JPH11229227A - 湿式紡糸の整流装置 - Google Patents

湿式紡糸の整流装置

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JPH11229227A
JPH11229227A JP3140798A JP3140798A JPH11229227A JP H11229227 A JPH11229227 A JP H11229227A JP 3140798 A JP3140798 A JP 3140798A JP 3140798 A JP3140798 A JP 3140798A JP H11229227 A JPH11229227 A JP H11229227A
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陽啓 大本
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Nobuhisa Dono
宜久 堂野
Koji Ono
耕司 小野
Jo Tsugawa
城 津川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 湿式紡糸において、凝固浴槽中の凝固液の流
れを制御することで紡出糸条の随伴流に起因する凝固液
の乱れを防ぎ、高速でも安定した紡糸を可能として生産
性を向上させる。 【解決手段】 一端側に凝固液供給部2を、他端側に凝
固浴槽出口3を設け、凝固液供給部2側に紡糸口金5を
設置した凝固浴槽1内に、紡糸口金5から紡出される糸
条6を囲うように配置される整流板で構成され、紡出糸
条6の進行する形状にそって次第に流路断面積が小さく
なるように形成するとともに、側面7aおよび底面7b
の整流板に開口部を形成した整流装置7を設置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は合成繊維を工業的に
製造する湿式紡糸において、凝固浴槽内での凝固液の流
れを制御して乱れを防ぎ、紡糸速度を上げて生産性の向
上を可能とする湿式紡糸の整流装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】合成繊維を工業的に製造する湿式紡糸に
おいて、生産性を向上させるために紡糸速度を上げる方
法がしばしば採用される。しかし、紡糸速度を上げると
凝固浴槽内で凝固液の乱れが発生しやすくなり、安定し
た生産を妨げる問題となる。
【0003】一般に紡糸速度は凝固浴槽に供給される凝
固液の平均流速よりも速く、そのため紡出糸条の近傍に
ある凝固液は紡出糸条に引き寄せられ随伴されて紡糸速
度に近い速さで引き取り方向に流れる(以下、随伴流と
いう)。そしてこれを補うために、紡出糸条から離れた
凝固浴槽の底壁や側壁付近では凝固液が逆流する。この
ように、従来の湿式紡糸装置では、随伴流と逆流との相
反する方向の流れが凝固浴槽内に同時に隣接して発生す
るために、両者が相互に干渉し合い、凝固浴槽内の凝固
液は不規則に循環する流れとなったり、局所的に渦が発
生するなどの乱れが発生するのが常であった。
【0004】したがって、前記のように、紡糸速度を上
げることで生産性を向上させようとすると、当然ながら
随伴流も速くなり量も多くなる。それに連れて凝固液の
逆流も激しさを増し、凝固液乱れも顕著になる。このよ
うに凝固液が乱れると、凝固浴槽内の紡出糸条は揺さぶ
られ、分繊不良や単糸切れなどを引き起こし、後工程で
の安定運転を阻害する原因となる。また、紡糸口金から
紡糸原液が吐出された直後の凝固過程は得られる繊維製
品の品質に非常に大きく影響することがよく知られてお
り、紡糸口金近傍で凝固液の流れが乱れると繊維品質に
不均一化をもたらすことになる。したがって凝固液の乱
れを解消することが、生産性向上の重要な課題であっ
た。
【0005】上記問題の解決策として、たとえば特開昭
62−33814号公報では、凝固浴槽内の凝固液乱れ
を抑制するために、紡出糸条と凝固浴槽底面との間に循
環仕切板を設置し、かつ、各紡出糸条毎を仕切る整流板
を設置する方法が提案されている。この方法は、紡出糸
条の随伴流量が比較的小さい場合には確かに有効であ
る。しかし、紡糸速度を上げて随伴流量が増大した場合
には整流板の内側で逆流が発生してしまい、却って凝固
液の乱れを助長させてしまうことがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の点に鑑み、本発
明の目的とするところは、湿式紡糸において、凝固浴槽
中の凝固液の流れを制御し、紡出糸条の随伴流に起因す
る凝固液の乱れを防ぎ、高速でも安定した紡糸を可能と
し、生産性を向上させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係る湿式紡糸の整流装置は、湿式紡糸装置
の凝固浴槽内に設置される紡糸口金から紡出される糸条
を囲うように配置される整流板で構成され、紡出糸条の
進行する形状にそって次第に流路断面積が小さくなるよ
うに形成するとともに、側面および底面の整流板に開口
部を形成してなることを特徴とする。このような本発明
に係る整流装置によって、従来技術における課題であっ
た凝固槽中の凝固液の乱れを解決することができる。
【0008】本発明において、前記凝固浴槽とは、通常
の横型の湿式紡糸の浴槽である。本発明では、凝固浴槽
の上壁面の有無は特に限定されない。上面が解放された
浴槽の場合は、凝固液は自由水面を持つことになる。ま
た、前記整流装置の整流板とは、凝固液の流動状態を制
御する目的で凝固浴槽内に設置される、平面状または曲
面状の板、あるいは棒などを板状に組み合わせたもので
ある。さらに、整流装置の流路断面積とは、糸条を囲う
ように配置された整流板により囲まれた部分の紡出糸条
の進行方向に略直交する垂直断面積である。また、整流
板に形成された開口部とは、凝固液の一部が通過し得る
ように整流板に設けられた機構である。
【0009】前記整流装置における整流板の開口部は、
紡出糸条の進行方向に向かって次第に大きくなる開口率
分布を有することが好ましい。さらに前記開口率は、入
口側で0〜50%、出口側で40〜90%とすることが
より好ましい。
【0010】本発明において、前記整流板の開口率と
は、凝固液が通過する開口部分の有効面積が整流板面積
に占める割合(面積率)であり、整流板の開口部の開口
度合い、すなわち凝固液が整流板を通過する度合いを表
す指標であって、この開口率を調節することによって凝
固液が整流板を通過する度合いを調節することができ
る。また、前記整流板の開口率分布とは、整流板の開口
率が整流装置の部位に応じて異なることを意味する。し
たがって、紡出糸条の進行方向に開口率分布を有すると
は、たとえば、整流装置入口部、紡糸口金近傍部、中間
部、出口近傍部、などで各々開口率が異なることを意味
する。
【0011】また、前記整流装置は整流板の角度を調節
可能な構造を有することが好ましい。この場合の整流板
の角度調節機能とは、紡出糸条の進行方向に、糸条と整
流板のなす角度を凝固液の整流に適切な角度に調節する
ことができる機能を備えていることを意味する。
【0012】さらに、前記整流装置は複数の部位に分割
可能な構造を有することが好ましい。本発明でいう分割
可能な整流装置の構造とは、複数の小さな整流板をつな
ぎ合わせて一つの整流板が構成されており、整流装置が
前記のような整流板によって自在に分解・再組立ができ
るような構造になっていることを意味する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明でいう湿式紡糸の整流装置とは、凝固浴槽内に設
けた単一または複数の紡糸口金から吐出された紡出糸条
を引き取る方式の湿式紡糸装置の凝固槽内に設置される
ものである。この湿式紡糸装置は、合成繊維を工業的に
製造するためのものであり、一般的な湿式紡糸の全てに
適用可能である。本発明の整流装置が適用できる例とし
ては、たとえば、アクリル系繊維、アクリル繊維、ポリ
ビニルアルコール繊維などの湿式紡糸装置が挙げられ
る。
【0014】以下、図面に示した一実施例によって本発
明をさらに詳しく説明する。図1、図2は、本発明に係
る整流装置を適用した湿式紡糸装置の一実施例の平面図
および側断面図である。この湿式紡糸装置は、凝固浴槽
1の一端側に凝固液供給部2を、他端側に凝固浴槽出口
3を設け、該凝固浴槽1内における凝固液供給部2側に
は、紡糸原液供給管4に連結された複数の紡糸口金5を
設置するとともに、凝固浴槽1内には、前記紡糸口金5
から紡出される糸条6を囲うように該糸条6の進行する
形状にそって凝固液供給部2側から凝固浴槽出口3側に
向かって整流装置7を設けてなる。前記整流装置7には
凝固浴槽1内に設置するための固定具を設けている。固
定具は凝固浴槽1内の凝固液の流れを妨げないようにで
きるだけ小さく細くすることが望ましい。例としては、
図に示したような細い棒状の脚部8を設けて整流装置7
を浴槽内に置くか、吊り下げ式にするなどが挙げられ
る。紡出糸条6は複数の紡糸口金5から吐出され、扇形
状に収束して引き取られるが、前記整流装置7は、紡出
糸条6を囲うように設置される整流板で構成され、紡出
糸条の進行方向に向かって次第に流路断面積が小さくな
る形状となる。また、図例の凝固浴槽1は、紡出糸条6
に合わせて凝固液供給部2側から凝固浴槽出口3側に向
かって次第に断面積(垂直断面積)が縮小する形状の浴
槽であるが、凝固浴槽1の形状は特に限定されるもので
はなく、断面積が一定であっても途中で変化する部分が
あっても構わない。
【0015】上記のような本発明に係る整流装置を用い
た湿式紡糸装置では、凝固液は、凝固液供給部2から凝
固浴槽1内に供給され、凝固浴槽出口3から溢出する。
紡糸原液供給管4より供給された紡糸原液は各紡糸口金
5から凝固浴槽1内に吐出され、紡出糸条6は整流装置
7の内側を進行し、図中、点Xの位置で凝固液から離脱
し、引き取りローラー(図示せず)に導かれる。このと
き、紡糸口金5の周囲では、凝固液が紡出糸条6に吸引
されて随伴流となり、紡出糸条6と共に凝固浴槽1中を
凝固液供給部2側から凝固浴槽出口3側に向かって流動
し、紡出糸条6が凝固液から離脱する点X(以後、離脱
点Xという)に近づくにつれて紡出糸条6より搾出され
る。そして、この湿式紡糸装置では、搾出された凝固液
(以後、搾出凝固液という)の一部は紡出糸条6と共に
整流装置出口10に向かって流れ、残りの部分は、整流
装置7の側面7a、7aおよび底面7bの整流板に設け
られた開口部から、整流装置7の外側の凝固浴槽1中に
排出される。排出された凝固液(以後、排出凝固液とい
う)は、整流装置7外側の凝固浴槽1の両側部および下
部を通って、凝固浴液供給部2側に向かって還流し、凝
固浴液供給部2から供給される凝固液に合流して、整流
装置入口9から再び整流装置7内に流入する。
【0016】上記のような本発明の整流装置を用いた湿
式紡糸装置においては、凝固浴槽1内に設置された整流
装置7の内側では紡出糸条6の随伴流が順方向(紡出糸
条6の進行方向)に向かって流れ、整流装置7の外側で
は凝固液が逆方向に還流するというように、相反する2
方向の流れは整流装置7の存在によって分離される。こ
のように凝固液の流れを制御することにより、凝固液の
乱れは発生せず、紡出糸条6は安定して凝固液中を走行
することができるため、紡糸速度を上げて生産性を向上
させることが可能となるのである。
【0017】図3は前記整流装置7の平面図、また図4
は凝固浴槽1と整流装置7の側断面図である。整流装置
7は、凝固浴槽1の側面1aおよび底面1bと紡出糸条
6との間に、紡出糸条6を囲うように設置される側面7
a、7aおよび底面7bの整流板で構成される。整流板
の内面と紡出糸条6とは、整流装置入口9側では数セン
チ程度、整流装置出口10側では数ミリメートル程度の
間隔を維持することが望ましい。したがって、整流装置
7の形状は凝固浴槽1内を走行する紡出糸条6の形状に
合わせて自ずと決定される。すなわち、一般の湿式紡糸
では、紡糸口金5は凝固浴槽1の液中に設置され、紡出
糸条6は凝固液面より離脱して引き取られることが多い
ので、底面7bの整流板は紡出糸条6の進行方向に向か
って次第に液面に近づくように傾斜状に設置される。ま
た、図例のごとく複数の紡糸口金5から吐出された紡出
糸条6を扇形状に収束させて引き取る紡糸装置において
は、整流装置7は、紡出糸条6の進行方向に向かって次
第に流路断面積が小さくなる形状となる。また、凝固浴
槽1の側面も紡出糸条6の進行方向に向かって次第に間
隔が狭くなるように扇形状に形成される。図3、図4に
示した整流装置7もこのような場合の形状である。な
お、図示はしないが、整流装置7は一定の角度で収束し
ていなくても一部が平行であっても構わない。さらに、
整流装置7を構成する側面7aおよび底面7bの整流板
は、図例のような平板でなく、紡出糸条6を囲うような
側面7aから底面7bにかけて連続する滑らかな曲面板
であっても構わない。この場合は整流板の側面7aと底
面7bとの区別はなくなる。
【0018】実施例の整流装置7では、製造時の操作性
を考慮して紡出糸条6の上面には整流板を設置せず上面
が開放されたトイ状としているが、紡出糸条6の上下左
右全てを囲う形状(トンネル形状)にしてもかまわな
い。いずれにしても、整流装置7の形状は、紡出糸条6
の進行する形状にそって、凝固浴槽出口3に向かって次
第に浅くなるトイあるいは次第に狭くなるトンネルのよ
うな形状となる。なお、整流装置入口9は、紡糸口金5
よりも凝固液供給部2に近い位置にある方が、紡糸口金
5周辺での浴液乱れを防ぐためには望ましい。なぜな
ら、もし仮に整流装置入口9が紡糸口金5よりも下流側
にあれば、整流装置7の外側を還流してきた凝固液が、
紡糸口金5の側面から流れ込むことになり、凝固液の乱
れが発生し易くなるからである。一方、整流装置出口1
0は離脱点Xの近辺に位置する。実施例では離脱点Xの
やや上流側であるが、さらに延長しても問題はない。
【0019】整流装置7の整流板は、側面7aおよび底
面7bとも、凝固液が通過し得るように開口部を有す
る。具体的には、側面7aおよび底面7bの整流板に孔
を開けることで最も簡単にこれを実現できる。整流板の
例としては、多孔板、網、あるいは複数の棒を互いに間
隔を開けて板状に並べたものなどが挙げられる。開口部
分の大きさは特に限定されないが、極端に大きな開口部
を設けると整流板の体をなさなくなってしまうことは明
らかであり、通常は最大でも数センチ程度の大きさとす
ることが好ましい。開口部分の形状にも特に制限はな
く、円形、楕円形、矩形、多角形などでもよい。側面7
aおよび底面7bの整流板の開口度合いを調節すること
によって、凝固液が整流板を通過する度合いを調整す
る。例えば、多孔板なら個々の孔径、孔数を変える、網
なら網目の細かさを変える、並列棒なら棒の太さおよび
間隔を変える、などの方法が挙げられる。整流板を安価
に製作するためには、既製品の多孔板や網を用い、強度
に問題ある場合は補強のために縁の部分のみ幅数センチ
程度の枠を取り付けるとよい。開口部分が整流板に占め
る面積率すなわち開口面積率は、紡出糸条6からの搾出
凝固液の量に応じて決定されるが、整流装置7全体での
平均の開口面積率は通常10〜90%程度、実用的には
30〜80%程度、望ましくは50〜80%程度であ
る。
【0020】また、万一、紡出糸条6が整流板に接触し
た場合にも単糸切れが起こりにくいようにするため、整
流装置7の内側はなるべく平滑にして、突起などが存在
しないようにすることが望ましい。特に、整流装置出口
10付近では随伴流のために紡出糸条6と整流装置7の
底面7bとが接触し易い。そこで整流装置7の内表面を
滑らかにすることで、接触時の抵抗を減らすことが好ま
しい。一例として、整流装置7の整流板の内面に、フッ
素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン)などの摩
擦係数の小さい材料をコーティングあるいはライニング
したり、整流装置出口10付近の底面7bの整流板の内
表面に滑らかな半円形の棒を紡出糸条6に垂直方向に並
べて設置することで、紡出糸条6と整流板との接触抵抗
を減ずることができる。
【0021】以上のような本発明の湿式紡糸装置は、既
存の凝固浴槽1に前記整流装置7を設置するだけで、凝
固浴槽1中の凝固液の流れを制御し、紡出糸条6の随伴
流に起因する液乱れを抑制する効果が得られ、安定した
紡糸が可能となる。つまり、本発明の湿式紡糸装置は、
既存の凝固浴槽1自体は改造することなく、整流装置7
を凝固浴槽1内に設置するだけで構成することができ
る。また、生産品種変更など紡糸の条件が変わる場合に
は整流装置7を交換することもでき、また、メンテナン
スのために整流装置7を凝固浴槽1から取り外すことも
容易であり、実用的にも優れている。
【0022】上記のように、本発明の整流装置7を用い
た湿式紡糸装置においては、整流装置7の内側では紡出
糸条6の随伴流が順方向(紡出糸条の進行方向)に向か
って流れ、整流装置7の外側では凝固液が逆方向に還流
するように、相反する2方向の流れを分離することで凝
固液の乱れを阻止するわけであるが、この場合、整流装
置7の側面7aおよび底面7bにおいて、整流板の開口
部から凝固液が整流装置7の内側から外側に向かって一
方向に排出され、外側から内側への流入を阻止すること
が、より好ましい。整流板の開口部に、逆流防止弁のよ
うな複雑かつ高価な機構を用いることでも、上記目的は
達成できるが、本発明では、もっと単純な構造でこれを
実現可能とした。すなわち、整流装置7において、紡出
糸条6の進行方向に、側面7aおよび底面7bの整流板
の開口面積率に分布をもたせるのである。具体的には、
整流装置入口9側は側面7aおよび底面7bの整流板の
開口面積率が小さく、整流装置出口10側は開口面積率
が大きくなるように、段階的に開口面積率を変えた整流
板を設置するのである。
【0023】紡出糸条6から搾出される随伴流の量は、
紡糸口金5の近くでは少なく、離脱点Xに近づくにつれ
て次第に増加する。したがって整流装置7から排出され
るべき凝固液の量もこれに応じて、整流装置入口9側で
は少なく、出口10側が多くなる。そこで紡出糸条6の
進行方向に、整流装置7の側面7aおよび底面7bの整
流板の開口面積率に分布をもたせることで、一旦、整流
装置7の外側に排出された凝固液が再び整流装置7内に
流入することを防ぐことができる。すなわち、整流装置
入口9側では排出凝固液量に合わせて側面7aおよび底
面7bの整流板の開口面積率を小さくして整流装置7外
側から内側への流入を阻止する一方で、整流装置出口1
0側では開口面積率を大きくして凝固液の排出が円滑に
行われるようにするのである。
【0024】上記の整流板における開口率分布は、紡糸
の運転条件あるいは凝固浴槽1内の流動状態に応じて調
整する必要があるが、適切に設定すれば、整流装置7の
側面7aおよび底面7bにおいて整流装置7の外側から
内側への凝固液の流入はきわめて少なくなり、凝固液の
乱れはほとんど問題ない状態に保つことができる。具体
的には、整流装置入口9側は側面7aおよび底面7bの
整流板の開口面積率が小さく、整流装置出口10側は開
口面積率が大きくなるように、段階的に開口面積率を変
えた整流板を設置する。開口面積率の値は通常、入口側
は0〜50%程度、出口側は40〜90%程度とする。
望ましくは、入口部で10〜40%、中間部で30〜7
0%、出口部で50〜80%程度とする。
【0025】以上に加えて、整流装置7における側面7
aおよび底面7bの整流板の角度を調整可能な構造を有
することで、整流板と糸条6との間隔が最適になるよう
に微調整でき、凝固液の整流状態をより望ましいものに
できる。また、紡糸口金5の個数や口径の異なる紡糸条
件にも単一の整流装置で対応することが可能となり、実
用面からも好ましい。たとえば、図4に示す整流装置7
の脚部8の長さを可変にすることで、整流装置7の底面
7bの位置や傾斜角度を自在に調整することができる。
または、複数に分割された整流装置の各部分毎に、高さ
と傾斜角度とが可変になる構造を持たせれば、さらにき
め細かく調整することができる。また図示はしないが、
整流装置7の底面を中央で2つに分割して一部が重なり
合う構造にし、重なり部分の幅を可変にすることで、整
流装置7の幅を糸条6に合わせて調整することができ
る。
【0026】さらに加えて、整流装置7を複数の部位に
分割可能な構造にすることで、すなわち、長さの短い単
位整流装置11をいくつか繋いで一つの整流装置7を構
成することで、利便性がさらに増す。図3、図4では、
整流装置7の側面7aおよび底面7bの整流板を、紡出
糸条6の進行方向に対して区切るように5つに分割した
例を示している。つまり、これら5つの小さい単位整流
装置11・・・を繋ぎ合わせて、一つの整流装置7を組
み立てるようになっている。本発明では整流装置7を既
存の凝固浴槽1に容易に設置あるいは除去できるが、前
記のように整流装置7を複数の部位(単位整流装置1
1)に分割可能にすることで、これがさらに容易にな
る。また、開口率分布を調節する際にも、図4のように
あらかじめ開口率の異なる単位整流装置11・・・をい
くつか作成しておき、整流装置7の一部のみを交換する
ことで容易に調整できる。
【0027】ところで、図5、図6に示すものは、整流
装置を採用していない従来の湿式紡糸装置の平面図およ
び側断面図である。この装置では、凝固液は、凝固液供
給部2から供給され、凝固浴槽出口3から溢出する。ま
た、紡糸原液供給管4より供給された紡糸原液は紡糸口
金5から凝固浴槽1内に吐出され、紡出糸条6は凝固浴
槽1内を進行し、点Xの位置で凝固液から離脱し、引き
取りローラー(図示せず)に導かれる。紡糸口金5の周
囲では、凝固液が紡出糸条6に吸引されて随伴流とな
り、紡出糸条6と共に流動し、離脱点Xに近づくにつれ
て紡出糸条6より搾出される。すでに述べたように、一
般に凝固浴槽1に供給される凝固液に比較して、随伴流
の方が流量、流速とも大きいため、凝固浴槽1の両側面
および底面付近では、紡出糸条6の進行方向とは逆に、
凝固浴液供給部2に向かって還流する。このとき、この
従来装置では、前記凝固浴液供給部2に向かって還流す
る逆流と、紡出糸条6と同じ方向に流れる随伴流とが、
何の隔てもなく接しているため、不規則な位置で循環
し、時には渦巻きが発生するなど、凝固液流の乱れを生
じるのである。これによって凝固浴槽1内で糸条6が揺
さぶられ、分繊不良や単糸切れなどの問題が発生しやす
くなる。また、紡糸口金5付近での凝固液乱れは繊維品
質の不均一化の原因となる。
【0028】また、図7、図8は、側面7aおよび底面
7bの整流板ともに随伴流を排出するための開口部を有
しない整流装置7を設置した湿式紡糸装置の平面図およ
び側断面図である。この装置は、本発明の湿式紡糸装置
における整流装置における側面7aおよび底面7bの整
流板の開口面積率をすべて0%にした場合に相当する。
このように糸条の進行する形に合わせて整流装置7を設
置すると、図のように整流装置7の流路断面積(垂直断
面積)は必然的に入口9から出口10に向かって次第に
縮小する形状になる。しかしながら、整流装置7の整流
板に開口部が設けられていないため、糸条6から搾出さ
れた随伴流は、整流装置7の途中で外部に排出されるこ
とはなく、次第に縮小する整流装置7内で行き場を失っ
て整流装置7の内側で逆流する。このように、凝固浴槽
1内に、開口部を設けていない整流装置7を設置した場
合には、単に、凝固浴槽がひとまわり小さくなったに過
ぎず、整流装置7の内側で凝固液乱れが発生してしま
い、凝固液の整流という意味では却って逆効果になって
しまう。この現象は、整流装置の入口9から出口10に
向かう流路断面積の縮小が急激であるほど、また、紡糸
速度が速く、あるいは、紡糸口金5の個数が多く、紡糸
口金5の口径が大きく、随伴流量が多くなるほど、顕著
である。
【0029】
【実施例】以下に具体的な実施例を挙げて本発明をさら
に詳しく説明するが、これらは本発明の範囲を何ら限定
するものではない。なお、実施例中の評価結果及び数値
は、以下の定義、および測定法により求めたものであ
る。
【0030】(1)凝固液の流動状態 凝固液中にトレーサー物質を散布し、凝固液の流れを観
察した。トレーサー物質としては、白色の樹脂粉末およ
び水溶性の染料液を使用した。 ×:凝固浴槽内の凝固液の流れは大きく乱れ、操業不可
能なレベル。 △:凝固浴槽内の凝固液の流れは乱れるが、短時間なら
ば操業が可能なレベル。 ○:凝固浴槽内の凝固液の流れは若干乱れるが、長時間
操業が可能なレベル。 ◎:凝固浴槽内の凝固液の流れは安定であり、安定的に
長時間操業が可能なレベル。
【0031】(2)凝固液の流動方向および流動速度
(m/分) 図1、図2に示す点A、点Bで測定した流動方向および
流動速度。紡出糸条の進行方向を正の値とし、逆流なら
負の値とする。 測定機器:タービンメータ流速計 ターボプルーブTP
−1型、流体工業製。 測定位置:整流装置入口と整流装置出口を結ぶ整流装
置の中心線上にある位置。紡糸口金から糸条の進行方
向に、凝固液中の糸条の有効長さの約1/3離れた位
置。点Aは凝固液面下2〜3センチ、点Bは整流装置
底面から2〜3センチのおよびの条件を満たす位
置。 凝固液の流動速度は、負の値の絶対値が大きいほど、す
なわち逆流が激しいほど、紡糸が不安定となる。
【0032】(3)糸条表面の状態 凝固浴から離脱した紡出糸条の上側および下側の表面に
手で触れて、糸条束の滑らかさを官能的に判定した。凝
固液に乱れが無く紡出糸条が安定して走行する場合に
は、各単糸が平行に並ぶので、糸条に触れたときの感触
は滑らかになるが、凝固液が乱れて紡出糸条が揺さぶら
れた場合には、各単糸が平行には並ばず、ざらついた感
触となる。したがって、糸条表面の触感が滑らかである
ほど、凝固液の流動状態が安定していると言える。 ×:糸条表面にもつれや断糸が見られ、後工程の運転を
阻害するレベル。 △:糸条表面の触感はざらつき、後工程の運転を阻害す
る要因となり得るレベル。 ○:糸条表面の触感は若干ざらつくが、後工程の運転を
阻害するには至らないレベル。 ◎:糸条表面の触感は滑らかで、安定して後工程を運転
できるレベル。
【0033】さらに、実施例の記載中で使用する略号お
よび単位を以下に示す。(なお、符号については図3,
4を参照。) (4)用語の略号および単位 S1 :整流装置7の入口9の断面積[m2 ]。 S2 :整流装置7の出口10の断面積[m2 ]。 L:整流装置7の入口9から出口10までの長さ
[m]。 n:整流装置7の分割数[個]。 Pn :整流装置7の入口9側からn番目の分割部分にお
ける側面7aおよび底面7bの開口面積率[%]。
【0034】(実施例1、比較例1)紡糸原液は、アク
リロニトリル49重量%、塩化ビニル50重量%、スチ
レンスルホン酸ナトリウム1重量%からなるアクリロニ
トリル系共重合体を、濃度が29.5重量%となるよう
にアセトンに溶解したものを用い、紡糸口金は口径12
0mm、孔径80μm、孔数30,000のもの4個を
用い、凝固浴槽は、入口面積0.300m2 、出口面積
0.150m2 、有効長さ2.00mのものに、アセト
ン濃度が35重量%のアセトン−水系凝固液を満たした
ものを用いて、紡糸速度を変化させて紡糸した。実施例
1は、表1の整流装置番号Aに示す整流装置を凝固浴槽
に設置した場合である。一方、比較例1は整流装置を設
置せず、すなわち従来の凝固浴槽のみで紡糸速度を変化
させた場合である。これらの場合の、凝固液の流動状
態、糸条の表面状態を表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】実施例1は、表1の整流装置番号Aに示
す、側面および底面の整流板の開口部を有する整流装置
を設置した湿式紡糸装置を用いて、紡糸速度を変化させ
て紡糸したものである。紡糸速度が比較的低い場合は、
表2に示すように、凝固液の流動状態は穏やかで安定し
ており、糸条の表面状態も良好であった。紡糸速度が増
すにつれて随伴流量も増大したが、紡糸速度が中程度の
場合も、凝固液の流動状態、糸条表面の状態とも良好で
あった。さらに紡糸速度を高くした場合も、表2の流動
速度A、Bに示すように逆流が若干激しくなったもの
の、依然として凝固液の流動状態、糸条表面の状態とも
良好であった。この場合の凝固液の流動状態は、図1、
2に示すように、整流装置7の内側では紡出糸条6の随
伴流が順方向(紡出糸条6の進行方向)に向かって流
れ、整流装置7の外側では凝固液が逆方向に還流すると
いうように、相反する2方向の流れは整流装置7の存在
によって分離された。紡出糸条6の随伴流は、糸条6の
進行につれて搾出され、搾出された凝固液は整流装置7
の側面7aおよび底面7bの整流板に設けられた開口部
から整流装置7外に排出され、排出された凝固液は整流
装置7の外側を還流して、凝固浴槽1の凝固液供給部2
で新鮮な凝固液と合流した後に、再び整流装置入口9か
ら流入した。凝固浴槽1内に、このような円滑で穏やか
な循環する流れが形成されたことによって、凝固液の乱
れはほとんど起こらず、安定した紡糸運転が可能であっ
た。
【0038】一方、比較例1は、整流装置を設置せず従
来の凝固浴槽のみで紡糸速度を変化させた場合である。
紡糸速度が比較的低ければ、表2に示すごとく、従来の
浴槽でも問題なく紡糸が可能であった。しかし、紡糸速
度が増すと、凝固液液流の乱れが生じ、糸条の表面状態
が悪化した。そして、それ以上紡糸速度を上げることは
不可能であった。このときの凝固液の流動状態は、図
5、6に示すように、糸条6と同じ方向に流れる随伴流
と、凝固浴槽1の底面1bや側面1a付近の逆流とが接
しているため、不規則な位置で循環し、時には渦巻きが
発生するなど、凝固液流の乱れを生じていた。また、紡
糸口金5周辺の乱れも激しいため、不良繊維の発生など
の問題が起こりやすく、糸条の安定性は低下した。さら
に、逆流する凝固液の量が増したために、糸条6近辺の
狭い領域に相反する方向の液流が存在することになり、
糸条が揺さぶられるので各単糸が平行に並ばず、凝固浴
槽から離脱した糸条6表面の感触もざらついたものにな
った。このような状態の糸条は、後工程で問題を生じや
すく、安定した連続生産を阻害する。
【0039】(実施例2)実施例1と同じ紡糸原液、同
じ紡糸口金、同じ凝固浴槽、同じ紡糸条件を用い、表1
の整流装置番号Bに示す構造の整流装置を設置して、紡
糸速度を変化させて湿式紡糸した。このとき、凝固浴槽
の凝固液の流動状態、糸条の表面状態は表2に示すよう
になった。実施例2は、整流装置7の側面7aおよび底
面7bの整流板に、紡出糸条6の進行方向に開口率分布
を有し、整流装置入口9側の開口率を小さく、出口10
側は大きくした場合である。
【0040】紡糸速度が低い場合は実施例1と比較して
ほとんど差はないが、紡糸速度が中程度になった場合
は、紡糸口金5周辺の凝固液の流動状態がさらに穏やか
になり、流動状態が改善された。さらに紡糸速度が高く
なった場合も、表2に示すように、逆流が緩和され、実
施例1と比較してより良好な流動状態が得られた。これ
は、開口率分布を適切に調整したことで、整流装置7の
側面7aおよび底面7bにおいて凝固液が整流装置7の
内側から外側に向かって一方向に排出され、外側から内
側への流入を阻止することができたからである。つま
り、紡出糸条6から搾出される随伴流の量は、紡糸口金
5の近くでは少なく、離脱点Xに近づくにつれて次第に
増加する。したがって整流装置7から排出される凝固液
の量もこれに応じて、整流装置入口9側では少なく、出
口10側では多くなる。そこで実施例2のように、整流
装置入口9側では排出凝固液量に合わせて側面7aおよ
び底面7bの整流板の開口面積率を小さくして、整流装
置7の外側から内側への流入を阻止し、整流装置出口1
0側では開口面積率を大きくして、凝固液の排出が円滑
に行われるようにすることで、凝固液の流動状態がさら
に改善され、生産性を向上させることができるのであ
る。
【0041】(比較例2)実施例1と同じ紡糸原液、同
じ紡糸口金、同じ凝固浴槽、同じ紡糸条件を用い、表1
の整流装置番号Cに示す構造の整流装置を設置して、紡
糸速度を変化させて湿式紡糸した。このとき、凝固浴槽
の凝固液の流動状態、糸条の表面状態は表2に示すよう
になった。比較例2は、側面7aおよび底面7bの整流
板に開口部を有しない整流装置7を凝固浴槽1内に設置
した場合(図7、8に示す構造)である。これはすなわ
ち、整流板の開口面積率を0%に設定したものに相当す
る。
【0042】紡糸速度が低い場合には、側面7aおよび
底面7bの整流板に開口部を有しない整流装置7を凝固
浴槽1内に設置した場合でも糸条6の随伴流の量も少な
く、糸条6から搾出された凝固液は糸条6と併走して整
流装置出口10から排出され、整流装置7の外側を逆流
して、本発明の整流装置と同様に、凝固浴槽1内に円滑
な循環流れを形成した。しかしながら、紡糸速度が中程
度まで増した場合は、図7、8に示すように、糸条6の
随伴流の量が増すために、整流装置出口10からのみで
は排出しきれず、過剰量の搾出凝固液は整流装置7の内
側で逆流し、糸条随伴流と搾出凝固液の逆流とが整流装
置7内部という、より狭い範囲内で併走するために、凝
固液の流動状態は表2に示すように、整流装置を設置し
ない比較例1の場合と比較してもさらに悪化しており、
また糸条表面の状態も比較例2と同程度に悪く、整流装
置が却って逆効果になった。
【0043】
【発明の効果】本発明の湿式紡糸の整流装置は、紡糸口
金から紡出される糸条を囲うように配置される整流板で
構成され、紡出糸条の進行する形状にそって凝固液供給
部側から凝固浴槽出口側に向かって次第に流路断面積が
小さくなるように形成するとともに、側面および底面の
整流板に開口部を形成してなり、この整流装置を既存の
凝固浴槽に設置することによって、凝固浴槽内における
凝固液の流れを制御し、紡出糸条の随伴流に起因する液
乱れを抑制することができる。したがって高速紡糸など
随伴流量が増大する条件下でも安定した紡糸が可能とな
り、生産性が向上する。また凝固浴槽自体は改造する必
要が無く、既存の凝固浴槽内に上記のような整流装置を
設置するだけで簡単に構成することができ、実用的にも
優れている。さらに、整流装置側面および底面の整流板
の開口部が紡出糸条の進行方向に向かって次第に大きく
なる開口率分布を有することによって、整流装置側面お
よび底面において凝固液が外側から内側に流入すること
を抑制でき、整流の効果はさらに高くなる。したがって
整流板の開口部に、逆流防止弁のような複雑かつ高価な
機構を用いなくても、単なる孔を設けるだけで良く、安
価に整流装置を実現できる。加えて、整流装置に整流板
の角度を調整できる機能を持たせることで、整流板と糸
条との間隔が最適になるように微調整でき、凝固液の整
流状態をより望ましいものにできる。また、紡糸口金の
個数や口径の異なる紡糸条件にも、単一の整流装置で対
応することが可能となり、実用面からも好ましい。さら
に、整流装置を複数の部位に分割可能な構造にすること
で、凝固浴槽への設置がさらに容易になり、整流板の開
口率分布を調節する際にも容易に調整できるなど、利便
性が増す効果もあり、非常に有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る整流装置を設置した湿式紡糸装
置の一実施例を示す模式的平面図である。
【図2】 前記湿式紡糸装置の模式的側断面図である。
【図3】 前記整流装置の模式的平面図である。
【図4】 前記湿式紡糸装置の凝固浴槽と整流装置を分
離した状態の模式的側断面図である。
【図5】 整流装置を採用しない従来の湿式紡糸装置の
模式的平面図である。
【図6】 前記従来の湿式紡糸装置の模式的側断面図で
ある。
【図7】 開口部を有しない整流装置を設置した湿式紡
糸装置の模式的平面図である。
【図8】 前記開口部を有しない整流装置を設置した湿
式紡糸装置の模式的側断面図である。
【符号の説明】
1:凝固浴槽、 2:凝固液供給部、 3:凝固浴槽出口、 4:紡糸原液供給管、 5:紡糸口金、 6:紡出糸条、 7:整流装置、 8:整流装置の脚部、 9:整流装置入口、 10:整流装置出口、 11:単位整流装置、 P1 〜P5 :整流装置における各部分の側面および底面
の開口面積率、 X:紡出糸条が凝固液から離脱する位置、 白抜きの矢印:紡出糸条の進行方向、 黒塗りの矢印:凝固液の流動方向。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿式紡糸装置の凝固浴槽内に設置される
    紡糸口金から紡出される糸条を囲うように配置される整
    流板で構成され、紡出糸条の進行する形状にそって次第
    に流路断面積が小さくなるように形成するとともに、側
    面および底面の整流板に開口部を有することを特徴とす
    る湿式紡糸の整流装置。
  2. 【請求項2】 前記整流板が、紡出糸条の進行方向に向
    かって次第に大きくなる開口率分布を有する請求項1記
    載の整流装置。
  3. 【請求項3】 前記整流板の開口率分布が、入口側で0
    〜50%、出口側で40〜90%である請求項2記載の
    整流装置。
  4. 【請求項4】 前記整流板の角度を調節可能な構造を有
    する請求項1〜3のいずれかに記載の整流装置。
  5. 【請求項5】 複数の部位に分割可能な構造を有する請
    求項1〜4のいずれかに記載の整流装置。
  6. 【請求項6】 凝固浴槽の一端側に凝固液供給部を、他
    端側に凝固浴槽出口を設け、前記凝固浴槽内の凝固液供
    給部側に単一または複数の紡糸口金を設置するととも
    に、前記凝固浴槽内に、前記請求項1〜5のいずれかに
    記載の整流装置を設置してなることを特徴とする湿式紡
    糸装置。
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