JPH11220125A - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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JPH11220125A
JPH11220125A JP2220998A JP2220998A JPH11220125A JP H11220125 A JPH11220125 A JP H11220125A JP 2220998 A JP2220998 A JP 2220998A JP 2220998 A JP2220998 A JP 2220998A JP H11220125 A JPH11220125 A JP H11220125A
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groove
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insulating
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Tetsuya Hayashi
林  哲也
Yoshinori Murakami
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Abstract

(57)【要約】 【課題】素子の耐圧を維持しつつ、電流増幅率の高い半
暮体装置を提供する。 【解決手段】内部に固定電位絶縁電極6を有する第一の
溝とソース領域3とに接しない第二の溝を有し、第二の
溝の内部にMOS型電極14と第二の絶縁膜15からな
る可変電位絶縁電極16を有し、かつ第二の溝は第一の
溝の端部近傍に配置される。第二の絶縁膜に接してソー
ス領域には接しないゲート領域8を有し、前記第二のM
OS型電極はこのゲート領域に接続されている構成。遮
断状態では、第二の溝が第一の溝端部近傍にあるため、
ドレイン電位が上昇しても第一の溝端部に電界が集中し
アバランシェ降伏条件に達することはない。導通状態で
はソース領域から流れ出た多数キャリアの一部はゲート
電流の一部となるが、ゲート領域が浅くて小さければ、
ゲート領域で消滅する多数キャリアの割合は少なく、一
定の主電流を流すために必要なゲート電流値は低く抑え
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バイポーラ型でノ
ーマリ・オフ型の縦型パワー素子に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明の背景となる従来技術として本出
願人が以前に出願した特開平6−252408号公報を
引用する。図8〜図11は前記公報から引用した半導体
装置の構造図である。なお、図中番号および部位の名称
などは説明のため適宜変更して記載する。図8は基本構
造を示す斜視図、図9は図8の前面と同じ部分を示す断
面図、図10は図8の上面と同じ部分を示す表面図、図
11は図8の側面と同じ断面図である。また、図10の
表面図中の線分A−Aに沿って紙面に垂直に切った断面
図が図9に相当し、同じく線分B−Bに沿って切った断
面図が図11に相当する。なお、図10および図11は
ともに図8に示した基本構造の4単位分を示している。
【0003】上記の図中、番号51はn+型の基板領
域、52はn型のドレイン領域、53はn+型のソース
領域、54はMOS型電極、55は絶縁膜である。MO
S型電極54は高濃度のp+型ポリシリコンよりなる。
61はドレイン電極で、基板領域51とオーミックコン
タクトしている。また、図9、図11に示した63はソ
ース電極で、ソース領域53およびMOS型電極54と
オーミックコンタクトしている。すなわち、MOS型電
極54はソース電位に固定されている。よって、このM
OS型電極54と絶縁膜55を合わせて「固定電位絶縁
電極」56と呼ぶ。この固定電位絶縁電極の断面構造は
図9に示すように例えば「U」の字のように側壁がほぼ
垂直な溝の中に形成されている。
【0004】さらに図9において、ドレイン領域52中
の固定電位絶縁電極56の間に挟まれた部分をチャネル
領域57と呼ぶ。また、チャネル領域内で対向する2つ
の固定電位絶縁電極間の距離を「チャネル厚みH」と呼
び、ソース領域3から固定電位絶縁電極6の底部までの
距離を「チャネル長L」と呼ぶことにする。このチャネ
ル長Lはチャネル厚みHの2乃至3倍以上と設定してあ
る。この条件により、チャネル領域7の遮断状態はアバ
ランシェ降伏条件まで保たれる。
【0005】さらに、図8ならびに図11に示すよう
に、絶縁膜55に接してソース領域53とは離れたとこ
ろに、p型のゲート領域58が存在する。図11中、6
8はこのゲート領域58とオーミックコンタクトする電
極で「ゲート電極」と呼ぶ。なお、60は層間絶縁膜で
ある。また、図11中の「破線」は図8との関係から分
かるように紙面の奥行き方向にある固定電位絶縁電極5
6の存在を示したものである。また、図10中の59は
ゲート電極68がゲート領域58とオーミックコンタク
トするゲートコンタクトホールである。
【0006】上記の半導体装置は、ゲート電流値によっ
てドレイン電流が制御される電流制御型の半導体装置で
あり、ゲート電極が接地されているとき遮断状態にな
る、いわゆるノーマリ・オフ型の素子である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】電流制御型の半導体装
置の特性を示す一つ指標として、「ドレイン電流値/ゲ
ート電流値」の比、所謂「電流増幅率」がある。制御の
簡便さからすると電流増幅率は大きいほうが、すなわ
ち、同じドレイン電流値を流すために必要なゲート電流
値は小さいほうが望ましい。ゲート電流の成分は、
(1)p型のゲート領域58からn型領域へ注入された
正孔電流と、(2)n+型のソース領域53からp型の
ゲート領域58へ飛び込む電子電流とからなる。さら
に、前者(1)は、(1a)高水準注入状態のドレイン
領域52の中で対消滅する成分と、(1b)n+型のソ
ース領域53に飛び込んで消滅する成分に分類できる。
電流増幅率を向上させるためには、これら3種類の成分
を抑制する必要がある。
【0008】この半導体装置をスイッチングデバイスと
して扱うことを考えると、前記(1a)の成分は、ドレ
イン電流密度が数十A/cm2以上の高電流モードにお
いては、支配的ではない。そして前記(1b)の成分を
抑制するためには、n+型のソース領域53のサイズを
小さくすればよい。これは比較的簡単に実現可能であ
り、図11などでもソース領域53を小さく形成した図
を示している。
【0009】前記(2)の成分を抑制するためには、p
型のゲート領域58のサイズを小さくすればよいが、こ
れには限界があった。すなわち、図8〜図11に示した
従来例では、上述した遮断状態を実現すべく「チャネル
厚みH」に相当する固定電位絶縁電極56同士の間隔
は、素子特性を向上させるため、フォト装置で実現可能
な最小パターンサイズで形成することになる。そのた
め、ソース電極63と同電位の固定電位絶縁電極56同
士の間隙に、ゲート領域58とゲート電極68とを接続
するゲートコンタクトホール59を形成することはでき
ない。そこで、図10などに示すようにゲートコンタク
トホール59を形成する領域の部分だけ固定電位絶縁電
極56を途切れさせなければならず、固定電位絶縁電極
56に端部が生じる。このゲートコンタクトホール59
を前記と同様に必要最小限のサイズとしても、コンタク
トホール59と固定電位絶縁電極56との距離を上記の
最小単位は空けなければならない。したがって対面する
固定電位絶縁電極56の端部同士は図11の中央部に示
すように、比較的離れてしまう。そのため、これだけの
構造では遮断状態におけるドレイン電界がこの固定電位
絶縁電極56の端部に集中し、素子耐圧が劣化してしま
うという問題がある。
【0010】これを防ぐためには、素子の遮断状態にお
いてドレイン電圧が上昇してドレイン領域52内に強い
電界が発生しても、固定電位絶縁電極56の端部に電界
がかからない程度に深く濃いゲート領域58を形成し
て、固定電位絶縁電極56の端部を覆うようにする必要
があった。しかし、そうすることによりゲート領域58
は横方向にも広がってしまい、ゲート領域58が大きく
なってしまう。したがってゲート領域58のサイズを小
さくして、前記(2)のゲート電流の成分、すなわち導
通状態においてゲート領域58に飛び込む電子電流を抑
制するには限界がある、という問題があった。
【0011】本発明は上記のような問題点に着目し、素
子の耐圧を維持しつつ、電流増幅率の高い半導体装置を
提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明においては特許請求項の範囲に記載するよう
な構成をとる。すなわち、請求項1に記載の発明におい
ては、ドレイン領域である一導電型(たとえばn型)の
半導体基体の一主面に接して同一導電型(ここではn
型)のソース領域を有し、前記主面に接して前記ソース
領域を挟み込むように配置された第一の溝を一個または
複数個有する。前記ソース領域を挟み込むためには一般
には2つの溝が必要だが、コの字型の一個の溝で挟んで
もよい。また、前記第一の溝の内部には第一の絶縁膜に
よって前記ドレイン領域と絶縁され、かつ、前記ソース
領域と同電位に保たれた第一の絶縁電極(例えば後記図
1の固定電位絶縁電極56に相当)を有し、この第一の
絶縁電極は前記第一の絶縁膜を介して隣接する前記ドレ
イン領域に空乏領域を形成するような仕事関数の導電性
材料(たとえばp型ポリシリコン)から成る。そして、
前記ソース領域に接する前記ドレイン領域の一部であっ
て、前記第一の絶縁電極によって挟み込まれたチャネル
領域を有し、前記チャネル領域には前記第一の絶縁電極
の周囲に形成された前記空乏領域によって多数キャリア
(ここでは伝導電子)の移動を阻止するポテンシャル障
壁が形成されている。さらに、遮断状態における前記ド
レイン領域側からの電界が前記ソース領域近傍に影響を
及ぼさないように、前記チャネル領域にあって前記第一
の溝の底部から前記ソース領域までの距離すなわちチャ
ネル長は、前記チャネル領域にあって対面する前記第一
の溝の側壁同士の距離すなわちチャネル厚みの、少なく
とも2乃至3倍以上となっている。
【0013】さらに、前記主面に臨んで、前記第一の溝
ならびに前記ソース領域に接しない第二の溝を有し、前
記第二の溝の内部には、第二の絶縁膜によって前記ドレ
イン領域と絶縁された第二の絶縁電極(例えば後記図1
の可変電位絶縁電極16に相当)を有する。さらに、前
記遮断状態において、前記第一の溝の端部に前記ドレイ
ン領域からの電界が集中するのを緩和すべく、前記第二
の溝は前記第一の溝の端部の近傍に配置されている。
【0014】さらに、前記主面に臨んで、前記第一の絶
縁電極を取り囲む前記第一の絶縁膜の界面に少数キャリ
ア(ここでは正孔)を導入して反転層を形成し、前記第
一の絶縁電極から前記ドレイン領域への電界を遮蔽して
前記チャネル領域に形成された前記ポテンシャル障壁を
減少もしくは消滅させてチャネルを開くべく、前記第二
の絶縁膜に接して、前記ソース領域には接しない、反対
導電型(たとえばp型)のゲート領域を有し、このゲー
ト領域は前記第二の絶縁電極と接続されている構成とす
る。なお、上記の構成は、例えば後記、図1〜図7に示
す実施の形態に対応する。
【0015】このような構成による作用について説明す
る。前記ゲート領域が前記ソース領域と同電位に保たれ
状態、すなわち素子が遮断状態にあるとき、前記第二の
溝が前記第一の溝の端部の近傍に形成されているため、
ドレイン電位が上昇しても、前記第一の溝の前記端部に
電界が集中してアバランシェ降伏条件に達することはな
い。また、素子が導通状態にあるとき、前記同一導電型
(ここではn型)の前記ドレイン領域には、反対導電型
(ここではp型)の前記ゲート領域から少数キャリア
(ここでは正孔)が注入されて高水準注入状態になって
おり、多数キャリア(ここでは伝導電子)も随所に多数
存在する。その多数キャリア(ここでは伝導電子)の一
部は前記反対導電型(ここではp型)の前記ゲート領域
に飛び込んでゲート電流の一部を構成するが、前記ゲー
ト領域が浅くて横方向の広がりも小さく形成されていれ
ば、前記ゲート領域に飛び込んで消滅する多数キャリア
(ここでは伝導電子)の割合は比較的小さく、一定の主
電流を流すために必要なゲート電流値は低く抑えられ
る。
【0016】また、請求項2に記載の発明においては、
前記第一の絶縁電極と前記第二の絶縁電極とは、その長
さ方向に一直線状に並んでおらず相互にずれた位置に配
列されている。なお、この構成は、例えば後記図5の実
施の形態に相当する。
【0017】また、請求項3に記載の発明においては、
平行に配列された複数の第一の絶縁電極同士および平行
に配列された複数の第二の絶縁電極同士は、その端部の
位置が相互にずれた位置になるように配置されている。
なお、この構成は、例えば後記図6の実施の形態に相当
する。この場合には図6に示すように、第一の絶縁電極
同士の間に第二の絶縁電極の端部が入り込むこともあり
得る。
【0018】また、請求項4に記載の発明においては、
前記ゲート領域が前記第二の絶縁電極の第二の絶縁膜に
接していないものである。なお、この構成は、例えば後
記図7の実施の形態に相当する。
【0019】
【発明の効果】本発明においては、ゲート領域のサイズ
を小さくすることができるため、電流増幅率が向上す
る。さらに、セルサイズも縮小されるため、電流増幅率
がさらに向上し、ターンオフ時間も短縮される、という
効果が得られる。また、請求項2〜請求項4に記載の発
明においては、上記の効果に加えて、設計の自由度が向
上し、さらにセルサイズを縮小することができる。その
ためセル密度が向上し、電流増幅率が向上するとともに
ターンオフ時間もさらに短縮される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態よって
詳細に説明する。 (第一の実施の形態)図1〜図4は、本発明の第一の実
施の形態を示す図である。これは前記請求項1に相当す
る。図1は素子の基本構造を示す斜視図、図2は図1の
前面と同じ部分を示す断面図、図3は図1の上面と同じ
部分を示す表面図、図4は図1の側面と同じ断面図であ
る。図3の表面図中の線分A−Aに沿って紙面に垂直に
切った断面図が図2であり、同じく線分B−Bに沿って
切った断面図が図4である。なお図3と図4は、ともに
図1に示した基本構造の4単位分を示している。また、
上記図1と図3においては、説明のため表面の電極であ
る金属膜ならびに表面保護膜を除去した様子を描いてい
る。なお、この実施の形態では半導体をシリコンとして
説明する。
【0021】初めに素子構造を説明する。まず図1〜図
4中において、番号1はn+型の基板領域、2はn型の
ドレイン領域、3はn+型のソース領域、4は第一のM
OS型電極、5は第一の絶縁膜である。第一のMOS型
電極4は高濃度のp+型ポリシリコンよりなる。11は
ドレイン電極で、基板領域1とオーミックコンタクトし
ている。13はソース電極で、ソース領域3とさらに第
一のMOS型電極4とオーミックコンタクトしている。
すなわち、第一のMOS型電極4はソース電位に固定さ
れている。よって、この第一のMOS型電極4と第一の
絶縁膜5を合わせて「固定電位絶縁電極」6(請求の範
囲における第一の絶縁電極に相当)と呼ぶ。この固定電
位絶縁電極6の断面構造は図2に示すように例えば
「U」の字のように側壁がほぼ垂直な溝の中に形成され
ている。また図中、ソース領域3は第一の絶縁膜5に接
しているように描いているが、ソース領域3が固定電位
絶縁電極6に挟み込まれるように配置されていれば接し
ていなくてもよい。さらに図2において固定電位絶縁電
極6相互間に挟まれたドレイン領域2をチャネル領域7
と呼ぶ。ここまでは前記の従来例と同様の構成である。
【0022】さらに本実施の形態では、図1ならびに図
4に示すように、第一の絶縁膜5に接してソース領域3
から離れたところに、浅く形成されたp型のゲート領域
8が存在する。図4中、18はこのゲート領域8とオー
ミックコンタクトする電極で「ゲート電極」と呼ぶ。
【0023】そして、図1ならびに図3に示すように、
ゲート領域8と接してソース領域3とは接しないように
第二のMOS型電極14と、それをドレイン領域2と絶
縁するための第二の絶縁膜15によって形成さた可変電
位絶縁電極16(請求の範囲における第二の絶縁電極に
相当)を有する。この可変電位絶縁電極16の断面構造
は前記固定電位絶縁電極6同様、「U」の字のように側
壁がほぼ垂直な溝の中に形成されている。第二のMOS
型電極14は、図3に示すように、ゲート領域8と共通
のゲートコンタクトホール9を通じて、ゲート電極18
とオーミックコンタクトしている。また、第二のMOS
型電極14は第一のMOS型電極4と同じ導電性材料、
すなわち例えば高濃度のp+型ポリシリコンでもよい。
また、第二の絶縁膜も第一の絶縁膜と同じものでもよ
い。
【0024】なお、10は層間絶縁膜である。また、図
4中の「破線」は図1との関係から分かるように、紙面
の奥行き方向にある固定電位絶縁電極6および可変電位
絶縁電極16の存在を示したものである。また、図1並
びに図4には、固定電位絶縁電極6並びに可変電位絶縁
電極16の端部が直角になるように描かれているが、端
部の形状は多角形状でも曲面形状でも構わない。
【0025】次に、動作を説明する。この素子は、例え
ばソース電極13を接地(0V)し、ドレイン電極11
には負荷を介してしかるべき正の電位を印加して使用す
る。 (遮断状態)まず、ゲート電極18が接地されていると
き、素子は遮断状態にある。図2を用いて説明すると、
固定電位絶縁電極6の周囲には第一のMOS型電極4の
ビルトイン電位に伴う空乏層が形成されているが、チャ
ネル領域7内で対向する2つの固定電位絶縁電極6間の
距離(以下、これを「チャネル厚みH」と呼ぶことにす
る)が充分狭ければ、チャネル領域7にはこの空乏領域
によって伝導電子に対する充分なポテンシャル障壁が形
成される。例えば絶縁膜5の厚さを100nm以下、チ
ャネル領域7の不純物濃度を1×1014cm~3以下、前
記「チャネル厚みH」を2μm以下に設定すれば、ソー
ス領域3の伝導電子がチャネル領域7を通ってドレイン
領域2側へ移動することを阻む充分なポテンシャル障壁
を形成することができる。
【0026】また、ドレイン領域2からの電界の影響に
よってポテンシャル障壁が低下することのないように、
ソース領域3から固定電位絶縁電極6の底部までの距離
(以下、これを「チャネル長L」と呼ぶことにする)
は、チャネル厚みHの2〜3倍以上に設定されている。
【0027】本実施の形態を縦型トランジスタチップに
具現化した場合、チップの外周には電界集中を緩和すべ
くガードリングなどの耐圧構造を配することになるが、
その耐圧構造でアバランシェ降伏が起こるドレイン電圧
が素子耐圧になる。上記の条件より、チャネル領域7の
遮断状態はこの素子耐圧まで保持されるように設計する
ことができる。
【0028】また、例えば図4において、固定電位絶縁
電極6の端部は遮断状態においてドレイン領域2からの
電界にさらされているが、この実施の形態では、固定電
位絶縁電極6の端部の電界集中を緩和すべく、ごく近傍
に可変電位絶縁電極16を配して固定電位絶縁電極6の
端部でアバランシェ降伏が起きないようにしている。例
えば、隣接した固定電位絶縁電極6並びに可変電位絶縁
電極16の端部同士の距離がチャネル厚みH程度の距離
以下になるように配置すれば、固定電位絶縁電極6並び
に可変電位絶縁電極16の端部が素子耐圧までアバラン
シェ降伏条件に達しないことが実験によって明らかにな
っている。
【0029】(導通状態)次に導通状態であるが、ゲー
ト電極18の電位すなわちp型ゲート領域8の電位とし
て、例えば+0.5Vを印加すると、正孔は上記とは逆
にp型ゲート領域8から、これが接している第一の絶縁
膜5の界面へと流れ込んで反転層を形成し、ポテンシャ
ル障壁を作っている第一のMOS型電極4からチャネル
領域7への電気力線を遮蔽し、チャネル領域7中の伝導
電子に対するポテンシャル障壁を低下させる。すなわ
ち、これによってドレイン領域2とソース領域3は導通
状態となる。さらに、ゲート電極18の電位を上げてい
くと、p型ゲート領域8と周辺のn型領域からなるpn
接合が順バイアスされ、正孔は直接ドレイン領域2なら
びにチャネル領域7へと注入される。すると、素子耐圧
を保つために不純物濃度を薄く、高抵抗に作られていた
これらn型の領域は伝導度が高められ、電流は低い抵抗
で流れるようになる。
【0030】このように、本実施の形態の半導体装置は
ゲート電流値によってドレイン電流値が制御される電流
制御型の半導体装置である。電流制御型の半導体装置の
特性を示すの一つ指標として、所謂「電流増幅率」があ
り、ここでは「ドレイン電流値/ゲート電流値」の比で
示される。制御の簡便さからすると電流増幅率は大きい
ほうが望ましい。すなわち、同じドレイン電流値を流す
ために必要なゲート電流値は小さいほうが望ましい。ゲ
ート電流の成分は、(1)p型のゲート領域8からn型
領域へ注入された正孔電流と、(2)n+型のソース領
域3からp型のゲート領域8へ飛び込む電子電流とから
なる。さらに、前記(1)は、(1a)高水準注入状態
のドレイン領域2の中で対消滅する成分と、(1b)n
+型のソース領域3に飛び込んで消滅する成分に分類で
きる。電流増幅率を向上するためには、これら3種類の
成分を抑制する必要がある。
【0031】この半導体装置をスイッチングデバイスと
して扱うことを考えると、前記(1a)の成分は、ドレ
イン電流密度が数十A/cm2以上の高電流モードにお
いては、支配的ではない。また、前記(1b)の成分を
抑制するためには、n+型のソース領域3のサイズを小
さくすればよい。これは従来技術においてでも比較的簡
単に実現可能であり、図4などでもソース領域3を小さ
く形成した図を示している。
【0032】前記(2)の成分を抑制するためには、p
型のゲート領域8のサイズを小さくすればよい。前記従
来例ではゲート領域8を小さくできなかったが、本実施
の形態では可変電位絶縁電極16の存在により、ゲート
領域8が深く大きい必要がなくなり、実現可能な限り浅
く小さく形成できる。このことから、前記(2)の成分
は低減され、電流増幅率は向上する。また、ゲート領域
8を浅く形成することで、横方向の広がりも抑えられて
いることから、ゲート領域8が小さく形成できる分、セ
ルサイズも縮小することができる。すなわち、図1〜4
の構造を敷きつめたトランジスタチップにおいて、一定
面積に一定電流を流した場合、単位セル当たりのソース
領域3に流れる電流密度が低減され、結果的に電流増幅
率が向上する。
【0033】(ターンオフ)次に、ターンオフについて
説明する。導通状態にある素子をターンオフさせるため
に、本実施の形態の図1ではゲート電極18の電位を0
もしくは負電位に転じる。すると、ドレイン領域2やチ
ャネル領域7にあった過剰な正孔はp型ゲート領域8へ
と流れ込み始め、やがてチャネル領域7内の過剰な正孔
は全てなくなり、電子に対するポテンシャル障壁が復活
する。このとき、本実施の形態では、ゲート領域8を浅
く形成することで横方向の広がりも抑えられていること
から、セルサイズも縮小することができ、ソース領域3
からゲート領域8までの距離が短くなることから、素子
に溜まっていた過剰な正孔を全て素子外に排出するまで
の時間、すなわちターンオフ時間を短縮することができ
る。
【0034】(第二の実施の形態)図5は第二の実施の
形態を示す図である。これは前記図3に対応する素子の
表面図であり、図中番号の同じものは同じ要素を示す。
図5に示すように、固定電位絶縁電極6と可変電位絶縁
電極16はその長さ方向に一直線状に並んでおらず相互
にずれた位置に配列されている。このような構成でも第
一の実施の形態と同様の効果をもたらす。前記図3の構
成では、固定電位絶縁電極6と可変電位絶縁電極16が
対向する部分には、製造上チャネル厚みHより広い領域
ができてしまうが、図5の配置にすれば、この空き領域
が小さくできるため、固定電位絶縁電極6並びに可変電
位絶縁電極16の端部の電界を緩和する効果が高い。
【0035】(第三の実施の形態)図6は第三の実施の
形態を示す図である。これも、前記図3に対応する素子
の表面図であり、図中番号の同じものは同じ要素を示
す。図6に示すように、平行に配列された各可変電位絶
縁電極16同士と平行に配列された各固定電位絶縁電極
6同士は、その端部の位置が相互にずれた位置(一つ置
きに端部の位置がずれている)になるように配置されて
いる。このような場合でも第一の実施の形態と同様の効
果が得られる。この場合には図6に示すように、各固定
電位絶縁電極6同士の間に可変電位絶縁電極16の端部
が入り込むこともあり得る。
【0036】(第四の実施の形態)図7は第四の実施の
形態を示す図である。これも、前記図3に対応する素子
の表面図であり、図中番号の同じものは同じ要素を示
す。第四の実施の形態では、第一の実施の形態に対し
て、ゲート領域8が固定電位絶縁電極6と接していない
構造となっている。このような構造としても、遮断状態
における正孔の移動経路が遮断されることはなく、ゲー
ト領域8と固定電位絶縁電極6との間での正孔のやり取
りは行なうことができる。これは、固定電位絶縁電極6
と可変電位絶縁電極16の距離がチャネル厚みH程度以
下と狭いので、一部の絶縁膜界面で正孔が増加し界面ポ
テンシャルが低下すると、そこに溜まっていた正孔は容
易に対向する絶縁膜界面へと移動できるからである。す
なわち、ゲート領域8とソース領域3間の正孔の移動に
関する抵抗に違いはあるものの、ゲート領域8は第一の
絶縁膜5の界面に接していても接していなくても基本動
作に影響しない。しかし、このような配置とすることに
より、セルサイズを前記第一の実施の形態以上に縮小す
ることができる。このことから、セル密度が向上するた
め、単位セルのソース領域3に流れる電流密度を低減す
ることができ、さらに電流増幅率が向上する。また、セ
ルサイズの縮小により、ターンオフ時間もさらに短縮さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態の斜視図。
【図2】本発明の第一の実施の形態の断面図。
【図3】本発明の第一の実施の形態における表面構造を
示す断面図。
【図4】本発明の第一の実施の形態の他の角度から見た
断面図。
【図5】本発明の第二の実施の形態の表面図。
【図6】本発明の第三の実施の形態の表面図。
【図7】本発明の第四の実施の形態の表面図。
【図8】従来例の斜視図。
【図9】従来例の断面図。
【図10】従来例における表面構造を示す断面図。
【図11】従来例の他の角度から見た断面図。
【符号の説明】
1…基板領域 2…ドレイン領域 3…ソース領域 4…第一のMOS
型電極 5…第一の絶縁膜 6…固定電位絶縁
電極 7…チャネル領域 8…ゲート領域 9…ゲートコンタクトホール 10…層間絶縁膜 11…ドレイン電極 13…ソース電極 14…第二のMOS型電極 15…第二の絶縁
膜 16…可変電位絶縁電極 18…ゲート電極 51…基板領域 52…ドレイン領
域 53…ソース領域 54…MOS型電
極 55…絶縁膜 56…固定電位絶
縁電極 57…チャネル領域 58…ゲート領域 59…ゲートコンタクトホール 60…層間絶縁膜 61…ドレイン電極 63…ソース電極 68…ゲート電極 H…チャネル厚み L…チャネル長

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ドレイン領域である一導電型の半導体基体
    の一主面に接して同一導電型のソース領域を有し、前記
    主面に接して前記ソース領域を挟み込むように配置され
    た第一の溝を一個または複数個有し、 前記第一の溝の内部には第一の絶縁膜によって前記ドレ
    イン領域と絶縁され、かつ、前記ソース領域と同電位に
    保たれた第一の絶縁電極を有し、 前記第一の絶縁電極は、前記第一の絶縁膜を介して隣接
    する前記ドレイン領域に空乏領域を形成するような仕事
    関数の導電性材料から成り、 前記ソース領域に接する前記ドレイン領域の一部であっ
    て、前記第一の絶縁電極によって挟み込まれたチャネル
    領域を有し、 前記チャネル領域には前記第一の絶縁電極の周囲に形成
    された前記空乏領域によって多数キャリアの移動を阻止
    するポテンシャル障壁が形成されていて、遮断状態にお
    ける前記ドレイン領域側からの電界が前記ソース領域近
    傍に影響を及ぼさないように、前記チャネル領域にあっ
    て前記第一の溝の底部から前記ソース領域までの距離す
    なわちチャネル長は、前記チャネル領域にあって対面す
    る前記第一の溝の側壁同士の距離すなわちチャネル厚み
    の少なくとも2乃至3倍以上となっており、 さらに、前記主面に臨んで、前記第一の溝ならびに前記
    ソース領域に接しない第二の溝を有し、 前記第二の溝の内部には、第二の絶縁膜によって前記ド
    レイン領域と絶縁された第二の絶縁電極を有し、 前記遮断状態において、前記第一の溝の端部に前記ドレ
    イン領域からの電界が集中するのを緩和すべく、前記第
    二の溝は前記第一の溝の端部の近傍にあり、さらに、前
    記主面に臨んで、前記第一の絶縁電極を取り囲む前記第
    一の絶縁膜の界面に少数キャリアを導入して反転層を形
    成し、前記第一の絶縁電極から前記ドレイン領域への電
    界を遮蔽して前記チャネル領域に形成された前記ポテン
    シャル障壁を減少もしくは消滅させてチャネルを開くべ
    く、前記第二の絶縁膜に接して、前記ソース領域には接
    しない、反対導電型のゲート領域を有し、 かつ、前記ゲート領域は前記第二の絶縁電極と接続され
    ている、ことを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】前記第一の絶縁電極と前記第二の絶縁電極
    とは、その長さ方向に一直線状に並んでおらず相互にず
    れた位置に配列されている、ことを特徴とする請求項1
    に記載の半導体装置。
  3. 【請求項3】平行に配列された複数の第一の絶縁電極同
    士および平行に配列された複数の第二の絶縁電極同士
    は、その端部の位置が相互にずれた位置になるように配
    置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の半導
    体装置。
  4. 【請求項4】前記ゲート領域は、前記第二の絶縁電極の
    第二の絶縁膜に接していない、ことを特徴とする請求項
    1に記載の半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004207289A (ja) * 2002-12-24 2004-07-22 Toyota Motor Corp 埋設ゲート型半導体装置
JP2005166796A (ja) * 2003-12-01 2005-06-23 Sanyo Electric Co Ltd 半導体装置

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