JPH11225527A - 落花生収穫機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】落花生のように、地中の豆が地上にある葉茎部
に覆われることがあって豆に乾燥のバラツキを生じ易
く、また、雨が降ると、圃場の湿りのために、乾燥に長
時間かかり、品質や作業能率の低下の原因になる。 そ
のため、収穫機に農産物の品質や作業能率を高める方策
を講じる必要がある。 【解決手段】圃場に植生している落花生１を堀り起こす
堀り起こし手段と、該落花生１を後方に搬送する搬送手
段と、落花生１を圃場側に案内する案内手段とを設け、
該搬送手段の搬送途時に搬送姿勢を上下反転可能な落差
を設けてなる落花生収穫機。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、圃場に植生して
いる落花生を収穫する落花生収穫機に関する。

【０００２】

【従来の技術】堀取り装置で堀取った農産物を搬送装置
により所定場所に搬送し、その後この農産物をコンテナ
に箱詰めする調整作業を行う収穫機がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、収穫する農
産物によっては、選別や箱詰めをするだけでなく、堀取
った農産物を圃場に残して天日乾燥する必要があるもの
もある。然し乍ら、単に農産物を放置するだけでは、例
えば、落花生のように、地中の豆が地上にある葉茎部に
覆われることがあって豆に乾燥のバラツキを生じ易く、
また、雨が降ると、圃場の湿りのために、乾燥に長時間
かかり、品質や作業能率の低下の原因になる。 そのた
め、収穫機に農産物の品質や作業能率を高める方策を講
じる必要がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明は、前記課題を
解決するものであって、つぎのような技術的手段を講じ
た。すなわち、圃場に植生している落花生１を堀り起こ
す堀り起こし手段と、該落花生１を後方に搬送する搬送
手段と、落花生１を圃場側に案内する案内手段とを設
け、該搬送手段の搬送途時に搬送姿勢を上下反転可能な
落差を設けてなる落花生収穫機とする。

【０００５】

【作用】まず、落花生収穫機の駆動源を起動して機体の
回転各部を駆動し、機体を移動して作業を開始する。す
ると、堀り起こし手段によって堀り起こされた落花生１
は、搬送手段によって後方に搬送され、そして、その途
中、落差の所で豆が上側に位置し、葉茎部が下側に位置
するように反転し、その後、案内手段によって圃場側に
案内される。

【０００６】

【効果】案内手段によって案内された落花生１の葉茎部
２が地面側に位置して豆３を支えた状態になるので、豆
３が日光や風が当たり易くなり、乾燥ムラによる品質の
低下の防止及び作業能率の向上を図ることができる。ま
た、１個の搬送手段の搬送途時に落差を設けているの
で、構成が簡単でありながらも反転前後の落花生１を円
滑に搬送でき、作業能率を高め得る。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。まず、その構成について説明する
と、落花生収穫機２は、機体の前進方向に向かって、左
右方向に所定の間隔を置いて配置した走行装置（実施例
ではクロ−ラ型であるが、車輪又は車輪とクロ−ラとの
組合わせによる構成としてもよい）３を具備する車台４
の前部に掘り起こし側よりも搬送終端側を後方上方に位
置し且つ任意の高さに調節できる昇降手段（実施例では
油圧シリンダであるが、電動モ−タでもよい）によって
昇降自在に設けた堀り起こし搬送装置５と、該堀り起こ
し搬送装置５の横方向の一側部に設けた操縦部６とを設
けている。

【０００８】該堀り起こし搬送装置５は左右方向に所定
の間隔を置いて相対向させ、機体の進行方向に長く形成
した側枠７の前端部に堀り起こし刃８と、該堀り起こし
刃８の背面近くに搬送始端部を位置し後方上方に向けて
機体の進行方向に長く形成すると共に、堀り起こし刃８
と略同等の左右幅を有する搬送コンベア９と、左右の側
枠７から前方に向けて突出したブラケット１０に収穫対
象畝の長さ方向に沿って機体の移動と共に移動する畝追
従装置１１とを設けている。なお、搬送コンベア９は豆
１２を下側に位置し、葉茎部１３を上側に位置する姿勢
の状態で落花生１を後方に搬送できる。

【０００９】該堀り起こし刃８は前後及び左右方向に広
幅の板体に形成しており、前進方向に向かう平面視にお
いて、一端部（左側端部、右側端部）を側枠７に取付け
具（例えばボルト、ナット等、図示せず）により着脱自
在に直接固定すると共に他端部を後方中央部で且つ左右
方向に間隙を設けて逆ハの字状に配置している。なお、
堀り起こし刃８の取付け手段として、取付け板を介して
側枠に取付け具（例えばボルト、ナット等、図示せず）
でもって着脱自在に間接的に固定してもよく、さらに、
前記間隙は３０〜５０ｍｍが適当であるが、４０ｍｍ程
度が好ましい。

【００１０】そして、搬送コンベア９は搬送始端部、中
間部及び搬送終端部の左右両端部にそれぞれ回転可能に
設けている輪体１４に巻き掛けた無端チェ−ン１５に、
落花生１に付着している土は落下することができるが上
部に葉茎部２を有する落花生１の豆１２は落下しない程
度の間隙を設けて搬送方向に搬送体１６を多数設けたチ
ェ−ンコンベアである。

【００１１】なお、搬送方向の中間部の輪体１４を上下
方向に配置して、搬送コンベア９の途中部に、葉茎部１
３が上側に位置し、豆１２が下側に位置する落花生１の
姿勢を上下反転する高さの落差Ｌを設けている。前記畝
追従装置１１は前後・左右に所定間隔を置いて配置した
機枠を枠組みして畝追従フレ−ム１７を構成し、該畝追
従フレ−ム１７の、堀り起こし搬送装置５よりも前方に
位置する部位の左右両端部から下方前方に向けて設けた
車輪フレ−ム１８の下端部に、収穫対象畝の左右の傾斜
部に接すると共に左右一対のキャンバ−角を有し回動可
能な車輪１９を対向させている。なお、該車輪１９は上
下調節ハンドル２０の操作により上下位置調節でき、さ
らに車輪フレ−ム１８を畝追従フレ−ム１７の前機枠に
対して横方向に移動することにより左右方向に位置変更
自在に構成している。

【００１２】また、左右の各側枠７と車輪１９との間に
は、側面視において、上下及び前後方向に広幅に形成す
ると共に、基部を側枠７の前端部に取付け具（ボルト、
ナット等）により着脱自在に取付け、先端上部を横外方
に向けて屈曲して車輪１９に近づけている葉茎案内板２
１を配置している。なお、堀り起こし搬送装置５は搬送
コンベア９の中間部で上方に折畳できるように構成して
おり、搬送コンベア９の搬送始端部、掘り起こし刃８、
車輪１９と、茎案内板２１等が一体に機体内側に収納で
きるので、機体の全長を短くでき運搬の利便性を高め得
る。

【００１３】操縦部６は前側部と左側部からなる操作パ
ネル２２と座席２３とを備えており、該前側の操作パネ
ル２２の右側端部に、機体の前進方向に向かって前側に
倒すと掘り起こし搬送装置５を下降し、後側に倒すと掘
り起こし搬送装置５を上昇し、左側に倒すと機体を左側
に旋回し、右側に倒すと機体を右側に旋回する各操作を
行い得るパワステレバ−２４を設けている。

【００１４】そして、横側の操作パネル２２の前部に、
車台４に搭載した原動機の回転動力により駆動する流体
静圧変速機（ＨＳＴ）や歯車伝動機構等を介して前記走
行装置３の速度を変速操作する変速レバ−２５を設け、
該変速レバ−２５の後方に、搬送コンベア９の回転・停
止の操作を行う作業クラッチレバ−２６を設けている。

【００１５】なお、図示していないが、パワステレバ−
２４の操作により油圧バルブを切り替えて前記動作を行
う構成であり、パワステレバ−２４の左側部に、原動機
２７を起動又は停止を切り替え操作するエンジンスイッ
チ２７を設けている。案内手段（シュ−タ−）２８は、
円形の筒状に形成すると共に両端面を開放して、搬送コ
ンベア９の搬送終端部にのぞむ入り口２９と圃場面に近
い出口３０を設け、機体の後部機枠に着脱自在に取り付
けている。なお、該シュ−タ−２８は半円筒形状あるい
はこれに近い形状であればよく、材質として、鉄板に樹
脂をコ−ティングしたものでもよいが、実施例のよう
に、樹脂で一体成形すると便利である。

【００１６】そして、該入り口２９と出口３０を連通す
る部位を、落花生１を案内する通路３１に形成し、ま
た、この通路３１は、側面視において、出口側が低い斜
め下がりに設けている。なお、出口３０と圃場面との高
さは、落花生１の高さよりも高い位置にあるようにシュ
−タ−２８を設けているが、使用適応を高めるために、
シュ−タ−２８の上下位置変更可能に設けている。さら
に、シュ−タ−自体の長さを調節して圃場面からの高さ
を選択できるように構成してもよい。

【００１７】３２はシュ−タ−２８の入り口２９の近く
に設け、出口側に向けてコンプレッサ−（図示せず）か
らの圧縮空気を送り込むことができるノズルであって、
実施例では、２個設けているが、１個又は３個以上でも
よい。そして、センサ−を設けて、落花生１が来ると、
バルブを開いて圧縮空気を供給する構成としてもよい。

【００１８】つぎに、その落花生１の収穫作業について
説明する。まず、運転者は操縦部６の座席２３に座り、
駐車ブレ−キペダルを踏み込んでエンジンスイッチ２７
を入りしてエンジンを起動すると、エンジンから出力さ
れた動力は伝動機構を介して機体の回転各部に伝動され
る。そして、スロットルレバ−を回動してエンジンを所
定回転数に選択すると共に、作業クラッチレバ−２６を
入りにし、パワステレバ−２６を前側または後側に倒し
て油圧シリンダを介して掘り起こし搬送装置５を昇降し
所望の高さにする。

【００１９】収穫作業の準備を終えると、駐車ブレ−キ
ペダルの踏み込みを解除し、つづいて変速レバ−２５を
前側に回動して機体を前進させると共にパワステレバ−
２４を左側または右側に倒して機体の前進方向を修正
し、畝追従装置１１に設けた左右一対の車輪１９が圃場
に植生している落花生１の畝を挾んで移動するように合
わせて作業を開始する。このとき、畝の幅と車輪幅が適
正でない場合には、車輪フレ−ム１８を畝追従フレ−ム
１７の前機枠に対して横方向に移動して調節し、車輪の
高さが適正でない場合には上下調節ハンドル２０を操作
して適正な高さに調節する。

【００２０】すると、機体の移動に関連して、落花生１
の葉茎部１３の下部は葉茎案内板２１によって案内さ
れ、一方、地中にある豆１２は掘り起こし刃８によって
掘り起こされる。該掘り起こし作業において、前進方向
に向かって、掘り起こし刃８は左側端部及び右側端部か
ら後方中央部に向かう、平面視において、逆ハの字状に
設けているので、落花生１が内側により、刃８と刃８の
間隙から土や根やゴミ等が抜けて抵抗が小さく、畝に対
する追従性を高め、収穫作業能率の向上を図れる。

【００２１】また、葉茎部１３が左側または右側、ある
いは左右両側に広がっている場合には、左側の葉茎案内
板２１または右側の葉茎案内板２１あるいは左右両側に
ある葉茎案内板２１によって、機体内側に案内されるの
で、搬送コンベア９は掘り起こした落花生１を一株ずつ
円滑に引き継ぎ搬送できる。搬送コンベア９に引き継が
れた落花生１は、下側にある豆３が搬送面に載った姿勢
で搬送方向である後部上方に向けて移動し、その後、落
差Ｌのある部位に到達すると、搬送コンベア９の回動作
用を受けて落下しながら反転する。

【００２２】そして、豆１２が上側に位置し、葉茎部１
３が下側に位置する姿勢になった落花生１は、搬送コン
ベア９によってさらに後側に向けて搬送され、その後、
その搬送終端から入り口２９を通って通路３１に入り、
シュ−タ−２８に案内されて出口３０から圃場に排出さ
れる。この時、シュ−タ−２８に入る落花生１はノズル
３２から出口側に向けて吹き出される圧縮空気を受け
て、シュ−タ−内への入り込みと通路３１での移動を速
く行うことができるので、落花生１の移動が速やかにな
り、作業能率を高めることができる。また、シュ−タ−
２８は筒状に形成しているので、機体の急停止や振動が
あっても反転した落花生１の姿勢を維持することができ
る。なお、筒状のシュ−タ−２８とノズル３２との組み
合わせを用いると、収穫作業能率を一層高めることがで
きる。

【００２３】そして、搬送コンベア９が掘り起こしたた
落花生１を搬送するとき、落花生１に付着し、あるいは
落花生１とともに持ち上げられた土や砂を下方に落下す
ることができるので、作業部での作業を衛生的に行い得
ると共に豆１２への付着を防止できる。したがって、地
中にあった豆１２は地面より高い位置にあるので、日光
や風当たりがよく、乾燥ムラを防止すると共に豆３の乾
燥を速め収穫作業能率を高め得る。また、落花生１を圃
場に排出した後に雨が降っても、水は地面側に落下する
ので、豆１２が水に浸漬して湿度が大きくならず乾燥を
速くすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】落花生収穫装置の平面図。

【図２】落花生収穫装置の側面図。

【図３】落花生収穫装置の背面図。

【図４】一部切除した搬送コンベアの概略側面図。

【符号の説明】

１ 落花生 １２ 豆 １３ 葉茎部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圃場に植生している落花生１を堀り起こ
   す堀り起こし手段と、該落花生１を後方に搬送する搬送
   手段と、落花生１を圃場側に案内する案内手段とを設
   け、該搬送手段の搬送途時に搬送姿勢を上下反転可能な
   落差を設けてなる落花生収穫機。