にした時に比べ
少なくすることができることが分かる。
【0013】実際の光起電力素子においては各点におけ
る最適動作電圧を設定し全体の素子としての動作電圧を
得るが、この時変換効率の低下を避けるために各点での
電位が各点での最適動作電圧からなるべく一致していな
ければならない。しかし前述したように、光起電力素子
全体の動作電圧をあげるために素子全体に一様に最適動
作電圧を上げた場合においては無駄が多く素子全体の動
作電圧の大きな向上につながらない。
【0014】そこで本発明の光起電力素子は最適動作電
圧に適当な位置依存性を持たせる、つまり光起電力素子
の最適動作電圧がバスバー104の側から端部に向かって
大きくすることにより効率よく素子全体の動作電圧向上
が図れるものである。最適動作電圧に位置依存性を持た
せる方法としては光電変換部102を構成する半導体層の
一部の膜厚を素子の面内方向で差異を生じるように成膜
することにより実現することができる。
【0015】光電変換部102は基体、半導体層、透明電
極に大別される。
【0016】(基体) 基体としては透光性、非透光性い
ずれでもよく、また絶縁性、非絶縁性いずれでもよい、
さらには可撓性の基体を用いてもよい。非透光性の基体
を用いる場合には光反射層としてAg,Al、Au、Cu等の金
属層を設けるのが望ましい。さらに光反射増加層として
ZnO、In2O3、SnO2、ITO(In2O3+SnO2)、Ti O2、Ta2O、M
oO3、WO3等の導電性酸化金属層を設けるのが望ましい。
また光反射または層光反射増加層が凹凸構造を有するこ
とが光散乱を増幅するために更に好ましい。
【0017】また結晶質の様に半導体層が基体をかねる
場合には特別に必要のない場合もある。
【0018】(半導体層) 半導体層は結晶質のもの、多
結晶質のもの、非晶質のものに大別されて薄膜あるいは
バルクの形態で用いられる。材質としてはSi、C、Ge、等
のIV族元素、SiGe、SiC、等のIV族元素合金、GaAs、
InSb、GaP、GaSb、InP、InAs等のIII−V族化合物、ZnSe、
CdTe、ZnS、CdS、CdSe、CdTe等のII−VI族化合物、CuIn
Se2等のI−III−VI族化合物があげられる。また
以上の半導体材料の中で、本発明の光電変換部に特に好
適に用いられる半導体材料としてはa−Si:H(水素化アモ
ルファスシリコン)、a−SiGe:H、a−SiC:H等のIV族元
素及び合金系非晶質半導体材料や多結晶Si、多結晶Si:
H等のIV族元素及び合金系多結晶質半導体材料等があ
げられる。これはこれらの半導体材料はバンドギャッ
プ、フェルミレベル等の物性値を比較的制御しやすいた
めに、光起電力素子の特性値を変化させるのに適してい
ると考えられるからである。
【0019】また半導体層は少なくとも一組のpn接合あ
るいは少なくとも一組のpin接合を形成する。pn接合あ
るいはpin接合を複数積層したいわゆるスタックセルの
構成をとることもできる。
【0020】また半導体層の好適な形成方法としてはマ
イクロ波プラズマCVD法、VHFプラズマCVD法、RFプラズマC
VD法、等の各種CVD法があげられる。これはこれらの方法
が、圧力、温度、投入電力等プラズマを制御することに
より半導体層を形成するためにその変化が不連続になら
ず連続的に変化することが可能で光起電力の特性値を場
所によって変化させるのが容易であると考えられるから
である。
【0021】(透明電極)本発明において透明電極は光入
射側の電極であり集電電極103までキャリアを輸送する
役割を果たす。透明電極は半導体層が吸収可能な波長領
域で高い透過率を有するとともに抵抗率が低いことが要
求される。その材質としてはZnO、In2O3、SnO2、ITO(In
2O3+SnO2)、Ti O2、Ta2O、MoO3、WO3等の導電性酸化金
属があげられる。
【0022】
【実施例】以下に本発明の光起電力素子の形成方法につ
いて実施例に基づいて説明するが本発明はこれらの実施
例により限定されるものではない。
【0023】(実施例1)本発明の実施例としてロールツ
ーロール方式によって形成したアモルファスSiGeシング
ルセルの摸式断面図を図6に示す。図6において602は基
板、603は裏面反射層 (602+603:基体) 、604はn型半導
体層、606はI型バファー半導体層、605はI型半導体層、607
はI型バファー半導体層、608はp型半導体層、609は透明
電極層、610は集電電極である。
【0024】次にアモルファスSiGeシングルセルの形成
工程について順に説明する。
【0025】(基体作成工程)まず、オーカイト及び純水
で十分に脱脂、洗浄したステンレス帯状基板(幅356mm、
厚み0.15mm、長さ750m)716を不図示のロールツーロール
型DCマグネトロンスパッタ装置を用い光反射層としてAl
を0.2μm堆積し、その上に光反射増加層としてZnOを2μ
m堆積し裏面反射層603を形成し、基体とした。
【0026】(半導体層形成工程)次にこの基体上に図7
に示すロールツーロール型プラズマCVD装置により半導
体層を形成した。以下に構成及び動作について説明す
る。
【0027】図7において、701はロールツーロール型プ
ラズマCVD装置の全体を示す。702は長尺のステンレス帯
状基板716の繰り出しチャンバー、708はステンレス帯状
基板716の巻き取りチャンバー、703〜707は半導体層形
成チャンバーである。709はガスゲート、710はゲートガ
ス導入手段、711はステンレス帯状基板の加熱手段(ヒ
ーター)、703、704、706、707はRF放電炉、705はマイク
ロ波(以下μWと記述)放電炉である。713、714はボビ
ン、716はマグネツトローラーである。
【0028】次に図7に基づいて、その動作について説
明する。ロールツーロール型プラズマCVD装置701は両端
の繰り出しチャンバー702および巻き取りチャンバー70
8、その間に複数の半導体層を形成するための半導体層
形成用チャンバー703〜707が、ガスゲート709を介して
連なって構成されている。まず、ボビン713にロール状
に巻かれた長尺のステンレス帯状基板716を、繰り出し
チャンバー702から半導体層形成用チャンバー703〜707
やガスゲート709を通して、巻き取りチャンバー708にテ
ンションを掛けて張り渡す。ガスゲート709内及び半導
体層形成用チャンバー703〜707内には、マグネットロー
ラー715が設置され、張り渡されたステンレス帯状基板7
16を引きつけて、ステンレス帯状基板の移動する軌道を
固定している。次に、装置701を、ステンレス帯状基板7
16の繰り出しチャンバー702、ステンレス帯状基板の巻
き取りチャンバー708、半導体層形成チャンバー703〜70
7それぞれに設けられた不図示の排気手段により10E
−3トール台まで減圧に排気される。半導体層形成用チ
ャンバー703〜707の半導体層形成条件の独立性を維持す
るために、ガスゲート709には不活性ガスまたは水素ガ
スをゲートガスとしてゲートガス導入手段710から導入
する。半導体層形成用チャンバー703〜707に、半導体層
形成用原材料ガスをガス供給手段(不図示)により導入
し、チャンバー内の圧力を一定に制御しつつ、RF電
力、または、μW電力を半導体層形成チャンバー内の放
電炉に供給し放電を生起、維持し、半導体層形成用原材
料ガスを分解して、連続して移動供給されるステンレス
帯状基板上に半導体層を形成するものである。このとき
ステンレス帯状基板716は、半導体層形成チャンバー703
〜707内に設置された加熱手段211により半導体層形成条
件の温度に制御される。連続的に一定速度で繰り出しチ
ャンバー702から供給されるステンレス帯状基板716上に
は、半導体層形成チャンバー703、704、705、706、707
と移動しつつ順次異なった半導体層が積層されて形成さ
れ、最終的に巻き取りチャンバー708のボビン714に巻き
取られる。以上の手順に従い、半導体層604〜608を表1
の条件により形成した。
【0029】このとき光起電力素子の最適動作電圧がス
テンレス帯状基板716の中心部から端部に向かって大き
くなるようにI型バファー半導体層605の成膜条件は全体
的に一様な膜厚になる条件ではなく中心部が厚く端部が
薄くなる様な条件で形成した。こうすることにより他の
特性値を殆ど変化させることなく適正動作電圧だけをコ
ントロールすることができる。
【0030】(透明電極形成工程)次に不図示のロールツ
ーロール型DCマグネトロンスパッタ装置を用い半導体層
の上にITO(In2O3+SnO2)を850A堆積し透明電極609を形
成した。
【0031】以上で光電変換部102に当る部分の形成が
終了となる。
【0032】次に特性値の分布をみるために図8に示す
評価用クーポン試料801を作成した。まず前工程の透明
電極を形成し終わったステンレス帯状基板716を帯の長
手方向に長さ12cmになるように短冊状に切断した。次に
塩化第2鉄を加熱溶融し、これに粒径5μmのアクリル樹
脂の微粒子とグリセリンを混錬しエッチングペーストを
作製し、不図示のスクリーン印刷機を用いてエッチング
ライン803をつくり18×2個のサブセル802にアイソレー
トした。さらに各サブセル802に不図示のスクリーン印
刷機を用いて銀ペーストにより集電電極804を形成し
た。これを「クーポン試料実1」とする。
【0033】(集電電極形成工程)次に透明電極形成工程
が終った帯状部材を帯の長手方向に長さ24cmにまず切断
し更に35.6cm×24cmのスラブを作製しこれを帯状のとき
の中心で更に切断し17.8cm×24cmのスラブ901にし、外
周部のITOを幅2mmでエッチングしアイソレートを行っ
た。次に図9に示す様に集電電極を付線した。グリッド電
極902は直径100μmの銅製の線材でピッチ5.6mmで42本付
線した。バスバー903は厚み100μm、幅5.5mmの銅箔を用
いた。この時バスバーは帯状の時に中心になっていた側
に設置した。これを「素子実1」とする。
【0034】(比較例1)次に比較例として素子の平面内
の場所によらず、最適動作電圧が均一な光起電力素子を
作製した。
【0035】作製手順は基本的に実施例1と同様である
が最適動作電圧を均一にするために半導体層形成時の成
膜条件を表2に示す条件を用いた。すなわちI型バファー
半導体層605の成膜条件は全体的に一様な膜厚になる条
件で行い、最適動作電圧が均一になるようにした。
【0036】その他は実施例1と全く同様に行い「クー
ポン試料比1」、「素子比1」を作製した。
【0037】まず「クーポン試料実1」と「クーポン試料比
1」をAM1.5、100mW/cm2の擬似太陽光源を用いてI−V特性
を測定し最適動作電圧の位置依存性を調べた。「クーポ
ン試料実1」と「クーポン試料比1」のI−V測定結果をそれ
ぞれ図10、11にグラフとして示す。横軸の数字はサブセ
ルの番号で帯状基板の幅方向位置にあたる。ただし同じ
位置にサブセルが2個(例えばNo1とNo19)あるため2個の
平均値を代表して若い番号を用いた。「クーポン試料比
1」の結果を示す図11のグラフが幅方向に動作電圧がほぼ
一定値なのに対して、「クーポン試料実1」の結果を示す
図10のグラフは中心から端に向けて最適動作電圧が上が
っているのが分かる。これは方向的には帯状の時に中心
であった側から端に向けて最適動作電圧が上がっている
ことになる。すなわち「素子実1」はバスバー側からグリ
ッド電極の端へ向けて最適動作電圧が上がっている素子
になっている。
【0038】次に「素子実1」と「素子比1」を先と同様に
AM1.5、100mW/cm2の擬似太陽光源を用いてI−V特性を測
定した。その結果を表3に示す。本発明による「素子実
1」は「素子比1」と比べ変換効率、最適動作電圧ともに
向上しており、これより本発明による「素子実1」が素子
全体にわたって効率よく集電が行われていることが分か
る。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】本発明により光起電力素子の変換効率の
低下を招くことなく特定の特性値を向上させることがで
きる。また単位長さ当りの抵抗値の平均値が違う少なく
とも2種類の集電電極を持ち、かつ2種類の該集電電極
が交差部を有し該集電電極のうち単位長さ当りの抵抗値
の平均値が小さい集電電極の方向に対して最大動作電圧
を交差部に向かって減少するようにすることによって、
変換効率の低下を招かずに動作電圧を高めることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光起電力素子の集電電極の働きを説明
するための概念図である。
【図2】グリッド電極上の電位分布を説明するための摸
式図である。
【図3】一般的な光起電力素子の動作電圧と出力の関係
を示すグラフである。
【図4】グリッド電極上において最適動作電圧が一定の
場合のときのグリッド電極上の電位分布の関係を示す図
である。
【図5】本発明における最適動作電圧とグリッド電極上
の電位分布の関係を示す図である。
【図6】実施例1及び比較例1に示した光起電力素子の
層構成を示す図である。
【図7】典型的なロールツーロール方式による機能性堆
積膜形成装置を示した図である。
【図8】「クーポン試料実1」と「クーポン試料比1」
に示した評価用クーポンを示す図である。
【図9】「素子実1」と「素子比1」に示した素子及び
集電電極を示す図である。
【図10】「クーポン試料実1」の最適動作電圧の位置
依存性をしめすグラフである。
【図11】「クーポン試料比1」の最適動作電圧の位置
依存性をしめすグラフである。
【符号の説明】
101 光起電力素子 102 光電変換部 103 単位長さ当りの抵抗値の高い集電電極(グリッ
ド電極) 104 単位長さ当りの抵抗値の高い集電電極(バスバ
ー) 601 光起電力素子 602 可撓性部材(基板)下部電極 603 下部電極 604 n型半導体層 605 I型半導体バッファー層 606 I型半導体層 607 I型半導体バッファー層 608 p型半導体層 609 透明電極 610 集電電極 701 ロールツーロール機能性堆積膜形成装置 702 送り出しチャンバー 703、704、705、706、707 機能性堆積
膜形成チャンバー 708 巻き取りチャンバー 709 ガスゲート 710 ゲートガス導入手段 711 可撓性部材加熱手段 712 放電炉 713、714 ボビン 715 マグネットローラー 716 ステンレス帯状基板 801 評価用クーポン試料 802 サブセル 803 エッチングライン 804 集電電極 901 素子(スラブ) 902 グリッド電極 903 バスバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森山 公一朗 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 下田 寛嗣 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 尾▲崎▼ 裕之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 金井 正博 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光入射平面内に単位長さ当りの抵抗値の
    平均値が違う少なくとも2種類の集電電極を持ち、かつ
    2種類の該集電電極が交差部を有し該集電電極のうち単
    位長さ当りの抵抗値の平均値が小さい集電電極の方向に
    対して特性値が位置依存性を示していることを特徴とす
    る光起電力素子。
  2. 【請求項2】 前記特性値が最大動作電圧であることを
    特徴とする請求項1に記載の光起電力素子。
  3. 【請求項3】 前記最大動作電圧が交差部に向かって減
    少していることを特徴とする請求項2に記載の光起電力
    素子。
  4. 【請求項4】 基体上に第一の伝導型の非単結晶半導体
    層と少なくとも1層以上の真性非単結晶層と第一の伝導
    型と反対の第二の伝導型の非単結晶層が少なくとも1回
    以上繰り返し積層されたことを特徴とする請求項1、
    2、又は3のいずれかに記載の光起電力素子。
  5. 【請求項5】 半導体層表面に単位長さ当りの抵抗値の
    平均値が違う少なくとも2種類の集電電極を持ち、かつ
    2種類の該集電電極が交差部を有し該集電電極のうち単
    位長さ当りの抵抗値の平均値が小さい集電電極の方向に
    対して前記半導体層の膜厚が変化していることを特徴と
    する光起電力素子。
  6. 【請求項6】 前記半導体層の膜厚が前記2種類の集電
    電極の交差部に向かって減少していることを特徴とする
    請求項5に記載の光起電力素子。
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