JPH11218321A - 灰処理用電気抵抗溶融炉の下部電極構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融スラグから還元される溶融金属の生成
を極力少なくして、金属酸化物のままスラグと一緒にス
ラグ排出口から排出させるための下部電極構造の提供。 【解決手段】ゴミ処理施設で発生した焼却灰、集塵灰等
の灰の溶融処理に使用される上部電極１４と下部電極１
５とを備えた灰処理用電気抵抗溶融炉の下部電極構造に
おいて、下部電極１５の少なくとも溶融物と接触する領
域を横断面方向で内側を導電性材料１５ａとし、外側を
還元作用のない非還元性材料１５ｂとする。外側を非導
電性で且つ還元作用のない非還元性材料とすることもで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ゴミ処理施設で発
生した焼却灰、集塵灰等の灰の溶融処理に使用される灰
処理用電気抵抗溶融炉の下部電極構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】都市ごみ等の廃棄物は、焼却施設で焼却
処分され、発生した焼却灰や飛灰を主体とする灰は溶融
処理し、無害化処理した後、埋め立て等の最終処分が行
われている。溶融炉としては、アーク炉、電気抵抗炉、
プラズマ炉等の灰処理用電気溶融炉が使用されている。

【０００３】図３は焼却灰処理用の電気抵抗溶融炉の一
例を示す概略図である。

【０００４】炉壁１は、炉体内筒鉄皮２と炉体外筒鉄皮
３で構成され、両鉄皮間に冷却水を冷却水入口４から供
給し、排水口５から排出して水冷する水冷ジャケット式
の水冷鉄皮構造で形成されている。炉壁１には溶融した
スラグを排出するスラグ排出口６を設ける。

【０００５】炉壁１の上部にはフード７が形成され、フ
ード７には炉内で発生した排ガスを排出する排ガス吸出
口８を設け、フード７の上部には灰を炉内に供給する灰
供給口９を設ける。

【０００６】炉壁１の下部には、鉄皮１０で成形耐火物
１１を囲った炉底部１２を設け、成形耐火物１１は、例
えば、９６％アルミナからなるキャスタブルで形成す
る。

【０００７】炉内には、フード７の天井を貫通して上部
電極１４が昇降自在に設けられ、炉底部１２には下部電
極１５が設けられている。それぞれの電極１４，１５は
絶縁材１６により炉体から絶縁されている。

【０００８】前記の構成において、灰供給口９から炉内
に灰が投入され、投入された灰は、電気抵抗加熱により
溶融された溶融スラグ上に浮遊しながら溶融スラグから
熱を受けてスラグ成分は溶融し、スラグ、溶融塩類が形
成され、水冷した炉壁１には溶融物が接触してセルフラ
イニング層１７が形成され、塩類等低沸点物質は蒸気に
なって揮散し、また、未燃ＣはＣＯガスとなって排ガス
吸出口８から排出される。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】電気抵抗式灰溶融炉の
電極には、モリブデン電極、カーボン電極が使われてい
るが、この中でも価格の安いカーボン電極が最も多く使
われている。このカーボン電極を使うと、溶融スラグ中
に含まれる酸化鉄等の金属酸化物が高温のカーボン電極
の露出部全周と先端に接して、カーボンにより還元され
て鉄等の金属分となり、金属分は比重が大きいため炉底
部に堆積する。この結果、炉底部に堆積したメタルを排
出するために、金属排出口、これを開口するための開口
装置等種々の設備が必要となり、設備を複雑、かつ、高
価にするとともに操業も難しくなるという問題がある。

【００１０】本発明は、溶融スラグから還元される溶融
金属の生成を極力少なくして、金属酸化物のままスラグ
と一緒にスラグ排出口から排出させるための下部電極構
造を提供する。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、ゴミ処理施設
で発生した焼却灰、集塵灰等の灰の溶融処理に使用され
る上部電極と下部電極とを備えた灰処理用電気抵抗溶融
炉の下部電極構造において、下部電極の少なくとも溶融
物と接触する領域を横断面方向で内側を導電性材料と
し、外側を還元作用のない非還元性材料としたことを特
徴とする。外側を非導電性で且つ還元作用のない非還元
性材料とすることもできる。内側はカーボンを使用する
ことが望ましい。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明のように下部電極の外側を
還元作用のない非還元性材料にした二層構造とすること
により、溶融スラグ中の金属酸化物は、下部電極の先端
部とだけしか接触しないので、還元条件が弱くなり、金
属の生成比率が軽減されることになる。

【００１３】

【実施例】実施例１ 図１は本発明の電気抵抗溶融炉の下部電極の一実施例を
示す縦断面図で、下部電極構造を除いて図３に示す電気
抵抗溶融炉と同一の構造であり、同一の部分には同一符
号を付し、その説明は省略する。

【００１４】図１において、下部電極１５は、少なくと
も溶融物と接触する領域を横断面方向で内側が導電性材
料１５ａ、外側が還元作用のない非還元性材料１５ｂか
らなる二層構造としたものである。内側の導電性材料１
５ａは、通常の電気抵抗溶融炉の下部電極に使用されて
いるカーボン電極とし、外側は還元作用のない非還元性
材料１５ｂとして、モリブデンを使用する。

【００１５】また、外側には、非導電性で且つ還元作用
のない非還元性材料１５ｂとして、高アルミナ質耐火材
（例えば、月光化成（株）製 ＣＲＩＳＴＡＲＡＭ）を
用いることができる。

【００１６】内側を導電性材料、外側を還元作用のない
非還元性材料あるいは非導電性で且つ還元作用のない非
還元性材料の二層構造とすることにより、溶融スラグ中
の金属酸化物は、下部電極の先端部とだけ接触するた
め、還元条件が弱くなり、金属の生成比率を軽減するこ
とができる。

【００１７】実施例２ 図２は、本発明の電気抵抗溶融炉の下部電極の各種実施
例を示す縦断面図である。

【００１８】外側の非還元性材料は、前記実施例のよう
に、溶融物と接触する領域のみでなく、図２（ａ）に示
すように、下部電極全体に設けてもよい。

【００１９】また、図２（ｂ）に示すように、下部電極
の外側の還元作用のない非還元性材料は、少なくとも溶
融物と接触する領域を外側のスリーブが非導電性で且つ
還元作用のない非還元性材料を用いる場合に、下部電極
を炉体から絶縁するための絶縁材と一体に設けることが
できる。

【００２０】

【発明の効果】下部電極による還元作用が軽減されるた
め、酸化金属への還元比率が少なくなる。この結果、ス
ラグと酸化金属を溶融物排出口から同時に排出すること
が可能となり、炉底に堆積する金属専用の排出口が不要
となり、また、排出口の開閉装置等が不要となり設備費
低減、操業の簡素化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電気抵抗溶融炉の例を示す縦断面図で
ある。

【図２】本発明の電気抵抗溶融炉の下部電極の一別実施
例を示す縦断面図である。

【図３】焼却灰処理用の電気抵抗溶融炉の一例を示す概
略図である。

【符号の説明】

１：炉壁 ２：炉体内筒鉄皮 ３：炉体外筒鉄皮 ４：冷却水供給口 ５：排水口 ６：スラグ排出口 ７：フード ８：排ガス吸出口 ９：灰供給口 １０：鉄皮 １１：成形耐火物 １２：炉底部 １４：上部電極 １５：下部電極 １５ａ：内側の導電性材料 １５ｂ：外側の非還元性材料 １６：絶縁材 １７：セルフライニング層

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ゴミ処理施設で発生した焼却灰、集塵灰
   等の灰の溶融処理に使用される上部電極と下部電極とを
   備えた灰処理用電気抵抗溶融炉の下部電極構造におい
   て、下部電極の少なくとも溶融物と接触する領域を横断
   面方向で内側を導電性材料とし、外側を還元作用のない
   非還元性材料としたことを特徴とする灰処理用電気抵抗
   溶融炉の下部電極構造。
2. 【請求項２】 外側を非導電性で且つ還元作用のない非
   還元性材料としたことを特徴とする請求項１記載の灰処
   理用電気抵抗溶融炉の下部電極構造。
3. 【請求項３】 内側をカーボンとしたことを特徴とする
   請求項１又は２記載の下部電極部構造。