JPH11229186A - 抗菌・耐蝕性軽合金およびその製造方法 - Google Patents

抗菌・耐蝕性軽合金およびその製造方法

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JPH11229186A
JPH11229186A JP10037745A JP3774598A JPH11229186A JP H11229186 A JPH11229186 A JP H11229186A JP 10037745 A JP10037745 A JP 10037745A JP 3774598 A JP3774598 A JP 3774598A JP H11229186 A JPH11229186 A JP H11229186A
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JP
Japan
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light alloy
antibacterial
corrosion
silver
layer
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Application number
JP10037745A
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English (en)
Inventor
Yasuyuki Kurino
恭行 栗野
Keijiro Shigeru
啓二郎 茂
Yoshitomo Inoue
善智 井上
Takako Yazawa
孝子 矢澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的強度への影響もなく、耐蝕性、耐候
性が付与されて長期間にわたって抗菌効果が持続し、か
つ軽合金の意匠性が低下する虞れがない抗菌・耐蝕性軽
合金およびその製造方法を提供できるようにすることを
課題とする。 【解決手段】 軽合金の表面に、無機系抗菌性成分を
拡散させた拡散層と、この拡散層の少なくとも表層部を
陽極酸化処理した陽極酸化皮膜層とを備えた抗菌・耐蝕
性軽合金、および、無機系抗菌性成分を加圧力により軽
合金の表面から内部へ拡散させて無機系抗菌性成分拡散
層を形成し、この無機系抗菌性成分拡散層の少なくとも
表層部を陽極酸化処理して陽極酸化皮膜層を形成させる
抗菌・耐蝕性軽合金の製造方法を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長期間にわたって
抗菌効果が持続するとともに耐蝕性を有し、機械的強度
への影響がなく、かつ軽合金の意匠性の低下がない抗菌
・耐蝕性軽合金およびその製造方法に関する。なお、本
発明において抗菌性とは防黴性、防藻性をも意味するも
のとし、また、耐蝕性とは耐候性をも含むものとする。
【0002】
【従来の技術】近年、衛生・清潔指向が高まり、また、
腸管出血性大腸菌O−157やMRSAといった細菌に
よる弊害が目立つことにより、あらゆる材料に抗菌性を
付与することが求められており、アルミニウム合金また
はチタニウム合金等の軽合金も例外ではなくなった。
【0003】これらの軽合金に抗菌性を付与する抗菌処
理方法としては、特願平8−325663号明細書に
は、 軽合金の表面に無機系抗菌性成分の微粒子分散液ま
たは溶液を塗布し、加熱処理することにより、無機系抗
菌成分を軽合金表面層内部に拡散せしめ、その後陽極酸
化する方法、 軽合金表面に陽極酸化皮膜層を形成し、該陽極酸化
皮膜に無機系抗菌性成分を吸着させる方法、が開示され
ている。
【0004】また、特願平9−313429号明細書に
は、 金属物品、例えばアルミニウム板に無機系抗菌性成
分を非加熱下にて、圧延ロールを用いて加圧拡散させる
方法が記載されている。
【0005】〔問題点〕このような従来の技術のうち、
上記の加熱処理により抗菌剤を軽合金表面層内部に拡
散させる方法では、無機系抗菌性成分を効率良く拡散さ
せるため、高い加熱処理温度で処理すると焼きなまし現
象が惹き起こされて軽合金が軟化し、機械的強度が低下
し、一方焼きなまし現象が惹き起こされないように加熱
処理温度を下げると、無機系抗菌性成分の軽合金表面層
内部への拡散が充分でなく、軽合金表面に残存した無機
系抗菌性成分がその後の陽極酸化処理時に欠落し、充分
な抗菌効果が得られないという問題点があった。
【0006】また、上記の陽極酸化皮膜に無機系抗菌
性成分を吸着させる方法では、無機系抗菌性成分が脱落
しやすく抗菌効果の持続性に問題があり、抗菌効果の持
続性を向上させるべく無機系抗菌性成分の吸着量を増加
すると着色し、軽合金製品の意匠性が著しく低下すると
いう問題点があった。
【0007】さらに、上記の加圧拡散させる方法で
は、素材表面に無機系抗菌性成分が加圧拡散している
が、陽極酸化処理や封孔処理がなされていないため、充
分な耐蝕性を維持することができず、長期に亘って抗菌
効果を維持することができないという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における前記問題点に鑑みてなされたものであり、この
問題点を解消するため具体的に設定された課題は、機械
的強度への影響もなく、耐蝕性が付与されて長期間にわ
たって抗菌効果が持続し、かつ軽合金の意匠性が低下す
る虞れがない抗菌・耐蝕性軽合金およびその製造方法を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明における請求項1
に係る抗菌・耐蝕性軽合金は、軽合金の表面に、無機系
抗菌性成分を拡散させた拡散層と、この拡散層の少なく
とも表層部を陽極酸化処理した陽極酸化皮膜層とを備え
たことを特徴とするものである。
【0010】また、請求項2に係る抗菌・耐蝕性軽合金
の製造方法は、無機系抗菌性成分を加圧力により軽合金
の表面から内部へ拡散させて無機系抗菌性成分拡散層を
形成し、この無機系抗菌性成分拡散層の少なくとも表層
部を陽極酸化処理して陽極酸化皮膜層を形成させること
を特徴とするものである。
【0011】また、請求項3に係る抗菌・耐蝕性軽合金
の製造方法は、前記無機系抗菌性成分拡散層の形成方法
が、軽合金の表面に無機系抗菌性成分の微粒子分散液ま
たは溶液を塗布して加圧することを特徴とする。
【0012】また、請求項4に係る抗菌・耐蝕性軽合金
の製造方法は、前記無機系抗菌性成分拡散層の形成方法
が、軽合金成形装置のロール、プレス型などの成形部材
表面に無機系抗菌性成分の微粒子分散液または溶液を塗
布して加圧することを特徴とする。
【0013】また、請求項5に係る抗菌・耐蝕性軽合金
の製造方法は、引き続き封孔処理を施すことを特徴とす
る。
【0014】また、請求項6に係る抗菌・耐蝕性軽合金
の製造方法は、無機系抗菌性成分が銀微粒子であること
を特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。ただし、この実施の形態は、本発明の趣
旨をより良く理解させるため具体的に説明するもので、
特に指定のない限り、発明内容を限定するものではな
い。
【0016】〔抗菌・耐蝕性軽合金〕この実施の形態に
係る抗菌・耐蝕性軽合金は、軽合金の全表面に形成させ
た陽極酸化皮膜層、またはこの陽極酸化皮膜層とこの皮
膜層下の表面層の中には無機系抗菌性成分が多量に存在
し、しかも微粒子状で分散・担持され、深部層には無機
系抗菌性成分がほとんど存在しておらず、かつ、陽極酸
化皮膜層表面にはバインダー成分や無機系抗菌性成分の
融着膜が実質的に存在していない。
【0017】そして、抗菌性を発揮するのは、陽極酸化
皮膜層表面に露出している無機系抗菌性成分によるもの
である。したがって、軽合金の表面が少々磨耗するよう
な場合でも、新たな無機系抗菌性成分が露出するので、
抗菌性が短時間に消失することはなく、また、軽合金の
表面が別材料によりコーティングされるわけではないか
ら、表面色調を著しく変えることがほとんどなく、さら
に、表面が陽極酸化処理されているから十分な耐蝕性を
有している。
【0018】〔抗菌・耐蝕性軽合金の製造方法〕また、
抗菌・耐蝕性軽合金の製造方法は、加圧力により無機系
抗菌性成分を軽合金の表面から内部へ拡散させて拡散層
を形成し、この拡散層の少なくとも表層部を陽極酸化処
理するものである。
【0019】ここに、拡散層の形成方法としては、例え
ば、 軽合金表面に無機系抗菌性成分の微粒子分散液また
は溶液(以下、抗菌性塗布液という)を塗布して加圧す
る、 軽合金成形装置の金型、ロールまたはプレス型など
の成形部材表面に抗菌性塗布液を塗布して加圧する、等
を挙げることができる。
【0020】そして、軽合金としては、アルミニウム合
金、マグネシウム合金、またはチタニウム合金を挙げる
ことができる。なお、本発明においてアルミニウム合金
とはアルミニウムを、マグネシウム合金とはマグネシウ
ムを、チタニウム合金とはチタニウムを含むものとす
る。
【0021】使用し得る無機系抗菌性成分としては、耐
熱性に富み、かつオリゴジナミー効果を有するものであ
って、加圧後に残存する成分を含まないものを使用す
る。好適な無機系抗菌性成分としては、軽合金の表層部
内部への拡散しやすさ、安全性、表面性質(例えば色
調)への影響がない等の点から、銀、銅、銀−銅合金、
リン酸銀、塩化銀、硫化銀、酸化銀、硫酸銀、クエン酸
銀や乳酸銀等の有機銀化合物、銀担持無機化合物、リン
酸第一銅、リン酸第二銅、塩化第一銅、塩化第二銅、硫
化第一銅、硫化第二銅、酸化第一銅、酸化第二銅、硫酸
第一銅、硫酸第二銅、クエン酸銅や乳酸銅等の有機銅化
合物、銅担持無機化合物のうちいずれか1種または2種
以上であることが好ましく、特に軽合金表面層内部への
拡散性に優れる銀が好ましい。
【0022】抗菌性塗布液には、セロソルブ、アルコー
ル等の有機溶剤や、界面活性剤等を添加して軽合金への
濡れ性を良くするのが好適である。また、抗菌性塗布液
中の無機系抗菌性成分の平均粒径は 100nm以下が好適
である。無機系抗菌性成分の平均粒径が 100nm超とな
ると分散性が劣化したり、加圧力により無機系抗菌性成
分が軽合金表層内部に拡散しにくくなり、抗菌層が摩耗
して長期にわたる抗菌効果の維持が困難となる。
【0023】抗菌性塗布液中の無機系抗菌性成分濃度は
0.0001 〜10重量%が好適であり、これより薄くすると
充分な抗菌性が得られず、これより濃くすると軽合金表
面に無機系抗菌性成分の膜が形成されたり、汚れが残る
場合が多くなる。抗菌性塗布液を軽合金、または成形部
材表面に塗布する方法としては、浸漬、スプレー塗布、
刷毛塗り等があり、特に制約はない。なお、軽合金は、
抗菌性塗布液を塗布する前に、抗菌性付与面を充分に洗
浄して汚れを取り除いておくものとする。
【0024】無機系抗菌性成分の塗布量も特に制約はな
いが、例えば銀を含有する抗菌性塗布液の場合、銀固形
分換算で 0.0001 〜 1g/m2 程度が好適であり、これ
より少ない場合には抗菌性が充分でなく、これより多く
しても抗菌性の向上は望めない。
【0025】無機系抗菌性成分を加圧力により軽合金の
表面から内部へ拡散させる方法は、特に制限されず、例
えばロールを用いた圧延装置やCIP装置等を用いて拡
散させることができ、また、ダイやパンチを用いる絞り
加工装置、しごき加工装置、曲げ加工装置等を用いて軽
合金の加工成形と同時に拡散させる方法も採用すること
ができる。加圧時の雰囲気も、特に制限されるものでな
く、通常、大気中で行う。
【0026】加圧力は特に制限されず、加圧時間も特に
制限されず短時間(瞬時)で良い。適切な加圧力、加圧
時間は、拡散させる深さ、用いる無機系抗菌性成分の種
類、粒径、濃度及び抗菌性を付与する軽合金の種類等の
条件を考慮して調整するのが好適である。加圧時に特段
加熱する必要もないが、焼きなまし作用が惹き起こされ
ない温度で行う必要がある。
【0027】このようにして、加圧力が負荷されること
により、無機系抗菌性成分が軽合金表面から内部へ拡散
する。加圧処理後に軽合金表面に未拡散分が残留するこ
とがあるが、これは酸洗浄や研磨により容易に取り除く
ことができる。
【0028】陽極酸化処理については、公知の方法を適
用することができる。即ち、アルミニウム合金の陽極酸
化処理の場合は、例えば、硫酸、リン酸、クロム酸等の
無機酸、またはシュウ酸、スルホサリチル酸、マロン酸
等の有機酸、若しくは水酸化ナトリウム、リン酸三ナト
リウム等のアルカリ性水溶液中で、直流、交流、パル
ス、または交直重畳法により電解する方法を採用するこ
とができる。
【0029】チタニウム合金の陽極酸化処理の場合は、
例えば、硫酸、リン酸、ホウ酸、酢酸、あるいはこれら
の塩の水溶液中で、直流、交流、パルス、または交直重
畳法により電解する方法を採用することができる。ま
た、マグネシウム合金の陽極酸化処理の場合は、MIL
−M−45202A、MIL−M−3171A等に記載
の方法を採用することができる。
【0030】そして、このような陽極酸化処理により形
成された酸化皮膜は安定化しており、耐蝕性が軽合金に
付与され、長期間にわたって抗菌効果が持続する。その
理由は必ずしも明らかでないが、次のように考えられ
る。
【0031】銀を拡散させた軽合金に陽極酸化処理を施
さないと、軽合金が電食(ガルバニック腐食)される。
即ち、電極電位の低い軽合金(アルミニウムのとき−
0.85V)と電極電位の高い銀(−0.08V)が接触してい
るところに、電解質の溶液(汗、海水等)が存在する
と、軽合金と銀との間に電位差が生じ、電極電位の低い
(卑な金属である)軽合金が陽極、銀が陰極となり、軽
合金が電食される。
【0032】また、アルミニウム合金の場合には、上記
陽極酸化処理に続けて、電解着色法や染色法により陽極
酸化皮膜を着色することもできる。即ち、封孔処理前の
陽極酸化皮膜は多孔質であり非常に大きな表面積を有す
るため、この孔に金属を電析させること、あるいは、こ
の強い吸着性を利用して染料を吸着させることにより着
色するものである。
【0033】次に、必要に応じて封孔処理を施す。封孔
処理についても、公知の方法を適用することができる。
即ち、チタン合金、マグネシウム合金の場合は通常行わ
ないが、アルミニウム合金の場合は、沸騰水、酢酸コバ
ルトやフッ化ニッケル等の金属塩の水溶液中に浸漬した
り、または加圧水蒸気下に暴露することにより行うこと
ができる。なお、このような特別な封孔処理を施さなく
とも、空気に含まれる水蒸気により自然に封孔を行わせ
ることも可能である。
【0034】そして、このような封孔処理により、軽合
金の耐蝕性が更に向上し、長期間にわたって抗菌効果が
持続するので好ましく、また、露出している無機系抗菌
性成分が被覆されて閉塞されるわけではないので、封孔
処理により抗菌性が著しく低下することはない。
【0035】
【実施例】〔抗菌性塗布液の作製〕0.2 重量%の硝酸銀
水溶液を蒸発皿にとり、液面にバーナー炎をあて、銀の
微粒子を得た。これを水に分散して、0.1 重量%の銀微
粒子を含む分散液を得た。銀微粒子の平均粒子径は 20
nmであった。
【0036】〔実施例1〕溶剤で脱脂処理したアルミニ
ウム合金5052の板材に、上記抗菌性塗布液を銀換算
で 0.1g/m2 塗布し、乾燥し、加圧力 10 kg/mm
2 を圧延ロールで加えることにより、銀を表層部内部へ
拡散させるとともに圧延を行った。圧延時の温度は 25
℃であった。
【0037】次に、濃度 180g/リットルの硫酸溶液
中、 25 ℃で、この板材を陽極として、 1.5A/dm2
の電流密度で 15 分間電解処理を行い、厚さ 5μmの陽
極酸化皮膜を形成した。その後、酢酸ニッケルを 5g/
リットルの濃度となるよう溶解した水溶液中に5分間浸
漬することにより封孔処理を施した。封孔処理後の板材
の表面色調には何ら変化は認められなかった。
【0038】また、陽極酸化皮膜形成前のアルミニウム
合金5052の板材の一部を用い、この板材の表面層部
における銀の拡散状況をグロー放電質量分析法(以下、
GDMS法と略記)により分析したところ、表面で約 6
00ppmの銀原子の存在が確認され、深さ 11 μmまで
銀原子の存在が確認された。また、封孔処理後の板材の
引張強度をJIS−2−2241「金属材料引張試験方
法」に準じて測定したところ、 200N/mm2 であっ
た。
【0039】〔実施例2〕酸洗した工業用純チタンの板
材に、上記抗菌性塗布液を銀換算で 0.1g/m2塗布
し、乾燥し、加圧力 10 kg/mm2 を圧延ロールで加
えることにより、銀を表層部内部へ拡散させるとともに
圧延を行った。圧延時の温度は 25 ℃であった。
【0040】次に、リン酸−硫酸混合液(リン酸濃度;
25 g/リットル、硫酸濃度; 35g/リットル)中、2
5℃で、この板材を陽極として、15V/分の昇圧温度で
250Vまで昇圧し、その後 30 分間定電圧電解して、厚
み 6μmの陽極酸化皮膜を形成した。その後特別な封孔
処理は行わず、大気中に放置した。封孔処理前の板材の
表面色調には何ら変化が認められなかった。
【0041】また、陽極酸化皮膜形成前のチタン板材の
一部を用い、この板材の表層部における銀の拡散状況を
GDMS法により分析したところ、表面で約 450ppm
の銀原子の存在が確認され、深さ 8μmまで銀原子の存
在が確認された。
【0042】〔実施例3〕圧延ロールに上記抗菌性塗布
液を銀換算で 0.8g/m2 塗布し、乾燥した。溶剤で脱
脂処理したアルミニウム合金5052の板材に加圧力 1
0 kg/mm2 を前記圧延ロールで加えることにより、
銀を表層部内部へ拡散させると共に圧延を行った。圧延
時の温度は 25 ℃であった。
【0043】次に、実施例1に準じて、陽極酸化皮膜の
形成と封孔処理を施した。封孔処理後の板材の表面色調
には何ら変化は認められなかった。また、陽極酸化皮膜
形成前のアルミニウム合金5052板材の一部を用い、
この板材の表層部における銀の拡散状況をGDMS法に
より分析したところ、表面で約 300ppmの銀原子の存
在が確認され、深さ 7μmまで銀原子の存在が確認され
た。
【0044】〔実施例4〕圧延ロールに上記抗菌性塗布
液を銀換算で 0.8g/m2 塗布し、乾燥した。酸洗した
工業用純チタンの板材に加圧力 10 kg/mm2 を前記
圧延ロールで加えることにより、銀を表層部内部へ拡散
させると共に圧延を行った。圧延時の温度は 25 ℃であ
った。
【0045】次に、実施例2に準じて、陽極酸化皮膜の
形成と封孔処理を施した。封孔処理後の板材の表面色調
には何ら変化は認められなかった。また、陽極酸化皮膜
形成前のチタンの板材の一部を用い、この板材の表層部
における銀の拡散状況をGDMS法により分析したとこ
ろ、表面で約 250ppmの銀原子の存在が確認され、深
さ 5μmまで銀原子の存在が確認された。
【0046】〔実施例5〕溶剤で脱脂処理したアルミニ
ウム合金5052の板材に、上記抗菌性塗布液を銀換算
で 0.1g/m2 塗布し、乾燥し常法に従い底突きダイに
て曲げ加工を行うと共に銀を表層部内部へ拡散させた。
曲げ加工時の温度は 25 ℃であった。次に、実施例1に
準じて、陽極酸化皮膜の形成と封孔処理を施した。封孔
処理後の板材の表面色調には何ら変化は認められなかっ
た。
【0047】また、陽極酸化皮膜形成前のアルミニウム
合金5052板材の一部を用い、この板材の表層部にお
ける銀の拡散状況をGDMS法により分析したところ、
表面で約 500ppmの銀原子の存在が確認され、深さ 9
μmまで銀原子の存在が確認された。
【0048】〔比較例1〕溶剤で脱脂処理したアルミニ
ウム合金5052の板材に、上記抗菌性塗布液を銀換算
で 0.1g/m2 塗布し、乾燥し、大気中、450 ℃で 30
分間加熱処理することにより、銀をアルミニウム合金表
面内部に拡散させた。次に、実施例1に準じて陽極酸化
皮膜の形成と封孔処理を施した。封孔処理後の板材の曲
げ強度を実施例1に準じて測定した。その結果は 110N
/mm2 であった。
【0049】〔比較例2〕溶剤で脱脂処理したアルミニ
ウム合金5052の板材を、実施例1に準じて陽極酸化
皮膜を形成した。次に、この板材に上記抗菌性塗布液を
銀換算で 0.1g/m2 塗布し、陽極酸化皮膜中に銀を吸
着させた。その後、実施例1に準じて封孔処理を施し
た。
【0050】〔比較例3〕溶剤で脱脂処理したアルミニ
ウム合金5052の板材に、上記抗菌性塗布液を銀換算
で 0.1g/m2 塗布し、乾燥し、加圧力 10 kg/mm
2 を圧延ロールで加えることにより銀を表層部内部へ拡
散させると共に圧延を行った。圧延時の温度は 25 ℃で
あった。
【0051】〔抗菌性、耐蝕性の評価〕実施例1〜5、
比較例1〜3により選られた抗菌処理品をウェザーサン
シャインメータ中に 300時間放置した。放置後の抗菌処
理品の抗菌性を銀等無機抗菌材研究会制定のフィルム密
着法に準拠して実施し、評価した。また、表面の腐食状
況を目視観察した。その結果を表1に示す。
【0052】なお、フィルム密着法の試験方法の概要は
以下の通りである。「25cm2 の平板状試験体に 1/500
希釈した普通ブイヨンを含み、菌濃度約 105cfu/m
lに調整した菌液 0.5mlを接種し、更にその菌液の上
に試験体と同一形状のポリエチレン製フィルムを乗せ
る。そして、これを 35 ℃で 24 時間培養した後、生存
菌数を寒天平板法で測定する。」
【0053】
【表1】抗菌性評価試験結果
【0054】
【発明の効果】以上のように本発明では、請求項1に係
る抗菌・耐蝕性軽合金は、無機系抗菌性成分を拡散させ
た拡散層と、この拡散層の少なくとも表層部を陽極酸化
処理した陽極酸化皮膜層とを表面に備えたことにより、
機械的強度への悪影響がなく、耐蝕性、耐候性が付与さ
れるとともに、長期間にわたって抗菌効果が持続し、か
つ意匠性を低下させずに済む軽合金を実現することがで
きる。
【0055】また、請求項2に係る抗菌・耐蝕性軽合金
の製造方法では、無機系抗菌性成分を加圧力により軽合
金の表面から内部へ拡散させて無機系抗菌性成分拡散層
を形成し、この無機系抗菌性成分拡散層の少なくとも表
層部を陽極酸化処理して陽極酸化皮膜層を形成させるこ
とにより、素材の機械的強度を変化させることなく抗菌
性および耐蝕性を付与できて、耐蝕性が向上するととも
に長期間にわたり抗菌効果を持続させることができ、さ
らに表面の色調変化をさせず意匠性を低下させることが
ない軽合金を容易に製造することができる。
【0056】また、請求項3に係る抗菌・耐蝕性軽合金
の製造方法では、無機系抗菌性成分拡散層の形成方法
が、軽合金の表面に無機系抗菌性成分の微粒子分散液ま
たは溶液を塗布して加圧する方法であるから、特別な装
置を新たに用意する必要がないため低コストで容易に抗
菌性を付与することができる。
【0057】また、請求項4に係る抗菌・耐蝕性軽合金
の製造方法では、無機系抗菌性成分拡散層の形成方法
が、軽合金成形装置のロール、プレス型などの成形部材
表面に無機系抗菌性成分の微粒子分散液または溶液を塗
布して加圧する方法であるから、成形と同時に抗菌性が
付与できる。
【0058】また、請求項5に係る抗菌・耐蝕性軽合金
の製造方法では、引き続き封孔処理を施すことにより、
軽合金の表面を安定させ、より一層の耐蝕性、耐候性を
付与することができ、長期に亘り抗菌効果を維持させる
ことができる。
【0059】また、請求項6に係る抗菌・耐蝕性軽合金
の製造方法では、無機系抗菌性成分が銀微粒子であるこ
とにより、軽合金表面層内部への拡散性に優れ、無機系
抗菌性成分を深部まで拡散させることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C25D 11/26 302 C25D 11/26 302 // A61L 2/16 A61L 2/16 Z C22C 14/00 C22C 14/00 Z 21/00 21/00 Z 23/00 23/00 (72)発明者 矢澤 孝子 千葉県船橋市豊富町585番地 住友大阪セ メント株式会社新材料事業部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軽合金の表面に、無機系抗菌性成分を拡散
    させた拡散層と、この拡散層の少なくとも表層部を陽極
    酸化処理した陽極酸化皮膜層とを備えたことを特徴とす
    る抗菌・耐蝕性軽合金。
  2. 【請求項2】無機系抗菌性成分を加圧力により表面から
    内部へ拡散させて無機系抗菌性成分拡散層を形成し、こ
    の無機系抗菌性成分拡散層の少なくとも表層部を陽極酸
    化処理して陽極酸化皮膜層を形成させることを特徴とす
    る抗菌・耐蝕性軽合金の製造方法。
  3. 【請求項3】前記無機系抗菌性成分拡散層の形成方法
    が、軽合金の表面に無機系抗菌性成分の微粒子分散液ま
    たは溶液を塗布して加圧することを特徴とする請求項2
    記載の抗菌・耐蝕性軽合金の製造方法。
  4. 【請求項4】前記無機系抗菌性成分拡散層の形成方法
    が、軽合金成形装置のロール、プレス型などの成形部材
    表面に無機系抗菌性成分の微粒子分散液または溶液を塗
    布して加圧することを特徴とする請求項2記載の抗菌・
    耐蝕性軽合金の製造方法。
  5. 【請求項5】引き続き封孔処理を施すことを特徴とする
    請求項2記載の抗菌・耐蝕性軽合金の製造方法。
  6. 【請求項6】前記無機系抗菌性成分が銀微粒子であるこ
    とを特徴とする請求項2記載の抗菌・耐蝕性軽合金の製
    造方法。
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