JPH1121889A - 杭圧入引抜作業機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 油圧式杭圧入引抜機とクレーンを利用した杭
圧入引抜作業では、クレーンが大型で取回し性が悪く、
狭い工事現場などでは能率的な施工が行なえない。 【解決手段】 杭圧入引抜機４２を、左右一対のクロー
ラ３８を備えたパワーショベル２１の基台４０前端に配
設した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はパワーショベルを基
本構成にしたまったく新しい杭圧入引抜作業機に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】無騒音で鋼矢杭を連続的に土中に圧入す
る機械として、自走式静荷重型杭圧入引抜機が知られて
いる。この杭圧入引抜機は、図５のように、圧入済鋼矢
杭２の上端部を着脱自在に把持する複数の開閉自在な爪
４ａからなる反力クランプ４を下部に有するサドル６
と、サドル６上で前後方向にスライド可能なスライド台
８と、スライド台８上にあって水平方向に旋回可能な旋
回台１０と、旋回台１０上にあって傾動可能な傾動台１
２と、傾動台１２にシリンダ１４によって昇降自在に配
設されたマスト１６と、マスト１６に配設され鋼矢杭２
の両面を把持する爪１８ａを有する杭チャック１８とを
有する。

【０００３】この杭圧入引抜機は、最初の３〜４本の杭
（初期杭）２を圧入するときのみ地面に置かれた反力台
（図示せず。）に浮き上がらないように支持され、この
状態で杭チャック１８で把持した杭２をシリンダ１４の
力で地面に圧入していく。そして、例えば３本の初期杭
２を圧入完了した段階で杭圧入引抜機を反力台から初期
杭２上端にクレーンで移動させ、反力クランプによって
初期杭２上端部を両側から把持する。このように初期杭
２の上端部に杭圧入引抜機を載せた状態で新たに２本の
杭２を圧入し、最先端の杭２の上端部を杭チャック１８
で把持し、反力クランプ４を開いてサドル６を杭１本分
だけ前進させた後、反力クランプ４で杭を把持し直し、
再び最先端の杭２に隣接させて新たな杭２を圧入する。
以後、杭２を１本圧入する毎にサドル６を杭１本分だけ
前進させ、これを繰返すことにより杭２を連続的に隣接
圧入していく。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の杭圧入引抜機
は、クレーンを使用して杭圧入引抜機を反力台から初期
杭の上端に移し替えると共に、同じクレーンを使用して
杭チャックに杭を供給しているが、クレーンは大型で狭
い工事現場では取回しが困難であり、かつ、クレーンの
操作員とは別に杭圧入引抜機の操作員が必要であった。

【０００５】本発明の目的は、杭圧入引抜機をクレーン
よりも小型で取回し性に優れたパワーショベルに搭載す
ることにより、狭い工事現場でも能率的な杭圧入引抜施
工が行なえるようにすることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
本発明の杭圧入引抜作業機は、地面に圧入済の鋼矢杭の
上端部を着脱自在に把持する複数の開閉自在な爪からな
る反力クランプを下部に有するサドルと、前記サドル上
で前後方向にスライド可能なスライド台と、前記スライ
ド台上にあって水平方向に旋回可能な旋回台と、前記旋
回台上にあって傾動可能な傾動台と、前記傾動台にシリ
ンダによって昇降自在に配設されたマストと、前記マス
トに配設され鋼矢杭の両面を把持する爪を有する杭チャ
ックとを有する油圧式鋼矢杭圧入引抜機を、左右一対の
クローラを備えたパワーショベルの前記クローラ間の基
台に配設したことを特徴とする。

【０００７】このように杭圧入引抜機をパワーショベル
に搭載することにより、パワーショベル自体を反力台の
一部として利用した初期杭の圧入が可能になると共に、
杭圧入引抜機の反力クランプを初期杭の位置まで移動さ
せるのにパワーショベルすなわち作業機の自走で対応す
ることが可能である。また、杭圧入引抜機とパワーショ
ベルが常に一体を成して杭圧入作業を行なうから、杭の
圧入施工区域に沿って杭を仮置きしておけば、これをパ
ワーショベルで吊り上げて杭圧入引抜機に次々と供給で
きる。従って、従来の杭圧入引抜作業のようなクレーン
の使用は不要となると共に、狭い工事現場でも能率的な
杭圧入引抜施工を行なえる。

【０００８】本発明の杭圧入引抜作業機は、圧入済杭の
上端に載って作業を行なうが、この際、左右一対のクロ
ーラを内側方向に回動自在にしてクローラで杭の両側面
を把持すれば、杭圧入引抜作業機の左右方向の安定性が
格段に高まる。この安定性は特に大重量の杭を吊り上げ
て杭圧入引抜機に供給するときに有益である。

【０００９】従来の杭圧入引抜機は専用のパワーユニッ
トを必要としていたが、本発明の杭圧入引抜作業機にあ
ってはパワーショベルに元々搭載された油圧ポンプから
杭圧入引抜機に油圧を供給可能であるから、専用パワー
ユニットを不要にできる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施形態を図１
〜図３に基づいて説明する。図１で２０はパワーショベ
ル２１を基本構成とした杭圧入引抜作業機（以下、単に
作業機という。）である。この作業機２０は、旋回自在
な本体部２１ａに支持され第１シリンダ２２によって上
下動可能な第１ブーム２４と、第１ブーム２４の先端に
支持され第２シリンダ２６によって上下動可能な第２ブ
ーム２８と、第２ブーム２８の先端に支持され第３シリ
ンダ３０によって上下動可能なアーム３２と、アーム３
２の先端に支持され第４シリンダ３４によって上下動可
能な小アーム３６とを有する。

【００１１】また、作業機２０の左右一対のクローラ３
８間の基台４０には、図５の従来の杭圧入引抜機と同様
構成の杭圧入引抜機４２が搭載されている。詳しくは、
杭圧入引抜機４２のサドル６の左右両側および後部を、
頑丈な連結部材４４を介して基台４０の前端部に固定し
ている。この杭圧入引抜機４２の詳しい位置は、図２の
ように基台４０前端部の左右幅方向の中央部である。一
方、パワーショベルの第１ブーム２４および第２ブーム
２８は基台４０に対して左右方向に偏って配設されてお
り、第１ブーム２４および第２ブーム２８を前方へ延ば
した状態でも杭圧入引抜機４２と干渉しないようになっ
ている。

【００１２】このような作業機２０を使用した杭圧入作
業は次のように行われる。まず、工事現場の初期杭圧入
位置に作業機２０を移動させる。作業機２０自体の重量
は通常は杭圧入引抜機４２の圧入力に遥かに及ばないの
で、作業機２０の左右両側に反力を補うための補助反力
台を構築する。この補助反力台の構築にはこれから圧入
する予定の杭を重石として使用可能であり、補助反力台
のための杭の移動は作業機２０で行なう。なお、作業機
２０のアーム３２先端のフック４６に重量物を吊下げ、
かつ、ブーム２４，２８とアーム３２をできるだけほぼ
水平方向前方に長く直線状に延ばすことにより、杭圧入
引抜機４２を下向きに押える力をてこの原理で増大させ
ることができ、その分だけ補助反力台を小型化できる。

【００１３】左右一対の補助反力台の構築を完了する
と、作業機２０の基台４０またはクローラ３８の上を左
右方向に横断するように頑丈な押えビームを渡し、この
押えビームの両端を両補助反力台にボルトなどで連結す
る。これで杭圧入引抜機４２の反力受構造が完成し、後
は従来と同様に３〜４本の初期杭を圧入する。このとき
の圧入作業では作業機２０のフック４６で杭２を吊り上
げ杭圧入引抜機４２に供給する。

【００１４】初期杭２の圧入を完了すると補助反力台を
解体撤去し、作業機２０を反力クランプ４を開いた状態
で少し前進させ、反力クランプ４の間に初期杭２を位置
させる。この状態で反力クランプ４を閉じ、初期杭２を
反力に取って新たな杭２の圧入を開始する。新たな杭２
を１本または２本圧入すると、その先頭杭２を杭チャッ
クで把持し、反力クランプ４を開き、シリンダ１４によ
りマスト１６を相対的に下降させる。これにより杭圧入
引抜機４２の本体側すなわち作業機２０が地面に対して
上昇し、クローラ３８が地面から浮く。これで作業機２
０全体が初期杭２の上端部に載ったことになり、その後
は従来と同様に杭圧入引抜機４２を操作して杭２を１本
ずつ圧入していく。なお、杭２の並びが直角に曲がるよ
うな個所で作業機２０のクローラ３８が既に圧入した杭
２に当るのを防止するためには、杭圧入引抜機４２を基
台４０に対してパワーシリンダなどで昇降自在に取付け
ておき、杭２の並びが直角に曲がる個所の手前で杭圧入
引抜機４２を相対的に下げ、クローラ３８の下端を杭２
の上端よりも上に位置させるとよい。

【００１５】このようにして杭２を次々と圧入していく
のであるが、作業機２０は杭２を１本圧入する毎に杭１
本分だけ前進するので、作業機２０のフック４６が杭圧
入引抜機４２にとって常に利用可能な範囲内にあり、杭
２の吊り上げ移動ないし杭チャック１８への供給を迅速
に行なうことができる。

【００１６】以上本発明の一実施形態について説明した
が、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の
変形が可能である。例えば図３のように左右のクローラ
３８を支軸４８を中心として内側に回動可能に構成し
て、杭２の両側面をクローラ３８で把持することができ
る。これにより、杭２上の作業機２０の左右方向の安定
性が格段に高まり、大きな重量の杭２でも安定的に吊り
上げ可能となる。また、図４のように第１ブーム２４の
先端側を間隔を空けた左右一対のブーム２４ａ，２４ｂ
で構成して、これらブーム２４ａ，２４ｂ間の矩形窓５
０に杭圧入引抜機４２の上端部を入れられるようにして
もよい。これにより作業機２０の中心線に沿って第１お
よび第２ブーム２４，２８と杭圧入引抜機４２を配置す
ることが可能となり、作業機２０の左右方向重量バラン
スを良好なものにできる。なお、図４のその他の部分は
図１と同様構成なので、対応部分に同一符号を付してそ
の説明を省略する。さらに、作業機２０を地面上で断続
的に自走させながら走行を停止する度に杭２を圧入して
いくことも勿論可能である。この際、初期杭２圧入後は
打設済の杭２を反力クランプ４で把持して圧入反力を支
持する。

【００１７】

【発明の効果】本発明は前述した如く、パワーショベル
と杭圧入引抜機とを合体させた作業機であるから、杭圧
入引抜機の操作と杭圧入引抜機への杭の供給を１人の作
業者で行なえ、しかも作業機のフックは常に杭圧入引抜
機の上方位置に到達可能な範囲内に位置しているので、
杭の圧入施工区域に沿って予め杭を仮置きしておけば、
クレーンを使用することなく作業機のフックで仮置きの
杭を迅速に吊り上げて杭チャックに供給することができ
て杭の圧入作業の能率を向上させることができる。

【００１８】また、パワーショベルの基台を反力台の一
部として利用することができ、これにより杭圧入引抜機
を初期杭圧入のために反力台へ搭載移動する必要がなく
なり、また杭圧入引抜機を初期杭上端へ移動させること
もクレーンを用いることなく作業機の自走により対応可
能であり、杭の圧入作業の能率をさらに向上させること
ができる。

【００１９】また、本発明は杭上端に載せた作業機で杭
を吊り上げるが、クローラを内側に回動させて杭の両側
面をクローラで把持すれば、杭上の作業機の左右方向の
安定性が格段に高まり、大きな重量の杭でも安定的に吊
り上げ可能である。

【００２０】また本発明は、パワーショベルに元々備わ
っている油圧ポンプによって杭圧入引抜機に油圧を供給
することができるので、従来のように杭圧入引抜機専用
のパワーユニットを装備する必要がなく、設備コストを
低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る杭圧入引抜作業機の
側面図。

【図２】杭圧入引抜作業機の正面図。

【図３】変形実施形態に係る杭圧入引抜作業機の正面
図。

【図４】杭圧入引抜作業機のブームの変形例の斜視図。

【図５】従来の杭圧入引抜機の側面図。

【符号の説明】

２ 打設済鋼矢杭 ４ 反力クランプ ６ サドル ８ スライド台 １０ 旋回台 １２ 傾動台 １４ シリンダ １６ マスト １８ 杭チャック ２０ 杭圧入引抜作業機 ２２ 第１シリンダ ２４ 第１ブーム ２６ 第２シリンダ ２８ 第２ブーム ３０ 第３シリンダ ３２ アーム ３４ 第４シリンダ ３６ 小アーム ３８ クローラ ４０ 基台 ４２ 杭圧入引抜機 ４４ 連結部材 ４６ フック ４８ 支軸 ５０ 矩形窓

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 地面に圧入済の鋼矢杭の上端部を着脱自
   在に把持する複数の開閉自在な爪からなる反力クランプ
   を下部に有するサドルと、前記サドル上で前後方向にス
   ライド可能なスライド台と、前記スライド台上にあって
   水平方向に旋回可能な旋回台と、前記旋回台上にあって
   傾動可能な傾動台と、前記傾動台にシリンダによって昇
   降自在に配設されたマストと、前記マストに配設され鋼
   矢杭の両面を把持する爪を有する杭チャックとを有する
   油圧式鋼矢杭圧入引抜機を、左右一対のクローラを備え
   たパワーショベルの前記クローラ間の基台に配設したこ
   とを特徴とする杭圧入引抜作業機。
2. 【請求項２】 左右一対のクローラを、地面に圧入済の
   鋼矢杭の両側面を把持可能に内側方向に回動自在に配設
   したことを特徴とする請求項１記載の杭圧入引抜作業
   機。
3. 【請求項３】 パワーショベルに搭載された油圧ポンプ
   から鋼矢杭圧入引抜機に油圧を供給するようにしたこと
   を特徴とする請求項１または２に記載の杭圧入引抜作業
   機。