JP2000119586A - コーティング組成物及びこれが塗布された光学物品 - Google Patents

コーティング組成物及びこれが塗布された光学物品

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JP2000119586A
JP2000119586A JP10289174A JP28917498A JP2000119586A JP 2000119586 A JP2000119586 A JP 2000119586A JP 10289174 A JP10289174 A JP 10289174A JP 28917498 A JP28917498 A JP 28917498A JP 2000119586 A JP2000119586 A JP 2000119586A
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Hisashi Ogasawara
恒 小笠原
Tomoya Shitsuin
智哉 執印
Osamu Abe
修 阿部
Michiko Seki
道子 関
Sumuto Shimizu
澄人 清水
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Nikon Corp
Nasu Nikon KK
Original Assignee
Nikon Corp
Nasu Nikon KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 性能の優れたコーティング組成物を得る。 【解決手段】 ポリビニルアセタール及び下記成分を主
成分とすることを特徴とするコーティング組成物。 イ)オルガノシラン及び/または加水分解性オルガノシ
ラン化合物またはその加水分解縮合物 ロ)有機金属アルコキシド化合物 ハ)酸化金属塩を主成分とする無機酸化物微粒子及び/
又は前記無機微粒子の複合体及び/又は前記無機微粒子
の化合物

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐衝撃性、密着性、耐
熱性、耐擦傷性、耐薬品性、耐候性、外観に優れた被膜
となるコーティング組成物及びこのコーティング組成物
を用いて成膜された被膜を有する光学物品に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックを材料とする成型品は軽
量、耐衝撃性、簡易加工性、染色性等の長所があり、光
学材料、特に眼鏡レンズの分野で近年急速に普及してい
る。しかし、一般に硬化したプラスチックは非常に傷付
き易いという欠点を有する。これを解決するために、通
常は表面硬度の向上を目的に例えばプラスチックレンズ
基材の表面にシリコン系材料を主成分とするハードコー
ト層が設けられている。また、像のチラツキの原因であ
る表面反射を抑える目的で、ハードコート層膜の表面に
無機物質を蒸着した単層または多層の反射防止膜を設け
ることにより反射防止を実現している。
【0003】しかしながら、ハードコート層と反射防止
膜の双方が設けられたプラスチックレンズは、膜を一切
設けていないプラスチックレンズやハードコート層のみ
を設けたプラスチックレンズに比べて耐衝撃性が著しく
低下するという欠点があった。このようなプラスチック
レンズの耐衝撃性に関する問題点を解決するために幾つ
かの手段が提案されている。
【0004】例えば第1の手段として、特開昭61−1
70701号公報、特開平1−244401号公報、特
開平2−36216号公報、特開平4−159309号
公報、特開平4−161412号公報、特開平4−12
6710号公報、特開平5−5011号公報、特開平4
−142315号公報、特開平4−161410号公
報、特開平4−161411号公報、特開平4−202
308号公報、特開平4−202309号公報等には、
ハードコート層、反射防止膜は形成されていないが、レ
ンズの中心厚を厚くして耐衝撃性を向上させることが記
載されている。。
【0005】また、例えば第2の手段として、特開昭6
3−14001号公報、特開昭63−87223号公報
等には、プラスチックレンズ基材とハードコート層膜と
の間に樹脂組成物よりなるプライマー層を設けることが
記載されている。プライマー層の材料としては、ポリウ
レタン樹脂溶液をプラスチックレンズに塗布した後、溶
剤を揮発させてポリウレタン樹脂から成るプライマー層
を得ることが提案されている。得られるポリウレタン層
は架橋構造を有していない、いわゆる熱可塑性樹脂の膜
となる。
【0006】また、例えば第3の手段として、特開昭6
1−114203号公報等には、アクリルポリオールと
多官能有機イソシアネート化合物からなるプライマー組
成物を基材上に塗布し、硬化させた架橋構造を持つポリ
ウレタンからなるプライマー層を形成することが記載さ
れている。また、例えば第4の手段として、特開平3−
109502号公報、特開平4−366801号公報、
特開平5−25299号公報等には、ブロック型イソシ
アネートを用いてプライマー層を形成することが記載さ
れている。これにより低温でのポリオールとの反応を抑
制し、プライマー液の使用可能時間を改善することが可
能となった。
【0007】また、基材とその上に形成する層との密着
性を向上させるためにプライマー層を形成することも提
案されている。例えばエポキシ化合物を用いる方法(特
開昭60−214301号公報)、アクリル系および/
またはメタクリル系化合物と芳香族ビニル化合物を主成
分とする方法(特開昭60−214302号公報)、ア
クリルポリオールと多官能有機イソシアネート化合物か
らなるプライマー組成物を用いる方法(特開昭61−1
14203号公報)等が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記第1の手段により
耐衝撃性を向上させる手段では、レンズの縁厚を増加さ
せるため前記従来技術に挙げた公報のものと同様に外観
を損なわれる問題がある。更にレンズの重量も増加する
等の実用上の問題点もあった。また、プラスチック材料
によっては、中心厚の増加だけではFDA規格の耐衝撃
性試験に合格するレンズを提供できない場合もあった。
【0009】そして、マイナスレンズの場合、中心厚が
薄いためFDA規格には合格しない場合がでてくる。特
に最近ではマイナスレンズの中心厚を薄くする方向にあ
り、中心厚を厚くする手段では解決できない場合もあ
る。また中心厚を厚くすると縁厚も厚くなってしまい、
外観上の問題が生じ実用的な解決手段ではなかった。前
記第2の手段の場合、プライマー層上にハードコート層
を形成するときにポリウレタン層を有するプラスチック
レンズをハードコート層膜を設けるためにレンズをハー
ドコート層液に浸すが、プライマー層のポリウレタンが
ハードコート層液の溶剤に溶解してしまう。そのため、
ハードコート層液中にプライマー層の成分が溶出し、ハ
ードコート層液をしばしば汚染する問題点が生じること
があった。また、溶剤により侵食を受けプライマー層の
透明性が失われ、白濁化することもあった。
【0010】前記第3の手段の場合、常温で活性水素と
反応し得るイソシアネート化合物を用いるため、ポリオ
ールの水酸基とイソシアネート基の反応がプライマー液
の保存中にも進行するため、プライマー液の使用可能時
間はあまり長くできない欠点を有していた。前記第4の
手段の場合、プライマーの硬化にはまずブロック剤の脱
離が必要であり、そのために120℃を超える高温が必
要となるこのような加熱は、軟化温度がそれほど高くな
いプラスチック基材に適用することはできなかった。ま
た有機染料により染色された染色レンズに適用すると色
調が著しく変化してしまう問題点があった。
【0011】更に、本手段で形成されるウレタン樹脂系
材料からなるプライマーは、硬化後の屈折率が1.50
〜1.55と低いために、屈折率の高い基材上に設ける
ことができなかった。例えば屈折率が1.60以上の基
材上に本手段のプライマー層を形成すると、光の干渉に
よる縞模様が生じてしまい、外観を著しく損なうという
問題点も有った。
【0012】また前記した密着性を向上させるためにプ
ライマー層を設ける手段では、いずれの場合も主目的の
密着性の改善は達成され、耐薬品性等の特性も得られて
いるものの、耐衝撃性の向上はなされていない。本発明
はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、ハ
ードコート層膜、あるいはハードコート層膜および反射
防止膜を有するプラスチックレンズにおいて、比較的低
温かつ短時間で加熱処理することにより硬化可能なポリ
ビニルアセタールからなるプライマー層を、プラスチッ
クレンズ基材とハードコート層膜との間に設けた耐衝撃
性に優れたプライマー組成物及びこれが塗布されたプラ
スチックレンズを提供することを目的とした。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討を
重ねた結果、架橋された特定のポリビニルアセタールか
らなるプライマー層を設けたプラスチックレンズが優れ
た耐衝撃性を有し、米国のFDA規格に十分合格する特
性をもつことを見いだした。そこで本発明は第1に「ポ
リビニルアセタール及び下記成分を主成分とすることを
特徴とするコーティング組成物。
【0014】イ)オルガノシラン及び/または加水分解
性オルガノシラン化合物またはその加水分解縮合物 ロ)有機金属アルコキシド化合物 ハ)酸化金属塩を主成分とする無機酸化物微粒子及び/
又は前記無機微粒子の複合体及び/又は前記無機微粒子
の化合物(請求項1)」を提供する。第2に「前記成分
ロがアルミニウムまたはチタニウムのアルコキシド化合
物あるいはアルミニウムまたはチタニウムのアルコキシ
ドジケトネート化合物であることを特徴とする請求項1
記載のコーティング組成物(請求項2)」を提供する。
第3に「前記成分ハに変えて下記を含むことを特徴とす
る請求項1、2記載のコーティング組成物。
【0015】ニ)前記成分ハと無機酸化物微粒子及び/
又は前記成分ハと前記無機酸化物微粒子の複合体及び/
又は前記成分ハと前記無機酸化物微粒子の化合物(請求
項3)」を提供する。第4に「プラスチック基材と、該
プラスチック基材上にポリビニルアセタールと下記成分
を含むことを特徴とするコーティング組成物との反応生
成物からなる被膜を有することを特徴とする光学物品。
【0016】イ)オルガノシラン及び/または加水分解
性オルガノシラン化合物またはその加水分解縮合物 ロ)有機金属アルコキシド化合物 ハ)酸化金属塩を主成分とする無機酸化物微粒子及び/
又は前記無機微粒子の複合体及び/又は前記無機微粒子
の化合物又は、 ニ)前記成分ハと無機酸化物微粒子及び/又は前記成分
ハと前記無機酸化物微粒子の複合体及び/又は前記成分
ハと前記無機酸化物微粒子の化合物(請求項4)」を提
供する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のコーティング組成物は、主成分であるポリビニ
ルアセタールと、加水分解性オルガノシラン化合物また
はその加水分解縮合物及び有機金属アルコキシド化合
物、及び酸化金属塩を主成分とする無機微粒子を主成分
とするものである。
【0018】有機金属アルコキシド化合物としては、ア
ルミニウムまたはチタニウムのアルコキシド化合物ある
いはアルミニウムまたはチタニウムのアルコキシドジケ
トネート化合物が使用可能である。さらにこれに硬化触
媒を溶解し、また無機微粒子を分散させたプライマー組
成物をプラスチックレンズ表面に塗布し、加熱処理する
ことにより可能である。
【0019】本発明におけるコーティング組成物の主成
分であり、一般式(I)で示されるポリビニルアセタール
は、アセタール部のアルキル基の炭素数が0から20の
ものが利用でき、好ましくは0から10のものであり、
特に好ましくはアルキル基の炭素数が3であるポリビニ
ルブチラールである。アセタール基のアルキル鎖が短い
方が樹脂のガラス転移点が上昇し、コート膜の耐熱性が
向上するが、衝撃強度は低下する傾向にある。これらの
物性のバランスを考慮し、2種類以上のポリビニルアセ
タールを混合して用いることもできる。
【0020】一般式I
【0021】
【化1】
【0022】(但し、R1は、水素原子又は炭素数0〜
20の飽和炭化水素基であり、aは、アセタール基を有
する構成単位の分率であり、10〜90、bはOH基を
有する構成単位の分率であり、10〜90、cはアセチ
ル基を有する構成単位の分率であり0〜10、またa+
b+c=100である) アセタール化度は10から90%のものが使用でき、好
ましくは20から80%のアセタール化度のポリビニル
アセタールである。アセタール化度が10%未満では衝
撃強度の改善が不十分であり、またアセタール化度が9
0%以上のポリビニルアセタールは合成が困難であるほ
か、プラスチック基材との密着性の低下が予測される。
ポリビニルアセタールの重合度は好ましくは5,000
以下のものであるが、より好ましくは100から3,0
00である。重合度が高すぎては溶媒に溶解しにくくな
るほか、最適アセタール化度のポリビニルアセタールを
合成するのが困難である。逆に、重合度が低すぎては衝
撃強度の改善が不十分となる。なお、式(I)記載のポ
リビニルアセタール中のアセチル基は本発明においては
必須成分ではないが、ポリビニルアセタールの原料であ
るポリビニルアルコールがポリ酢酸ビニルの加水分解に
よって合成されるため、少量残存するものである。
【0023】コーティング組成物中のポリビニルアセタ
ールの添加量としては0.1〜20重量%、好ましくは
1〜10重量%である。ポリビニルアセタールの添加量
が多すぎるとコーティング組成物の粘度が高くなりすぎ
るとプラスチック光学部品への塗布が困難になる他、塗
布層が厚くなりすぎ塗布面の均一性が失われる。逆にポ
リビニルアセタールの添加量が少なすぎると塗布層が薄
くなりすぎてしまい、コーティング組成物をプライマー
層として用いる場合、衝撃強度の改善が不十分となる。
【0024】また加水分解性オルガノシラン化合物は、
式(II)または式(III)で示され架橋剤として用いら
れる。式(II)
【0025】
【化2】
【0026】(但し、R2、R3は、置換又は非置換の炭
素数1〜8の炭化水素基であり、X 1は加水分解基であ
り、d,eは0〜3までの整数である)式(III)
【0027】
【化3】
【0028】(但し、R4は炭素数2〜8の有機基であ
り、R5,R6は置換または非置換の炭素数1〜8の1価
炭化水素基であり、X2は加水分解基であり、f,gは
0〜2までの整数である) オルガノシラン化合物中の加水分解基が加水分解してシ
ラノール基が生成し、有機金属アルコキシド化合物と反
応する。そして更に触媒の作用と熱によりポリビニルア
セタール中の水酸基と脱水縮合することにより、分子間
もしくは分子内で架橋が行われる。架橋にあずかる分子
は、オルガノシラン化合物および有機金属アルコキシド
化合物の加水分解物またはそれらの縮合物である。オル
ガノシラン化合物はそのまま添加されてもよいし、あら
かじめ加水分解されたものが添加されてもよい。また、
1種類のオルガノシラン化合物を単独で用いてもよい
し、2種類以上のオルガノシラン化合物を混合して用い
てもよい。オルガノシラン化合物としては、加水分解基
がハロゲン原子であるハロシラン化合物類、加水分解基
がアルコキシ基であるアルコキシシラン化合物類、加水
分解基がカルボキシ基であるカルボキシシラン化合物
類、もしくは加水分解基がケトオキシム基であるケトオ
キシムシラン化合物類などを用いることができるが、好
ましくはアルコキシシラン化合物類である。
【0029】一般式(II)で示される加水分解性オルガ
ノシラン化合物の具体的な例としては、ジメチルジメト
キシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメ
トキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、フェニルメ
チルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエ
トキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチル
ビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、
メチルトリブトキシシラン、メチルトリス(2−メトキ
シエトキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチ
ルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、
エチルトリブトキシシラン、エチルトリス(2−メトキ
シエトキシ)シラン、プロピルトリメトキシシラン、プ
ロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラ
ン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシ
シラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ビニルトリメト
キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス
(2−メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキ
シシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−クロロプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエ
トキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリ
メトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルト
リエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピル
トリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラ
ン、クロロメチルトリエトキシシラン、N−(β−アミ
ノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)トリメ
トキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシルメチ
ル)トリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシルエチル)トリメトキシシラン、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシルエチル)トリエトキシシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、などが
あげられる。
【0030】また、一般式(III)で示される加水分解
性オルガノシラン化合物の具体的な例としては、1,1
−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,1−ビス
(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリメ
トキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシ
リル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プ
ロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパ
ン、2,2−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、
2,2−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、などが
あげられる。なかでも好ましいものとして、γ−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、1,2−ビス(トリメ
トキシシリル)エタンなどがあげられる。これらアルコ
キシシランの加水分解物は、前述のオルガノアルコキシ
シラン化合物を単独または2種類以上組み合わせ、塩酸
などの酸性水溶液で加水分解することによって調製され
る。コーティング組成物中のオルガノシラン化合物の添
加量としては0.01〜10重量%、好ましくは0.1
〜5重量%である。
【0031】一般式(IV)で示される有機金属アルコキ
シド化合物としては、アルミニウムまたはチタニウムの
アルコキシドまたはアルコキシドジケトネート化合物を
用いるのが好ましい。 一般式(IV)
【0032】
【化4】
【0033】(但し、R7は炭素数1〜4のアルキル基
又はアルコキシ基であり、R8,R9は炭素数1〜4のア
ルキル基であり、MはAl又はTiであり、oは0〜2
までの整数であり、pは1〜4までの整数であり、o+
pはMの原子価数であり3又は4である) これらは1種類の化合物を単独で用いてもよいし、2種
類以上の化合物を混合して用いてもよい。
【0034】有機金属アルコキシド化合物は、オルガノ
シラン化合物またはその加水分解縮合物と容易に反応
し、その生成物はポリビニルアセタール中の水酸基と触
媒および熱の作用により反応する。有機金属アルコキシ
ド化合物には、加水分解で生じたオルガノシラン化合物
中のシラノール基とポリビニルアセタール中の水酸基と
の脱水縮合反応を促進する触媒としての作用と、オルガ
ノシラン化合物とともに加水分解縮合する架橋剤として
の作用があるものと考えられる。
【0035】一般式(IV)で示される有機金属アルコキ
シド化合物の具体的な例としては、アルミニウムトリメ
トキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウム
トリプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、チタ
ニウムテトラメトキシド、チタニウムテトラエトキシ
ド、チタニウムテトラプロポキシド、チタニウムテトラ
ブトキシド、アルミニウムジプロポキシドアセチルアセ
トナート、アルミニウムジプロポキシドエチルアセトア
セテート、アルミニウムジブトキシドアセチルアセトナ
ート、アルミニウムジブトキシドエチルアセトアセテー
ト、チタニウムジメトキシドビス(アセチルアセトナー
ト)、チタニウムジエトキシドビス(アセチルアセトナ
ート)、チタニウムジプロポキシドビス(アセチルアセ
トナート)、チタニウムジブトキシドビス(アセチルア
セトナート)、チタニウムジプロポキシドビス(エチル
アセトアセテート)、チタニウムジブトキシドビス(エ
チルアセトアセテート)などがあげられる。この中でも
特にチタニウムアルコキシドが好ましい。プライマー組
成物中の有機金属アルコキシド化合物の添加量としては
0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%で
あるが、オルガノシラン化合物の50モル%以下が好ま
しい。有機金属アルコキシド化合物の添加量がオルガノ
シラン化合物の添加量の50モル%を越えると耐衝撃性
が低下する。
【0036】また硬化触媒としては、オルガノシラン化
合物と有機金属アルコキシド化合物の加水分解縮合物と
ポリビニルアセタール中の水酸基との脱水縮合、および
シラノール基間の脱水縮合反応を促進するものであれば
特に制限はない。具体的には、ジブチルスズジラウレー
ト、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテ
ート、ジブチルスズクロライド、ジメチルスズクロライ
ドなどの有機スズ化合物、プロピルアミン、ブチルアミ
ン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリエタノー
ルアミン、テトラメチルグアニジン、メチルイミダゾー
ル、ジシアンジアミドなどの有機アミン類、アルミニウ
ムアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネートなど
の有機金属錯体を用いることができる。これらは単独で
用いてもよいし、2種類以上の触媒を混合して用いても
よい。プライマー組成物中の硬化触媒の添加量として
は、0.002〜1重量%、好ましくは0.005〜1
重量%である。
【0037】また成分ハの酸化金属塩としては、ZnO
SnO2、BaOSnO2、SrOSnO2、CaOSn
2、MgOSnO2、RaOSnO2、ZnOSb
25、BaOSb25、SrOSb25、CaOSb2
5、MgOSb25、RaOSb25、ZnOTi
2、BaOTiO2、SrOTiO2、CaOTiO2
MgOTiO2、RaOTiO2、ZnOZrO2、Ba
OZrO2、SrOZrO2、CaOZrO2、MgOZ
rO2、RaOZrO2、CoOFe23、MnOFe2
3、ZnOFe23、NiOFe23などが挙げられ
る。
【0038】これらの酸化金属塩は、単独または2種類
以上を混合した状態、又は複合体又は化合物の状態で用
いることも可能である。またそれらの酸化金属塩は、A
23、TiO2、ZrO2、Fe23、Sb25、Be
O、ZnO、SnO2、CeO2、SiO2、WO3等の無
機酸化物微粒子を含んでもよい。また無機酸化物微粒子
は、酸化金属塩との複合体又は化合物として用いること
も可能である。
【0039】これら酸化金属塩や無機酸化物の無機微粒
子は、水または有機溶媒に分散した市販されているゾル
をそのまま用いることができる。無機微粒子あるいはこ
れらの無機微粒子の複合体の平均粒子径は、平均粒子径
が300nmを越えると光の散乱によるレンズの曇りが
生ずることから1〜300nmであり、好ましくは1〜
50nmである。コーティング組成物中の無機微粒子の
添加量は固形分濃度として0.1〜30重量%である
が、プラスチックレンズに塗布する場合、硬化膜の屈折
率がプラスチックレンズの屈折率に一致するかもしくは
極めて近くなるよう、無機微粒子の種類、添加量が調整
される。
【0040】コーティング組成物中の有機溶媒として
は、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール
類、ケトン類、エステル類、エーテル類その他公知の溶
媒で、ポリビニルアセタールをよく溶解し、かつ無機酸
化物をよく分散するものが使用できる。特に好ましくは
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、
ヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブで
あるが、これらは単独で用いてもよいし、2種類以上の
有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0041】本発明におけるコーティング組成物は更
に、塗布性の改善を目的とした各種レベリング剤あるい
は耐候性の向上を目的とした紫外線吸収剤や酸化防止剤
を添加してもよい。更に染料や顔料、フォトクロミック
染料やフォトクロミック顔料、その他膜性能を高める機
能を付加するための公知の添加剤を併用することができ
る。
【0042】本発明におけるコーティング組成物をプラ
スチック光学部品上へ塗布する場合、その方法はスピン
コート法、ディッピング法等公知の方法であれば特に制
限はない。また、プラスチック光学部品の表面は必要に
応じてアルカリ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの
前処理を行っておくことが好ましい。コーティング組成
物をプラスチック光学部品に塗布し、耐衝撃性や密着性
を向上させるプライマー層を形成する場合、プライマー
層の膜厚は、熱硬化後の段階で0.1〜5μm、好まし
くは0.2〜3μmである。プライマー層の膜厚が0.
1μmより薄いと耐衝撃性の改善が十分でなく、また5
μmより厚いと耐衝撃性の点では問題がないが、耐熱性
と面精度が低下する。
【0043】プラスチック光学部品はその素材、成型方
法ともに特に制限はない。プラスチック光学部品表面に
塗布したコーティング組成物を硬化させるには、50〜
120℃、好ましくは70〜110℃で1〜60分加熱
すればよい。加熱処理により塗布されたコーティング組
成物中の加水分解されたオルガノシラン化合物およびオ
ルガノチタネート化合物の加水分解縮合物とポリビニル
アセタール中に含まれる水酸基とが脱水縮合してポリビ
ニルアセタール分子が架橋されると共に、縮合反応によ
り生成した水及び予めコーティング組成物中に含まれて
いた有機溶媒と水が蒸発する。こうしてプラスチック光
学部品表面に3次元的に架橋されたポリビニルアセター
ルの硬化層が形成される。
【0044】本発明のコーティング組成物を硬化した硬
化膜を設けたプラスチック光学部品は、その表面硬度を
向上させる目的でハードコート層を公知の方法で製膜す
ることができる。ハードコート層の製膜方法としては、
オルガノアルコキシシランの加水分解物、無機酸化物微
粒子、および金属錯体触媒を溶解したハードコート層液
を、ディッピングあるいはスピンコートにより塗布した
後、加熱硬化する湿式法、プラズマCVDなどの乾式法
等の公知の方法を用いることができる。
【0045】無機酸化物微粒子としては、市販の水また
は有機溶媒に分散した無機酸化物微粒子ゾルが用いられ
る。具体的な化合物としては、ZnO、SiO2、Al2
3、TiO2、ZrO2、SnO2、BeO、Fe23
Sb25、WO3、CeO2等の微粒子状無機酸化物ある
いはこれらの無機酸化物の複合体または化合物状態のゾ
ルがあげられる。例としてはBaOTiO2、SrOT
iO2、BaOZrO 2、CoOFe23、NiOFe2
3、MnOFe23などの化合物酸化物微粒子が挙げ
られる。また、(Ba,Sr)OTiO2、SrO(T
i,Zr)O2、(Mn,Zn)OFe23等の固溶体
酸化物微粒子を用いることもできる。これらの酸化物微
粒子は、単独または2種類以上を混合して用いることが
可能である。
【0046】金属錯体触媒としては、アセチルアセトン
金属塩、エチレンジアミン四酢酸金属塩などが用いられ
る。更に必要に応じ、界面活性剤、着色剤、溶媒などを
添加してハードコート層液が調製される。ハードコート
層の膜厚は、0.1〜10μm、好ましくは1〜4μm
である。
【0047】さらにハードコート層を設けた表面に反射
防止能を有する無機化合物の蒸着膜を公知の方法で成膜
することができる。反射防止膜は、光学理論に基づいた
単層もしくは多層構造膜が採用される。反射防止膜の形
成には、一般に真空蒸着、スパッタリング、イオンプレ
ーティング、CVDなどの手法が利用される。用いられ
る具体的な材料としては、SiO、SiO2、Al
23、Y23、Yb23、CeO2、ZrO2、Ta
23、TiO2、MgF2などの無機誘電体をあげること
ができる。
【0048】更に必要に応じて、反射防止膜の上に反射
防止膜の汚れ防止、水ヤケ防止を目的として、側鎖にア
ルキル基、フェニル基、ポリフルオロアルキル基などの
疎水性基を有する有機ケイ素化合物またはフッ素含有炭
化水素化合物の超薄膜を形成することも可能である。本
発明におけるコーティング組成物の硬化被膜を耐衝撃性
を向上させるプライマー層として形成する場合、プラス
チック光学部品の耐衝撃性が著しく向上する理由は必ず
しも明確ではないが、次のように考えられる。
【0049】本発明のコーティングの組成物の硬化被膜
が高度な弾性率と高度な柔軟性を合わせ持つため、プラ
スチック光学部品に対して何らかの衝撃があった際にそ
のエネルギーを吸収する役割を担っているものと考えら
れる。また本発明におけるコーティング組成物の硬化被
膜が3次元的に架橋しているため、湿式法によるハード
コート層を行う際にもポリビニルアセタールその他の物
質がハードコート層を形成する塗布液に溶解し、塗布液
を汚染することもない利点がある。
【0050】更に本発明におけるコーティング組成物の
主剤であるポリビニルアセタールが適度な水酸基を有し
ているため、3次元架橋が可能であると同時にプラスチ
ック光学部品およびコーティング組成物の硬化層とハー
ドコート層膜との十分な密着性を達成しているものと考
えられる。
【0051】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらに限定されるものではない。 [A] コーティング組成物の調製 (1) コーティング組成物(A−1)の調製 回転子を備えた反応容器中にメチルトリメトキシシラン
4.0重量部とメタノール20.0重量部を仕込み、1
N塩酸2.0重量部を加え、1時間攪拌し加水分解を行
なった。
【0052】上記加水分解物に、チタニウムテトラn−
ブトキシド3.0重量部を加え、30分間攪拌し、オル
ガノアルコキシシラン/オルガノチタネート加水分解縮
合物を得た。得られた加水分解縮合物の溶液に、日産化
学(株)製ZnOSnO2微粒子の分散メタノールゾル
(固形分濃度25%)を160.0重量部、及び硬化触
媒としてジブチルスズラウレート2.0重量部、レベリ
ング剤として住友スリーエム(株)製フロラードFC4
30(フッ素系界面活性剤)を2.0重量部を順次加え
る。
【0053】更に、積水化学(株)製ポリビニルブチラ
ール樹脂エスレックBM−2(平均重合度800、ブチ
ラール化度68%)40重量部をメタノール360重量
部に溶解した溶液と、更にメタノール100重量部、n
−プロパノール400重量部を加え1時間攪拌する。そ
の後、3μmのメンブランフィルターでろ過しコーティ
ング組成物を調整した。尚、本実施例では、コーティン
グ組成物を硬化し、耐衝撃性を向上させるプライマー層
を形成する。
【0054】(2) コーティング組成物(A−2)の
調製 回転子を備えた反応容器中にメチルトリメトキシシラン
2.0重量部とメタノール20.0重量部を仕込み、1
N塩酸1.0重量部を加え、1時間攪拌し加水分解を行
なった。上記加水分解物に、チタニウムテトラn−ブト
キシド3.0重量部を加え、30分間攪拌し、オルガノ
アルコキシシラン/オルガノチタネート加水分解縮合物
を得た。
【0055】得られた加水分解縮合物の溶液に、日産化
学(株)製ZnOSnO2/SnO2複合微粒子の分散メ
タノールゾル(固形分濃度30%)を140.0重量
部、及び硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトネ
ート5.0重量部、及びレベリング剤として日本ユニカ
ー(株)製L7001(シリコン系界面活性剤)を3.
0重量部を順次加える。
【0056】更に、積水化学(株)製ポリビニルブチラ
ール樹脂エスレックBH−S(平均重合度1000、ブ
チラール化度70%)30重量部をn−プロパノール4
00重量部に溶解した溶液と、更にメタノール100重
量部、n−プロパノール400重量部を加え1時間攪拌
する。その後、3μmのメンブランフィルターでろ過し
コーティング組成物を調整した。 [B] ハードコート層となる塗布液の調製 (1) シリコン系高屈折率ハードコート層液(B−
1)の調製 回転子を備えた反応容器中に、γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン200重量部を仕込み、マグネチ
ックスターラーを用いて激しく攪拌しながら,0.1規
定塩酸水溶液50重量部を一度に添加し、1時間加水分
解を続け、部分的に縮合した加水分解物を得た。
【0057】上記の加水分解物に、日産化学(株)製S
nO2/WO3複合微粒子の分散メタノールゾルを700
重量部と、硬化触媒としてエチレンジアミン四酢酸アル
ミニウム10.0重量部と、レベリング剤として日本ユ
ニカー(株)製L7001(シリコン系界面活性剤)を
2.0重量部添加し、十分に攪拌混合した後、3μmの
メンブランフィルターでろ過し塗布液を調製した。 [C] 複合膜を有するプラスチックレンズの作製と性
能評価 [実施例1] (1−1)コーティング組成物の塗布および硬化 度数が−4.00ジオプタで、中心厚が1.0mm、屈
折率が1.66の熱硬化性ウレタン樹脂製眼鏡用プラス
チックレンズを、NaOH水溶液で処理後、温水で洗浄
後乾燥した。このプラスチックレンズの両面にディッピ
ング法にてコーティング組成物(A−1)を塗布し、9
0℃で30分間加熱処理してコーティング組成物を硬化
させた。
【0058】(1−2)シリコン系高屈折率ハードコー
ト層液の塗布および硬化 (1−1)で得られた硬化層(以下、プライマー層)を
有するプラスチックレンズの両面に、シリコン系高屈折
率ハードコート層液(B−1)をディッピング法にて塗
布した。塗布したレンズを100℃で2時間加熱処理し
てハードコート層を硬化させた。
【0059】(1−3)反射防止膜の形成 (1−2)で得られたプライマー層及びハードコート層
を有するプラスチックレンズの両面に、SiO2/Zr
2系の5層反射防止膜を真空蒸着法により形成した。 (1−4)複合膜を有するプラスチックレンズの性能評
価 (1−3)で得られた複合膜を有するプラスチックレン
ズを用いて以下に示す試験に供し、性能評価を行った。
評価結果は表1に示す。 1)膜の密着性 膜の密着性を評価するために、クロスハッチテープテス
トを次の方法で実施した。コーティング層表面にカッタ
ーナイフで1mm角の碁盤目(100マス)を作り、そ
の後セロハン粘着テープ(商品名「セロテープ」ニチバ
ン(株)製)を強く張り付けた後、テープの一端を持
ち、90゜方向に勢いよく剥がし、レンズ表面の碁盤の
目がレンズ表面から何個剥ぎ取られたかを調べた。剥が
れなかった碁盤の目の数をXとしてX/100で表し
た。この場合、Xか大きいほど密着性がよいということ
になる。即ち、クロスハッチテープテストの結果が「1
00/100」であれば、膜が全く剥がれなかったこと
を示している。
【0060】2)耐擦傷性 複合膜を有するプラスチックレンズの反射防止膜の表面
を、#0000のスチールウールで摩擦して傷の付き難
くさを調べた。評価は次のような基準で行った。 A:強く摩擦しても傷が付かない B:強く摩擦すると少し傷が付く C:弱い摩擦でも傷が付く なお、表面処理を行っていないプラスチックレンズの評
価はCである。
【0061】3)耐衝撃性 複合膜を有するプラスチックレンズの耐衝撃性は、剛球
落球試験により評価した。20.0gの剛球を127c
mの高さからプラスチックレンズの中心部に向かって自
然落下させ、プラスチックレンズが割れるかまたはクラ
ックが入る一回前の回数をレンズの耐衝撃性とし、最高
5回まで落下させた。
【0062】4)耐熱性 複合膜を有するプラスチックレンズを100℃の恒温炉
中に10分間放置した後、常温環境下に取り出し、クラ
ックの発生の有無評価した。 5)耐候性 複合膜を有するプラスチックレンズの耐候性は、紫外線
ロングライフフェードメーター(スガ試験機(株)製)
を用いて300時間の耐候性試験を行い、その後のレン
ズの黄変度を測定した。評価は次のような基準で行っ
た。
【0063】 A:300時間後の黄変度 2.0未満。 B:300時間後の黄変度 2.0以上2.5未満。 C:300時間後の黄変度 2.5以上。 6)外観 複合膜を有するプラスチックレンズの外観は、暗室にて
蛍光灯の光を当て、目視で透明度を観察した。評価は次
のような基準で行った。
【0064】 A:クモリなし。 B:クモリが少し目立つ。 C:クモリがはっきり目立つ。 7)干渉縞 複合膜を有するプラスチックレンズの外観は、暗室にて
蛍光灯の光をレンズ表面で反射させたとき、光の干渉に
よる縞模様の発生を目視で観察した。評価は次のような
基準で行った。
【0065】 A:縞模様は認められない。 B:わずかに縞模様が認められる。 C:縞模様が著しく認められる。 [実施例2] (2−1)コーティング組成物の塗布および硬化 度数が−4.00ジオプタで、中心厚が1.0mm、屈
折率が1.66の熱硬化性ウレタン樹脂製眼鏡用プラス
チックレンズを、NaOH水溶液で処理後、温水で洗浄
後乾燥した。このプラスチックレンズの両面にディッピ
ング法にてコーティング組成物(A−2)を塗布し、9
0℃で15分間加熱処理してコーティング組成物を硬化
させた。本実施例でもコーティング組成物を硬化した層
を、実施例1と同じ性能を有するプライマー層として形
成した。
【0066】(2−2)シリコン系高屈折率ハードコー
ト層液の塗布および硬化 (2−1)で得られた硬化層(以下、プライマー層)を
有するプラスチックレンズの両面に、シリコン系高屈折
率ハードコート層液(B−1)をディッピング法にて塗
布した。塗布したレンズを100℃で2時間加熱処理し
てハードコート層を硬化させた。
【0067】(2−3)反射防止膜の形成 (2−2)で得られたプライマー層及びハードコート層
を有するプラスチックレンズの両面に、SiO2/Zr
2系の5層反射防止膜を真空蒸着法により形成した。 (2−4)複合膜を有するプラスチックレンズの性能評
価 (2−3)で得られた複合膜を有するプラスチックレン
ズを用いて、実施例1と同じ性能評価を行った。評価結
果は表1に示す。
【0068】[実施例3] (3−1)コーティング組成物の塗布および硬化 実施例1と同様のプラスチックレンズを用い、NaOH
水溶液で処理後、温水で洗浄後乾燥した。このプラスチ
ックレンズの両面にディッピング法にてコーティング組
成物(A−1)を塗布し、90℃で15分間加熱処理し
てコーティング組成物を硬化させた。本実施例でもコー
ティング組成物を硬化した層を、実施例1と同じ性能を
有するプライマー層として形成した。
【0069】(3−2)シリコン系高屈折率ハードコー
ト層液の塗布および硬化 (3−1)で得られた硬化層(以下、プライマー層)を
有するプラスチックレンズの両面に、シリコン系高屈折
率ハードコート層液(B−2)をディッピング法にて塗
布した。塗布したレンズを100℃で2時間加熱処理し
てハードコート層を硬化させた。
【0070】(3−3)反射防止膜の形成 (3−2)で得られたプライマー層及びハードコート層
を有するプラスチックレンズの両面に、SiO2/Zr
2系の5層反射防止膜を真空蒸着法により形成した。 (2−4)複合膜を有するプラスチックレンズの性能評
価 (2−3)で得られた複合膜を有するプラスチックレン
ズを用いて、実施例1と同じ性能評価を行った。評価結
果は表1に示す。
【0071】[実施例4] (4−1)コーティング組成物の塗布および硬化 実施例1と同様のプラスチックレンズを用い、NaOH
水溶液で処理後、温水で洗浄後乾燥した。このプラスチ
ックレンズの両面にディッピング法にてコーティング組
成物(A−2)を塗布し、90℃で15分間加熱処理し
てコーティング組成物を硬化させた。本実施例でもコー
ティング組成物を硬化した層を、実施例1と同じ性能を
有するプライマー層として形成した。
【0072】(4−2)シリコン系高屈折率ハードコー
ト層液の塗布および硬化 (4−1)で得られた硬化層(以下、プライマー層)を
有するプラスチックレンズの両面に、シリコン系高屈折
率ハードコート層液(B−2)をディッピング法にて塗
布した。塗布したレンズを100℃で2時間加熱処理し
てハードコート層を硬化させた。
【0073】(4−3)反射防止膜の形成 (4−2)で得られたプライマー層及びハードコート層
を有するプラスチックレンズの両面に、SiO2/Zr
2系の5層反射防止膜を真空蒸着法により形成した。 (4−4)複合膜を有するプラスチックレンズの性能評
価 (4−3)で得られた複合膜を有するプラスチックレン
ズを用いて、実施例1と同じ性能評価を行った。評価結
果は表1に示す。
【0074】[比較例1] (1)プライマー組成物(C−1)の調製 ヘキサメチレンジイソシアネートタイプの非ブロック型
ポリイソシアネート(商品名「コロネートHX」日本ポ
リウレタン工業(株)製)100重量部と、ポリエステ
ルタイプのポリオール(商品名「ニッポラン125」日
本ポリウレタン工業(株)製)167重量部と、硬化触
媒としてオクチル酸亜鉛2重量部と、レベリング剤とし
てフロラードFC430を1.0重量部、溶媒として酢
酸エチル500重量部およびメチルエチルケトン250
重量部を均一に混合した。
【0075】(2)複合膜を有するプラスチックレンズ
の作製と性能評価 プライマー組成物(C−1)用い、プライマーの硬化条
件が60℃で30分であること以外は、実施例1と同様
の手順で複合膜を有するプラスチックレンズを作製し
た。各評価結果はを表1に示す。 [比較例2] (1)プライマー組成物(C−2)の調製 ブロック型ポリイソシアネート(商品名「コロネート2
529」日本ポリウレタン工業(株)製)250重量部
と、ポリエステルタイプのポリオール(商品名「ニッポ
ラン1100」日本ポリウレタン工業(株)製)180
重量部と、硬化触媒としてオクチル酸亜鉛2重量部と、
レベリング剤としてシリコン系界面活性剤1.5重量
部、溶媒としてエチルセロソルブ1000重量部および
メタノール1500重量部を均一に混合した。
【0076】(2)複合膜を有するプラスチックレンズ
の作製と性能評価 プライマー組成物(C−2)を用い、プライマーの硬化
条件が130℃で60分であること以外は、実施例2と
同様の手順で複合膜を有するプラスチックレンズを作製
した。各性能評価も実施例1と同様に行った。各評価結
果を表4に示す。
【0077】[比較例3]プライマー層を形成せず、ハ
ードコート層および反射防止コート層を有するプラスチ
ックレンズを作成し、実施例1と同様の性能評価を行っ
た。評価結果を表1に示す。 [比較例4]プライマー層を形成せず、ハードコート層
および反射防止コート層を有するプラスチックレンズを
作成し、実施例2と同様の性能評価を行った。評価結果
を表1に示す。
【0078】表1から判るように、実施例1乃至4は、
密着性、耐擦傷性、耐衝撃性、耐熱性、耐候性、外観、
干渉縞の評価の全てにおいて最も高い評価が得られた。
これに対し、比較例1は、耐擦傷性、耐熱性、耐候性の
性能が実施例よりも劣り、特に干渉縞の性能は非常に低
いことが判る。比較例2は、耐擦傷性、耐候性が劣り干
渉縞の性能は非常に低いことが判る。また比較例3、4
は、耐擦傷性が非常に低いことが判る。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】本発明のコーティング組成物は分散性が
よく、微粒子同士の凝集がより少ないものである。従っ
て、本発明のコーティング組成物を光学物品に適用する
れば、より透明性に優れ、干渉縞等の少ない優れた特性
を有する光学物品が得られる。更に本発明のコーティン
グ組成物は、ポリビニルアセタールを主成分としている
ため、これを塗布した膜は耐衝撃性を有し、米国のFD
A規格に十分合格するプラスチックレンズの提供が可能
となる。従って、本発明のコーティング組成物を用い光
学物品に塗布すれば、より透明性に優れ、かつ耐衝撃性
を有する光学物品が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B05D 7/24 302 B05D 7/24 302M 302Y C09D 7/12 C09D 7/12 Z 183/04 183/04 G02B 1/04 G02B 1/04 1/11 1/10 A 1/10 Z (72)発明者 阿部 修 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 (72)発明者 関 道子 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 (72)発明者 清水 澄人 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 Fターム(参考) 2K009 AA01 AA15 BB11 CC03 CC22 CC42 DD02 DD06 EE00 EE04 4D075 CA02 CA04 CA13 CA17 CA32 CA44 DA08 DB13 DB31 DC24 EB19 EB42 EC01 EC08 EC10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアセタール及び下記成分を主
    成分とすることを特徴とするコーティング組成物。 イ)オルガノシラン及び/または加水分解性オルガノシ
    ラン化合物またはその加水分解縮合物 ロ)有機金属アルコキシド化合物 ハ)酸化金属塩を主成分とする無機酸化物微粒子及び/
    又は前記無機微粒子の複合体及び/又は前記無機微粒子
    の化合物
  2. 【請求項2】前記成分ロがアルミニウムまたはチタニウ
    ムのアルコキシド化合物あるいはアルミニウムまたはチ
    タニウムのアルコキシドジケトネート化合物であること
    を特徴とする請求項1記載のコーティング組成物。
  3. 【請求項3】前記成分ハに変えて下記を含むことを特徴
    とする請求項1、2記載のコーティング組成物。 ニ)前記成分ハと無機酸化物微粒子及び/又は前記成分
    ハと前記無機酸化物微粒子の複合体及び/又は前記成分
    ハと前記無機酸化物微粒子の化合物
  4. 【請求項4】プラスチック基材と、該プラスチック基材
    上にポリビニルアセタールと下記成分を含むことを特徴
    とするコーティング組成物との反応生成物からなる被膜
    を有することを特徴とする光学物品。 イ)オルガノシラン及び/または加水分解性オルガノシ
    ラン化合物またはその加水分解縮合物 ロ)有機金属アルコキシド化合物 ハ)酸化金属塩を主成分とする無機酸化物微粒子及び/
    又は前記無機微粒子の複合体及び/又は前記無機微粒子
    の化合物又は、 ニ)前記成分ハと無機酸化物微粒子及び/又は前記成分
    ハと前記無機酸化物微粒子の複合体及び/又は前記成分
    ハと前記無機酸化物微粒子の化合物
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