JP3906174B2 - 循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は運転コストが安く、持続的なクリーニング効果が得られ、高温腐食を効果的に防止できる循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物発電は、従来の化石燃料に替わる再生可能エネルギーの安定供給源として、また地球温暖化防止対策として、さらには最終処分場の延命につながる埋め立て量の削減対策等として大きく貢献し、その結果、地球のエネルギー問題、地球の環境問題、そして地域社会問題の改善に寄与するものと期待されている。
【0003】
平成13年に6月に提出された2010年度の廃棄物発電導入目標として、新エネルギー全体の3割に相当する417万KWの目標が掲げられている。1999年度の実績が90万KW程度であることから、5倍の設備容量の増加を図る必要があるとされている。
【0004】
また、循環型社会構築に向けた法体系も着々と整備され、見直しが実施され、2003年4月から新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS制度)が完全施行されることから、都市ごみ、下水汚泥、食品廃棄物、農林水産廃棄物、製紙黒液、建築廃材などの廃棄物を対象とした新エネルギー発電の推進が図られるものと予想される。
【0005】
新エネルギー発電の推進において、近年、廃棄物発電分野の核となる廃棄物燃焼からの超高効率発電を可能とする循環流動層ボイラが注目されている。
【0006】
従来の循環型流動層ボイラは、図4に示すように、流動層を有するコンバスタ50と、サイクロン51と、外部熱交換器52、循環ライン53、対流伝熱部54、燃焼排ガスダクト55、バグフィルター56を備えている。
【0007】
コンバスタ50の底部に供給される廃棄物などの燃料、補助燃料、砂利や砂などのデンスベッド材、循環ソリッドなどが燃焼空気によって流動化されている状態で燃焼を開始すると、高温の燃焼ガスが発生し、その燃焼ガスはデンスベッド材の一部の粒子を同伴してサイクロン51に送られ粒子が捕集される。
【0008】
サイクロン51で捕集された粒子は、下方に排出され外部熱交換器52に送られて、熱回収される。外部熱交換器52を経由した粒子は、冷固体になり、循環ライン53を介してコンバスタ底部のデンスベッド部に循環ソリッドとして送られ、循環使用される。サイクロン51から分離された分離ガスと灰は対流伝熱部54に送られ、該ガスから熱回収する。その後、灰は燃焼排ガスダクト55を介してバグフィルター56に送られ分離収集される。かかる装置において、外部熱交換器52及び対流伝熱部54で回収された熱を利用して高温高圧の蒸気を発生させている。
【0009】
しかしながら、燃料源である廃棄物中のアルカリ金属濃度が増大すると、サイクロンから対流伝熱部にわたって灰付着、クリンカ生成、閉塞の問題が顕在化してくる。著しい場合は、ボイラを停止して清掃する必要があった。また対流伝熱部内の伝熱管の汚れが増加すると、伝熱不良により排ガス温度が上昇し熱効率が低下する問題がある。
【0010】
このため、サイクロンから対流伝熱部にわたる部位や、対流伝熱部内の伝熱管のクリーニング対策が望まれていた。
【0011】
従来、かかるクリーニング手段の一つとして、蒸気式スス吹き装置が知られている。
【0012】
しかし、蒸気式スス吹き装置では、粘着性のある廃棄物燃焼灰に対し、効果が不十分であり、高価な蒸気を消費し、運動経費が高い問題があり、機械的故障が多い難点がある。
【0013】
また、スチールボールショット方式も知られているが、10mm程度の金属製ボールを落下させて管に衝突させるため、ボールのあたらない部分にクリーニング効果のむらが生じる問題や、管の裏側に付着した灰を除去できない問題があり、また長時間の使用で管に損傷を与える場合があるなどの問題がある。
【0014】
更に音波や衝撃波を使用してクリーニングする方式も知られているが、粘着性のある廃棄物燃焼灰に対し、効果が少ない欠点があり、一般の石炭燃焼においても効果が無い場合があるなどの問題がある。
【0015】
また特許文献1には、系内で捕集された粒子(ソリッド)の一部を対流伝熱部の上流側に導き、対流伝熱部に設けられている伝熱管の表面に供給して衝突させ、表面付着物を剥離する粒子クリーニング方式が開示されている。
【0016】
しかし、捕集された粒子(ソリッド)を構成する成分は石炭燃焼灰や石炭石、石膏などで構成されているが、これらの粒子は、燃料の変化などに影響されて粒子サイズや強度が変化するため、安定したクリーニング効果が得られにくい課題が残されている。
【0017】
また硅砂を供給した場合、硅砂は600℃程度で結晶構造が変化すると共に、強度が低下し、摩耗し易くなる。
【0018】
一方、廃棄物燃焼灰中の溶融塩が対流伝熱部の伝熱管に付着すると、高温腐食を引き起こす問題がある。
【0019】
特許文献2には、灰中のAl2O3とSiO2の酸化物の量を増加させて腐食を低減する技術が開示されている。
【0020】
しかし、特許文献2の技術では、Al2O3とSiO2の酸化物を添加する手法であるため、常時消耗され、連続的に添加する必要があり、ランニングコストが高くなる問題がある。また特許文献2の技術では、持続的な高温腐食効果が得られない問題がある。
【0021】
【特許文献1】
特開平4−48185号公報
【特許文献2】
特開昭58−213882号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、運転コストが安く、持続的なクリーニング効果が得られ、持続的な高温腐食防止を可能にする循環流動層ボイラ対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステムを提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0024】
(請求項1)各種廃棄物を燃焼し、蒸気を発生して熱回収を行う循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステムにおいて、
燃焼ガスが流入する対流伝熱部の上部入口側に、セラミック粒子の貯蔵器を設け、
該貯蔵器下部に、セラミック粒子の供給機を設け、
該供給機は、粒子供給管に接続されており、該粒子供給管は対流伝熱部内部に前記セラミック粒子が供給されるよう連結されており、
前記貯蔵器上部には、セラミック粒子返送管が連結されており、
前記対流伝熱部の下流には、バグフィルターが設けられ、
該バグフィルターの下部には少なくとも燃焼灰とセラミック粒子の分級器を備え、
該分級器で分級されたセラミック粒子は前記セラミック粒子返送管を介して前記貯蔵器に戻される構成であり、
前記循環するセラミック粒子が、粒径範囲の異なる少なくとも2種類以上の粒子であることを特徴とする循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム。
【0025】
(請求項2)前記分級器が風力式分級器であることを特徴とする請求項1記載の循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム。
【0026】
(請求項3)前記セラミック粒子が、10〜100μmの範囲の小粒子と、100〜500μmの範囲の大粒子の両方を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム。
【0027】
(請求項4)小粒子のセラミック粒子が、アルミナ粒子又はジルコニア粒子であり、大粒子のセラミック粒子が、前記小粒子のセラミック粒子より比重が小さいことを特徴とする請求項3記載の循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は、本発明に好ましく用いられる循環流動層ボイラにおける対流伝熱部のクリーニングシステムの一例を示す説明図である。
【0030】
同図において、1は流動層(デンスベッド)を有するコンバスタである。コンバスタ1の下部には、燃料源となる廃棄物、補助燃料、燃焼用空気、循環ソリッド、デンスベッド材などが供給され、燃焼用空気が供給されると、これらは激しく流動化され、混合攪拌される。流動化された状態で、着火されると、激しく高温燃焼し、燃焼ガスや灰などを発生する。
【0031】
この燃焼ガスには流動層(デンスベッド)を形成する粒子が、循環ソリッド(粒子)として同伴し、燃焼ガスダクト100を介して粒子捕集装置2に導かれる。
【0032】
粒子捕集装置2では燃焼ガスに同伴して排出された粒子 が分離される。粒子捕集装置2としては、粒子を捕集できる例えばサイクロンを用いることができる。以下、この粒子捕集装置2をサイクロン2という。
【0033】
サイクロン2で捕集された粒子は、外部熱交換器3で熱回収されて再度コンバスタ1に循環ソリッドとして戻される。
【0034】
サイクロン2から排出された分離ガスと灰は、対流伝熱部4に導入される。
【0035】
対流伝熱部4の内部には、伝熱管40を備え、分離ガスから熱回収するように構成されている。伝熱管40の配置等は図示に限定されず、回収した熱から効率的なボイラ蒸気を得るように設計されていることが好ましい。
【0036】
図1において、400はサイクロン2で分離された分離ガス(以下、燃焼ガスという場合がある)が流入する対流伝熱部4の入口であり、該入口400の上部に、セラミック粒子を貯蔵する貯蔵器であるホッパー401が設けられている。
【0037】
本発明では、セラミック粒子が後述のバグフィルター(BAG)を経由してホッパー401に戻ってくるまでに数分の時間を必要とすることから、ホッパー容量を決定する上では、運転初期の使用分として、5〜10分程度のセラミック粒子供給量を保有するだけの容量が最低限必要である。また運転過程で消耗することがあるので、その消耗分を補充できるようにしておくこともホッパー容量に考慮しておく必要がある。
【0038】
ホッパー401下部には、セラミック粒子の供給機402が設けられ、該供給機402としてはセラミック粒子を一定量切り出す複数の定量供給機が好ましい。なお、図面では1つの定量供給機402が示されている。定量供給機402の構成は特に限定されるわけではないが、ロータリーバルブやスクリューフィーダなどを用いることができる。
【0039】
定量供給機402の出口は、複数の粒子供給管403に分岐されている。図示では2つの分岐管403が例示的に示されている。
【0040】
個々の粒子供給管403は対流伝熱部4の入口ダクト404に連結され、入口ダクト404に落下供給するようにしてもよいし、対流伝熱部4の入口400に落下供給してもよい。
【0041】
このようにして対流伝熱部4の上部に設置されたホッパー401に貯留されたセラミック粒子は、定量供給機402、分岐管403を経由して対流伝熱部4内に供給される。
【0042】
セラミック粒子の対流伝熱部4内への供給量を調整する場合には、ホッパー下部の供給機402の供給スピードによって調整することができる。
【0043】
尚、405は、後述のバグフィルター(BAG)5を経由してホッパー401に戻ってくるためのセラミック粒子返送管である。
【0044】
本発明で用いられるセラミック粒子は、粒径範囲を異にする少なくとも2種以上の粒子であり、好ましい態様としては、10〜100μm(平均20〜40μm)の範囲の小粒子と、100μm〜500μm(平均300μm)の範囲の大粒子の両方を含むことである。
【0045】
小粒子のセラミック粒子は、アルミナ(Al2O3)粒子(比重3.3)又はジルコニア(ZrO2)粒子(比重5.3)で、耐食性、耐摩耗性のある比重の重い粒子である。
【0046】
本発明において、小粒子は焼却灰量に対し1〜6倍の量を添加することが好ましく、また大粒子は燃焼灰の1〜4倍量を添加することが好ましい。腐食成分濃度が4%の場合、小粒子の同量添加によって2%となることが好ましい。
【0047】
セラミック粒子の対流伝熱部4への供給量は、燃焼灰中に含まれるアルカリ金属類や重金属類からなる腐食成分濃度が2%以下になるように調整されることがクリーニング効果及び高温腐食防止効果をより発揮する上で好ましい。
【0048】
アルカリ金属類としては、Na、Kなどが挙げられ、重金属類としては、Zn、Pbなどが挙げられる。腐食成分濃度は灰、腐食成分、セラミック粒子の量を全量としたときの濃度であり、腐食成分というのは塩素と反応して低融点の溶融塩を生成し、腐食を加速させる成分である。廃棄物中の燃焼灰は、腐食成分、イナート(アルミナ、シリカ、その他)が主な成分であり、これにセラミック粒子を加えてイナート成分濃度を上昇し、腐食成分濃度を低下させる。
【0049】
本発明において、クリーニング効果と高温腐食防止効果を発揮させる上では、セラミック粒子を対流伝熱部内で均一分散することが好ましい。伝熱管に満遍なくセラミック粒子を衝突させたり、あるいは伝熱管に付着堆積する腐食成分濃度を相対的に減少させることができるからである。かかる観点から、本発明では、上述したように複数の供給機402と、その下部に接続する分岐管403を設けることは好ましいことである。
【0050】
本発明において、セラミック粒子は、組成原料とバインダー等を混合し、焼成、成型された粒子であり、耐磨耗性に優れる性質を備えている。セラミック小粒子は、アルミナ粒子又はジルコニアを組成原料とし、またセラミック大粒子は、Al2O3とSiO2などを組成原料とする。
【0051】
セラミック大粒子におけるセラミック粒子を構成するAl2O3とSiO2の組成比は、Al2O3=50〜80%、SiO2=20〜50%の範囲が好ましい。
【0052】
本発明で更に好ましいセラミック大粒子は、Al2O3=61%、SiO2=37%のムライト質の球形セラミック粒子である。硅砂は600℃程度で結晶構造が変化すると共に、強度が低下し、摩耗し易くなるが、上記のセラミック粒子は、硅砂より強度が高く、熱的にも安定している。また球形のため、それ自身耐摩耗性があり、かつボイラ管を摩耗させない効果がある。
【0053】
対流伝熱部4を通過した燃焼灰とセラミック粒子は、バグフィルター(BAG)5に流入して、捕集される。
【0054】
対流伝熱部4下流に設けられたバグフィルター5の下部には、各セルの燃焼灰を排出する複数の排出口500を有しており、該排出口500には、ダンパーなどの開閉弁を備えていてもよい。503は燃焼排ガスの吸引ブロアである。
【0055】
複数の排出口500は排出管501を介して集合コンベア502に連結されている。
【0056】
バグフィルター5で捕集された粒子は、バグフィルター5の各セルの下部に設けられた排出口500から、集合コンベア502に乗り、移送コンベア600を介して分級器の好ましい態様である風力分級器6に運ばれる。
【0057】
風力分級器6の内部には空気分散板60が設けられ、空気分散板から吹き出す空気によりセラミック粒子と灰とに分離された後、セラミック粒子は、振動篩器601にかけられる。
【0058】
振動篩器601では、例えばクリーニングにより叩き落とされたクリンカなどの大きな固まりが分離される。図示の例では排出口602から排出されて堆積している状態が示されている。
【0059】
風力分級器6においては、ブロア603によってセラミック粒子や灰を浮遊状態にして、流動層を形成し、比重差によって、セラミック粒子と灰に分離する。
【0060】
セラミック小粒子は、比重が通常の廃棄物燃焼灰に比べて比重が2〜3倍と重く、サイズが同じであっても、分離が容易である。したがって、バグフィルターで捕集後に風力分級器6で分離することが可能である。
【0061】
また大粒子のセラミック粒子は、灰との分離が可能な程度の比重があるので、灰との分離は可能である。
【0062】
本発明において、燃焼灰とセラミック粒子の分離手段として、風力分級器(流動層分級器)を使用しているが、本発明において、風力分級器の流動層の空気分散板をコーン形状として中央部から粒子を抜き出すことは好ましい態様である。
【0063】
かかる形態の流動層を形成することにより、下部空気流速を0.06〜0.2m/sec(好ましくは0.1m/sec程度)と高く設定すると、活発な乱流流動層を形成でき、セラミック粒子は飛び出さないが、燃焼灰は飛び出すようにすることができる。このようにすると、セラミック粒子に付着した付着・腐食成分も剥離し、飛び出させることが可能になる。
【0064】
振動篩器601を通過した大粒子と小粒子のセラミック粒子は、輸送器604によって空気輸送され、セラミック粒子供給管405を介してホッパー401に送られ、循環使用される。
【0065】
風力分級器6で分離された灰は、上部に出口605から風力分級器6内部に分級用の空気を供給するブロア603によって灰サイロ7に送られる。
【0066】
ブロア603から供給する空気はヒーターによって予熱されていることが分級を促進する上で好ましい。
【0067】
本発明では、灰付着性や腐食性が全くないセラミック粒子を対流伝熱部4からバグフィルター5までを循環させ、対流伝熱部を通過する燃焼灰中の付着・腐食成分の濃度を大幅に低下させる事により、伝熱管上の堆積する灰組成を変化させて、管の付着・腐食を低減することができる。
【0068】
具体的には、セラミック粒子のうちの大粒子は、対流伝熱部4内に供給することによって、対流伝熱部4内で燃焼灰を含む排ガスと接触混合し、分散し、伝熱管40群と衝突を繰り返して、管上に付着、堆積した燃焼灰をクリーニングしていくことができる。また小粒子のセラミック粒子は、対流伝熱部を通過する燃焼灰中の付着・腐食成分の濃度を大幅に低下させることにより、伝熱管上に堆積する灰組成を変化させて、管の腐食を低減することができる。このように大粒子と小粒子のセラミック粒子の相乗作用によって、伝熱管のクリーニングと高温腐食の防止効果を発揮できる。つまり、付着・腐食成分による底流伝熱部の汚れ、腐食問題を同時に解決することが可能となるのである。
【0069】
本発明において、セラミック粒子は大粒子であっても小粒子であっても、耐磨耗性に優れるので、循環使用による長期の持続的な運転ができ、運転コストが大幅に低減される。磨耗によって灰と分離できなかった粒子は、灰サイロ7に送られることになる。
【0070】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施の形態は上記に限定されず、例えば本発明に用いられる循環流動層ボイラは、各種廃棄物を燃焼し、蒸気を発生して熱回収を行う構造であれば特に限定されない。各種廃棄物としては、建築廃材チップ、下水汚泥、農林廃棄物、食品廃棄物、RDF(Rufuse Derived Fuel)等の再生可能エネルギー及びRPF(Rufuse Paper & Plastic Fuel)、廃タイヤ等の産業廃棄物などが挙げられる。
【0071】
また以上の実施形態では、対流伝熱部4に伝熱管40を備えた例を説明したが、過熱器、蒸発管、節炭器、空気予熱器を備えていてもよい。
【0072】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されない。
【0073】
実施例1
図1に示す装置において、RPFを燃料とした循環流動層ボイラを用いて、対流伝熱部への燃焼灰に対するセラミック粒子供給量と、BAG出口温度との関係を調べ、セラミック粒子のクリーニング効果を確認した。
【0074】
その結果を図3に示した。
【0075】
図3に示すように、セラミック粒子の対流伝熱部内への供給量は、焼却灰量に対して、1.0〜4.0kg/焼却灰量Kgの範囲で、クリーニング効果を発揮することがわかる。
【0076】
実施例2
図1に示す装置において、RPFを燃料とした循環流動層ボイラを用いて、対流伝熱部への燃焼灰に対するセラミック粒子供給量と、伝熱管の腐食速度の関係を調べ、セラミック粒子の腐食防止効果を確認した。
【0077】
その結果を図4に示した。
【0078】
図4に示すように、セラミック粒子の対流伝熱部内への供給量は、焼却灰量に対して、1.5〜6.0kg/焼却灰量Kgの範囲で、腐食防止効果を発揮することがわかる。
【0079】
【発明の効果】
本発明によると、運転コストが安く、持続的なクリーニング効果が得られ、持続的な高温腐食防止を可能にする循環流動層ボイラ対流伝熱部の高温腐食及びクリーニングシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す説明図
【図2】本発明のクリーニング効果を確認した結果を示すグラフ
【図3】本発明の腐食低減効果を確認した結果を示すグラフ
【図4】従来例を示す図
【符号の説明】
1:コンバスタ
100:燃焼ガスダクト
2:粒子捕集装置
3:外部熱交換器
4:対流伝熱部
40:伝熱管
400:入口
401:ホッパー
402:定量供給機
403:粒子供給管
404:入口ダクト
405:セラミック粒子返送管
5:バグフィルター(BAG)
500:排出口
501:排出管
502:集合コンベア
503:吸引ブロア
6:風力分級器
600:移送コンベア
601:振動篩器
60:空気分散板
602:排出口
603:ブロア
604:輸送器
605:出口
7:灰サイロ
【発明の属する技術分野】
本発明は運転コストが安く、持続的なクリーニング効果が得られ、高温腐食を効果的に防止できる循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物発電は、従来の化石燃料に替わる再生可能エネルギーの安定供給源として、また地球温暖化防止対策として、さらには最終処分場の延命につながる埋め立て量の削減対策等として大きく貢献し、その結果、地球のエネルギー問題、地球の環境問題、そして地域社会問題の改善に寄与するものと期待されている。
【0003】
平成13年に6月に提出された2010年度の廃棄物発電導入目標として、新エネルギー全体の3割に相当する417万KWの目標が掲げられている。1999年度の実績が90万KW程度であることから、5倍の設備容量の増加を図る必要があるとされている。
【0004】
また、循環型社会構築に向けた法体系も着々と整備され、見直しが実施され、2003年4月から新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS制度)が完全施行されることから、都市ごみ、下水汚泥、食品廃棄物、農林水産廃棄物、製紙黒液、建築廃材などの廃棄物を対象とした新エネルギー発電の推進が図られるものと予想される。
【0005】
新エネルギー発電の推進において、近年、廃棄物発電分野の核となる廃棄物燃焼からの超高効率発電を可能とする循環流動層ボイラが注目されている。
【0006】
従来の循環型流動層ボイラは、図4に示すように、流動層を有するコンバスタ50と、サイクロン51と、外部熱交換器52、循環ライン53、対流伝熱部54、燃焼排ガスダクト55、バグフィルター56を備えている。
【0007】
コンバスタ50の底部に供給される廃棄物などの燃料、補助燃料、砂利や砂などのデンスベッド材、循環ソリッドなどが燃焼空気によって流動化されている状態で燃焼を開始すると、高温の燃焼ガスが発生し、その燃焼ガスはデンスベッド材の一部の粒子を同伴してサイクロン51に送られ粒子が捕集される。
【0008】
サイクロン51で捕集された粒子は、下方に排出され外部熱交換器52に送られて、熱回収される。外部熱交換器52を経由した粒子は、冷固体になり、循環ライン53を介してコンバスタ底部のデンスベッド部に循環ソリッドとして送られ、循環使用される。サイクロン51から分離された分離ガスと灰は対流伝熱部54に送られ、該ガスから熱回収する。その後、灰は燃焼排ガスダクト55を介してバグフィルター56に送られ分離収集される。かかる装置において、外部熱交換器52及び対流伝熱部54で回収された熱を利用して高温高圧の蒸気を発生させている。
【0009】
しかしながら、燃料源である廃棄物中のアルカリ金属濃度が増大すると、サイクロンから対流伝熱部にわたって灰付着、クリンカ生成、閉塞の問題が顕在化してくる。著しい場合は、ボイラを停止して清掃する必要があった。また対流伝熱部内の伝熱管の汚れが増加すると、伝熱不良により排ガス温度が上昇し熱効率が低下する問題がある。
【0010】
このため、サイクロンから対流伝熱部にわたる部位や、対流伝熱部内の伝熱管のクリーニング対策が望まれていた。
【0011】
従来、かかるクリーニング手段の一つとして、蒸気式スス吹き装置が知られている。
【0012】
しかし、蒸気式スス吹き装置では、粘着性のある廃棄物燃焼灰に対し、効果が不十分であり、高価な蒸気を消費し、運動経費が高い問題があり、機械的故障が多い難点がある。
【0013】
また、スチールボールショット方式も知られているが、10mm程度の金属製ボールを落下させて管に衝突させるため、ボールのあたらない部分にクリーニング効果のむらが生じる問題や、管の裏側に付着した灰を除去できない問題があり、また長時間の使用で管に損傷を与える場合があるなどの問題がある。
【0014】
更に音波や衝撃波を使用してクリーニングする方式も知られているが、粘着性のある廃棄物燃焼灰に対し、効果が少ない欠点があり、一般の石炭燃焼においても効果が無い場合があるなどの問題がある。
【0015】
また特許文献1には、系内で捕集された粒子(ソリッド)の一部を対流伝熱部の上流側に導き、対流伝熱部に設けられている伝熱管の表面に供給して衝突させ、表面付着物を剥離する粒子クリーニング方式が開示されている。
【0016】
しかし、捕集された粒子(ソリッド)を構成する成分は石炭燃焼灰や石炭石、石膏などで構成されているが、これらの粒子は、燃料の変化などに影響されて粒子サイズや強度が変化するため、安定したクリーニング効果が得られにくい課題が残されている。
【0017】
また硅砂を供給した場合、硅砂は600℃程度で結晶構造が変化すると共に、強度が低下し、摩耗し易くなる。
【0018】
一方、廃棄物燃焼灰中の溶融塩が対流伝熱部の伝熱管に付着すると、高温腐食を引き起こす問題がある。
【0019】
特許文献2には、灰中のAl2O3とSiO2の酸化物の量を増加させて腐食を低減する技術が開示されている。
【0020】
しかし、特許文献2の技術では、Al2O3とSiO2の酸化物を添加する手法であるため、常時消耗され、連続的に添加する必要があり、ランニングコストが高くなる問題がある。また特許文献2の技術では、持続的な高温腐食効果が得られない問題がある。
【0021】
【特許文献1】
特開平4−48185号公報
【特許文献2】
特開昭58−213882号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、運転コストが安く、持続的なクリーニング効果が得られ、持続的な高温腐食防止を可能にする循環流動層ボイラ対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステムを提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0024】
(請求項1)各種廃棄物を燃焼し、蒸気を発生して熱回収を行う循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステムにおいて、
燃焼ガスが流入する対流伝熱部の上部入口側に、セラミック粒子の貯蔵器を設け、
該貯蔵器下部に、セラミック粒子の供給機を設け、
該供給機は、粒子供給管に接続されており、該粒子供給管は対流伝熱部内部に前記セラミック粒子が供給されるよう連結されており、
前記貯蔵器上部には、セラミック粒子返送管が連結されており、
前記対流伝熱部の下流には、バグフィルターが設けられ、
該バグフィルターの下部には少なくとも燃焼灰とセラミック粒子の分級器を備え、
該分級器で分級されたセラミック粒子は前記セラミック粒子返送管を介して前記貯蔵器に戻される構成であり、
前記循環するセラミック粒子が、粒径範囲の異なる少なくとも2種類以上の粒子であることを特徴とする循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム。
【0025】
(請求項2)前記分級器が風力式分級器であることを特徴とする請求項1記載の循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム。
【0026】
(請求項3)前記セラミック粒子が、10〜100μmの範囲の小粒子と、100〜500μmの範囲の大粒子の両方を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム。
【0027】
(請求項4)小粒子のセラミック粒子が、アルミナ粒子又はジルコニア粒子であり、大粒子のセラミック粒子が、前記小粒子のセラミック粒子より比重が小さいことを特徴とする請求項3記載の循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は、本発明に好ましく用いられる循環流動層ボイラにおける対流伝熱部のクリーニングシステムの一例を示す説明図である。
【0030】
同図において、1は流動層(デンスベッド)を有するコンバスタである。コンバスタ1の下部には、燃料源となる廃棄物、補助燃料、燃焼用空気、循環ソリッド、デンスベッド材などが供給され、燃焼用空気が供給されると、これらは激しく流動化され、混合攪拌される。流動化された状態で、着火されると、激しく高温燃焼し、燃焼ガスや灰などを発生する。
【0031】
この燃焼ガスには流動層(デンスベッド)を形成する粒子が、循環ソリッド(粒子)として同伴し、燃焼ガスダクト100を介して粒子捕集装置2に導かれる。
【0032】
粒子捕集装置2では燃焼ガスに同伴して排出された粒子 が分離される。粒子捕集装置2としては、粒子を捕集できる例えばサイクロンを用いることができる。以下、この粒子捕集装置2をサイクロン2という。
【0033】
サイクロン2で捕集された粒子は、外部熱交換器3で熱回収されて再度コンバスタ1に循環ソリッドとして戻される。
【0034】
サイクロン2から排出された分離ガスと灰は、対流伝熱部4に導入される。
【0035】
対流伝熱部4の内部には、伝熱管40を備え、分離ガスから熱回収するように構成されている。伝熱管40の配置等は図示に限定されず、回収した熱から効率的なボイラ蒸気を得るように設計されていることが好ましい。
【0036】
図1において、400はサイクロン2で分離された分離ガス(以下、燃焼ガスという場合がある)が流入する対流伝熱部4の入口であり、該入口400の上部に、セラミック粒子を貯蔵する貯蔵器であるホッパー401が設けられている。
【0037】
本発明では、セラミック粒子が後述のバグフィルター(BAG)を経由してホッパー401に戻ってくるまでに数分の時間を必要とすることから、ホッパー容量を決定する上では、運転初期の使用分として、5〜10分程度のセラミック粒子供給量を保有するだけの容量が最低限必要である。また運転過程で消耗することがあるので、その消耗分を補充できるようにしておくこともホッパー容量に考慮しておく必要がある。
【0038】
ホッパー401下部には、セラミック粒子の供給機402が設けられ、該供給機402としてはセラミック粒子を一定量切り出す複数の定量供給機が好ましい。なお、図面では1つの定量供給機402が示されている。定量供給機402の構成は特に限定されるわけではないが、ロータリーバルブやスクリューフィーダなどを用いることができる。
【0039】
定量供給機402の出口は、複数の粒子供給管403に分岐されている。図示では2つの分岐管403が例示的に示されている。
【0040】
個々の粒子供給管403は対流伝熱部4の入口ダクト404に連結され、入口ダクト404に落下供給するようにしてもよいし、対流伝熱部4の入口400に落下供給してもよい。
【0041】
このようにして対流伝熱部4の上部に設置されたホッパー401に貯留されたセラミック粒子は、定量供給機402、分岐管403を経由して対流伝熱部4内に供給される。
【0042】
セラミック粒子の対流伝熱部4内への供給量を調整する場合には、ホッパー下部の供給機402の供給スピードによって調整することができる。
【0043】
尚、405は、後述のバグフィルター(BAG)5を経由してホッパー401に戻ってくるためのセラミック粒子返送管である。
【0044】
本発明で用いられるセラミック粒子は、粒径範囲を異にする少なくとも2種以上の粒子であり、好ましい態様としては、10〜100μm(平均20〜40μm)の範囲の小粒子と、100μm〜500μm(平均300μm)の範囲の大粒子の両方を含むことである。
【0045】
小粒子のセラミック粒子は、アルミナ(Al2O3)粒子(比重3.3)又はジルコニア(ZrO2)粒子(比重5.3)で、耐食性、耐摩耗性のある比重の重い粒子である。
【0046】
本発明において、小粒子は焼却灰量に対し1〜6倍の量を添加することが好ましく、また大粒子は燃焼灰の1〜4倍量を添加することが好ましい。腐食成分濃度が4%の場合、小粒子の同量添加によって2%となることが好ましい。
【0047】
セラミック粒子の対流伝熱部4への供給量は、燃焼灰中に含まれるアルカリ金属類や重金属類からなる腐食成分濃度が2%以下になるように調整されることがクリーニング効果及び高温腐食防止効果をより発揮する上で好ましい。
【0048】
アルカリ金属類としては、Na、Kなどが挙げられ、重金属類としては、Zn、Pbなどが挙げられる。腐食成分濃度は灰、腐食成分、セラミック粒子の量を全量としたときの濃度であり、腐食成分というのは塩素と反応して低融点の溶融塩を生成し、腐食を加速させる成分である。廃棄物中の燃焼灰は、腐食成分、イナート(アルミナ、シリカ、その他)が主な成分であり、これにセラミック粒子を加えてイナート成分濃度を上昇し、腐食成分濃度を低下させる。
【0049】
本発明において、クリーニング効果と高温腐食防止効果を発揮させる上では、セラミック粒子を対流伝熱部内で均一分散することが好ましい。伝熱管に満遍なくセラミック粒子を衝突させたり、あるいは伝熱管に付着堆積する腐食成分濃度を相対的に減少させることができるからである。かかる観点から、本発明では、上述したように複数の供給機402と、その下部に接続する分岐管403を設けることは好ましいことである。
【0050】
本発明において、セラミック粒子は、組成原料とバインダー等を混合し、焼成、成型された粒子であり、耐磨耗性に優れる性質を備えている。セラミック小粒子は、アルミナ粒子又はジルコニアを組成原料とし、またセラミック大粒子は、Al2O3とSiO2などを組成原料とする。
【0051】
セラミック大粒子におけるセラミック粒子を構成するAl2O3とSiO2の組成比は、Al2O3=50〜80%、SiO2=20〜50%の範囲が好ましい。
【0052】
本発明で更に好ましいセラミック大粒子は、Al2O3=61%、SiO2=37%のムライト質の球形セラミック粒子である。硅砂は600℃程度で結晶構造が変化すると共に、強度が低下し、摩耗し易くなるが、上記のセラミック粒子は、硅砂より強度が高く、熱的にも安定している。また球形のため、それ自身耐摩耗性があり、かつボイラ管を摩耗させない効果がある。
【0053】
対流伝熱部4を通過した燃焼灰とセラミック粒子は、バグフィルター(BAG)5に流入して、捕集される。
【0054】
対流伝熱部4下流に設けられたバグフィルター5の下部には、各セルの燃焼灰を排出する複数の排出口500を有しており、該排出口500には、ダンパーなどの開閉弁を備えていてもよい。503は燃焼排ガスの吸引ブロアである。
【0055】
複数の排出口500は排出管501を介して集合コンベア502に連結されている。
【0056】
バグフィルター5で捕集された粒子は、バグフィルター5の各セルの下部に設けられた排出口500から、集合コンベア502に乗り、移送コンベア600を介して分級器の好ましい態様である風力分級器6に運ばれる。
【0057】
風力分級器6の内部には空気分散板60が設けられ、空気分散板から吹き出す空気によりセラミック粒子と灰とに分離された後、セラミック粒子は、振動篩器601にかけられる。
【0058】
振動篩器601では、例えばクリーニングにより叩き落とされたクリンカなどの大きな固まりが分離される。図示の例では排出口602から排出されて堆積している状態が示されている。
【0059】
風力分級器6においては、ブロア603によってセラミック粒子や灰を浮遊状態にして、流動層を形成し、比重差によって、セラミック粒子と灰に分離する。
【0060】
セラミック小粒子は、比重が通常の廃棄物燃焼灰に比べて比重が2〜3倍と重く、サイズが同じであっても、分離が容易である。したがって、バグフィルターで捕集後に風力分級器6で分離することが可能である。
【0061】
また大粒子のセラミック粒子は、灰との分離が可能な程度の比重があるので、灰との分離は可能である。
【0062】
本発明において、燃焼灰とセラミック粒子の分離手段として、風力分級器(流動層分級器)を使用しているが、本発明において、風力分級器の流動層の空気分散板をコーン形状として中央部から粒子を抜き出すことは好ましい態様である。
【0063】
かかる形態の流動層を形成することにより、下部空気流速を0.06〜0.2m/sec(好ましくは0.1m/sec程度)と高く設定すると、活発な乱流流動層を形成でき、セラミック粒子は飛び出さないが、燃焼灰は飛び出すようにすることができる。このようにすると、セラミック粒子に付着した付着・腐食成分も剥離し、飛び出させることが可能になる。
【0064】
振動篩器601を通過した大粒子と小粒子のセラミック粒子は、輸送器604によって空気輸送され、セラミック粒子供給管405を介してホッパー401に送られ、循環使用される。
【0065】
風力分級器6で分離された灰は、上部に出口605から風力分級器6内部に分級用の空気を供給するブロア603によって灰サイロ7に送られる。
【0066】
ブロア603から供給する空気はヒーターによって予熱されていることが分級を促進する上で好ましい。
【0067】
本発明では、灰付着性や腐食性が全くないセラミック粒子を対流伝熱部4からバグフィルター5までを循環させ、対流伝熱部を通過する燃焼灰中の付着・腐食成分の濃度を大幅に低下させる事により、伝熱管上の堆積する灰組成を変化させて、管の付着・腐食を低減することができる。
【0068】
具体的には、セラミック粒子のうちの大粒子は、対流伝熱部4内に供給することによって、対流伝熱部4内で燃焼灰を含む排ガスと接触混合し、分散し、伝熱管40群と衝突を繰り返して、管上に付着、堆積した燃焼灰をクリーニングしていくことができる。また小粒子のセラミック粒子は、対流伝熱部を通過する燃焼灰中の付着・腐食成分の濃度を大幅に低下させることにより、伝熱管上に堆積する灰組成を変化させて、管の腐食を低減することができる。このように大粒子と小粒子のセラミック粒子の相乗作用によって、伝熱管のクリーニングと高温腐食の防止効果を発揮できる。つまり、付着・腐食成分による底流伝熱部の汚れ、腐食問題を同時に解決することが可能となるのである。
【0069】
本発明において、セラミック粒子は大粒子であっても小粒子であっても、耐磨耗性に優れるので、循環使用による長期の持続的な運転ができ、運転コストが大幅に低減される。磨耗によって灰と分離できなかった粒子は、灰サイロ7に送られることになる。
【0070】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施の形態は上記に限定されず、例えば本発明に用いられる循環流動層ボイラは、各種廃棄物を燃焼し、蒸気を発生して熱回収を行う構造であれば特に限定されない。各種廃棄物としては、建築廃材チップ、下水汚泥、農林廃棄物、食品廃棄物、RDF(Rufuse Derived Fuel)等の再生可能エネルギー及びRPF(Rufuse Paper & Plastic Fuel)、廃タイヤ等の産業廃棄物などが挙げられる。
【0071】
また以上の実施形態では、対流伝熱部4に伝熱管40を備えた例を説明したが、過熱器、蒸発管、節炭器、空気予熱器を備えていてもよい。
【0072】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されない。
【0073】
実施例1
図1に示す装置において、RPFを燃料とした循環流動層ボイラを用いて、対流伝熱部への燃焼灰に対するセラミック粒子供給量と、BAG出口温度との関係を調べ、セラミック粒子のクリーニング効果を確認した。
【0074】
その結果を図3に示した。
【0075】
図3に示すように、セラミック粒子の対流伝熱部内への供給量は、焼却灰量に対して、1.0〜4.0kg/焼却灰量Kgの範囲で、クリーニング効果を発揮することがわかる。
【0076】
実施例2
図1に示す装置において、RPFを燃料とした循環流動層ボイラを用いて、対流伝熱部への燃焼灰に対するセラミック粒子供給量と、伝熱管の腐食速度の関係を調べ、セラミック粒子の腐食防止効果を確認した。
【0077】
その結果を図4に示した。
【0078】
図4に示すように、セラミック粒子の対流伝熱部内への供給量は、焼却灰量に対して、1.5〜6.0kg/焼却灰量Kgの範囲で、腐食防止効果を発揮することがわかる。
【0079】
【発明の効果】
本発明によると、運転コストが安く、持続的なクリーニング効果が得られ、持続的な高温腐食防止を可能にする循環流動層ボイラ対流伝熱部の高温腐食及びクリーニングシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す説明図
【図2】本発明のクリーニング効果を確認した結果を示すグラフ
【図3】本発明の腐食低減効果を確認した結果を示すグラフ
【図4】従来例を示す図
【符号の説明】
1:コンバスタ
100:燃焼ガスダクト
2:粒子捕集装置
3:外部熱交換器
4:対流伝熱部
40:伝熱管
400:入口
401:ホッパー
402:定量供給機
403:粒子供給管
404:入口ダクト
405:セラミック粒子返送管
5:バグフィルター(BAG)
500:排出口
501:排出管
502:集合コンベア
503:吸引ブロア
6:風力分級器
600:移送コンベア
601:振動篩器
60:空気分散板
602:排出口
603:ブロア
604:輸送器
605:出口
7:灰サイロ
Claims (6)
- 各種廃棄物を燃焼し、蒸気を発生して熱回収を行う循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステムにおいて、
燃焼ガスが流入する対流伝熱部の上部入口側に、セラミック粒子の貯蔵器を設け、
該貯蔵器下部に、セラミック粒子の供給機を設け、
該供給機は、粒子供給管に接続されており、該粒子供給管は対流伝熱部内部に前記セラミック粒子が供給されるよう連結されており、
前記貯蔵器上部には、セラミック粒子返送管が連結されており、
前記対流伝熱部の下流には、バグフィルターが設けられ、
該バグフィルターの下部には少なくとも燃焼灰とセラミック粒子の分級器を備え、
該分級器で分級されたセラミック粒子は前記セラミック粒子返送管を介して前記貯蔵器に戻される構成であり、
前記循環するセラミック粒子が、粒径範囲の異なる少なくとも2種類以上の粒子であることを特徴とする循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム。 - 前記分級器が風力式分級器であることを特徴とする請求項1記載の循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム。
- 前記セラミック粒子が、10〜100μmの範囲の小粒子と、100〜500μmの範囲の大粒子の両方を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム。
- 小粒子のセラミック粒子が、アルミナ粒子又はジルコニア粒子であり、大粒子のセラミック粒子が、前記小粒子のセラミック粒子より比重が小さいことを特徴とする請求項3記載の循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム。
- 小粒子のセラミック粒子は、燃焼灰の1〜6倍量を添加し、大粒子のセラミック粒子は燃焼灰に対して1〜4倍量添加することを特徴とする請求項3又は4記載の循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム。
- セラミック粒子の対流伝熱部への供給量が、燃焼灰中に含まれるアルカリ金属類や重金属類からなる腐食成分濃度が2%以下になるように調整されることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003081648A JP3906174B2 (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | 循環流動層ボイラにおける対流伝熱部の高温腐食対策及びクリーニングシステム |
Applications Claiming Priority (1)
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