JPH11227139A - 化粧板または化粧シート用着色顔料含有積層ポリエステルフイルム - Google Patents

化粧板または化粧シート用着色顔料含有積層ポリエステルフイルム

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JPH11227139A
JPH11227139A JP4441898A JP4441898A JPH11227139A JP H11227139 A JPH11227139 A JP H11227139A JP 4441898 A JP4441898 A JP 4441898A JP 4441898 A JP4441898 A JP 4441898A JP H11227139 A JPH11227139 A JP H11227139A
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JP4441898A
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Takatoshi Miki
崇利 三木
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Mitsubishi Kagaku Polyester Film KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】再生原料を配合することにより原料コスト上の
利点を有し、しかも、再生原料を配合してもその色調が
一定である化粧板または化粧シート用着色顔料含有積層
ポリエステルフイルムを提供する。 【解決手段】次の(i)及び(ii)の条件を満足し且つ
共押出法によって得られる化粧板用着色顔料含有積層ポ
リエステルフイルム。 (i)少なくとも一方のフイルム最外層(A1)は、新
規ポリエステル含量が90重量%以上のポリエステルか
ら構成され、少なくとも他の一層のフイルム層(A2)
は、着色顔料ポリエステルフイルムから得られる再生ポ
リエステル含量が10〜70重量%で且つ新規ポリエス
テル含量が30〜90重量%のポリエステルから構成さ
れる。 (ii)フイルム最外層(A1)とフイルム層(A2)の所
定の式で表される色差ΔEが5.0以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化粧板または化粧
シート用着色顔料含有積層ポリエステルフイルムに関す
る。ここに、化粧板とは、基材の表面に少なくともフイ
ルム層と絵柄印刷層とを順次に配置して成り、通常、単
独商品として取り扱われる建築材料(表面材料)を言
い、化粧シートとは、各種の家具、建材、住宅機器など
の各種商品の基材の表面に貼合され且つその表面に絵柄
印刷層を配置して使用される装飾材料(表面材料)を言
う。従って、化粧板の基板表面に配置されるフイルム層
と絵柄印刷層とは、化粧シートを構成する要素である。
【0002】
【従来の技術】化粧板の基材と絵柄印刷層との間に使用
されるシート及び化粧シートに使用されるシート(フイ
ルム)としては、塩化ビニル樹脂シートが最も一般的で
ある。しかしながら、塩化ビニル樹脂シートを使用した
場合、可塑剤が接着剤層に移行して基材との間の接着不
良を惹起するとか、熱寸法安定性が悪いために熱による
伸縮が生じてシワを惹起するなどの問題がある。更に、
塩化ビニル樹脂シートは、焼却の際に塩素を発生し、ま
た、酸性雨およびダイオキシン発生の要因になるとも言
われており、環境保護の観点からも塩化ビニル樹脂シー
トを使用しない化粧板および化粧シートの要望が強まっ
ている。
【0003】一方、化粧板および化粧シートは、表面材
として使用されるため、通常、表面には高意匠の絵柄模
様が施される。それ故、絵柄のコントラスト及び陰影の
微妙なコントラストを出すために色調管理が極めて重要
である。
【0004】ところで、ポリエステルフイルムの製造に
おいては、二軸延伸工程のフイルム耳端部の様に、製品
とはならずに切断分離されたフイルムが発生し、そし
て、これらは、ペレット状に加工された後、再生ポリエ
ステルとして使用される。その配合比は、フイルムタイ
プや生産効率などにもよるが、概ね、3〜70重量%で
ある。従って、上記の様な再生ポリエステルを利用した
ポリエステルフイルムを使用するならば、安価にして塩
ビ代替の化粧板または化粧シート用フイルムが実現され
る。
【0005】しかしながら、化粧板または化粧シート用
フイルムとして使用される着色顔料含有ポリエステルフ
イルムの製造工程から発生する再生ポリエステルは、ペ
レット状に加工されるまでの再生工程で色調が大幅に変
化し、その結果、斯かる再生ポリエステルの配合によ
り、得られるポリエステルフイルムの色調も大きく変動
する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実状に
鑑みなされたものであり、その目的は、再生原料を配合
することにより原料コスト上の利点を有し、しかも、再
生原料を配合してもその色調が一定である化粧板または
化粧シート用着色顔料含有積層ポリエステルフイルムを
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、種々検討を
重ねた結果、少なくとも一方の最外層における再生ポリ
エステルと新規ポリエステルとの使用割合を特定の範囲
とし、かつ、他の一層との色調の差を規定することによ
り、上記の目的を達成し得るとの知見を得た。
【0008】本発明は、上記の知見に基づき完成された
ものであり、その第1の要旨は、基材の表面に少なくと
もフイルム層(A)と絵柄印刷層(B)とを順次に配置
して成る化粧板の前記フイルム層(A)に使用され、次
の(i)及び(ii)の条件を満足し且つ共押出法によっ
て得られることを特徴とする化粧板用着色顔料含有積層
ポリエステルフイルムに存する。
【0009】(i)少なくとも一方のフイルム最外層
(A1)と少なくとも他の一層のフイルム層(A2)の下
記の式(1)で表される色差ΔEが50以下である。
【0010】
【数3】 ΔE=((Lm−Ls)2+(am−as)2+(bm−bs)2(1/2) (1) (式(1)中、Ls、as、bsは、最外層(A1)の色
調、Lm、am,bmは他の層(A2)の色調を表す。)
【0011】(ii)フイルム最外層(A1)は新規ポリ
エステル含量が90重量%以上のポリエステルから構成
され、フイルム層(A2)は、着色顔料ポリエステルフ
イルムから得られる再生ポリエステル含量が10〜70
重量%で且つ新規ポリエステル含量が30〜90重量%
のポリエステルから構成される。
【0012】そして、本発明の第2の要旨は、基材の表
面に貼合され且つその表面に絵柄印刷層を配置して使用
され、上記の(i)及び(ii)の条件を満足することを
特徴とする化粧シート用着色顔料含有積層ポリエステル
フイルムに存する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で言うポリエステルとは、ジカルボン酸とジオー
ル又はヒドロキシカルボン酸から重縮合によって得られ
るエステル基を含むポリエステルを指す。
【0014】上記のジカルボン酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸などが挙げられ、上記のジオー
ルとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール、ポリエチレングリコール等が挙げられ、
ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香
酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などが挙げられ
る。
【0015】代表的なポリエステルとしては、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンー2、6ナフタレー
ト等が例示される。本発明で使用するポリエステルは、
ホモポリマーであってもよく、また、第3成分を共重合
させたコポリマーであってもよい。
【0016】着色顔料含有ポリエステルフイルムに使用
される着色顔料としては、二酸化チタン、硫酸バリウ
ム、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の粒子が例示
される。これらは、ポリエステル中での分散性、化粧板
または化粧シートの耐候性の向上の観点から、アルミニ
ウム、ケイ素、亜鉛などの酸化物などで表面処理された
ものであってもよい。その他の無機系顔料としては、亜
鉛華、鉛白、ベンガラ、カドミウム赤、黄鉛、コバルト
青、コバルト紫、ジンククロメート等が例示される。上
記の顔料は、2種類以上を併用することも出来、その場
合、少なくとも二酸化チタンを使用するのが好ましい。
【0017】本発明において、有機系顔料を使用しても
よく、その例としては、フタロシアニン系、ジオキサジ
ン系、アントラキノン系などの顔料が例示される。一般
に有機系顔料は、フイルム製造工程、とりわけ再生工程
において有機顔料成分が昇華したり熱分解する等して色
調が変化する問題がある。しかしながら、本発明に従、
少なくとも一方のフイルム最外層に使用する再生原料の
配合量を規定することにより、積層フイルム全体とし
て、上記の色調変化を高度に抑制することが可能とな
り、意匠性が要求される化粧板または化粧シート用ポリ
エステルフイルムとして好適に使用し得る。
【0018】顔料の平均粒径は、通常5.0μm以下、
好ましくは0.01μm〜4.0μmの範囲から選択さ
れる。平均粒径が5.0μmを超える場合は、フイルム
の表面が粗面化し過ぎて印刷面の品質が低下したり、顔
料がポリエステルフイルム表面から脱落し易くなる。顔
料の含有量は、ポリエステルに対し、通常0.1〜30
重量%、好ましくは1〜20重量%とされる。含有量が
0.1未満の場合は、フイルム全体の隠蔽度が減少し、
本来の顔料の色調が表現できなくなり、30重量%を超
える場合は、顔料がフイルム中で凝集して粗大突起を形
成したり、フイルム強度が低下する。
【0019】本発明において、顔料は、ポリエステルの
重合反応中に添加してもよく、重合後に例えば二軸押出
機を使用して顔料を混練・分散させてマスターバッチと
し、これの所定量をポリエステルフイルム中に配合させ
る方法などを採用することが出来る。顔料含有量の調節
方法としては、マスター原料を調製し、実質的に顔料を
含有しない原料でマスター原料を希釈して顔料含有量を
調節する方法が有効である。なお、顔料は、必要に応
じ、事前に解砕、分散、分級、濾過などの処理を施して
おいてもよい。
【0020】本発明においては、原料コスト面での利点
およびフイルム製造工程などから排出されるスクラップ
の処理量を減じるという環境への配慮から、原料ポリエ
ステルとして、再生ポリエステルと新規ポリエステルと
を使用する。そして、上記の再生ポリエステルとして、
着色顔料を含有するポリエステルフイルムの製造工程か
ら排出される耳部フイルム等が使用される。
【0021】本発明の着色顔料含有積層ポリエステルフ
イルムの層構成は、2層以上であれば特に制限されな
い。例えば、(A1)/(A2)の2種2層(この場合は
両層が最外層となる)の他、(A1)/(A2)/(A
1)の2種3層であってもよい。
【0022】本発明において、少なくとも一方のフイル
ム最外層(A1)は、新規ポリエステル含量が90重量
%以上のポリエステルから構成され、少なくとも他の一
層のフイルム層(A2)は、着色顔料ポリエステルフイ
ルムから得られる再生ポリエステル含量が10〜70重
量%で且つ新規ポリエステル含量が30〜90重量%の
ポリエステルから構成される。フイルム層(A2)にお
ける再生ポリエステル含量が10重量%未満の場合は原
料コストを減じる経済的効果が乏しく、70重量%を超
える場合はフイルム最外層(A1)の色調に影響を及ぼ
す。斯かる色調の理由により、フイルム最外層(A1)
において再生ポリエステルを使用する場合のその配合量
の上限は、10重量%未満、好ましくは5重量%以下、
更に好ましくは3重量%以下とされる。
【0023】フイルム層(A2)の厚さTrは、フイル
ム最外層(A1)の厚さTvより大であることが好まし
い。具体的には下記の式(2)を満足するのが好まし
い。
【0024】
【数4】 Tr>Tv≧0.15(μm) (2)
【0025】TrがTvよりも小さい場合は、フイルム
中の再生原料配合量が少なくなるので原料コストを減じ
る経済的効果が乏しくなる。
【0026】Trは、好ましくは0.15(μm)以
上、更に好ましくは0.2(μm)以上、特に好ましく
は0.5(μm)以上である。Trが0.15(μm)
未満の場合は、フイルム層(A2)の色調の影響を受け
易くなる。
【0027】本発明において、フイルム最外層(A1)
とフイルム層(A2)の下記の式(1)で表される色差
ΔEが5.0以下であることが重要である。
【0028】
【数5】 ΔE=((Lm−Ls)2+(am−as)2+(bm−bs)2(1/2) (1) (式(1)中、Ls、as、bsは、最外層(A1)の色
調、Lm、am,bmは他の層(A2)の色調を表す。)
【0029】ΔEが5.0を超える場合は、フイルム最
外層(A1)の色調が一定であっても、フイルム端面の
色調が異なることとなり、フイルム端面が露出する用途
では色差の変動が問題となる。ΔEは、好ましくは3.
0以下、特に好ましくは2.0以下である。なお、上記
の色相(L、a、b)は、色差計にて測定される。
【0030】ところで、化粧板および化粧シートは、表
面材料であるため、例えば掃除具の先端や手足先の爪な
どとの接触が避けられず、表面が受傷することがある。
特に強度の接触や擦過を受けた場合は、受傷部の損傷も
大きくなり、フイルム部の表面や内部が化粧板または化
粧シートの表面に露出することがある。そして、フイル
ムとその表面に形成された印刷層の色調が異なる場合
は、受傷部の色調が周囲の色調と異なるために、受傷部
が目立ち、化粧板または化粧シートの表面の意匠性が大
きく損なわれる。
【0031】しかしながら、本発明によれば、上記のΔ
Eの条件を満足することにより、上記の様な問題にも対
処することが出来る。
【0032】また、家具、建材、住宅機器などには、木
質系の材料が好まれる。すなわち、和風住居が醸し出す
木肌の色調で囲まれた空間から精神的な安らぎが得られ
るため、木質系の色調が好まれる。この様な場合、絵柄
印刷層(B)の色調は黄色系から褐色系となるため、色
調b値の調整が重要である。従って、本発明において、
フイルム最外層(A1)の色調b値は、好ましくは10
以上、更に好ましくは15以上、特に好ましくは20以
上とされる。フイルム最外層(A1)の色調b値が10
未満の場合は、黄色味が不足するため、柄印刷層(B)
との色調差が大きく成る。上記の色調調節に使用する着
色顔料の種類は、特に制限されないが、Fe化合物が好
適に使用される。黄色酸化鉄と称する顔料(Fe23
は、熱安定性に優れ、再生時の色調変化も少なく、ま
た、コスト的にも有利である。
【0033】本発明の着色顔料含有積層ポリエステルフ
イルムの表面には、絵柄印刷層との接着性を向上せしめ
るため、少なくとも片面に塗布層を有していてもよい。
塗布層用の塗布剤としては、公知の塗布剤から任意に選
択出来るが、接着性の観点から、ポリエステル樹脂、ア
クリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノ樹脂、エポキシ
樹脂、オキサゾリン樹脂、カップリング剤の群から選ば
れる少なくとも1種の樹脂が好ましい。塗布層の厚さは
1μm以下が好ましい。塗布層の厚さが1μmを超える
場合は、その色調の影響が増大し、本来意図したポリエ
ステルフイルムの色調を発現出来ないばかりか、絵柄印
刷層へも色調変化をもたらし、意匠性が損なわれること
がある。
【0034】本発明の着色顔料含有積層ポリエステルフ
イルムの表面に構成される絵柄印刷層は、単層であって
も多層であってもよいが、一般的には、高意匠性を発現
するために、上記ポリエステルフイルムの上に下引き層
を設け、その上に各種の柄印刷を施す、多層刷りが採用
される。最終的には木目調印刷であったり、セラミック
壁調や石材調の印刷、その他、赤、黄色、青色など原色
を使用した印刷など、種々の高意匠印刷となる。
【0035】前記の再生原料は、着色顔料含有ポリエス
テルフイルムの製造において、押出時の溶融シートのネ
ックイン現象により厚化したり、クリップの噛み代とし
て使用され、製品とはならずに切断分離された部分から
製造される。通常、切断分離された部分のフイルムを粉
砕、乾燥した後、単軸押出機にてストランド状に溶融押
出して水中で冷却固化し、カッターで切断してペレット
化される。
【0036】上記の乾燥工程において、乾燥温度は、通
常100℃〜200℃、好ましくは130℃〜190
℃、更に好ましくは140℃〜185℃とされる。乾燥
温度が余りに低い場合は、含水率が低下せず、フイルム
製造工程において新規原料と共に溶融押出した際、ポリ
エステルの加水分解による分子量低下が著しく問題とな
る。一方、乾燥温度が余りに高い場合は、特に有機系着
色顔料が昇華し、結果として着色顔料の含有量が変動す
ることとなり、再生ポリエステルの色調変化が大きくな
る。
【0037】本発明の着色顔料含有積層ポリエステルフ
イルムの製造は、共押出法により、以下の様に行うこと
が出来る。すなわち、先ず、溶融押出された溶融シート
を回転冷却ドラム上で急冷固化して非晶質シートとす
る。この際、例えばマルチマニフォールドダイ又はフィ
ードブロックダイを使用してシートを積層する。次い
で、通常70〜150℃、好ましくは75〜130℃の
延伸温度で通常2.0〜7.0倍、好ましくは2.4〜
6倍の延伸倍率で、上記非晶質シートを一方向(縦方
向)に延伸し、一軸延伸フイルムを得る。斯かる延伸に
は、ロール又はテンター方式の延伸機を使用することが
出来る。次いで、通常70℃〜150℃、好ましくは8
0〜140℃の延伸温度で3.0〜6倍の延伸倍率で、
上記一軸延伸フイルムを縦方向と直角方向(横方向)に
延伸し、二軸延伸フイルムを得る。引き続き、110〜
250℃にて、30%以内の伸張または弛緩または定長
下で1秒から5分間の熱処理を行い寸法安定性を向上さ
せる。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。なお、実施例および比較
例における評価方法は以下に示す通りである。また、実
施例中および比較例中の成分比の「部」は全て「重量
部」を示す。
【0039】(1)色調:カラーアナライザー(東京電
色(株)製「TC−1800MKII型」)を使用し、
JIS Z8722の方法に準じ、フイルムの色調
(L、a、b)を測定し、L、a,b値をもって、色調
の比較を行い、前記の式(1)に従ってΔEを求めた。
【0040】(2)ポリエステルのIV(dl/g):
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および粒子を
除去したポリエステル1gに対し、フェノール/テトラ
クロロエタン:50/50(重量比)の混合溶媒100
mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
【0041】(3)コインスクラッチ評価:ポリエステ
ルフイルムの表面に絵柄印刷層を設けた化粧シートの表
面を硬貨で擦過し、印刷層およびポリエステルフイルム
まで破壊し、その際の破壊された部分の色調変化を調べ
た。色調変化が小いさく傷が目立たない場合を○、色調
変化が大きく傷が目立つ場合を×、その中間を△とし
た。特に色調変化が少ない場合を◎とした。
【0042】(4)総合評価:コインスクラッチ評価に
よる色調変化が小さく且つコスト的に有利な場合を○、
特に何れの特性も優れる場合を◎、色調変化またはコス
トの何れかが不利な場合を×とした。
【0043】実施例1 ベント付二軸押出機を使用し、IVが0.65で実質的
に粒子を含有しないポリエステル(A)に、粒径0.3
μmのルチル型二酸化チタンを41重量%、粒径0.5
μmの亜鉄酸亜鉛(ZnO・Fe23)を18重量%、
粒径0.01μmのカーボンブラックを0.05重量%
を混練・分散し、マスターバッチペレット(B)を調製
した。これとは別に、ベント付二軸押出機を使用し、ポ
リエステル(A)に粒径3.5μmのシリカを3重量%
混練・分散し、マスターバッチペレット(C)を調製し
た。以下、ポリエステルを「PET」と略記する。
【0044】PET(A)を66重量%、マスターバッ
チペレット(B)を16重量%、マスターバッチペレッ
ト(C)を18重量%それぞれ配合した後、180℃で
2時間乾燥し、単軸押出機でシート状に溶融押出し、3
0℃の回転冷却ドラム上で成型して非晶質シートを得
た。この際、静電密着法を採用した。引き続き、縦方向
に83℃で2.8倍、115℃で3.9倍の二軸延伸を
行った後、210℃の熱固定温度で3.5秒間熱処理
し、着色顔料含有PETフイルム(D)を得た。
【0045】次いで、PETフイルムDを粉砕処理した
後、φ6mmのスクリーンを通過したフラフを180℃
2時間乾燥後、単軸押出機でストランド状に溶融押出
し、水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、再生
PETチップ(E)を得た。
【0046】次いで、2種2層のマルチマニフォールド
ダイを使用し、以下の組成の各PETをシート状に溶融
押出し、その後、上記と同様に二軸延伸および熱処理を
施して着色顔料含有積層PETフイルム(F)を得た。
この際、一方の層(A1)の原料組成は、PET
(A):66重量%、マスターバッチペレット(B):
16重量%、マスターバッチペレット(C):18重量
%とし、他の層(A2)の原料組成は、再生PETチッ
プ(E):40重量%、新規PET(A):40重量
%、マスターバッチペレット(B):10重量%、マス
ターバッチペレット(C):10重量%とした。積層フ
イルムの全厚さは45μm、(A1)の厚さは4μm、
(A2)の厚さは41μmとした。フイルム(F)の物
性を表1に示す。原料コストも低く、コインスクラッチ
評価による色目の変動も少なくて良好であった。
【0047】実施例2 ベント付二軸押出機を使用し、IVが0.65で実質的
に粒子を含有しないPET(A)に、粒径0.3μmの
ルチル型二酸化チタンを60重量%、粒径0.2μmの
酸化鉄(Fe23)を1.9重量%、アンスラキノン:
3.7重量%、粒径0.01μmのカーボンブラックを
0.1重量%を混練・分散し、マスターバッチペレット
(G)を調製した。
【0048】PET(A)を66重量%、マスターバッ
チペレット(G)を16重量%、マスターバッチペレッ
ト(C)を18重量%それぞれ配合した後、実施例1と
同様に操作して着色顔料含有PETフイルム(H)を得
た。次いで、フイルム(H)を実施例1と同様に処理し
て再生PETチップ(I)を得た。
【0049】次いで、マルチマニフォールドダイを使用
し、2種2層の層構成となる様にシート状に溶融押出
し、その後、実施例1と同様に二軸延伸および熱処理を
施して着色顔料含有積層ポPETフイルム(J)を得
た。この際、一方の層(A1)の原料組成は、PET
(A):66重量%、マスターバッチペレット(G):
16重量%、マスターバッチペレット(C):18重量
%、他の層(A2)の原料組成は、再生PETチップ
(I):60重量%、新規PET(A):26重量%、
マスターバッチペレット(G):7重量%、マスターバ
ッチペレット(C):7重量%とした。積層フイルムの
全厚さは45μm、(A1)の厚さは4μm、(A2)の
厚さは41μmとした。フイルム(J)の物性を表1に
示す。原料コストも低く、コインスクラッチ評価による
色目の変動も少なくて良好であった。
【0050】比較例1 実施例2において、他の層(A2)の原料配合を、再生
PETチップ(I):90重量%、新規PET(A):
7重量%、マスターバッチペレット(B):2重量%、
マスターバッチペレット(C):1重量%に変更した以
外は、実施例2と同様にして着色顔料含有積層PETフ
イルム(K)を得た。フイルム(K)の物性を表1に示
す。原料コスト的には優れるが、表裏の色調の差が大き
く、コインスクラッチによる外観変化も大きい結果であ
った。
【0051】実施例3 実施例1において、2種3層のマルチマニフォールドダ
イを使用し、(A1)/(A2)/(A1)の層構成とな
るよう様に各PETをシート状に溶融押出した以外は、
実施例1と同様にして着色顔料含有積層ポPETフイル
ム(L)を得た。2つの最外層(A1)の厚さは夫々4
μmとし、中間層である(A2)層の厚さは37μmと
した。フイルム(L)の物性を表1に示す。原料コスト
も低く、コインスクラッチ評価による色目の変動も少な
くて良好であった。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、化粧板ま
たは化粧シート用フイルムとして、再生原料を配合した
ことにより原料コスト上の利点を有し、しかも、色調を
高度に維持した着色顔料含有積層ポリエステルフイルム
が提供され、本発明の工業的価値は非常に大きい。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面に少なくともフイルム層
    (A)と絵柄印刷層(B)とを順次に配置して成る化粧
    板の前記フイルム層(A)に使用され、次の(i)及び
    (ii)の条件を満足し且つ共押出法によって得られるこ
    とを特徴とする化粧板用着色顔料含有積層ポリエステル
    フイルム。 (i)少なくとも一方のフイルム最外層(A1)は、新
    規ポリエステル含量が90重量%以上のポリエステルか
    ら構成され、少なくとも他の一層のフイルム層(A2)
    は、着色顔料ポリエステルフイルムから得られる再生ポ
    リエステル含量が10〜70重量%で且つ新規ポリエス
    テル含量が30〜90重量%のポリエステルから構成さ
    れる。 (ii)フイルム最外層(A1)とフイルム層(A2)の下
    記の式(1)で表される色差ΔEが5.0以下である。 【数1】 ΔE=((Lm−Ls)2+(am−as)2+(bm−bs)2(1/2) (1) (式(1)中、Ls、as、bsは、最外層(A1)の色
    調、Lm、am,bmは他の層(A2)の色調を表す。)
  2. 【請求項2】 フイルム層(A2)の厚さTrとフイル
    ム最外層(A1)の厚さTvとが下記の式(2)を満足
    する請求項1に記載の積層ポリエステルフイルム。 【数2】 Tr>Tv≧0.15(μm) (2)
  3. 【請求項3】 上記の式(1)で表される色差ΔEが
    3.0以下である請求項1又は2に記載の積層ポリエス
    テルフイルム。
  4. 【請求項4】 フイルム最外層(A1)の色調b値が1
    0以上である請求項1〜3の何れかに記載の積層ポリエ
    ステルフイルム。
  5. 【請求項5】 着色顔料として少なくともFe化合物を
    含有する請求項1〜4の何れかに記載の積層ポリエステ
    ルフイルム。
  6. 【請求項6】 基材の表面に貼合され且つその表面に絵
    柄印刷層を配置して使用され、請求項1に記載の(i)
    及び(ii)の条件を満足することを特徴とする化粧シー
    ト用着色顔料含有積層ポリエステルフイルム。
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