JPH11218138A - 車輪用軸受ユニット - Google Patents

車輪用軸受ユニット

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JPH11218138A
JPH11218138A JP10330496A JP33049698A JPH11218138A JP H11218138 A JPH11218138 A JP H11218138A JP 10330496 A JP10330496 A JP 10330496A JP 33049698 A JP33049698 A JP 33049698A JP H11218138 A JPH11218138 A JP H11218138A
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JP
Japan
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outer ring
hardened layer
outer diameter
intermediate portion
bearing unit
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Application number
JP10330496A
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English (en)
Inventor
Takami Machino
隆美 町野
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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Pending legal-status Critical Current

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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2326/00Articles relating to transporting
    • F16C2326/01Parts of vehicles in general
    • F16C2326/02Wheel hubs or castors

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  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 外輪5に過大なモーメント荷重や衝撃荷重が
加わった場合でも、この外輪5の一部が塑性変形したり
割れたりする事を防止する。 【解決手段】 外輪5と内輪ユニット18と転動体3、
3とにより、複列のアンギュラ型転がり軸受ユニットを
構成する。外輪5の内周面に形成した内方軌道10、1
0部分だけでなく、これら両内方軌道10、10の間に
存在する外径側中間部分15にも、硬化層12を形成す
る。この外径側中間部分15部分の硬化層12の外径
を、上記各内方軌道10、10部分の硬化層12の外径
よりも小さくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係る車輪用軸受ユ
ニットは、自動車のキングピンやアクスル軸に車輪を回
転自在に支持する為の、車輪用転がり軸受ユニットの改
良に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の非駆動輪(FF車に於ける後
輪、FR車に於ける前輪)は、キングピンやアクスル軸
に対し回転自在に装着している。図4は、この様な部分
に組み込んで車輪を支持する軸受ユニットの1例とし
て、実開昭61−159202号公報等に記載された構
造を示している。
【0003】この軸受ユニットは、1対の保持器1、2
と、これら1対の保持器1、2に保持された複数の転動
体(玉)3、3と、これら各転動体3、3の内周部分を
当接させる1対の内輪4、4と、同じく転動体3、3の
外周部分を当接させる外輪5とから構成している。これ
ら1対の内輪4、4の外周面には、それぞれ断面円弧状
の外方軌道6、6を形成している。そして、これら各外
方軌道6、6と一端縁との間を、上記保持器1、2に保
持された複数の転動体3、3の内周部分が通過不能な厚
肉部7、7としている。一方、外方軌道6、6と他端縁
との間を、上記転動体3、3の内周部分が通過可能な薄
肉部8、8としている。
【0004】又、車輪を装着する為の外輪5は、その内
周面中間部を、上記保持器1、2に保持された複数の転
動体3、3の外周部分が通過不能な、小径の外径側中間
部分9としている。そして、この外径側中間部分9の両
側を、上記1対の保持器1、2に保持された複数の転動
体3、3の外周部分を当接させる為の、断面円弧状の内
方軌道10、10としている。尚、外輪5の外周面には
取付フランジ11を形成して、外輪5に車輪(ホイー
ル)を装着固定自在としている。自動車のキングピン或
はアクスル軸は、上記1対の内輪4、4内に挿入固定す
る。そして、上記複数の転動体3、3の転動に基づく外
輪5の回転により、車輪を上記キングピン或はアクスル
軸に対して回転自在に支持する。
【0005】尚、上記外輪5は炭素鋼製の素材に鍛造加
工を施す等により一体に造るが、この外輪5の内周面に
形成した内方軌道10、10の表面には、高周波焼き入
れにより硬化層12、12を形成する。そして、この硬
化層12、12により、転動体3、3が内方軌道10、
10に強く押し付けられても、この内方軌道10、10
に凹み等の変形が生じない様にしている。又、上記外輪
5の端部内周面に存在する嵌合部16には、シール部材
13を内嵌固定している。このシール部材13は、外輪
5の内周面と内輪4の外周面との間に存在する空間14
の開口端部を塞ぎ、この空間14内に雨水や塵芥が進入
する事を防止する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の様に
構成され作用する従来の車輪用軸受ユニットに於いて
は、次に述べる様な不都合を生じる。即ち、従来の車輪
用軸受ユニットを構成する外輪5の内周面で1対の内方
軌道10、10の間に位置する外径側中間部分9には、
硬化層12を設けず、この外径側中間部分9を生の状態
のままとしている。一方、外輪5に固定された車輪が道
路の縁石に乗り上げる等によりこの外輪5に過大なモー
メント荷重が加わった場合に、玉3、3が硬化層12か
ら外れ、上記生の状態のままの外径側中間部分9に乗り
上げる可能性がある。そして、玉3、3が外径側中間部
分9に乗り上げた場合には、この外径側中間部分9に塑
性変形が生じる可能性がある。内方軌道10、10から
外れた外径側中間部分9にしろ、上述の様な塑性変形が
生じると、車輪用軸受ユニットの軸受性能劣化の原因と
なる可能性がある為、好ましくない。
【0007】又、上述の様に玉3、3が外径側中間部分
9にまで乗り上げない場合でも、上記外輪5に加わった
過大なモーメント荷重により、上記1対の内方軌道1
0、10同士の間に、圧縮方向に亙る大きなスラスト荷
重が加わる場合がある。或は、上記過大なモーメント荷
重が加わらない通常時でも、上記各玉3、3から上記各
内方軌道10、10に加わる荷重によりこれら1対の内
方軌道10、10の間に、圧縮方向に亙るスラスト荷重
が加わる。従来の様に上記外径側中間部分9が生の状態
のままであると、上記圧縮方向に亙るスラスト荷重によ
り、この外径側中間部分9が圧縮方向に塑性変形し、上
記外輪5の形状が歪む可能性がある。この様に外輪5が
歪むと、車輪用軸受ユニットの回転精度が悪くなり、振
動が発生したり、或は耐久性が悪化する原因になる。
【0008】これに対して実願昭57−71467号
(実開昭58−173502号)のマイクロフィルムに
は、外輪の内周面に形成した1対の内方軌道部分だけで
なく、これら1対の内方軌道の間に存在する外径側中間
部分にまでも硬化層を形成する発明が記載されている。
但し、このマイクロフィルムに記載された発明の場合に
は、上記外径側中間部分に形成する硬化層の外径を、上
記1対の内方軌道部分に形成する硬化層の外径よりも大
きくしている。
【0009】ところが、上記外輪内周面に形成した1対
の内方軌道の間に存在する外径側中間部分に存在する硬
化層の厚さ寸法が大きくなると、上記外輪の靱性を確保
する事が難しくなる。即ち、鋼を焼き入れする事により
得られる硬化層は、大きな荷重や衝撃荷重によっても変
形しにくい代わりに、衝撃荷重を受けた場合に割れ易く
なる。上記マイクロフィルムに記載された発明の様に、
上記外径側中間部分に存在する硬化層が厚くなると、上
記外輪の靱性を確保する事が難しくなり、衝撃荷重に基
づく外輪の割れ防止を図る事が難しい。特に、車輪用軸
受ユニットの軽量化を図るべく、外輪の肉厚を薄くした
場合に、この様な割れが、より発生し易くなる。この
為、上記マイクロフィルムに記載された発明の場合に
は、車輪用軸受ユニットの信頼性確保が難しくなる。本
発明の車輪用軸受ユニットは、この様な事情に鑑みて発
明したものである。
【0010】
【課題を解決する為の手段】本発明の車輪用軸受ユニッ
トは、外輪と、内輪ユニットと、複数個の転動体とから
成る。このうちの外輪は、炭素鋼により一体に造られ、
内周面に複列の内方軌道を、外周面に取付フランジを、
それぞれ形成している。又、これら両内方軌道同士の間
の内径をこれら両内方軌道よりも軸方向両端寄り部分の
内径よりも小さくして、上記両内方軌道を軸方向両端側
に向けた状態としている。更に、これら両内方軌道の表
面及び隣り合う内方軌道の間に存在する中間部分の全幅
に亙って硬化層を形成すると共に、この中間部分に形成
した硬化層の外径を、上記複列の内方軌道部分に形成し
た硬化層の外径よりも小さくしている。又、上記内輪ユ
ニットは、それぞれが軸方向中央側に開いて上記内方軌
道と対向する、複列の外方軌道を外周面に形成してい
る。更に、上記複数個の転動体は、上記各内方軌道と各
外方軌道との間にそれぞれ複数ずつ設けている。
【0011】
【作用】上述の様に構成する本発明の車輪用軸受ユニッ
トの軸受作用は、前述した従来の車輪用軸受ユニットの
場合と同様である。即ち、内輪ユニットの内側に挿入固
定された自動車のキングピン或はアクスル軸と、外輪の
外側に固定された車輪とは、複数の転動体の転動に基づ
いて回転自在となる。
【0012】特に、本発明の車輪用軸受ユニットに於い
ては、外輪に形成した硬化層を、複列の内方軌道部分か
ら隣り合う内方軌道の間に位置する中間部分の全幅に亙
り設けている為、外輪に過大なモーメント荷重が加わっ
た場合でも、上記中間部分に塑性変形が生じ難くなる。
従って、外輪の変形を防止して、車輪用軸受ユニットの
回転精度を確保し、振動が発生したり、或は耐久性が悪
化する事を防止できる。
【0013】又、上記中間部分に形成した硬化層の外径
を、上記複列の内方軌道部分に形成した硬化層の外径よ
りも小さくしている為、外輪の靭性を確保し、この外輪
に衝撃荷重が加わった場合にも、この外輪が割れる事を
防止して、この外輪を組み込んだ車輪用軸受ユニットの
信頼性向上を図れる。
【0014】更に、上記複列の内方軌道を軸方向両端側
に、複列の外方軌道を軸方向中央側に、それぞれ向けて
いる為、各転動体の接触角の延長線が、外輪の外径側で
交差する。この為、スラスト方向の荷重に対する車輪用
軸受ユニットの剛性を高くし、しかも、上記各転動体か
ら外輪に加わる荷重に拘らず、この外輪の変形及び破損
の防止を有効に図れる。即ち、本発明の車輪用軸受ユニ
ットの使用時に上記各転動体から外輪には、接触角の方
向である外輪の中間部分に荷重が加わる。これに対して
本発明の車輪用軸受ユニットの場合には、この中間部分
の厚さを大きくして、この中間部分の強度(塑性変形し
にくさ)と靱性とを高次元で両立させているので、上記
した外輪の変形及び破損の防止の作用が、より優れたも
のになる。同時に、車輪を支持固定する為、上記外輪の
外周面に形成した取付フランジの基端部の衝撃強度(衝
撃荷重に対する強度)も高くなる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態の第
1例を示す断面図である。1対の保持器1、2にはそれ
ぞれ複数個ずつの転動体3、3を、転動自在に保持して
いる。これら各転動体3、3の内周部分は、1対の内輪
4、4を組み合わせて成る内輪ユニット18の外周面に
形成した外方軌道6、6に、同じく外周部分は外輪5の
内周面に形成した複列の内方軌道10、10に、それぞ
れ当接させている。又、外輪5の外周面には取付フラン
ジ11を形成して、外輪5に車輪(ホイール)を装着固
定自在としている。
【0016】上記外輪5は、炭素鋼を鍛造で成形する事
により、一体に造っている。この外輪5の内周面には、
上述の様に複数の転動体3、3の外周部分を当接させる
為、上記複列の内方軌道10、10を形成している。そ
して、これら各内方軌道10、10の表面に硬化層12
を形成している。上記外輪5の内径は、上記複列の内方
軌道10、10の間に位置する、請求項に記載した中間
部分に相当する外径側中間部分15で、これら各内方軌
道10、10の内径よりも小さくしている。即ち、これ
ら各内方軌道10、10は、上記外輪5の両端面側が開
口した形状としている。又、1対の内輪4、4を組み合
わせて成る、上記内輪ユニット18の外径は、複列の外
方軌道6、6の間に位置する内径側中間部分19でこれ
ら各外方軌道6、6の外径よりも小さい。即ち、上記各
内輪4、4の外周面に形成したこれら各外方軌道6、6
は、これら各内輪4、4の突き合わせ面側が開放した形
状としている。従って、図1に鎖線α、αで表した、上
記複列の内方軌道10、10と外方軌道6、6とに対す
る上記各転動体3、3の接触角の延長線は、上記外輪5
の外径側で交差する。言い換えれば、上記複列の内方軌
道10、10と複列の外方軌道6、6と複数個の転動体
3、3とで構成する軸受ユニットを、背面組み合わせ型
(DB型)の複列アンギュラ型の転がり軸受ユニットと
している。
【0017】又、外輪5の端部内周面に設けた嵌合部1
6にはシール部材13を内嵌固定して、外輪5の内周面
と内輪4の外周面との間に存在する空間14の開口端部
を塞ぎ、この空間14内に雨水や塵芥が進入する事の防
止を図っている。尚、上記嵌合部16に隣接する内方軌
道10の表面に形成した硬化層12も、この嵌合部16
に迄は達していない。従って、この嵌合部の表面硬度は
あまり高くなく、上記シール部材13を内嵌固定すべ
く、この嵌合部16の内径寸法を正確に仕上げる為の機
械加工に要する時間を短くできる。
【0018】更に、本発明の場合には、高周波焼き入れ
により上記硬化層12を、上記複列の内方軌道10、1
0部分から、両内方軌道10、10の間に存在する外径
側中間部分15の全幅に亙って形成している。尚、複列
の内方軌道10、10と外径側中間部分15とに連続し
て形成した硬化層12のうち、上記外径側中間部分15
の硬化層12の外径は、上記各内方軌道10、10の表
面に形成した硬化層12の外径よりも小さい。従って、
上記外径側中間部分15の内周面部分に形成した硬化層
12の周囲に存在する、生の部分等を含む、硬化層12
以外の部分の厚さ寸法を十分に確保できる。又、上記硬
化層12のうち、上記各内方軌道10、10の周囲に存
在する部分の外径側端部も、上記外輪5の外周面にまで
は達していない。
【0019】上述の様に、上記外径側中間部分15に存
在する、高周波焼き入れにより形成する硬化層12の外
径を小さく抑え、この硬化層12の厚さを抑える事によ
り、上記外輪5の靱性を確保している。即ち、炭素鋼に
高周波焼き入れを施す事により形成した硬化層12は、
硬度が高く変形しにくくなる反面、靱性が乏しくなって
割れ易くなる。そこで、上記外径側中間部分15の内周
面部分に硬化層12を形成して、この内周面部分の硬度
を高くする一方、この硬化層12の厚さを抑える事によ
り、外輪5の靱性を確保している。車輪用軸受ユニット
の使用時には、車輪が縁石に乗り上げる等した際に外輪
5に、取付フランジ11側から大きな衝撃荷重が加わる
場合がある。この様な衝撃荷重により前記外輪5が割れ
るのを防止する為に、上記靱性の確保は重要である。
【0020】上述の様な本発明の車輪用軸受ユニットの
軸受作用は、前述した従来の車輪用軸受ユニットの場合
と同様である。即ち、内輪4、4の内側に挿入固定した
自動車のキングピン或はアクスル軸に対して、外輪5の
外周面に設けた取付フランジ11に固定した車輪は、複
数の転動体3、3の転動に基づいて回転自在となる。
【0021】特に、本発明の車輪用軸受ユニットに於い
ては、硬化層12を外輪5の内周面に形成した複列の内
方軌道10、10部分から、これら両内方軌道10、1
0の間に存在する外径側中間部分15に迄設けている。
この為、この外径側中間部分15の硬度が高く(変形し
難く)なり、外輪5に固定した車輪が道路の縁石に乗り
上げる等によって上記外輪5に過大なモーメント荷重が
加わり、上記転動体3、3が外径側中間部分15に乗り
上げた場合でも、この外径側中間部分15に塑性変形が
生じ難くなる。又、上記転動体3、3からこの外径側中
間部分15に、圧縮方向のスラスト荷重が加わった場合
にも、この外径側中間部分15が塑性変形しにくくな
る。この為、外径側中間部分15の塑性変形に基づく車
輪用軸受ユニットの性能低下を防止できる。
【0022】又、上記外径側中間部分15に形成した硬
化層12の外径を、上記複列の内方軌道10、10部分
に形成した硬化層12の外径よりも小さくしている為、
この外径側中間部分15の内径寄り部分に存在する硬化
層12の厚さを抑え、この外径側中間部分15に存在す
る硬化層12以外の部分の厚さ寸法を十分に確保でき
る。この為、上記外輪5の靱性を十分に確保して、この
外輪5に大きな衝撃荷重が加わった場合にも、この外輪
5が割れる事を防止できる。同時に、図示の例の場合に
は、上記外輪5の一部で上記各内方軌道10、10の周
囲部分の靱性も確保して、この外輪5が割れる事をより
確実に防止できる。
【0023】更に、上記各内方軌道10、10を軸方向
両端側に、前記各外方軌道6、6を軸方向中央側に、そ
れぞれ向けている為、図1に鎖線α、αで示した、上記
各転動体3、3の接触角の延長線が、上記外輪5の外径
側で交差する。この為、スラスト方向の荷重に対する車
輪用軸受ユニットの剛性を高くし、しかも、上記各転動
体3、3から上記外輪5に加わる荷重に拘らず、この外
輪5の変形及び破損の防止を有効に図れる。即ち、本発
明の車輪用軸受ユニットの使用時に上記各転動体3、3
から上記外輪5には、接触角の方向である外輪5の軸方
向中間部分に荷重が加わる。これに対して本発明の車輪
用軸受ユニットの場合には、この中間部分の厚さを大き
くして、この中間部分の強度(塑性変形しにくさ)と靱
性とを高次元で両立させているので、上記した外輪5の
変形及び破損の防止の作用が、より優れたものになる。
同時に、車輪を支持固定する為、上記外輪5の外周面に
形成した、前記取付フランジ11の基端部の衝撃強度も
高くなる。
【0024】次に、図2〜3は、本発明の実施の形態の
第2例を示している。本例の場合、硬化層12を外輪5
内周面の内方軌道10、10部分から外径側中間部分1
5に迄延長させるだけでなく、シール部材13が嵌合す
る嵌合部16に迄延長させて設ける事により、内方軌道
10と嵌合部16との表面硬度を同じとしている。この
様に、内方軌道10と嵌合部16との表面硬度を同じに
する事により、上記内方軌道10の表面と嵌合部16の
表面とを単一の成形砥石により同時に仕上げても、この
成形砥石の一部で、上記嵌合部16に対向する部分が目
詰まりし難くできる。そして、上記成形砥石の寿命を長
くできる。
【0025】この場合に於いて、嵌合部16に迄延長し
た硬化層12は、図3に示す様に、外輪5の端部内周縁
に形成した面取り部17で終わらせる事が好ましい。こ
の理由は、この硬化層12を外輪5の端面5aに露出さ
せず、この硬化層12が未硬化部分(生の部分)から剥
離し難くする為である。その他の構成及び作用に就いて
は、前述した第1例の場合と同様である為、重複する説
明を省略する。
【0026】
【発明の効果】本発明の車輪用軸受ユニットは、以上に
述べた通り構成される為、車輪を介して外輪に過大なモ
ーメント荷重が加わった場合に於いても、この外輪の一
部に塑性変形を生じ難くできる。しかも、この様な塑性
変形を防止しつつ、上記外輪の靱性を確保できる為、外
輪及びこの外輪を組み込んだ車輪用軸受ユニットの塑性
変形を防止し、且つ衝撃荷重により外輪が割れる事を防
止して、信頼性を向上させる事ができる。これらによ
り、車輪用軸受ユニットの軽量化と信頼性の確保とを両
立させる事も可能になる。本発明の場合には、これらの
効果を、車輪用軸受ユニットの剛性を確保しつつ、高次
元で得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車輪用軸受ユニットの実施の形態の第
1例を示す断面図。
【図2】同第2例を示す断面図。
【図3】図2のA部拡大図。
【図4】従来の車輪用軸受ユニットの1例を示す断面
図。
【符号の説明】
1、2 保持器 3 転動体 4 内輪 5 外輪 5a 端面 6 外方軌道 7 厚肉部 8 薄肉部 9 外径側中間部分 10 内方軌道 11 取付フランジ 12 硬化層 13 シール部材 14 空間 15 外径側中間部分 16 嵌合部 17 面取り部 18 内輪ユニット 19 内径側中間部分
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年12月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 車輪用軸受ユニット
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係る車輪用軸受ユ
ニットは、自動車のキングピンやアクスル軸に車輪を回
転自在に支持する為の、車輪用転がり軸受ユニットの改
良に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の非駆動輪(FF車に於ける後
輪、FR車に於ける前輪)は、キングピンやアクスル軸
に対し回転自在に装着している。図4は、この様な部分
に組み込んで車輪を支持する軸受ユニットの1例とし
て、実開昭61−159202号公報等に記載された構
造を示している。
【0003】この軸受ユニットは、1対の保持器1、2
と、これら1対の保持器1、2に保持された複数の転動
体(玉)3、3と、これら各転動体3、3の内周部分を
当接させる1対の内輪4、4と、同じく転動体3、3の
外周部分を当接させる外輪5とから構成している。これ
ら1対の内輪4、4の外周面には、それぞれ断面円弧状
内輪軌道6、6を形成している。そして、これら各
輪軌道6、6と一端縁との間を、上記保持器1、2に保
持された複数の転動体3、3の内周部分が通過不能な厚
肉部7、7としている。一方、内輪軌道6、6と他端縁
との間を、上記転動体3、3の内周部分が通過可能な薄
肉部8、8としている。
【0004】又、車輪を装着する為の外輪5は、その内
周面中間部を、上記保持器1、2に保持された複数の転
動体3、3の外周部分が通過不能な、小径の外径側中間
部分9としている。そして、この外径側中間部分9の両
側を、上記1対の保持器1、2に保持された複数の転動
体3、3の外周部分を当接させる為の、断面円弧状の
輪軌道10、10としている。尚、外輪5の外周面には
取付フランジ11を形成して、外輪5に車輪(ホイー
ル)を装着固定自在としている。自動車のキングピン或
はアクスル軸は、上記1対の内輪4、4内に挿入固定す
る。そして、上記複数の転動体3、3の転動に基づく外
輪5の回転により、車輪を上記キングピン或はアクスル
軸に対して回転自在に支持する。
【0005】尚、上記外輪5は炭素鋼製の素材に鍛造加
工を施す等により一体に造るが、この外輪5の内周面に
形成した外輪軌道10、10の表面には、高周波焼き入
れにより硬化層12、12を形成する。そして、この硬
化層12、12により、転動体3、3が外輪軌道10、
10に強く押し付けられても、この外輪軌道10、10
に凹み等の変形が生じない様にしている。又、上記外輪
5の端部内周面に存在する嵌合部16には、シール部材
13を内嵌固定している。このシール部材13は、外輪
5の内周面と内輪4の外周面との間に存在する空間14
の開口端部を塞ぎ、この空間14内に雨水や塵芥が進入
する事を防止する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の様に
構成され作用する従来の車輪用軸受ユニットに於いて
は、次に述べる様な不都合を生じる。即ち、従来の車輪
用軸受ユニットを構成する外輪5の内周面で1対の外輪
軌道10、10の間に位置する外径側中間部分9には、
硬化層12を設けず、この外径側中間部分9を生の状態
のままとしている。一方、外輪5に固定された車輪が道
路の縁石に乗り上げる等によりこの外輪5に過大なモー
メント荷重が加わった場合に、玉3、3が硬化層12か
ら外れ、上記生の状態のままの外径側中間部分9に乗り
上げる可能性がある。そして、玉3、3が外径側中間部
分9に乗り上げた場合には、この外径側中間部分9に塑
性変形が生じる可能性がある。外輪軌道10、10から
外れた外径側中間部分9にしろ、上述の様な塑性変形が
生じると、車輪用軸受ユニットの軸受性能劣化の原因と
なる可能性がある為、好ましくない。
【0007】又、上述の様に玉3、3が外径側中間部分
9にまで乗り上げない場合でも、上記外輪5に加わった
過大なモーメント荷重により、上記1対の外輪軌道
0、10同士の間に、圧縮方向に亙る大きなスラスト荷
重が加わる場合がある。或は、上記過大なモーメント荷
重が加わらない通常時でも、上記各玉3、3から上記各
外輪軌道10、10に加わる荷重によりこれら1対の
輪軌道10、10の間に、圧縮方向に亙るスラスト荷重
が加わる。実際には、これらモーメント荷重とスラスト
荷重(横荷重)とが同時に、複合荷重として加わる為、
上記外輪5には、複雑且つ大きな力が加わる。従来の様
に上記外径側中間部分9が生の状態のままであると、
の様な複合荷重により、この外径側中間部分9が圧縮方
に塑性変形し、上記外輪5の形状が歪む可能性があ
る。この様に外輪5が歪むと、車輪用軸受ユニットの回
転精度が悪くなり、振動が発生したり、或は耐久性が悪
化する原因になる。
【0008】これに対して実願昭57−71467号
(実開昭58−173502号)のマイクロフィルムに
は、外輪の内周面に形成した1対の外輪軌道部分だけで
なく、これら1対の外輪軌道の間に存在する外径側中間
部分にまでも硬化層を形成する発明が記載されている。
但し、このマイクロフィルムに記載された発明の場合に
は、上記外径側中間部分に形成する硬化層の外径を、上
記1対の外輪軌道部分に形成する硬化層の外径よりも大
きくしている。
【0009】ところが、上記外輪内周面に形成した1対
外輪軌道の間に存在する外径側中間部分に存在する硬
化層の厚さ寸法が大きくなると、上記外輪の靱性を確保
する事が難しくなる。即ち、鋼を焼き入れする事により
得られる硬化層は、大きな荷重や衝撃荷重によっても変
形しにくい代わりに、衝撃荷重を受けた場合に割れ易く
なる。上記マイクロフィルムに記載された発明の様に、
上記外径側中間部分に存在する硬化層が厚くなると、上
記外輪の靱性を確保する事が難しくなり、衝撃荷重に基
づく外輪の割れ防止を図る事が難しい。特に、車輪用軸
受ユニットの軽量化を図るべく、外輪の肉厚を薄くした
場合に、この様な割れが、より発生し易くなる。この
為、上記マイクロフィルムに記載された発明の場合に
は、車輪用軸受ユニットの信頼性確保が難しくなる。本
発明の車輪用軸受ユニットは、この様な事情に鑑みて発
明したものである。
【0010】
【課題を解決する為の手段】本発明の車輪用軸受ユニッ
トは、外輪と、内輪ユニットと、複数個の転動体とから
成る。このうちの外輪は、炭素鋼により一体に造られ、
内周面に複列の外輪軌道を、外周面に取付フランジを、
それぞれ有する又、これら両外輪軌道間の内径は、
これら両外輪軌道よりも外側部分の内径よりも小さくな
っている。又、これら両外輪軌道の表面及び上記複列の
外輪軌道の間中間部分の全幅に亙って硬化層形成
ると共に、この複列の外輪軌道の中間部分硬化層の
外径外輪軌道部分硬化層の外径よりも小さくなっ
ている。又、上記内輪ユニットは、それぞれが軸方向中
央側が開放した半溝形状で上記外輪軌道と対向する、複
列の内輪軌道を外周面に有する。更に、上記複数個の転
動体は、上記各外輪軌道と各内輪軌道との間に複列に
けている。
【0011】
【作用】上述の様に構成する本発明の車輪用軸受ユニッ
トの軸受作用は、前述した従来の車輪用軸受ユニットの
場合と同様である。即ち、内輪ユニットの内側に挿入固
定された自動車のキングピン或はアクスル軸と、外輪の
外側に固定された車輪とは、複数の転動体の転動に基づ
いて回転自在となる。
【0012】特に、本発明の車輪用軸受ユニットに於い
ては、外輪に形成した硬化層を、複列の外輪軌道部分か
ら隣り合う外輪軌道の間に位置する中間部分の全幅に亙
り設けている為、外輪に過大なモーメント荷重が加わっ
た場合でも、上記中間部分に塑性変形が生じ難くなる。
従って、外輪の変形を防止して、車輪用軸受ユニットの
回転精度を確保し、振動が発生したり、或は耐久性が悪
化する事を防止できる。
【0013】又、上記中間部分に形成した硬化層の外径
を、上記複列の外輪軌道部分に形成した硬化層の外径よ
りも小さくしている為、外輪の靭性を確保し、この外輪
に衝撃荷重が加わった場合にも、この外輪が割れる事を
防止して、この外輪を組み込んだ車輪用軸受ユニットの
信頼性向上を図れる。
【0014】更に、上記複列の内輪軌道を軸方向中央側
が開放した半溝形状としている為、各転動体の接触角の
延長線が、外輪の外径側で交差する。この為、スラスト
方向の荷重に対する車輪用軸受ユニットの剛性を高く
し、しかも、上記各転動体から外輪に加わる荷重に拘ら
ず、この外輪の変形及び破損の防止を有効に図れる。即
ち、本発明の車輪用軸受ユニットの使用時に上記各転動
体から外輪には、接触角の方向である外輪の中間部分に
荷重が加わる。これに対して本発明の車輪用軸受ユニッ
トの場合には、この中間部分の厚さを大きくして、この
中間部分の強度(塑性変形しにくさ)と靱性とを高次元
で両立させているので、上記した外輪の変形及び破損の
防止の作用が、より優れたものになる。同時に、車輪を
支持固定する為、上記外輪の外周面に形成した取付フラ
ンジの基端部の衝撃強度(衝撃荷重に対する強度)も高
くなる。即ち、この取付フランジに、曲げモーメントと
横荷重とが同時に(複合荷重として)、且つ衝撃的に加
わっても、上記中間部分の硬化層の外径が小さくなって
いるので、上記複合荷重に対する強度を十分に大きくし
て、上記変形及び破損を効果的に防止できる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態の第
1例を示す断面図である。1対の保持器1、2にはそれ
ぞれ複数個ずつの転動体3、3を、転動自在に保持して
いる。これら各転動体3、3の内周部分は、1対の内輪
4、4を組み合わせて成る内輪ユニット18の外周面に
形成した内輪軌道6、6に、同じく外周部分は外輪5の
内周面に形成した複列の外輪軌道10、10に、それぞ
れ当接させている。又、外輪5の外周面には取付フラン
ジ11を形成して、外輪5に車輪(ホイール)を装着固
定自在としている。
【0016】上記外輪5は、炭素鋼を鍛造で成形する事
により、一体に造っている。この外輪5の内周面には、
上述の様に複数の転動体3、3の外周部分を当接させる
為、上記複列の外輪軌道10、10を形成している。そ
して、これら各外輪軌道10、10の表面に硬化層12
を形成している。上記外輪5の内径は、上記複列の外輪
軌道10、10の間に位置する、請求項に記載した中間
部分に相当する外径側中間部分15で、これら各外輪軌
10、10の内径よりも小さくしている。即ち、これ
ら各外輪軌道10、10は、上記外輪5の両端面側が開
口した半溝形状としている。又、1対の内輪4、4を組
み合わせて成る、上記内輪ユニット18の外径は、複列
内輪軌道6、6の間に位置する内径側中間部分19で
これら各内輪軌道6、6の外径よりも小さい。即ち、上
記各内輪4、4の外周面に形成したこれら各内輪軌道
6、6は、これら各内輪4、4の突き合わせ面側が開放
した半溝形状としている。従って、図1に鎖線α、αで
表した、上記複列の外輪軌道10、10と内輪軌道6、
6とに対する上記各転動体3、3の接触角の延長線は、
上記外輪5の外径側で交差する。言い換えれば、上記複
列の外輪軌道10、10と複列の内輪軌道6、6と複数
個の転動体3、3とで構成する軸受ユニットを、背面組
み合わせ型(DB型)の複列アンギュラ型の転がり軸受
ユニットとしている。
【0017】又、外輪5の端部内周面に設けた嵌合部1
6にはシール部材13を内嵌固定して、外輪5の内周面
と内輪4の外周面との間に存在する空間14の開口端部
を塞ぎ、この空間14内に雨水や塵芥が進入する事の防
止を図っている。尚、上記嵌合部16に隣接する外輪軌
10の表面に形成した硬化層12も、この嵌合部16
に迄は達していない。従って、この嵌合部の表面硬度は
あまり高くなく、上記シール部材13を内嵌固定すべ
く、この嵌合部16の内径寸法を正確に仕上げる為の機
械加工に要する時間を短くできる。
【0018】更に、本発明の場合には、高周波焼き入れ
により上記硬化層12を、上記複列の外輪軌道10、1
0部分から、両外輪軌道10、10の間に存在する外径
側中間部分15の全幅に亙って形成している。尚、複列
外輪軌道10、10と外径側中間部分15とに連続し
て形成した硬化層12のうち、上記外径側中間部分15
の硬化層12の外径は、上記各外輪軌道10、10の表
面に形成した硬化層12の外径よりも小さい。従って、
上記外径側中間部分15の内周面部分に形成した硬化層
12の周囲に存在する、生の部分等を含む、硬化層12
以外の部分の厚さ寸法を十分に確保できる。又、上記硬
化層12のうち、上記各外輪軌道10、10の周囲に存
在する部分の外径側端部も、上記外輪5の外周面にまで
は達していない。
【0019】上述の様に、上記外径側中間部分15に存
在する、高周波焼き入れにより形成する硬化層12の外
径を小さく抑え、この硬化層12の厚さを抑える事によ
り、上記外輪5の靱性を確保している。即ち、炭素鋼に
高周波焼き入れを施す事により形成した硬化層12は、
硬度が高く変形しにくくなる反面、靱性が乏しくなって
割れ易くなる。そこで、上記外径側中間部分15の内周
面部分に硬化層12を形成して、この内周面部分の硬度
を高くする一方、この硬化層12の厚さを抑える事によ
り、外輪5の靱性を確保している。車輪用軸受ユニット
の使用時には、車輪が縁石に乗り上げる等した際に外輪
5に、取付フランジ11側から大きな衝撃荷重が加わる
場合がある。この様な衝撃荷重により前記外輪5が割れ
るのを防止する為に、上記靱性の確保は重要である。
【0020】上述の様な本発明の車輪用軸受ユニットの
軸受作用は、前述した従来の車輪用軸受ユニットの場合
と同様である。即ち、内輪4、4の内側に挿入固定した
自動車のキングピン或はアクスル軸に対して、外輪5の
外周面に設けた取付フランジ11に固定した車輪は、複
数の転動体3、3の転動に基づいて回転自在となる。
【0021】特に、本発明の車輪用軸受ユニットに於い
ては、硬化層12を外輪5の内周面に形成した複列の
輪軌道10、10部分から、これら両外輪軌道10、1
0の間に存在する外径側中間部分15に迄設けている。
この為、この外径側中間部分15の硬度が高く(変形し
難く)なり、外輪5に固定した車輪が道路の縁石に乗り
上げる等によって上記外輪5に過大なモーメント荷重が
加わり、上記転動体3、3が外径側中間部分15に乗り
上げた場合でも、この外径側中間部分15に塑性変形が
生じ難くなる。又、上記転動体3、3からこの外径側中
間部分15に、圧縮方向のスラスト荷重が加わった場合
にも、この外径側中間部分15が塑性変形しにくくな
る。この為、外径側中間部分15の塑性変形に基づく車
輪用軸受ユニットの性能低下を防止できる。
【0022】又、上記外径側中間部分15に形成した硬
化層12の外径を、上記複列の外輪軌道10、10部分
に形成した硬化層12の外径よりも小さくしている為、
この外径側中間部分15の内径寄り部分に存在する硬化
層12の厚さを抑え、この外径側中間部分15に存在す
る硬化層12以外の部分の厚さ寸法を十分に確保でき
る。この為、上記外輪5の靱性を十分に確保して、この
外輪5に大きな衝撃荷重が加わった場合にも、この外輪
5が割れる事を防止できる。同時に、図示の例の場合に
は、上記外輪5の一部で上記各外輪軌道10、10の周
囲部分の靱性も確保して、この外輪5が割れる事をより
確実に防止できる。
【0023】更に、上記各外輪軌道10、10を軸方向
両端側に、前記各内輪軌道6、6を軸方向中央側に、そ
れぞれ向けている為、図1に鎖線α、αで示した、上記
各転動体3、3の接触角の延長線が、上記外輪5の外径
側で交差する。この為、スラスト方向の荷重に対する車
輪用軸受ユニットの剛性を高くし、しかも、上記各転動
体3、3から上記外輪5に加わる荷重に拘らず、この外
輪5の変形及び破損の防止を有効に図れる。即ち、本発
明の車輪用軸受ユニットの使用時に上記各転動体3、3
から上記外輪5には、接触角の方向である外輪5の軸方
向中間部分に荷重が加わる。これに対して本発明の車輪
用軸受ユニットの場合には、この中間部分の厚さを大き
くして、この中間部分の強度(塑性変形しにくさ)と靱
性とを高次元で両立させているので、上記した外輪5の
変形及び破損の防止の作用が、より優れたものになる。
同時に、車輪を支持固定する為、上記外輪5の外周面に
形成した、前記取付フランジ11の基端部の衝撃強度も
高くなる。即ち、この取付フランジ11に、曲げモーメ
ントと横荷重とが複合荷重として同時に、且つ衝撃的に
加わっても、上記外輪5の軸方向中間部分の硬化層12
の外径が小さくなっているので、上記複合荷重に対する
強度を十分に大きくして、上記外輪5の変形及び破損を
効果的に防止できる。
【0024】次に、図2〜3は、本発明の実施の形態の
第2例を示している。本例の場合、硬化層12を外輪5
内周面の外輪軌道10、10部分から外径側中間部分1
5に迄延長させるだけでなく、シール部材13が嵌合す
る嵌合部16に迄延長させて設ける事により、外輪軌道
10と嵌合部16との表面硬度を同じとしている。この
様に、外輪軌道10と嵌合部16との表面硬度を同じに
する事により、上記外輪軌道10の表面と嵌合部16の
表面とを単一の成形砥石により同時に仕上げても、この
成形砥石の一部で、上記嵌合部16に対向する部分が目
詰まりし難くできる。そして、上記成形砥石の寿命を長
くできる。
【0025】この場合に於いて、嵌合部16に迄延長し
た硬化層12は、図3に示す様に、外輪5の端部内周縁
に形成した面取り部17で終わらせる事が好ましい。こ
の理由は、この硬化層12を外輪5の端面5aに露出さ
せず、この硬化層12が未硬化部分(生の部分)から剥
離し難くする為である。その他の構成及び作用に就いて
は、前述した第1例の場合と同様である為、重複する説
明を省略する。
【0026】
【発明の効果】本発明の車輪用軸受ユニットは、以上に
述べた通り構成される為、車輪を介して外輪に過大なモ
ーメント荷重が加わった場合に於いても、この外輪の一
部に塑性変形を生じ難くできる。しかも、この様な塑性
変形を防止しつつ、上記外輪の靱性を確保できる為、外
輪及びこの外輪を組み込んだ車輪用軸受ユニットの塑性
変形を防止し、且つ衝撃荷重により外輪が割れる事を防
止して、信頼性を向上させる事ができる。これらによ
り、車輪用軸受ユニットの軽量化と信頼性の確保とを両
立させる事も可能になる。本発明の場合には、これらの
効果を、車輪用軸受ユニットの剛性を確保しつつ、高次
元で得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車輪用軸受ユニットの実施の形態の第
1例を示す断面図。
【図2】同第2例を示す断面図。
【図3】図2のA部拡大図。
【図4】従来の車輪用軸受ユニットの1例を示す断面
図。
【符号の説明】 1、2 保持器 3 転動体 4 内輪 5 外輪 5a 端面 6 内輪軌道 7 厚肉部 8 薄肉部 9 外径側中間部分 10 外輪軌道 11 取付フランジ 12 硬化層 13 シール部材 14 空間 15 外径側中間部分 16 嵌合部 17 面取り部 18 内輪ユニット 19 内径側中間部分
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素鋼により一体に造られ、内周面に複
    列の内方軌道を、外周面に取付フランジを、それぞれ形
    成し、これら両内方軌道同士の間の内径をこれら両内方
    軌道よりも軸方向両端寄り部分の内径よりも小さくし
    て、上記両内方軌道を軸方向両端側に向けた状態とし、
    これら両内方軌道の表面及び隣り合う内方軌道の間に存
    在する中間部分の全幅に亙って硬化層を形成すると共
    に、この中間部分に形成した硬化層の外径を、上記複列
    の内方軌道部分に形成した硬化層の外径よりも小さくし
    た外輪と、それぞれが軸方向中央側に開いて上記内方軌
    道と対向する、複列の外方軌道を外周面に形成した内輪
    ユニットと、上記各内方軌道と各外方軌道との間にそれ
    ぞれ複数ずつ設けられた転動体とから成る車輪用軸受ユ
    ニット。
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