JPH11222610A - 高炉の炉熱制御方法 - Google Patents

高炉の炉熱制御方法

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JPH11222610A
JPH11222610A JP2556198A JP2556198A JPH11222610A JP H11222610 A JPH11222610 A JP H11222610A JP 2556198 A JP2556198 A JP 2556198A JP 2556198 A JP2556198 A JP 2556198A JP H11222610 A JPH11222610 A JP H11222610A
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furnace
furnace heat
hot metal
temperature
heat
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JP2556198A
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English (en)
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Tsukuru Wakai
造 若井
Shigeru Wakita
茂 脇田
Sachikazu Hayasaka
祥和 早坂
Kenji Oya
憲司 大屋
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Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶銑温度を正確に精度良く、時間遅れを抑え
た測定方法を開発し、これを用いて炉熱の推論、炉熱の
定常・非定常状態を自動判断し、そして操業要因の補正
アクションで、溶銑温度を調節する高炉の炉熱制御方法
を開発する。 【解決手段】 出銑口からの噴出溶銑22のを光ファイバ
ーを利用して測温し(6)、その情報24に基づき炉熱推定
モデル35を用いて炉熱レベル及び推移を推定(36,37)
し、定常・非定常を自動判断する(51)。結果を表示し、
操作者が経験則他の専門知識を用い操業要因の補正処置
をとる(42)か、炉熱推定モデル35及び炉熱補正モデル45
を含む人工知能41システムを用い自動的に補正処置をと
る。炉熱推定モデルの炉熱レベル推定知識ベースには、
光ファイバーによる溶銑温度の測定情報を含ませ、炉熱
推移の推定知識ベースには、光ファイバーによる溶銑温
度の測定情報及び高炉センサーによる測定情報を含ませ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、溶銑を製造する
高炉の操業において、炉況の安定化を図るために行なう
炉熱制御の方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高炉による溶銑の製造においては、炉頂
から鉄原料である鉄鉱石、燃料であるコークス、及び副
原料である石灰石等を装入し、炉下部羽口から熱風を吹
き込んでコークスを燃焼させ、生成したCO主体の還元
性ガスと熱エネルギーとにより鉄鉱石を還元する。こう
して鉄鉱石中の鉄分は溶銑の主成分となり、一方、鉄鉱
石中の脈石やコークス中の灰分は石灰石等と共にスラグ
となり、それぞれ炉下部の出銑口及び出滓口から定期的
に排出される。このように高炉の炉内では、原料と還元
性ガスとの高温反応プロセスにより溶銑が製造されるの
で、物質収支及び熱収支バランスを保ちつつ定常状態を
維持することが特に重要である。
【0003】高炉操業においては、原料需給や生産計画
等の工程運用に応じても操業条件が変動する。このよう
な場合にも適切に対処して炉況の安定性を維持すること
が高炉操業上強く望まれる。このように、高炉の炉況を
安定して維持するためには、良好な炉熱制御を行なうこ
とが必須条件である。
【0004】高炉の炉熱は、炉熱レベルと炉熱推移とに
分けられ、炉内反応等の炉内状況を反映する情報として
最も重視されるものの一つである。そして、炉熱レベル
と炉熱推移は、本来、溶銑の温度に顕著に現れる。従っ
て、溶銑温度を正確に且つ精度良く、時間遅れを小さく
して測定し、この測温情報に基づき炉熱を制御し、溶銑
温度を目標とするレベルに正確に精度よく調節すること
は、高炉操業の安定化を図り、そして燃料原単位の低
減、生産性の向上及び溶銑の品質向上を図るためには極
めて重要である。
【0005】従来、高炉炉熱制御は、溶銑温度より決ま
る炉熱レベルと、いくつかの炉体センサーの情報による
その時点での炉熱の上昇下降を示す炉熱推移とを統合し
て、炉熱制御のアクション(処置)を決定する。このよ
うに、炉熱レベルは出銑後の溶銑温度の測定値で評価
し、そして炉熱推移は高炉に配置された各種のセンサー
からの情報で評価して炉熱を推論している。次いで、炉
熱を補正するアクションを決定するが、アクションの決
定に先立ち、現在の炉熱が定常状態にあるのか、あるい
は非定常状態にあるのかの判断(即ち、定常・非定常の
判断)をし、その結果に基づき炉熱の補正アクションを
決定する。
【0006】以下、従来の溶銑温度の測定方法及び炉体
センサーの情報に基づき行なわれている炉熱レベル及び
炉熱推移の決定方法について説明する。 (1)炉熱レベル 一般に、高炉の出銑では溶銑が出銑口から噴出し、そし
て長さが20m程度もある長い出銑樋を通りスキンマに
流入する。従来、溶銑温度の測定位置と方法は、スキン
マで溶銑とスラグとを比重差によりスラグを溶銑上に浮
上分離させた後に、溶銑流の温度を測定する方法が採ら
れている。そして、測温にはイマージョン型熱電対温度
計が用いられている。ところで、上記出銑樋の内面には
不定型耐火物で施工された湯道が構築されている。従っ
て、出銑された溶銑は、上記出銑樋を通過する途中で出
銑樋への熱伝導と大気への熱放射とによる抜熱によりそ
の温度が低下する。また、出銑中の出銑口は、溶銑滓に
より損耗されてその孔径が拡大するので、出銑時間の経
過につれて出銑速度が変化する。
【0007】このように、スキンマ部で測定される溶銑
温度は、出銑樋での溶銑からの抜熱と出銑速度(t/m
in)の変化との影響を受けて、出銑開始から終了まで
の間に大きく変化する。通常は出銑初期に低く、次第に
上昇して出銑末期に最高温度に達する。従来、この最高
温度が溶銑温度として採用されている。
【0008】高炉では、通常、炉内での溶銑生成速度よ
りも出銑速度の方が若干速くなるように操業する。従っ
て、所定の出銑口からの出銑は、1回当たり3〜4時間
程度で終え、出銑口を閉塞し、そして以後溶銑が生成し
て再び当該出銑口付近に溶銑が溜まるまで待って行な
う。但し、この待っている間に、他の出銑口を開口して
同様に出銑する。通常は、炉体の反対側にある他の出銑
口から、同じく1回当たり3〜4時間程度の時間をかけ
て出銑をする。上記他の出銑口からの出銑中に、上記所
定の出銑口に設けられた出銑樋の温度は低下するので、
次回の出銑時の溶銑温度をスキンマ部で測定すると、前
回と同様、出銑初期に低温で末期に最高温度になるとい
う推移をたどる。
【0009】図10に、多数の出銑について従来の溶銑
温度の測定方法で計測した、タップ中における溶銑温度
の推移を示す。出銑中の溶銑温度の上昇曲線は一定せ
ず、タップ毎に大きく変動する。図10に示したグラフ
は、タップ中における最高温度の実績が1500〜15
10℃であった出銑のみを収集したものであり、1回の
出銑で8〜12回の溶銑測温をしている。これからもわ
かるように、従来の溶銑温度測定方法では、最高温度が
同じレベルに属する場合同士でも、第1回目の測定温度
に大きなバラツキがあり、そして、初期から末期の最高
温度到達までの昇温パターンが一定していない。従っ
て、各出銑において、第1回目の温度測定値から最高温
度を推定することが困難であるばかりか、第2回目以後
の途中での温度測定値から最高温度を推定することも容
易でない。
【0010】また、不定型耐火物で築造されている出銑
樋の湯道は出銑滓流により損耗するので、通常2〜3週
間毎に取り替えられる。このような出銑樋補修後の最初
の出銑時には、溶銑樋の顕熱が小さくなっているので、
溶銑から出銑樋への抜熱が一層大きい。こうして、出銑
樋築造後初回の出銑時の溶銑温度の測定では、初期測定
値の低下量が更に大きくなる。
【0011】従来のスキンマ部溶銑温度の測定による
と、出銑開始からの経過時間と共に溶銑温度は上昇し、
末期に最高温度になるという推移をたどるが、上記理由
により、この温度上昇曲線は出銑毎でかなり大きく変動
する。
【0012】出銑初期のスキンマでの溶銑温度は炉内の
溶銑温度からの低下が大きく、また精度も劣り、スキン
マでの溶銑温度が出銑温度に近づき安定するのにはかな
り長時間かかる。更に、多数の操業データによりスキン
マでの測定値を補正しても、炉内溶銑温度を正確に推定
することが困難である。また、時間遅れの少ない状態で
それを把握することも困難である。
【0013】上記理由により、従来の溶銑温度の測定方
法では炉熱レベルを評価し得る溶銑温度の頻度は、1回
当たりの所要時間である3〜4時間に1点のデータが得
られるだけである。従って、炉熱の評価をする手段とし
ては問題がある。
【0014】(2)炉熱推移 各出銑毎での上述した溶銑温度の推移パターンは一定せ
ず、パターンのバラツキが大きいこと、また、スキンマ
部での測定時刻の溶銑温度情報では、炉熱推移を推定す
るためには時間遅れを伴っているので、炉熱制御アクシ
ョン(処置)が遅れる。このように、従来の測定方法に
よる溶銑温度だけの情報では、高炉操業に対するアクシ
ョンが遅れるので、炉況の安定した操業をすることはで
きない。そこで、このアクション遅れを防止するため
に、通常、各種センサーからの情報を炉熱推移の判定に
活用している。ここで、センサーの代表例として、高炉
羽口近傍に埋め込まれた熱電対からなる羽口埋込みセン
サーや炉頂排ガスセンサー等がある。これは、羽口近傍
の炉体の温度や炉頂排ガスの成分組成を測定することに
より、炉熱の変化を迅速なタイミングで検出し、炉熱の
推移を時間遅れなく測定しようとするものである。
【0015】この羽口埋込みセンサーで測定された温度
(以下、羽口埋込み温度という)の絶対値は溶銑温度に
比較してはるかに低いが、他のセンサー値との共同情報
により、早期に且つ連続的に炉熱情報を得ることができ
るので、炉熱推移を判定するために羽口埋込みセンサー
は不可欠とされている。また、センサーの種類により程
度の差はあるが、炉熱レベルの判定にも有効であるとさ
れえいる。
【0016】図11に、Aタップ、Bタップ及びCタッ
プの連続する3回の出銑期間中における、従来法による
溶銑温度の測定結果と、羽口埋込み温度の測定結果との
対応例を示す。同図中、羽口埋込み温度曲線上のP1
2 及びP3 の各点が表わす温度に基づく炉熱情報は、
溶銑温度測定曲線上においては、P1 ’、P2 ’及びP
3 ’の各点が表わす温度に基づく炉熱情報に対応して反
映されるべきである。即ち、上昇傾向の推移を示した羽
口埋込み温度の傾きDrdは本来、一定時間経過後の溶
銑温度に上昇傾向となって現れるのであり、従来法によ
る溶銑温度測定値への反映にはこのように時間遅れを伴
なうという問題がある。しかも、従来法による溶銑温度
の測定方法で得られる温度曲線では、通常は各タップの
末期にならないと溶銑温度が正確に測定されず、中間時
点においては測定温度は常に上昇傾向を示すので、従来
法による溶銑温度の測定結果では上昇傾向にあるのか下
降傾向にあるのか、炉熱の推移を判定することはできな
い。そこで、炉熱の推移を判定する手段として従来は、
各種炉体センセーにより得られた温度情報を採用してい
る。
【0017】(3)従来の炉熱制御方法 炉熱制御を行なうには、溶銑温度の測定値情報や各種セ
ンサー値情報と、これらを利用した炉熱推定モデルと、
及び炉熱推定モデルで推定された炉熱から最適な制御項
目とその操作量を決める炉熱補正モデルとが必要であ
る。従来行なわれている炉熱制御方法の例を、上記図1
1に示した従来法による溶銑温度の測定結果と、センサ
ーとして羽口埋込み熱電対を使用した羽口埋込み温度の
測定結果との対応例を用いて説明する。但し、現時点は
Bタップの終了時点にあるものと想定する。
【0018】下記方法により、炉熱レベルと炉熱推移と
を決定し、それぞれが属するランクを求めて炉熱を推論
し、次いでアクション補正ルールに基づきアクションを
とる。
【0019】現在の炉熱レベルを次のようにして決定
する。過去の操業実績データより、各種のセンサーによ
る計測情報(例えば、羽口埋込み温度や炉頂排ガス分析
値)と、当該タップにおけるスキンマ部での溶銑温度測
定値の最大値との相関関係を、統計的手法、例えばメン
バーシップ関数を用いて求めておく。この相関関係によ
り、各センサー値に対して与えられると溶銑の最高温度
が、各炉熱レベルの推定値として採用される。そこで、
センサー値と炉熱レベルとの相関関係に基づき、今回得
られた各センサーのセンサー値に対応する炉熱レベルを
推定する。例えば、羽口埋め込みセンサーについては、
図11のP1 点の時点におけるセンサー値から炉熱レベ
ルを推定する。
【0020】同様に、過去の操業実績データより、タッ
プの第1回目及びタップの中間時点に測定されたスキン
マ部での溶銑温度測定値と当該タップの最高溶銑温度と
の相関関係を、統計的手法、例えばメンバーシップ関数
を用いて予め求めておく。この関係を用いて、今回測定
された溶銑温度、例えば図11のP1 ’点の時点におけ
る溶銑温度の測定値から炉熱レベルを推定する。
【0021】以上のようにして推定された炉熱レベルの
それぞれに対して、所定の重み付けを行ない、こうして
得られた評価値を現在の炉熱レベルとみなす。そして、
炉熱レベルの目標値が属する温度区分を中央にして、い
くつかのランクを予め設けておき、現在の炉熱レベルが
どのランクに属するかを求める。
【0022】現在の炉熱推移は次のようにして決定す
る。各センサーの内、羽口埋込みセンサーについては、
図11のQ1 点からQ2 点までの温度の傾きを統計的手
法で求める。同様に他のセンサーについてもこれに準じ
て温度の傾きを求める。そして、各センサー毎に予め定
められた重み付けを行なって、炉熱推移を推定する。炉
熱推移は、傾きが0(零)の傾き区分を中央にして、い
くつかのランクを予め設けておき、現在の傾きがどのラ
ンクに属するかを求める。
【0023】上記及びで求められた炉熱のレベル
ランク及び推移ランクを用いて、予め定められた炉熱の
レベルランクと推移ランクとのマトリックス(即ち、ア
クションマトリックス)上の該当する位置を求め、現在
の炉熱を推論する。
【0024】こうして得られた現状の炉熱に対して、
定常・非定常の判断をする。定常・非定常の判断は、人
間(操作者)が経験則や過去の操業実績データ及び専門
知識を活用してその都度行なう。
【0025】次いで、上記で推論された現在の炉熱に
対する補正を、定常・非定常判断を考慮した上で、現在
の炉熱がアクションマトリックスのどの位置に該当する
かに応じて行なう。補正アクションは、操作者の判断の
介入で実施する。但し、予め定めた炉熱補正モデルから
得られたアクション補正ルールに基づき行なってもよ
い。アクション補正ルールは、専門家の経験則を主体に
構成されており、一義的に定めることはできない。アク
ション補正の操業要因としては、羽口送風中の蒸気吹込
み量が代表的なものであり、アクション量は当該高炉に
おける固有の操業条件、特に使用原料及び原料装入条件
等により変り、一義的には決められない。
【0026】修正された炉熱推定モデルとして、例えば
特公平7−26127号公報には、溶銑温度測定値及び
センサー値情報から、炉熱レベル及び炉熱推移を推定す
る方法において確信度を導入し、溶銑温度から推定され
る炉熱レベル又は炉熱推移と、センサー値情報と、確信
度とを3軸とした3次元関数を用いて推論する方法が開
示されている。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】従来の高炉炉熱制御方
法について詳述したが、これには次の問題がある。 炉熱レベルについて 溶銑温度をスキンマ部で測定しているので、上述した理
由により、タップ末期に顕われる最高溶銑温度だけが、
信頼性のある炉熱レベルとして採用できる。従って、各
タップの末期にならないと正確な溶銑温度がわからない
ので、3〜4時間程度に1回しか信頼性の高い炉熱レベ
ルデータを入手できない。これでは炉熱レベルの把握が
不十分である。そこで、いくつかの炉体センサー情報と
溶銑の最高温度との相関関係により、タップの初期から
後期までの期間の炉熱レベルを推定しているが、推定精
度が不十分である。
【0028】炉熱推移について 3〜4時間程度に1回しか信頼性の高い溶銑温度が得ら
れず、一方、タップ初期から中期までの各種センサー情
報による溶銑温度測定値も信頼性が不十分である。従っ
て、溶銑温度の推定値変化による炉熱推移の推定は、精
度が悪い。このように、炉熱レベルの信頼度が低いの
で、従来の各種炉体センサー情報からの炉熱推移の推定
を補正するためのデータとして、従来の溶銑温度測定値
を使用することはできない。
【0029】一方、高炉操業において従来用いられて
いる炉熱制御を目的とした各種のセンサー値、例えば、
羽口埋込み温度、炉頂ガス分析値及び多数箇所のシャフ
ト温度等からは、例えば、羽口埋込み温度については前
述したように、炉熱レベルとしても亦、炉熱推移として
も、上記最高溶銑温度情報よりも優れた信頼性のある情
報は得られない。
【0030】炉熱の定常・非定常判断について 更に、炉熱の定常・非定常判断を正確に行なうために
は、炉熱レベルと推移とが共に信頼し得るデータを必要
とする。 (イ)炉熱の非定常状態としては、一般に溶銑温度の異
常低下がある。溶銑温度の異常低下を迅速に推定するた
めには、溶銑温度を時間遅れ無しに正確に推定しなけれ
ばならない。溶銑温度異常低下の原因としては、炉内で
の残留溶銑滓の増加、炉壁付着物の落下、未還元鉱石の
降下、あるいは亜鉛等の高蒸気圧金属の炉壁への析出物
質の落下等が知られている。ところが、従来のスキンマ
部での溶銑温度の測定によると、出銑開始直後の測定値
は、図10に例示したように、溶銑樋における温度低下
により常に低目に顕れ、且つその低下程度も変動が大き
い。従って、落下物等による異常低温値であるか否かの
判定はできない。よって、溶銑温度の異常低下の判断時
期が遅れ、炉熱制御上のアクション遅れのみならず、操
業上のアクション遅れを招くこともある。 (ロ)炉熱の定常・非定常判断とそれに基づく炉熱の補
正アクションは操作者判断の介入の元に行なわれる。従
って、この補正アクションにはアクションタイミングの
遅れや個人差が発生する。
【0031】以上から、高炉操業において期待される炉
熱制御を行なうためには、従来よりも信頼性が高く時間
遅れの発生しない炉熱に関する温度情報が必要である。
本発明者等はこのような炉熱レベル及び炉熱推移に関す
るいずれの情報をも、溶銑温度で代表し、且つ従来より
も格段に正確に精度よく、且つ時間遅れなく得るために
は、溶銑温度の測定方法を抜本的に見直し、この目標達
成可能な方法を開発すべきであるとの方針を決定した。
【0032】従って、この発明の課題は、溶銑温度を正
確に精度良く、しかも時間遅れを抑えて測定し、こうし
て得られた温度情報に基づき炉熱を推論し、炉熱が非定
常状態にないかどうかを正確に迅速に判断し、そしてそ
の結果に基づき炉熱レベルと炉熱推移とを支配する操業
要因に対して補正アクションをとり、溶銑温度を制御す
ることにより高炉の炉熱を制御する方法を開発する。
【0033】かくして、この発明の目的は、適切な炉熱
制御により従来得られなかった程度の炉況の安定化を図
ることにより、高炉操業条件の外乱等に対応できる操業
を実現し、生産性の向上と安定化、溶銑製造コストの低
減、及び安定的低シリコン溶銑の製造等を可能とする高
炉の炉熱制御方法を提供することにある。なお、ここ
で、高炉操業条件の外乱とは原料品質の変動や原料装入
分布の変更等を指し、また低シリコン溶銑とは、溶銑中
のSi濃度が0.30wt.%以下の溶銑を指すものとす
る。
【0034】
【課題を解決するための手段】上述した観点から、高炉
の炉熱制御方法を開発すべく鋭意研究を重ねた。本発明
者等は、溶銑温度を正確に精度良く、時間遅れをできる
だけ短くし、連続的に測定することが可能な方法が必要
であると考えた。そのような方法として、出銑時に出銑
口から噴出する溶銑を、その温度降下が発生しない内に
安定して測定することが可能な新しい方法を研究した。
その結果、それは金属管で被覆された光ファイバーの利
用方法を工夫して実現できること、即ち、光ファイバー
を金属管で補強し剛性を持たせ、被測定溶銑流の状態に
応じて適切に設計されたワイヤー状の光センサーユニッ
トを用いて溶銑温度を測定することにより達成できるこ
とを知見した。
【0035】更に、上記新しい溶銑測定方法による温度
情報で各種センサー値情報をバックアップすることによ
り、炉熱推移を一層精度よく推定することができること
を知見した。
【0036】また、適切な炉熱推定モデルと炉熱補正モ
デルとが組み込まれ、各モデルの知識ベースには、光フ
ァイバーによる溶銑温度の測定情報及び高炉センサーに
よる測定情報が含まれている人工知能システムを用いて
炉熱を推論し、また炉熱が定常状態にあるのか、非定常
状態にあるのかを判断すれば、迅速に且つ個人差なく高
炉の操業要因に対して補正処置をとることができること
を知見した。
【0037】この発明は上記知見に基づきなされたもの
であり、下記構成を有するものである。請求項1記載の
高炉の炉熱制御方法は、高炉の炉熱を制御する方法にお
いて、出銑口から出銑中の溶銑の温度を金属管で被覆さ
れた光ファイバーを利用して測定し、こうして得られた
温度情報に基づき、高炉操業における経験則及び/又は
専門知識を用いて作成された炉熱推定モデルを用いて炉
熱レベル及び炉熱推移を推定し、こうして推定された炉
熱が定常状態にあるのか非定常状態にあるのかを判定
し、上記炉熱に関する判定結果を表示手段で表示し、そ
して操作者が上記炉熱に関する判定結果に基づき、高炉
操業における経験則及び/又は専門知識を用いて高炉の
操業要因の補正処置をとることにより溶銑温度を制御す
ることに特徴を有するものである。
【0038】請求項2記載の高炉の炉熱制御方法は、高
炉の炉熱を制御する方法において、出銑口から出銑中の
溶銑の温度を金属管で被覆された光ファイバーを利用し
て測定し、下記(イ)及び(ロ)の工程を含む人工知能
システムを用いて自動的に、高炉の操業要因の補正処置
をとることにより溶銑温度を制御することに特徴を有す
るものである。ここで、工程(イ)及び(ロ)は次の通
りである。
【0039】(イ)上記溶銑温度の測定情報に基づき、
高炉操業における経験則及び/又は専門知識を用いて作
成された炉熱推定モデルを用いて炉熱レベル及び炉熱推
移を推定し、こうして推定された炉熱が定常状態にある
のか非定常状態にあるのかを判定する。
【0040】(ロ)上記炉熱に関する判定結果に基づ
き、高炉操業における経験則及び/又は専門知識を用い
て作成された高炉の操業要因を補正処置する炉熱補正モ
デルを用いて、高炉の操業要因の補正処置を実行する。
【0041】請求項3記載の高炉の炉熱制御方法は、請
求項1又は2記載の発明の方法において、上記炉熱推定
モデルとして、炉熱レベル推定の知識ベースには、光フ
ァイバーによる溶銑温度の測定情報が含まれており、そ
して、炉熱推移推定の知識ベースには、光ファイバーに
よる溶銑温度の測定情報及び高炉センサーによる測定情
報が含まれているものを用いることに特徴を有するもの
である。
【0042】請求項4記載の高炉の炉熱制御方法は、請
求項1から3の内いずれか一つに記載された発明におい
て、光ファイバーを用いて測定する出銑中の溶銑とし
て、出銑口から出銑樋に落下するまでの間にある噴出流
を対象とすることに特徴を有するものである。
【0043】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施の形態を説
明する。この発明による高炉の炉熱制御方法は、出銑口
から出銑された溶銑の温度を測定し、得られた温度情報
に基づき高炉操業の操作者が高炉の操業要因に補正を加
えるアクションをとるか、又は、得られた温度情報に基
づき人工知能システムを用いて高炉の操業要因に補正を
加えるアクションをとる工程を基本とするものである。
【0044】(1)溶銑温度の測定 この発明の最大の特徴は、溶銑温度の測定位置とその測
定方法にある。そしてこの測定値に基づき炉熱レベル及
び炉熱推移を推定すると共に、更にその測定値に基づき
炉熱状態が定常か非定常かの判断をする。この判断(判
定)は所定の炉熱推移モデルを用いて自動的に行なうこ
とにある。
【0045】炉熱レベルを代表すると考えられる溶銑温
度を測定する位置としては、炉内溶銑温度に最も近い位
置である、出銑中に出銑口から噴出する溶銑を対象とす
るのが望ましい。しかしながら、このような激しい流動
を伴なう溶銑の温度を正確に安定した状態で連続的に測
定するのは困難であったが、金属管で被覆された光ファ
イバーをそのような溶銑流に挿入し、光ファイバーの先
端から入射した溶銑の放射光を検出することによりその
困難を解消した。
【0046】図1に、この発明の実施において使用する
測温装置の構成例の概要図を示す。同図において、1は
高炉出銑口、2は溶銑流、3は放射温度計、そして6は
ワイヤー状の光センサーユニットであり、10はその送
り出し機構である。
【0047】高炉出銑口1から噴出する溶銑流2に対し
て、光センサーユニット6を挿入する。図2に、この光
センサーユニット6の構造例の概略横断面図を示す。こ
こで、7は光ファイバー、8は金属製内管、そして9は
金属製外管である。光ファイバー7は金属製内管8及び
金属製外管9で外側を被覆されている。このような二重
構造のワイヤー状の光センサーユニット6を構成してい
る。このように光ファイバー7を金属製管で被覆するこ
とにより、光ファイバー7が溶銑流の高温下での動圧に
より折れないようにすると共に、高温環境での溶融損耗
速度を低下させることができる。
【0048】光センサーユニット6は溶銑流2により減
耗するので、図1に示したように光センサーユニット6
は回転ドラム11に巻かれて供給源とされ、温度測定
中、所要の供給速度で送り出される。光センサーユニッ
ト6の送り出しは、ピンチロール12により速度制御装
置13及び送り出し速度検出器14でその供給速度を調
節する、送り出し機構10で行なわれる。一方、光セン
サーユニット6を溶銑流2内部に正確に挿入するための
機構、及び、光センサーユニット6が溶銑流2から弾き
出されないようにこれを保持するための機構が設けられ
ている。即ち、光センサーユニット6は、溶銑流2に挿
入される直前までガイドパイプ15の中を滑るように通
って送給される。ガイドパイプ15は先端ガイド16及
び支持枠17に固定されている。光センサーユニット6
の先端を溶銑流2内部に命中させるために、先端ガイド
15の保持位置を駆動装置18、駆動制御装置19及び
物体検出装置20、及び支持枠17で位置決めし、誘導
する。
【0049】こうして、光センサーユニット6の先端が
溶銑流2の中に正確に挿入されると、光ファイバー7に
その先端から溶銑流2中の放射光が入射し、その他端に
接続された回転式光コネクターを経て放射温度計3に到
達し、ここで放射光は温度に変換され、温度記録計21
に溶銑流2の温度が記録される。こうして、溶銑温度を
殆んど時間遅れなしに、しかも正確且つ精度良く測定す
ることができる。
【0050】(2)炉熱制御のフロー 図3に、本発明の炉熱制御のフローチャートを示す。こ
れを用いて本発明の炉熱制御方法の例を説明する。
【0051】 高炉の出銑口噴流溶銑(22)に光フ
ァイバーを内装した光センサーユニット(6)を所定時
間挿入し、温度測定(23)をして溶銑温度情報(2
4)を得る。溶銑温度の測定は連続的に行ない、1タッ
プの出銑時間約3〜4時間の間を20分間隔で区分し、
一区間の平均値を当該区間の代表溶銑温度とみなし、こ
れをこの区間の溶銑レベル(25)とする。また、直前
の区間から当該区間への溶銑温度の変動を、当該区間の
溶銑温度推移(26)とする。
【0052】 一方、各種炉体センサー(27)で所
定の特性値を計測して(28)、センサー情報(29)
を得る。測定対象及び測定頻度の態様はサンサーの種類
により異なる。例えば、羽口埋込みセンサーでは羽口近
くの炉体に埋め込んだ熱電対により、毎分1回の羽口埋
込み温度を得る。こうして各センサー情報に基づき、羽
口埋込み温度推移(30)、炉頂ガス温度推移(3
1)、炉頂ガス分析値推移(32)、溶銑Si濃度推移
(33)及び溶銑S濃度推移(34)が得られる。
【0053】 図4の(a)に溶銑温度の測定結果例
を示し、そして(b)に羽口埋込み温度の測定結果例を
示す。この発明の溶銑温度の測定方法によれば、出銑初
期から末期まで、溶銑温度の測定値は±5℃の範囲内に
入っている。予め、高炉操業の経験則及び/又は専門知
識を用いて高炉の炉熱推定モデル(35)を作成してお
く。上記及びで得られた温度レベルや温度推定等に
基づき、高炉操業の経験則及び/又は専門知識を用いて
作成された高炉の炉熱推定モデル(35)を用いて、炉
熱レベルの推定(36)及び炉熱推移の推定(37)を
する。炉熱レベルの推定、炉熱推移の推定、及び異常低
温把握方法は下記の通りである。
【0054】〔a〕炉熱レベルの推定:溶銑温度の測定
は、出銑口からの噴流溶銑を対象とするので、炉内溶銑
の温度がほぼそのままあらわれると考えられる。しか
も、測定データの信頼性が高く、連続的の計測できるの
で測定間隔も短くすることができる。従って、ここで得
られた溶銑温度レベルを炉熱レベルとみなしても十分、
正確で且つ精度がよい。そこで、こうして得られた溶銑
温度を現在の炉熱レベルとして採用する。
【0055】〔b〕炉熱推移の推定:各センサーデータ
より求められる推移に、予めセンサー毎に設定された重
み付けを考慮し、各センサーデータを統合して炉熱推移
を求め、次いで、これを上述した溶銑温度レベルの推移
で補正して、今後の炉熱推移とする。このように、各セ
ンサーデータを炉熱推移の規準とするのは、各センサー
データ値の方が炉熱変化をより早期に検出するからであ
る。
【0056】〔c〕炉況異常の推定:ここで重要な点
は、炉熱が非定常状態の場合には、炉況異常が発生して
いると推定されるので、アクションマトリックスの作成
に当たっては、定常状態領域と共に、非定常状態の領域
も設定することである。非定常状態は、例えば、異常低
温として顕れる。図3中の溶銑温度推移グラフに例示し
たように、溶銑温度情報(24)において、タップの出
銑後最初の溶銑温度測定値(T1 、T2 、T3 )が、T
1 、T2 のように異常に低い場合(異常低温の場合)に
は、残留溶銑滓の増加、炉壁付着物の落下、未還元鉱石
の降下、あるいは亜鉛等の高蒸気圧金属の炉壁への析出
物質の落下等が推定される。この時は、緊急アクション
が必要になる。異常低温の定義は経験則及び/又は羽口
観察結果等に基づき予め決めておく。
【0057】 上記各推定結果を参照し、炉熱推定モ
デル(35)を用いて、予めアクションマトリックス
(38)を作成しておく。アクションマトリックスは、
炉熱の現在レベルを評価すると共に、将来炉熱がどのよ
うに推移するかを推定し、目標とする炉熱レベルに近づ
け、それに維持するための判断基準とするものであり、
炉熱レベルの推定結果と炉熱推移の推定結果とのマトリ
ックスの形態で構成する。この発明において、アクショ
ンマトリックスを、定常状態領域と非定常状態領域とに
区分して作成しておくことが特徴の一つである。
【0058】先ず、炉熱レベル及び炉熱推移のそれぞれ
を、幾つかのランクに区分する。炉熱レベルを、例え
ば、溶銑温度を10℃刻みで1ランクとし、炉熱推移
を、例えば、炉熱の傾きを10℃/分刻みで1ランクと
する。一方、炉熱レベルと炉熱推移とのそれぞれに関
し、正常範囲と異常範囲とを、経験則及び/又は専門知
識を用いて定める。今、炉熱レベルの正常範囲は、目標
炉熱レベルを含むランクを中心にその上下に3つずつの
ランクが該当して7ランクに区分され、炉熱推移の正常
範囲は、目標炉熱推移を含むランクを中心にその上下に
2つずつのランクが該当して5ランクに区分されたとす
る。この場合は、正常範囲に対応する上記7×5のラン
クの領域を、定常状態領域とする。そして、定常状態領
域の外側の領域を非定常状態領域とする。なお、1ラン
クの範囲の大きさは経験則及び/又は専門知識より定め
る。
【0059】図5及び図6中に、こうして構成されたア
クションマトリックス例を示す。ここで、炉熱レベルラ
ンク1〜7と炉熱推移ランク1〜5とで囲まれた領域が
定常状態領域であり、その外周領域が非定常状態領域で
ある。
【0060】 上記で得られた炉熱レベルの推定、
及び炉熱推移の推定結果を、こうして求められたアクシ
ョンマトリックス中の該当する位置に当てはめる。即
ち、前記図3で、アクションマトリックス(38)によ
り、炉熱が定常状態(YES)か非定常状態(NO)か
を判断する。そして、補正処置を実行する。定常状態の
場合は、定常時アクション系(S)に進み、図5のフロ
ーに従い、また、非定常状態の場合は、非定常時アクシ
ョン系(U)に進み、図6のフローに従って補正処置を
実行する。両者間では、当然、アクションの補正内容が
異なり、定常状態の場合は、緩やかなアクション補正を
するが、非定常の場合には、速やかに変化量の大きなア
クション補正により緊急に対処する。この点以外には両
者間で異ならない。
【0061】 そこで、上記補正処置のフローを図6
の非定常状態時について説明すると、アクションマトリ
ックス情報を画面(39)に映し出し、画面に表示され
た情報に基づき操作者(40)が行なう場合と、人工知
能システム(50)にアクションマトリックス情報を取
り込み、機械により自動的に行なう場合とに分ける。
【0062】〔a〕操作者が補正処置をする場合は、高
炉操業における経験則及び/又は専門知識(41”)を
活用し、最終的には当該操作者の判断で処置(アクショ
ン)対象の操業要因(43”)及びアクション量(4
4”)を決定する(42”)。 〔b〕人工知能システムにより機械的に補正処置をする
場合は、高炉操業における経験則及び/又は専門知識を
用いて予め作成された炉熱非定常時の炉熱補正モデル
(45”)にしたがって計算機(46)により、アクシ
ョン対象の操業要因(43”’)及びアクション量(4
4”’)を決定する(47”)。こうして決定された補
正アクションを実行することにより(48”)、溶銑温
度を目標値に維持する制御をし、かくして非定常時の炉
熱を制御する。
【0063】 補正アクションは、高炉の操業要因の
条件設定の変更により行なわれる。主要な炉熱支配因子
として、熱風中の湿分、熱風温度、PC比(微粉炭吹込
み比率)、及びコークス比(装入コークス比)等がある
が、溶銑温度の調節には、熱風中の湿分を調整するのが
便利である。溶銑温度を上げるときは、蒸気添加量を減
らせばよい。このようにして、残銑、壁落ち等の有無を
も自動的に判断し(49)、炉熱の定常・非定常判断
(51)を自動的に行ない、更に、操業要因の条件設定
の変更も自動的に且つ適切に行なうことができる。
【0064】
【実施例】次に、この発明を実施例によって更に詳細に
説明する。図1に示した溶銑温度測定装置を用い、図2
に示した構造の溶銑温度測定用光センサーユニットを用
いて、本発明の炉熱制御方法により高炉を操業した。図
3、5及び6に示した炉熱制御のフローに従い、人工知
能を組み込んだ制御システムにより炉熱を自動制御し
た。詳細は次の通りである。
【0065】光センサーユニット6は、直径125μm
の石英ガラス製光ファイバー1の素線を、外径1.2m
m、内径0.8mmの肉厚0.2mmのステンレス製被
覆管(内管)、及び、外径3.6mm、内径3.0mm
の肉厚0.3mmのステンレス製被覆管(外管)で覆っ
た二重構造のワイヤー状のものである。これを内径6m
m、外径10mmのガイドパイプ15の中を滑走させな
がら、出銑中の噴出溶銑流8に挿入した。光センサーユ
ニット6の供給速度を400mm/秒に設定した。温度
測定1回当たりの時間を約10〜20秒とし、この間の
温度を連続測定した。出銑時間は1タップ当たり3〜4
時間であり、この間8〜10回程度溶銑流8の温度を測
定した。溶銑温度の目標値を1505℃とし、熱風中の
湿分を調節して溶銑温度を制御した。
【0066】(試験結果−1):図7に上記実施例にお
ける、出銑3回分の溶銑温度の測定値、溶銑中Si濃
度、及び熱風中湿分の添加量の経時変化を示す。各タッ
プの出銑開始後初回の溶銑温度に異常低温はみられな
い。即ち、炉熱は定常状態にあると判断された。そこ
で、図3における炉熱の定常・非定常判断(51)によ
り定常と判断され、定常時アクション系(S)に進み、
図5のフローチャートの人工知能(50)システムによ
りアクション補正判断が行なわれ(47)、実行される
(48)。こうして、溶銑温度を制御されることにより
炉熱を制御した。
【0067】その結果、出銑期間中の溶銑温度は全期間
を通じて1495〜1515℃という極めて狭い温度範
囲内に制御されている。またこの間の溶銑中Si濃度
は、0.15〜0.21wt.%の範囲内にあり、平均値
0.18wt.%という低シリコン溶銑が安定して製造され
た。
【0068】一方、従来法の溶銑温度制御方法として、
スキンマにおいてイマージョン式温度計で溶銑温度を測
定し、この測定値に基づき、溶銑温度の設定目標値15
05℃に制御するように、熱風中の湿分を調節した。
【0069】図8に上記従来法における、出銑4回分の
スキンマ部における溶銑温度の測定値、溶銑中Si濃
度、及び熱風中湿分の添加量の経時変化を示す。各タッ
プ内における溶銑温度は変化が大きく、また多くの場
合、各末期に最高温度になっている。タップ内でのこの
ような温度推移は、出銑樋における溶銑の冷却が主原因
であるが、この結果のみからは炉熱の定常・非定常状態
を判断することは不可能である。そこで、従来は操作者
が、過去の操業実績による経験則や各種炉体センサー値
の異常挙動、あるいは羽口からの炉況観察等を総合的に
検討してその判断をしていた。従って、炉熱の定常・非
定常判断を人工知能システムにより自動的に判断するこ
とはできなかった。また、本発明のような早期判断もで
きなかった。更に、判断に個人差もあった。
【0070】一方、溶銑温度の制御が不十分であったた
め、スキンマ部における溶銑温度測定値の変動が大きい
だけでなく、炉内の溶銑温度の変動も大きかった。この
ように、従来の高炉操業における炉熱制御方法では、出
銑温度を迅速に、正確に精度良く推定することが困難で
あるから、炉熱の異常低下により発生する操業トラブル
を未然に防止するために、出銑温度の管理規準を実際に
必要な温度水準よりも高く設定し、炉熱を安全サイドの
高目の水準に制御していた。溶銑温度をこのように高め
に管理すると、燃料としてのコークス使用量を多くしな
ければならずコークス比が高くなるという問題等があ
る。
【0071】また、溶銑温度が高いほど、下記反応式で
示されるSiの溶銑中への移行反応: (SiO2 )+2〔C〕→〔Si〕+2CO ----------------- (1) SiO + 〔C〕→〔Si〕+ CO ----------------- (2) 但し、 (1)式:スラグ−メタル間反応による溶銑中へのSi
の移行反応 (2)式:SiOガスを介しての溶銑中へのSiの移行
反応 が進行して溶銑中のSi濃度が高くなる。そして、溶銑
中のSi濃度が高くなるほど、次工程の製鋼工程におけ
る原料溶銑の精錬において、媒溶剤としての石灰を多量
に消費し、製鋼スラグ量の増加によりFe歩留が低下
し、また製鋼スラグの発生量が増加するという問題につ
ながる。
【0072】これに対して、本発明の炉熱制御方法によ
れば、炉熱を安定して制御することができるので、溶銑
温度の管理基準を実際に必要な目標温度水準まで下げる
ことができる。従って、余分なコークスを使用する必要
がなくなる。また、溶銑温度が低下した状態に制御する
ことができるので溶銑中Si濃度も、例えば、0.15
〜0.21wt.%の範囲内というように低く、安定させる
ことができる。また、炉熱の異常低下による操業トラブ
ルの発生も防止することができる。
【0073】(試験結果−2):図9に、上記実施例の
方法により炉熱制御した高炉の操業において、出銑後最
初の溶銑温度が異常低温を示した場合の温度の推移を示
す。前述した通り、溶銑温度の1プロットは、出銑開始
後の経過時間を20分間隔で区分し、一区間の平均値を
当該区間の代表溶銑温度としている。図9によれば、第
1タップと第2タップの初回溶銑温度のみが異常低温を
示している。このように、初回のみ異常低温を示すの
は、残留溶銑滓の増加、炉壁付着物の落下、未還元鉱石
の降下、あるいは亜鉛等の高蒸気圧金属の炉壁への析出
物質の落下等が発生していたために、出銑口付近の溶銑
温度は異常に低下しており、そのために出銑当初は異常
低温溶銑が流出し、出銑時間の経過につれて上方の正常
温度の溶銑が流出するためである。そして、第1タップ
の出銑口の向かい側の出銑口からの第2タップにおいて
も、出銑後初回の溶銑温度のみが異常低温を示したのは
上記と同じ理由によるものであり、第3タップの初回溶
銑温度には異常低温が解消している。これは、第3タッ
プの開始までには異常低温の直接原因である上記原因物
質がなくなったことを示す。
【0074】なお、タップ後の初期溶銑温度測定値によ
り、このように明確な溶銑の低温異常を検出することは
従来不可能なことであったが、本発明によりそれが可能
となった。これに伴い、残銑や炉内での鉱石降下や物質
落下の発生を高精度且つ迅速に、またその規模を定量的
に判断することが可能になった。
【0075】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
高炉操業において溶銑温度を目標とするレベルに正確
に、且つ狭い温度範囲に制御することができ、また、炉
熱の異常状態を早期に精度よく、自動的に判断すること
ができる。こうして従来得られなかった良好な炉熱制御
による炉況の高位安定化が実現可能となった。その結
果、下記の効果が発揮される。 生産工程計画に対する一層柔軟な高炉操業の対応が可
能となり、生産性の向上、原料需給変動の吸収、及び生
産性の向上が図られる。 低Si溶銑の安定製造、コークス比の低減、耐火物寿
命の延長、ガス利用率の安定的向上、及び副原料原単位
の低減により溶銑製造コストの低減が図られると共に、
原料資源の節減が図られる。 炉熱異常に起因する高炉操業の重大トラブルが完全に
解消し、また、高炉寿命の延長が図られ、また補修費の
低減が図られる。 炉熱制御の自動化により大幅な省力化が図られ、更
に、複数高炉の集中管理化や操業管理の無人化が促進さ
れ、一層の省力化が図られる。このような高炉の炉熱制
御方法を提供することができ、工業上有用な効果がもた
らされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の実施において使用する溶銑温度
測定装置の構成例の概要図である。
【図2】本発明の方法において溶銑温度の測定に使用す
る光センサーユニットの構造例の概略横断面図を示す。
【図3】本発明の方法による炉熱制御のフローチャート
である。
【図4】本発明の方法で測定した溶銑温度及び羽口埋込
み温度の測定結果の例である。
【図5】炉熱が定常状態の場合の補正アクション方法を
説明するフロー図である。
【図6】炉熱が非定常状態の場合の補正アクション方法
を説明するフロー図である。
【図7】本発明法における溶銑温度の測定値、溶銑中S
i濃度、及び熱風中湿分の添加量の経時変化を示すグラ
フである。
【図8】従来法における溶銑温度の測定値、溶銑中Si
濃度、及び熱風中湿分の添加量の経時変化を示すグラフ
である。
【図9】本発明の方法により炉熱制御した場合に検出し
た、炉熱の異常状態を示す溶銑温度の異常低温例を示す
グラフである。
【図10】従来法による溶銑温度測定値の推移を示すグ
ラフである。
【図11】従来法による連続3回の出銑期間中における
溶銑温度と羽口埋込み温度との測定結果の対応例を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 出銑口 2 溶銑流 3 放射温度計 6 ワイヤー状の光センサーユニット 7 光ファイバー 8 金属製内管 9 金属製外管 10 送り出し機構 11 回転ドラム 12 ピンチロール 13 速度制御装置 14 速度検出器 15 ガイドパイプ 16 先端ガイド 17 支持枠 18 駆動装置 19 駆動制御装置 20 物体検出装置 21 温度記録計 22 出銑口噴流溶銑 23 温度測定 24 溶銑温度情報 25 溶銑温度レベル 26 溶銑温度推移 27 各種炉体センサー 28 計測 29 センサー情報 30 羽口吹込み温度推移 31 炉頂ガス温度推移 32 炉頂ガス分析値推移 33 溶銑Si濃度推移 34 溶銑S濃度推移 35 炉熱推定モデル 36 炉熱レベル推定 37 炉熱推定推定 38 アクションマトリックス 38” 非定常時アクション系 39、39” 画面 40、40” 操作者 41 経験則・専門知識 42 定常時アクション補正判断 42”非定常時アクション補正判断 43、43’、43”、43”’ 対象操業要因 44、44’、44”、44”’ アクション量 45、45”炉熱補正モデル 46 計算機 47 定常時アクション補正判断 47”非定常時アクション補正判断 48、48” 実行 49 自動判定 50 人工知能 51 定常・非定常判断 S 定常時アクション系 U 非定常時アクション系 T1 、T2 、T3 出銑直後測定値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大屋 憲司 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉の炉熱を制御する方法において、出
    銑口から出銑中の溶銑の温度を金属管で被覆された光フ
    ァイバーを利用して測定し、こうして得られた温度情報
    に基づき、高炉操業における経験則及び/又は専門知識
    を用いて作成された炉熱推定モデルを用いて炉熱レベル
    及び炉熱推移を推定し、こうして推定された炉熱が定常
    状態にあるのか非定常状態にあるのかを判定し、前記炉
    熱に関する判定結果を表示手段で表示し、そして操作者
    が前記炉熱に関する判定結果に基づき、高炉操業におけ
    る経験則及び/又は専門知識を用いて高炉の操業要因の
    補正処置をとることにより溶銑温度を制御することを特
    徴とする、高炉の炉熱制御方法。
  2. 【請求項2】 高炉の炉熱を制御する方法において、出
    銑口から出銑中の溶銑の温度を金属管で被覆された光フ
    ァイバーを利用して測定し、下記(イ)及び(ロ)の工
    程を含む人工知能システムを用いて自動的に、高炉の操
    業要因の補正処置をとることにより溶銑温度を制御する
    ことを特徴とする、高炉の炉熱制御方法。 (イ)前記溶銑温度の測定情報に基づき、高炉操業にお
    ける経験則及び/又は専門知識を用いて作成された炉熱
    推定モデルを用いて炉熱レベル及び炉熱推移を推定し、
    こうして推定された炉熱が定常状態にあるのか非定常状
    態にあるのかを判定する。 (ロ)前記炉熱に関する判定結果に基づき、高炉操業に
    おける経験則及び/又は専門知識を用いて作成された高
    炉の操業要因を補正処置する炉熱補正モデルを用いて、
    高炉の操業要因の補正処置を実行する。
  3. 【請求項3】 前記炉熱推定モデルは、前記炉熱レベル
    推定の知識ベースには、前記光ファイバーによる溶銑温
    度の測定情報が含まれており、そして、前記炉熱推移推
    定の知識ベースには、前記光ファイバーによる溶銑温度
    の測定情報及び高炉センサーによる測定情報が含まれて
    いるものであることを特徴とする、請求項1又は2記載
    の高炉の炉熱制御方法。
  4. 【請求項4】 前記高炉の出銑口から出銑中の前記溶銑
    は、当該出銑口から出銑樋に落下するまでの間にある噴
    出流であることを特徴とする、請求項1から3の内いず
    れか一つに記載された高炉の炉熱制御方法。
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Cited By (3)

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