JPH11236066A - ラミネート缶蓋の製造方法およびラミネート缶蓋 - Google Patents

ラミネート缶蓋の製造方法およびラミネート缶蓋

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JPH11236066A
JPH11236066A JP28578098A JP28578098A JPH11236066A JP H11236066 A JPH11236066 A JP H11236066A JP 28578098 A JP28578098 A JP 28578098A JP 28578098 A JP28578098 A JP 28578098A JP H11236066 A JPH11236066 A JP H11236066A
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lid
thermoplastic resin
resin film
heat treatment
film
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Toru Negishi
根岸  亨
Katsuya Kamitsuma
勝也 上妻
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エナメルレーター値(ERV)を悪化させる
ことなく、開缶性を向上したラミネート缶蓋の製造方法
およびラミネート缶蓋を提供する。 【解決手段】 缶蓋素材板(例えばアルミニウム薄板)
の少なくとも缶蓋内面側の面に熱可塑性樹脂(例えば厚
さ5〜20μmのPETフィルム)を貼り合わせてな
り、かつPETフィルムを非結晶の状態としたラミネー
ト材を用いて缶蓋を成形する。この缶蓋を、PETフィ
ルム中の核が破壊されない温度以下の温度範囲で、充分
に結晶化される時間だけ熱処理する。このように、缶蓋
に成形した後に、PETフィルムに熱処理を施すことに
より球晶が発達して結晶化する。このように配向性を持
たずに(非配向性)結晶化することにより、PETフィ
ルムは堅く、脆くなり、従来の良好なERVを保持しつ
つ、開缶性は向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、缶蓋素材板(例え
ばアルミニウム板)の少なくとも缶蓋内面側の面に熱可
塑性樹脂フィルム(例えばポリエチレンテレフタレート
フィルム)を貼り合わせたラミネート材を成形して得ら
れた缶蓋に関し、特に、この缶蓋に所定の熱処理あるい
は溶媒吹き付けを行うことにより、開缶性に優れたラミ
ネート缶蓋を製造するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、ビール缶、酒缶、ジュース缶等の
缶は、有底筒状の缶胴と、その缶胴の開口端を塞ぐ缶蓋
とからなるものが一般的になっている。その缶蓋も様々
であるが、その主流となっているものは、タブ等を付設
することにより容易に缶を開封し得るイージーオープン
タイプ缶蓋すなわち容易開口缶蓋である。その容易開口
缶蓋には、大別してプルタブを引上げることにより開口
部分をなす開口片を除去するプルトップタイプのもの
と、開口片を容器内に押し込みタブが蓋から取れないス
テイオンタブタイプのものがある。
【0003】プルトップタイプの缶蓋においては、開缶
後に、切込線に囲まれたスコア部及びタブ(これらを開
口片という)が蓋本体から分離されて捨てられ、開口片
を回収し難いという問題がある。このような問題を解決
するために、最近では、開缶後においても、缶本体と開
口片とを一部連着した状態にしておくステイオンタブタ
イプのものが大半を占めている。なお、ここでは従来例
を、ステイオンタブタイプのものを例に挙げて説明する
が、後述する本発明は、プルトップタイプの缶蓋にも適
用できる。
【0004】図6(a),(b)および図7に示すよう
に、例えばステイオンタブタイプの簡易開口缶蓋10
は、円形の天板(パネル)1と、天板1の周縁に設けら
れ、缶胴(図示せず)に巻締められる巻締め部2と、巻
締め部2と天板1との間に周設された外周溝3と、溝状
のスコア4により天板1の天板中心CPと外周溝3との
間に区画され、天板中心CP側で天板1に連結された開
口片5と、先端が開口片5の天板中心CP側に重なるよ
うに配置され、リベット6により天板中心CPに連結さ
れたプルタブ7とからなる。プルタブ7は、そのほぼ中
央部にリベット6を挿通する挿通孔2bが形成されてい
る。
【0005】プルタブ7を引くと、スコア4側のタブ先
端7aが支点、タブ指掛け部7bが力点、リベット部7
cが作用点となり、スコア部が押圧され、図6(b)
(図6(a)を裏面から見た図)に示すスコア4のリベ
ット周辺部4dが破断される第1の工程と、図6(a)
のリベット6を支点として、プルタブ7の先端7aが開
口片5の天板中心CP側である基端部を押圧し、その押
圧力により残りのスコア4が破断され、開口片5が缶本
体の内部に入れられる第2の工程とを経て、飲み口が形
成される。なお、第1の工程はポップ工程といい、第2
の工程の初期段階をティアー工程という。また、スコア
4において、ポップ過程で破断される、図6(b)に示
すリベット6の周辺部4dと、図6(a)のプルタブ7
の押圧力が伝わりにくい、開口片5の先端側は、確実に
破断するようにその溝が深く、残厚が薄くなっている。
【0006】上述した缶蓋10としては、アルミニウム
薄板の両面にPETフィルムを貼り合わせてラミネート
材を製造し、このラミネート材を成形して得られるラミ
ネート缶蓋が開発されてきており、PETフィルムが持
つ強度、延性のために、缶蓋加工時に傷が付きにくい
等、良好なエナメルレーター値(ERV)を示す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、アルミ
ニウム薄板の両面にPETフィルムを貼り合わせたラミ
ネート材を成形(絞り加工、スコア加工およびタブ加工
等)して得られた缶蓋は、非結晶状態のPETフィルム
が持つ強度、延性のために、良好なエナメルレーター値
(ERV)を示す。しかしながら、開缶性に関しては、
缶蓋のスコア部板材が破断した後もPETフィルムが伸
びてしまい、開缶しない、もしくは、途中までしか開缶
しないという問題点がある。なお、エナメルレーター値
(ERV)とは、缶蓋を電解液中に浸し、電解液と缶蓋
との間に流れる電流値をいい、この値が小さい程、PE
Tフィルムに発生している穴や亀裂等の破断が少なく、
良好な状態と言える。
【0008】図8は、横軸および縦軸にそれぞれプルタ
ブの引上げ角度(プルタブを保持するホルダーの回転角
度)および引上げ荷重(前記ホルダーに連結されたロー
ドセルの荷重)をとり、開缶試験を行った結果を示し、
プルタブを角度80度以上引き起こしても、完全には開
缶しなかったり、開口部分のPETフィルムに多数のひ
げが発生した。図7中の符号Pで示すピークはホップ過
程を示している。なお、開缶性は、タブの引上げ角度が
小さい程、また、引上げ荷重が小さい程、優れている。
【0009】また、図9(a)に示すように、未熱処理
PETフィルム1cが缶蓋10の外面1a側にも配置さ
れた場合、すなわち、缶蓋10の天板1の外面1aおよ
び内面1bにそれぞれ未熱処理PETフィルム1c,1
dがそれぞれ設けられている場合、図9(b)に示すよ
うに、開缶の際にエンゼルヘアーが発生するという不具
合がある。エンゼルヘアーとは、缶蓋10の開口片5が
缶内部に押し込まれて缶蓋10の飲み口を開口したとき
に、スコア4の底部に残存するフィルム片F(図9
(a)参照)がスコア4の外周線に沿って、符号Eで示
すように伸びて破断した結果、髪の毛状(ひげ状)に遊
離した物の名称である。このエンゼルヘアーEは飲用の
際に口に当り、不快感を与えることになる。
【0010】本発明は、上記従来技術の有する問題点に
鑑みてなされたものであり、ラミネート缶蓋のエナメル
レーター値(ERV)を悪化させることなく、開缶性を
向上させることのできるラミネート缶蓋の製造方法およ
びラミネート缶蓋を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明のラミネート缶蓋の製造方法は、缶蓋素材板の
少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂フィルムを貼り付け
てなり、かつ前記熱可塑性樹脂フィルムを非結晶の状態
としたラミネート材を用いて前記熱可塑性樹脂フィルム
が缶蓋の少なくとも内面側に位置するようにラミネート
缶蓋を成形し、この後、ラミネート缶蓋を、前記熱可塑
性樹脂フィルム中に球晶が発達するように熱処理するこ
とを特徴とするものである。また、前記缶蓋素材板およ
び前記熱可塑性樹脂フィルムはそれぞれアルミニウム薄
板および厚さ5〜20μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルムであり、前記熱処理は、ラミネート缶蓋を1
10℃〜220℃の雰囲気中に20秒〜180秒晒して
行うことが好ましい。ここで、前記熱処理前の前記熱可
塑性樹脂フィルムのヘーズが2%以下であって、前記熱
処理後の前記熱可塑性樹脂フィルムのヘーズが5〜40
%の範囲である。
【0012】ここで、本発明でいう球晶とは、高分子結
晶高次構造の1つであり、無配向状態の結晶性高分子が
無緊張化で熱結晶化した際に生成する円状あるいは球状
に発達した結晶・非結晶からなる構造単位をいう。ま
た、ヘーズ(haze)とは、溶液や硬化プラスチック材料
およびコーティング材料中のくもりの程度(白濁度合
い)をいう(マグローヒル社、科学技術用語大辞典、第
3版参照)。
【0013】本発明において、熱処理温度および熱処理
時間のさらに好ましい範囲はそれぞれ、110℃〜14
0℃および20秒〜90秒である。ここで、前記熱処理
前の前記熱可塑性樹脂フィルムのヘーズが2%以下であ
って、前記熱処理後の前記熱可塑性樹脂フィルムのヘー
ズが5〜10%の範囲である。
【0014】本発明の他の製造方法は、缶蓋素材板の少
なくとも一方の面に熱可塑性樹脂フィルムを貼り付けて
なり、かつ前記熱可塑性樹脂フィルムを非結晶の状態と
したラミネート材を用いて前記熱可塑性樹脂フィルムが
缶蓋内面になるようにラミネート缶蓋を成形し、この
後、前記ラミネート缶蓋の前記熱可塑性樹脂フィルムの
少なくともスコアラインを含む領域に、結晶誘起能を有
する溶媒を吹き付けることを特徴とするものである。
【0015】本発明のラミネート缶蓋は、缶蓋素材板の
少なくとも缶蓋内面に熱可塑性樹脂フィルムを貼り付け
てなるラミネート缶蓋において、前記熱可塑性樹脂フィ
ルムの少なくともスコアラインを含む領域に球晶が発達
していることを特徴とするものである。また、前記熱可
塑性樹脂フィルムのヘーズが5〜40%の範囲であり、
好ましくは5〜10%である。さらに、前記缶蓋素材板
および前記熱可塑性樹脂フィルムはそれぞれアルミニウ
ム薄板および厚さ5〜20μmのポリエチレンテレフタ
レートフィルムである。
【0016】本発明の作用としては、熱可塑性樹脂フィ
ルム(例えばPETフィルム)が缶蓋素材板(アルミニ
ウム薄板)に貼り付けられてなるラミネート材におい
て、熱可塑性樹脂フィルムはアモルファスの状態にあっ
て、そのヘーズが例えば2%以下である。この後、ラミ
ネート材を缶蓋に成形し、さらに所定の熱処理を施すこ
とにより、熱可塑性樹脂フィルムは球晶が発達し結晶化
し、ヘーズが例えば5〜40%の範囲内(好ましくは5
〜10%)にある。このように、熱可塑性樹脂フィルム
は方向性を持たずに(非配向性)結晶化することによ
り、堅く、脆くなり、従来の良好なERV値を保持しつ
つ、開缶性は向上する。さらに、加熱処理で熱可塑性樹
脂フィルムが結晶化、すなわち脆化することにより、熱
可塑性樹脂フィルムの延伸性が抑制されるので、缶蓋の
外面に熱可塑性樹脂フィルムを設けた場合は、開缶時に
熱可塑性樹脂フィルムが髪の毛状に伸びてスコア底部か
ら遊離することがなくなり、いわゆるエンゼルヘアーの
発生を完全に抑制することができる。
【0017】なお、缶蓋に成形する前の段階でラミネー
ト材に熱処理を施すと、加工性が悪くなり、缶蓋に成形
する段階でPETフィルムが破断してERVが悪くなっ
てしまう。したがって、本発明のように、缶蓋に成形し
た後のラミネート材に熱処理を施すのである。また、熱
処理の時間が20秒以下ではPETフィルムは充分に結
晶化せず、180秒以上では、それ以上結晶化しても開
缶性には差がない。熱処理の温度が110℃以下ではP
ETフィルムが結晶化しにくく、220℃以上では結晶
の核が破壊されてしまい結晶化しない。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施形態例につ
いて図面を参照して説明する。先ず、ラミネート材の製
造方法の一例について説明する。図1に示すように、先
ず、缶蓋素材板としての板厚0.3mm程度のアルミニ
ウム薄板12の両面に、厚さ10μm程度の熱可塑性樹
脂フィルム13,13をそれぞれ貼り合わせたラミネー
ト材を製造する。なお、熱可塑性樹脂フィルム13の一
例としては、基材としての第1のポリエチレンテレフタ
レートフィルムの下面に、イソフタル酸(IPA)を所
定量含んだ第2のポリエチレンテレフタレートフィルム
が設けられた2層構造のPETフィルムであり、第2の
ポリエチレンテレフタレートフィルムの部分がアルミニ
ウム薄板12に貼り合わされる。
【0019】PETフィルム13,13を貼り合わされ
たアルミニウム薄板12は、PETフィルム13,13
の融点である260℃程度に二次加熱され、これにより
PETフィルム13,13が完全に貼り付けられる。そ
して、PETフィルム13,13を貼り付けられたアル
ミニウム薄板12は、約210℃程度の高温状態のうち
に、常温程度に急冷される。これにより、PETフィル
ム13,13は非結晶の状態(アモルファス)になる。
【0020】以上のようにして、板厚0.3mm程度の
アルミニウム薄板12の両面に厚さ15μm程度のPE
Tフィルム13,13を貼り合わせたラミネート材を製
造する。このラミネート材を用い、所定の成形加工(絞
り加工、スコア加工およびタブ加工等)を経て缶蓋に成
形する。この缶蓋を、200℃の空気雰囲気中に30秒
間晒して熱処理を施した。加熱の方法としては、熱風吹
き付け、高周波加熱、誘導加熱、オーブンによる加熱を
挙げることができる。
【0021】PETフィルム13,13は、前記熱処理
を施す前の段階では、アモルファスの状態にあって、そ
のヘーズは1%以下であり、熱処理を施すことにより球
晶が発達して結晶化し、ヘーズは約30%程度となっ
た。このように、PETフィルム13は方向性を持たず
に(非配向性)結晶化することにより、堅く、脆くな
り、従来の良好なERVを保持しつつ、開缶性は向上す
る。ここで、ヘーズの測定方法としては、試料としての
ラミネート缶蓋を塩酸(その濃度は約5%)に浸漬し、
金属基材(アルミニウム薄板)を溶解除去する。得られ
た被覆層フィルムを石英セル中のエタノールに浸漬した
状態で、フィルム表面の粗面補償を行いながら分球式濁
度計(日本電色工業株式会社製、型式:NDH−300
A)にて測定を行いヘーズ値を読み取った。
【0022】なお、上述のように製造されたラミネート
材に、缶蓋に成形する前の段階で、本発明のような熱処
理を施すと、加工性が悪くなって、缶蓋に成形する段階
で特にスコア加工でPETフィルムが破断してERVが
悪くなってしまう。したがって、本発明のように、缶蓋
に成形された後のラミネート材に熱処理を施すのであ
る。
【0023】図2は本発明のラミネート缶蓋(5つの試
料を熱処理温度:200℃,熱処理時間:30秒で熱処
理を施した)の開缶試験の結果を示すグラフである。こ
のように熱処理をしたラミネート缶蓋は、完全に開缶
し、開口部分のフィルムはきれいに破断していた。ま
た、プルタブの引上げ角度が60度程度で開缶するとと
もに、ティアー過程(矢印T参照)でのロードセル荷重
が小さく、開缶性に優れている。
【0024】
【表1】 表1は、熱処理前(従来例)および熱処理後(本発明)
において、それぞれ複数個(10個)のラミネート缶蓋
を用いて、ERV測定を行った結果を示す表である。こ
の表1から明らかなように、本発明のように熱処理を行
っても、熱処理を行わない従来例と比較して、ERV値
に差がほとんどないことがわかる。なお、熱処理条件と
しては、熱処理温度および熱処理時間がそれぞれ200
℃および30秒であり、電解液としては、塩化ナトリウ
ム水溶液(その濃度は約1%)にラピゾールを微量添加
したものを用いた。
【0025】図3は本発明のラミネート缶蓋(5つの試
料を熱処理温度:200℃,熱処理時間:60秒)の開
缶試験の結果を示すグラフ、図4は本発明のラミネート
缶蓋(5つの試料を熱処理温度:200℃,熱処理時
間:90秒の開缶試験の結果を示すグラフである。図3
および図4の場合も、図2と同様に、開缶性に優れてい
る。
【0026】本例では、熱可塑性樹脂フィルムとしてP
ETフィルムを用いているので、熱処理時間が20秒以
下では充分に結晶化せず、180秒以上では、それ以上
結晶化しても開缶性には差がない。また、熱処理温度に
ついては、約180℃のときが球晶発達の速度が最も速
く、110℃以下ではPETフィルムが結晶化しにく
く、220℃以上では結晶の核が破壊されてしまい結晶
化しない。本発明は、熱可塑性樹脂フィルム(PETフ
ィルム)中の結晶の核が破壊されない温度以下の温度範
囲で、充分に結晶化される時間だけ熱処理するものであ
る。
【0027】
【表2】 さらに詳しく考察する。表2は、熱処理時間および熱処
理温度に対する開缶性(開口性)およびフィルム白化の
実験結果を示すものである。ここで、開缶性の評価は、
開缶時におけるフィルム伸長発生の有無、および前述の
開缶角度と開缶時に必要な荷重の関係を示すチャートに
より判断した。つまり、フィルムがない缶蓋を開缶する
際のプルタブの引上げ角度と引上げ荷重との関係を測定
し(図5(a)のチャート参照)、図5(b)に示すチ
ャートのように、図5(a)と同様に、ティアー過程で
の荷重Tが明確に現れる場合には開缶性が良好(○)と
判断し、一方、図5(c)に示すチャートのように、図
5(a)と著しく異って、ティアー過程過程での荷重T
が不明確な場合には、開缶性が劣る(×)と判断した。
また、フィルムの著しい伸びが確認された場合やエンゼ
ルヘアーの発生するものにも、開缶性が劣る(×)と判
断した。なお、図5において横軸および縦軸には、図7
と同様に、プルタブの引上げ角度および引上げ荷重を取
ってある。
【0028】表2の実験結果より、開缶性に適した熱処
理温度域は110℃〜220℃であることがわかる。熱
処理温度が220℃より大きいと、フィルムが非結晶化
するため実際的でない。このときのフィルムの結晶化度
(球晶化度)をヘーズ値で規定すると5〜40%であ
る。また、開缶性と白化性を共に満足させるため、熱処
理温度域のさらに好ましい範囲は110℃〜140℃で
ある。また、熱処理時間については、上記110℃〜2
20℃の熱処理温度域に対応して20〜180秒が適当
だが、生産性を考慮するとともに、上記110℃〜14
0℃の熱処理温度域に対応させるために20〜90秒が
さらに好ましい。このときのフィルムの結晶化度(球晶
化度)をヘーズ値で規定すると5〜10%となり、この
範囲に満たないと開缶性が阻害され、この範囲より大き
いと白化が進み過ぎ、機能上は問題ないが、見た目上
(外観上)製品として不適合となる。
【0029】上記実施形態では、ラミネート缶蓋に所定
の熱処理をすることにより、ラミネート缶蓋のPETフ
ィルムに球晶を発達させたが、これに限らず、結晶誘起
能を有する所定の溶媒をPETフィルムに吹き付けるこ
とにより、PETフィルムを結晶化させてもよい。所定
の溶媒としては、アセトン、ニトロベンゼンおよびベン
ジルアルコール等が挙げられる。また、この溶媒を前記
吹き付ける範囲は、図6(b)に示すように、ラミネー
ト缶蓋の少なくともスコア4を含む領域K内である。こ
のように溶媒によりPETフィルムを結晶化させた場合
でも、上記のような熱処理の場合と同様に、PETフィ
ルムは方向性を持たずに(非配向性)結晶化することに
より、堅く、脆くなり、良好なERVを保持したまま
に、開缶性は向上する。
【0030】上記実施形態では、ステイオンタブタイプ
のものを例に挙げたが、これに限らず、プルトップタイ
プの缶蓋にも適用できる。また、ラミネート材は、アル
ミニウム薄板の両面にPETフィルムが貼り付けられて
なるが、これに限らず、アルミニウム薄板の代わりにス
チール板を用いたり、さらに、アルミニウム薄板の缶蓋
内面側の面のみに樹脂フィルム(例えばPETフィル
ム)を貼り付けたラミネート材を用いてもよい。
【0031】
【発明の効果】本発明は、以上説明したとおりに構成さ
れているので、以下に記載するような効果を奏する。本
発明のラミネート缶蓋の製造方法は、ERVを悪化させ
ることなく、開缶性に優れたラミネート缶蓋を容易に製
造できる。また、加熱処理で熱可塑性樹脂フィルムが結
晶化、すなわち脆化することにより、熱可塑性樹脂フィ
ルムの延伸性が抑制されるので、缶蓋の外面に熱可塑性
樹脂フィルムを設けた場合は、開缶時に熱可塑性樹脂フ
ィルムが髪の毛状に伸びてスコア底部から遊離すること
がなくなり、いわゆるエンゼルヘアーの発生を完全に抑
制することができる。さらに、上記効果を備え、かつ缶
蓋素材板および熱可塑性樹脂をそれぞれアルミニウム板
および厚さ5〜20μmのポリエチレンテレフタレート
フィルムとした一般的なラミネート缶蓋を容易に大量生
産できる。本発明のラミネート缶蓋は、ERVが悪化し
ないとともに、開缶性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のラミネート缶蓋を製造するために用
いるラミネート材の断面図である。
【図2】 本発明のラミネート缶蓋(熱処理温度:20
0℃,熱処理時間:30秒)の開缶試験の結果を示すグ
ラフ(チャート)である。
【図3】 本発明のラミネート缶蓋(熱処理温度:20
0℃,熱処理時間:60秒)の開缶試験の結果を示すグ
ラフである。
【図4】 本発明のラミネート缶蓋(熱処理温度:20
0℃,熱処理時間:90秒)の開缶試験の結果を示すグ
ラフである。
【図5】 (a),(b)および(c)は、それぞれフ
ィルムのない缶蓋、熱処理したフィルムを備えた缶蓋、
熱処理しないフィルムを備えた缶蓋の、開缶試験の結果
を示すチャートである。
【図6】 (a)および(b)はそれぞれラミネート缶
蓋の平面図および底面図である。
【図7】 ラミネート缶蓋の断面図である。
【図8】 従来のラミネート缶蓋の開缶試験の結果を示
すグラフである。
【図9】 従来のラミネート缶蓋においてエンゼルヘア
ーが発生する過程を示すグラフである。
【符号の説明】
P ポップ過程 T ティアー過程 1 天板 2 巻締め部 2b 挿通孔 3 外周溝 4 スコア 4d リベット周辺部 5 開口片 6 リベット 7a タブ先端部 7b タブ指掛け部 7c リベット部 10 缶蓋 12 アルミニウム薄板(缶蓋素材板) 13 PETフィルム(熱可塑性樹脂フィルム)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 缶蓋素材板の少なくとも一方の面に熱可
    塑性樹脂フィルムを貼り付けてなり、かつ前記熱可塑性
    樹脂フィルムを非結晶の状態としたラミネート材を用い
    て前記熱可塑性樹脂フィルムが缶蓋の少なくとも内面側
    に位置するようにラミネート缶蓋を成形し、この後、ラ
    ミネート缶蓋を、前記熱可塑性樹脂フィルム中に球晶が
    発達するように熱処理することを特徴とする、ラミネー
    ト缶蓋の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記缶蓋素材板および前記熱可塑性樹脂
    フィルムはそれぞれアルミニウム薄板および厚さ5〜2
    0μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであり、
    前記熱処理は、ラミネート缶蓋を110℃〜220℃の
    雰囲気中に20秒〜180秒晒して行う請求項1記載の
    ラミネート缶蓋の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記熱処理前の前記熱可塑性樹脂フィル
    ムのヘーズが2%以下であって、前記熱処理後の前記熱
    可塑性樹脂フィルムのヘーズが5〜40%の範囲である
    請求項2記載のラミネート缶蓋の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記熱処理は、ラミネート缶蓋を110
    ℃〜140℃の雰囲気中に20秒〜90秒晒して行う請
    求項2記載のラミネート缶蓋の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記熱処理前の前記熱可塑性樹脂フィル
    ムのヘーズが2%以下であって、前記熱処理後の前記熱
    可塑性樹脂フィルムのヘーズが5〜10%の範囲である
    請求項4記載のラミネート缶蓋の製造方法。
  6. 【請求項6】 缶蓋素材板の少なくとも一方の面に熱可
    塑性樹脂フィルムを貼り付けてなり、かつ前記熱可塑性
    樹脂フィルムを非結晶の状態としたラミネート材を用い
    て前記熱可塑性樹脂フィルムが缶蓋内面になるようにラ
    ミネート缶蓋を成形し、この後、前記ラミネート缶蓋の
    前記熱可塑性樹脂フィルムの少なくともスコアを含む領
    域に、結晶誘起能を有する溶媒を吹き付けることを特徴
    とするラミネート缶蓋の製造方法。
  7. 【請求項7】 缶蓋素材板の少なくとも缶蓋内面に熱可
    塑性樹脂フィルムを貼り付けてなるラミネート缶蓋にお
    いて、前記熱可塑性樹脂フィルムの少なくともスコアを
    含む領域に球晶が発達していることを特徴とするラミネ
    ート缶蓋。
  8. 【請求項8】 前記熱可塑性樹脂フィルムのヘーズが5
    〜40%の範囲である請求項7に記載のラミネート缶
    蓋。
  9. 【請求項9】 前記缶蓋素材板および前記熱可塑性樹脂
    フィルムはそれぞれアルミニウム薄板および厚さ5〜2
    0μmのポリエチレンテレフタレートフィルムである請
    求項7または請求項8に記載のラミネート缶蓋。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020022684A (ja) * 2018-08-08 2020-02-13 共同印刷株式会社 針刺検知用シート

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