JPH11226396A - アミン捕捉剤 - Google Patents

アミン捕捉剤

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JPH11226396A
JPH11226396A JP3893598A JP3893598A JPH11226396A JP H11226396 A JPH11226396 A JP H11226396A JP 3893598 A JP3893598 A JP 3893598A JP 3893598 A JP3893598 A JP 3893598A JP H11226396 A JPH11226396 A JP H11226396A
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JP
Japan
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oxalic acid
amine
iron phosphate
compound
fepo
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JP3893598A
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English (en)
Inventor
Mamoru So
衛 相
Kyoji Odan
恭二 大段
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Publication date
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  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、各種の反応原料、触媒、高分子の
改質剤、及び硬化剤として使用されるようなアミンを捕
捉し、またそのアミンを高温で放出して使用することが
できるアミン捕捉剤を提供することを課題とする。 【解決手段】 本発明の課題は、FePO4 ・x(H2
O)2 ・x(COOH)2 なる式で表されるリン酸鉄−
シュウ酸複合化合物から成るアミン捕捉剤(式中、xは
0〜4の整数を表し、yは1〜4の整数を表す)によっ
て解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の反応原料、
触媒、高分子の改質剤、及び硬化剤として使用されるよ
うなアミンを捕捉し、またそのアミンを高温で放出して
使用することができるアミン捕捉剤に関する。
【0002】
【従来の技術】各種の反応原料、触媒、高分子の改質
剤、及び硬化剤として使用されるアミンは低沸点のもの
もあり、高温で使用することが困難な場合がある。ま
た、各種の反応原料、触媒、高分子の改質剤、及び硬化
剤として使用されたアミンはこれらから若干漏洩した状
態で存在している場合がある。一般に、アミンはアンモ
ニア臭を有し、微量でも悪臭を発生するものである。ま
た、吸入した場合には呼吸器系統の炎症を起こす有害な
物質でもある。このようなアミンを捕捉するには酸性物
質(液体が多い)を使用することが通常である。しか
し、この場合、大量のアミン含有ガスの処理には充分な
効果を期待できない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、各種の反応
原料、触媒、高分子の改質剤、及び硬化剤として使用さ
れるようなアミンを捕捉し、またそのアミンを高温で放
出して使用することができるアミン捕捉剤を提供するこ
とを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、FeP
4 ・x(H2 O)2 ・y(COOH)2 なる式で表さ
れるリン酸鉄−シュウ酸複合化合物(式中、xは0〜4
の整数を表し、yは1〜4の整数を表す)から成るアミ
ン捕捉剤によって解決される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で使用される、FePO4
・x(H2 O)2 ・y(COOH)2 なる式で表される
リン酸鉄−シュウ酸複合化合物(式中、xは0〜4の整
数を表し、yは1〜4の整数を表す)は結晶性層状化合
物としての物性及び性質を示すもので、元素分析、FT
−IRスペクトル、熱分析(TG−DTA)、X線回折
スペクトル、酸化還元滴定などによって確認される。こ
のようなリン酸鉄−シュウ酸複合化合物としては、例え
ば、FePO4 ・(H2 O)2 ・(COOH)2 なる式
で表される化合物が挙げられる。また、FePO4
(COOH)2 なる式で表される化合物、FePO4
4(H2 O)2・4(COOH)2 なる式で表される化
合物も挙げることができる。FePO4 ・(H2 O)2
・(COOH)2 のFT−IRスペクトル、X線回折ス
ペクトル、TG−DTA図を図1〜3に、FePO4
(COOH)2 のFT−IRスペクトル、X線回折スペ
クトル、TG−DTA図を図15〜17に、FePO4
・4(H2 O)2 ・4(COOH)2 のFT−IRスペ
クトル、X線回折スペクトル、TG−DTA図を図18
〜20にそれぞれ示す。
【0006】FePO4 (H2 O)2 (COO
H)2 なる式で表されるリン酸鉄−シュウ酸複合化合物
は、FePO4 ・2H2 Oなる式で表されるリン酸鉄と
シュウ酸を水存在下に好ましくは100℃以下、更に好
ましくは20〜100℃、特に好ましくは30〜100
℃で反応させることによって製造することができる。反
応圧は常圧であることが好ましいが、特に限定されな
い。この製造法としては、例えば、FePO4 ・2H2
Oなる式で表されるリン酸鉄をシュウ酸水溶液中にて加
熱攪拌する方法が好適に挙げられる。生成したFePO
4 ・(H2 O)2 ・(COOH)2 は分離ならびに洗浄
され、次いで70〜200℃で乾燥される。
【0007】前記のFePO4 ・2H2 Oなる式で表さ
れるリン酸鉄としては、リン酸第二鉄二水塩(FePO
4 ・2H2 O)が具体的に使用されるが、更に、FeP
4・x(H2 O)2 ・y(COOH)2 なるリン酸鉄
−シュウ酸複合化合物を製造する反応系で、FePO4
・2H2 Oを形成できる化合物も使用することができ
る。このような化合物としては、例えば、トリディマイ
ト型や石英型のリン酸鉄、あるいはピロリン酸鉄を水存
在下で加熱したものが挙げられる。
【0008】前記のシュウ酸としては、無水シュウ酸又
は含水シュウ酸が使用される。これらはFePO4 ・2
2 Oに対して0.8〜10倍モル、更には1〜7倍モ
ル使用されることが好ましい。このとき、FePO4
2H2 Oに対するシュウ酸の割合を調整することによっ
て、x、yの異なるものを得ることができる。例えば、
x=y=1のものを得るにはシュウ酸はFePO4 ・2
2 Oに対して0.8〜3倍モル、更には1〜2倍モル
使用されることが好ましく、x=y=4のものを得るに
はシュウ酸はFePO4 ・2H2 Oに対して4〜10倍
モル、更には4〜7倍モル使用されることが好ましい。
また、前記の乾燥温度を100℃以上、更には130℃
以上にすると結晶水が飛散してxが0ないしは0に近い
ものが得られる。なお、シュウ酸は前記のように水溶液
として使用されることが好ましく、シュウ酸水溶液中の
シュウ酸の濃度は0.5〜50重量%、更には5〜30
重量%であることが好ましい。
【0009】FePO4 ・x(H2 O)2 ・y(COO
H)2 なる式で表されるリン酸鉄−シュウ酸複合化合物
はアミン捕捉剤として使用することができる。即ち、こ
のリン酸鉄−シュウ酸複合化合物はアミンと複合体を形
成し、更に、形成されたリン酸鉄−シュウ酸−アミン複
合体は無酸素下で300℃以上(アミンの分解温度以
下)に加熱すると吸着されたアミンを放出するので、各
種の反応原料、触媒、高分子の改質剤、硬化剤として使
用されるアミンを高温で使用することが可能になる。
【0010】前記のアミンとしては、脂肪族アミン、芳
香脂肪族アミン、芳香族アミンが挙げられるが、中でも
炭素数4以上のこれらアミン類が好適に挙げられる。こ
れらアミン類の中では、炭素数4〜16の脂肪族アミ
ン、炭素数7〜10の芳香脂肪族アミン、炭素数6〜1
0の芳香族アミンが更に好ましい。
【0011】脂肪族アミンとしては、例えば、n−ブチ
ルアミン、t−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n
−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、ヘキサメチレ
ンジアミン等の炭素数4〜16の脂肪族一級アミン、ジ
エチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピル
アミン、ジn−ブチルアミン、ジイソブチルアミン等の
炭素数4〜16の脂肪族二級アミン、トリエチルアミ
ン、トリn−プロピルアミン、トリn−ブチルアミン等
の炭素数4〜16の脂肪族三級アミンが具体的に挙げら
れる。
【0012】芳香脂肪族アミンとしては、例えば、ベン
ジルアミン、フェネチルアミン等の炭素数7〜10の芳
香脂肪族アミンが具体的に挙げられる。また、芳香族ア
ミンとしては、例えば、アニリン、N−メチルアニリ
ン、N,N−ジメチルアニリン、N,N,3,5−テト
ラメチルアニリン、アミノフェノール、p−アニシジ
ン、ナフチルアミン、メタキシレンジアミン等の炭素数
6〜10の芳香族アミンが具体的に挙げられる。
【0013】FePO4 ・x(H2 O)2 ・y(COO
H)2 なる式で表されるリン酸鉄−シュウ酸複合化合物
とアミンとの反応は、例えば、リン酸鉄−シュウ酸複合
化合物をアミンの水溶液に添加して攪拌する方法(アミ
ンが水溶性の場合)、リン酸鉄−シュウ酸複合化合物を
アミン類の有機溶媒溶液に添加して攪拌する方法(アミ
ンが水に難溶性の場合)、リン酸鉄−シュウ酸複合化合
物をアミンの溶液に添加して攪拌する方法(アミンが液
体の場合)、リン酸鉄−シュウ酸複合化合物をガス状の
アミンと接触させる方法(アミンがガス状の場合)によ
って行うことができる。この反応において、反応温度は
常温から90℃、更には30〜80℃程度であることが
好ましく、反応圧は常圧でも加圧でもよく、例えば、常
圧から5kg/cm2 、更には常圧から3kg/cm2
程度であればよい。
【0014】前記の反応を液相で行う場合、アミンは、
該リン酸鉄−シュウ酸複合化合物に対して1〜5倍モ
ル、更には1.5〜3倍モル使用されることが好まし
い。このとき、その水溶液や有機溶媒溶液(例えば、ベ
ンゼン溶液、トルエン溶液)におけるアミンの濃度は特
に限定されるものでない。なお、攪拌は5時間程度であ
れば充分であり、アミンが水に難溶性の場合は、前記の
リン酸鉄−シュウ酸複合化合物を予め乾燥しておくこと
が好ましい。また、前記の反応を気相で行う場合、ガス
状のアミンは、例えば、該リン酸鉄−シュウ酸複合化合
物5gに対して、30〜90℃の温度で、5〜100m
l/minの流速で30分〜10時間程度供給されるこ
とが好ましい。反応終了後、生成物は常法により分離さ
れて乾燥される。乾燥は真空乾燥によることが好まし
く、過剰のアミンや水を効率よく除去できる。
【0015】FePO4 ・x(H2 O)2 ・y(COO
H)2 なる式で表されるリン酸鉄−シュウ酸複合化合物
とアミンを反応させて得られる物質は、例えば、アミン
としてジイソプロピルアミンを使用し、リン酸鉄−シュ
ウ酸複合化合物としてFePO4 ・(H2 O)2 ・(C
OOH)2 を用いた場合、図4に示すFT−IRスペク
トル、図6に示すX線回折スペクトル(2θが低回折角
に移動する)を有するものであり、該リン酸鉄−シュウ
酸複合化合物の層間にアミンがインターカレートした物
質(リン酸鉄−シュウ酸−ジイソプロピルアミン複合
体)であると同定される。更に、元素分析やTG−DT
A図(図5)の結果も併せて考慮すると、この物質は該
リン酸鉄−シュウ酸複合化合物中のシュウ酸部分がアミ
ンと複合体を形成している物質であると推定される。こ
の場合、リン酸鉄−シュウ酸−ジイソプロピルアミン複
合体は、FePO4 ・(H2 O)2 ・〔COOH・(i
−C3 72 NH〕2 なる式で表すことができる。
【0016】即ち、FePO4 ・x(H2 O)2 ・y
(COOH)2 なる一般式で表されるリン酸鉄−シュウ
酸複合化合物とアミンを反応させて得られる物質(リン
酸鉄−シュウ酸−アミン複合体)は、該リン酸鉄−シュ
ウ酸複合化合物の層間にアミンがインターカレートした
物質(リン酸鉄−シュウ酸−アミン複合体)と同定され
る。また、このものは該リン酸鉄−シュウ酸複合化合物
中のシュウ酸部分がアミンと複合体を形成している物質
であると推定され、例えば、FePO4 ・x(H2O)
2 ・y(COOH・Z)2 なる式で表すことができる。
但し、xは0〜4の整数を表し、yは1〜4の整数を表
し、Zは前記アミンを表す。
【0017】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具
体的に説明する。なお、以下の操作は特に記載しない限
り常圧下で行った。
【0018】参考例1 〔FePO4 ・(H2 O)2 ・(COOH)2 の製造〕
蒸留水200mlに、リン酸第二鉄(FePO4 ・2H
2 O)44.56gとシュウ酸〔(COOH)2 〕3
7.65gを加え、攪拌しながら、70℃の水浴上で6
時間加熱した。引き続き、反応液を水浴上で加熱して水
分を蒸発させた後、残渣を蒸留水で充分洗浄して過剰の
シュウ酸を除いて、110℃で乾燥した。得られた化合
物は、元素分析(表1)、FT−IRスペクトル(図
1:1600〜1700cm-1の吸収がカルボニル基に
相当し、3400〜3500cm-1の吸収が水酸基に相
当する)、X線回折スペクトル(図2)、熱分析(TG
−DTA)(図3:重量減少5重量%及び37重量%が
それぞれ水及びシュウ酸の重量減少に相当する)、及び
酸化還元滴定(2価のFeの割合が全Feの0.2〜
0.3%である)より、FePO4 ・(H2 O)2
(COOH)2 なる式で表される新規なリン酸鉄−シュ
ウ酸複合化合物であった。分解点はTG−DTAより約
306℃であった。なお、熱分解質量分析(TG−M
S)より、この化合物の分解で発生するガスは全て炭酸
ガスであることが認められた。
【0019】
【表1】
【0020】実施例1 〔リン酸鉄−シュウ酸−ジイソプロピルアミン複合体の
製造〕参考例1で得られたリン酸鉄−シュウ酸複合化合
物5.5gをジイソプロピルアミン4.04gと水1m
Lの溶液に加え、超音波攪拌機を用いて50℃で5時間
攪拌した。得られたスラリーは淡黄緑色から黄色を呈し
ていた。攪拌終了後、濾過、トルエン洗浄、真空乾燥
(50℃)を行って、生成物を得た。
【0021】該生成物は、黄色を呈し、FT−IRスペ
クトル(図4:1600〜1700cm-1の吸収がカル
ボニル基に相当し、3400〜3500cm-1の吸収が
水酸基に相当する)及びX線回折スペクトル(図5)よ
り、前記のリン酸鉄−シュウ酸複合化合物の層間にジイ
ソプロピルアミンがインターカレートしたリン酸鉄−シ
ュウ酸−ジイソプロピルアミン複合体であった。更に、
元素分析(炭素:33重量%、窒素:5.5重量%、水
素:6.8重量%、灰分:31重量%)及びTG−DT
A(図6:重量減少61.1重量%が水、シュウ酸及び
ジイソプロピルアミンの重量減少に相当する)の結果も
考慮すると、この物質はFePO4 ・(H2 O)2
〔COOH・(i−C3 7 2 NH〕2 なる式に一致
するものであった。なお、TG−DTAよりこの物質の
分解点は約292℃であった。
【0022】この物質を無酸素下(約292℃)で分解
したところ、熱分解質量分析(TG−MS)よりジイソ
プロピルアミンの発生することが確認された。この結
果、沸点84℃のジイソプロピルアミンを200℃以上
の温度に保持させることが可能になった。
【0023】実施例2 〔リン酸鉄−シュウ酸−ベンジルアミン複合体の製造〕
参考例1で得られたリン酸鉄−シュウ酸複合化合物〔2
θ=12.14°(d=7.28)〕5.5gをベンジ
ルアミン5gと水1mLの溶液に加え、超音波攪拌機を
用いて50℃で5時間攪拌した。攪拌終了後、濾過、ト
ルエン洗浄、真空乾燥(50℃)を行って、生成物を得
た。
【0024】該生成物は、褐色を呈し、FT−IRスペ
クトル(図7)及びX線回折スペクトル〔図8:2θ=
4.56°(d=19.36)に移動〕より、前記のリ
ン酸鉄−シュウ酸複合化合物の層間にベンジルアミンが
インターカレートしたリン酸鉄−シュウ酸−ベンジルア
ミン複合体であった。更に、元素分析(炭素:44重量
%、窒素:6.9重量%、水素:5.1重量%、灰分:
26重量%)及びTG−DTA(重量減少69.3重量
%が水、シュウ酸及びベンジルアミンの重量減少に相当
する)の結果も考慮すると、この物質は、FePO4
(H2 O)2 ・(COOH・C6 5 CH2 NH2 2
なる式に一致するものであった。なお、この物質はX線
回折スペクトルより15〜30Åの面間隔を有し、TG
−DTAより分解点が約297℃であった。
【0025】この物質を無酸素下(約297℃)で分解
したところ、熱分解質量分析(TG−MS)よりベンジ
ルアミンの発生することが確認された。この結果、沸点
184℃のベンジルアミンを250℃以上の温度に保持
させることが可能になった。
【0026】実施例3 〔リン酸鉄−シュウ酸−アニリン複合体の製造〕参考例
1で得られたリン酸鉄−シュウ酸複合化合物〔2θ=1
2.14°(d=7.28)〕5.5gをアニリン5g
と水1mLの溶液に加え、超音波攪拌機を用いて50℃
で5時間攪拌した。攪拌終了後、濾過、トルエン洗浄、
真空乾燥(50℃)を行って、生成物を得た。
【0027】該生成物は、褐色を呈し、FT−IRスペ
クトル(図9)及びX線回折スペクトル〔図10:2θ
=4.74°(d=18.62)に移動〕より、前記の
リン酸鉄−シュウ酸複合化合物の層間にアニリンがイン
ターカレートしたリン酸鉄−シュウ酸−アニリン複合体
であった。更に、元素分析(炭素:39重量%、窒素:
6.2重量%、水素:4.6重量%、灰分:34重量
%)及びTG−DTA(重量減少64.5重量%が水、
シュウ酸及びアニリンの重量減少に相当する)の結果も
考慮すると、この物質は、FePO4 ・(H2 O)2
(COOH・C65 NH2 2 なる式に一致するもの
であった。なお、この物質はX線回折スペクトルより1
5〜30Åの面間隔を有し、TG−DTAより分解点が
約295℃であった。
【0028】この物質を無酸素下(約295℃)で分解
したところ、熱分解質量分析(TG−MS)よりアニリ
ンの発生することが確認された。この結果、沸点184
℃のアニリンを250℃以上の温度に保持させることが
可能になった。
【0029】実施例4 〔リン酸鉄−シュウ酸−ヘキサメチレンジアミン複合体
の製造〕参考例1で得られたリン酸鉄−シュウ酸複合化
合物〔2θ=12.14°(d=7.28)〕5.5g
をヘキサメチレンジアミン3gと水1mLの溶液に加
え、超音波攪拌機を用いて50℃で5時間攪拌した。攪
拌終了後、濾過、トルエン洗浄、真空乾燥(50℃)を
行って、生成物を得た。
【0030】該生成物は、赤色から赤褐色を呈し、FT
−IRスペクトル(図11)及びX線回折スペクトル
〔図12:2θ=4.74°(d=18.62)に移
動〕より、前記のリン酸鉄−シュウ酸複合化合物の層間
にヘキサメチレンジアミンがインターカレートしたリン
酸鉄−シュウ酸−ヘキサメチレンジアミン複合体であっ
た。更に、元素分析(炭素:25重量%、窒素:7.1
重量%、水素:5.7重量%、灰分:37重量%)及び
TG−DTA(重量減少61.4重量%が水、シュウ酸
及びヘキサメチレンジアミンの重量減少に相当する)の
結果も考慮すると、この物質は、FePO4 ・(H
2 O)2 ・〔COOH・NH2 (CH2 6 NH 2 2
なる式に一致するものであった。なお、TG−DTAよ
りこの物質の分解点は約280℃であった。
【0031】この物質を無酸素下(約280℃)で分解
したところ、熱分解質量分析(TG−MS)よりヘキサ
メチレンジアミンの発生することが確認された。この結
果、沸点205℃のヘキサメチレンジアミンを250℃
以上の温度に保持させることが可能になった。
【0032】実施例5 〔リン酸鉄−シュウ酸−t−ブチルアミン複合体の製
造〕参考例1で得られたリン酸鉄−シュウ酸複合化合物
5.5gをt−ブチルアミン2.92gと水1mLの溶
液に加え、超音波攪拌機を用いて50℃で6時間攪拌し
た。攪拌終了後、濾過、トルエン洗浄、真空乾燥(50
℃)を行って、生成物を得た。
【0033】該生成物は、黄褐色を呈し、FT−IRス
ペクトル(図13)、X線回折スペクトル(図14)よ
り、前記のリン酸鉄−シュウ酸複合化合物の層間にt−
ブチルアミンがインターカレートしたリン酸鉄−シュウ
酸−t−ブチルアミン複合体であった。更に、元素分析
(炭素:32重量%、窒素:6.8重量%、水素:7.
3重量%、灰分:33重量%)及び熱分析(TG−DT
A)(重量減少65重量%が水、シュウ酸及びt−ブチ
ルアミンの重量減少に相当する)の結果も考慮すると、
この物質は、FePO4 ・(H2 O)2 ・〔COOH・
t−C4 9 NH2 2 なる式に一致するものであっ
た。なお、TG−DTAよりこの物質の分解点は約30
1℃であった。
【0034】この物質を無酸素下(約301℃)で分解
したところ、熱分解質量分析(TG−MS)よりt−ブ
チルアミンの発生することが確認された。この結果、沸
点46℃のジイソプロピルアミンを250℃以上の温度
に保持させることが可能になった。
【0035】
【発明の効果】本発明の新規なリン酸鉄化合物(リン酸
鉄−シュウ酸複合化合物)により、新規なアミン捕捉剤
を提供することができる。即ち、FePO4 ・(H
2 O)2 ・(COOH)2 なる一般式で表される新規な
リン酸鉄化合物(リン酸鉄−シュウ酸複合化合物)は、
例えば、FePO4 ・(H2 O)2 ・(COOH・Z)
2 なる一般式で表されるリン酸鉄−シュウ酸−アミン複
合体を形成するので、アミンを効果的に捕捉(除去)で
きるようになる。また、このリン酸鉄−シュウ酸−アミ
ン複合体は、無酸素下、300℃以上で熱処理すると分
解してもとのアミンを再生するので、各種の反応原料、
触媒、高分子の改質剤、及び硬化剤として使用されるア
ミンを高温で使用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で得られたリン酸鉄−シュウ酸複合化
合物のFT−IRスペクトルを示す。
【図2】参考例1で得られたリン酸鉄−シュウ酸複合化
合物のX線回折スペクトルを示す。
【図3】参考例1で得られたリン酸鉄−シュウ酸複合化
合物のTG−DTA図を示す。
【図4】実施例1で得られたリン酸鉄−シュウ酸−アミ
ン複合体のFT−IRスペクトルを示す。
【図5】実施例1で得られたリン酸鉄−シュウ酸−アミ
ン複合体のX線回折スペクトルを示す。
【図6】実施例1で得られたリン酸鉄−シュウ酸−アミ
ン複合体のTG−DTA図を示す。
【図7】実施例2で得られたリン酸鉄−シュウ酸−アミ
ン複合体のFT−IRスペクトルを示す。
【図8】実施例2で得られたリン酸鉄−シュウ酸−アミ
ン複合体のX線回折スペクトルを示す。
【図9】実施例3で得られたリン酸鉄−シュウ酸−アミ
ン複合体のFT−IRスペクトルを示す。
【図10】実施例3で得られたリン酸鉄−シュウ酸−ア
ミン複合体のX線回折スペクトルを示す。
【図11】実施例4で得られたリン酸鉄−シュウ酸−ア
ミン複合体のFT−IRスペクトルを示す。
【図12】実施例4で得られたリン酸鉄−シュウ酸−ア
ミン複合体のX線回折スペクトルを示す。
【図13】実施例5で得られたリン酸鉄−シュウ酸−ア
ミン複合体のFT−IRスペクトルを示す。
【図14】実施例5で得られたリン酸鉄−シュウ酸−ア
ミン複合体のX線回折スペクトルを示す。
【図15】FePO4 ・(COOH)2 のFT−IRス
ペクトルを示す。
【図16】FePO4 ・(COOH)2 のX線回折スペ
クトルを示す。
【図17】FePO4 ・(COOH)2 のTG−DTA
図を示す。
【図18】FePO4 ・4(H2 O)2 ・4(COO
H)2 のFT−IRスペクトルを示す。
【図19】FePO4 ・4(H2 O)2 ・4(COO
H)2 のX線回折スペクトルを示す。
【図20】FePO4 ・4(H2 O)2 ・4(COO
H)2 のTG−DTA図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 211/46 C07C 211/46

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 FePO4 ・x(H2 O)2 ・y(CO
    OH)2 なる式で表されるリン酸鉄−シュウ酸複合化合
    物から成るアミン捕捉剤(式中、xは0〜4の整数を表
    し、yは1〜4の整数を表す)。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103316638A (zh) * 2012-03-22 2013-09-25 中国石油化工股份有限公司 一种吸收烃类气体中nr3化合物的固体吸收剂及其应用
US9809680B2 (en) 2015-11-12 2017-11-07 International Business Machines Corporation Amine scavengers for synthesis of polythioaminals

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