JPH05125418A - 溶融還元方法 - Google Patents

溶融還元方法

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Publication number
JPH05125418A
JPH05125418A JP28802591A JP28802591A JPH05125418A JP H05125418 A JPH05125418 A JP H05125418A JP 28802591 A JP28802591 A JP 28802591A JP 28802591 A JP28802591 A JP 28802591A JP H05125418 A JPH05125418 A JP H05125418A
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JP
Japan
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carbonaceous material
slag
furnace
amount
smelting reduction
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JP28802591A
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English (en)
Inventor
Masao Yamauchi
雅夫 山内
Tetsuji Ibaraki
哲治 茨城
Michitaka Kanemoto
通隆 金本
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、鉄浴式溶融還元の操業に際し、炉
内の炭材量を正確に把握して炉内炭材量を制御し、長時
間安定して行える溶融還元の操業方法を提供する。 【構成】 溶融還元炉内に観測用光ファイバーを挿入
し、スラグ表層部の輝度を検出し、予め求めたスラグ相
における炭材重量とスラグ重量の比と輝度の相関より、
炉内スラグ中に存在する炭材量を推定する。さらに、こ
の推定結果に基づいて検出された炉内炭材量を所定の範
囲に保持するように炭材供給速度、ランス高さ、送酸速
度のいずれか1つもしくは2つ以上を変更することによ
り、安定操業を長時間実施することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄浴式溶融還元の操業
において、当該操業時における炉内の炭材量を正確に把
握して、効率よく、かつ安定して行える溶融還元方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】鉄浴式溶融還元法の操業は、炉内に炭
材、鉄鉱石、石灰等の原料の供給とともに酸素を吹き込
み、炭材を燃焼させ、この燃焼熱を鉄鉱石の還元に利用
し、炉内の炭材や溶鉄中に溶解した炭素分を還元材とし
て還元反応を生じさせ溶銑を得るものである。
【0003】この溶融還元操業を安定に行うためには、
炉内の重要な反応場であるスラグ相の状態を安定に維持
する必要がある。このため、スラグ相の状態を制御する
技術に関して、従来からも多くの研究・開発がなされて
きた。
【0004】本発明者らも、スラグフォーミングの検
知、およびこれらの制御技術について精力的に研究をか
さね、スラグのフォーミング状態は炉内のスラグ中に懸
濁する炭材量の影響を強く受けることを解明し、炉内炭
材量の把握、制御方法、スラグのフォーミング制御方法
についての発明を行った。
【0005】たとえばその成果の1つとして、原料の供
給速度、発生物質の連続測定により炉内の物質収支の連
続演算を実施し、炉内炭材量を制御する方法に関して特
開平1−283309号公報に出願した。また、スラグ
のフォーミング状態の検知によって炉内スラグ中の炭材
量を制御する方法に関して特開平3−94009号公報
に出願した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】溶融還元操業は、連続
的に鉄鉱石、炭材の主原料と石灰等の副原料を供給する
とともに、炭材の燃焼熱を発生させるための酸素を吹き
込むことによって行われる。炉内には溶融スラグが多量
に保持されており、還元反応は主としてこのスラグ相に
溶解した酸化鉄とスラグ中に懸濁している炭材や粒鉄中
の炭素との接触によって生ずることが知られている。
【0007】したがって、大きな反応領域を得るため
に、炉内に極力多量のスラグを保持することが試みられ
るが、この場合にはスラグのフォーミング制御が良好に
行われないと、炉口から溢れてしまい、安定操業が実施
できないことになる。
【0008】ここで、本発明者らは、炭材はスラグ中の
微細気泡を合体させる機能を有していること、さらにス
ラグのフォーミング高さと炉内炭材量には強い相関があ
ることを解明し、スラグのフォーミング高さの測定結果
をもとに炉内炭材量を把握する方法を提案した。
【0009】しかし、スラグのフォーミングに影響する
因子は、炭材だけではなく、スラグの成分、温度などの
粘性に影響する因子、スラグ相のなかで微小気泡を発生
させる還元反応部位等によっても変化するため、これら
の影響を常に把握するとともに、これらの複雑に入り組
んだ影響をうまく制御に適用することは不十分であっ
た。
【0010】また、転炉などの製鋼炉では、供給物質の
炉内への残留量の推定方法として、物質収支による方法
が採用されており、溶融還元法においても炉内炭材量の
把握のために同様の方法を実施することが多い。たとえ
ば、炉内炭材量は次式によって計算される。 炉内炭材量=炭材の供給量−(発生ガス中のCO,CO
2 量+炭材の炉外への飛散量+溶鉄への溶解量) 溶融還元操業においても、同様の考え方を用いて、炉内
の炭材量を把握することが試みられている。転炉の場合
は、炭材の供給量が少ないこと、精錬時間が短いことか
ら測定精度が高くこの方式が有効であった。
【0011】一方、溶融還元の場合には、操業初期の短
時間では絶対的な誤差は少なく有用であるが、炭材の飛
散量は連続して計測することが困難な上に、わずかな操
業条件の違いで炭材の飛散量が大きくばらつくこと、排
ガスのダクト内の僅かなダストの付着で、排ガス流量に
計測誤差が生じやすいことから、時間の経過とともに誤
差が積み重ねられ大きなずれを生じることから、長時間
にわたる操業には適さないという問題があった。
【0012】これらのことから、炉内の炭材量を簡易
に、極力連続的に長時間にわたり精度よく把握すること
によって、スラグのフォーミング状態を安定させる方
法、および把握した炭材量をもとに、炉内の炭材を所定
の範囲内に制御する方法の開発が望まれていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、炉内に溶融金
属、溶融スラグおよび炭材を保持し、鉱石等の金属酸化
物、炭材等の炭素含有物質および石灰等の副原料を供給
しつつ、酸素を供給して金属の溶融還元を行う方法にお
いて、溶融還元炉内に観測用光ファイバーを挿入し、ス
ラグ表層部の輝度を検出し、予め求めたスラグ相におけ
る炭材重量とスラグ重量の比(R値)と輝度の相関よ
り、炉内スラグ中に存在する炭材量を推定するものであ
り、また、この推定結果に基づいて得られた炉内炭材量
を予め設定された所定量の範囲に保持するように、ラン
ス高さ、送酸速度、炭材供給量のいずれか1つもしはく
2つ以上を変更するものである。
【0014】
【作用】以下、本発明を作用とともに詳述する。本発明
は、炉内の炭材量を連続的に正確に把握するために、炉
内に観測用光学式ファイバーケーブル(以下、光ファイ
バーという)を挿入し、スラグの表層部の輝度を測定
し、この測定結果をもとに炉内の炭材量を推定するもの
である。
【0015】図1は、溶融還元設備の全体構造を示して
おり、本発明を実施するための炉内炭材量の計測方法、
および炭材量制御を説明するための制御システムの構成
を示している。
【0016】図1をもとに本発明を説明すると、溶融還
元炉1内に溶銑2とスラグ3および炭材4が保持されて
いる。炉上から原料として炭材4と鉄鉱石5および石灰
等の副原料6とともに、ランス7から酸素8が供給さ
れ、さらに底吹きガス11により炉内の溶融物は充分に
攪拌されている。
【0017】操業中に、炉の外部から観測用光ファイバ
ー9を炉内に装入し、スラグ3の表層部を観測する。一
般に光ファイバー9は耐熱性がないため、酸素と炭素や
水素との反応により、1500℃近い高温になっている
炉内へ挿入する際には、冷却された保護管等で保護しつ
つ炉内に挿入すべきである。本発明においては、水冷式
の保護ランス10内に光ファイバー9を挿入する構造と
した。
【0018】図示はないけれど、保護ランスの先端部を
開孔し、さらにスラグ浴からの飛散物による光ファイバ
ー先端の破損防止のために、保護レンズを設置するとと
もに、レンズへのスラグやダストの付着を防止するため
のパージガスの供給も実施した。
【0019】このレンズ構造とパージガスによって、保
護ランスごと光ファイバーをスラグ相中へ浸漬させても
光ファイバーの破損はもとより、レンズへのスラグの付
着やレンズの破損は見られなかった。また、この保護管
に関する構造は、水冷に限らず、空冷式や断熱材の被覆
によるものでもよい。
【0020】光ファイバーにより測定されるスラグ相表
層部には炭材が懸濁しており、また炉内から発生する還
元ガスや底吹き攪拌ガス11により気泡を多く含んでい
るため、観測される画像としてはスラグ相と炭材および
空間部が観測されることになる。
【0021】この画像を、画像処理装置12によって処
理を行い、視野内に測定される各物質の輝度を求めるこ
とができる。炭材はスラグやガスにくらべ輝度が低いた
め、測定された画像内の輝度の低い部分は炭材を表すこ
とになる。
【0022】したがって、輝度の所定のレベルを閾値と
し、画像の面積のなかの閾値よりも輝度の低い部分の面
積比率を求めることで、画像の中の炭材の比率が得られ
ることになる。
【0023】ここで得られる炭材比率は、後述するよう
にスラグ相内の炭材の比率と、あるバイアス値を以て相
関があることから、この相関関係を予め作成しておくこ
とによって、光ファイバーの測定値から炉内の炭材とス
ラグ相の重量比(R値)が得られることになる。
【0024】この定性的な影響を定量化するために、試
験条件、設備として後述する実施例に示すものを用い
て、以下に示すような試験を行った。前述したように、
従来法に基づく物質収支から算出する炉内炭材量の推定
は、操業初期については誤差が小さいため精度よく定量
化できる。
【0025】そこで、この小さな誤差で精度よく把握で
きる操業初期の炉内炭材量に対して、光ファイバーによ
って測定された画像から得られた輝度の低い部分の面積
比率を図2に比較した。
【0026】輝度の低い部分を定量化する閾値として、
この例では、最大輝度の50%の値を用いた。縦軸の炭
材量としては、今回の測定結果としての画像の中から得
られる特性値は、炭材とスラグ相の透過面積比に相当す
るものであるから、この特性を拡張して、炭材重量とス
ラグ重量の比(R値)として示した。
【0027】両者には良好な相関関係が得られ、この関
係を検量線として使用することによって、炉内の炭材量
を把握することが可能であることが判明した。実操業に
おける炉内の炭材量の監視としては、上述した炭材とス
ラグの比(R値)がわかればスラグのフォーミング制御
には充分であると考えるが、もし炭材重量の絶対値が必
要であれば測定された値(R値)に、物質収支から演算
されるスラグ量を掛けることによって容易に得ることが
できる。
【0028】スラグ相内の光ファイバーによる測定位置
について説明する。光ファイバーによる測定の最適位置
を調査することを目的として、溶融還元操業中に光ファ
イバーの測定高さをスラグ相の厚みのなかで種々変更し
て測定した。測定の範囲は、本発明者らが行った100
t炉規模の操業においては、スラグ相の厚みは2〜3m
であったことから、スラグ〜鉄浴界面のレベル+1mの
高さからスラグの表面付近の高さまでの1〜2mの範囲
とした。
【0029】スラグ相内の測定の結果、測定高さをスラ
グ相の深部にまで下げるにつれて画像の輝度が全体的に
低下し、スラグ相、空間部と炭材の輝度の差が小さくな
り、判別しにくくなった。
【0030】また、スラグ相よりも上の空間部からスラ
グ相の表面を測定すると、発生するダスト等によって視
野距離が長く得られないことから、500mm程度が限界
であった。したがって、輝度の判別のためには測定はス
ラグ相よりも上部の空間部500mm程度から、スラグ相
内の500mm程度の深さで実施するのが好ましいことが
わかった。
【0031】この結果から、本発明における表層部とし
ては、スラグ相の表面を基準として±500mm程度のこ
とを意味している。ただし、光ファイバーや画像処理装
置の性能の点や露出の調整によって、スラグ相のさらに
深部の測定が可能である場合には、更にスラグ相の深部
に測定位置を下げても差支えない。
【0032】しかし、実用上は、装置のストロークや、
冷却方法、冷却媒体量の問題からあまり深い位置の測定
を行うのではなく、前述したように、スラグ相の300
mmの深さまで位にすることが望ましい。
【0033】スラグは炉内でかなり揺動していることが
知られている。そこで、実用上の設定方法としては、計
算上のスラグの高さに光ファイバーの測定高さを設定す
ることによって、スラグ相に200〜300mm浸漬した
位置から、スラグ表面の200〜300mm上部からスラ
グ相の表面を観測できることになる。上述の測定結果も
このような設定を行って測定されたものであり、良い相
関が得られた。
【0034】炉内は底吹きガスにより充分に攪拌されて
いるが、炭材はスラグにくらべ比重が小さいこと、炭材
の周囲には還元反応等により発生した気泡が付着してい
ることなどから、炭材はスラグ中に均一に存在している
のではなく、スラグ相中の上部に多く浮遊していること
が懸念された。
【0035】しかし、後述するように、測定高さがほぼ
一定であり、上吹き送酸形態、底吹きガス量がほぼ一定
の操業を行うと、炉内の炭材量と測定から得られる輝度
の面積比率の間には良好な相関があった。真には均一で
はないが、あるバイアスをもって相関が得られたものと
考えるが、今回の測定結果から実操業上には充分に使用
できるものであった。
【0036】このように、炉内は完全に均一であるとは
いえず、今回の測定結果は炉内の平均炭材量にあるバイ
アスのかかったものであることから、このバイアス値は
炉形状や炉内の攪拌形態に影響を及ぼす操業条件によっ
て大きく変化することが予想された。
【0037】そこで、底吹きガス流量を変化させて同様
の試験を行ったが、少々の変化であれば、図2との差は
僅かであり、実用上は問題なかったが、流量を2〜3倍
に変更した場合にはかなり変化した。
【0038】また炉形状についても大幅なディメンジョ
ンの変更のある場合には、溶融物の流れが変化するの
で、画像の測定結果と炉内炭材量比(R値)との関係は
変化するため、実機として操業する炉形状、操業条件に
おける検量線を持てばよい。
【0039】測定される画像には炭材、スラグとともに
気泡が観測される。したがって、厳密には上述したよう
に炭材とスラグの比ではなく、炭材と(スラグ+気泡)
の比である。
【0040】しかし、炭材の存在状況が実際には不均一
であっても実操業上は問題なかったように、気泡があっ
てもその気泡の量は還元により発生する気泡と底吹きガ
スによるものの合計であることから、操業条件のみに影
響する項目であり、操業条件を決めればその影響は無視
できるものであると考えられる。
【0041】したがって、もし、実機においても操業形
態が大きく変化することが考えられる場合には、気泡の
量、炭材の偏在の影響が考えられるので、その操業条件
毎に検量線を持てばよい。
【0042】次に、本発明法を用いた炉内炭材制御方法
について説明する。まず、炉内炭材量の制御範囲につい
て説明すると、炭材はスラグのフォーミングの抑制機能
を持ち、炉内でのスラグフォーミングを適度に維持する
ためには、炉内に炭材を所定量懸濁させておく必要があ
る。
【0043】この量についての検討の結果、炉内の炭材
量が炭材重量とスラグ重量の比(R値)で20%以下に
なると、スラグのフォーミング状態が不安定となり、ス
ロッピングを発生し、操業が継続して実施できない領域
であることが判明した。
【0044】そこで安定操業を実施する上ではこの領域
では低下しないように制御すべきであり、発明者らの経
験によると下限値に対して余裕を持たせる必要があるこ
とから、(R値)の適正値の下限値は30%程度とする
べきであることを解明した。一方、スラグ内炭材量の上
限に関しては、炭材はスラグのフォーミング抑制材であ
るため、量が多い場合には安定操業という意味では特に
問題がない。しかし、炭材量が多すぎると、上吹き酸素
と炭材の接触量が増大し、二次燃焼率が低下してしまう
といった悪影響も見られること、原材料を極力少なくす
ることを前提とすると、R値の適正値の上限は50%程
度であると考えられる。
【0045】これまで説明してきたように、炉内の炭材
はスラグのフォーミング制御のために不可欠なものであ
り、長時間にわたり安定操業を行うためには、この量を
良好に制御することが重要であることがわかる。そこ
で、この炭材の制御の方法について説明する。
【0046】炉内炭材の変更方法としては、炭材の供
給速度を変更する方法、送酸形態の変更すなわち二次
燃焼率の変更により、酸素による炭材の消費量を変化さ
せる方法、等が考えられる。
【0047】まず、の炭材の供給速度を変更する方法
であるが、これは直接的な方法であり、短時間で炉内炭
材量を目標値に設定することができる利点がある。
【0048】一方、の送酸形態を変更する方法では、
ランス高さを変更もしくは送酸速度が考えられる。ラン
ス高さを変更すると、炉内の酸素と炭素の燃焼状態が変
化し、例えばランス高さを高くすると二次燃焼率が増加
し、反対にランスを下げると二次燃焼率は低下すること
が知られている。
【0049】二次燃焼率が増加すると、炭素に結びつく
酸素が多くなるため同一の酸素供給量に対して、消費さ
れる炭材量が減少するため、炭材量を変更せず長時間に
わたって操業すると、徐々に炉内に蓄積する炭材量が増
加することになる。逆に、二次燃焼率を低下させると炉
内の炭素をより多く消費することになり、このまま長時
間操業すると炉内の炭材量が減少することとなる。
【0050】送酸速度を変更することを考えると、送酸
量を増大させると、酸素の増大とともに炭材の消費速度
も増大するため、炉内の炭材量は減少する。反対に送酸
速度を低下すると、炉内の炭材は増加することになる。
【0051】このように、炭材の供給速度や送酸形態を
単独で変更することで、炉内の炭材量を容易に変更させ
ることが可能である。しかし、溶融還元においては、酸
素、炭材、鉱石などの原料の供給速度は、二次燃焼熱や
還元反応熱の熱収支を満足させるように設定されるた
め、1つの操業条件だけを単独に変更した場合には安定
操業が実施できなくなる。
【0052】その例としては、炭材だけを変更すると、
二次燃焼率が変化し生産速度が大きく変化することにな
る。送酸速度だけを変化させたり、ランス高さ即ち二次
燃焼率だけを変化させると、発生熱量が変化し、炉内の
温度制御ができなくなる。
【0053】また、二次燃焼率だけを増加させた場合に
は、必要以上に二次燃焼率を上げることになるため着熱
効率が低下し、排ガス温度が上昇する結果をまねく。こ
の結果として耐火物の損耗を増加させることになる。
【0054】ただし、炉内炭材量の変更幅が小さい場合
や、生産に余裕があり、二次燃焼率を低下させた操業を
短時間であれば行っても良い場合には、上記のようなア
ンバランスな操業を実施することは可能であり、炭材量
の微調整にはこの方法を採用することは多い。
【0055】しかし、一般には、高生産性を確保しつつ
炉内炭材量の調整を行うことが望まれている。そこで、
これらの全ての項目を変化させる操業方法について説明
する。まず、光ファイバーからの測定結果に基づいて、
R値を演算する。この値が適正範囲よりも小さい場合に
は、炭材を適正値(目標値)に戻すため、炭材の供給速
度を増加させる。
【0056】この時、炭材中の揮発分の投入量が多くな
り、二次燃焼率が低下する傾向になるため、二次燃焼率
を低下させない操作すなわちランスを高め、高二次燃焼
率を保つ操作を行う。
【0057】また炭材の供給量の増加とともに炭材中の
水分も炉内に供給されるため、水分の顕熱、潜熱による
抜熱を補償するため炉内発熱量を増加させる操作が必要
となり、酸素の供給量を増加させる操作を行う。
【0058】一方、R値が適正範囲よりも大きい場合
は、炭材供給量を低下させる操作を行う。この時炭材供
給量の減少とともに、揮発分、水分の供給量も減少する
ため、二次燃焼率を低下させ、送酸速度を低下させる操
作が必要となる。
【0059】このように、炭材、送酸形態の3種類の操
作端を同時に調節することにより、生産速度や炉内温度
は全く変化せずに、炉内の炭材だけを変更することが可
能となる。
【0060】ここで、上記の制御システムの構造を図1
を用いて説明すると、光ファイバー9によって測定され
た画像を画像処理装置12に導入し、本装置で分析され
た炭材量の信号をプロセス計算機13に導入する。プロ
セス計算機13によって、制御信号をランス高さ制御装
置71、送酸速度制御装置81、炭材投入速度制御装置
41へ導入し、操業を制御することができる。
【0061】
【実施例】本発明を用いて、以下に示す3つの試験操業
を実施した。操業条件を以下に示す。
【0062】炉容積 溶銑量 :50〜120t 操業条件 静止浴面積 :12m2 (スラグ−鉄浴界
面) 溶銑量 :50〜120t スラグ量 :20〜50t 溶銑製造速度:15〜40t/h 鉱石投入速度:25〜65t/h 酸素流量 :15,000〜30,000Nm3 /h 溶銑温度 :1,400〜1,500度 上吹きランス:6孔 底吹きガス :ガス種 N2 流量1,000〜2,000Nm3 /h 原料条件 原料供給方法:炉上方からの投入 鉱石 :塊状(>8mm)Fe2 3 =97% 炭材 :塊状(>5mm)揮発分35% (実施例1)まず、実施例1の実施結果について説明す
る。操業方法としては、本発明法の効果を確認するため
に、溶融還元操業中に光ファイバーを炉内に挿入し、炉
内炭材量(炭材とスラグの比:R値)を把握した。測定
精度の確認のため、炭材量の把握方法として従来法に基
づく物質収支法によっても実施し、比較した。
【0063】操業の結果として、図3には、本発明によ
り推定された炭材とスラグの比(R値)の経時変化を示
した。また、従来法による物質収支法に基づいて、演算
された炉内のスラグ量(一点鎖線)と炭材量(破線)に
ついても示した。
【0064】まず、操業の概要を従来法の演算結果をも
とに説明すると、炉内に保持したスラグが40tに対し
て炭材量を20tとして操業を開始している。その後、
溶融還元操業の経過とともにスラグ量が増大している
が、従来法の炭材量の演算結果をもとに炉内の炭材量を
一定量に制御する操業を実施したことから、炭材量はほ
ぼ20tのレベルを保っている。
【0065】約2時間後に製造された溶銑の出銑、スラ
グの出滓を行ったため、スラグ量が55tから41tに
低下している。出滓とともに、炭材も一部流出したた
め、炭材量が17tとなり従来法の炭材量、スラグ量か
らR値に相当する炭材量とスラグ量の比を求めると41
%となる。
【0066】その後溶融還元の操業を再開し、炭材量を
20tのレベルに戻すように炭材の供給量を増大しつつ
あったが、3時間20分後にスロッピングを発生した。
このときの従来法により求まる炭材量とスラグ量の比が
44%であったにもかかわらず、スロッピングが発生し
た。
【0067】前述したように、炭材量とスラグ量の比が
20%以下になると、スロッピングを発生することが確
認されており、従来法の演算ではこの比が44%である
にもかかわらずスロッピングを発生したことから、実際
には炭材量とスラグ量の比が20%以下になっていたと
推定され、3時間程度で相当の誤差を発生しているとい
う従来法の測定、演算精度の低さを示す例である。
【0068】この状況を本発明法によって推定されたR
値を用いて解析する。炭材量20t、スラグ量40tの
状態で操業を開始していることから、操業開始時点では
R値は50%であるが、操業とともにR値は低下し、2
時間後では30%まで低下している。
【0069】この時の従来法による炭材量とスラグ量の
比は36%であり、操業開始から2時間で20%もの誤
差を生じたことになる。
【0070】その後、炭材供給量を増大する操業を実施
したにもかかわらず、R値は上昇しておらず、3時間2
0分後ではスロッピング限界値である20%を切り、1
6%にまで低下していることがわかる。
【0071】R値がこのように低い値であれば、スロッ
ピングは充分に発生する領域であり、本発明法ではこの
スロッピングの発生を確実に検知できている。
【0072】このように、従来法では3時間半程度で1
00%近い誤差を生じていたにもかかわらず、本発明法
では非常に高い精度で推定が可能であり、長時間操業に
適用できることが明らかとなった。
【0073】(実施例2)実施例2の操業としては、本
発明法である光ファイバーによる推定値に基づき炉内炭
材量を制御し、30時間の長時間操業を行ったものであ
る。R値の目標は40%とし、制御範囲は30〜50%
とした。ただし、炭材の制御操作としては炭材の供給速
度のみを変更したものである。
【0074】操業結果の一部を図4に示す。操業におい
て、炭材の投入速度を良好に設定できたこともあり、操
業開始当初から目標の40%に制御できているが、2時
間目頃から炭材量が徐々に低下している。5.5時間目
にR値が制御範囲以下に低下したため、6時間目で炭材
の投入速度を7t/h増大させた。
【0075】1時間にわたり炭材供給量を増大したた
め、R値は増大し、7時間目には目標のR値に復帰し
た。その後は、炭材投入速度を初期の6時間までの値よ
りも高めに設定したため、安定な操業を維持できた。
【0076】図には13時間分の結果しか示していない
が、この試験操業は30時間実施しており、炉内炭材の
制御と言う意味では全く問題なかった。
【0077】しかし、6〜7時間目の1時間は炭材の供
給速度を高めているため、送酸の形態を変更していない
本実施例においては二次燃焼率が低下している。また、
後半の7時間目以降も、初期の6時間目までの炭材の供
給速度よりもやや高めに設定したこともあり、二次燃焼
率が若干低下している。
【0078】溶融還元による生産速度は、熱の供給量に
依存することから、このように二次燃焼率が低下するこ
とにより、生産速度が大きく低下した。
【0079】このように、炉内炭材量の制御の目的だけ
を考えれば、炭材量の制御だけで可能であり、生産量や
生産速度の自由度が高い場合、炭材供給速度の変更が1
〜2t/h程度と小さい場合にはこの方法でも充分であ
る。
【0080】(実施例3)実施例3の操業としては、本
発明法である光ファイバーによる推定値に基づき炉内炭
材量を制御し、200時間の連続の操業を行ったもので
ある。R値の目標は40%とし、制御範囲は30〜50
%とした。ただし、炭材の制御として、炭材の供給速度
のみならず、上吹き酸素の供給速度とともに、ランス高
さも変更した。
【0081】操業結果の一部を図5に示した。図には3
0時間分しか示していないが、炉内の炭材量(R値)の
推定精度は非常に高く、200時間の操業においてもス
ラグのスロッピングや異常フォーミングなどの現象は全
くみられず、安定した操業が可能であった。
【0082】炭材量の制御については、5時間目頃から
炉内炭材量(R値)が減少してきており、12時間目あ
たりで適正範囲の下限である30%以下となった。そこ
で、炭材供給速度を増加させ、炉内の炭材量(R値)を
増大させた。このとき、炭材中に含まれる揮発分により
二次燃焼率が低下し、炉内で発生する熱量が減少するこ
とを防止するため、上吹き送酸ランスを上昇させるとと
もに、送酸流量を僅かに増大させることによって、二次
燃焼率の低下を防ぎ、炭材顕熱、水分の顕熱と潜熱を補
償するために発生熱量を確保する制御を行った。その結
果、二次燃焼率はほぼ一定に保て、生産速度、溶銑温度
も一定とすることができた。
【0083】この時、炭材の供給速度とともにランス高
さだけを変更すると、確かに二次燃焼率は上昇し発生熱
量は増大するが、必要以上に二次燃焼率を増大させても
着熱効率が低下するため、炉内ガス温度が上昇すること
になる。したがって、二次燃焼率は従来並とし、酸素量
を増大することで発熱総量を増加させることによって、
安定操業を長時間行うことができた例である。
【0084】通常の製銑・製鋼操業では、8〜10時間
の定期修繕を月1〜2回実施するため、300〜500
時間の連続操業を実施する必要がある。今回の操業試験
では、200時間の安定操業を可能としており、今回の
試験結果から500時間以上の安定操業も充分に可能で
あることを確認できた。
【0085】
【発明の効果】本発明の実施により、炉内炭材量の測定
精度が飛躍的に向上し、操業の最大の阻害要因であるス
ラグの異常フォーミング(スロッピング)を完全に防止
することが可能になった。
【0086】また、炉内炭材量を適正値に維持できるこ
とから、余分な炭材を供給する必要がなく炭材消費量を
低く抑えることができること、炉内炭材量を調整する
際、二次燃焼率や生産速度が変化するなどの操業の異常
状態を発生することなく、常に安定操業が可能となっ
た。
【0087】これらの結果、従来では、数十時間に一度
は炉内の目視観察を行うため、および操業の異常検知の
タイミングで炭材量を補充するための操業の中断が必要
なく、生産性を向上させつつ、500時間以上の連続安
定操業も可能であることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための鉄浴式溶融還元炉、お
よび制御システムの構成図である。
【図2】本発明により演算された閾値以下の輝度の面積
比率と炉内炭材量の関係を示す図表である。
【図3】本発明の精度を示す操業結果であり、操業中の
R値の経時変化を示す図表である。
【図4】本発明の一例を示す操業結果であり、炉内炭材
制御のため、炭材の投入速度のみを変更した場合の二次
燃焼率へ及ぼす影響を示す図表である。
【図5】本発明の一例を示す操業結果であり、炉内炭材
量制御を行いつつ、長時間の安定操業が可能であった例
を示す図表である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炉内に溶融金属、溶融スラグおよび炭材
    を保持し、鉱石等の金属酸化物、炭材等の炭素含有物質
    および石灰等の副原料を供給しつつ、酸素を供給して金
    属の溶融還元を行う方法において、溶融還元炉内に観測
    用光ファイバーを挿入して、スラグ表層部の輝度を検出
    し、予め求めたスラグ相における炭材重量とスラグ重量
    の比と輝度の相関より、炉内スラグ中に存在する炭材量
    を推定することを特徴とする溶融還元方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された方法に基づき検出
    された炉内炭材量を、予め設定された所定量の範囲に保
    持するように、ランス高さ、送酸速度、炭材供給量のい
    ずれか1つもしくは2つ以上を変更することを特徴とす
    る溶融還元方法。
JP28802591A 1991-11-01 1991-11-01 溶融還元方法 Withdrawn JPH05125418A (ja)

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