JPH1122902A - 流動層燃焼ボイラ用機器の構成材料の摩耗量予測方法 - Google Patents

流動層燃焼ボイラ用機器の構成材料の摩耗量予測方法

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JPH1122902A
JPH1122902A JP17990397A JP17990397A JPH1122902A JP H1122902 A JPH1122902 A JP H1122902A JP 17990397 A JP17990397 A JP 17990397A JP 17990397 A JP17990397 A JP 17990397A JP H1122902 A JPH1122902 A JP H1122902A
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wear
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sio
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JP17990397A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Ishiguro
淑亮 石黒
Yuji Fukuda
祐治 福田
Takaharu Kurumachi
隆治 車地
Ikuhisa Hamada
幾久 浜田
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Mitsubishi Power Ltd
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Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流動層燃焼ボイラにおいて、火炉からのフラ
イアッシュによる摩耗損傷を受ける部位の摩耗量を予測
する方法を提供すること。 【解決手段】 流動層火炉内へ投入する石灰石量と燃料
の石炭中の硫黄(S)量との比Ca/Sを算出し、Ca
/S値及び石炭を灰化物処理して得られる灰化物中のC
a化合物(CaO、CaCO3、CaSO4)量からフラ
イアッシュに含まれるCa化合物量を予測し、石炭を灰
化物処理して得られる灰化物中のSiO2量及びAl2
3量から、フライアッシュ中のSiO2量及びAl23
を予測し、これらのフライアッシュ組成を予め組成の明
らかなフライアッシュを用いて実験的に求められたフラ
イアッシュ組成と摩耗との関係式に適用して摩耗量を予
測する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流動層燃焼ボイラ
特に、加圧流動層燃焼ボイラにおける構成材料の摩耗予
測方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】加圧流動層燃焼ボイラ(以下、PFBC
と表記する)は、圧力容器内に格納された流動層燃焼ボ
イラにおいて、石炭に脱硫剤として石灰石(生石灰も含
まれる)を混合したものを燃焼させ、ボイラで発生させ
た蒸気で蒸気タービン発電を行うとともにその高温高圧
の排ガスでガスタービン発電を行う複合サイクル発電プ
ラントである。
【0003】図2はPFBC発電プラントの一部を模式
的に表した図である。図示するように圧力容器1に格納
された火炉2内の蒸気発生器(流動層燃焼ボイラ)3内
には流動媒体粒子と石炭と石灰石(脱硫剤)からなる流
動層4が形成されている。流動層4内には蒸気発生用の
層内伝熱管5が設けられていて、発生した蒸気は図示し
ない蒸気タービンで使用される。
【0004】また、流動層4にはバンカ7から燃料(石
炭)が供給され、また、脱硫剤8も供給される。火炉2
で発生した燃焼排ガスは、高温燃焼ガス配管9を通って
サイクロン10を経由してガスタービン11へ供給さ
れ、ガスタービン11は発電機(図示せず)を駆動す
る。また、流動層4からの流動媒体はBM抜出経路12
から抜き出される。
【0005】ところが、上記ガスタービン発電系におい
ては、ボイラ3からガスタービン11へ導かれる高温高
圧の排ガス中に石炭灰、石灰石並びに脱硫反応で生成し
た石膏が含まれることから、これらが排ガス配管系機器
並びにガスタービン11に摩耗損傷を与えるという問題
がある(以後、上記のボイラ3から飛散する石炭灰、石
灰石及び石膏からなる粒状物を単にフライアッシュと称
する)。
【0006】フライアッシュによる摩耗の対象となる部
位は、火炉3から各機器へつながる高温燃焼ガス配管9
の内面、サイクロン10、ガスタービン11のブレード
等である。摩耗に影響する因子としては、ガス流速、灰
組成、灰の粒径分布、ガス温度、衝突角度、被摩耗材の
硬さ等が考えられる。ここで、粒子の衝突によって生じ
る摩耗現象は、エロージョンと呼ばれるが、以下の説明
では便宜上、摩耗と言う。
【0007】従来、これらの機器構成材料の摩耗対策と
しては、耐摩耗性に優れた高級材料の使用、耐摩耗性被
覆の施工、摩耗分を考慮して余肉を持たせた設計、摩耗
による交換を前提とした取り替え易い構造の採用などが
行われている。他に摩耗を生じにくいようにガス流速を
低下させる運用も考えられるが、配管径が大きくなっ
て、そこからの熱損失が増大するため、ガスタービン1
1の効率が低下して好ましくない。
【0008】機器の摩耗分を余肉とし、余肉部分が摩耗
すると機器の交換をすることを前提とした運用を行う場
合には、摩耗量の監視を行い、摩耗量が許容限度に達し
たときに交換することになるが、プラントが連続的に運
転されている状態でこれらの機器の摩耗量を監視するこ
とは容易でなく、定期点検等の際に機器の肉厚測定や内
面検査などを実施するのが一般的である。
【0009】上述のような機器の摩耗を考慮した材料選
定や設計を行い、適切な部品交換・補修等を実施する上
では、投入する石炭の種類(組成)や石灰石の量などが
変動することを見込んで、石灰石の量、性状、石炭の組
成などの入力に対してフライアッシュによって損傷を受
けるプラント構成材料やその被覆物が予めどの程度の速
度で摩耗するかを予測することが重要となる。
【0010】この種の分野における従来技術として文
献”Fireside Corrosion and Fly AshErosion in Boile
rs, EPRI (Electric Power Research Institute), CS-5
071,(Feb. 1987)”では下記に述べるような微粉炭焚ボ
イラを対象とした摩耗予測方法がいくつか紹介されてい
る。
【0011】その一つは、石炭の摩耗性を表す指標("er
osive index")を使うというもので、指標Iを I=(フライアッシュによる摩耗)/(同重量の100
μm径石英粒子による摩耗) として400℃における軟鋼の摩耗速度が以下の式で表
せるものとしている。 We=9.5×10-10×I×Wm×U2.5 ここで We:金属の摩耗量(kg) Wm:衝突粒子の量(kg) U :粒子の速度(m/s)
【0012】上記文献はフライアッシュの摩耗性を表す
指標Iaが石炭灰中に含まれる高硬度の石英の量Qes
tと関連づけられ、石英量0%の場合をIa=1.0、
石英量40%の場合をIa=2.6として、両者の間に
直線関係が成り立つという例を紹介しており、これを式
で表すと次のようになる。 Ia=1.0+0.04×Qest(%) (0≦Qe
st(%)≦40)
【0013】もう一つ別の方法として、石炭の摩耗性因
子CEF(Coal Erosiveness Factor)に基づいた下記
の摩耗予測式も提案されている。 CEF=8.25/HVV×(灰量(%))×ai(摩
耗性粒子(%)) ここで数値「8.25」は単位熱量に関する定数であ
り、HVVは燃料の熱量であり、aiは次式で表される
摩耗指数である。 ai=a1(石英量(%))+a2(SiO2(%))
+a3(Al23(%))+a4(Fe23(%))
【0014】
【発明が解決しようとする課題】前記文献には微粉炭焚
ボイラを対象とした機器の構成材料の摩耗量予測方法が
開示されているが、この予測方法を直接PFBCに適用
することはできない。PFBCでは脱硫剤として火炉内
に石灰石を投入することから、フライアッシュの組成も
従来のボイラにおける燃焼灰の場合とは異なり、未反応
の石灰石や石膏などのカルシウム化合物の粒子の割合が
多くなっている。このためPFBCでのフライアッシュ
による機器構成材料の摩耗量を予測するためには、Si
2やAl23に加え、カルシウム化合物粒子が機器の
摩耗に与える影響を明らかにする必要がある。しかし、
今までカルシウム化合物粒子をも含めた粒子による機器
の摩耗量の予測方法について検討はされていなかった。
本発明の課題は、流動層燃焼ボイラにおいて、火炉から
のフライアッシュによる摩耗損傷を受ける部位の摩耗量
を予測する方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、次
の構成によって解決される。すなわち、石炭と脱硫剤で
あるカルシウム化合物を混合してSiO2、Al23
含む流動媒体からなる流動層中で燃焼させて蒸気を発生
させる蒸気発生器を備えた流動層燃焼ボイラにおいて、
飛散灰組成中のSiO2、Al23及びカルシウム化合
物(CaO、CaSO4、CaCO3)の量から被摩耗材
の摩耗量を算出することを特徴とする流動層燃焼ボイラ
用機器の構成材料の摩耗量予測方法である。
【0016】上記摩耗量予測方法は、例えば、飛散灰組
成中のSiO2、Al23及びカルシウム化合物の重量
%をそれぞれ[SiO2F、[Al23F及び[C
a.comp.]Fとして表すとき、衝突する摩耗性粒
子の重量当たり、被摩耗材が単位時間に摩耗する深さを
表す量Wをf1〜f4を係数とする(1)式 W=f1[SiO2F+f2[Al23F +f3[Ca.comp.]F+f4 (1) によって算出する。
【0017】このとき、全ての摩耗量実測値が予測値以
下になるように前記(1)式における係数f1〜f4を
設定することで、ボイラプラントの設計段階で、機器の
構成材料の摩耗分を余肉として算入し、また材料選定を
行うことができる。
【0018】また、本発明の上記課題は、次の構成によ
って解決される。すなわち、石炭と脱硫剤であるカルシ
ウム化合物(CaO、CaSO4、CaCO3)を混合し
てSiO2、Al23を含む流動媒体からなる流動層中
で燃焼させて蒸気を発生させる蒸気発生器を備えた流動
層燃焼ボイラにおいて、石炭中の硫黄量と前記石炭の灰
化物中のSiO2、Al23、カルシウム化合物量と火
炉内へ投入する石灰石量から摩耗量を予測する流動層燃
焼ボイラ用機器の構成材料の摩耗量予測方法である。
【0019】上記摩耗量予測方法は、例えば、石炭灰化
物中のSiO2、Al23及びカルシウム化合物(Ca
O、CaSO4、CaCO3)量(重量%)をそれぞれ
[SiO2C、[Al23C、及び[Ca.com
p.]Cとし、石炭中の硫黄(S)量と投入する石灰石
量との比をCa/Sとして表すとき、衝突する摩耗性粒
子の重量当たり、被摩耗材が単位時間に摩耗する深さを
表す量WをA及びf1〜f7を係数とする下記の(2)
式 W=A×(f1[SiO2C+f2[Al23C) +f3×(f5[Ca.comp.]C+f6×Ca/S+f7) +f4 (2) により算出することができる。
【0020】このとき、全ての摩耗量実測値が予測値以
下になるように前記(2)式における係数f1〜f7を
設定することで、ボイラプラントの設計段階で機器の構
成材料の摩耗分を余肉として算入し、また材料選定を行
うことができる。
【0021】また、本発明は複数種類の石炭を種類毎に
それぞれ別個に貯蔵する複数のバンカと該バンカからの
供給量を調整する供給量調整機と石炭と脱硫剤であるカ
ルシウム化合物を混合して流動媒体からなる流動層中で
燃焼させて蒸気を発生させる蒸気発生器を備えた流動層
燃焼ボイラにおいて、流動層燃焼ボイラ用機器の構成材
料の摩耗量を前記2種類の摩耗量予測方法に基づいて予
測し、供給量調整機により各バンカに貯蔵された種類の
異なる石炭の供給量を調整することで石炭の配合比率を
調整して蒸気発生器に供給する流動層燃焼ボイラを含
む。本発明は加圧流動層燃焼ボイラなどの流動層ボイラ
に適用できる。
【0022】
【作用】 (a)フライアッシュ組成と機器の摩耗量の関係 PFBCボイラ火炉出口から捕集されたフライアッシュ
の主成分は、SiO2、Al23、Fe23及びカルシ
ウム化合物(CaO、CaCO3、CaSO4)である。
これらの化合物が摩耗損傷を受ける機器の構成材料に与
える摩耗性を明らかにするため、本発明者らは各種フラ
イアッシュを用いて機器構成材料の摩耗実験を行い、灰
組成と摩耗量の関係を調べ、図3に示すような結果を得
ている。各化合物の量は、灰の元素分析の結果得られた
Si、Alなどの量を酸化物換算したもので、[SiO
2]、[Al23]、[Fe23]及び[Ca.Com
p.]は、それぞれSiO2、Al23、Fe23、及
びカルシウム化合物(CaO、CaCO3、CaSO4
の各成分の重量%を表す。
【0023】図3によると機器の構成材料の摩耗量と
[SiO2]、[Al23]には正の相関性が、また機
器の構成材料の摩耗量と[Ca.Comp.]には負の
相関性があることが明らかであり、従って摩耗量をW、
f1〜f4を係数とすると、Wは前記(3)式で表すこ
とができる。 W=f1[SiO2]+f2[Al23] +f3[Ca.comp.]+f4 (3)
【0024】ここで、異なる組成のフライアッシュにつ
いて、各係数をいろいろに変えてWを求め、実験的に測
定された機器の摩耗量との関係を調べたところ、 f1=0.1 f2=0.1 f3=−0.1 f4=4.0 として算出される機器の摩耗量と、実験的に測定された
機器の摩耗量の関係は図4のようになり、高い相関性が
得られた(相関係数R=0.93)
【0025】すなわち、フライアッシュ組成から予測さ
れる摩耗量と実験的に測定された摩耗量はよく一致す
る。実際の予測にあたっては安全を見込んで全ての実測
値が予測値以下となることが望ましいので、以下に示す
実施例では各係数の適切な範囲を定めた。
【0026】(b)フライアッシュ組成と灰化物組成の
関係 フライアッシュ中のSiO2、Al23、及びカルシウ
ム化合物(CaO、CaCO3、CaSO4)の各成分の
重量%を[SiO2F、[Al23F及び[Ca.C
omp.]Fで表し、石炭灰化物中の各成分の重量%を
[SiO2C、[Al23C及び[Ca.Com
p.]Cで表すことにすると、これらの間に一定の関係
が成り立つ。
【0027】図5はA炭、B炭及びC炭の3種類の石炭
を800℃の大気中で灰化処理した灰化物中のSiO2
重量%とAl23重量%の和([SiO2C+[Al2
3C)と火炉出口におけるフライアッシュ中のSiO
2重量%とAl23重量%の和([SiO2F+[Al2
3F)との関係を示す。両者の間にはほぼ直線関係が
成り立ち、(4)式のように表すことができる。ここで
Aは係数である。 [SiO2F+[Al23F=A×([SiO2C+[Al23C)(4)
【0028】(c)灰化物組成、石灰石量及び石炭中硫
黄(S)からの機器の摩耗量予測 石炭には硫黄(S)分が含まれ、燃焼時に硫黄酸化物を
生じるが、PFBCではこれを除去するため、脱硫剤と
して石灰石(生石灰も一部含まれる)を混合している。
投入する石灰石量と石炭中のS分の比はCa/Sで表さ
れ、その値は脱硫率の設定によって投入石灰石量を増減
するのに伴い変動する。
【0029】図6はA炭、B炭及びC炭の3種を燃焼さ
せたときのCa/Sと、火炉出口におけるフライアッシ
ュ中のSiO2及びAl23の重量%の和[SiO2F
+[Al23F及びカルシウム化合物の重量%[C
a.Comp.]Fとの関係を示す。実際の運転におい
て、Ca/S値はほぼ1から10以内であり、この範囲
において[SiO2F+[Al23Fはほとんど変動
しない。これに比べると[Ca.Comp.]Fの変動
幅はやや大きく、Ca/S=0のときのカルシウム化合
物の量を[Ca.Comp.]F.0、Ca/S=nのと
きのカルシウム化合物の量を[Ca.Comp.]F.n
とすると(5)式が成り立つ。 [Ca.Comp.]F.n=[Ca.Comp.]F.0+f6×Ca/S (1≦f6) (5)
【0030】また、[Ca.Comp.]F.0と[C
a.Comp.]Cとの間には、次の(6)式 [Ca.Comp.]F.0=[Ca.Comp.]C+f7 (0≦f7) (6) の関係が成立するので、(5)式及び(6)式から次の
(7)式が導出される。 [Ca.Comp.]F.n=f5[Ca.Comp.]C +f6×Ca/S+f7 (7)
【0031】ここで(7)式における[Ca.Com
p.]F.nを[Ca.Comp.]Fとして取り扱い、
(3)を改めて(1)式として表す。 W=f1[SiO2F+f2[Al23F +f3[Ca.Comp.]F+f4 (1) (5)式と(1)式から最終的に次式(2)が導かれ
る。 W=A×(f1[SiO2C+f2[Al23C +f3×(f5[Ca.Comp.]C+f6×Ca/S+f7)+f4 (2) ここで、A、f1〜f7は係数である。
【0032】以上のことから実験的に求めた係数A及び
f1〜f7を使うことにより、石炭灰化物組成中のSi
2、Al23及びカルシウム化合物(CaO、CaS
4、CaCO3)量(重量%)、石炭中の硫黄(S)量
と投入する石灰石量との比Ca/Sから摩耗量W(μm
/kgh)を予測することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について説明
する。 実施例1 図1には本発明になる機器の構成材料の摩耗量の予測方
法を用いて、フライアッシュ中のSiO2、Al23
びカルシウム化合物(CaO、CaCO3、CaSO4
の量から機器の構成材料の摩耗量を予測する流れを示
す。
【0034】具体的には、フライアッシュ中の各成分の
量(%)を[SiO2F、[Al23F、[Ca.C
omp.]Fで表すとき、摩耗量W(μm/kgh)を W=f1[SiO2F+f2[Al23F +f3[Ca.Comp.]F+f4 (1) によって予測する。
【0035】実測される摩耗量が予測値以下となる係数
f1〜f4は、ある程度の幅を持ったものとなるが、予
測値が実測値に近くなるように係数の範囲を絞り込む
と、 f1:0.15≦f1≦0.21 f2:f2=f1 f3:f3=−0.8f1 f4:0.15≦f1≦0.16のとき、 f4=4.5−40(f1−0.15) 0.16≦f1≦0.21のとき、 f4=4.1 の範囲で実測値と予測値の相関性が高くなる。
【0036】上記の範囲内でf1=0.16と定めると
f2=0.16、f3=−0.128、f4=4.1と
決まり、実測値と予測値の関係は図7のようになる。全
ての実測値は予測値以下になり、かつ予測値は最大で実
測値の1.7倍までの範囲に入っている。
【0037】実施例2 図8は本発明になる機器の構成材料の摩耗量の予測方法
を用いて、投入する石灰石量、石炭中の硫黄(S)量及
び石炭の灰化物組成から摩耗量を予測する流れを示すも
のである。
【0038】計測量は使用する石炭を分析して得られる
S量、前記石炭の灰化物を分析して得られるSiO
2量、Al23量及びカルシウム化合物量並びに火炉へ
投入する石灰石量である。
【0039】石灰石量とS量との比をCa/Sとし、C
a/S値と灰化物中のカルシウム化合物量からフライア
ッシュ中のカルシウム化合物量を算出し、灰化物中のS
iO2量及びAl23量及びカルシウム化合物量から機
器の構成材料の摩耗量を予測する。
【0040】本実施例では、ボイラからの出力として得
られるフライアッシュ組成から予測するのではなく、ボ
イラへの入力である石灰石量、石炭中の硫黄(S)量及
び石炭の灰化物組成から直接摩耗量を予測することがで
きるので、プラントの計画段階で摩耗分を余肉として設
計したり、材料選定を実施する上で利点がある。
【0041】図8に示した投入する石灰量、石炭中のS
量及び石炭の灰化物組成から機器の構成材料の摩耗量を
予測する流れに従い、前述の(2)式における係数A及
びf1〜f7を定め、摩耗量W(μm/kgh)を算出
する。 W=A×(f1[SiO2C+f2[Al23C) +f3×(f5[Ca.Comp.]C+f6×Ca/S+f7)+f4 (2)
【0042】第1表は異なる種類の石炭について、本実
施例になる摩耗予測方法を用いて投入する石灰石量、石
炭中のS量及び石炭の灰化物組成から摩耗量を予測した
結果をまとめたものであり、(2)式の係数A及びf1
〜f7としてそれぞれ、A=0.8、f1=0.1、f
2=0.1、f3=−0.1、f4=4、f5=0.
8、f6=1.3、f7=10を用いた。
【0043】
【表1】
【0044】図9は本実施例での予測値と実験値の対応
を示すものである。実際の予測にあたっては安全を見込
んで全ての実測値が予測値以下となることが望ましいの
で、各係数の適切な範囲は A:A=0.8 f1:0.15≦f1≦0.21 f2:f2=f1 f3:f3=−0.8f1 f4:0.15≦f1≦0.16のとき f4=4.5−40(f1−0.15) 0.16≦f1≦0.21のとき f4=4.1 f5:0.15≦f1≦0.16のとき f5=0.9+7(0.16−f1) 0.16≦f1≦0.21のとき f5=0.9−1.2(f1−0.16) f6:f6=1.2 f7:f7=8 と定められる。例えば、f1=0.16としたとき、f
2=0.16、f3=−0.128、f4=4.1、f
5=0.9、f6=1.2、f7=8と決まり、実測値
と予測値の関係は図10のようになる。全ての実測値は
予測値以下になり、かつ予備値は最大で実測値の1.7
倍までの範囲に入っている。
【0045】図11は本発明になる摩耗量の予測方法を
用いて投入する石炭の灰化物組成から摩耗量を予測し、
供給する2種類以上の石炭の配合比率を変えることがで
きることを特徴とするPFBC発電プラントの一部を模
式的に表した例である。図示するように図2に示すプラ
ントと同一装置は同一番号を付して、その説明は省略す
るが、2個以上設けられた石炭供給用のバンカ7にはそ
れぞれに炭種の異なる石炭が貯蔵され、機器の構成材料
の摩耗量が許容摩耗量以下となるように配合比率を変え
て供給することができるようになっている。
【0046】図12はB及びCの2種類の石炭の配合比
率を変えて供給したとき、灰化物組成及び一定の投入石
灰石に対するCa/Sとそれらから実施例2における
(2)式の係数をf1=0.16としたときに算出され
る摩耗量の予測値の変化を表したものである。
【0047】図12によれば、許容摩耗量が5(μm/
kgh)以下であるとき、配合比率としてB炭を17.
8%以下、C炭を82.2%以上とすればよく、単独で
は摩耗性が高い石炭でも摩耗性が低い石炭との混合によ
り、使用可能となる。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、PFBCにおける機器
の構成材料の摩耗量を使用する石炭の灰化物組成から求
められるSiO2、Al23及びカルシウム化合物(C
aO、CaSO4、CaCO3)量を用いて予測すること
ができるので、設計時に機器の構成材料の材質や余肉を
適切なものとし、計画的な摩耗量の計測・点検を行い、
適切な時期に材料を補修・交換できるようになり、PF
BCにおける摩耗損傷の予防保全並びに運用性向上に多
大の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明になるPFBCにおける機器の構成材
料の摩耗量を予測する流れを示す図である。
【図2】 本発明が適用されるPFBC(加圧流動量燃
焼ボイラ)発電プラントの一部を模式的に示した図であ
る。
【図3】 組成の異なる各種フライアッシュを用いて行
った摩耗実験において測定された摩耗量とフライアッシ
ュ成分との相関関係を比較した図である。
【図4】 機器の摩耗量W(μm/kgh)をフライア
ッシュ中の灰成分([SiO2F,[Al23F及び
[Ca.Comp.]F)を用い、予測式によって算出
した予測値と実験的に測定された摩耗量の関係を示す図
である。
【図5】 A炭、B炭及びC炭の3種類の石炭を燃焼さ
せた灰化物中のSiO2及びAl23量の和([Si
2C+[Al23C)と火炉出口におけるフライア
ッシュ中のSiO2及びAl23量の和([SiO2F
+[Al23F)との関係を示す図である。
【図6】 A炭、B炭及びC炭の3種類のフライアッシ
ュ中のSiO2、Al23及びカルシウム化合物量
([SiO2F+[Al23F及び[Ca.Com
p.]F)とCa/Sの関係を示す図である。
【図7】 本発明になるフライアッシュ組成から予測さ
れる摩耗量と実験的に測定された機器の摩耗量の関係を
示す図である。
【図8】 本発明になる摩耗量を予測する流れを示す図
である。
【図9】 異なる種類の石炭について、本発明になる摩
耗量の予測式を用いて投入する石炭の灰化物組成から予
測した摩耗量と実験的に求められた摩耗量の相関図であ
る。
【図10】 本発明になる石炭灰化物組成から予測され
る摩耗量と実験的に測定された機器の摩耗量の関係を示
す図である。
【図11】 本発明になる摩耗量の予測方法を用いて投
入する石炭の灰化物組成から摩耗量を予測し、供給する
2種類以上の石炭の配合比率を変えることができること
を特徴とするPFBC発電プラントの一部を模式的に示
した図である。
【図12】 本発明になる2種類の石炭の配合比率を変
えて供給したときの機器の摩耗量の予測値の変化を表す
図である。
【符号の説明】
1 圧力容器 2 火炉 3 蒸気発生器(流動層燃焼ボイラ) 4 流動層 5 層内伝熱管 7 バンカ 9 高温燃料ガス配管 10 サイクロ
ン 11 ガスタービン 12 BM抜出
経路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浜田 幾久 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭と脱硫剤であるカルシウム化合物を
    混合してSiO2、Al23を含む流動媒体からなる流
    動層中で燃焼させて蒸気を発生させる蒸気発生器を備え
    た流動層燃焼ボイラにおいて、 飛散灰組成中のSiO2、Al23及びカルシウム化合
    物の量から被摩耗材の摩耗量を算出することを特徴とす
    る流動層燃焼ボイラ用機器の構成材料の摩耗量予測方
    法。
  2. 【請求項2】 飛散灰組成中のSiO2、Al23及び
    カルシウム化合物の重量%をそれぞれ[SiO2F
    [Al23F及び[Ca.comp.]Fとして表すと
    き、衝突する摩耗性粒子の重量当たり、被摩耗材が単位
    時間に摩耗する深さを表す量Wをf1〜f4を係数とす
    る(1)式 W=f1[SiO2F+f2[Al23F +f3[Ca.comp.]F+f4 (1) によって算出することを特徴とする請求項1記載の流動
    層燃焼ボイラ用機器の構成材料の摩耗量予測方法。
  3. 【請求項3】 全ての摩耗量実測値が予測値以下になる
    ように前記(1)式における係数f1〜f4を設定する
    ことを特徴とする請求項2の流動層燃焼ボイラ用機器の
    構成材料の摩耗量予測方法。
  4. 【請求項4】 前記(1)式における係数f1〜f4が
    それぞれ f1:0.15≦f1≦0.21 f2:f2=f1 f3:f3=−0.8f1 f4:0.15≦f1≦0.16のとき f4=4.5−40(f1−0.15) 0.16≦f1≦0.21のとき f4=4.1 であることを特徴とする請求項2の流動層燃焼ボイラ用
    機器の構成材料の摩耗量予測方法。
  5. 【請求項5】 石炭と脱硫剤であるカルシウム化合物を
    混合してSiO2、Al23を含む流動媒体からなる流
    動層中で燃焼させて蒸気を発生させる蒸気発生器を備え
    た流動層燃焼ボイラにおいて、 石炭中の硫黄量と前記石炭の灰化物中のSiO2、Al2
    3、カルシウム化合物量と火炉内へ投入する石灰石量
    から摩耗量を予測することを特徴とする流動層燃焼ボイ
    ラ用機器の構成材料の摩耗量予測方法。
  6. 【請求項6】 石炭灰化物中のSiO2、Al23及び
    カルシウム化合物量(重量%)をそれぞれ[Si
    2C、[Al23C、及び[Ca.comp.]C
    し、石炭中の硫黄(S)量と投入する石灰石量との比を
    Ca/Sとして表すとき、衝突する摩耗性粒子の重量当
    たり、被摩耗材が単位時間に摩耗する深さを表す量Wを
    A及びf1〜f7を係数とする下記の(2)式 W=A×(f1[SiO2C+f2[Al23C) +f3×(f5[Ca.comp.]C+f6×Ca/S+f7) +f4 (2) により算出することを特徴とする請求項5記載の流動層
    燃焼ボイラ用機器の構成材料の摩耗量予測方法。
  7. 【請求項7】 全ての摩耗量実測値が予測値以下になる
    ように前記(2)式における係数f1〜f7を設定する
    ことを特徴とする請求項5の流動層燃焼ボイラ用機器の
    構成材料の摩耗量予測方法。
  8. 【請求項8】 前記(2)式における係数A及びf1〜
    f7がそれぞれ A:A=0.8 f1:0.15≦f1≦0.21 f2:f2=f1 f3:f3=−0.8f1 f4:0.15≦f1≦0.16のとき f4=4.5−40(f1−0.15) 0.16≦f1≦0.21のとき f4=4.1 f5:0.15≦f1≦0.16のとき f5=0.9+7(0.16−f1) 0.16≦f1≦0.21のとき f4=0.9−1.2(f1−0.16) f6:f6=1.2 f7:f7=8 であることを特徴とする請求項5記載の流動層燃焼ボイ
    ラ用機器の構成材料の摩耗量予測方法。
  9. 【請求項9】 複数種類の石炭を種類毎にそれぞれ別個
    に貯蔵する複数のバンカと該バンカからの供給量を調整
    する供給量調整機と石炭と脱硫剤であるカルシウム化合
    物を混合して流動媒体からなる流動層中で燃焼させて蒸
    気を発生させる蒸気発生器を備えた流動層燃焼ボイラに
    おいて、 流動層燃焼ボイラ用機器の構成材料の摩耗量を請求項1
    〜6記載のいずれかの摩耗量予測方法に基づいて予測
    し、供給量調整機により各バンカに貯蔵された種類の異
    なる石炭の供給量を調整することで石炭の配合比率を調
    整して蒸気発生器に供給することを特徴とする流動層燃
    焼ボイラ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009063288A (ja) * 2008-10-14 2009-03-26 Chugoku Electric Power Co Inc:The 加圧流動層ボイラの脱塵方法
JP2013242128A (ja) * 2012-04-25 2013-12-05 Sumitomo Heavy Ind Ltd 流動床反応炉、メンテナンス時期の判定装置、及びメンテナンス時期の判定方法
CN108305105A (zh) * 2018-03-13 2018-07-20 广州华润热电有限公司 一种耗材预估方法以及处理设备
CN109900409A (zh) * 2019-04-04 2019-06-18 东北大学 一种静态破碎剂径向膨胀压测试方法

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