JP2837284B2 - 含クロム溶銑の製造方法及び同装置 - Google Patents

含クロム溶銑の製造方法及び同装置

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JP2837284B2
JP2837284B2 JP5357591A JP5357591A JP2837284B2 JP 2837284 B2 JP2837284 B2 JP 2837284B2 JP 5357591 A JP5357591 A JP 5357591A JP 5357591 A JP5357591 A JP 5357591A JP 2837284 B2 JP2837284 B2 JP 2837284B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クロム酸化物を含む粉
粒状のクロム原料を下部付近に上下2段の羽口を有する
竪型炉の上段羽口から炉内に吹き込みながら供給し溶融
還元する際に、炉内温度を粉粒状のクロム原料供給量の
増減により所定範囲内に維持し、円滑に安定して操業す
ることの出来る含クロム溶銑の製造方法及びこの方法を
実施するのに好適な装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にクロム成分を含有する特殊鋼やス
テンレス鋼は、一旦溶製された含クロム溶銑を主要な出
発原料とし、これを精錬して製造されている。古くから
行われてきたこの含クロム溶銑の製造方法として、クロ
ム鉱石から一旦フェロクロムを造りそれから含クロム溶
銑とする方法がある。しかしながらこの方法は、電気炉
や電気精錬炉を使用するので原料の溶解やクロム酸化物
の溶融還元に多くの電力を費やして多大なエネルギーコ
ストがかかる欠点があった。
【0003】これに対して近年、大電力を使用しない方
法として、上部に原料装入口をまた下部付近に上下2段
の羽口を有する竪型炉の前記原料装入口から鉄源,炭材
及び造滓材から主として成り更にクロム源の一部を加え
ることのある装入原料を装入し、上下段の各羽口から高
温空気又は高温酸素富化空気を吹き込むと共に上段羽口
からクロム酸化物を含有する粉粒状のクロム原料を炉内
へ供給し、この様々なクロム原料中に含有されるクロム
酸化物を溶融還元しながら含クロム溶銑を出銑して製造
する方法が、特開昭60−162718号公報,特開昭62−5400
7号公報,特開昭62−167808号公報,特開昭62−167809
号公報などに開示されているが、これらの従来技術には
炉内温度を所定範囲内に維持して安定操業するための技
術的手段について明確な開示が存在していない。
【0004】このような竪型炉内の各冶金反応とその温
度分布はおおよそ次のようである。炉の上部の原料装入
口からの装入原料は、高温ガスからの伝熱により加熱さ
れ溶解して下段羽口に至るまでに還元される。一方、上
段羽口から吹き込まれた粉粒状のクロム原料は下段羽口
付近に至るまでに溶解されると共に溶融還元される。そ
してその温度分布は、上部の原料装入口から上段羽口に
至る間ではC+CO2→2COの吸熱反応や各装入原料
を加熱し溶解するためのガスから装入原料への伝熱によ
り温度は低下しており、上段羽口付近及び下段羽口付近
ではC+O2→CO2の発熱反応により温度は上昇してお
り、上段と下段の羽口間ではC+CO2→2COの吸熱
反応や上段羽口から吹き込まれたクロム原料の溶融還元
反応(吸熱反応)により温度は上下各羽口付近よりも若
干低下しており、下段羽口と炉底との間では炉体からの
熱放散ばかりで熱補償がないことから温度は低下してい
る。このように竪型炉内の各冶金反応とその温度分布
(つまり炉内各部の温度であり、以下炉内温度で表わす
ことがある)は、安定操業時には炉内の各位値における
各部が高低それぞれに炉内全体としてバランスしていて
ほぼ一定に維持されている。
【0005】しかるにこのような竪型炉においては、炉
装入原料の種類や寸法や形状や品位やその配合割合や装
入量の変動,炭材粒度分布の変動,上段羽口から吹き込
む粉粒状のクロム原料の種類や寸法や品位や吹き込み供
給量の変動,上下段の各羽口から炉内へ吹き込まれる高
温空気又は高温酸素富化空気の温度や酸素富化程度や吹
き込み量(送風量)の変動や風湿の変動,耐火物の溶損
等により、炉内温度が変動すると不安定操業に陥ると共
に色々な問題が生じていた。特にこの上段と下段の羽口
間は、上段羽口から吹き込む粉粒状のクロム原料の溶融
還元反応を行わせる重要な領域であるので、この領域を
中心として更に詳細に説明する。
【0006】竪型炉の安定操業時においては、炉内上下
段羽口間の溶融還元領域では、コークス燃焼熱,高温空
気又は高温酸素富化空気の顕熱,上段羽口レベルから下
方へ流入する溶銑顕熱,溶滓顕熱等の入熱と、上段羽口
より吹き込まれる粉粒状のクロム原料の溶融還元熱(吸
熱),上下段の各羽口冷却水への抜熱,上下段羽口間の
炉体放散熱,上段羽口レベルより上方へ流出する排ガス
の顕熱等の出熱とがバランスしていてほぼ一定に維持さ
れている。
【0007】しかしながら、前記諸々の事項が変動する
ことによってこの炉内の熱バランスが崩れて炉内温度が
上昇又は低下すると、次のような問題が起こる。 炉内温度の上昇時:炉内温度が上昇すると、造滓材
や炭材灰分中等のSiO2がCによって還元され、SiO
ガスが発生する。このSiOガスの一部は炉内上方の低
温部でSiO2となって凝集・吸着するために、局部的通
気不良個所が発生し炉内圧力が上昇し、最も避けなけれ
ばならない炉内圧力の急上昇が発生したりする。また、
SiOガスの一部は更にCによって還元されて溶銑中に
Siとして入るため、溶銑中のSi濃度が増加する。 炉内温度の低下時:逆に炉内温度が低下すると、出
銑温度や出滓温度が低下したり、クロム酸化物の溶融還
元率が低下したりする。また、原料持ち込みのSiの酸
化等が起こるため、溶銑中のSi濃度が低下する。
【0008】このような炉内の熱バランス崩れに起因し
て生じる炉内温度の上昇又は低下は、出銑温度や出滓温
度の上昇又は低下となって表われるのであり、竪型炉を
使用して行う従来の含クロム溶銑の製造方法は、炉内温
度を所定範囲内に維持することが出来なかったために前
述のような種々の問題点があったのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記従来技術
の問題点を解消し、竪型炉上部の原料装入口から装入し
た各種原料を溶解及び必要に応じて還元しつつクロム源
として上段羽口から吹き込んで供給する粉粒状のクロム
原料の竪型炉内での溶融還元を炉内温度を所定範囲内に
維持しながら行い、円滑で安定した操業を可能とする含
クロム溶銑の製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは種々検討し
た結果、従来直接には測定困難であった上下段羽口付近
の非常に高温の炉内温度の代わりに、羽口先端部内に温
度センサを埋め込み配置して羽口先端部内の低い温度を
測定し、炉内温度の変動に対応して変動するその測定温
度に応じて粉粒状のクロム原料の吹込み供給量を増減す
ることにより、前記課題が解決出来ることを究明して本
発明を完成した。
【0011】すなわち本発明の一つは、上部に原料装入
口をまた下部付近に上下2段の羽口を有する竪型炉の前
記原料装入口から鉄源,炭材及び造滓材から主として成
り更にクロム源の一部を加えることのある装入原料を装
入し、前記上下段の各羽口から高温空気又は高温酸素富
化空気を吹き込むと共に前記上段羽口からクロム酸化物
を含有する粉粒状のクロム原料を炉内へ供給し、このク
ロム原料を溶融還元しながら含クロム溶銑を出銑し製造
するに当り、順調な製造状況下における羽口先端部内の
適正な温度範囲内に目標温度範囲を設定し、上段羽口及
び下段羽口の両方又は一方の先端部内の温度を測定し、
該測定値を前記目標温度範囲と対比して上限を外れたと
きは粉粒状のクロム原料の供給量を増量し、下限を外れ
たときは粉粒状のクロム原料の供給量を減量することを
特徴とする含クロム溶銑の製造方法に関するものであ
る。また本発明の他の一つは、前記本発明方法を実施す
るのに好適な含クロム溶銑製造装置であって、後記し説
明する。
【0012】以下、図面を用いて本発明に係る含クロム
溶銑の製造方法及び同装置を詳細に説明する。図1は竪
型炉の1例の概略断面図を含む本発明に係る含クロム溶
銑製造設備の概略図、図2は実施例における操業結果を
示す図、図3は比較例における操業結果を示す図であ
る。
【0013】先ず、竪型炉を使用する含クロム溶銑の一
般的製造方法及びそれに使用する一般的な含クロム溶銑
製造装置を図1を利用して説明する。図1に示すよう
に、上部に鉄源,炭材及び造滓材から主として成る原料
を装入するための原料装入口7を有し、下部付近にクロ
ム酸化物を含有する粉粒状のクロム原料9を高温空気又
は高温酸素富化空気と共に炉内に吹き込んで供給するた
めの上段の各羽口4と高温空気又は高温酸素富化空気を
吹き込むための下段の各羽口5とを有し、上段羽口4に
粉粒状のクロム原料9を供給するための粉粒状クロム原
料供給槽8が連設された竪型炉6を主要部として成る含
クロム溶銑製造装置を使用する。
【0014】そしてその操業は次のように行う。空気供
給源1から送られてくる空気を必要に応じて酸素供給源
2によって酸素富化し、更に熱交換器3によって高温
(通常600〜1200℃)に加熱した後、炉の下部付近に上
下2段に設けられている上段羽口4群と下段羽口5群と
から竪型炉6内へ吹き込む。
【0015】一方、炉の上部の原料装入口7から種々の
装入原料を装入する。この装入原料は鉄源,炭材及び造
滓材から主として成り、更にクロム源の一部を加えるこ
とがある。このクロム源の一部としては普通、クロムを
含有する鉄源や高炭素フェロクロムが使用され、クロム
源の全部を次に説明する上段羽口4からの粉粒状のクロ
ム原料9の供給に頼る場合以外は上部の原料装入口7か
ら装入され、むしろこの方が一般的である。このように
炉の上部の原料装入口7から各種原料を装入すると共
に、粉粒状クロム原料供給槽8(例えばホッパー)内の
クロム酸化物を含有する粉粒状のクロム原料(以下、単
にクロム原料又は吹込みクロム原料と言うことがある)
9を前記した高温空気又は高温酸素富化空気と共に上段
羽口4より竪型炉6内へ吹き込む(図1中の図番14〜
21については後記本発明の場合に説明する)。炉内で
種々の冶金反応が行われて炉内が高温状態となり、炉の
上部から装入した諸原料の主として溶解反応と、炉の下
部付近の上段羽口4から炉内へ吹き込まれ供給された粉
粒状のクロム原料9の溶融還元反応とが進行し、炉の底
部の出銑樋10から含クロム溶銑を出銑させ、同じく炉
の底部の出滓樋11から溶融スラグを排出させる。ま
た、竪型炉6からの排出ガスは、燃焼装置12で可燃成
分を燃焼させ、熱交換器3を通過させた後に集塵装置1
3を経て系外へ排出する。
【0016】このような従来の含クロム溶銑の製造方法
及び製造装置に共通する一般的な技術に加えて、本発明
においては以下に順次説明する特徴を備えている。先
ず、本発明装置においては図1に示すように、上段羽口
4及び下段羽口5の両方(図例)又は一方の先端部内に
その温度を測定する例えばCAシース熱電対のような温
度センサを埋め込み配置して成る羽口先端部内温度測定
装置14を備えている。この炉内の上下段の各羽口4,
5付近及びそれらの間は主としてクロム原料の溶融還元
が行われる最も重要な領域であって温度変化を最も検出
したい位置であるが、非常に高温域(2000℃以上)のた
めに、この領域の炉内温度を直接に且つ連続的に精度良
く測定する手段がない。しかしながら、各羽口4,5は
冷却しなければならないのでその周壁内部に冷却水を強
制循環させており、またクロム原料を吹き込む高温空気
又は高温酸素富化空気(通常600〜1200℃)も通過する
ため、その最先端と冷却水流路との中間部では低温(ほ
ぼ150〜250℃)であって連続的に温度測定することが充
分に可能であり、しかもその最先端は炉内に直接露出し
ていて炉内から熱伝達されるので、炉内温度の昇降変動
に追従対応して各羽口4,5の先端部内の温度が上下変
動するのである。
【0017】従って、各羽口4,5の炉内温度以外の熱
的条件すなわち各羽口4,5へ強制循環させる冷却水の
温度及び水量や吹き込む高温空気又は高温酸素富化空気
の温度及び送風量等は通常所定範囲内の条件で操業され
ていてほぼ一定であると言えることから、羽口の先端部
内の温度変化は炉内温度の変化に追従し対応するので炉
内温度の制御を行うための基礎検出値とすることが出来
るのである。具体的には、羽口先端部内温度測定装置1
4として熱電対のような温度センサが羽口の先端部内
に、冷却水(一般に羽口の基部側用と先端部用との2つ
の流路を流れるようになっている)の直接の影響を受け
にくい位置(例えば、羽口先端とそれに最も近い冷却水
流路との中間部位)に埋め込まれて配置されており、炉
外機器にリード線により接続されている。羽口先端部内
温度測定装置14を埋め込み配置する羽口は図例のよう
に上段羽口4群及び下段羽口5群の両方が好ましいが、
いずれか一方に配置しても良い。
【0018】次に本発明装置においては、前記羽口先端
部内温度測定装置14により得られる炉内温度の温度変
化に応じて炉内へ吹き込む粉粒状のクロム原料9の供給
量を増減するための一連の装置が設けられている。すな
わち図1に示すように、先ず粉粒状クロム原料9を貯蔵
する粉粒状クロム原料供給槽8の出口にクロム原料供給
装置21(例えば、テーブルフィーダー等の切出し装置
や圧縮空気等のガスにより撹拌且つ運搬する吹込み装
置)が設置されている。このクロム原料供給装置21に
は、粉粒状クロム原料9の供給量(切出し量,送り出し
量,吹込み量等)を調節するクロム原料供給量調節装置
20(例えば上記切出し装置に連結された調節可能な駆
動源)が付設されている。またクロム原料供給装置21
には、これから供給されて来る粉粒状クロム原料9の供
給量を測定するためのクロム原料供給量測定装置17が
設置されている。このクロム原料供給量測定装置17が
例えば粉粒状クロム原料供給槽8としてのホッパーの経
時重量変化を測定するロードセルであるときは粉粒状ク
ロム原料9の流れの系外にあるが、例えば特公昭62−20
273号公報に開示されている切り出し方法を利用すると
きなどは上記流れの系内にあり、その場合例えばクロム
原料供給装置21と上段羽口4との間に設置される(図
1ではこの2つの場合を同時に示してある)。
【0019】前記各装置8,14〜21の作用を総合
し、各装置14,17から発信される信号を受けて粉粒
状のクロム原料9の供給量を制御するためのクロム原料
供給量制御装置15(コンピューター)が設置されてい
る。すなわちこのクロム原料供給量制御装置15は、羽
口先端部内温度測定装置14が連続的に測温検出して発
信する温度信号16及びクロム原料供給量測定装置17
からのクロム原料供給量信号18を受けて羽口先端部内
の温度を適正な温度すなわち羽口先端部付近の適正な炉
内温度に維持するための粉粒状のクロム原料9の供給量
を演算してクロム原料供給量変更信号19を発信する。
クロム原料供給量調節器20はこのクロム原料供給量変
更信号19を受信して、クロム原料供給装置21から炉
内へのクロム原料供給量を調節する。
【0020】前記説明において、クロム原料供給量制御
装置15は羽口先端部内温度測定装置14から受信した
温度信号16(説明を簡単にするため、既に温度℃のデ
ジタル信号に変換されているとして取扱う)をどのよう
に処理してクロム原料供給量演算用のデータとするかに
よって、次のようにいくつかの種類に分けられる。すな
わち、 (イ)羽口先端部内温度測定装置14から逐次受信する
温度信号16を無処理のままでデータとするもの (ロ)羽口先端部内温度測定装置14から逐次受信する
温度信号16を一定時間経過毎に単純平均値に演算して
データとするもの (ハ)羽口先端部内温度測定装置14から逐次受信する
温度信号16の移動平均値を演算してデータとするもの (ニ)羽口先端部内温度測定装置14から逐次受信する
温度信号16の加重移動平均値を演算してデータとする
もの である。
【0021】本発明装置においては、クロム原料供給量
制御装置15は羽口先端部内温度測定装置14から受信
した温度信号16の処理については前記4種のうちのい
ずれの仕方のものであっても差し支えはないが、後に説
明するように前記した(ハ),(ニ)の仕方のものが好
ましく、特に(ハ)の仕方のものが好ましい。これらの
種類は機能上のものであるから、1つの装置に複数の処
理機能を有し、その何れかを任意に選択可能な機構とす
ることも出来る。
【0022】一方、本発明方法の基本構成は前述の通り
であるが、前記本発明装置の作用の説明を兼ねて以下に
詳細に説明する。先ず、羽口先端部内温度測定装置14
が埋め込まれ配置されている上下段の羽口4及び/又は
5の適正な温度範囲を調査する。羽口先端部内温度測定
装置14が連続測定する温度は羽口先端部内の温度であ
って、炉内の還元領域における温度ではないから、この
炉内温度に追従・対応して変動する羽口先端部内の適正
な温度範囲を知る必要がある。この温度範囲は竪型炉6
の規模や構造等,装入及び/又は供給される様々な原料
の種類等,使用炭材の種類や粒度分布等,種々の操業条
件(特に前記羽口の炉内温度以外の熱的条件)等々によ
って異なるから、かかる諸条件に応じて長期に亘り個々
に調査して決定する。この決め方は例えば諸条件をいく
つかのパターンに分類し、各パターンにおいて含クロム
溶銑の製造が順調に行われているときの羽口先端部内の
温度範囲を採用しても良く、そして羽口付近の炉内温度
を例えば光学機器などを用いた温度測定により調査して
そのときの羽口先端部内の測定温度を対応させ両測定温
度の相関関係を求めた上で決定することが一層好まし
い。
【0023】このようにして羽口先端部内の適正な温度
範囲が決定され判明すれば、この適正な温度範囲に基づ
いて粉粒状のクロム原料9の供給量を制御するときの目
標となる羽口先端部内の温度範囲(以下、目標温度範囲
と言う)を設定する。その設定方法は、目標温度範囲を
前記適正な温度範囲の内側に狭い範囲で設定する方法で
あり、修正作用のタイムラグなどのために目標温度範囲
よりも多少のはみ出しを許容しても羽口先端部内の温度
は適正な温度範囲内に納まるように決定し設定するので
ある。どの程度狭い範囲に設定するかは、前記適正な温
度範囲の場合と同様な理由で個々に定めれば良い。
【0024】このようにして羽口先端部内の目標温度範
囲が設定出来たら、前述の一般的な製造方法によって含
クロム溶銑の製造を開始する。操業状態に入れば、クロ
ム原料供給量制御装置15は羽口先端部内温度測定装置
14が炉内温度の変化を間接的に捉えて測定し連続発信
する温度信号16と、クロム原料供給量測定装置17が
発信するクロム原料供給量信号18とを連続的に受信す
る。
【0025】クロム原料供給量制御装置15は受信した
温度信号16をそれが持つ処理機能(複数機能を持つと
きは任意に選択された機能)の処理の仕方に従って処理
し、処理データが示す温度測定値と前述の如くにして設
定した目標温度範囲とを対比し、上下に外れていれば後
述するような考え方によってクロム原料供給量を増減す
るためのクロム原料供給量変更信号19を発信する。
【0026】ここで温度信号16の処理の仕方の操業状
態に及ぼす影響について説明する。この竪型炉6の操業
においては、上部の原料装入口7から投入され様々な冶
金反応を受けながら炉内を降下していく鉄源,炭材,造
滓材等の諸原料が現実問題として寸法的にもその分布状
態においても大小,濃淡様々にばらついて降下してい
る。従って例えば大塊の鉄源とかコークス等が装入され
て羽口の先端部内に至ったときに、その羽口付近だけが
局部的に急に温度低下を示す場合があるが、この異常状
態は間もなく元状に回復する。またこのような異常状態
とは逆に、炉内に局部的な通気不良個所が発生して俗に
棚吊りやスリップ現象の発生の直後に、高温コークス,
溶銑及び溶滓等が羽口の先端部に直接接触した時に、羽
口先端部内温度が急上昇を示す場合もあるが、この異常
状態も間もなく正常に回復する。このような場合、クロ
ム原料供給量制御装置15の受信した温度信号16の処
理の仕方が前記(イ)の無処理や前記(ロ)の一定時間
経過毎の単純平均であるときには、前述のような瞬間的
で局部的な温度低下や高温急上昇をその時点での炉内全
般の正確な温度低下や温度上昇の出現と検出したとき
に、クロム原料供給量制御装置15が誤ったクロム原料
供給量変更信号19を出して却って操業を混乱させてし
まうことになる。これに対し、温度信号16の処理の仕
方が前記(ハ)のJISZ8101に規定されている移
動平均値の場合は、過去の時点から順次受信するデジタ
ル信号の一つ一つから始めて順に一定個数をとって演算
していく平均値であるから前記のような短時間内で局部
的な温度低下や温度上昇の信号16であっても、その炉
内温度に対する急激な修正作用の影響は薄められ、穏や
かな修正作用を可能にするので無用な操業の混乱を防ぐ
ことが出来るのである。そして、温度信号16の処理の
仕方が前記した(ニ)のJISZ8121に規定されて
いる加重移動平均値の場合も、前記(ハ)の移動平均値
の場合とほぼ同様に穏やかな修正作用を可能にするので
ある。
【0027】このように竪型炉6の操業における現実の
原料の投入状況から、炉内温度の変動があっても急激な
修正を避けて穏やかに回復させるのが好ましく、そのた
めには温度信号16の処理の仕方として前記(ハ)又は
前記(ニ)、特に比較的簡単であって効果の大きい前記
(ハ)の処理の仕方が好ましいのである。しかし、この
ような前記(ハ)や(ニ)の処理の仕方によらなくて
も、基本的に諸原料の性状やその配合等々を出来るだけ
均一にして注意して投入すれば、前記(イ)又は(ロ)
の処理の仕方でも本発明の効果を発揮する。従って、以
下において温度信号16の処理の仕方を限定しないで本
発明方法の説明を進める。
【0028】前述のようにしてクロム原料供給量制御装
置15が温度信号16を受信し処理して巡り巡って羽口
先端部内の温度が得られる。クロム原料供給量制御装置
15は、この羽口先端部内の温度が目標温度範囲の上限
を外れた場合に直ちに羽口先端部内の温度を目標温度範
囲にまで低下させるように、クロム原料供給量変更信号
19をクロム原料供給量調節装置20に発信し、クロム
原料供給量調節装置20はこれを受けてクロム原料供給
装置21が粉粒状クロム原料9の供給量を増量する。炉
内では、粉粒状クロム原料9の供給量が増量したことに
より、溶融還元熱(吸熱)が増加して炉内温度が上限以
下の目標温度範囲内に低下し、安定操業に戻る。
【0029】逆に、羽口先端部内の温度が目標温度範囲
の下限を外れた場合は、前記とは逆に粉粒状クロム原料
9の供給量が減量するように前記各装置が作用すること
により、溶融還元熱(吸熱)が減少して炉内温度が上昇
し、安定操業に戻る。羽口先端部内の温度が目標温度範
囲を外れた場合の粉粒状クロム原料9の増減量について
は、炉の規模や諸原料やその操業等により決定する。
【0030】このようにして竪型炉6の操業の間、羽口
先端部内の温度測定とそれによる粉粒状クロム原料9の
供給量の増減を行わせることにより、炉内温度を順調な
含クロム溶銑の製造条件下における所定範囲内に維持
し、従って安定して含クロム溶銑を製造することが出来
るのである。
【0031】
【実施例】比較例 竪型炉6が内径が1m、上下各段羽口4,5がそれぞれ
3本設けられているものであって、本発明装置における
羽口先端部内温度測定装置14等を設置していない以外
は、図1と同様の含クロム溶銑製造装置を用い、第1表
に示す高温酸素富化空気の送風条件で12%Crの含クロ
ム溶銑を製造した。炉の上部の原料装入口7からの装入
原料としては、第2表に示す諸原料を使用し、上段羽口
4からはステンレス鋼製造工程で発生した転炉スラグが
29%,スラジ33%及びダスト38%の混合物であって第3
表に示す組成及び粒度のクロム原料を炉内へ800kg/時
間で吹き込み供給した。操業中の炉内圧力(mm水柱),
出銑温度(℃),(%Cr23),〔%Si〕について10
分間隔のデータが判るように測定した。その結果、図3
に示す結果を得た。この図3から判るように、前述した
ような想定される様々な原因で炉内温度従って出銑温度
(℃)が変動している。そして炉内温度が上昇した場合は
局部的通気性不良箇所の発生による炉内圧力上昇の問題
が、また逆に炉内温度が低下した場合は出銑温度の低下
や溶融還元率の低下〔スラグ中の(%Cr23)の増加〕
の問題が発生した。
【0032】実施例 図1と同様の本発明装置を用い、送風条件,装入原料,
粉粒状のクロム原料9については比較例と同条件で、そ
して本発明方法により12%Crの含クロム溶銑を製造し
た。その結果、図2に示す結果を得た。羽口先端部内の
温度(℃)は、下段羽口5の中の1本で0.5秒間隔で測定
した温度信号16を10分間の移動平均値に演算処理した
ものである。また、羽口先端部内の目標温度範囲を200
℃±10℃に設定した(適正温度範囲は200℃±20℃)。
演算処理され移動平均値で表わされた羽口先端部内の温
度(℃)を前記目標温度範囲と対比する演算処理を行わせ
て、上下限の温度範囲を外れた場合の粉粒状のクロム原
料9の増減量が、次の通りの供給量変更信号19が出力
されるようにした。 操業中のデータとして、図3に示す比較例と同じ項目
の他に、図2に示すように羽口先端部内の温度(℃)及び
粉粒状のクロム原料9の供給量を10分間隔で測定したも
のを示す。この図2から判るように、炉内温度従って出
銑温度が上昇したときは、粉粒状のクロム原料9の供給
量を増量することにより急激な炉内圧力の上昇を防止出
来、逆に炉内温度従って出銑温度が低下したときは、粉
粒状のクロム原料9の供給量を減量することにより急激
な出銑温度の低下や溶融還元率の低下〔スラグ中の(%
Cr23)の増加〕を防止することが出来た。そして全体
に円滑で安定した操業をすることが出来たのである。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【発明の効果】以上に詳述した如く本発明は、連続して
精度良く実測することの出来ない竪型炉内の高温温度の
代わりに、実測可能であって炉内温度の変動に追従し対
応する羽口先端部内の温度を測定して、その羽口先端部
内の温度測定値の変動に応じて粉粒状のクロム原料の供
給量を増減するように構成したことにより、以下に述べ
る効果を有する。 電気炉や電気精錬炉の如く大電力を費やして多大のエ
ネルギーコストがかかることがない。 炉内温度を所定範囲内に安定して維持することが可能
となった。従って炉内温度の上昇による通気性不良や
炉内圧力の急上昇を防止出来る。 また炉内温度の著しい高低がなくなったことにより出
銑温度や出滓温度の著しい高低が表われることがなくな
り、その結果この高低に付随して発生する溶銑や溶滓の
樋部における凝固や耐火物の溶損,破損等を防止出来
る。 更に炉内温度の低下によって装入又は供給されたクロ
ム酸化物の溶融還元率の低下、すなわち高価なクロムの
クロム収率の低下が防止出来る。 全体として、円滑で安定した操業が可能となった。 ステンレス鋼製造工程で、副生物として発生するダス
ト,スラジ,スラグやクロム鉱石そのものをも円滑に処
理し使用出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】竪型炉の1例の概略断面図を含む本発明に係る
含クロム溶銑製造設備の概略図である。
【図2】実施例における操業結果を示す図である。
【図3】比較例における操業結果を示す図である。
【符号の説明】
1 空気供給源 2 酸素供給源 3 熱交換器 4 上段羽口 5 下段羽口 6 竪型炉 7 原料装入口 8 粉粒状クロム原料供給槽 9 粉粒状のクロム原料 10 出銑樋 11 出滓樋 12 燃焼装置 13 集塵装置 14 羽口先端部内温度測定装置 15 クロム原料供給量制御装置 16 温度信号 17 クロム原料供給量測定装置 18 クロム原料供給量信号 19 クロム原料供給変更信号 20 クロム原料供給量調節装置 21 クロム原料供給装置

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部に原料装入口をまた下部付近に上下
    2段の羽口を有する竪型炉の前記原料装入口から鉄源,
    炭材及び造滓材から主として成り更にクロム源の一部を
    加えることのある装入原料を装入し、前記上下段の各羽
    口から高温空気又は高温酸素富化空気を吹き込むと共に
    前記上段羽口からクロム酸化物を含有する粉粒状のクロ
    ム原料を炉内へ供給し、このクロム原料を溶融還元しな
    がら含クロム溶銑を出銑し製造するに当り、順調な製造
    状況下における羽口先端部内の適正な温度範囲内に目標
    温度範囲を設定し、上段羽口及び下段羽口の両方又は一
    方の先端部内の温度を測定し、該測定値を前記目標温度
    範囲と対比して上限を外れたときは粉粒状のクロム原料
    の供給量を増量し、下限を外れたときは粉粒状のクロム
    原料の供給量を減量することを特徴とする含クロム溶銑
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 羽口先端部内の温度の測定値からその移
    動平均値又は加重移動平均値を演算し、この移動平均値
    又は加重移動平均値を目標温度範囲と対比する請求項1
    に記載の含クロム溶銑の製造方法。
  3. 【請求項3】 上部に鉄源,炭材及び造滓材から主とし
    て成る原料を装入するための原料装入口(7)を有し、下
    部にクロム酸化物を含有する粉粒状のクロム原料(9)を
    高温空気又は高温酸素富化空気と共に炉内に吹き込んで
    供給するための上段羽口(4)と高温空気又は高温富化空
    気を吹き込むための下段羽口(5)とを有し、該上段羽口
    (4)に粉粒状クロム原料供給槽(8)が連設された竪型炉
    (6)を主要部として成る含クロム溶銑製造装置におい
    て、該上段羽口(4)及び該下段羽口(5)の両方又は一方
    の先端部内の温度を測定する羽口先端部内温度測定装置
    (14)と、前記粉粒状クロム原料供給槽(8)の出口に設
    置されたクロム原料供給装置(21)と、該クロム原料供
    給装置(21)に付設されたクロム原料供給量調節装置
    (20)及びクロム原料供給量測定装置(17)と、前記羽
    口先端部内温度測定装置(14)からの温度信号(16)及
    びクロム原料供給量測定装置(17)からのクロム原料供
    給量信号(18)を受けて羽口先端部内の温度を所定の適
    正温度範囲内に維持するための粉粒状のクロム原料(9)
    の供給量を計算してクロム原料供給量変更信号(19)を
    クロム原料供給量調節装置(20)へ発信するクロム原料
    供給量制御装置(15)とが、設置されていることを特徴
    とする含クロム溶銑製造装置。
  4. 【請求項4】 クロム原料供給量制御装置(15)が、羽
    口先端部内温度測定装置(14)から受信した温度信号
    (16)の処理について移動平均値又は加重移動平均値に
    演算するものである請求項4に記載の含クロム溶銑製造
    装置。
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