JP2013117316A - 石炭焚きボイラプラント - Google Patents
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Abstract
【課題】ボイラ装置内の高温部表面に付着したアルカリ鉄硫酸塩が溶融相を形成して発生する高温腐食を有効に防止することのできる石炭焚きボイラプラントを提供する
【解決手段】石炭を粉砕する粉砕装置4と、粉砕装置4で粉砕された石炭粒子を搬送してバ−ナ7を用いて燃焼させるボイラ装置を備え、粉砕装置4へ供給される石炭の供給系統に、固形のアルカリ化合物を含有する固形物添加手段2,22を接続して、粉砕装置4へ供給される石炭の供給量に応じてアルカリ化合物含有固形物の添加量を調整する添加量調整手段21を設けたことを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】石炭を粉砕する粉砕装置4と、粉砕装置4で粉砕された石炭粒子を搬送してバ−ナ7を用いて燃焼させるボイラ装置を備え、粉砕装置4へ供給される石炭の供給系統に、固形のアルカリ化合物を含有する固形物添加手段2,22を接続して、粉砕装置4へ供給される石炭の供給量に応じてアルカリ化合物含有固形物の添加量を調整する添加量調整手段21を設けたことを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えば石炭あるいは石炭とバイオマスを粉砕する粉砕装置と、その粉砕装置で粉砕された粉砕固体燃料を搬送してバ−ナを用いて燃焼させるボイラ装置を備えた石炭焚きボイラプラントに係り、特に前記ボイラ装置内の伝熱管などの高温部において、その高温部表面に付着したアルカリ鉄硫酸塩が溶融相を形成して発生する高温腐食を防止する技術に関するものである。
従来の石炭焚きボイラプラントの概略構成について図11を用いて説明する。但し、一点鎖線で囲まれた部分は排除する。
同図に示すようにこの石炭焚きボイラプラントは、石炭を貯蔵する石炭バンカ1、石炭を運搬するコンベア3、石炭を微粉砕して微粉炭を生成するミル4、その微粉炭を予熱された空気で燃焼させるバ−ナ7、低NOx燃焼の際に二段燃焼させるための空気を追加するアフタエアポ−ト8、伝熱管をスパイラル状に巻装した水壁管10で構成された火炉9、高温高圧の水蒸気を生成する高温過熱器11と高温再熱器12と低温過熱器13と低温再熱器14、ボイラ給水を昇温する節炭器15、燃焼用空気を予熱するエアヒ−タ18などで構成されており、図に示すような配置関係になっている。
同図に示すようにこの石炭焚きボイラプラントは、石炭を貯蔵する石炭バンカ1、石炭を運搬するコンベア3、石炭を微粉砕して微粉炭を生成するミル4、その微粉炭を予熱された空気で燃焼させるバ−ナ7、低NOx燃焼の際に二段燃焼させるための空気を追加するアフタエアポ−ト8、伝熱管をスパイラル状に巻装した水壁管10で構成された火炉9、高温高圧の水蒸気を生成する高温過熱器11と高温再熱器12と低温過熱器13と低温再熱器14、ボイラ給水を昇温する節炭器15、燃焼用空気を予熱するエアヒ−タ18などで構成されており、図に示すような配置関係になっている。
伝熱管の材質は高温の蒸気によるクリ−プ強度の観点から、高温過熱器11と高温再熱器12にCr含有率が18wt%の高Crステンレス鋼、低温過熱器13と低温再熱器14にCr含有率が2.25wt%の低合金鋼、節炭器15に炭素鋼などが使用されている。
また、石炭火力ボイラプラントのミル4では一般に竪型ロ−ラミルが採用されている。図12 は、従来の竪型ロ−ラミルの概略構成図である。
石炭バンカ1、定量搬送部20ならびにコンベア3を通して供給された石炭37は、矢印で示すように回転テーブル30の中央部に投下される。回転テーブル30は、モータ31によって所定の方向に回転駆動される。
投下された石炭37は、回転テーブル30の回転に伴う遠心力によって回転テーブル30上を渦巻状の軌跡を描きながら回転テーブル30の外周部へ移動され、回転テーブル30とタイヤ状の粉砕ローラ29との間に噛み込まれて粉砕される。粉砕ローラ29ならびに回転テーブル30などから粉砕部が構成されている。
粉砕されて粉体は、回転テーブル30の周囲に設けられた1次空気入口32から導入された高温の1次空気33(搬送・乾燥用空気を兼ねている)によって上方に吹き上げられる。吹き上げられた粉体のうち、粒子径が大きく、重いものは後述する分級部に搬送される途中で重力により落下し、前記粉砕部に戻される(1次分級)。
ハウジング27の上部に設けられている分級部は、この例の場合、固定分級器28と回転分級機34とから構成されている。この分級部に到達した粒子群は前記固定分級器28と回転分級機34により粒子に旋回力が与えられ、所定の粒度以下の微粉砕粒子25と所定の粒度を超えた粗粉砕粒子26とに分離される(2次分級)。
この粗粉砕粒子26は、固定分級器28の下方に設けられた回収ホッパ24を通して回転テーブル30上に落下して、再び粉砕される。一方、分級部(固定分級器28、回転分級機34)を通過した微粉砕粒子25は、微粉砕粒子出口35から燃料として石炭焚きボイラ装置へ気流搬送される。
従来の石炭焚きボイラ装置の大きな問題として、石炭燃焼灰による高温過熱器管11と高温再熱器管12の腐食が挙げられる。
下記非特許文献1には、石炭焚きボイラ装置の伝熱管におけるガス側腐食とその対策について記述されている。図13は、その伝熱管におけるガス側腐食の様子を示す概略図であり、図中の51は伝熱管、52は硬い黒色スケール、53は白色の付着物、54は硬い赤色のスラグ、55はフライアッシュである。
石炭灰腐食は、高温部の伝熱管51上に堆積した石炭灰から伝熱管表面に凝縮したアルカリ成分(K、Na)とFe2O3(伝熱管表面に生成した酸化スケ−ル)が、燃焼ガス中のSO3(伝熱管表面でFe2O3を触媒としてO2とSO2が反応してSO3が生成)と反応して、Na3Fe(SO4)3やK3Fe(SO4)3などの低融点のアルカリ鉄硫酸塩を生成する。下式(1)〜(3)は、そのアルカリ鉄硫酸塩の生成反応式である。
2SO2 + O2 → 2SO3 (1)
3Na2SO4 + Fe2O3 + SO3 → 2Na3Fe(SO4)3 (2)
3K2SO4 + Fe2O3 + SO3 → 2K3Fe(SO4)3 (3)
その結果、一般には、伝熱管表面温度がこの融点を超えると、急激な溶融塩腐食が起こると理解されている。
図14は前記非特許文献1に掲載されている図であり、K3Fe(SO4)3とNa3Fe(SO4)3の混合物中のK3Fe(SO4)3の割合と、その混合物の融点との関係を示す特性図である。アルカリ鉄硫酸塩の単独の融点は620℃程度であるが、図14に示すように、ナトリウム鉄硫酸塩Na3Fe(SO4)3とカリウム鉄硫酸塩K3Fe(SO4)3が共存すると、融点が下がり、550℃程度で溶融し、溶融した液相は固相に比べ金属を激しく腐食させる。
図15は前記非特許文献1に掲載されている図であり、温度と石炭灰腐食量との関係を示す特性図である。この図に示されているように、石炭灰腐食はアルカリ鉄硫酸塩の溶融領域である550℃から750℃で生じる。したがって、最高蒸気温度が550℃を超える超臨界圧ボイラ装置では、この腐食が大きな問題となる可能性がある。
一般に防食技術として、耐食材料の選定、あるいは表面処理などの適用がある。材料中のCr含有率を25〜30wt%まで増加させた高耐食性材料(SUS310 J1TBなど)の選定や、表面処理としてバックセメンテ−ション法やクロマイズ法の適用などがある(従来技術1)。
また、防食剤を添加する従来技術もある。酸化カルシウム(CaO)や酸化マグネシウム(MgO)の添加は、高融点化合物であるK2Ca2(SO4)3やK2Mg2(SO4)3を生成させ、溶融相形成による腐食を抑制する効果があり、重油焚きボイラ装置で採用された実績がある(従来技術2)。
さらに、特開2009−185683号公報(特許文献1)には、液体燃料や気体燃料を使用するガスタ−ビンのアルカリ溶融塩腐食を抑制するために、カリウム化合物水溶液を燃焼ガスに添加する技術が開示されている。この技術は、燃焼ガス中で生成する硫酸カリウムと硫酸ナトリウムの共晶組成と比較し、硫酸カリウムの比率を多くすることによって、アルカリ硫酸塩の融点を上昇させ、ガスタ−ビン高温部材の表面に生成するアルカリ硫酸塩の溶融相による腐食を抑制するものである(従来技術3)。
さらにまた、特表2004−500487号公報(特許文献2)には、バ−ナ火炎中にタングステンを添加することにより、硫酸ナトリウムや硫酸カリウムの生成を阻害し、優先的に高融点で安定なタングステン酸ナトリウム(Na2WO4)やタングステン酸カリウム(K2WO4)などを生成させる技術が開示されている(従来技術4)。
発電プラントの腐食と防止、V.ボイラのガス側腐食と対策、火力原子力発電、VOl.47、No.8、pp69−98、1996。
アルカリ鉄硫酸塩による腐食の抑制方法として前述したような従来技術l〜4があるが、以下のような技術的な課題が挙げられる。
耐食材料の選定、表面処理の適用する前記従来技術1では、高価な耐食材料(Cr含有率:25〜35wt%)の使用、表面処理材の追加、作業工数増による費用の大幅な増加は避けられない。
また、酸化カルシウム(CaO)や酸化マグネシウム(MgO)などの防食剤を火炉内へ添加する前記従来技術2の場合、石炭焚きボイラ装置では、灰分中に多量の酸化アルミニウム(Al2O3)や酸化ケイ素(SiO2)を含んだ条件下で腐食が発生するため、防食剤が直接腐食性成分と反応することは期待できない。また、カルシウムやマグネシウムはファウリングの要因物質であり、伝熱管表面で灰が大量に堆積し、閉塞や伝熱阻害により蒸気温度が低下し、発電効率の低下を引起すといった課題がある。
さらに前記従来技術3の場合、カリウム化合物を燃焼ガスや燃料に添加するときに、カリウム化合物を水に溶解した水溶液で噴霧添加する訳であるが、アルカリ成分が液相のときは、高温条件下で激しい腐食が起こる事が知られており、仮にボイラ装置内に直接噴霧添加しようとすると、添加装置や噴霧ノズルが腐食損傷したり、あるいは噴霧ノズルが閉塞することがある。
また、広い火炉内に噴霧しても、微量な硫黄成分とアルカリ成分とを十分に反応させることは期待できず、十分に反応させるためには広い領域に過剰な添加剤を投入しなければならない。
さらにまた、バ−ナ火炎中にタングステンを添加する従来技術4は、添加装置が火炎熱により損傷する危惧がある。また、石炭焚きボイラ装置では、灰中にカリウムやナトリウムが存在するために、火炎にタングステンを添加しても、火炉内でアルカリ成分と反応することは期待できない。
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、ボイラ装置内の高温部表面に付着したアルカリ鉄硫酸塩が溶融相を形成して発生する高温腐食を有効に防止することのできる石炭焚きボイラプラントを提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、
少なくとも石炭を粉砕する粉砕装置と、
その粉砕装置で粉砕された石炭粒子を搬送してバ−ナを用いて燃焼させるボイラ装置を備えた石炭焚きボイラプラントにおいて、
前記粉砕装置へ供給される石炭の供給系統に、固形の例えば硫酸カリウムなどのアルカリ化合物を含有する固形物添加手段を接続して、
前記粉砕装置へ供給される石炭の供給量に応じて前記アルカリ化合物含有固形物の添加量を調整する添加量調整手段を設けたことを特徴とするものである。
少なくとも石炭を粉砕する粉砕装置と、
その粉砕装置で粉砕された石炭粒子を搬送してバ−ナを用いて燃焼させるボイラ装置を備えた石炭焚きボイラプラントにおいて、
前記粉砕装置へ供給される石炭の供給系統に、固形の例えば硫酸カリウムなどのアルカリ化合物を含有する固形物添加手段を接続して、
前記粉砕装置へ供給される石炭の供給量に応じて前記アルカリ化合物含有固形物の添加量を調整する添加量調整手段を設けたことを特徴とするものである。
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、
前記粉砕装置により粉砕されて前記バーナに搬送される粉砕アルカリ化合物含有固形物の平均粒子径D1が、前記粉砕装置により粉砕されて前記バーナに搬送される石炭粒子の平均粒子径D2以下(D1≦D2)になるように、前記固形物添加手段により供給される未粉砕アルカリ化合物含有固形物の粒子径を規制する分級手段が設けられていることを特徴とするものである。
前記粉砕装置により粉砕されて前記バーナに搬送される粉砕アルカリ化合物含有固形物の平均粒子径D1が、前記粉砕装置により粉砕されて前記バーナに搬送される石炭粒子の平均粒子径D2以下(D1≦D2)になるように、前記固形物添加手段により供給される未粉砕アルカリ化合物含有固形物の粒子径を規制する分級手段が設けられていることを特徴とするものである。
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、
前記アルカリ化合物が、硫酸カリウム、炭酸カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び塩化ナトリウムのグループから選択された1種以上のアルカリ化合物であることを特徴とするものである。
前記アルカリ化合物が、硫酸カリウム、炭酸カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び塩化ナトリウムのグループから選択された1種以上のアルカリ化合物であることを特徴とするものである。
本発明の第4の手段は前記第1ないし第3のいずれかの手段において、
前記ボイラ装置の主蒸気温度が550℃を超える超臨界圧ボイラ装置であることを特徴とするものである。
前記ボイラ装置の主蒸気温度が550℃を超える超臨界圧ボイラ装置であることを特徴とするものである。
本発明は前述のような構成になっており、ボイラ装置内の高温部表面に付着したアルカリ鉄硫酸塩が溶融相を形成して発生する高温腐食を有効に防止することのできる石炭焚きボイラプラントを提供することができる。
次に本発明の実施例を図面と共に説明する。図1は本発明の実施例に係る石炭焚きボイラプラントの概略構成図、図2はその石炭焚きボイラプラントに用いられる竪型ロ−ラミルの概略構成図である。
図1に示すように、石炭バンカ1に貯留されている石炭はコンベア3を通して、竪型ロ−ラミル4内に投入される。前記コンベア3の上方には、固体状の硫酸カリウムを貯留している硫酸カリウムバンカ2が接続されており、石炭とともに硫酸カリウムも竪型ロ−ラミル4内に投入され、両者は粉砕されながら混合される。従ってこの竪型ロ−ラミル4は、石炭と硫酸カリウムの混合機の機能も果たしている。
この竪型ロ−ラミル4内で粉砕・混合されて生成した微粉砕粒子25(石炭と硫酸カリウムの微粉混合物)は、1次空気供給ライン5からの1次空気によって乾燥されながら搬送され、微粉炭供給ライン6を通って各バーナ7に分配供給される。スパイラル状に巻装された水壁管10で構成された火炉9には、多数段のバーナ7とアフタエアポート8が設置されている。
石炭と空気はバ−ナ7で燃焼され、火炉9内で1000℃以上に達する燃焼ガス19が発生する。この高温の燃焼ガス19は、高温過熱器11と高温再熱器12と低温過熱器13と低温再熱器14と節炭器15を順次通過することで熱回収されて350℃程度になる。そして脱硝装置17を通過して燃焼ガス中のNOxを除去され、さらにエアヒ−タ18を通過したとき熱交換により空気を予熱する。そして150℃程度の燃焼排ガス19は、後段の浄化装置(除塵装置や脱硫装置など、図示せず)で浄化されて大気へ放出される。
エアヒ−タ18で予熱された空気は、石炭搬送用空気(1次空気、約90〜140℃)と、燃焼用空気(2次空気、約200℃)と、2段燃焼用空気(AAP、約200℃)に分けられる。1次空気は1次空気供給ライン5を通過して竪型ローラミル4に供給され、2次空気はバ−ナ7のウィンドボックスに供給され、燃焼用として使用される。
伝熱管の材質は蒸気温度によるクリ−プ強度の観点から、高温過熱器11と高温再熱器12がCr含有率18wt%の高Crステンレス鋼、低温過熱器13と低温再熱器14がCr含有率2.25wt%の低合金鋼、節炭器15が炭素鋼を使用している。
次に本発明の実施例に係る竪型ロ−ラミル4の構成について、図2を用いて説明する。
図12(従来例)と異なる点は、石炭に硫酸カリウムを添加するための、硫酸カリウムバンカ2と定量搬送部21ならびにスクリュ−フィ−ダ22などで構成される硫酸カリウム添加手段を、石炭の供給経路(コンベア3)上に追設した点である。
図12(従来例)と異なる点は、石炭に硫酸カリウムを添加するための、硫酸カリウムバンカ2と定量搬送部21ならびにスクリュ−フィ−ダ22などで構成される硫酸カリウム添加手段を、石炭の供給経路(コンベア3)上に追設した点である。
石炭粉砕用のミル4には、回転する回転テ−ブル30と複数個のタイヤ型の粉砕ロ−ラ29で粉砕を行う竪型のロ−ラミルが使用される。このタイプの粉砕部は、円筒型をしたハウジング27の下部にあり、モ−タ31で回転駆動される円形状台の回転テ−ブル30と、その外周部の上面において円周方向の等間隔位置に油圧もしくはスプリングで加重を付加するダンパと、加重を付加されて回転する複数個の粉砕ロ−ラ29を備えている。
石炭バンカ1から供給された石炭と、硫酸カリウムバンカ2から供給された硫酸カリウムは、共に原料供給管(センタ−シュ−ト)から回転テ−ブル30の上に落下する。符号23は石炭と硫酸カリウムの混合原料である。回転テ−ブル30に供給された石炭と硫酸カリウムは、遠心力により渦状の軌跡を描き、回転テ−ブル30の外周へ移動し、回転テ−ブル30と粉砕ロ−ラ29の間に噛み込まれて粉砕される。
ハウジング27の下部の1次空気入口32から1次空気(熱風)33が供給されており、この1次空気33により粉砕後の石炭と硫酸カリウムの粉体が吹き上げられる。吹き上げられた粉体のうち、粒子径が大きく、重いものは分級部に搬送される途中で重力により落下し、粉砕部に戻される(1次分級)。
ハウジング27の上部に設けられている分級部に到達した粒子群は、固定分級器28と回転分級機34によって旋回力が付与されて、所定の粒度以下の微粉砕粒子25と所定の粒度を超えた粗粉砕粒子26に分離される(2次分級)。
この粗粉砕粒子26は、固定分級器28の下部に設けられた回収ホッパ24を通して回転テ−ブル30上に落下して、再度粉砕される。一方、分級部(固定分級器28と回転分級機34)を通過した微粉砕粒子25(微粉炭と微粉状硫酸カリウムの混合物)は、微粉砕粒子出口35から石炭焚きボイラ装置へ気流搬送される。
前述のように本実施例では、石炭として瀝青炭(密度:1.1〜1.8g/cm3)、カリウム化合物として硫酸カリウム(密度:2.66g/cm3)を使用している。硫酸カリウムなどのアルカリ化合物は固体燃料として使用される石炭やバイオマスに比べて密度が高く、図2の竪型ロ−ラミル4内の分級部により、低密度の石炭と高密度のアルカリ化合物が分離し、燃料とアルカリ化合物が均一に混合できないという問題がある。このためアルカリ化合物は、燃料粒子と同じ終末速度になる粒子径にする必要がある。
なお、終末速度とは、沈降する粒子の速度が重力と抵抗力が釣り合って、加速度が無くなり、粒子の沈降速度が一定となる速度をいう。
図3は、密度1.3g/cm3の石炭(瀝青炭)と密度2.66g/cm3の硫酸カリウムの終末速度と粒子径の関係を示す特性図である。図中の一点鎖線の曲線は石炭の特性曲線、実線の曲線は硫酸カリウム(Na2SO4)の特性曲線である。
この図から明らかなように、石炭粒子径が100μmのとき終末速度が0.4m/secである。この終末速度と同じ硫酸カリウムの粒子径は70μmである。従って、平均粒子径(D2)が100μmの石炭粒子と一緒に混合搬送する硫酸カリウムの平均粒子径(D1)は70μm以下であればよく(D1≦D2)、石炭粒子と分離することなく微粉砕粒子出口35(図2参照)から一緒に放出することができる。
この終末速度を考慮して石炭に添加する初期の硫酸カリウムの粒子径は、0.1〜5mm程度のものを使用する。特に原炭と同程度もしくはそれ以下であれば、粉砕が効率的に行える。
そして石炭に添加する初期の硫酸カリウムの粒子径を揃えるため、図2の硫酸カリウムバンカ2内に分級ふるい50を設置して、燃料の終末速度に合わせた粒子径の硫酸カリウムを添加する構成になっている。本実施例では硫酸カリウムバンカ2内に分級ふるい50を設置したが、予め分級ふるい50により所定の粒子径の硫酸カリウムを得て、それを硫酸カリウムバンカ2内に貯留することも可能である。
そして石炭に添加する初期の硫酸カリウムの粒子径を揃えるため、図2の硫酸カリウムバンカ2内に分級ふるい50を設置して、燃料の終末速度に合わせた粒子径の硫酸カリウムを添加する構成になっている。本実施例では硫酸カリウムバンカ2内に分級ふるい50を設置したが、予め分級ふるい50により所定の粒子径の硫酸カリウムを得て、それを硫酸カリウムバンカ2内に貯留することも可能である。
次に、本発明による作用を確認するための試験装置と試験結果について説明し、カリウムを添加することでアルカリ鉄硫酸塩腐食の抑制が出来る理由について述べる。
図4は高温腐食挙動を検討するために電気炉を用いた腐食試験装置を説明するための図、図5はその腐食試験に用いる試験片の斜視図である。
図4は高温腐食挙動を検討するために電気炉を用いた腐食試験装置を説明するための図、図5はその腐食試験に用いる試験片の斜視図である。
図4中の符号60はCO2,N2,O2,SO2,H2S,HClなどの各種ガスボンベ群、61はガス混合器、62はガス流量計、63はイオン交換水、64は給水ポンプ、65は石英製試験管、66は電気炉、67は試験片単品、68は上に模擬灰69を載せた試験片、70は熱電対、71は中和液、72は排気、73は磁性皿、74は模擬ガスである。
供試材(試験片)には火SUS304J1HTB(高温過熱器管材)と、STBA24(低温再熱器材)を用いた。その供試材料の化学組成を図6に示した。
図7は、この高温腐食試験の条件をまとめて示した図である。試験片67,68は図5に示すように10mm×10mm×3mmの大きさに調整し、機械研磨後、アセトンで脱脂した。腐食試験は、腐食性合成灰(模擬灰69)として硫酸ナトリウム(Na2SO4)、硫酸カリウム(K2SO4)、酸化鉄(Fe2O3)を所定のモル比に混合したものを塗布し、アセトンで湿潤して固定した。
図7は、この高温腐食試験の条件をまとめて示した図である。試験片67,68は図5に示すように10mm×10mm×3mmの大きさに調整し、機械研磨後、アセトンで脱脂した。腐食試験は、腐食性合成灰(模擬灰69)として硫酸ナトリウム(Na2SO4)、硫酸カリウム(K2SO4)、酸化鉄(Fe2O3)を所定のモル比に混合したものを塗布し、アセトンで湿潤して固定した。
次にそれを磁性皿73(図4参照)の上に置き、模擬ガス74を通気しながら、図4に示す横型電気炉高温腐食試験装置で腐食試験を実施した。模擬ガス74の化学組成は下記の通りである。
CO2:15vol%−dry
O2:3.6vol%−dry
H2O:10vol%−wet
SO2:500ppm−dry
N2:ベ−ス
模擬灰69の化学組成は図7に示すように、Fe2O3:硫酸塩(Na+K)の比=1mol:3molを基準に、K=0〜3molの7条件、試験時間は20時間とした。また腐食量を比較するために模擬灰69(50mg/cm2)の塗布有り/無しの2種類を同時に試験した。試験後、スケ−ルを除去し、重量測定により腐食減量を評価した。
次に、腐食試験結果について述べる。図8は試験片に塗布した模擬灰69の試験後の溶融状態を示す図であり、同図(a)は模擬ガス温度が500℃の場合、同図(b)は模擬ガス温度が600℃の場合を示している。
同図(a)において、上段の左端から右橋にかけて、模擬灰69の(塗布無し)、K2SO4とNa2SO4の混合モル比が(0:3)、(0.5:2.5)、(1:2)、中段の左端から右橋にかけて(1.5:1.5)、(2:1)、(2.5:0.5)、(3:0)、下段の左端から右橋にかけて(1.5:1.5)、(2:1)となっている。
また同図(b)において、上段の左端から右橋にかけて、模擬灰69の(塗布無し)、K2SO4とNa2SO4の混合モル比が(0:3)、(0.5:2.5)、(1:2)、(1.5:1.5)、中段の左端から右橋にかけて、(2:1)、(2:1)、(3:0)、(1.5:1.5)、(1.5:1.5)、下段の左端から右橋にかけて、(2.5:0.5)、(2:1)となっている。
図8(a)に示すように模擬ガス温度500℃では、模擬灰中のK2SO4とNa2SO4の混合モル比の影響を受けず、灰は溶融していない。これに対して図8(b)に示すように模擬ガス温度600℃では、K2SO4とNa2SO4の混合モル比が(1.5:1.5)と(2:1)のものは模擬灰の溶融が認められた。一方、K2SO4とNa2SO4の混合モル比が(0:3)、(0.5:2.5)、(3:0)、(2.5:0.5)のものは模擬灰の溶融は殆ど認められなかった。
図9は、模擬灰中のK2SO4とNa2SO4の混合モル比と試験片の腐食減量の関係を求めた図であり、横軸にK2SO4とNa2SO4の混合モル比、左縦軸に600℃で20時間腐食試験した後に測定して求めた試験片の腐食減量(mg/cm2)を示している。
この図から明らかなように、供試材料(試験片)が火SUS304J1HTBならびにSTBA24であっても、模擬灰中のK2SO4:Na2SO4の混合モル比=(1.0:2.0)〜(2.5:0.5)の範囲で腐食減量があり、特に(1.5:1.5)〜(2.0:1.0)の範囲で腐食減量が顕著である。これは図8に示したように、融点がK2SO4:Na2SO4の混合モル比=(1.5:1.5)〜(2.0:1.0)のとき最も低い融点550℃となるためであり、この溶融塩が腐食を促進させると考える。
一方、模擬灰中のK2SO4:Na2SO4の混合モル比=(0:3)ならびに(3:0)の腐食減量は、模擬灰塗布無の腐食減量の付近まで低下した。本試験結果より、石炭灰中のKとNaの混合モル比を制御することで、すなわち、K2SO4:Na2SO4の混合モル比=(0:3)のように混合モル比がK≪Na、あるいは反対に、K2SO4:Na2SO4の混合モル比=(3:0)のように混合モル比がK≫Naに制御することで、高温腐食の抑制効果が得られることが判明した。
次に、実際に石炭焚きボイラ装置に本発明を適用した場合の実施例について述べる。
図1に示すように、固体状アルカリ化合物として硫酸カリウムを硫酸カリウムバンカ2から添加する。この硫酸カリウムの添加手段は図2に示すように、分級ふるい50によって分けられた所定粒子径以下の硫酸カリウムを硫酸カリウムバンカ2から、定量搬送部21及びスクリュ−フィ−ダ22を介して所定量添加する。
次に、実際に石炭焚きボイラ装置に本発明を適用した場合の実施例について述べる。
図1に示すように、固体状アルカリ化合物として硫酸カリウムを硫酸カリウムバンカ2から添加する。この硫酸カリウムの添加手段は図2に示すように、分級ふるい50によって分けられた所定粒子径以下の硫酸カリウムを硫酸カリウムバンカ2から、定量搬送部21及びスクリュ−フィ−ダ22を介して所定量添加する。
硫酸カリウムの添加量は、図10に示した原炭中の灰分組成分析結果から、Na2OとK2Oの混合モル比が3倍以上になるように添加する。例えば、石炭1kg/min供給するとき、図10より石炭灰組成はNa2Oが0.48wt%(0.077mol)、K2Oが0.12wt%(0.013mol)であり、添加するK2SO4は、Na2Oの3倍のmol数に相当する、約40g/minになる。
図2に示すように、石炭の供給量は定量搬送部20の出力で分かるから、その出力信号を制御部51に送信して、制御部51で石炭の供給量(前述の例では1kg/min)に対応した硫酸カリウムの供給量を演算して決定し、その供給量指令信号を硫酸カリウム側の定量搬送部21に送信して、硫酸カリウム供給量(前述の例では40g/min)を制御する構成になっている。
石炭と硫酸カリウムの混合原料23は粉砕部に投下され、両者は一緒に粉砕、混合される。均一に粉砕、混合された微粉砕粒子(石炭と硫酸カリウムの混合微粉砕粒子)25は、図1に示す微粉炭ライン6を通過して各バ−ナ7へ供給される。
燃焼後、石炭灰の一部は高温過熱器11ならびに高温再熱器12の伝熱管表面に堆積する。堆積灰中に存在するカリウムとナトリウムの混合比は、カリウムがナトリウムのモル数にして3倍となり、共晶物形成による融点低下を防止する。従って、石炭灰の溶融による伝熱管表面の腐食が抑制される。
なお、カリウム化合物は、硫酸カリウムに限らず、水酸化カリウム、炭酸カリウム、硝酸カリウム、及び塩化カリウムのどれでも構わない。
また、添加するアルカリ化合物はカリウム以外にナトリウムでも構わない。ナトリウム化合物は硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、及び塩化ナトリウムのどれでも構わない。
図11において、一点鎖線で囲まれた部分を追加したものが、比較例に係る石炭焚きボイラ装置の概略構成図である。
この比較例では、硫酸カリウム水溶液を添加する設備として、硫酸カリウム水溶液タンク40、液体ポンプ41ならびに噴霧スプレ42を図に示すように設置して、火炉9の上部から炉内に硫酸カリウム水溶液を噴霧する構成になっている。
この比較例では、硫酸カリウム水溶液を添加する設備として、硫酸カリウム水溶液タンク40、液体ポンプ41ならびに噴霧スプレ42を図に示すように設置して、火炉9の上部から炉内に硫酸カリウム水溶液を噴霧する構成になっている。
しかし、アルカリ成分が液相のときは、高温条件下で激しい腐食が起こることが知られており、添加装置や噴霧ノズルが腐食損傷や閉塞を起こす。また、火炉9内に噴霧しても、微量な硫黄成分がアルカリ成分と十分に反応することは期待できない。
燃料に直接、液体の添加物(例えば硫酸カリウム水溶液)を添加することも考えられるが、ガスタ−ビンなどの気体や液体の燃料では効果があるものの、石炭などの固体燃料では均一混合するのに長時間を要する。また、添加後、ボイラ装置に供給するまでの経路において、液体の添加物による腐食の加速が生じ得るなど、好ましいことではない。
本発明は、主蒸気温度が550℃を超える超高温高圧ボイラ装置において重要な技術であり、石炭焚きボイラ装置内における石炭灰腐食の抑制効果が大きい。
1:石炭バンカ、
2:硫酸カリウムバンカ、
3:コンベア、
4:竪型ローラミル、
6:微粉炭供給ライン、
7:バーナ、
9:火炉、
11:高温過熱器、
12:高温再熱器、
20:定量搬送部、
21:定量搬送部、
22:スクリューフィーダ、
23:石炭と硫酸カリウムの混合原料、
25:微粉砕粒子(石炭と硫酸カリウムの微粉混合物)
29:粉砕ローラ、
30:回転テーブル、
33:1次空気、
50:分級ふるい、
51:制御部。
2:硫酸カリウムバンカ、
3:コンベア、
4:竪型ローラミル、
6:微粉炭供給ライン、
7:バーナ、
9:火炉、
11:高温過熱器、
12:高温再熱器、
20:定量搬送部、
21:定量搬送部、
22:スクリューフィーダ、
23:石炭と硫酸カリウムの混合原料、
25:微粉砕粒子(石炭と硫酸カリウムの微粉混合物)
29:粉砕ローラ、
30:回転テーブル、
33:1次空気、
50:分級ふるい、
51:制御部。
Claims (4)
- 石炭を粉砕する粉砕装置と、
その粉砕装置で粉砕された石炭粒子を搬送してバ−ナを用いて燃焼させるボイラ装置を備えた石炭焚きボイラプラントにおいて、
前記粉砕装置へ供給される石炭の供給系統に、固形のアルカリ化合物を含有する固形物添加手段を接続して、
前記粉砕装置へ供給される石炭の供給量に応じて前記アルカリ化合物含有固形物の添加量を調整する添加量調整手段を設けたことを特徴とする石炭焚きボイラプラント。 - 請求項1に記載の石炭焚きボイラプラントにおいて、
前記粉砕装置により粉砕されて前記バーナに搬送される粉砕アルカリ化合物含有固形物の平均粒子径D1が、前記粉砕装置により粉砕されて前記バーナに搬送される石炭粒子の平均粒子径D2以下(D1≦D2)になるように、前記固形物添加手段により供給される未粉砕アルカリ化合物含有固形物の粒子径を規制する分級手段が設けられていることを特徴とする石炭焚きボイラプラント。 - 請求項1または2に記載の石炭焚きボイラプラントにおいて、
前記アルカリ化合物が、硫酸カリウム、炭酸カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び塩化ナトリウムのグループから選択された1種以上のアルカリ化合物であることを特徴とする石炭焚きボイラプラント。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の石炭焚きボイラプラントにおいて、
前記ボイラ装置の主蒸気温度が550℃を超える超臨界圧ボイラ装置であることを特徴とする石炭焚きボイラプラント。
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CN105541673A (zh) * | 2016-01-14 | 2016-05-04 | 浙江秦燕科技股份有限公司 | 一种管道式连续化生产clt酸硝化物的方法 |
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CN109174277A (zh) * | 2017-04-05 | 2019-01-11 | 孙立民 | 一种液压动力深度可调式粉碎机 |
WO2019106796A1 (ja) * | 2017-11-30 | 2019-06-06 | 中国電力株式会社 | 微粉炭供給装置及び有害微量元素溶出抑制方法 |
-
2011
- 2011-12-01 JP JP2011263633A patent/JP2013117316A/ja active Pending
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