JPH11231324A - 液晶素子および液晶装置 - Google Patents

液晶素子および液晶装置

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JPH11231324A
JPH11231324A JP10048561A JP4856198A JPH11231324A JP H11231324 A JPH11231324 A JP H11231324A JP 10048561 A JP10048561 A JP 10048561A JP 4856198 A JP4856198 A JP 4856198A JP H11231324 A JPH11231324 A JP H11231324A
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independently
crystal device
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JP10048561A
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English (en)
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Koji Shimizu
康志 清水
Takao Takiguchi
隆雄 滝口
Koichi Sato
公一 佐藤
Shinichi Nakamura
真一 中村
Koji Noguchi
幸治 野口
Yukio Haniyu
由紀夫 羽生
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 局所的なスイッチング異常、経時的なスイッ
チング状態の変化を抑制した液晶素子を提供する。 【解決手段】 一対の基板間に、コレステリック相を有
さず少なくとも2つの安定状態を有するカイラルスメク
チック液晶からなる第一の液晶を挟持し、該一対の基板
の少なくとも一方の基板上に一軸配向処理が施された配
向膜を有する液晶素子において、いずれかの配向膜の上
に第一の液晶とは異なる成分構成の第二の液晶化合物も
しくは液晶組成物を吸着もしくは薄膜形成してなる第二
液晶層を有し、かつ該第二液晶層を形成する第二の液晶
化合物もしくは液晶組成物のプレチルト角が5度以上で
ある液晶素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフラットパネルディ
スプレイ、プロジェクションディスプレイ、プリンター
等に用いられるライトバルブに使用される液晶素子およ
びそれらを使用した液晶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からもっとも広範に用いられてきて
いるディスプレイとしては、CRTが知られている。C
RTはテレビやVTRなどの動画出力、あるいはパソコ
ン等のモニターとして広く用いられている。しかしなが
ら、CRTはその特性上、静止画像に対してはフリッカ
や解像度不足による走査縞等が視認性を低下させたり、
焼き付きによる蛍光体の劣化が起こったりする。また、
最近ではCRTが発生する電磁波が人体に悪影響を与え
ることがわかり、VDT作業者の健康を害することが懸
念されている。そして、CRTはその構造上、画面後方
に広く体積を有することが必須であることから、情報機
器の利便性を著しく阻害し、オフィス、家庭の省スベー
ス化を阻害していたり、ひいては、高度情報社会におけ
るディスプレイとしての責任を果たし得ない可能性があ
る。
【0003】このようなCRTの欠点を解決するものと
して液晶表示素子がある。たとえば、エム・シャット
(M.Schadt)とダブリュー・ヘルフリッヒ
(W.Helfrich)著「アプライド・フィジック
ス・レターズ(Applied Physics Le
tters)」第18巻、第4号(1971年2月15
日発行)第127頁〜128頁において示されたツイス
テッドネマチック(twisted nematic)
液晶を用いたものが知られている。代表的な液晶素子と
して知られているものに単純マトリクスタイプの液晶素
子がある。このタイプは、素子作成が容易であり、コス
ト面で優位性がある。しかしながら、画素密度を高くし
たマトリクス電極構造を用いた時分割駆動の時、クロス
トークが発生するという問題点があるため、画素数が制
限されていた。また、応答速度が10ミリ秒以上と遅い
ため、ディスプレイとしての用途が制限されていた。
【0004】近年このような単純マトリクスタイプの素
子に対してTFTといわれる液晶素子の開発が行われて
いる。このタイプは一つ一つの画素にトランジスタを作
成するため、クロストークや応答速度の問題は解決され
る反面、大面積になればなるほど不良画素なく液晶素子
を作成することが非常に困難であり、また、可能であっ
ても多大なコストが発生する。
【0005】また、最近では新しいモードを利用した液
晶素子が開発されている。例えば、「日経エレクトロニ
クス」において示された日立製作所社によるプレインモ
ード、セイコーエプソン(株)によるBTNモードがあ
る。特に、後者は速いスイッチングスピードと双安定性
を有するため、単純マトリクス方式による大画面素子の
提案がされている。
【0006】一方、双安定性からなる液晶素子としては
クラーク(Clark)およびラガウェル(Lager
wall)により提案されているカイラルスメクチック
液晶素子がある(特開昭56−107216号公報、米
国特許第4367924号明細書)。この双安定性から
なる液晶としては、一般にカイラルスメクチックC相ま
たはカイラルスメクチックH相からなる強誘電性液晶が
用いられている。この強誘電性液晶は、自発分極により
反転スイッチングを行うため、非常に早い応答速度から
なる上にメモリー性のある双安定状態を発現させること
ができる。さらに視野角特性も優れていることから、高
速、高精細、大面積の表示素子あるいはライトバルブと
して適していると考えられる。
【0007】また、最近ではチャンダニ、竹添らにより
3つの安定状態を有するカイラルスメクチック反強誘電
性液晶素子も提案されている(「ジャパニーズ ジャー
ナルオブ アプライド フィジックス(Japanes
e Journal ofApplied Physi
cs)」第27巻、1988年L729頁)。
【0008】このようなカイラルスメクチック液晶素子
においては、たとえば「強誘電液晶の構造と物性」(コ
ロナ社、福田敦夫、竹添秀男著、1990年)に記載さ
れているように、ジグザグ状の配向欠陥が発生してコン
トラストを著しく低下させるという問題があった。この
欠陥は上下基板間に坦持されたカイラルスメクチック液
晶の層状構造が2種類のシェブロン構造を形成している
ことに起因している。
【0009】最近、このような欠点を持つシェブロン構
造を解消し、ブックシェルフといわれる層状構造あるい
はそれに近い構造を現出させ、高コントラストな良好な
液晶素子を実現しようという動きがある(たとえば「次
世代液晶ディスプレイと液晶材料」(株)シーエムシ
ー、福田敦夫編、1992年)。一つの例としてナフタ
レン系の液晶材料を用いる方法があるが、この場合、チ
ルト角が10度程度であり、理想的な最大の透過率が得
られる22.5度とくらべ非常に小さく、低透過率とい
う問題がある。さらには温度に対して可逆的に現出しな
いという問題もある。今一つの代表的な例としては、シ
ェブロン構造をとっている液晶素子に外部から高電場を
加えてブックシェルフ構造を誘起する方法がある。さら
にブックシェルフあるいはそれに近い構造を現出する液
晶材料として、パーフルオロエーテル側鎖を持つ液晶性
化合物(米国特許5262082、国際出願特許WO9
3/22396、1993年第4回強誘電液晶国際会議
P−46、Marc D.Radcliffeら)が開
示されている。
【0010】以上述べてきた液晶素子においては、局所
的なスイッチング異常、経時的なスイッチング状態の変
化といった問題点が共通に存在する。このような問題点
は、液晶素子、液晶装置の性能、信頼性、耐久性を損な
う大きな原因となっていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術に鑑みてなされたものであり、その課題とするところ
は、コレステリック相をもたないカイラルスメクチック
液晶を用いる液晶素子において、駆動上大きな問題とな
っている局所的なスイッチング異常、経時的なスイッチ
ング状態の変化といった問題点をよく抑制し、液晶素
子、液晶装置の性能、信頼性、耐久性を大きく改善しよ
うとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、一対の
基板間に、コレステリック相を有さず少なくとも2つの
安定状態を有するカイラルスメクチック液晶からなる第
一の液晶を挟持し、該一対の基板の少なくとも一方の基
板上に一軸配向処理が施された配向膜を有する液晶素子
において、いずれかの配向膜の上に第一の液晶とは異な
る成分構成の第二の液晶化合物もしくは液晶組成物を吸
着もしくは薄膜形成してなる第二液晶層を有し、かつ該
第二液晶層を形成する第二の液晶化合物もしくは液晶組
成物のプレチルト角が5度以上であることを特徴とする
液晶素子である。
【0013】また、本発明は、上記の液晶素子と該液晶
素子を駆動する手段とを少なくとも有する液晶装置であ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明者らは鋭意検討を重ねた結
果、上下基板の電極間に、少なくとも2つの安定状態を
有するカイラルスメクチック液晶からなる第一の液晶を
使用し、該液晶がコレステリック相を有さず、一対の基
板の少なくとも一方の基板上の配向膜に一軸配向処理が
施されてあるカイラルスメクチック液晶素子において、
いずれかの配向膜上に第一の液晶とは異なる成分構成の
第二の液晶化合物もしくは液晶組成物を吸着もしくは薄
膜形成してなる第二液晶層を有し、かつ該第二液晶層を
形成する第二の液晶化合物もしくは液晶組成物のプレチ
ルト角が5度以上であるカイラルスメクチック液晶素子
が、駆動上大きな問題となっている局所的なスイッチン
グ異常、経時的なスイッチング状態の変化をよく抑制
し、大面積、高精細の液晶素子およびそれを用いた液晶
装置を実現することを見出した。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。具体的に
は、本発明は、一対の基板間に、コレステリック相を有
さず少なくとも2つの安定状態を有するカイラルスメク
チック液晶からなる第一の液晶を挟持し、該一対の基板
の少なくとも一方の基板上に一軸配向処理が施された配
向膜を有する液晶素子において、いずれかの配向膜の上
に第一の液晶とは異なる成分構成の第二の液晶化合物も
しくは液晶組成物を吸着もしくは薄膜形成してなる第二
液晶層を有し、かつ該第二液晶層を形成する第二の液晶
化合物もしくは液晶組成物のプレチルト角が5度以上で
あることを特徴とする液晶素子である。
【0016】さらに本発明は上記液晶素子及び該液晶素
子を駆動する手段とを少なくとも有する液晶装置であ
る。
【0017】以下、本発明の液晶素子の構造の一例を図
面を用いて説明する。図1は本発明のカイラルスメクチ
ック液晶素子の一例を示す概略図である。同図におい
て、1がカイラルスメクチック液晶組成物からなる液晶
層であり、液晶としてカイラルスメクチック液晶を用い
る場合、通常、双安定性を実現させるため、層厚5μm
以下が好ましい。2a,2bは基板であり、ガラス、プ
ラスチック等が用いられる。3a,3bがITO等の透
明電極である。4a,4bが配向制御膜であり、少なく
とも一方の基板上に一軸配向処理を施した一軸配向制御
膜が必要である。一軸配向制御膜の形成方法としては、
例えば基板上に溶液塗工または蒸着あるいはスパッタリ
ング等により、一酸化珪素、二酸化珪素、酸化アルミニ
ウム、ジルコニア、フッ化マグネシウム、酸化セリウ
ム、フッ化セリウム、シリコン窒化物、シリコン炭化
物、ホウ素窒化物などの無機物や、ポリビニルアルコー
ル、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリエステルイミド、ポリパラキシレン、ポ
リカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリビニルク
ロライド、ポリスチレン、ポリシロキサン、セルロース
樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂などの
有機物を用いて被膜形成した後、表面をビロード、布あ
るいは紙等の繊維状のもので摺擦(ラビング)すること
により得られる。また、SiO等の酸化物あるいは窒化
物などを基板の斜方から蒸着する斜方蒸着法なども用い
られ得る。これらの材料、形成方法については、一方の
基板側については摺擦等の一軸配向性を付与しないで用
いることもできる。
【0018】特に、本発明の液晶素子は、一対の基板間
に少なくとも2つの安定状態を示すカイラルスメクティ
ック液晶を挟持した液晶素子であって、前記一対の基板
のうち一方の基板には一軸配向処理が施された配向制御
膜が設けられており、他方の基板には一軸配向処理が施
されていない配向制御膜が設けられており、前記一軸配
向処理が施された配向制御膜がポリイミドからなり、前
記一軸配向処理が施されていない配向制御膜がシランカ
ップリング剤又はポリシロキサン等を含む液晶素子が好
ましい。
【0019】本発明においては特徴的に、いずれかの配
向膜の上にコレステリック相を有さず少なくとも2つの
安定状態を有するカイラルスメクチック液晶からなる第
一の液晶とは異なる第二の液晶化合物もしくは液晶組成
物を吸着もしくは薄膜形成してなる第二液晶層を有し、
かつ該第二液晶層を形成する第二の液晶化合物もしくは
液晶組成物のプレチルト角が5度以上であることが必須
条件である。そのために、配向膜には、好ましくは下記
の一般式(1)で表わされる繰り返し単位をもつポリイ
ミドが好ましく用いられる。
【0020】
【化6】 (式中、Xは4価の芳香族環、脂肪族環または脂肪族基
を表わす。)
【0021】さらに一般式(1)で表わされる繰り返し
単位の具体例としては、以下に挙げる繰り返し単位構造
が例として挙げられる。
【0022】
【化7】
【0023】また、配向制御膜の膜厚は500Å以下が
好ましい。200Å以下であるとき、さらに好ましい場
合がある。
【0024】また、上記配向制御膜とは別に一対の基板
のショート防止層としての絶縁層やほかの有機物層、無
機物層が形成されていても良い。6がギャップ制御スペ
ーサーであり、たとえばシリカビーズ等が用いられる。
8a、8bが偏光板、5がシール材、9が光源である。
【0025】本発明においては、いずれかの配向膜の上
に液晶層1の第一の液晶とは異なる第二の液晶化合物も
しくは液晶組成物を吸着もしくは薄膜形成してなる第二
液晶層を有する。図1中、10は第二の液晶化合物もし
くは液晶組成物からなる第二液晶層であり、この場合に
は配向制御膜4aの上に第二液晶層10が設けられてい
る例を示す。第二液晶層10は、一方又は双方の基板に
設けられた配向制御膜の上に設けてもよい。第二液晶層
10の厚さは、500〜10Å、好ましくは300〜1
0Åの範囲が望ましい。
【0026】また、前記した吸着もしくは薄膜形成され
る第二の液晶化合物もしくは液晶組成物に使用される液
晶化合物としては、たとえば以下に挙げられる構造のも
のが挙げられる。
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
【化11】
【0031】
【化12】
【0032】さらにカイラル化合物の具体例として、以
下の構造のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】D−1:n=6,2R,5R D−2:n=6,2S,5R D−3:n=4,2R,5R D−4:n=4,2S,5R D−5:n=3,2R,5R D−6:n=2,2S,5R D−7:n=2,2R,5R D−8:n=1,2S,5R D−9:n=1,2R,5R
【0036】
【化15】
【0037】D−10:n=1 D−11:n=2 D−12:n=3 D−13:n=4 D−14:n=6 D−15:n=10
【0038】
【化16】
【0039】D−16:n=8 D−17:n=10
【0040】
【化17】
【0041】
【化18】
【0042】
【化19】
【0043】次に、以下の式(A)で表わされる化合物
が挙げられる。その化合物の具体例を表1〜5に示す。
【0044】
【化20】 R1−A1−X1−A2−A3−X2−R2−Σ−R3 (A)
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】上記の式(A)の、表1〜表5で用いた略
号は以下のとおりである。
【0051】
【化21】
【0052】
【化22】
【0053】この第二の液晶化合物もしくは液晶組成物
のプレチルト角は5度以上、好ましくは5〜25度が望
ましい。
【0054】また、本発明における前記した吸着もしく
は薄膜形成される第二の液晶化合物もしくは液晶組成物
に使用される液晶化合物中には、その他の化合物、例え
ば染料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加物を
含有することが可能である。
【0055】この第二の液晶化合物もしくは液晶組成物
の配向膜上への吸着もしくは薄膜形成の方法は、配向膜
上に適当量存在させ得る方法ならば、どのような方法で
も良いが、たとえば、蒸着あるいは溶剤に希釈した溶液
を塗布し、溶剤を除去して薄膜として得る方法が好まし
く用いられる。
【0056】本発明において特徴的に形成される第二の
液晶層の作用は、コレステリック相のないカイラルスメ
クチック液晶を用いる液晶素子において、局所的なスイ
ッチング異常、経時的なスイッチング状態の変化を抑制
することである。作用するメカニズムは、配向膜近傍に
高いプレチルト角を持った第二の液晶化合物もしくは液
晶組成物が存在することによって、元々の低いプレチル
ト角の状態に比べ、界面との相互作用が減じることによ
り、スイッチングの均一性がますことにより、局所的な
スイッチング異常、経時的なスイッチング状態の変化を
抑制するものと考えられる。
【0057】さらに、本発明で第一の液晶として用いら
れるカイラルスメクチック液晶としては、スメクチック
A相からスメクチックC相への転移温度近傍で層間隔が
減少し始める第1の変移点における層間隔(dA)と第
1の変移点から温度降下に伴って上記層間隔が減少から
再び増加に転ずる第2の変移点における層間隔(d
min)との関係が
【0058】
【数2】0.990≦dmin/dA を満たすものである。このような条件を満たすものは、
ブックシェルフ構造あるいはそれに近い層傾き角の小さ
な構造をもつため、より高いコントラスト、より優れた
駆動特性を有し得る。
【0059】第一の液晶として用いられるこのような物
性をもつ液晶材料としては、フルオロカーボン末端鎖部
分および炭化水素末端部分を有し、該末端鎖部分が中心
核によって結合されており、スメクチック中間相または
潜在的スメクチック中間相を持つフッ素含有液晶性化合
物が代表的に挙げられ、本発明に好ましく用いられる。
また、該フッ素含有液晶性化合物を70wt%以上含有
する液晶組成物であることが、ブックシェルフ構造を現
出しやすく、良好な特性を現出しやすいという意味で好
ましい。
【0060】前記フッ素含有液晶化合物としては、フル
オロカーボン末端部分が、−D1−Cxa2xa−Xで表わ
される基、(但し、上記式中xaは1〜20であり、X
は−H又は−Fを表わし、D1は、−CO−O−(C
2ra−、−O−(CH2ra−、−(CH2ra−、
−O−SO2−、−SO2−、−SO2−(CH2ra−、
−O−(CH2ra−O−(CH2rb−、−(CH2
ra−N(Cpa2pa+1)−SO2−、又は−(CH2ra
−N(Cpa2pa+1)−CO−を表わす。raおよびr
bは、独立に1〜20であり、paは0〜4であ
る。)、或いは、−D2−(Cxb2xb−O)za−Cya
2ya+1で表わされる基、(但し、上記式中xbはそれぞ
れの(Cxb2xb−O)に独立に1〜10であり、ya
は1〜10であり、zaは1〜10であり、D2は、−
CO−O−Crc2rc−、−O−Crc2rc−、−Crc
2rc−、−O−(Csa2sa−O)ta−Crd2rd−、−
O−SO2−、−SO2−、−SO2−Crc2rc−、−C
rc2rc−N(Cpb2pb+1)−SO2−、−Crc2rc
N(Cpb2pb+1)−CO−、単結合から選ばれ、rc
及びrdは独立に1〜20であり、saはそれぞれの
(Csa2sa−O)に独立に1〜10であり、taは1
〜6であり、pbは0〜4である。)であるような化合
物を用いることができる。
【0061】特に好ましくは、下記の一般式(I)、或
いは(II)で表わされるフッ素含有液晶化合物を用い
ることができる。
【0062】
【化23】 式中、A1、A2、A3は、それぞれ独立に、
【0063】
【化24】 を表わす。
【0064】ga、ha、iaは独立に0〜3の整数
(但し、ga+ha+iaは少なくとも2である)を表
わす。夫々のL1とL2は独立に、単結合、−CO−O
−、−O−CO−、−COS−、−S−CO−、−CO
−Se−、−Se−CO−、−CO−Te−、−Te−
CO−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C
−、−CH=N−、−N=CH−、−CH2−O−、−
O−CH2−、−CO−又は−O−を表わす。
【0065】夫々のX1、Y1、Z1はA1、A2、A3の置
換基であり、独立に−H、−Cl、−F、−Br、−
I、−OH、−OCH3、−CH3、−CN、又は−NO
2を表わし、夫々のja、ma、naは独立に0〜4の
整数を表わす。J1は、−CO−O−(CH2ra−、−
O−(CH2ra−、−(CH2ra−、−O−SO
2−、−SO2−、−SO2−(CH2ra−、−O−(C
2ra−O−(CH2rb−、−(CH2ra−N(C
pa2pa+1)−SO2−、又は−(CH2ra−N(Cpa
2pa+1)−CO−を表わす。ra及びrbは、独立に
1〜20であり、paは0〜4である。
【0066】R1は、−O−Cqa2qa−O−Cqb
2qb+1、−Cqa2qa−O−Cqb2qb+1、−Cqa2qa
3、−O−Cqa2qa−R3、−CO−O−Cqa2qa
3、又は−O−CO−Cqa2qa−R3を表わし、直鎖
状、分岐状のいずれであっても良い(但し、R3は、−
O−CO−Cqb2qb+1、−CO−O−Cqb2qb+1、−
H、−Cl、−F、−CF3、−NO2、−CNを表わ
し、qa及びqbは独立に1〜20である)。R2はC
xa2xa−Xを表わす(Xは−H又は−Fを表わし、x
aは1〜20の整数である)。
【0067】
【化25】 式中、A4、A5、A6は、それぞれ独立に、
【0068】
【化26】 を表わす。
【0069】gb、hb、ibはそれぞれ独立に0〜3
の整数(但し、gb+hb+ibは少なくとも2であ
る)を表わす。夫々のL3、L4は独立に、単結合、−C
O−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO
−、−CO−Se−、−Se−CO−、−CO−Te
−、−Te−CO−、−(CH2CH2ka−(kaは1
〜4)、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=N−、
−N=CH−、−CH2−O−、−O−CH2−、−CO
−又は−O−を表わす。
【0070】夫々のX2、Y2、Z2はA4、A5、A6の置
換基であり、独立に−H、−Cl、−F、−Br、−
I、−OH、−OCH3、−CH3、−CF3、−OC
3、−CN、又は−NO2を表わし、夫々のjb、m
b、nbは独立に0〜4の整数を表わす。
【0071】J2は、−CO−O−Crc2rc−、−O−
rc2rc−、−Crc2rc−、−O−(Csa2sa
O)ta−Crd2rd−、−O−SO2−、−SO2−、−
SO2−Crc2rc−、−Crc2rc−N(Cpb2pb+1
−SO2−、−Crc2rc−N(Cpb2pb+1)−CO−
であり、rc及びrdは独立に1〜20であり、saは
それぞれの(Csa2sa−O)に独立に1〜10であ
り、taは1〜6であり、pbは0〜4である。
【0072】R4は、−O−(Cqc2qc−O)wa−Cqd
2qd+1、−(Cqc2qc−O)wa−Cqd2qd+1、−C
qc2qc−R6、−O−Cqc2qc−R6、−CO−O−C
qc2qc−R6、又は−O−CO−Cqc2qc−R6を表わ
し、直鎖状、分岐状のいずれであっても良い(但し、R
6は−O−CO−Cqd2qd+1、−CO−O−Cqd
2qd+1、−Cl、−F、−CF3、−NO2、−CN、又
は−Hを表わし、qc及びqdは独立に1〜20の整
数、waは1〜10の整数である)。R5は(Cxb2xb
−O)za−Cya2ya+1で表わされる(但し、上記式中
xbはそれぞれの(Cxb2xb−O)に独立に1〜10
であり、yaは1〜10であり、zaは1〜10であ
る)。
【0073】上記一般式(I)で表わされる化合物は、
特開平2−142753号公報、米国特許第5,08
2,587号に記載の方法によって得ることができる。
かかる化合物の具体例を以下に列挙する。
【0074】
【化27】
【0075】
【化28】
【0076】
【化29】
【0077】
【化30】
【0078】
【化31】
【0079】
【化32】
【0080】
【化33】
【0081】
【化34】
【0082】
【化35】
【0083】
【化36】
【0084】
【化37】
【0085】
【化38】
【0086】上記一般式(II)で表わされる化合物
は、国際公開WO93/22396、特表平7−506
368号公報に記載の方法によって得ることができる。
かかる化合物の具体例を以下に列挙する。
【0087】
【化39】
【0088】
【化40】
【0089】
【化41】
【0090】
【化42】
【0091】
【化43】
【0092】本発明においては、特にカイラルスメクテ
ィック液晶組成物はフルオロカーボン未端部分中に少な
くとも一つの連鎖中エーテル酸素を含むフッ素含有液晶
化合物を50重量%以上含有する液晶組成物が好まし
い。
【0093】さらに、その他の構成成分としての光学活
性の液晶性化合物の具体例として、炭化水素系材料他種
々のものが用いられる。
【0094】本発明におけるカイラルスメクティック液
晶組成物において、前記フッ素含有液晶化合物に配合し
て用いられる他の液晶性化合物としては、例えば
【0095】
【外1】 に記載の化合物等が挙げられる。その液晶性化合物の含
有量は30重量%以下が好ましい。
【0096】このように本発明の液晶素子は、信号電源
(図示せず)からのスイッチング信号に応じてスイッチ
ングが行われ、表示素子のライトバルブとして機能す
る。また、基板上の透明電極を上下にクロスにマトリッ
クスとすれば、パターン表示、パターン露光が可能とな
り、たとえば、パーソナルコンピューター、ワークステ
ーション等のディスプレイ、プリンター用等のライトバ
ルブとして用いられる。
【0097】本発明の液晶素子は種々の機能をもった液
晶装置を構成するが、そのもっとも適した例が該液晶素
子を表示パネル部に使用し、図2および図3に示した走
査線アドレス情報を持つ画像情報からなるデータフォー
マット及びSYN信号による通信同期手段をとることに
より、液晶表示装置を実現するものである。
【0098】図中の符号はそれぞれ以下の通りである。 101 カイラルスメクチック液晶表示装置 102 グラフィックコントローラー 103 表示パネル 104 走査線駆動回路 105 情報線駆動回路 106 デコーダ 107 走査線信号発生回路 108 シフトレジスタ 109 ラインメモリ 110 情報信号発生回路 111 駆動制御回路 112 GCPU 113 ホストCPU 114 VRAM
【0099】画像情報の発生は本体装置のグラフィック
コントローラー102にて行われ、図2及び図3に示し
た信号伝達手段に従って表示パネル103へと転送され
る。グラフィックコントローラー102はCPU(中央
演算装置、GCPU 112と略す。)及びVRAM
(画像情報格納用メモリ)114を核にホストCPU1
13と液晶表示装置101間の画像情報の管理や通信を
司っている。なお、該表示パネルの裏面には、光源が配
置されている。
【0100】本発明における表示装置は表示媒体である
液晶素子が前述したように良好なスイッチング特性を有
するため、優れた駆動特性、信頼性を発揮し、高精細、
高速、大面積の表示画像を得ることができる。
【0101】本発明の液晶素子の一例であるカイラルス
メクティック液晶素子の駆動法としては、たとえば特開
昭59−193426号公報、特開昭59−19342
7号公報、特開昭60−156046号公報、特開昭6
0−156047号公報などに開示された駆動法を適用
することができる。
【0102】図6は、駆動法の波形図の1例を示す図で
ある。また、図5は、マトリクス電極を配置した強誘電
性液晶パネルの一例を示す平面図である。図5の液晶パ
ネル51には、走査電極群52の走査線と情報電極群5
3のデータ線とが互いに交差して配線され、その交差部
の走査線とデータ線との間には強誘電性液晶が配置され
ている。
【0103】図6(A)中のSは選択された走査線に
印加する選択走査波形を、Sは選択されていない非選
択走査波形を、Iは選択されたデータ線に印加する選
択情報波形(黒)を、Iは選択されていないデータ線
に印加する非選択情報信号(白)を表している。また、
図中(I−S)と(I−S)は選択された走査
線上の画素に印加する電圧波形で、電圧(I−S
が印加された画素は黒の表示状態をとり、電圧(I
)が印加された画素は白の表示状態となる。
【0104】図6(B)は図6(A)に示す駆動波形
で、図4に示す表示を行った時の時経列波形である。図
6に示す駆動例では、選択された走査線上の画素に印加
される単一極性電圧の最小印加時間Δtが書き込み位相
の時間に相当し、1ラインクリアt位相の時間2
Δtに設定されている。さて、図6に示した駆動波形の
各パラメータV、V、Δtの値は使用する液晶材料
のスイッチング特性によって決定される。
【0105】図7は後述するバイアス比を一定に保った
まま駆動電圧(V+V)を変化させた時の透過率T
の変化、すなわちV−T特性を示したものである。ここ
ではΔt=50μsec、バイアス比V/(V+V
)=1/3に固定されている。図7の正側は図6で示
した(I−S)、負側は(I−S)で示した波
形が印加された際の(V+V)と最終的な透過率の
関係を示す。
【0106】ここで、V、Vをそれぞれ実駆動閾値
電圧及びクロストーク電圧と呼ぶ。また、V<V
の時に、(V−V)/(V+V)を電圧可
変マージン(ΔV)と呼び、マトリックス駆動可能な電
圧幅の重要なパラメーターとなる。
【0107】Vは強誘電性液晶表示素子駆動上、一般
的に存在すると言ってよい。具体的には図6(A)(I
−S)の波形におけるVによるスイッチングを起
こす電圧値である。もちろん、バイアス比を大きくする
ことにより、Vの値を大きくすることは可能である
が、バイアス比を増すことは情報信号の振幅を大きくす
ることを意味し、画質的にはちらつきの増大、コントラ
ストの低下を招き好ましくない。
【0108】本発明者らの検討ではバイアス比1/3〜
1/4程度が適当であった。ところでバイアス比を固定
すれば、電圧マージンΔVは液晶材料のスイッチング特
性及び素子構成に強く依存し、ΔVの大きい素子がマト
リクス駆動上非常に有利であることは言うまでもない。
【0109】また同様に、駆動電圧を固定し、電圧印加
時間Δtを変化させていくときには、電圧印加時間閾値
をΔtとし、電圧印加時間クロストーク値をΔt2
して、(Δt−Δt)/(Δt+Δt)を電圧
印加時間マージンとする。
【0110】ある一定温度においては、このように情報
信号の2通りの向きによって選択画素に黒及び白の2状
態を書き込むことが可能であり、非選択画素はその黒ま
たは白の状態を保持することが可能である電圧マージン
または電圧印加時間マージンは液晶材料及び素子構成に
よって差があり、特有なものである。また、環境温度の
変化によってもそれら駆動マージンは異なるため、実際
の表示装置の場合、液晶材料、素子構成や環境温度に対
して最適な駆動条件を設定しておく必要がある。
【0111】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例で用いた液晶組成物Nを以下に示す。
【0112】
【化44】
【0113】
【化45】
【0114】本液晶組成物Nの物性パラメーターを以下
に示す。
【0115】
【数3】
【0116】実施例1 [セルの作製]セルA: 透明電極として約70nm厚のITO膜を形成
した1.lmm厚のガラス基板のうちの一方(第1の基
板)に、以下の手法により配向制御膜を形成した。
【0117】下記の構造式(2)で表わされる繰り返し
単位構造を有するポリイミド前駆体のlwt%NMP/
nBC溶液をスピンコート法により塗布した。その後、
270℃で加熱焼成を施し、配向制御膜Lを形成した。
なお、このときの膜厚は100Åであった。このように
形成した配向制御膜Lに対して一軸配向処理としてアラ
ミド繊維製の布によるラビング処理(回転数1000r
pm/min、送り速度5mm/min、ラビング布の
押し込み量1.5mm)を施した。
【0118】
【化46】
【0119】もう一方のガラス基板(第2の基板)に
は、シランカップリング剤(オクタデシルトリエトキシ
シラン)をスピンコート法により塗布し、加熱処理を施
したものを用いた。
【0120】続いて第2の基板上にスペーサーとして、
平均粒径2.0μmのシリカビーズを散布し、他方の第
1の基板を重ねあわせて、接着シール剤で貼り合わせて
セルを作製した。
【0121】セルB:下記の構造式(3)で表わされる
液晶Sをシクロヘキサノンに2.0wt%となるように
溶かし、これをスピンコート法でセルAと同様な第1の
基板の配向制御膜上(ラビング押し込み量1.5mm)
に塗布した。その後、アニーリング処理した。液晶Sの
膜厚は100Åであった。これをセルAと同じ第2の基
板にセルAと同様の方法で重ね合せてセルを作成した。
【0122】
【化47】
【0123】セルC:セルAと同様な第1の基板の配向
制御膜Lを押し込み量0.6mmでラビング処理し、そ
の表面にセルBと同様に液晶S(膜厚100Å)を塗布
した基板と、セルAと同様な第2の基板を貼り合わせて
セルを作製した。
【0124】セルD:セルAと同様な第1の基板の配向
制御膜Lを押し込み量0.2mmでラビング処理し、そ
の表面にセルBと同様に液晶S(膜厚100Å)を塗布
した基板と、セルAと同様な第2の基板を貼り合わせて
セルを作製した。
【0125】セルE:セルAと同様な第1の基板上に東
レ社製ポリイミド前駆体LP64をNMP/nBC=2
/1溶液でスピンコートした後、焼成し、ポリイミドと
した後、ラビング処理(押込み量0.2mm)を施し
た。この際、膜厚は100Åであった。これをセルAと
同じ第2の基板に同様の方法で重ね合せてセルを作成し
た。
【0126】上記に示した各セル中に液晶組成物Nを等
方相温度にて毛管注入を行った。また、プレチルト角測
定用セルとして、セルA〜Eで使用した第1の基板
(B、C、Dに関しては液晶Sを塗布していない配向制
御膜だけの状態)を上下でラビング方向が反平行になる
よう2枚貼り合わせて(セルの上下基板が同じ構成)、
上下基板距離が20μm(スペーサービーズによって調
整した)のセルa、b、c、d、eを作製した。
【0127】作製した素子(セルA,B,C,D)に関
して、(1)M2マージン(M2)の測定、(2)プレ
チルト角の測定、(3)配向状態の観察を行った。 (1)M2マージン(M2)の測定 実施例におけるM2マージン(M2)の測定は、図6に
示す駆動波形を使用して行った。測定温度は30℃、バ
イアス比は(1/3.4)、駆動電圧を20Vとし、パ
ルス幅を変化させて駆動M2マージンを測定した。な
お、測定温度は30℃である。
【0128】セルAのM2マージンは0であった(配向
状態が悪いため)。セルBのM2マージンを測定したと
ころ、0.020であった。セルCのM2マージンを測
定したところ、0.022であった。セルDのM2マー
ジンを測定したところ、0.135であった。
【0129】(2)プレチルト角の測定 [プレチルト角の測定方法」プレチルト角の測定は、ク
リスタルローテイション法(Jpa.J.Appl.P
hys.Vol.19(1980)No.10,Sho
rt Notes2013)に記載されている方法に従
って求めた。また、プレチルト角の測定用液晶として、
強誘電性液晶(チッソ社製、CS−1014)に、下記
の構造式で示される化合物を重量比で20%混合したも
のを標準液晶として注入して測定した。
【0130】
【化48】 なお、この標準液晶である液晶組成物は、10〜55℃
でSmA相を呈した。
【0131】測定方法は、液晶セルを上下基板に垂直、
かつ配向処理軸(ラビング軸)を含む面で回転させなが
ら、回転軸を45°の角度をなす偏光面を持つヘリウム
・ネオンレーザ光を回転軸に垂直な方向から照射して、
その反対側で入射偏光面と平行な透過軸を持つ偏光板を
通して、フォトダイオードで透過光強度を測定した。
【0132】そして、干渉によってできた透過光強度の
スペクトルに対して、理論曲線と下記に示す式とフィッ
ティングを行うシミュレーションにより、プレチルト角
αを求めた。
【0133】
【数4】
【0134】セルaのプレチルト角は測定できなかった
(配向状態が悪いため)。セルbのプレチルト角は、1
8°であった。セルcのプレチルト角は、27°であっ
た。セルdのプレチルト角は、67°であった。
【0135】測定結果をラビング強度(押込み量)とプ
レチルト角の関係として図8に示す。なお、この図8に
は本発明で作製したセルのラビング条件以外のデータも
併せて掲載した。
【0136】同様の手法を用いて液晶Sをプレチルト角
測定用セルに注入し、スメクチックA状態になるように
温度制御を行い、プレチルト角を測定した。この結果、
セルbのプレチルト角は1.3°、セルcのプレチルト
角は2.0°、セルdのプレチルト角は5.0°であっ
た。 (3)配向状態の観察 セルを顕微鏡観察したところ、セルAはジグザグ欠陥が
多数見られ、配向状態が非常に悪かった。セルB、C、
Dは均一配向であった。
【0137】以上の結果から、M2マージンと強誘電性
液晶(CS−l0l4)で測定したプレチルト角の関係
を図9に示す。さらに、M2マージンと液晶Sで測定し
たプレチルト角の関係を図10に示す。プレチルト角が
5°以上でM2マージンが増大していることがわかる。
【0138】比較例1セルEは均一配向状態であった。
セルEのM2マージンを測定したところ、0.022で
あった。また、セルeの液晶Sで測定したプレチルト角
は3.5°であった。
【0139】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の液晶素子
によれば、配向制御膜上に高いプレチルト角を与える液
晶層を設けることにより配向性が向上し、カイラルスメ
クチック液晶素子における反転不良部分の出現が抑制さ
れ、駆動マージンを大きく向上させることができ、局所
的なスイッチング異常、経時的なスイッチング状態の変
化を抑制することができた。
【0140】また、本発明によれば、このようなカイラ
ルスメクチック液晶を用いた液晶素子を用いた液晶装置
が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカイラルスメクチック液晶素子の一例
を示す概略図である。
【図2】本発明のカイラルスメクチック液晶組成物を用
いた液晶素子を備えた表示装置とグラフィックコントロ
ーラを示すブロック図である。
【図3】表示装置とグラフィックコントローラとの間の
画像情報通信タイミングチャートを示す図である。
【図4】図6に示す時系列駆動波形で実際の駆動を行っ
たときの表示パターンの模式図である。
【図5】マトリクス電極を配置した強誘電性液晶パネル
の一例の平面図である。
【図6】本発明で用いた駆動法の波形図の一例である。
【図7】本発明にかかる、駆動電圧を変化させたときの
透過率の変化を示すグラフ(V−T特性図)である。
【図8】ラビング強度(押込み量)とプレチルト角の関
係を示す図である。
【図9】M2マージンと強誘電性液晶(CS−l0l
4)で測定したプレチルト角の関係を示す図である。
【図10】M2マージンと液晶Sで測定したプレチルト
角の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 カイラルスメクチック液晶組成物を用いた液晶層 2a、2b 基板 3a、3b 透明電極 4a、4b 配向制御膜 5 シール材 6 スペーサ 8a、8b 偏光板 9 光源 10 第二液晶層 I 入射光 I 透過光 51 液晶パネル 52 走査電極群 53 情報電極群 101 カイラルスメクチック液晶表示装置 102 グラフィックコントローラ 103 表示パネル 104 走査線駆動回路 105 情報線駆動回路 106 デコーダ 107 走査信号発生回路 108 シフトレジスタ 109 ラインメモリ 110 情報信号発生回路 111 駆動制御回路 112 GCPU 113 ホストCPU 114 VRAM
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 真一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 野口 幸治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 羽生 由紀夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板間に、コレステリック相を有
    さず少なくとも2つの安定状態を有するカイラルスメク
    チック液晶からなる第一の液晶を挟持し、該一対の基板
    の少なくとも一方の基板上に一軸配向処理が施された配
    向膜を有する液晶素子において、いずれかの配向膜の上
    に第一の液晶とは異なる成分構成の第二の液晶化合物も
    しくは液晶組成物を吸着もしくは薄膜形成してなる第二
    液晶層を有し、かつ該第二液晶層を形成する第二の液晶
    化合物もしくは液晶組成物のプレチルト角が5度以上で
    あることを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】 前記一対の基板が互に異なる配向膜を有
    する請求項1記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】 前記一軸配向処理が施された配向膜がポ
    リイミド膜をラビングしたものからなる請求項1または
    2記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】 前記ポリイミドが下記一般式(1)で表
    される繰り返し単位を有する請求項1乃至3のいずれか
    の項に記載の液晶素子。 【化1】 (式中、Xは4価の芳香族環、脂肪族環または脂肪族基
    を表わす。)
  5. 【請求項5】 前記カイラルスメクチック液晶がスメク
    チックA相からスメクチックC相への転移温度近傍で層
    間隔が減少し始める第1の変移点における層間隔(d
    A)と第1の変移点から温度降下に伴って上記層間隔が
    減少から再び増加に転ずる第2の変移点における層間隔
    (dmin)との関係が 【数1】0.990≦dmin/dA を満たすものである請求項1乃至4のいずれかの項に記
    載の液晶素子。
  6. 【請求項6】 前記カイラルスメクチック液晶が、フル
    オロカーボン末端部分及び炭化水素未端部分を有し、該
    両末端部分が中心核によって結合され、スメクチック中
    間相又は潜在的スメクチック中間相を持つフッ素含有液
    晶化合物を含有する請求項1乃至5のいずれかの項に記
    載の液晶素子。
  7. 【請求項7】 前記カイラルスメクチック液晶がフッ素
    含有液晶化合物を70重量%以上含有する請求項6記載
    の液晶素子。
  8. 【請求項8】 前記フッ素含有液晶化合物におけるフル
    オロカーボン末端部分が、−D1−Cxa2xa−Xで表わ
    される基である請求項6記載の液晶素子。(但し、上記
    式中xaは1〜20であり、Xは−H又は−Fを表わ
    し、D1は、−CO−O−(CH2ra−、−O−(CH
    2ra−、−(CH2ra−、−O−SO2−、−SO
    2−、−SO2−(CH2ra−、−O−(CH2ra−O
    −(CH2rb−、−(CH2ra−N(Cpa2pa+1
    −SO2−、又は−(CH2ra−N(Cpa2pa+1)−
    CO−を表わす。raおよびrbは、独立に1〜20で
    あり、paは0〜4である。)
  9. 【請求項9】 前記フッ素含有液晶化合物におけるフル
    オロカーボン末端部分が、−D2−(Cxb2xb−O)za
    −Cya2ya+1で表わされる基である請求項6記載の液
    晶素子。(但し、上記式中xbはそれぞれの(Cxb
    2xb−O)に独立に1〜10であり、yaは1〜10で
    あり、zaは1〜10であり、D2は、−CO−O−C
    rc2rc−、−O−Crc2rc−、−Crc2rc−、−O
    −(Csa2sa−O)ta−Crd2rd−、−O−SO
    2−、−SO2−、−SO2−Crc2rc−、−Crc2rc
    −N(Cpb2pb+1)−SO2−、−Crc2rc−N(C
    pb2pb+1)−CO−、単結合から選ばれ、rc及びr
    dは独立に1〜20であり、saはそれぞれの(Csa
    2sa−O)に独立に1〜10であり、taは1〜6であ
    り、pbは0〜4である。)
  10. 【請求項10】 前記フッ素含有液晶化合物が、下記の
    一般式(I)で表わされる請求項6記載の液晶素子。 【化2】 [式中、A1、A2、A3は、それぞれ独立に、 【化3】 を表わす。ga、ha、iaは独立に0〜3の整数(但
    し、ga+ha+iaは少なくとも2である)を表わ
    す。夫々のL1とL2は独立に、単結合、−CO−O−、
    −O−CO−、−COS−、−S−CO−、−CO−S
    e−、−Se−CO−、−CO−Te−、−Te−CO
    −、−CH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、−
    CH=N−、−N=CH−、−CH2−O−、−O−C
    2−、−CO−又は−O−を表わす。夫々のX1
    1、Z1はA1、A2、A3の置換基であり、独立に−
    H、−Cl、−F、−Br、−I、−OH、−OC
    3、−CH3、−CN、又は−NO2を表わし、夫々の
    ja、ma、naは独立に0〜4の整数を表わす。J1
    は、−CO−O−(CH2ra−、−O−(CH2
    ra−、−(CH2ra−、−O−SO2−、−SO2−、
    −SO2−(CH2ra−、−O−(CH2ra−O−
    (CH2rb−、−(CH2ra−N(Cpa2pa+1)−
    SO2−、又は−(CH2ra−N(Cpa2pa+1)−C
    O−を表わす。ra及びrbは、独立に1〜20であ
    り、paは0〜4である。R1は、−O−Cqa2qa−O
    −Cqb2qb+1、−Cqa2qa−O−Cqb2qb+1、−C
    qa2qa−R3、−O−Cqa2qa−R3、−CO−O−C
    qa2qa−R3、又は−O−CO−Cqa2qa−R3を表わ
    し、直鎖状、分岐状のいずれであっても良い(但し、R
    3は、−O−CO−Cqb2qb+1、−CO−O−Cqb
    2qb+1、−H、−Cl、−F、−CF3、−NO2、−C
    Nを表わし、qa及びqbは独立に1〜20である)。
    2はCxa2xa−Xを表わす(Xは−H又は−Fを表わ
    し、xaは1〜20の整数である)。]
  11. 【請求項11】 前記フッ素含有液晶化合物が、下記の
    一般式(II)で表わされる請求項6記載の液晶素子。 【化4】 [式中、A4、A5、A6は、それぞれ独立に、 【化5】 を表わす。gb、hb、ibはそれぞれ独立に0〜3の
    整数(但し、gb+hb+ibは少なくとも2である)
    を表わす。夫々のL3、L4は独立に、単結合、−CO−
    O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−
    CO−Se−、−Se−CO−、−CO−Te−、−T
    e−CO−、−(CH2CH2ka−(kaは1〜4)、
    −CH=CH−、−C≡C−、−CH=N−、−N=C
    H−、−CH2−O−、−O−CH2−、−CO−又は−
    O−を表わす。夫々のX2、Y2、Z2はA4、A5、A6
    置換基であり、独立に−H、−Cl、−F、−Br、−
    I、−OH、−OCH3、−CH3、−CF3、−OC
    3、−CN、又は−NO2を表わし、夫々のjb、m
    b、nbは独立に0〜4の整数を表わす。J2は、−C
    O−O−Crc2rc−、−O−Crc2rc−、−Crc
    2rc−、−O−(Csa2sa−O)ta−Crd2rd−、−
    O−SO2−、−SO2−、−SO2−Crc2rc−、−C
    rc2rc−N(Cpb2pb+1)−SO2−、−Crc2rc
    N(Cpb2pb+1)−CO−であり、rc及びrdは独
    立に1〜20であり、saはそれぞれの(Csa2sa
    O)に独立に1〜10であり、taは1〜6であり、p
    bは0〜4である。R4は、−O−(Cqc2qc−O)wa
    −Cqd2qd+1、−(Cqc2qc−O)wa−C
    qd2qd+1、−Cqc2qc−R6、−O−Cqc2qc
    6、−CO−O−Cqc2qc−R6、又は−O−CO−
    qc2qc−R6を表わし、直鎖状、分岐状のいずれであ
    っても良い(但し、R6は−O−CO−Cqd2qd+1、−
    CO−O−Cqd2qd+1、−Cl、−F、−CF3、−N
    2、−CN、又は−Hを表わし、qc及びqdは独立
    に1〜20の整数、waは1〜10の整数である)。R
    5は、(Cxb2xb−O)za−Cya2ya+1で表わされる
    (但し、上記式中xbはそれぞれの(Cxb2xb−O)
    に独立に1〜10であり、yaは1〜10であり、za
    は1〜10である)。]
  12. 【請求項12】 請求項1乃至11のいずれかの項に記
    載の液晶素子と該液晶素子を駆動する手段とを少なくと
    も有する液晶装置。
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