JPH11230344A - ピストンリング構造体 - Google Patents
ピストンリング構造体Info
- Publication number
- JPH11230344A JPH11230344A JP3926798A JP3926798A JPH11230344A JP H11230344 A JPH11230344 A JP H11230344A JP 3926798 A JP3926798 A JP 3926798A JP 3926798 A JP3926798 A JP 3926798A JP H11230344 A JPH11230344 A JP H11230344A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ring
- coil expander
- piston
- coil
- piston ring
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 239000011347 resin Substances 0.000 claims abstract description 32
- 229920005989 resin Polymers 0.000 claims abstract description 32
- 229920001343 polytetrafluoroethylene Polymers 0.000 claims abstract description 12
- 239000004810 polytetrafluoroethylene Substances 0.000 claims abstract description 12
- 239000000463 material Substances 0.000 claims abstract description 8
- 239000004642 Polyimide Substances 0.000 claims abstract description 7
- 229920001721 polyimide Polymers 0.000 claims abstract description 7
- 239000002184 metal Substances 0.000 claims description 12
- -1 polytetrafluoroethylene Polymers 0.000 claims description 8
- 230000002265 prevention Effects 0.000 claims description 8
- 238000004804 winding Methods 0.000 claims description 7
- 238000000034 method Methods 0.000 claims 1
- 229910000831 Steel Inorganic materials 0.000 abstract description 12
- 239000010959 steel Substances 0.000 abstract description 12
- 239000004809 Teflon Substances 0.000 abstract description 2
- 229920006362 Teflon® Polymers 0.000 abstract description 2
- 239000011248 coating agent Substances 0.000 abstract 1
- 238000000576 coating method Methods 0.000 abstract 1
- 238000005452 bending Methods 0.000 description 2
- 239000011162 core material Substances 0.000 description 2
- 238000007789 sealing Methods 0.000 description 2
- 238000002485 combustion reaction Methods 0.000 description 1
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 1
- 238000010438 heat treatment Methods 0.000 description 1
- 230000002093 peripheral effect Effects 0.000 description 1
- 230000000630 rising effect Effects 0.000 description 1
Landscapes
- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 樹脂材料のアウタリングを、コイルエキスパ
ンダで半径方向外側に押圧するタイプのピストンリング
構造体の耐久性を向上する。 【解決手段】 ピストンリング構造体(10)はポリイ
ミドでエンドレスに形成されたアウタリング(20)を
PTFEで合口を設けず形成されたインナリング(3
0)を介してコイルエキスパンダ(40)でピストンの
半径方向外側に押圧して構成される。コイルエキスパン
ダのスチールコイル(41)は矩形断面を有していて、
インナリングと当接する面積が大きくインナリングに食
い込まない。スチールコイルの表面には摩擦低減のため
にテフロンのコーテイングが施されていている。またコ
イルエキスパンダは円形にしてから熱処理がされる。
ンダで半径方向外側に押圧するタイプのピストンリング
構造体の耐久性を向上する。 【解決手段】 ピストンリング構造体(10)はポリイ
ミドでエンドレスに形成されたアウタリング(20)を
PTFEで合口を設けず形成されたインナリング(3
0)を介してコイルエキスパンダ(40)でピストンの
半径方向外側に押圧して構成される。コイルエキスパン
ダのスチールコイル(41)は矩形断面を有していて、
インナリングと当接する面積が大きくインナリングに食
い込まない。スチールコイルの表面には摩擦低減のため
にテフロンのコーテイングが施されていている。またコ
イルエキスパンダは円形にしてから熱処理がされる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関のピストン
リング構造体、特に樹脂材料で合口を設けずエンドレス
に形成されたアウタリングを、インナリングを介して、
リング張力提供部材で半径方向外側に押圧するピストン
リング構造体に関する。
リング構造体、特に樹脂材料で合口を設けずエンドレス
に形成されたアウタリングを、インナリングを介して、
リング張力提供部材で半径方向外側に押圧するピストン
リング構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】ブローバイガスを減らすために、合口を
設けずにエンドレスに形成された樹脂製のピストンリン
グを使用することが公知である。例えば、フッ素樹脂の
1つであるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で
合口を設けずエンドレスに形成されたアウタリングを、
同じPTFEで合口を設けずエンドレスに形成されたイ
ンナリングを介して、金属製のコイルエキスパンダから
成るリング張力提供部材で半径方向外側に押圧するよう
にしたピストンリング構造体が公知である(特開昭9−
280373号公報参照)。上記公報のピストンリング
構造体は、リングをインナリングとアウタリングに分割
し、インナリングによりリング溝まわりのシール性を確
保し、アウタリングによりシリンダ壁との摺動部のシー
ル性を確保するようにした優れたものである。
設けずにエンドレスに形成された樹脂製のピストンリン
グを使用することが公知である。例えば、フッ素樹脂の
1つであるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で
合口を設けずエンドレスに形成されたアウタリングを、
同じPTFEで合口を設けずエンドレスに形成されたイ
ンナリングを介して、金属製のコイルエキスパンダから
成るリング張力提供部材で半径方向外側に押圧するよう
にしたピストンリング構造体が公知である(特開昭9−
280373号公報参照)。上記公報のピストンリング
構造体は、リングをインナリングとアウタリングに分割
し、インナリングによりリング溝まわりのシール性を確
保し、アウタリングによりシリンダ壁との摺動部のシー
ル性を確保するようにした優れたものである。
【0003】ところが、PTFEは高温になるとかなり
軟化する。そこで高温になるとコイルエキスパンダがイ
ンナリングに食い込み永久歪みを起こしてしまいそれに
起因してリング溝まわりのシール性が低下する等の問題
がある。
軟化する。そこで高温になるとコイルエキスパンダがイ
ンナリングに食い込み永久歪みを起こしてしまいそれに
起因してリング溝まわりのシール性が低下する等の問題
がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に
鑑み、樹脂材料で合口を設けずエンドレスに形成された
リングを、コイルエキスパンダで半径方向外側に押圧す
るタイプのピストンリング構造体において、コイルエキ
スパンダの食い込みを防止することを目的とする。
鑑み、樹脂材料で合口を設けずエンドレスに形成された
リングを、コイルエキスパンダで半径方向外側に押圧す
るタイプのピストンリング構造体において、コイルエキ
スパンダの食い込みを防止することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明によれ
ば、ピストンのリング溝内に装着されるピストンリング
構造体であって、合口無しに形成された樹脂製リング
を、金属製の線材をコイル状に巻いた部材の両端を突き
合わせて円形にして成るコイルエキスパンダで半径方向
外側に押圧して成り、樹脂製リングと金属製のコイルエ
キスパンダの当接部にコイルエキスパンダの樹脂製リン
グへの食い込みを防止する食い込み防止手段を設けたピ
ストンリング構造体が提供される。この様に構成された
ピストンリング構造体では、樹脂製リングを金属製の線
材をコイル状に巻いた部材から成るコイルエキスパンダ
で半径方向外側に押圧して成るが、インナリングとコイ
ルエキスパンダの間に食い込み防止手段が設けられてい
るので、高温になってもコイルエキスパンダが食い込ま
ずコイルエキスパンダの張力を常にアウタリングに適切
に作用させることができる。
ば、ピストンのリング溝内に装着されるピストンリング
構造体であって、合口無しに形成された樹脂製リング
を、金属製の線材をコイル状に巻いた部材の両端を突き
合わせて円形にして成るコイルエキスパンダで半径方向
外側に押圧して成り、樹脂製リングと金属製のコイルエ
キスパンダの当接部にコイルエキスパンダの樹脂製リン
グへの食い込みを防止する食い込み防止手段を設けたピ
ストンリング構造体が提供される。この様に構成された
ピストンリング構造体では、樹脂製リングを金属製の線
材をコイル状に巻いた部材から成るコイルエキスパンダ
で半径方向外側に押圧して成るが、インナリングとコイ
ルエキスパンダの間に食い込み防止手段が設けられてい
るので、高温になってもコイルエキスパンダが食い込ま
ずコイルエキスパンダの張力を常にアウタリングに適切
に作用させることができる。
【0006】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
において、コイルエキスパンダを矩形断面の線材をコイ
ル状に巻いて形成してコイルエキスパンダの樹脂製リン
グへの当接面積を拡大して食い込み防止手段としたピス
トンリング構造体が提供される。この様に構成されたピ
ストンリング構造体では、コイルエキスパンダを矩形断
面の線材をコイル状に巻いて形成してコイルエキスパン
ダの樹脂製リングへの当接面積が拡大されコイルエキス
パンダの樹脂製リングへの食い込みが防止される。
において、コイルエキスパンダを矩形断面の線材をコイ
ル状に巻いて形成してコイルエキスパンダの樹脂製リン
グへの当接面積を拡大して食い込み防止手段としたピス
トンリング構造体が提供される。この様に構成されたピ
ストンリング構造体では、コイルエキスパンダを矩形断
面の線材をコイル状に巻いて形成してコイルエキスパン
ダの樹脂製リングへの当接面積が拡大されコイルエキス
パンダの樹脂製リングへの食い込みが防止される。
【0007】請求項3の発明によれば、請求項2の発明
において、コイルエキスパンダが突き合わせ部を含め全
長にわたり等ピッチで巻かれているピストンリング構造
体が提供される。この様に構成されたピストンリング構
造体では、コイルエキスパンダが真円状に保たれ、突き
合わせ部が樹脂リング側に突き出て樹脂リングを損傷す
ることが防止される。
において、コイルエキスパンダが突き合わせ部を含め全
長にわたり等ピッチで巻かれているピストンリング構造
体が提供される。この様に構成されたピストンリング構
造体では、コイルエキスパンダが真円状に保たれ、突き
合わせ部が樹脂リング側に突き出て樹脂リングを損傷す
ることが防止される。
【0008】請求項4の発明によれば、請求項2の発明
において、矩形断面にされたコイルエキスパンダの表面
に摩擦低減材のコーティングが施されているピストンリ
ング構造体が提供される。この様に構成されたピストン
リング構造体では、コイルエキスパンダとジュシリング
との間の滑りやすくなりコイルエキスパンダの樹脂製リ
ングへの食い込みの防止能力が向上する。
において、矩形断面にされたコイルエキスパンダの表面
に摩擦低減材のコーティングが施されているピストンリ
ング構造体が提供される。この様に構成されたピストン
リング構造体では、コイルエキスパンダとジュシリング
との間の滑りやすくなりコイルエキスパンダの樹脂製リ
ングへの食い込みの防止能力が向上する。
【0009】請求項5の発明によれば、請求項1の発明
において、食い込み防止手段が樹脂製リングと金属製の
コイルエキスパンダの間に介装された薄肉剛性部材とさ
れたピストンリング構造体が提供される。このように構
成されたピストンリング構造体では、樹脂製リングと金
属製のコイルエキスパンダの間に介装される薄肉剛性部
材によって、コイルエキスパンダの樹脂リングへの食い
込みが防止される。
において、食い込み防止手段が樹脂製リングと金属製の
コイルエキスパンダの間に介装された薄肉剛性部材とさ
れたピストンリング構造体が提供される。このように構
成されたピストンリング構造体では、樹脂製リングと金
属製のコイルエキスパンダの間に介装される薄肉剛性部
材によって、コイルエキスパンダの樹脂リングへの食い
込みが防止される。
【0010】請求項6の発明によれば、請求項1の発明
において、樹脂製リングがポリテトラフルオロエチレン
から成るピストンリング構造体が提供される。この様に
構成されたピストンリング構造体は、ポリテトラフルオ
ロエチレンから成る樹脂製リングを金属製の線材をコイ
ル状に巻いた部材の両端を突き合わせて円形にして成る
コイルエキスパンダで半径方向外側に押圧して成るが、
インナリングとコイルエキスパンダの間に食い込み防止
手段が設けられているので、高温になってもコイルエキ
スパンダが樹脂製リングに食い込まずコイルエキスパン
ダの張力を常に樹脂製リングに適切に作用させることが
できる。
において、樹脂製リングがポリテトラフルオロエチレン
から成るピストンリング構造体が提供される。この様に
構成されたピストンリング構造体は、ポリテトラフルオ
ロエチレンから成る樹脂製リングを金属製の線材をコイ
ル状に巻いた部材の両端を突き合わせて円形にして成る
コイルエキスパンダで半径方向外側に押圧して成るが、
インナリングとコイルエキスパンダの間に食い込み防止
手段が設けられているので、高温になってもコイルエキ
スパンダが樹脂製リングに食い込まずコイルエキスパン
ダの張力を常に樹脂製リングに適切に作用させることが
できる。
【0011】請求項7の発明によれば、請求項1の発明
において、樹脂製リングがポリイミドから成るアウタリ
ングとポリテトラフルオロエチレンから成るインナリン
グの2分割構造にされたピストンリング構造体が提供さ
れる。この様に構成されたピストンリング構造体は、ポ
リイミドから成るアウタリングをポリテトラフルオロエ
チレンから成るインナリングを介して金属製の線材をコ
イル状に巻いた部材の両端を突き合わせて円形にして成
るコイルエキスパンダで半径方向外側に押圧して成る
が、インナリングとコイルエキスパンダの間に食い込み
防止手段が設けられているので、高温になってもコイル
エキスパンダがインナリングに食い込まずコイルエキス
パンダの張力を常にアウタリングに適切に作用させるこ
とができる。
において、樹脂製リングがポリイミドから成るアウタリ
ングとポリテトラフルオロエチレンから成るインナリン
グの2分割構造にされたピストンリング構造体が提供さ
れる。この様に構成されたピストンリング構造体は、ポ
リイミドから成るアウタリングをポリテトラフルオロエ
チレンから成るインナリングを介して金属製の線材をコ
イル状に巻いた部材の両端を突き合わせて円形にして成
るコイルエキスパンダで半径方向外側に押圧して成る
が、インナリングとコイルエキスパンダの間に食い込み
防止手段が設けられているので、高温になってもコイル
エキスパンダがインナリングに食い込まずコイルエキス
パンダの張力を常にアウタリングに適切に作用させるこ
とができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を用いて本発明の
実施の形態を説明する。図1はピストンのセカンドリン
グとして用いられている本発明によるピストンリング構
造体の第1の実施の形態を示したものである。図1にお
いて、100はピストンであり、120はピストン10
0に形成されたリング溝、200はピストン100が摺
動するシリンダ壁である。なお、リング溝120はピス
トン100の頂部(図示しない)の方から数えて2番目
のセカンドリング溝である。
実施の形態を説明する。図1はピストンのセカンドリン
グとして用いられている本発明によるピストンリング構
造体の第1の実施の形態を示したものである。図1にお
いて、100はピストンであり、120はピストン10
0に形成されたリング溝、200はピストン100が摺
動するシリンダ壁である。なお、リング溝120はピス
トン100の頂部(図示しない)の方から数えて2番目
のセカンドリング溝である。
【0013】そして、リング溝120に、全体が10で
示されるピストンリング構造体がはめ込まれている。ピ
ストンリング構造体10は、ピストン100の半径方向
外側から内側に順に配設されたアウタリング20、イン
ナリング30、コイルエキスパンダ40から成る。アウ
タリング20はポリイミド製であって、熱膨張係数が3
×10-5/K以下、破断伸びが10%以上の特性を有す
るものである。このアウタリング20のピストン軸線方
向の高さBout は、リング溝120に装着しない常温の
自由状態でリング溝120の高さHよりも小さいように
設定されていて、リング溝120に装着され機関が運転
状態にある時も上記のように熱膨張係数が小さいために
リング溝120の高さHよりも小さい。
示されるピストンリング構造体がはめ込まれている。ピ
ストンリング構造体10は、ピストン100の半径方向
外側から内側に順に配設されたアウタリング20、イン
ナリング30、コイルエキスパンダ40から成る。アウ
タリング20はポリイミド製であって、熱膨張係数が3
×10-5/K以下、破断伸びが10%以上の特性を有す
るものである。このアウタリング20のピストン軸線方
向の高さBout は、リング溝120に装着しない常温の
自由状態でリング溝120の高さHよりも小さいように
設定されていて、リング溝120に装着され機関が運転
状態にある時も上記のように熱膨張係数が小さいために
リング溝120の高さHよりも小さい。
【0014】図1はこの機関が運転状態で高温ににある
時でピストン100が下死点から上死点に向かって移動
している途中の様子を示しており、アウタリング20の
下面22はリング溝120の底部面122に押しつけら
れている。なお、上死点から下死点に向かって移動する
ときは逆にアウタリング20の上面21がリング溝12
0の上部面121に押しつけられる。このアウタリング
20の上、下面21、22と、リング溝120の上部、
底部面121、122の交番的な密着により、リング溝
120の断面に沿って流れようとするブローバイガスの
シールが行われる。
時でピストン100が下死点から上死点に向かって移動
している途中の様子を示しており、アウタリング20の
下面22はリング溝120の底部面122に押しつけら
れている。なお、上死点から下死点に向かって移動する
ときは逆にアウタリング20の上面21がリング溝12
0の上部面121に押しつけられる。このアウタリング
20の上、下面21、22と、リング溝120の上部、
底部面121、122の交番的な密着により、リング溝
120の断面に沿って流れようとするブローバイガスの
シールが行われる。
【0015】アウタリング20の、半径方向外側の、シ
リンダ壁200との摺動面は溝23によって上側摺動面
24と下側摺動面25に分割されている。この様に摺動
面を上側摺動面24と下側摺動面25に分割することに
よってアウタリング20は半径方向の幅Tout を比較的
薄くしているにも係わらず安定した姿勢でシリンダ壁2
00の上を摺動することができる。そして上側摺動面2
4、下側摺動面25の上端縁部分にはそれぞれ面取り2
6、27が施されている。面取り26、27を設けるこ
とにより、ピストン100が上昇する時の油膜のかきあ
げが小さくなり、いわゆるオイル上がりが抑制される。
リンダ壁200との摺動面は溝23によって上側摺動面
24と下側摺動面25に分割されている。この様に摺動
面を上側摺動面24と下側摺動面25に分割することに
よってアウタリング20は半径方向の幅Tout を比較的
薄くしているにも係わらず安定した姿勢でシリンダ壁2
00の上を摺動することができる。そして上側摺動面2
4、下側摺動面25の上端縁部分にはそれぞれ面取り2
6、27が施されている。面取り26、27を設けるこ
とにより、ピストン100が上昇する時の油膜のかきあ
げが小さくなり、いわゆるオイル上がりが抑制される。
【0016】インナリング30はPTFE製であってそ
の熱膨張係数と破断伸びは前記アウタリング20の材料
であるポリイミドよりも大きい。インナリング30の内
径側には上方内側に向かう上方傾斜面33と、下方内側
に向かう下方傾斜面34が形成されている。このインナ
リング30のピストン軸線方向の高さは、リング溝12
0に装着しない常温の自由状態では、リング溝120の
高さHよりも小さいように、略アウタリング20の高さ
Bout と同等に設定されている。
の熱膨張係数と破断伸びは前記アウタリング20の材料
であるポリイミドよりも大きい。インナリング30の内
径側には上方内側に向かう上方傾斜面33と、下方内側
に向かう下方傾斜面34が形成されている。このインナ
リング30のピストン軸線方向の高さは、リング溝12
0に装着しない常温の自由状態では、リング溝120の
高さHよりも小さいように、略アウタリング20の高さ
Bout と同等に設定されている。
【0017】しかしながら、リング溝120に装着され
機関が運転状態にあり高温になった時は、熱膨張係数が
大きいので膨張し、また変形しやすくなっている。その
ような状態でコイルエキスパンダ40の張力により前記
傾斜面を介して外側に押圧されるのでインナリング30
の前記ピストン軸線方向の高さBinは増大し、インナリ
ング30の上面31がリング溝120の上側面121
と、下面31がリング溝120の下側面122と密着す
る。これによりリング溝120の壁面に沿って流れよう
とするガスのシールが確保されるのである。また、変形
しやすくなっていることから、コイルエキスパンダ40
の張力を、有効にアウタリング20に作用せしめ、アウ
タリング20をシリンダ壁3に押しつけることを可能に
しており、これによりアウタリング20はシリンダ壁2
00との間のシール性を維持することができるのであ
る。
機関が運転状態にあり高温になった時は、熱膨張係数が
大きいので膨張し、また変形しやすくなっている。その
ような状態でコイルエキスパンダ40の張力により前記
傾斜面を介して外側に押圧されるのでインナリング30
の前記ピストン軸線方向の高さBinは増大し、インナリ
ング30の上面31がリング溝120の上側面121
と、下面31がリング溝120の下側面122と密着す
る。これによりリング溝120の壁面に沿って流れよう
とするガスのシールが確保されるのである。また、変形
しやすくなっていることから、コイルエキスパンダ40
の張力を、有効にアウタリング20に作用せしめ、アウ
タリング20をシリンダ壁3に押しつけることを可能に
しており、これによりアウタリング20はシリンダ壁2
00との間のシール性を維持することができるのであ
る。
【0018】次に、コイルエキスパンダ40の構造につ
いて説明する。コイルエキスパンダ40は、前述のイン
ナリング30の前記上下の傾斜面33、34の間に受容
されるように配置されるが、受容されることによってコ
イルエキスパンダ40はその長さを縮める。したがっ
て、コイルエキスパンダ40は自由長さに戻ろうとする
のでインナリング30を外側に押し広げようとする張力
を発生する。
いて説明する。コイルエキスパンダ40は、前述のイン
ナリング30の前記上下の傾斜面33、34の間に受容
されるように配置されるが、受容されることによってコ
イルエキスパンダ40はその長さを縮める。したがっ
て、コイルエキスパンダ40は自由長さに戻ろうとする
のでインナリング30を外側に押し広げようとする張力
を発生する。
【0019】そして、この第1の実施の形態におけるコ
イルエキスパンダ40はスチールの線材をコイル状に巻
いたスチールコイル41の中に芯材42を通し、芯材4
2に沿って円形に曲げたものであるが、線材の断面が矩
形である点が大きな特徴である。図2は図1のII−II線
にそって見た断面図である。一方、図3は従来の円形断
面の線材を利用して形成されたコイルエキスパンダの断
面図である。両者を比較すると、図2の本発明の第1の
実施の形態のものはインナリング30への当接面積が広
いのに比べて、図3のコイルエキスパンダ40aのスチ
ールコイル41aは当接面積が小さく、その結果、スチ
ールコイル41aがインナリング30に食い込んでいる
ことがわかる。
イルエキスパンダ40はスチールの線材をコイル状に巻
いたスチールコイル41の中に芯材42を通し、芯材4
2に沿って円形に曲げたものであるが、線材の断面が矩
形である点が大きな特徴である。図2は図1のII−II線
にそって見た断面図である。一方、図3は従来の円形断
面の線材を利用して形成されたコイルエキスパンダの断
面図である。両者を比較すると、図2の本発明の第1の
実施の形態のものはインナリング30への当接面積が広
いのに比べて、図3のコイルエキスパンダ40aのスチ
ールコイル41aは当接面積が小さく、その結果、スチ
ールコイル41aがインナリング30に食い込んでいる
ことがわかる。
【0020】また、このコイルエキスパンダ40のスチ
ールコイル41は、円形に曲げた時に突き合わせられる
部分を含めて全長にわたって等ピッチで巻かれている。
このようにすることにより、突き合わせたときに突き合
わせ部が外側に突出してインナリング30を損傷するこ
とが防止されるのである。また、さらに、円形に曲げて
から熱処理が施されており、実際の使用時における張力
の均等性を向上している。また、コイルエキスパンダ4
0のスチールコイル41の表面には摩擦低減材のコーテ
ィングがされており、この実施の形態では、その材質と
してテフロンが用いられているが、他の材質、例えば、
ポリイミド等を用いることも可能である。
ールコイル41は、円形に曲げた時に突き合わせられる
部分を含めて全長にわたって等ピッチで巻かれている。
このようにすることにより、突き合わせたときに突き合
わせ部が外側に突出してインナリング30を損傷するこ
とが防止されるのである。また、さらに、円形に曲げて
から熱処理が施されており、実際の使用時における張力
の均等性を向上している。また、コイルエキスパンダ4
0のスチールコイル41の表面には摩擦低減材のコーテ
ィングがされており、この実施の形態では、その材質と
してテフロンが用いられているが、他の材質、例えば、
ポリイミド等を用いることも可能である。
【0021】次に、本発明の第2の実施の形態について
説明する。図4が第2の実施の形態の構造を示す図であ
って、この第2の実施の形態におけるコイルエキスパン
ダは図3に示された従来技術のコイルエキスパンダ40
aと同じ円形断面を有するものである。したがって、参
照番号も同様に40aとしてあり、スチールコイルの番
号、芯材の番号もそれぞれ41a、42aとされてい
る。図5は図4のV-V 線にそって見た断面図である。
説明する。図4が第2の実施の形態の構造を示す図であ
って、この第2の実施の形態におけるコイルエキスパン
ダは図3に示された従来技術のコイルエキスパンダ40
aと同じ円形断面を有するものである。したがって、参
照番号も同様に40aとしてあり、スチールコイルの番
号、芯材の番号もそれぞれ41a、42aとされてい
る。図5は図4のV-V 線にそって見た断面図である。
【0022】そして、この第2の実施の形態では、スチ
ールの薄板をインナリング30の内周側の面にそって折
り曲げて形成した食い込み防止板50がインナリング3
0とコイルエキスパンダ40aとの間に配設されている
のが特徴である。この結果、従来技術と同じ円形断面の
スチールコイル41aを使用しているにもかかわらず、
インナリング30に食い込むのが防止されている。
ールの薄板をインナリング30の内周側の面にそって折
り曲げて形成した食い込み防止板50がインナリング3
0とコイルエキスパンダ40aとの間に配設されている
のが特徴である。この結果、従来技術と同じ円形断面の
スチールコイル41aを使用しているにもかかわらず、
インナリング30に食い込むのが防止されている。
【0023】また、以上の説明はピストンリング構造体
10をピストンの頂部側から数えて2番目のセカンドリ
ング溝に装着されるセカンドリングとして使用する場合
の例であるが、セカンドリングとしてだけではなくピス
トンの頂部側から数えて1番目のリング溝に装着される
トップリングとして使用することも可能である。
10をピストンの頂部側から数えて2番目のセカンドリ
ング溝に装着されるセカンドリングとして使用する場合
の例であるが、セカンドリングとしてだけではなくピス
トンの頂部側から数えて1番目のリング溝に装着される
トップリングとして使用することも可能である。
【0024】
【発明の効果】各請求項の発明によれば、ピストンのリ
ング溝内において、樹脂製のリングを金属製の線材をコ
イル状に巻いた部材の両端を突き合わせて円形にして成
るコイルエキスパンダで半径方向外側に押圧して成るピ
ストンリング構造体において、樹脂製リングとコイルエ
キスパンダの当接部に食い込み防止手段が配設され、コ
イルエキスパンダが樹脂製のリングに食い込むことが防
止されて耐久性が良い。
ング溝内において、樹脂製のリングを金属製の線材をコ
イル状に巻いた部材の両端を突き合わせて円形にして成
るコイルエキスパンダで半径方向外側に押圧して成るピ
ストンリング構造体において、樹脂製リングとコイルエ
キスパンダの当接部に食い込み防止手段が配設され、コ
イルエキスパンダが樹脂製のリングに食い込むことが防
止されて耐久性が良い。
【図1】本発明の第1の実施の形態のピストンリング構
造体を示す図である。
造体を示す図である。
【図2】図1のII-II 線にそって見たコイルエキスパン
ダとインナリングの当接部を示す断面図である。
ダとインナリングの当接部を示す断面図である。
【図3】従来技術のコイルエキスパンダとインナリング
の当接部の様子を図2と同じ様に示した図である。
の当接部の様子を図2と同じ様に示した図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態のピストンリング構
造体を示す図である。
造体を示す図である。
【図5】図4のV-V 線にそって見たコイルエキスパンダ
とインナリングの当接部を示す断面図である。
とインナリングの当接部を示す断面図である。
10…ピストンリング構造体 20…アウタリング 23…溝 24…上側摺動面 25…下側摺動面 26、27…面取り 30…インナリング 33…上側摺動面 34…下側摺動面 40、40a…コイルエキスパンダ 41、41a…スチールコイル 50…食い込み防止板 100…ピストン 120…リング溝 200…シリンダ壁
Claims (7)
- 【請求項1】 ピストンのリング溝内に装着されるピス
トンリング構造体であって、合口無しに形成された樹脂
製リングを、金属製の線材をコイル状に巻いた部材の両
端を突き合わせて円形にして成るコイルエキスパンダで
半径方向外側に押圧して成り、 樹脂製リングと金属製のコイルエキスパンダの当接部に
コイルエキスパンダの樹脂製リングへの食い込みを防止
する食い込み防止手段を設けたことを特徴とするピスト
ンリング構造体。 - 【請求項2】 食い込み防止手段が、コイルエキスパン
ダを矩形断面の線材をコイル状に巻いて形成したことに
よるコイルエキスパンダの樹脂製リングへの当接面積の
拡大であることを特徴とする請求項1に記載のピストン
リング構造体。 - 【請求項3】 コイルエキスパンダが突き合わせ部を含
め全長にわたり等ピッチで巻かれていることを特徴とす
る請求項2に記載のピストンリング構造体。 - 【請求項4】 矩形断面にされたコイルエキスパンダの
表面に摩擦低減材のコーティングが施されていることを
特徴とする請求項2に記載のピストンリング構造体。 - 【請求項5】 食い込み防止手段が樹脂製リングと金属
製のコイルエキスパンダの間に介装された薄肉剛性部材
であることを特徴とする請求項1に記載のピストンリン
グ構造体。 - 【請求項6】 樹脂製リングがポリテトラフルオロエチ
レンから成ることを特徴とする請求項1に記載のピスト
ンリング構造体。 - 【請求項7】 樹脂製リングがポリイミドから成るアウ
タリングとポリテトラフルオロエチレンから成るインナ
リングの2分割構造にされていることを特徴とする請求
項1に記載のピストンリング構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3926798A JPH11230344A (ja) | 1998-02-20 | 1998-02-20 | ピストンリング構造体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3926798A JPH11230344A (ja) | 1998-02-20 | 1998-02-20 | ピストンリング構造体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11230344A true JPH11230344A (ja) | 1999-08-27 |
Family
ID=12548378
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3926798A Pending JPH11230344A (ja) | 1998-02-20 | 1998-02-20 | ピストンリング構造体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11230344A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005066482A1 (ja) * | 2004-01-09 | 2005-07-21 | Nippon Piston Ring Co., Ltd. | コイルエキスパンダ用線材およびコイルエキスパンダ |
JP2012518141A (ja) * | 2009-02-19 | 2012-08-09 | フェデラル−モーグル ブルシャイト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | コンプレッションピストンリング |
-
1998
- 1998-02-20 JP JP3926798A patent/JPH11230344A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005066482A1 (ja) * | 2004-01-09 | 2005-07-21 | Nippon Piston Ring Co., Ltd. | コイルエキスパンダ用線材およびコイルエキスパンダ |
US7954822B2 (en) | 2004-01-09 | 2011-06-07 | Nippon Piston Ring Co., Ltd. | Wire material for coil expander and coil expander |
JP2012518141A (ja) * | 2009-02-19 | 2012-08-09 | フェデラル−モーグル ブルシャイト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | コンプレッションピストンリング |
US9458934B2 (en) | 2009-02-19 | 2016-10-04 | Federal-Mogul Burscheid Gmbh | Compression piston ring |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6283478B1 (en) | Piston ring structural body and method of mounting the piston ring structural body | |
JP2008045608A (ja) | 非石綿ガスケット | |
US5544849A (en) | Swaged wear sleeve and method | |
EP3650738A1 (en) | Hose clamp with flat spring liner | |
JP3364590B2 (ja) | ピストンリングの取り付け方法 | |
JPH11230344A (ja) | ピストンリング構造体 | |
JP3243473B2 (ja) | ピストン | |
US5997008A (en) | Sealing ring | |
JP2006266321A (ja) | 配管製造方法及び二重管型配管の内側配管 | |
US7429047B1 (en) | Piston ring assembly | |
JP2004003604A (ja) | 排気管用ガスケットおよびそれを備えた排気管継手 | |
JP3110307B2 (ja) | メタルガスケット | |
JP2009014119A (ja) | 樹脂プーリ付軸受 | |
JPH11336900A (ja) | ピストンリング | |
JP4175971B2 (ja) | ピストンリング | |
US11629800B2 (en) | Double pipe and method for manufacturing same | |
JP2004340075A (ja) | オイルリング | |
JPH08219295A (ja) | オイルシール | |
JP2003148623A (ja) | 排気系継手用ガスケット | |
JPH11132337A (ja) | シールリングの製造方法 | |
JPH0417798Y2 (ja) | ||
JP2004116648A (ja) | 組合せピストンリング | |
JPH1113888A (ja) | うず巻形ガスケット | |
JPH0676770U (ja) | ガスケット | |
JPH0237011Y2 (ja) |