JPH11226573A - 水処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン水を得るための電解槽を備えた水処理
装置に於いて、原水にｐＨに対して緩衝作用を有する遊
離炭酸等の緩衝物イオンを含む地域であっても、電解槽
内の電極板に逆電位をかけることにより、印加電圧を変
えることなく、且つ高いｐＨ値のアルカリ性水を提供す
る。 【解決手段】 陰極室１８で生成されたイオン水のｐＨ
或いは原水の炭酸イオン濃度を検知するｐＨセンサ２３
或いは炭酸イオンセンサ３０を設け、さらに電解槽４内
の電極板１４．１５に送電位をかける印加電圧極性切り
換え手段２５を備えてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、主として一般家庭
で使用される水処理装置に関し、特に電気分解により酸
性及びアルカリ性のイオン水を生成する電解槽を備えた
水処理装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、水を電気分解することによってそ
のｐＨを変化させ、酸性水とアルカリ性水を生成する連
続電解式イオン水生成器が普及している。これは、電解
槽内の陽極側で水を酸化して酸性水を生成し、一方陰極
側で水を還元してアルカリ性水を生成するものである。

【０００３】図４を参照して、従来のこの種のイオン水
生成器の構成及び動作について簡単に説明する。図４は
従来のイオン水生成器の要部断面図である。

【０００４】図４に於いて、１は箱型に形成されるイオ
ン水生成器の本体であり、その一側面には水道管蛇口よ
り繋がる給水口２が内外に開口させて形成されている。
イオン水生成器の本体１は、浄水手段３と、電解槽４よ
り形成される。水道管蛇口より給水された水道水は給水
管５及び６の間に設けられたバルブ７を介して浄水手段
３に供給される。

【０００５】ここで、浄水手段３の内部は、下側に水道
水に含まれる不純物や残留塩素カルキ臭等の除去を目的
とした活性炭８を、上側に濁り成分や雑菌の捕収を目的
とした中空糸膜９を充填して形成されている。浄水手段
３の下部にはバルブ１０および１１が設けられ、それぞ
れ浄水を取り出す浄水流出管１２、電解槽４への連通管
１３に接続される。電解槽４の中には電極板１４及び電
極板１５とが隔膜１６を介して対向配設されている。こ
こで、電極板１４と電極板１５はそれぞれ異極性の電圧
が印加される構造になっている。

【０００６】浄水手段３で浄化された浄水５０はバルブ
１１の作動により、隔膜１６で区画化された陽極室１７
と陰極室１８とに導かれる。ここで、電解槽４の電極に
はステンレス鋼、チタン、白金等を使用されており、こ
の電極板１４と電極板１５との間へ数〜数十ボルトの直
流電圧を印加すると、供給された浄水５０は電気分解さ
れ、陽極室１７には殺菌作用を有し溶存分の少ない酸性
水が、一方陰極室１８にはミネラルを含むアルカリ性水
がそれぞれ生成される。

【０００７】なお、電解槽４から取り出された酸性水お
よびアルカリ性水はそれぞれバルブ１９、２０の作動に
より酸性水流出管２１、アルカリ性水流出管２２を介し
て吐出される。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
イオン水生成器では、電気分解しようとする水（以下原
水という）に重炭酸イオンや炭酸水素イオンが存在して
いると、緩衝作用によってｐＨの変化が抑制され、電解
効率が低いものとなった。このような水中の炭酸イオン
の濃度は地域によって異なり、例えば、原水に河川水
（表流水）を用いている地域では比較的目的のアルカリ
性水が得られるが、地下水（伏流水）を用いている地域
では所望のｐＨが得られなかった。このように、全地域
に於いて、同一電流値で同一ｐＨの電解水を得ることは
困難であった。

【０００９】これを解決する方法として、特開平６−１
３４４６３号公報には、原水の炭酸ガス濃度を検出する
ための炭酸ガスセンサを設け、遊離炭酸の濃度から電解
電流を算出して電流を変えることにより所望のアルカリ
性水を得るイオン水生成器が開示されている。

【００１０】また、持開平９−２２５４６２号公報に
は、ｐＨセンサによって検出されたｐＨ値と目標のｐＨ
値とを比較し、直流電圧電流の基本パルスのデューティ
比を変更して電流を変えることにより目標ｐＨ値に近い
アルカリ性水を得るイオン水生成器が挙げられている。

【００１１】しかしながら、これらのイオン水生成器に
おいては、いずれも電流電圧の大きさによって制御する
ものであり、電流電圧を大きくすると、ｐＨは確かに上
昇するが、これにも限界があり、実用的な電流範囲でｐ
Ｈ１０〜ｐＨ１２の強アルカリ性水を得ることは困難で
あった。

【００１２】したがって、本発明は、かかる従来の問題
点を解消することにあり、電極間に逆電位をかけること
により、印加電圧を実用範囲以上に変えることなく、且
つ高いｐＨ値のアルカリ性水を供給する水処理装置を提
供することを目的としたものである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明の水処理装置は上
記目的を達成するためになされたもので、請求項１記載
の発明は、電気分解により酸性及びアルカリ性のイオン
水を生成する電解槽を有し、さらに活性炭および中空糸
膜などから成る浄水手段、若しくは、ミネラル添加剤を
収納した添加剤格納容器によりミネラル調整水を得るミ
ネラル添加手段、或いはイオン交換樹脂などを充填した
軟水化手段などを併設、または前記電解槽との組み合わ
せから成る水処理装置に於いて、電解槽の陰極室の出水
口に生成されたイオン水のｐＨを測定するｐＨセンサ
と、前記電解槽内の印加電圧極性を切り換える印加電圧
切り換え手段を配設したものである。

【００１４】また、請求項２記載の発明は、請求項１記
載の発明に於いて、前記電解槽とアルカリ性水、酸性水
の吐水口とを繋ぐ経路中に、各々の吐水ロヘの給水を逆
転させる三方弁を配設したものである。

【００１５】そして、請求項３記載の発明は、請求項２
記載の発明に於いて、電解槽の陰極室の出水口に生成さ
れたイオン水のｐＨを測定するｐＨセンサを設け、さら
に電極への逆電位をかけた旨、及び前記三方弁の切り換
えを促すべく報知手段を配設したものである。

【００１６】そしてまた、請求項４記載の発明は、請求
項３記載の発明に於いて、前記三方弁を手動にて切り換
えるべく操作スイッチを備えてなるものである。

【００１７】さらに、請求項５記載の発明は、請求項２
記載の発明に於いて、電極への印加電圧極性の切り換え
を行うと同時に前記三方弁の切り換えを自動的に動作さ
せる制御部を備えてなるものである。

【００１８】さらにまた、請求項６記載の発明は、請求
項１記載の発明に於いて、蛇口より繋がる給水管と浄水
手段への給水を行うバルブとの間に、原水中の炭酸イオ
ンを測定する炭酸イオンセンサを配設してなるものであ
る。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の水処理装置の一実
施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明す
る。

【００２０】図１は、本発明の水処理装置の一実施の形
態を示す要部断面図であり、図１において、上記従来例
の水処理装置と同一部分（共通のもの）は同一符号を付
し、本発明にかかる部分以外の説明は簡略する。

【００２１】図１に於いて、水処理装置１は、活性炭槽
８及び中空糸膜槽９を充填した浄水手段３、複数の隔壁
を介して対向配置されている複数の電極板１４．１５を
有し、この電極板１４．１５に直流電流を印加すること
により隔壁１６によって区画された陽極室１７側に酸性
水を、陰極室側１８にアルカリ性水を生成する電解槽４
を備えている。

【００２２】なお、本発明の水処理装置は上記の水処理
手段１の他に、イオン交換樹脂等脱イオンを目的とした
イオン交換機能を持つ材料或いは吸着材を充填した軟水
化手段や、水中のミネラル分を増加させることを目的と
したミネラル添加剤を格納するミネラル添加手段（いず
れも図示せず）を併設されていてもよい。

【００２３】次に、図１を参照して、本発明の水処理装
置の水の流れについて簡単に説明する。

【００２４】まず、水道管蛇口より給水された水道水４
０は、給水管５及び６の間に設けられたバルブ７を介し
て浄水手段３に供給される。浄水手段３に供給された水
道水４０は、活性炭８にて水中に含まれる不純物や残留
塩素カルキ臭等が除去される。また、中空糸膜９を通過
することにより、濁り成分や雑菌が捕収され、浄水５０
となる。

【００２５】次に、ユーザーがイオン水を選択した場合
は、浄水はバルブ１１の制御により次工程の電解槽４へ
繋がる連通管へと流入される。

【００２６】ここで、本発明の水処理装置（請求項１記
載の発明の水処理装置）は、例えば電解槽４の陰極室１
７の出水口に、陰極室１８内で生成されたイオン水のｐ
Ｈを測定するｐＨセンサ２３が設けられており、ここで
検知した値に応じて、制御部２４より印加電圧極性切り
換え手段２５に信号が送られ、前記電解槽４内の電極１
４、１５への印加電圧極性の切り換えを行う。これによ
り、本来の陽極室１７にアルカリ性水が、陰極室１８に
酸性水が生成される。

【００２７】また、本発明の水処理装置（請求項２記載
の発明の水処理装置）は、電解槽４と前記酸性水流出管
２１及びアルカリ性水流出管２２とを繋ぐ経路中に三方
弁２６、２７を具備しており、前記印加電圧極性切り換
え手段２５の作動により電極１４、１５に各々送電位が
かけられたとき、陽極室１７で生成されたアルカリ性水
はアルカリ性水流出管２２へ、陰極室１８で生成された
酸性水は酸性水流出管２１へと導くべく三方弁２６、２
７の切り換えを行う。これにより、本体１に隣接するア
ルカリ性水吐水口からは間違いなくアルカリ性水が吐水
される。

【００２８】そして、本発明の水処理装置（請求項３記
載の発明の水処理装置）は、前記ｐＨセンサ２３により
陰極室１８で生成されたイオン水の水素イオン濃度がｐ
Ｈ８以下であると検知したとき、印加電圧極性切り換え
手段２５により電極板１４、１５に逆電位がかけられ、
その旨を報知手段２８にてユーザーに報知する。報知手
段としては、視覚的に知らせるランプによる点滅等の表
示、若しくは聴覚的に知らせる音声による報知であって
もよい。

【００２９】そしてまた、本発明の水処理装置（請求項
４記載の発明の水処理装置）は、本体前方に前記三方弁
２６、２７の切り換えをおこなう手動の操作スイッチ２
９を配設しており、ユーザーは前記報知手段２８により
逆電位がかけられたことを確認し、操作スイッチ２９を
ＯＮすることにより、陽極室１７で生成されたアルカリ
性水はアルカリ性水流出管２２へ、陰極室１８で生成さ
れた酸性水は酸性水流出管２３へと導くべく三方弁２
６、２７の切り換えがなされる。このとき、三方弁を切
り換える操作スイッチ２９には安全カバーなるものが付
随しており、緩衝物イオンを含まない地域のユーザーが
過って操作することがないよう対処してある。

【００３０】さらに、本発明の水処理装置（請求項５記
載の発明の水処理装置）は、上記（請求項４）の動作を
自動的に行うものであって、前記ｐＨセンサ２３により
陰極室１８で生成されたイオン水の水素イオン濃度がｐ
Ｈ８以下であると検知したとき、印加電圧極性切り換え
手段２５により電極板１４、１５に逆電位がかけられる
と同時に、三方弁２６、２７の切り換えを自動的に行う
ものである。

【００３１】さらにまた、本発明の水処理装置（請求項
６記載の発明の水処理装置）は、蛇口より繋がる給水管
５と浄水手段３への給水を行うバルブ７との間に、原水
中の炭酸イオンを測定する隔膜式炭酸イオンセンサのよ
うな炭酸イオンセンサ３０を配設しており、ここで検知
された炭酸イオン濃度に応じて、上記のように電極板１
４、１５への印加電圧極性の切り換え、及び三方弁２
６、２７の切り換えを自動或いは手動にて行うものであ
る。

【００３２】

【発明の効果】本発明の水処理装置は上記のような構成
であるから、請求項１記載の発明は、供給する原水がｐ
Ｈに対し緩衝作用を有する遊離炭酸などの緩衝物イオン
を含む水である場合、通常電解水生成に印加した極性と
逆の極性に切り換えることにより、目的に応じたｐＨの
アルカリ性水を得ることができる。

【００３３】また、請求項２記載の発明は、アルカリ性
水と酸性水の吐水ロヘの供給経路を切り換える三方弁を
設け、逆電位をかけたときに三方弁が切り換えられるこ
とにより、アルカリ性水の吐水口から酸性水が吐出され
ることがなく、ユーザーが過って酸性水を飲用すること
を防止できる。

【００３４】そして、請求項３および請求項４記載の発
明は、電解槽にて生成されたアルカリ性水がｐＨ８以下
でアルカリ性を示さない場合にランプ表示または音声な
どでその旨を報知することにより、ユーザーは逆電位が
かけられたことを確認したうえで三方弁の切り換えをす
ることができ、アルカリ性水の吐水口から酸性水が吐出
されることがなく、ユーザーが過って酸性水を飲用する
ことを防止できる。

【００３５】さらに、請求項５記載の発明は、水中に緩
衝物イオンがあると検知されたときに自動的に電極への
印加電圧の極性の切り換え、及び酸、アルカリ性水の吐
水ロヘの供給をおこなう三方弁の切り換えをおこなうこ
とにより、ユーザーの手を煩わせることなく、目的のｐ
Ｈのアルカリ性水、酸性水を安全に採取することができ
る。

【００３６】さらにまた、請求項６記載の発明は、供給
される水中の緩衝物イオンを原水の状態で測定すること
により、電解槽にて電気分解することなく水の状態（遊
離炭酸を含んでいるか否か）を知ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の水処理装置の一実施の形態を示す要部
断面図である。

【図２】電解電流による表流水と伏流水とのｐＨ変化の
説明図である。

【図３】印加電圧の極性によるｐＨ変化の説明図であ
る。

【図４】従来のイオン水生成器の一実施の形態を示す要
部断面図である。

【符号の説明】

１ 水処理装置本体 ３ 浄水手段 ４ 電解槽 １４ 電極板 １５ 電極板 １７ 陽極室 １８ 陰極室 ２３ ｐＨセンサ ２４ 制御部 ２５ 印加電圧極性切り換え手段 ２６ 三方弁 ２７ 三方弁 ２８ 報知手段 ２９ 操作スイッチ ３０ 炭酸イオンセンサ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 善弘 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 安部 剛夫 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 田丸 理恵 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電気分解により酸性及びアルカリ性のイ
   オン水を生成する電解槽に、活性炭、中空糸膜などから
   成る浄水手段、若しくは、ミネラル添加カートリッジな
   どによりミネラル調整水を得るミネラル添加手段、或い
   はイオン交換樹脂などを充填した軟水化手段などを併
   設、または前記電解槽との組み合わせから成る水処理装
   置に於いて、蛇口より供給される水がｐＨに対し緩衝作
   用を有する遊離炭酸などの緩衝物イオンを含む水である
   水域で使用する場合、前記電解槽内の電極への印加電圧
   極性を切り換える印加電圧極性切り換え手段を備えてな
   ることを特徴とする水処理装置。
2. 【請求項２】 前記電解槽とアルカリ性水、酸性水の吐
   水口とを繋ぐ経路中に、各々の吐水ロヘの給水を逆転さ
   せる三方弁を設けてなることを特徴とする請求項１記載
   の水処理装置。
3. 【請求項３】 前記電解槽内に配設された陰極室にて生
   成されるアルカリ性水のｐＨを測定し、ｐＨ８以下であ
   ると検知した場合に、印加電圧の極性切り換え、及び三
   方弁の切り換えを知らせる報知手段を備えてなることを
   特徴とする請求項２記載の水処理装置。
4. 【請求項４】 前記報知手段に於いて、ｐＨ変化に対し
   て緩衝作用がある水である（電気分解してもｐＨ８以上
   を示さない）と知らされた場合、ユーザーが手動にて前
   記三方弁を作動させる操作スイッチを設けてなることを
   特徴とする請求項３記載の水処理装置。
5. 【請求項５】 前記電解槽内に配設された陰極室にて生
   成されるアルカリ性水のｐＨを測定し、ｐＨ８以下を検
   知した場合に、前記印加電圧極性手段にて逆電位をか
   け、且つ自動的に前記三方弁を切り換えることを特徴と
   する請求項２記載の水処理装置。
6. 【請求項６】 前記供給される原水に緩衝物イオンが存
   在するか否かを検知する手段として、原水の炭酸イオン
   を測定するセンサーを設けてなることを特徴とする請求
   項１記載の水処理装置。