JPH11222611A - 高炉操業方法 - Google Patents

高炉操業方法

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JPH11222611A
JPH11222611A JP31201498A JP31201498A JPH11222611A JP H11222611 A JPH11222611 A JP H11222611A JP 31201498 A JP31201498 A JP 31201498A JP 31201498 A JP31201498 A JP 31201498A JP H11222611 A JPH11222611 A JP H11222611A
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JP
Japan
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hot metal
furnace
blast furnace
temperature
measured
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Application number
JP31201498A
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English (en)
Inventor
Kenji Oya
憲司 大屋
Shigeru Wakita
茂 脇田
Sachikazu Hayasaka
祥和 早坂
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶銑温度の正確・高精度且つ迅速測定による情
報を得て、炉熱制御性を飛躍的に向上させると共に、炉
芯部の通液性及び通気性を良好に保持する操業技術を開
発する。 【解決手段】 高炉出銑口から排出された溶銑流の温度
を金属管で被覆された光ファイバーを利用して測定し、
この温度情報に基づき、高炉炉熱を制御し、低シリコ
ン溶銑の製造操業、低燃料比操業をする、また、炉芯
部の活性状態を検知して高微粉炭吹込み操業をする。溶
銑温度は、出銑口からの噴出流温度を測定するのが望ま
しい。 【効果】 炉況の安定化が促進され、高炉の低温操業が
可能となり、炉芯不活性による異常操業がなくなるの
で、溶銑製造コストが下がり、生産性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高炉で溶銑を製
造する際に、溶銑の温度を正確に且つ精度良く測定し、
しかもできるだけ迅速にその温度情報を得ると共に、こ
れを利用して高炉の炉熱制御を行ない、安定した高炉操
業を行なう方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高炉による溶銑の製造においては、炉頂
から鉄原料である鉄鉱石、燃料であるコークス、及び副
原料である石灰石等を装入し、炉下部羽口から熱風を吹
き込んでコークスを燃焼させ、生成したCO主体の還元
性ガスと熱エネルギーとにより鉄鉱石を還元する。こう
して鉄鉱石中の鉄分は溶銑の主成分となり、一方、鉄鉱
石中の脈石やコークス中の灰分は石灰石等と共にスラグ
となり、いずれも炉下部の出銑口から定期的に排出され
る。このように、高炉の炉内においては、原料と還元性
ガスとの高温反応プロセスにより溶銑を製造する。この
ような高炉の操業においては、主要な操業特性が良好な
状態に維持された定常状態を継続すること、即ち、高炉
の安定操業が望まれる。ここで、主要な操業特性を良好
な状態に至らしめるためには、良好な炉熱制御と炉内の
通気性及び通液性の確保が必要であり、そして、この炉
熱制御と通気性及び通液性を良好な状態で維持していく
ためには、炉内装入物の物質収支バランス及び炉内熱収
支バランスを保つことが重要である。
【0003】高炉の炉熱制御は、炉熱レベルと炉熱推移
を制御することであり、炉熱レベル及び炉熱推移は、炉
内反応等の炉内状況を反映する情報として最も重視され
るものの一つである。そして、炉熱レベルと炉熱推移は
炉内の溶銑温度に顕著に反映される。従って、炉内の溶
銑温度を正確に且つ精度良く、できるだけ時間遅れなし
に測定し、得られた測温情報に基づき高炉の操業要因を
制御することにより溶銑温度を所要レベルの狭い範囲内
に調節することが可能となる。このようにして高炉操業
を安定させ、燃料原単位の低減、生産性の向上及び溶銑
の品質向上を図ることが望まれる。
【0004】ところが、従来、溶銑温度の測定は一般
に、出銑された溶銑が出銑口から出銑樋を通って、スラ
グ除去装置であるスキンマに到達し、ここでスラグが溶
銑上に浮上分離した溶銑溜めで測定する方法が採られて
いる。そして、測温にはイマージョン型温度計が用いら
れている。また、出銑は所定時間間隔で1回当たり3〜
4時間程度かけて行なわれるが、溶銑が出銑口からスキ
ンマへ到達する過程で樋への抜熱や大気への放熱により
溶銑温度は低下する。そのため、出銑開始後の時間経過
と共に、溶銑通路が昇熱するので、スキンマで測定され
る溶銑温度が徐々に上昇するが、その温度上昇曲線は緩
やかで出銑口間でかなりばらつく。また、出銑初期のス
キンマでの溶銑温度は、炉内の溶銑温度よりも低温側へ
のずれが大きく、ばらつきも大きいので、スキンマでの
溶銑温度が炉内の溶銑温度に近づき安定するのにはかな
りの長時間を要する。従って、多数の操業データにより
スキンマでの測定値を補正しても炉内の溶銑温度を正確
に迅速に推定することが困難である。即ち、スキンマで
溶銑温度を測定する従来の方法では、炉内の溶銑温度を
正確に、精度よく、且つ時間遅れの少ない状態で把握す
ることは極めて困難である。
【0005】このように従来の溶銑温度測定方法では、
高炉の炉熱制御性には限界があり、より良好な制御性が
望まれている。また、炉熱の異常低下を早期に検知する
ことに関しても改善が望まれる。高炉操業においては、
炉熱の異常低下の発生は特に重大な操業トラブルを招
く。そこで、従来の高炉操業においては、炉熱の異常低
下により発生する操業トラブルを未然に防止するため
に、溶銑温度の目標値を、溶銑温度の下限管理値よりも
相当高く設定し、炉熱制御を安全サイドで行なってい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、高炉
の溶銑温度を、従来のようにスキンマにおける測定値か
ら推定する方法では、それを正確に精度良く迅速に推定
することが困難である。従って、日常の高炉操業におい
ては、溶銑温度の目標値は、溶銑温度を正確に精度良く
迅速に測定できる場合に比べて相当高めに設定せざるを
得ない。従って、燃料比が高くなる等、コスト高とな
る。また、溶銑温度の目標値をこのように高めに設定し
ても、もともと、正確な温度情報が迅速には得られない
ので、高炉内での異常現象発生の判断が遅くなり、アク
ションが遅れて重大な操業上のトラブルを回避できない
場合がある。
【0007】このように、従来の溶銑温度測定方法によ
ると、正確に精度よくその温度を測定することが困難で
あること、及び正確且つ高精度の測温を迅速に行なうこ
とができないことに起因して、高炉操業上種々の問題が
発生する。本発明者等は、この問題に関して次のように
便宜上、正常な操業時における溶銑温度管理上の問題
と、炉熱の低温異常発生につながる溶銑温度管理上の問
題とに分けて整理し、その解決策を検討した。
【0008】A.日常の操業において溶銑温度の目標値
をかなり高めに設定しなければならないことにより発生
する問題点 (1)溶銑温度の目標値を、溶銑温度の下限管理値より
も相当高く設定して操業するためには、高めに設定する
分だけ多量に燃料を必要とし、燃料比が高くなる。 (2)溶銑温度の目標値を高めに設定した操業をする
と、下記反応式で示される溶銑中へのSiの移行が進行
して、溶銑中のSi濃度が高くなる。
【0009】 (SiO2 )+2〔C〕→〔Si〕+2CO ----------------- (1) SiO + 〔C〕→〔Si〕+ CO ----------------- (2) 但し、 (1)式:スラグ−メタル間反応による溶銑中へのSi
の移行反応 (2)式:SiOガスを介しての溶銑中へのSiの移行
反応 そして、溶銑中のSi濃度が高くなるほど、次工程であ
る製鋼工程での原料溶銑の精錬において、媒溶剤として
の石灰を多量に消費し、製鋼スラグ量が増加する。こう
して製鋼工程での鉄歩留が低下すると共に、製鋼スラグ
の発生量が増加するという問題につながる。
【0010】B.正確且つ高精度の溶銑温度情報を迅速
に入手できないことにより発生する問題点 正確且つ高精度の溶銑測温情報、特に溶銑温度の低下情
報の入手とそれに対するアクションが遅れると、高炉操
業上重大なトラブルが発生する。即ち、高炉操業におい
て、各種状況に起因して発生するいわゆる炉芯不活性に
つながる状態の検知が遅れたり、これに対する適切なア
クションが早期に行なわれないと、下記現象を伴う炉芯
不活性に陥る。即ち、高炉下部領域で炉芯部の通液性が
悪化すると共に通気性も悪化し、炉芯部を中心として炉
内に環状流が発生する。その結果、例えば次のような操
業上のトラブルが発生する。
【0011】炉底及び側壁への熱負荷が増大して、高炉
下部耐火物が損傷し、そのために炉体寿命が短縮すると
いう問題がある。炉芯不活性状態によるこのような炉壁
損傷による炉体への重大なトラブルを未然に防止するた
めに、チタン含有鉱石であるイルメナイト焼結鉱を炉頂
から装入し、チタニア含有の高融点化合物を炉壁耐火物
表面に析出させて、煉瓦の侵食を防止する。しかしなが
ら、このアクションによりスラグ中にTiO2 が多量
に混入してスラグ組成が変化する。このようなスラグ
は、水滓化処理してもセメントの原料には使えなくな
る。また、上記炉芯環状流の発生による炉壁への異常な
抜熱により、溶銑滓の温度が異常に低下して出銑滓作業
が不調に陥り、炉況悪化を招く。また、高微粉炭吹込み
操業時に炉芯不活性状態に陥ると、微粉炭吹込み操業を
中止せざるを得なくなり、著しい炉況悪化を招く。
【0012】この発明の課題は、上述したA.及びB.
の各種問題を解決するために、溶銑温度を正確に且つ精
度良く、しかも迅速に測定し、こうして得られた情報に
基づき、日常の正常操業時に炉熱支配因子を良好に制御
すると共に、炉芯部の通液性及び通気性を良好に保持す
ることにより、従来よりも溶銑温度の目標管理値を下
げ、また、炉芯不活性による異常操業の発生を防止し安
定した高炉の操業方法を開発することにある。かくし
て、この発明の目的は、炉況の安定化を促進して、低シ
リコン溶銑を安定して製造すること、燃料コストの低減
を図ること、安定した高微粉炭吹込み操業を行なうこと
にあり、もって、炉体寿命の延長を図り、高炉スラグの
成分組成の安定化を図ることにより、溶銑製造コストを
一層下げると共に、溶銑の生産性を向上させる高炉操業
方法を提供することにある。なお、この発明において低
シリコン溶銑とは、溶銑中のSi濃度が0.30wt.%以
下、特に0.20wt.%以下の溶銑を指すものとする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述した観点から溶銑の
測温情報に基づき、炉熱を制御すると共に、炉内の通気
性及び通液性を正確且つ迅速に判定することによって、
炉況を安定させると共に、炉況異常時に迅速に適切なア
クションをとり得る高炉の操業方法を開発すべく鋭意研
究を重ねた。
【0014】本発明者等は、光ファイバーを金属管で補
強し剛性を持たせ、出銑中の被測定溶銑流の状態に応じ
て適切に設計されたワイヤー状の光センサーユニットを
用いて溶銑温度を測定し、その温度情報に基づき炉熱支
配因子を制御して、日常の正常操業時の溶銑温度目標値
を従来よりも低く設定することができ、また、上記温度
情報に基づき炉内状況の異常発生をより早期に検知する
ことができ、その結果適切なアクションを従来よりも早
期にとることができ、低コストで安定した高炉操業を行
なうことができることがわかった。
【0015】この発明は、上述した知見に基づきなされ
たものである。請求項1記載の高炉操業方法は、溶銑を
製造する高炉の操業方法において、高炉の出銑口から排
出された溶銑流の温度を金属管で被覆された光ファイバ
ーを利用して測定し、こうして得られた温度情報に基づ
き高炉の炉熱を制御することに特徴を有するものであ
る。
【0016】請求項2記載の高炉操業方法は、溶銑を製
造する高炉の操業方法において、高炉の出銑口から排出
された溶銑流の温度を金属管で被覆された光ファイバー
を利用して測定し、こうして得られた温度情報に基づき
高炉の炉熱を制御することにより、低シリコン溶銑を製
造することに特徴を有するものである。
【0017】請求項3記載の高炉操業方法は、溶銑を製
造する高炉の操業方法において、高炉の出銑口から排出
された溶銑流の温度を金属管で被覆された光ファイバー
を利用して測定し、こうして得られた温度情報に基づき
高炉の炉熱を制御することにより、低燃料比操業を行な
うことに特徴を有するものである。
【0018】請求項4記載の高炉操業方法は、溶銑を製
造する高炉の操業方法において、高炉の出銑口から排出
された溶銑流の温度を金属管で被覆された光ファイバー
を利用して測定し、こうして得られた温度情報に基づき
高炉炉芯部における活性状態を検知することに特徴を有
するものである。
【0019】請求項5記載の高炉操業方法は、溶銑を製
造する高炉の操業方法において、高炉の出銑口から排出
された溶銑流の温度を金属管で被覆された光ファイバー
を利用して測定し、こうして得られた温度情報に基づき
高微粉炭吹込み操業をすることに特徴を有するものであ
る。
【0020】請求項6記載の高炉操業方法は、請求項1
〜5のいずれかに記載の発明において、上記光ファイバ
ーによる上記溶銑流の温度測定を、上記出銑口から出銑
樋に落下するまでの間にある噴出溶銑流に対して行なう
ことに特徴を有するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施の形態を説
明する。 (1)溶銑温度の測定方法 高炉出銑口から噴出する溶銑流に光ファイバー製の温度
計センサーを挿入し、光ファイバーからの光信号を受
け、光エネルギ−とその波長分布とから放射温度計で溶
銑流の温度を測定する。測温はセンサーを溶銑流に挿入
している間、連続的に行ない温度記録計に記録する。こ
うして測定された溶銑流の温度は、炉内の溶銑温度に近
似した値が得られる。従って、以降、この発明において
は、炉内の溶銑温度を知る方法として上記方法を採用す
る。高炉からの出銑期間中、上記方法により溶銑温度を
測定する。測定は1回当たり、例えば10〜20秒程度
連続して行ない、1出銑期間中数回の測温を行なう。光
ファイバーセンサーにより、1回当たり10〜20秒程
度連続測温すれば、溶銑温度を明確に判定できる。
【0022】上述した出銑口からの噴出溶銑流の温度測
定方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明の実施において使用する金属管で被覆
された光ファイバーの構造例を示す概略横断面図であ
る。同図において、1は光ファイバー、2は金属製内
管、そして3は金属製外管である。光ファイバー1は金
属製内管2及び金属製外管3で外側を被覆されている。
このような二重構造のワイヤー状の光センサーユニット
6を構成している。このように光ファイバー1を金属製
管で被覆することにより、光ファイバー1が溶銑流の高
温下での動圧により折れないようにすると共に、高温環
境での溶融損耗速度を低下させる。
【0023】図2は、この発明の実施において使用する
測温装置の構成例を示す概要図である。同図において、
7は高炉出銑口、8は溶銑流、9は放射温度計、そして
10は光センサーユニットの送り出し機構である。
【0024】高炉出銑口7から噴出する溶銑流8に対し
て、光センサーユニット6を挿入する。ここで、光セン
サーユニット6は図1で説明した構造のものである。光
センサーユニット6は溶銑流8により減耗するので、供
給源として回転ドラム11に巻かれており、測温中所要
の供給速度で送り出される。光センサーユニット6のこ
の送り出しは、ピンチロール12により速度制御装置1
3及び送り出し速度検出器14でその供給速度を調節す
る、送り出し機構10で行なわれる。一方、光センサー
ユニット6を溶銑流8内部に正確に挿入するための機
構、及び、光センサーユニット6が溶銑流8から弾き出
されないようにこれを保持するための機構が設けられて
いる。即ち、光センサーユニット6は、溶銑流8に挿入
される直前までガイドパイプ15の中を滑るように通っ
て送給される。ガイドパイプ15は先端ガイド16及び
支持枠17に固定されている。光センサーユニット6の
先端を溶銑流8内部に命中させるために、先端ガイド1
5の保持位置を駆動装置18、駆動制御装置19及び物
体検出装置20、及び支持枠17で位置決めし、誘導す
る。
【0025】こうして、光センサーユニット6の先端が
溶銑流8中に挿入されると、光ファイバー1にその先端
から溶銑流8中の放射光が入射し、その他端に接続され
た回転式光コネクターを経て放射温度計9に到達し、こ
こで温度に変換され、温度記録計21に溶銑流8の温度
が記録される。こうして、溶銑温度を殆んど時間遅れな
しに、しかも正確且つ精度良く測定することができる。
【0026】従来のスキンマでの溶銑測温では、安定し
た測温結果が出るまでには出銑開始後数十分を要してい
るが、上記方法により出銑流を測温すれば、10〜20
秒程度で正確な温度がわかる。
【0027】(2)本発明の溶銑温度測定方法の高炉操
業への利用−その1=正常操業時における溶銑温度管理
基準の低温化 この実施形態は、出銑期間中に1個の溶銑温度の測定値
が得られる度に、炉熱支配因子の設定条件を修正すると
いうものである。ここで、1個の溶銑温度の測定値を得
るに当たっては、1回の出銑期間(約3〜4時間)中に
5〜8回程度の測温を行ない、1回の測定で10〜20
秒間程度連続測温して1個の測定値を得る。溶銑温度の
管理基準は高炉操業における重要管理項目である。そこ
で、先ず、正常操業時の溶銑温度の管理目標値を決め、
この目標値を中心に上下に所定温度幅を設けて、溶銑温
度の管理範囲とする。なお、溶銑温度が異常低温である
と判断する異常低温判定の下限管理値(以下、この明細
書では「異常時管理下限値」という)は、上記正常操業
時の溶銑温度管理範囲の下限値とは区別して別途、これ
よりも低い温度領域において定める(次項(3)参
照)。従来のスキンマでの溶銑温度測定方法による場合
には、一般的に高炉操業における溶銑温度の管理目標値
を例えば1520℃に決め、1520±15℃を温度管
理範囲とする。これに対して、この発明においては、溶
銑温度の目標値を従来よりも例えば25℃低くし、且つ
管理温度幅を15℃を10℃に狭めて、1495±10
℃を管理温度範囲として設定する。このように、溶銑温
度の管理目標値は、高炉の安定操業が可能な範囲内にお
いてできるだけ低目に設定し、そして管理範囲幅も狭く
する。よって、燃料費低減上有利である。
【0028】設定された溶銑温度の管理範囲をTa 〜T
b ℃(但し、Ta <Tb )とし、本発明の方法により得
られた溶銑温度の測定値Tm ℃と比較する。管理範囲の
上限値及び下限値と、測定値との偏差をそれぞれ求め、
それを用いて炉熱支配因子に対する操業条件を、溶銑温
度が管理範囲内に移行するように修正する。主な炉熱支
配因子として、羽口吹込み熱風中の湿分、羽口吹込
み熱風温度、PCI比(微粉炭吹込み比率)、及び
コークス比(装入コークス比)等があり、この中から現
時点及び今後の、炉内状況の推定並びに高炉操業条件を
考慮して上記支配因子の中から修正因子を選定し、その
修正量を決める。そして、炉熱レベルに対する修正量の
決定は、別途試験及び/又は操業経験値等から定めたテ
ーブルにより行なう。例えば、Tm <Ta の場合、即
ち、溶銑温度Tm ℃が目標温度範囲Ta 〜Tb ℃の下限
値よりも低い場合には、熱風中への湿分添加量の低減、
熱風温度の上昇、PCI比の増加、及びコークス比の増
加アクションの中から適切なアクションを決める。
【0029】ここで、炉熱支配因子及びその修正量の決
定は、「炉熱レベル」と「炉熱推移」との両要素を考慮
した判定基準により行なうべきである。即ち、炉熱支配
因子の修正アクションに際しては、炉熱レベルに対する
判断に加え、炉熱の上昇・下降傾向を示す炉熱推移を勘
案した判断を加え、炉熱状況を総合的に判断して行な
う。炉熱推移は、高炉炉体の適所にセットしたセンサ
ー、即ち炉体センサーによる温度測定値や炉頂排ガスの
成分組成や流量等の情報と、溶銑温度情報とから推定す
る。そして、炉熱レベルと同様、操業時のデータ解析や
操業経験等を元に作成した修正基準を織り込む。ここ
で、炉体センサーとしては、高炉操業において炉熱制御
等のために従来用いられているもので、高炉炉体各所に
設定された炉体センサー、例えば、羽口埋め込み温度セ
ンサー、シャフト部炉壁温度センサーあるいは炉頂ガス
温度センサー等を指す。
【0030】なお、Tm >Tb の場合は、上記場合と反
対方向の修正アクションをとる。こうして、炉熱支配因
子、その修正方向(増加、減少)及び修正量の決定は、
炉熱レベルと炉熱推移との両方の要素を取り入れて修正
アクションテーブルを定め、これに基づき炉熱修正アク
ションをとる。
【0031】このようにして修正された炉熱は、更に、
修正アクション後の溶銑温度情報及び炉体センサーによ
る計測情報に基づき、炉熱支配因子の操業条件に対する
修正アクションを継続することにより制御することがで
きる。
【0032】上述した方法により、溶銑温度の測定値が
従来よりも低温の管理範囲内に入るように制御すること
により、溶銑中のSi濃度を低く抑えて、いわゆる低
シリコン溶銑を製造する。また、燃料比を低下させた
低燃料比操業を行なう。
【0033】低シリコン溶銑操業 前述したとおり溶銑中シリコン濃度の温度依存性は、溶
銑温度が低いほど下記反応が進行し、溶銑中のSi濃度
は低くなる。こうして、いわゆる低シリコン溶銑を安定
して製造することができる。
【0034】 (SiO2 )+2〔C〕→〔Si〕+2CO ----------------- (1) SiO + 〔C〕→〔Si〕+ CO ----------------- (2) 例えば、溶銑中Si濃度を0.15〜0.20wt.%の範
囲内に調節する場合には、溶銑温度を1495±10℃
の範囲内に制御することが望ましい。このような温度範
囲に溶銑を維持するために、炉熱レベル及び炉熱推移に
対する適切な修正アクションを行なう。即ち、上述した
アクションテーブルに基づき、溶銑温度の測定結果及び
炉体センサーによる計測結果を用いて、炉熱支配因子で
ある熱風中への湿分添加量、熱風温度、PCI比(微粉
炭吹込み比率)、及びコークス比(装入コークス比)を
調整する。
【0035】また、低シリコン溶銑製造操業を安定して
行なうことができるので、炉外精錬時の脱珪、脱りん工
程の負荷が軽減される。従って、高炉装入鉱石として安
価な高りん鉱石を使用することも可能となる。
【0036】低燃料比操業 次に、光ファイバーセンサーにより出銑流の温度を測定
することにより、正常操業時に溶銑温度の管理目標値を
従来よりも低下させて、例えば、従来の1520℃から
1490℃程度に低下させることにより、高炉操業にお
ける燃料比を削減する方法を説明する。
【0037】従来のスキンマにおいて溶銑温度を測定す
る方法では、出銑初期段階には外的因子、即ち樋冷えに
よる抜熱等の影響により、当該溶銑測温結果はその判断
基準としては欠陥がある。そのため炉熱アクションが遅
れがちになり、タップ間(出銑間)の熱変動が大きくな
る。従って、従来は炉冷による操業異常発生を避けるた
めに、日常の正常な操業においても溶銑温度の管理目標
値を高めに設定していた。これに対して、本発明におい
ては出銑口で噴出直後の溶銑温度を光ファイバーで測定
するので外的因子の影響を受けにくい。そのため常に正
確な炉熱が迅速に把握されるので、通常操業時の溶銑温
度管理範囲の下限値を従来よりも低く設定する。例え
ば、溶銑温度の管理範囲の下限値を、従来のスキンマに
おける溶銑温度測定時に比べると凡そ30〜35℃程度
低下させて操業する。この場合の炉熱制御方法も上述し
たアクションテーブルを用いる。
【0038】(3)本発明の溶銑温度測定方法の高炉操
業への利用−その2=炉芯不活性化の早期検知による操
業 前述したように、炉芯不活性になると炉況が悪化する。
従って、早期に炉芯不活性を検知する必要がある。本発
明では、出銑口から排出された溶銑の温度を光ファイバ
ーを利用して直接速やかに測定することにより、炉芯不
活性が発生していることを判定できることを見出した。
即ち、炉芯が活性の場合には、通液性・通気性が確保さ
れ、正常な熱交換が行なわれるのに対して、炉芯不活性
の場合には、前述したように、炉芯部での溶銑環状流の
発生に伴う炉壁への抜熱により溶銑温度が低下する。従
って、炉芯活性・不活性の判断は、本発明の方法による
溶銑温度の測定により正確に検知することができること
が明らかとなった。
【0039】この操業は、前記異常低温判定が下される
ような炉況悪化に至るのを防止することを目的とするも
のである。この実施形態は、例えば3〜4時間を要する
先行出銑の溶銑温度の挙動と、これに続く同じく3〜4
時間程度を要する後行出銑の溶銑温度の挙動とを比較し
て炉内状況を判定し、炉芯不活性の方向への進行を阻止
したり、炉芯不活性の程度がこれ以上悪化しないように
したりして、炉芯活性に復旧させるために、修正すべき
操業因子を選定し、その操業条件を修正する操業方法で
ある。このように、修正すべき操業因子の選定をするた
めには、上述したように対象出銑の溶銑温度の挙動パタ
ーンの判定と、その挙動パターン同士の比較をすること
により行なわなければならない。そして、この選定基準
は、操業経験と専門知識とにより作成すべきものであ
る。重大な炉況悪化を未然に防ぐための方法を次に例示
する。
【0040】先ず、この発明の方法により溶銑温度を測
定する。高炉には通常2〜4個の出銑口があり、この内
2個の出銑口から交互に出銑滓する。なお、他の1又は
2個は、交代出銑用ないし予備である。第1の出銑口を
開口して第1の出銑を開始し、溶銑温度の測定を行な
う。測定は出銑期間中実施する。但し、1回の出銑期間
に約3〜4時間を要し、溶銑温度測定は1回の出銑期間
中に5〜8回程度行なう。ここで、1回の測定は10〜
20秒間程度連続して行ない、この連続測定データを基
にして1個の温度測定値を得る。こうして、1出銑期間
中の溶銑温度の推移を5〜8個の測温値で把握し、炉熱
レベルと炉熱推移とを判定する。次いで、第1の出銑口
を閉塞して出銑を終了し、第2の出銑口を開口して第2
の出銑を開始する。出銑される溶銑温度を同様に測定
し、当該1出銑期間中の溶銑温度の推移を把握する。以
下、同様にして後続の第3、第4以降の出銑についても
同様に、出銑期間中の溶銑温度を測定し、炉熱を把握す
る。
【0041】上記出銑形態は、第1と第2の出銑口から
交互に出銑する場合である。これを例にとって、炉下部
における炉芯の活性・不活性状態の判定方法の例を説明
する。こうして得られた異なる出銑口から出銑された先
行出銑(第1の出銑口から出銑)の溶銑温度推移とこれ
に続く後行出銑( 第2の出銑口からの出銑) の溶銑温度
推移とを比較する。両出銑口からの溶銑温度の推移同士
を比較し、その推移の相対的傾向により炉熱レベルと炉
熱推移とを同時に把握し、判定する。
【0042】図3及び図4に示した先行出銑と後行出銑
の溶銑温度推移例を用いて、炉芯活性状態及び不活性状
態の判断基準の概念及びそれを用いた操業方法を説明す
る。 (イ)炉芯活性状態の判定 図3は、炉芯活性状態の判定をする場合の例を説明する
溶銑温度推移の概念図である。同図においてΔTを、出
銑初期の溶銑温度から当該出銑期間中の最低溶銑温度を
差し引いた値で定義する(以下、この明細書において同
じ) 。先行出銑の溶銑温度がΔT≧0であり、これに
続く異なる出銑口からの後続出銑の溶銑温度も、ΔT≧
0である状態が続く限り、炉芯活性と判定する。これ
は、操業データ及び操業経験を根拠とする。ここで、Δ
Tの大きさは、高炉操業条件に応じて設定すべきもので
あるが、通常は30から50℃の間の適切な値に設定す
るのがよい。一方、炉芯活性状態の場合、当該出銑の溶
銑温度が管理範囲内にあるか否かの判定は、当該出銑の
初期2回の測定値(例えば図3において、*1及び*2
の測定値を指す)を除いた測定値の平均値が、当該温度
管理範囲内にあるか否かにより判定する。溶銑温度が前
記正常操業時の溶銑温度の管理範囲内にあればそのまま
操業を継続するが、これを外れている場合には、上記低
Si溶銑操業や低燃料比操業の場合に準じて炉熱を制御
する。
【0043】(ロ)炉下部における炉芯不活性状態の判
定−その1及びそれに対するアクション 図4は、炉芯不活性状態の判定をする場合の例を説明す
る溶銑温度推移の概念図である。この図のように、先行
出願とこれに続く後行出願との間に、ΔT≧0に次いで
ΔT< 0が、又は、ΔT< 0に次いでΔT≧0が交互に
現れる出銑が行なわれた場合には、炉下部における炉芯
不活性状態と判定する。炉芯不活性の判定と迅速なアク
ションにより、不活性状態の進行を抑止して活性状態へ
の復旧を図る。これに対する炉熱操業因子に対する修正
アクションは、先ず、炉芯を活性状態に復帰させるため
のアクションを早急に講じる。そのために、負の値であ
るΔTの絶対値の大小と、そのΔT が何タップ( 出銑)
継続するかに応じて、修正因子とその修正量を定めてお
き、この基準に従って修正アクションをとる。例えば、
−20℃≦ΔT< 0℃の出銑が3タップ継続したとき
は、予め作成してあるアクションテーブルに従って羽口
吹込み湿分添加量を減らす。ΔT< −20℃以上 が3
タップ継続したときは、予め作成してあるアクションテ
ーブルに従って装入鉱石を減量する。上記装入鉱石の減
量アクションを行ない、炉芯活性状態に復旧させる。
【0044】このような早期の修正アクションにより、
環状流の形成を抑制し、また、炉芯不活性による出銑滓
排出不良を回避し、重大な炉況悪化を未然に防ぐ。 (ハ)炉下部における炉芯不活性状態の判定−その2及
びそれに対するアクション これに対して、ΔT< 0の出銑が3回継続した場合は、
予め作成してあるアクションテーブルに従って、コーク
ス比を所定値だけ増加させ(例えば、30kg/tをプラ
スし、それに応じて微粉炭吹込み量を減らし)、溶銑温
度の下限目標値を高めて(例えば、1500℃に高め
て)、炉底クリーニングを行なう。このように、炉芯不
活性状態の早期検知とアクションにより、軽度な炉芯不
活性状態のうちに炉況を立て直すことができる。従っ
て、炉底及び炉壁の損傷防止のためにイルメナイト焼結
鉱石のようなTiO2 含有鉱石を装入せずに炉況を復
旧させることができる。よって、副生するスラグの成分
組成も変化しないので、風滓処理によりセメント原料と
して使用できる。
【0045】(ニ)高微粉炭吹込み(高PCI)操業時
における炉芯不活性化の回避 上記(イ) 〜(ハ) のような炉芯活性・不活性判断とこれに
対するアクションを早期にとることにより、高PCI操
業を行なう。微粉炭吹込み(PCI)比を高くした操
業、いわゆる高PCI操業時には、通常操業時よりも炉
芯不活性に陥り易い。(但し、ここで高PCIとは、微
粉炭吹込み量が150kg/t−溶銑以上の操業を指
す。)即ち、高PCI操業においては、通常操業におけ
るよりも装入コークス比を減らすので、コークスの炉内
滞留時間が増加傾向を示す。そのため、コークスの粉化
量が増加し、これが炉芯部に流入してこの領域の通気性
を悪化させ、炉芯不活性を招き易いと考えられるからで
ある。
【0046】高PCI操業において、炉芯不活性状態が
発生した場合、これに対する復旧アクションの遅れが甚
だしい場合には、微粉炭吹込みを全く行なうことができ
なくなり、炉熱の低下も大きくなり、異常低温による炉
況不調に陥る。従って、高PCI操業時には、溶銑温度
低下による炉熱レベル低下を一層早期に検知することが
重要となる。この発明においては、溶銑温度を正確に且
つ迅速に把握することができるので、溶銑温度低下情報
による炉芯不活性傾向を早期に検知することが可能とな
り、「異常時管理下限値」まで低下するに至らず、炉況
悪化を引き起こすことを回避できる。しかも、出銑口か
らの噴出溶銑の温度測定情報を利用することにより、正
常操業時における溶銑温度の管理目標値を従来のスキン
マでの溶銑温度測定時よりも、低めに設定することがで
きるので、燃料比低減にも一層寄与する。
【0047】高PCI操業においては、通常の高炉操業
時よりも、溶銑温度目標値を高め(例えばベース+10
℃程度)とし、羽口吹込み熱風温度を高めに設定する。
そして、出銑中の溶銑温度を本発明の方法で測定する。
また、把握すべき温度情報の形態としては、上記(ロ)
項あるいは(ハ)項で述べたものと同じようにする。そ
して、上記(ロ)項あるいは(ハ)項で例示したような
炉芯不活性の前兆を検知した場合には、速やかに、炉芯
活性化へのアクションをとる。このアクションで修正す
べき操業因子の種類としては、例えば、微粉炭吹込み量
の減少、羽口吹込みの熱風中湿分添加量の減少、熱風温
度の上昇あるいは高強度コークスの使用等であり、その
修正量は、当該高炉に固有の操業経験及び専門知識によ
り決定する。
【0048】
【実施例】次に、この発明を実施例によって更に詳細に
説明する。 (1)試験1 (実施例1:低シリコン溶銑の製造)図1及び2に示し
た光センサーユニット及び出銑口噴出溶銑の温度測定装
置を用い、得られた情報を用いて溶銑温度を低温に制御
した。直径125μmの石英ガラス製光ファイバー1の
素線を、外径1.2mm、内径0.8mmの肉厚0.2
mmのステンレス製被覆管(内管)、及び、外径3.6
mm、内径3.0mmの肉厚0.3mmのステンレス製
被覆管(外管)で覆った二重構造のワイヤー状の光セン
サーユニット6を、内径6mm、外径10mmのガイド
パイプ15の中を滑走させながら、出銑中の噴出溶銑流
8に挿入した。光センサーユニット6の供給速度を40
0mm/秒に設定した。温度測定1回当たりの時間を約
10〜20秒とし、この間の温度を連続測定した。出銑
時間は1回当たり3〜4時間であり、この間8〜10
回、溶銑流8の温度を測定した。溶銑温度の目標値を1
490℃とし、熱風中の湿分を調節して溶銑温度を制御
した。 図5(a)に、上記実施例における出銑3回分
の溶銑温度の測定値、溶銑中Si濃度、及び熱風中湿分
の添加量の経時変化を示す。溶銑温度が安定して低く制
御されているので、溶銑中Si濃度は0.15〜0.2
3wt.%の範囲内にあり、平均で0.18wt.%という、安
定した低シリコン溶銑が製造された。これによれば、本
発明の溶銑温度制御方法により、炉内溶銑温度は良好に
制御されていたことがわかる。 (比較例1:従来法による低シリコン溶銑の製造)一
方、従来法の溶銑温度制御方法として、スキンマにおい
てイマージョン式温度計で溶銑温度を測定し、この測定
値に基づき、溶銑温度の設定目標値1505℃に制御す
るように、熱風中の湿分を調節した。図5(b)に、従
来法における出銑4回分のスキンマにおける溶銑温度の
測定値、溶銑中Si濃度、及び熱風中湿分の添加量の経
時変化を示す。従来法においては、溶銑中Si濃度が大
きく変動しており、低シリコン溶銑を安定して製造する
ことはできなかった。即ち、溶銑中Si濃度は0.10
〜0.30wt.%の間で変動している。従って、また、従
来法による溶銑温度制御においては、真の溶銑温度は上
下に大きく変動していたことがわかる。
【0049】(2)試験2 (実施例2:低燃料比操業)図1及び2に示した光セン
サーユニット及び出銑口噴出溶銑の温度測定装置を用
い、得られた情報を用いて溶銑温度を低温に制御した。
ここで用いた光センサーユニット及び温度測定装置並び
にその使用方法は、実施例1におけると同じであり、出
銑中の噴出溶銑流に光センサーを挿入して、溶銑温度を
測定した。溶銑温度の目標値を1485℃に設定し、は
じめに、熱風中への湿分添加量を調節して溶銑温度を制
御した。こうして、炉熱を十分、定常状態に保持できる
ことを推定した後に、定常状態における溶銑温度目標値
を1485℃のまま継続し、炉熱支配因子として装入コ
ークス比を採用して操業を続けた。この実施例の試験期
間中、炉熱は定常状態にあった。
【0050】ここで、定常状態と非定常状態との区別
は、下記に従った。即ち、先ず、現在の炉熱レベルと炉
熱推移とを推定する。炉熱レベルの推定は、測定された
溶銑温度レベルから行ない、また、炉熱推移の推定は、
高炉炉体各所に設定された炉体センサー情報、即ち、羽
口埋め込み温度センサー、炉頂ガス温度推移、炉頂ガス
分析値推移及び溶銑シリコン濃度推移に重み付けをし、
これらを統合して行なった。次いで、炉熱レベル及び炉
熱推移の各設定目標値が属する温度区分を中央にして、
いくつかのランクを予め設けておき、現在の炉熱レベル
及び炉熱推移はそれぞれどのランクに属するかを求め
た。炉熱のレベルランクと推移ランクとのマトリックス
(即ち、アクションマトリックス)を作成し、アクショ
ンマトリックス上の該当する位置を求め、現在の炉熱を
推論した。現在の炉熱が、当該アクションマトリックス
上で、定常・非定常領域のいずれに該当するかをみた。
定常・非定常領域の決定は、専門家の知識、高炉操作者
の経験則及び過去の操業実績データを総合して行なっ
た。
【0051】上記の通り、溶銑温度目標値を低温に設定
した低燃料比操業を行なった操業成績を、表1に示す。
なお、同じ高炉における通常操業時における操業成績を
比較例2として併記する。
【0052】
【表1】
【0053】上記試験結果によれば、実施例の低燃料比
操業により、燃料比は3kg/tだけ低減した。また、比
較例2に比べて実施例2の方が溶銑温度の変動幅を小さ
く抑えることができ、より安定した炉熱管理が可能とな
った。
【0054】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
炉熱を安定して制御することができる。従って、溶銑温
度を従来よりも狭い範囲内に制御することができるの
で、溶銑温度の管理目標値を従来よりも低く設定するこ
とができる。これに伴い低シリコン溶銑を安定して製造
することができ、更に低燃料比操業ができる。また、炉
芯不活性による操業異常トラブルの発生を未然に防止す
ることができる。従って、高PCI操業が可能となる。
また、高炉下部耐火物の損傷回避による炉体延命、高炉
スラグの異常成分発生防止及び成分組成の安定化、並び
に安価な高りん鉱石使用不可の解除が可能となる。こう
して高炉の炉況安定化が促進され、生産性が向上し、溶
銑製造コストが下がる。このような高炉の操業方法を提
供することができ、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施において使用する金属管で被覆
された光ファイバーの構造例を示す概略横断面図であ
る。
【図2】この発明の実施において使用する測温装置の構
成例を示す概要図である。
【図3】炉芯活性状態の判定をする場合の例を説明する
溶銑温度推移の概念図である。
【図4】炉芯不活性状態の判定をする場合の例を説明す
る溶銑温度推移の概念図である。
【図5】実施例及び従来例における溶銑温度の測定値、
溶銑中Si濃度、及び熱風中湿分の添加量の経時変化を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 光ファイバー 2 金属製内管 3 金属製外管 6 ワイヤー状の光センサーユニット 7 出銑口 8 溶銑流 9 放射温度計 10 送り出し機構 11 回転ドラム 12 ピンチロール 13 速度制御装置 14 速度検出器 15 ガイドパイプ 16 先端ガイド 17 支持枠 18 駆動装置 19 駆動制御装置 20 物体検出装置 21 温度記録計

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶銑を製造する高炉の操業方法におい
    て、高炉の出銑口から排出された溶銑流の温度を金属管
    で被覆された光ファイバーを利用して測定し、こうして
    得られた温度情報に基づき高炉の炉熱を制御することを
    特徴とする高炉の操業方法。
  2. 【請求項2】 溶銑を製造する高炉の操業方法におい
    て、高炉の出銑口から排出された溶銑流の温度を金属管
    で被覆された光ファイバーを利用して測定し、こうして
    得られた温度情報に基づき高炉の炉熱を制御することに
    より、低シリコン溶銑を製造することを特徴とする高炉
    の操業方法。
  3. 【請求項3】 溶銑を製造する高炉の操業方法におい
    て、高炉の出銑口から排出された溶銑流の温度を金属管
    で被覆された光ファイバーを利用して測定し、こうして
    得られた温度情報に基づき高炉の炉熱を制御することに
    より、低燃料比操業を行なうことを特徴とする高炉の操
    業方法。
  4. 【請求項4】 溶銑を製造する高炉の操業方法におい
    て、高炉の出銑口から排出された溶銑流の温度を金属管
    で被覆された光ファイバーを利用して測定し、こうして
    得られた温度情報に基づき高炉炉芯部における活性状態
    を検知することを特徴とする高炉の操業方法。
  5. 【請求項5】 溶銑を製造する高炉の操業方法におい
    て、高炉の出銑口から排出された溶銑流の温度を金属管
    で被覆された光ファイバーを利用して測定し、こうして
    得られた温度情報に基づき高微粉炭吹込み操業をするこ
    とを特徴とする高炉の操業方法。
  6. 【請求項6】 前記光ファイバーによる前記溶銑流の温
    度測定を、前記出銑口から出銑樋に落下するまでの間に
    ある噴出溶銑流に対して行なうことを特徴とする、請求
    項1〜5のいずれかに記載の高炉の操業方法。
JP31201498A 1997-11-04 1998-11-02 高炉操業方法 Pending JPH11222611A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008255402A (ja) * 2007-04-03 2008-10-23 Nippon Steel Corp 高炉の操業方法
KR100946060B1 (ko) 2002-12-27 2010-03-10 주식회사 포스코 용선의 중심점 온도 검출방법
CN102776303A (zh) * 2012-06-27 2012-11-14 浙江大学 一种估计高炉内表面温度的方法

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