JPH1123802A - 着色されたプラスチックレンズ - Google Patents

着色されたプラスチックレンズ

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JPH1123802A
JPH1123802A JP9179328A JP17932897A JPH1123802A JP H1123802 A JPH1123802 A JP H1123802A JP 9179328 A JP9179328 A JP 9179328A JP 17932897 A JP17932897 A JP 17932897A JP H1123802 A JPH1123802 A JP H1123802A
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JP
Japan
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plastic lens
film
compound
pigment
lens
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JP9179328A
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English (en)
Inventor
Michiko Seki
道子 関
Hiroko Kawamura
裕子 川村
Toshiya Tanaka
俊也 田中
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高耐久性の着色レンズを得る。 【解決手段】 本発明の着色レンズは、プラスチックレ
ンズ基材と、該プラスチックレンズ基材上に形成された
顔料及びポリビニルアセタールを主成分とする塗膜を有
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐久性に優れた着色プ
ラスチックレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズ基材は、成形が容易
なこと、軽くて割れにくいこと、染色により容易に着色
が可能であること等の特徴を有することから、近年光学
レンズ、特に眼鏡レンズとして広く用いられるようにな
っている。特に最近では、様々な環境下で使用できる高
耐久性の眼鏡レンズの要望が高まっている。更に耐久性
に加え、ファッション性も兼ね備えたプラスチックレン
ズの要求が高まっている。
【0003】プラスチックレンズ基材が容易に染色、着
色できるというメリットは、ファッション性、遮光性の
点から眼鏡レンズとして好まれる大きな理由となってい
る。現在では、眼鏡プラスチックレンズの70パーセン
ト以上は、染色して市場に供されていると言われてい
る。こうしたことから、高耐久性のプラスチックレンズ
を多種多様な色で均一に大量且つ安定に着色する必要性
が出てきている。
【0004】従来のプラスチックレンズの染色方法は、
分散染料を界面活性剤と共に水中に分散させた染色液を
調整後加熱し、これにプラスチックレンズ基材を浸漬す
る浸漬染色方法(浸染法)が主として用いられていた。
また、浸漬染色方法に代わる方法として、例えば特公昭
35−1384号公報には、有機顔料を昇華させプラス
チックレンズ基材を着色する方法が提案されている。
【0005】また特開昭56−153321号、特開昭
56−159376号、特開平1−277814号の各
公報には、昇華性染料を昇華させてプラスチックレンズ
基材を染色する方法が開示されている。また、特開昭5
6−153321号、特開昭56−159376号の各
公報には、固体染色性染料を用いた気相染色方法が記載
されている。
【0006】前記のようにプラスチックレンズ基材に
は、染色性、加工性に関するメリットがある反面、プラ
スチックレンズ基材は、表面硬度が不十分なために傷が
つきやすいという耐擦傷性の問題点や、像や物体のちら
つきの原因となる表面反射が生じ易いといった問題点も
あった。従来、プラスチックレンズ基材の耐擦傷性を向
上させるために、表面硬度を上げる目的でレンズ基材表
面にシリコン系材料を主成分とするハードコート膜を設
けていた。また表面反射を改善するためにンズ基材表面
に無機物を蒸着して反射防止膜を設けることが行われて
いた。
【0007】しかし、このようなシリコン系ハードコー
ト膜や無機物の反射防止膜を設けると、プラスチックレ
ンズ基材の耐衝撃性が低下するという問題点が生じた。
そこでプラスチックレンズ基材の耐衝撃性を向上させる
ために、レンズ基材とハードコート膜との間にプライマ
ー層を設け表面改質を行うことが提案された。プライマ
ー層を形成するプライマー組成物としては、例えば、エ
ポキシ樹脂を用いる方法(特開昭60−214301号
公報)や、アクリルポリオールと多官能有機イソシアネ
ート化合物からなるプライマー組成物を用いる方法(特
開昭61−114203号公報)等が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ファッ
ション性と耐久性を兼ね備えたプラスチックレンズを容
易且つ効率よく得るために、従来の染色法及び耐久性を
付与する方法の問題点を調べた。まず前記した従来のプ
ラスチックレンズ基材の染色法である浸漬染色方法を用
いて染色されたレンズ基材の観察を行った。その結果、
染色された各々のレンズによって色調が大きく変わるこ
とがあり、均一且つ安定した染色プラスチックレンズを
大量に得ることが困難であるという問題点が生じた。
【0009】また、前記の固体染色性染料を用いた気相
染色方法で染色されたレンズ基材は、色の濃度が均一に
ならないという問題点があった。また真空雰囲気中で染
色する方法で染色されたレンズ基材は、光学性能が低下
してしまう問題点があった。また雰囲気を真空にしなけ
ればならないという作業が必要であり、設備費がかかっ
てしまうとの問題点もあった。
【0010】更に、特公昭35−1384号公報に記載
されている真空雰囲気中で顔料により着色する方法は、
設備費の問題点に加え、この方法で製造されるレンズ
は、満足する光学性能が得られないという問題点があっ
た。このように従来の各染色方法には様々な問題点があ
った。次に染色レンズの耐久性を検討するために、浸漬
染色方法で染色したプラスチックレンズ基材上に耐衝撃
性を向上させるためにプライマー層を形成し、更にその
上にディッピング法によりシリコン系材料を主成分とす
るハードコート膜を施すことを試みた。その結果、ハー
ド液(ハードコート膜を形成するための原料となる液状
物質)が着色したり、その着色されたハード液を用いて
別のレンズ基材を浸漬すると、別のレンズ基材も着色さ
れてしまうという問題点が生じた。また、染色後とハー
ドコート膜成膜後では色調が異なってしまうこともあっ
た。更に前記問題点に加えて、浸漬染色方法や気相染色
法で染色したプラスチックレンズを夏の強い日差しの中
や冬の雪山で紫外線に当ったり、長期間使用していると
変色したり、色ヌケが生じる場合があり、耐光性や耐候
性も更に向上させる必要があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記問題
点を検討した。浸漬染色方法の問題点は、染色液中の分
散染料濃度や染色助剤量、染色液の温度、更にプラスチ
ックレンズ基材の染色性のばらつきが原因であることが
判った。また固体染色性染料を用いた気相染色方法は、
染色濃度の調整の困難性に起因するものであった。
【0012】真空雰囲気中で染色する方法の問題点は、
処理温度が150〜200℃であり、プラスチックレン
ズ基材の温度も高温となるために基材が侵されてしま
い、その結果プラスチックレンズ基材の光学性能が低下
することが判った。染色されたプラスチックレンズ基材
は、染料が分子の形でレンズ基材表面に存在している。
そのため、染色されたレンズ基材をハード液に浸漬し、
その後レンズ基材上にハードコート膜を形成する場合の
前記問題点は、染料がハード液に溶け出してしまうこと
に起因することが判った。
【0013】本発明は、これらの問題点を解決し、耐久
性とファッション性を兼ね備えた眼鏡レンズを提案す
る。そこで本発明は、第1に「プラスチックレンズ基材
と、該プラスチックレンズ基材上に形成された顔料及び
ポリビニルアセタールを主成分とする塗膜を有すること
を特徴とする着色されたプラスチックレンズ(請求項
1)」を提供する。第2に「前記塗膜上に前記塗膜とは
異なる材料を主成分とするコーティング膜が形成されて
いることを特許とする請求項1記載のプラスチックレン
ズ(請求項2)」を提供する。第3に「前記ポリビニル
アセタールが下記2種類の化合物を架橋剤とした反応生
成物よりなることを特徴とする請求項1、2記載のプラ
スチックレンズ。
【0014】イ)加水分解性オルガノシラン化合物 ロ)ジアルデヒド化合物またはジアルデヒドのアセター
ル化合物(請求項3)」を提供する。第4に「前記塗膜
の膜厚が約0.1〜5μmであることを特徴とする請求
項1、2、3記載のプラスチックレンズ(請求項4)」
を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるプラスチック
レンズ基材は、例えば、ポリメチルメタクリレート及び
その共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、
ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリ塩化ビ
ニル、ポリエチレンテレフタレート、エポキシ樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、CR−39
の重合体、または、一種または二種以上のポリイソシア
ネートと一種または二種以上のポリオールおよび/また
は一種または二種以上のポリチオールとを含む単量体混
合物を重合して得られるものである。
【0016】本発明のプライマー層に分散させる顔料と
しては、レンズの透明性を損なわないように粒子径の小
さいものが好ましく用いられる。この透明性の付与とい
う目的からすると、粒子径が0.3μm以下の超微粒子
顔料が適しており、特に、0.1μm以下のものが好ま
しい。これらの顔料を例示すると、フタロシアニン系、
アゾ系、キナクリドン系、スレン系、キノフタロン系等
の有機顔料及びカーボンブラック、酸化チタン被覆雲
母、群青、ホワイトカーボン、酸化亜鉛等の無機顔料が
挙げられる。
【0017】プライマー層中の顔料の配合量は、樹脂4
0gに対して、顔料0.1〜10g程度が適当である。
本発明において使用されるプライマー層は、顔料分散性
が高く、かつ高い耐衝撃性を有するポリビニルアセター
ルを主成分とするものである。ポリビニルアセタールを
主成分とする材料の具体例としては、アセタール部のア
ルキル基の炭素数が0から20のものが利用でき、好ま
しくは0から10のものである。特に好ましくはアルキ
ル基の炭素数が3であるポリビニルブチラールである。
【0018】アセタール化度は10から90%のものが
使用でき、好ましくは20から80%のアセタール化度
のポリビニルアセタールである。アセタール化度が10
%未満では衝撃強度の改善が不十分であり、またアセタ
ール化度が90%より多いポリビニルアセタールは合成
が困難であるほか、合成できたとしてもプラスチック基
材との密着性の低下が予測されるため好ましくない。
【0019】ポリビニルアセタールの重合度は、好まし
くは5,000以下のものであるが、より好ましくは1
00から3,000である。重合度が5,000よりも
高すぎると、溶媒に溶解しにくくなる。また、最適アセ
タール化度のポリビニルアセタールを合成するのが困難
となってしまう。逆に、重合度が100よりも低いと耐
衝撃性の改善が不十分となる。
【0020】プライマー組成物中のポリビニルアセター
ルの添加量は、1〜30重量%であり、好ましくは2〜
20重量%である。ポリビニルアセタールの添加量が3
0重量%よりも多すぎるとプライマー組成物の粘度が高
くなり過ぎてしまいプラスチックレンズ基材への塗布が
困難になる。またプライマー層の膜厚が厚くなり過ぎて
しまうため、塗布面の均一性が失われる。逆にポリビニ
ルアセタールの添加量が1重量%よりも少なくなるとプ
ライマー層の膜厚が薄くなり過ぎてしまい、耐衝撃性の
改善が不十分となる。
【0021】プライマー層の形成に用いる架橋剤として
は、加水分解性オルガノシラン化合物とジアルデヒド化
合物の混合系、あるいは加水分解性オルガノシラン化合
物とジアルデヒドのアセタール化合物の混合系が用いら
れる。加水分解性オルガノシラン化合物の場合は、オル
ガノシラン化合物中の加水分解基が加水分解してシラノ
ール基が生成し、触媒の作用と熱によりポリビニルアセ
タール中の水酸基と脱水縮合することにより分子間もし
くは分子内で架橋が行われる。架橋にあずかる分子は、
オルガノシラン化合物の加水分解物またはその縮合物で
ある。オルガノシラン化合物はそのまま添加されてもよ
いし、あらかじめ加水分解されたものが添加されてもよ
い。また、1種類のオルガノシラン化合物を単独で用い
てもよいし、2種類以上のオルガノシラン化合物を混合
して用いてもよい。
【0022】オルガノシラン化合物としては、加水分解
基がハロゲン原子であるハロシラン化合物類、加水分解
基がカルボキシ基であるカルボキシシラン化合物類、加
水分解基がケトオキシム基であるケトオキシムシラン化
合物類、もしくは加水分解基がアルコキシ基であるアル
コキシシラン化合物類等を用いることができるが、好ま
しくはアルコキシシラン化合物類である。具体的な化合
物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエ
トキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジ
エトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フ
ェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエ
トキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニ
ルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチ
ルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メ
チルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラ
ン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、エ
チルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、
エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラ
ン、エチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、プ
ロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラ
ン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシ
ラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエト
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)
シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエ
トキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,
3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,
3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、γ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、
クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエ
トキシシラン、N−β−アミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル)−
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロ
ヘキシルメチル)トリメトキシシラン、(3,4−エポ
キシシクロヘキシルメチル)トリエトキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメトキ
シシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチ
ル)トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブ
トキシシラン、1,1−ビス(トリメトキシシリル)エ
タン、1,1−ビス(トリエトキシシリル)エタン、
1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−
ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,3−ビス(ト
リメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエト
キシシリル)プロパン、2,2−ビス(トリメトキシシ
リル)プロパン、2,2−ビス(トリエトキシシリル)
プロパン、などがあげられる。プライマー組成物中のオ
ルガノシラン化合物の添加量としては0.01〜30重
量%、好ましくは0.1〜20重量%である。
【0023】ジアルデヒド化合物またはジアルデヒドの
アセタール化合物も架橋剤として用いることができる。
ジアルデヒド化合物を用いた場合は、アルデヒド基が触
媒の作用によりポリビニルアセタール中の水酸基と反応
するか、もしくはアルキルアセタール基との間のアセタ
ール交換反応により新たにアセタール結合を形成する。
ジアルデヒド化合物を用いた場合は、分子内に2つのア
ルデヒド基を有しているため、ポリビニルアセタールの
分子間もしくは分子内での架橋が可能となる。ジアルデ
ヒドのアセタール化合物を用いた場合は、水および酸性
触媒との共存下では対応するジアルデヒドとの平衡関係
にあるため、架橋反応機構としてはジアルデヒドの場合
と全く同様であると考えられる。またジアルデヒド化合
物またはジアルデヒドのアセタール化合物は単独で用い
てもよいし、2種類以上のジアルデヒド化合物を混合し
て用いてもよい。具体的なジアルデヒド化合物として
は、グリオキサール、グルタルアルデヒド、ヘキサンジ
アール、2−ヒドロキシヘキサンジアール、マロンアル
デヒドテトラメチルアセタール、マロンアルデヒドテト
ラエチルアセタール、グルタルアルデヒドテトラメチル
アセタール、グルタルアルデヒドテトラエチルアセター
ルなどがあげられる。プライマー組成物中のジアルデヒ
ド化合物またはジアルデヒドのアセタール化合物の添加
量としては0.01〜30重量%であるが、オルガノシ
ラン化合物の50モル%以下が好ましい。ジアルデヒド
化合物またはジアルデヒドのアセタール化合物の添加量
がオルガノシラン化合物の添加量の50モル%を越える
と耐衝撃性が低下してしまう。
【0024】硬化触媒としては、加水分解性オルガノシ
ラン化合物が加水分解して生成したシラノール基とポリ
ビニルアセタール中の水酸基との脱水縮合、およびジア
ルデヒド化合物またはジアルデヒドのアセタール化合物
とポリビニルアセタール中の水酸基とのアセタール化反
応を促進するものであれば特に制限はない。具体的に
は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸、ギ酸、酢
酸、安息香酸、フタル酸、メタンスルホン酸、ベンゼン
スルホン酸、アルキル基の炭素数が1〜18のアルキル
ベンゼンスルホン酸などの有機酸、ジブチルスズジラウ
レート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジア
セテートなどの有機スズ化合物を用いることができる。
この中で特に好ましいのは塩酸、硝酸などの無機酸、お
よびメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トル
エンスルホン酸などの有機酸、および有機スズ化合物で
ある。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上の触
媒を混合して用いてもよい。プライマー組成物中の硬化
触媒の添加量としては、0.002〜10重量%、好ま
しくは0.005〜2重量%である。触媒の量が10重
量%を超えると、膜が固くなってしまい耐衝撃性が低下
してしまう問題点が生じる。また、0.002重量%よ
りも少ないと耐アルコール性が低くなり、その後に塗布
するハードコート膜の外観が悪くなるという問題点が生
じる。
【0025】プライマー組成物中の有機溶媒としては、
炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、ケ
トン類、エステル類、エーテル類その他公知の溶媒で、
ポリビニルアセタールをよく溶解するものが使用でき
る。特に好ましくはメタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール、ヘキサノール、アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン
であるが、これらは単独で用いてもよいし、2種類以上
の有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0026】塗布性の改善を目的とした各種レベリング
剤あるいは耐候性の向上を目的とした紫外線吸収剤や酸
化防止剤、その他膜の性能や機能を高める公知の添加物
を併用することができる。プライマー層の膜厚は耐衝撃
性の向上の観点から0.01〜30μmとするのが好ま
しく、特に好ましくは0.1〜5μmである。0.01
μm未満の膜厚では耐衝撃性は不充分であり、30μm
より大きいとレンズ基材に塗布した時の面精度が低下し
てしまう。
【0027】プライマー用塗料の塗布方法は、スピンコ
ート法、ディッピング法等公知の方法であれば、特に制
限はない。また、レンズ基材は、必要に応じてアルカリ
処理、プラズマ処理、紫外線処理等の前処理を行ってお
くことが好ましい。プライマー層を形成するには、プラ
イマー用塗料をレンズに塗布した後、50〜120℃、
好ましくは70〜110℃で1〜60分加熱することが
好ましい。この加熱処理により、塗布されたプライマー
層の組成物中の加水分解されたオルガノシラン化合物、
ジアルデヒド化合物またはジアルデヒドのアセタール化
合物とポリビニルアセタール中に含まれる水酸基とが脱
水縮合してポリビニルアセタール分子が架橋されるとと
もに、縮合反応により生成した水及び予めプライマー組
成物中に含まれていた有機溶媒と水が蒸発する。こうし
てプラスチックレンズ基材表面に3次元的に架橋された
ポリビニルアセタールのプライマー膜が形成される。
【0028】上記顔料分散樹脂塗膜上には、プラスチッ
クレンズ基材の耐擦傷性を向上させるためにハードコー
ト膜を形成することが好ましい。特に、下記一般式
(I)で表わされる有機ケイ素化合物またはその加水分
解物が好ましい。 一般式(I): R1aR2bSi(OR34-(a+b) (但し、式中、R1 は、官能基又は不飽和2重結合を
有する炭素数4〜14の有機基であり、R2 は、炭素
数1〜6の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基であ
り、R3 は、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ
アルキル基又はアシル基であり、a及びbは、それぞれ
0又は1であり、かつa+bは、1又は2である。) 一般式(I)の化合物のうち、耐擦傷性が優れていると
いう理由から、R1が官能基としてエポキシ基を有する
ものが好ましく、例えば、次のものが使用される。 (1)一般式(II):
【0029】
【化1】
【0030】(但し、式中、R4 は、炭素数1〜4の
アルキル基又はアルコキシアルキル基又はアシル基、R
5 は、炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン化炭素
化水素基、R6 は、水素またはメチル基、mは2又は
3、pは1〜6、qは0〜2である。)で表わされる化
合物。 (2)一般式(III):
【0031】
【化2】
【0032】(但し、R7 は、炭素数1〜4のアルキ
ル基又はアルコキシアルキル基又はアシル基、R8
は、炭素数1〜4の炭化水素基又はハロゲン化炭素化水
素基、1は2又は3、rは1〜4である。)で表わされ
る化合物。上記一般式で表わされる化合物は、いずれも
エポキシ基を有するので、エポキシシランとも呼ばれ
る。
【0033】エポキシシランの具体例としては、例え
ば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシエトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリアセトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランな
どが挙げられる。
【0034】また、一般式(I)の化合物のうち、R1
が官能基としてエポキシ基を有するもの以外(a=0の
ものを含む)の例としては、例えば、次のものが使用さ
れる。メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメ
トキシエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピル
トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエト
キシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメ
トキシシランなどの各種トリアルコキシシラン、トリア
シロキシシランあるいはトリアルコキシアルコキシシラ
ン化合物。
【0035】以上に挙げた一般式(I)の例示化合物
は、いずれもSi原子に結合するOR 3 基が3個ある
(a+b=1)3官能の例であるが、OR3 基が2個あ
る(a+b=2)2官能の相当する化合物ももちろん使
用することができる。2官能の相当する化合物の例とし
ては、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキ
シシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビ
ニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなど
がある。
【0036】一般式(I)の化合物は、1種類で使用し
てもよいが、目的に応じて2種以上を混合して使用して
もよい。特に、2官能の化合物を使用するときには、3
官能の化合物と併用することが好ましい。3官能の化合
物を併用した場合には、平均で2>a+b>1となる。
【0037】更に、a+b=0の4官能の相当する化合
物を併用することも可能である。4官能の相当する化合
物の例としては、メチルシリケート、エチルシリケー
ト、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケー
ト、n−ブチルシリケート、t−ブチルシリケート、s
ec−ブチルシリケートなどが挙げられる。このように
3官能、4官能の化合物を併用することにより膜に適当
な硬度を付与させることが可能となる。
【0038】更に一般式(I)の化合物は、そのまま使
用してもよいが、反応速度を増し、硬化温度を下げる目
的で加水分解物として使用することが好ましい。2〜4
官能の化合物の中で同一官能数の化合物を2種以上を併
用する場合、或いは異なる官能数の化合物を2種以上を
併用する場合、加水分解後に併用してもよいし、加水分
解前に併用して共加水分解を行なってもよい。加水分解
によりHOR3 なるアルコールが遊離され、一般式
(I)の化合物は、相当するシラノール:
【0039】
【化3】
【0040】になる。シラノールは、速やかに脱水縮合
が進み、オリゴマーになる。従って、この反応が十分に
進むように、加水分解後、1〜24時間放置(養生)さ
せてもよい。これら組成物を使用した場合、硬度を上げ
るためにゾルを添加してもよい。また、塗布時における
流れ性を向上させ、硬化膜の平滑性を向上させるため
に、例えば、水、低級アルコール、アセトン、エーテ
ル、ケトン、エステルなど各種の溶媒を使用することが
可能である。
【0041】上記したゾルとしては、例えば、酸化亜
鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタニウム、
酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化ベリリウム、酸化ア
ンチモン、酸化タングステン、酸化セリウム等を使用す
ることができ、これらを単独で使用するだけでなく、必
要に応じて2種以上を混合して使用することも可能であ
る。また、酸化スズと酸化タングステンの複合ゾル又は
固溶体もしくはその混合物等の無機微粒子のゾルが使用
可能である。好ましくは、酸化スズ微粒子を核とし、そ
の表面を酸化スズと酸化タングステンの複合ゾルで被覆
した変性ゾルがよい。
【0042】この変性ゾルは、「酸化スズ(ゾル)のコ
ロイド粒子を核に、その周囲を酸化スズ−酸化タング
ステン複合体(ゾル)のコロイド粒子が完全に又は不
完全に取り囲んだ、二重構造を持つコロイド粒子」が分
散媒中にコロイド状に分散したものである。核となる酸
化スズのコロイド粒子の粒径は、一般に4〜50nm
である。周囲を取り囲む複合体のコロイド粒子の粒径
は、一般に2〜7nmである。核となる酸化スズ粒子
は、正に帯電している。そのため、これをそのまま一般
式(I)で表わされる成分に混合すると、一般式(I)
の分子は、−SiO− H+ に由来して、負の電荷を持
つので、凝集(ゲル化)する。それに対して、複合体粒
子は、負に帯電している。そのため、これを一般式
(I)と混合しても凝集しない。
【0043】酸化スズ−酸化タングステン複合体ゾル
は、一般には、タングステン酸ナトリウム水溶液をイオ
ン交換して製造したタングステン酸水溶液に、スズ酸ナ
トリウム水溶液を室温にて強撹拌下に加えることによっ
て製造される。複合体ゾルのWO3 /SnO2 の重量
比は、一般に0.5〜100である。0.5より小さく
ても、100より大きくても本発明のコーティング組成
物を調製して塗膜を形成したとき、性能の劣った塗膜し
か得られない。
【0044】変性ゾルは、酸化スズの水性ゾルの「S
nO2換算で100重量部」に対して、複合体の水性
ゾルを「WO3とSnO2の合計重量換算で2〜100重
量部」を室温下、強撹拌下に加えることによって製造さ
れる。この場合も、2重量部より少なくても、100重
量部より多くても本発明のコーティング組成物を調製し
て塗膜を形成したとき、性能の劣った塗膜しか得られな
い。
【0045】変性ゾルの二重構造コロイド粒子の粒径
は、一般に4.5〜60nmである。酸化スズの水性
ゾルに複合体の水性ゾルを混合すると、酸化スズの
粒子と複合体の粒子とは、化学的に結合するものと推
定される。そのため、製造された変性ゾルは、安定に存
在するものと推定される。また特に、酸化チタニウム、
酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化セリウム、酸
化ジルコニウム、酸化スズを使用した場合には、組成物
の屈折率を高くすることができる。本発明は、このよう
な高屈折率成分を使用した際に、特に優れた効果を発揮
することができる。またこれらのゾルは、複数の酸化物
が混じり合いこれらの酸化物とは異なる結晶構造を形成
した固溶体の状態でもよい。
【0046】分散媒としては、水、アルコールその他の
有機溶媒が使用される。ゾルには、有機アミンその他の
安定剤を添加することが好ましい。ゾルの粒子径は、1
〜200nm、特に5〜100nmのものが好ましい。
1nmより小さいと製造が困難であり、ゾル自身の安定
性も悪く、かつ効果も小さくなってしまう。また200
nmより大きいとコーティング組成物の安定性、塗膜の
透明性、平滑性などが低下してしまう。
【0047】以上の成分の他に更に必要に応じて、例え
ば、塗布される側の基材(成形物)との接着性改良を目
的として、或いは、コーティング組成物の安定性を向上
させる目的で、各種添加剤を併用してもよい。添加剤の
例としては、pH調節剤、粘度調節剤、レベリング剤、
つや消し剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などが
ある。
【0048】塗布時におけるフローを向上させ、塗膜の
平滑性を向上させて塗膜表面の摩擦係数を低下させる目
的で、各種の界面活性剤をコーティング組成物に併用す
ることも可能であり、特に、ジメチルシロキサンとアル
キレンオキシドとのブロックまたはグラフト共重合体、
さらにはフッ素系界面活性剤などが有効である。その塗
布方法は、刷毛塗り、浸漬、ロール塗り、スプレー塗
装、流し塗り等、通常の塗布法を用いることができる。
この際、塗布条件は、主としてプライマー層を形成する
プライマー組成物の性質によって決定される。
【0049】反応を促進し、低温で硬化させるために、
下記のような硬化触媒を用いることができる。 (1)アミン類:モノエタノールアミン、ジエタノール
アミン、イソプロパノールアミン、エチレンジアミン、
イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モルホリ
ン、トリエタノールアミン、ジアミノプロパン、アミノ
エチルエタノールアミン、ジシアンジアミド、トリエチ
レンジアミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール。
【0050】(2)各種金属錯化合物: 一般式:AlXn Y3-n (但し、式中、XはOL(Lは低級アルキル基)、Yは
一般式M1 COCH2 COM2 (M1 、M2 は低級アル
キル基)及びM1 COCH2 COOM2 に由来する配位
子から選ばれる少くとも1つで、nは0又は1又は2で
ある)で示されるアルミニウムキレート化合物。
【0051】特に有用なキレート化合物としては、溶解
性、安定性、触媒硬化の観点から、アルミニウムアセチ
ルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテ
ートモノアセチルアセトネート、アルミニウム−ジ−n
−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニ
ウム−ジ−iso−プロポキシド−モノメチルアセトア
セテートなどである。
【0052】その他、クロムアセチルアセトネート、チ
タニルアセチルアセトネート、コバルトアセチルアセト
ネート、鉄アセチルアセトネート、マンガンアセチルア
セトネート、ニッケルアセチルアセトネート、EDT
A、さらには、Al、Fe、Zn、Zr、Tiの錯化合
物。 (3)金属アルコキシド:アルミニウムトリエトキシ
ド、アルミニウムトリ−n−プロポキシド、アルミニウ
ムトリ−n−ブトキシド、テトラエトキチタン、テトラ
−n−ブトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタ
ン。
【0053】(4)有機金属塩:酢酸ナトリウム、ナフ
テン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オ
クチル酸スズ。 (5)過塩素酸塩:過塩素酸マグネシウム、過塩素酸ア
ンモニウム。 (6)有機酸又はその無水物:マロン酸、コハク酸、酒
石酸、アジピン酸、アゼライン酸、マレイン酸、o−フ
タル酸、テレフタル酸、フマル酸、イタコン酸、オキザ
ロ酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン
酸、1,2−ジメチルマレイン酸無水物、無水フタル
酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、無水ナフタル酸。
【0054】(7)ルイス酸:塩化第二鉄、塩化アルミ
ニウム。 (8)ハロゲン化金属:塩化第一スズ、塩化第二スズ、
臭化スズ、塩化亜鉛、臭化亜鉛、四塩化チタン、臭化チ
タン、臭化タリウム、塩化ゲルマニウム、塩化ハフニウ
ム、塩化鉛、臭化鉛。
【0055】以上の触媒は、単独で使用しても2種以上
混合して使用してもよい。上記のようにして形成される
本発明の着色プラスチックレンズは、レンズ基材の厚さ
数mmに対して、顔料分散樹脂塗膜の膜厚は数μm、コ
ーティング膜(例えば、ハードコート膜)の膜厚は2μ
m程度である。顔料分散樹脂塗膜とコーティング膜は、
レンズのいずれの面に設けてもよい。例えば、レンズの
一方の面、例えば、接眼側片面に形成してもよいし、両
面に形成してもよい。
【0056】ハードコート膜としては、前記したような
ものの他にCVD法により形成することも可能である。
材料としては、Si及び/またはTiを含む化合物が挙
げられ、具体的にはテトラメトキシシラン、ジメトキシ
シラン、メチルメトキシシラン、テトラメトキシシラ
ン、テトラメトキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタ
ン、テトラジエチルアミノチタンなどである。CVD法
によるハードコート膜の膜厚は0.4μmより厚く5μ
mよりも薄い膜厚を有するものである。CVDによりハ
ードコート膜を形成することにより、レンズ基材表面形
状によらずハードコート膜を形成することが可能とな
る。また、浸漬染色方法によらないので、一度に大量の
レンズにハードコート膜を形成することができ、耐久性
を有する染色レンズの製造が容易になる。
【0057】また、本発明の着色されたプラスチックレ
ンズは、さらに必要に応じて無機酸化物からなる反射防
止膜や撥水膜を形成することができる。撥水膜を形成す
る材料としては、フルオロアルキル基を含有するシラザ
ン化合物が好ましい。このシラザン化合物中のアミノ基
は1〜3官能のものが使用可能である。また置換基材と
してアルコキシ基を有するものも使用可能である。撥水
膜を設けることによりより様々な環境下での使用に耐え
得る染色レンズが得られる。
【0058】本発明の着色されたプラスチックレンズに
おいては、顔料分散樹脂塗膜をレンズ表面上に形成する
ものであり、従来のように基材中に含浸させるものでは
ないため、染色のバラツキがなく、均一且つ安定した着
色が可能である。更に、長時間の使用による色ヌケが生
じることもない。また、顔料分散樹脂層の上に、コーテ
ィング膜としてハードコート膜を形成する際に、シリコ
ン樹脂等のハードコート液に浸漬しても、ハードコート
液中に染料が溶け出すことがない。
【0059】以下、本発明の実施例について説明する。
【0060】
【実施例1】 (1−1)プライマー組成物の調製 市販のブチラール化度70%、重合度700のポリビニ
ルブチラール樹脂(和光純薬工業(株)製)70重量部
をn−ブタノール630重量部に溶解し、メタノール4
00重量部、水100重量部と、架橋剤としてテトラメ
トキシシラン4.2重量部、グルタルアルデヒド50%
水溶液1.1重量部と、硬化触媒としてp−トルエンス
ルホン酸1.2重量部と、レベリング剤としてフッ素系
界面活性剤フロラードFC430(住友スリーエム
(株)製)1重量部を順次加え、この混合物が均一状態
になるまで十分に攪拌した後、3μmのメンブランフィ
ルターで濾過しプライマー組成物を調製した。その後、
このプライマー溶液中に、カーボンブラックを2g分散
させた。
【0061】(1−2)顔料分散プライマー組成物の塗
布および硬化 度数が−4.00ジオプタで、中心厚が1.0mmのC
R−39眼鏡用プラスチックレンズを、前処理として6
0℃の10%NaOH水溶液に5分間浸し、温水で洗浄
後乾燥した。このプラスチックレンズの両面上にディッ
ピング法(引き上げ速度100cm/min)にて(1
−1)で調製したプライマー組成物を塗布し、塗布した
プラスチックレンズを100℃で15分間加熱処理して
プライマーを硬化させた。
【0062】(1−3)シリコン系ハードコート液の調
製 回転子を備えた反応容器中に、γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン180重量部を仕込み、マグネチ
ックスターラーを用いて激しく攪拌しながら,0.01
規定塩酸水溶液40重量部を一度に添加し、1時間加水
分解を続け、部分的に縮合した加水分解物を得た。
【0063】上記の加水分解物に市販のメタノールシリ
カゾル(日産化学(株)製、平均粒子径10〜20n
m)を630重量部と、硬化触媒としてアセチルアセト
ン鉄(II)4重量部と、レベリング剤としてフロラード
FC430を0.45重量部添加し、十分に攪拌混合し
た後、3μmのメンブランフィルターで濾過しハードコ
ート液を調製した。
【0064】(1−4)シリコン系ハードコート液の塗
布および硬化 (1−2)で得られたプライマー層を有するプラスチッ
クレンズの両面に、(1−3)で得られたシリコン系ハ
ードコート液をディッピング法(引き上げ速度100c
m/min)にて塗布した。塗布したレンズを100℃
で4時間加熱処理してハードコート層を硬化させた。
【0065】(1−5)反射防止膜の形成 (1−4)で得られたプライマー層およびハードコート
層を有するプラスチックレンズの両面に、SiO2/Z
rO2系の5層反射防止膜を真空蒸着法により形成させ
た。 (1−6)複合膜を有するプラスチックレンズの性能評
価 図1に、シリコン樹脂硬化膜形成前のレンズの分光透過
率曲線1とシリコン樹脂硬化膜形成後のレンズの分光透
過率曲線2を示す。
【0066】着色されたプラスチックレンズの視感透過
率は、47%で、均一かつ透明性の高いレンズが得られ
た。シリコン樹脂硬化膜を施しても、色調も視感透過率
も変化がなく、シリコン樹脂を施す前後での色差は、
0.2であった。
【0067】
【実施例2】 (2−1)プライマー組成物の調製 実施例1で用いたのと同じポリビニルアセタール樹脂プ
ライマー40gと界面活性剤0.2gからなるビヒクル
にジアントラキノリルレッドを4g分散させた。
【0068】(2−2)顔料分散プライマー組成物の塗
布および硬化 度数が−4.00ジオプタで、中心厚が1.0mmのC
R−39眼鏡用プラスチックレンズを、前処理として6
0℃の10%NaOH水溶液に5分間浸し、温水で洗浄
後乾燥した。このプラスチックレンズの凹面上にスピン
コート法(1,500RPM)にて(2−1)で調製し
たプライマー組成物を塗布し、100℃で15分間加熱
処理してプライマーを硬化させた。
【0069】(2−3)シリコン系ハードコート液の塗
布および硬化 (2−2)で得られたプライマー層を有するプラスチッ
クレンズの両面に、(1−3)で得られたシリコン系ハ
ードコート液をディッピング法(引き上げ速度100c
m/min)にて塗布した。塗布したレンズを100℃
で4時間加熱処理してハードコート層を硬化させた。
【0070】(2−4)反射防止膜の形成 (2−3)で得られたプライマー層およびハードコート
層を有するプラスチックレンズの両面に、SiO2/Z
rO2系の5層反射防止膜を真空蒸着法により形成させ
た。 (2−5)複合膜を有するプラスチックレンズの性能評
価 図2に、シリコン樹脂硬化膜形成前のレンズの分光透過
率曲線3とシリコン樹脂硬化膜形成後のレンズの分光透
過率曲線4を示す。
【0071】着色されたプラスチックレンズの視感透過
率は、70%で、均一かつ透明性の高いレンズが得られ
た。シリコン樹脂硬化膜を施しても、色調も視感透過率
も変化がなく、シリコン樹脂を施す前後での色差は、
0.1であった。 〔比較例〕分散染料KPRD RED 306(三井東
圧化学(株)製)を界面活性剤と共に水に分散させた染
色液を加熱し、この中に、実施例1で用いたのと同じプ
ラスチックレンズ成形物を約10分間浸漬した。その結
果、視感透過率56%に着色した。このレンズを実施例
1で用いたのと同じポリビニルアセタール樹脂系プライ
マーのビヒクルに浸漬し、加熱硬化後、シリコン樹脂液
に浸漬したところ、シリコン樹脂液に染料が滲み出すの
が観察された。
【0072】図3に、染料によって着色後ポリビニルア
セタール樹脂層形成前の分光透過率曲線5、ポリビニル
アセタール樹脂層形成後シリコン樹脂層形成前の分光透
過率曲線6、シリコン樹脂形成後の分光透過率曲線7を
示す。シリコン樹脂液に浸漬することによって、視感透
過率は66%となり、シリコン樹脂を施す前後での色差
は19.24となり、激しい色ヌケを生じた。
【0073】
【発明の効果】本発明のプラスチックレンズの着色は、
ポリビニルアセタールを有するプライマー組成物に顔料
を添加した顔料分散樹脂塗膜をレンズ表面に形成するも
のであるため、耐候性及び耐光性が優れ、耐衝撃性も兼
ね備えた着色プラスチックレンズが得られる。更に、顔
料分散樹脂塗膜の上にシリコン樹脂層等のハードコート
膜を形成する際に、レンズ基材をハードコート液に浸漬
しても、顔料がハードコート液中に滲み出すことがない
ので、色ヌケによるハード加工後の色調の変化やハード
コート液が着色されてしまうことがない。そのため、ハ
ードコート膜により耐擦傷性も向上した、耐久性に優れ
た染色レンズを再現性よく効率的に製造することができ
る。
【0074】従って、ファッション性に優れた着色レン
ズを様々な使用環境下で使用することが更に可能となっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例1により製造された着色プラスチッ
クレンズの分光透過率曲線を示すグラフである。
【図2】は、実施例2により製造された着色プラスチッ
クレンズの分光透過率曲線を示すグラフである。
【図3】は、比較例により製造された着色プラスチック
レンズの分光透過率曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・・シリコン樹脂硬化膜形成前のレンズの分光透
過率曲線 2・・・・シリコン樹脂硬化膜形成後のレンズの分光透
過率曲線 3・・・・シリコン樹脂硬化膜形成前のレンズの分光透
過率曲線 4・・・・シリコン樹脂硬化膜形成後のレンズの分光透
過率曲線 5・・・・染料によって着色後ポリビニルアセタール樹
脂層形成前のレンズの分光透過率曲線 6・・・・ポリビニルアセタール樹脂層形成後シリコン
樹脂層形成前のレンズの分光透過率曲線 7・・・・シリコン樹脂硬化膜形成後のレンズの分光透
過率曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02B 7/02 G02B 7/02 // D06P 5/00 D06P 5/00 D

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックレンズ基材と、該プラスチ
    ックレンズ基材上に形成された顔料及びポリビニルアセ
    タールを主成分とする塗膜を有することを特徴とする着
    色されたプラスチックレンズ。
  2. 【請求項2】 前記塗膜上に前記塗膜とは異なる材料を
    主成分とするコーティング膜が形成されていることを特
    許とする請求項1記載のプラスチックレンズ。
  3. 【請求項3】 前記ポリビニルアセタールが下記2種類
    の化合物を架橋剤とした反応生成物よりなることを特徴
    とする請求項1、2記載のプラスチックレンズ。 イ)加水分解性オルガノシラン化合物 ロ)ジアルデヒド化合物またはジアルデヒドのアセター
    ル化合物
  4. 【請求項4】 前記塗膜の膜厚が約0.1〜5μmであ
    ることを特徴とする請求項1、2、3記載のプラスチッ
    クレンズ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003105218A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Mitsui Chemicals Inc アザポルフィリン系色素およびその用途
KR100663075B1 (ko) 2006-06-21 2006-12-28 진재길 플라스틱렌즈의 황변현상 및 들뜬현상 방지용 보호막코팅방법
JP2007507622A (ja) * 2003-05-08 2007-03-29 バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー プラスチック物品を色味付けするための方法

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