JPH11217511A - 高分子と無機化合物からなる複合体およびその製造方法 - Google Patents

高分子と無機化合物からなる複合体およびその製造方法

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JPH11217511A
JPH11217511A JP10023438A JP2343898A JPH11217511A JP H11217511 A JPH11217511 A JP H11217511A JP 10023438 A JP10023438 A JP 10023438A JP 2343898 A JP2343898 A JP 2343898A JP H11217511 A JPH11217511 A JP H11217511A
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resin
inorganic compound
polymer
composite
group
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JP10023438A
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English (en)
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Masayoshi Suzuta
昌由 鈴田
Norimasa Sekine
徳政 関根
Katsuhiko Kimura
克彦 木村
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】透明性、紫外線吸収能、高衝撃強度等の機能性
を付与した高分子と無機化合物からなる複合体およびそ
の製造法を提供することを目的とする。 【解決手段】ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂ある
いはこれらの共重合物からなる樹脂に、イオン交換基を
有するビニル単量体を付加させた高分子化合物Aに、粒
子径が5乃至400nmの範囲を満たす無機化合物Bを
分散させたことを特徴とする高分子と無機化合物からな
る複合体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子化合物と無
機化合物との複合体に係わり、更に詳しくは、ポリオレ
フィン樹脂、ポリビニル樹脂あるいはこれらの共重合物
からなる樹脂に、スルホン酸基、カルボキシル基、フェ
ノール系水酸基などのイオン交換性を有するビニル単量
体を付加させた高分子化合物に無機化合物を粒子径5乃
至400nmの範囲で分散させることにより、透明性、
紫外線吸収能、高衝撃強度等の機能性を付与することを
可能にする高分子と無機化合物からなる複合体およびそ
の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、プラスチック成形品は、食品
・飲料・トイレタリー用品・化粧品などの容器に代表さ
れる包装材料を初めとして、機械、電気、電子、光学、
建装材等の分野で広く使用されている。
【0003】これらプラスチック成形品は、使用目的に
応じて機能性を付与するために、有機系化合物、無機系
化合物等様々な添加物を加えている。例えば、ガラス繊
維、炭素繊維、シリカなどのフィラーに代表される強化
材あるいは難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防
止剤などが挙げられる。
【0004】これらの添加物のうち、有機系の添加物
は、加工時の耐熱性(熱安定性)、熱や光劣化に伴う着
色、ブリードアウト等の問題点があるため、ある目的で
添加物を加える場合、同等の効果を有する有機系と無機
化合物があるのならば、後者を用いることが好ましい。
また、無機化合物である炭酸カルシウム(CaCO3)
は、補強材としてだけでなく難燃性、耐熱性を付与する
ことが可能であり、紫外線吸収能に優れる酸化亜鉛(Z
nO)は、抗菌・防かびなどの機能を有しているなど、
プラスチック成形品に1種類の無機化合物を添加するだ
けで、複数の機能性を付与することも可能である。
【0005】このように、無機化合物を添加物として使
用することにより、様々な機能を有するプラスチック成
形品が登場している。しかしながら、無機化合物の表面
張力はプラスチックのものよりも小さいため、本来は無
機化合物とプラスチックの相互作用は低い。そのため、
プラスチックを可塑化、混練時に無機化合物微粒子を添
加すると、以下の問題が生じてくる。
【0006】まず、プラスチックを可塑化、混練時に無
機化合物微粒子を添加すると、粒子間の相互作用で2次
凝集が発生し、プラスチック中での無機化合物粒子の分
散性が低下する。2次凝集が発生することにより、可塑
化されたプラスチックの溶融粘度が急増し、成形性が悪
くなる。また、2次凝集した添加物はプラスチック中に
不均一に分散されているため、成形品の機械的強度が低
下し、補強効果がなくなる。そして、2次凝集した粒子
が分散されていることは、無機化合物の添加の効果が出
る添加量よりも多くの量を添加していることを意味し、
結果としてコストがかかってしまう。また通常、無機化
合物の粒子は数nmオーダーと可視光の波長以下である
ため、プラスチック中に均一に分散されれば、その透明
性に問題は生じないが、2次凝集が発生することによ
り、分散粒子径が数μmから数十μmオーダーに拡大
し、プラスチックの透明性を著しく低下させる。
【0007】無機化合物は、上述したように、プラスチ
ックに様々な機能性を付与するという意味で重要な添加
物である。しかしながら、本来、プラスチックとの相互
作用が低いが為に、その微分散が困難であるのも確かで
ある。そのため、このような無機化合物を微分散した、
機能性かつ透明性を有する高分子と無機化合物からなる
複合体が要望されているのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点に着目してなされたものであり、更に詳しくは、ポリ
オレフィン樹脂、ポリビニル樹脂あるいはこれらの共重
合物からなる樹脂に、スルホン酸基、カルボキシル基、
フェノール系水酸基などのイオン交換性を有するビニル
単量体を付加させた高分子化合物に無機化合物を粒子径
5乃至400nmの範囲で分散させることにより、透明
性、紫外線吸収能、高衝撃強度等の機能性を付与した高
分子と無機化合物からなる複合体およびその製造法を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を下
記の手段によって解決できる。すなわち請求項1に記載
の発明は、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂あるい
はこれらの共重合物からなる樹脂に、イオン交換基を有
するビニル単量体を付加させた高分子化合物Aに、粒子
径が5乃至400nmの範囲を満たす無機化合物Bを分
散させたことを特徴とする高分子と無機化合物からなる
複合体である。
【0010】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の高分子と無機化合物からなる複合体において、前記イ
オン交換基がスルホン酸基、カルボキシル基、フェノー
ル系水酸基の何れか1種以上から成ることを特徴とす
る。
【0011】請求項3に記載の発明は、請求項1乃至2
記載の何れかの高分子と無機化合物からなる複合体にお
いて、前記樹脂Aはイオン交換基を有するビニル単量体
を0.1乃至50wt%含有していることを特徴とす
る。
【0012】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3
記載の何れかの高分子と無機化合物からなる複合体にお
いて、前記樹脂Aに付加するイオン交換基を有するビニ
ル単量体が、脂肪族不飽和カルボン酸もしくはスルホン
酸基、カルボキシル基、水酸基を導入したスチレン誘導
体であることを特徴とする。
【0013】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4
記載の何れかの高分子と無機化合物からなる複合体にお
いて、前記無機化合物Bが、酸化亜鉛、炭酸カルシウム
の何れかであることを特徴とする。
【0014】請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5
記載の何れかの高分子と無機化合物からなる複合体にお
いて、前記無機化合物Bの添加量が、少なくとも樹脂A
を含む樹脂100重量部に対して0.05乃至10重量
部であることを特徴とする。
【0015】請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6
に記載の高分子と無機化合物からなる複合体において、
ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂あるいはこれらの
共重合物の何れか1種以上から構成される高分子化合物
C100重量部に対し、請求項1 記載の高分子と無機化
合物からなる複合体を、50重量部以下で配合したこと
を特徴とする。
【0016】請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7
記載の何れかの高分子と無機化合物からなる複合体にお
いて、前記樹脂Aおよび樹脂Cにおけるポリオレフィン
樹脂、ポリビニル樹脂あるいはこれらの共重合物は、炭
素数C2〜C8からなるオレフィン、スチレン、アクリ
ロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エ
ステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、ビニルア
ルコールの単一もしくは何れかの組み合わせで重合する
ことにより得られることを特徴とする請求項1乃至4記
載の何れかの高分子と無機化合物からなる複合体。請求
項1乃至3記載の何れかの高分子と無機化合物からなる
複合体において、前記樹脂Aおよび樹脂Cにおけるポリ
オレフィン樹脂、ポリビニル樹脂あるいはこれらの共重
合物は、炭素数C2〜C8からなるオレフィン、スチレ
ン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリ
ル酸エステル、酢酸ビニル、ビニルアルコールの単一も
しくは何れかの組み合わせで重合することにより得られ
ることを特徴とする。
【0017】請求項9に記載の発明は、前記樹脂Aに付
加したイオン交換基に無機陽イオンを配位させ、該無機
陽イオンを陰イオンを用いて析出させ、無機化合物Bを
分散させることを特徴とする高分子と無機化合物からな
る複合体の製造方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下で、本発明の一実施例の形態
について詳細に説明する。本発明の高分子と無機化合物
からなる複合体は、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹
脂、あるいはこれらの共重合物からなる高分子に、イオ
ン交換性を有するビニル単量体を付加させた樹脂Aのイ
オン交換基に陽イオンを配位させ、その後、陰イオンを
用いて無機化合物Bを析出させることにより、樹脂A中
に分散粒子径5〜400nmの範囲を満たす無機化合物
Bが分散していることを特徴とする。
【0019】本発明のポリオレフィン樹脂、ポリビニル
樹脂、あるいはこれらの共重合物からなる高分子化合物
としては、プラスチック成形品として使用可能なあらゆ
る種類の樹脂を使用することが可能であり、ポリエチレ
ン樹脂、ポリエチレン−αオレフィン共重合体、ポリプ
ロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレ
ンープロピレンーブタジエン共重合体、ポリスチレン樹
脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン−
アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合
体、メタクリル酸メチル樹脂、エチレンービニルアルコ
ール共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体などが挙
げられる。
【0020】本発明のスルホン酸基、カルボキシル基、
フェノール系水酸基などのイオン交換性基を有するビニ
ル単量体としては、これらのイオン交換性基が、何らか
の形で、ビニル単量体に付加していれば種類は問わない
が、アクリル酸、メタクリル酸、イソクロトン酸、マレ
イン酸、イタコン酸などの脂肪族不飽和カルボン酸やス
ルホン酸基、カルボキシル基、水酸基を付加したスチレ
ン誘導体などが好ましい。イオン交換性はスルホン酸
基、カルボキシル基、フェノール系水酸基の順で交換反
応が起きやすい為、スルホン酸基が特に好ましいが、特
に限定されるものではない。
【0021】イオン交換性基を有するビニル単量体を、
ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂、あるいはこれら
の共重合物からなる高分子化合物に付加する手段は、こ
れらの高分子にイオン交換性を有するビニル単量体をグ
ラフト重合、末端付加重合、主鎖共重合させるなどの手
法を用いて共重合化させる方法がある。グラフト重合を
行う場合には、必要に応じてアゾビス系、有機過酸化物
系、無機過酸化物系の触媒を添加することもできる。そ
の触媒添加量は、ビニル単量体の付加量や付加条件や触
媒種によって様々であるが、高分子化合物100重量部
にたいし0.01乃至ら5.00重量部添加す。また、
エチレン−アクリル酸共重合体のように、すでに樹脂中
にイオン交換性基を含んでいる高分子化合物は、そのア
クリル酸の含有量を考慮して、必要に応じてイオン交換
性を有するビニル単量体をさらに付加することもでき
る。
【0022】高分子化合物に付加するイオン交換性基を
有するビニル単量体の重量分率は、特に限定されるもの
ではなく、用途によって適宜選択すれば良い。ビニル単
量体の添加量は、そのビニル単量体を修飾させる方法に
よって異なる。グラフト重合の場合には、ビニル単量体
添加量を0.1乃至10wt%、さらに好ましくは1乃
至5wt%程度が望ましい。また、主鎖共重合させる場
合には、ビニル単量体添加量を0.1乃至50wt%、
さらに好ましくは1乃至30wt%含まれているのが望
ましい。
【0023】次に、本発明の製造方法の一実施例の形態
について詳細に説明する。先ず、樹脂Aに無機イオンを
配位させるには、細かく粉砕した樹脂Aを無機イオンを
含む溶液中に浸漬することにより行われる。この時の無
機イオンはどのような種類でも構わず、目的とする機能
性に応じて選択することが可能であり、亜鉛イオンやカ
ルシウムイオン、鉄イオン、銅イオンなどがその例とし
て挙げられる。これらの溶液は、各無機イオンの塩を溶
液にできるものであれば特に種類は問わず、塩化物塩、
硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、水酸化物塩、硫酸塩、ギ酸
塩、など様々である。また、溶媒の選択は、水、アルコ
ールなど選択が可能であり、必要に応じては、塩の溶解
度を考慮してアセトンなどの有機溶媒を用いてもかまわ
ない。
【0024】樹脂Aを溶液中に浸漬させてイオン交換さ
せる場合には、粉砕した樹脂Aの粒子表面しかイオン交
換を行わない場合がある。このことを考慮して、樹脂A
中に含まれるイオン交換基の含有量が多いもの、つまり
イオン交換性を有するビニル単量体を主鎖共重合の形で
修飾しているものを用いた方が好ましい。また、樹脂A
の種類に応じて、その樹脂Aと親和性がある溶媒を用い
て無機イオンを含む溶液を作成したり、超音波振動処理
や攪拌処理などを施すことも可能である。また、粉砕す
る樹脂Aの粒度を極力小さくさせることも、溶液との接
触面積を大きくする意味で有効な手段である。樹脂Aを
粉砕させる場合、必要に応じて液体窒素やドライアイス
を用いて凍結させてから粉砕しても構わない。無機イオ
ンを含む溶液は、イオン交換性基が十分に無機イオンで
飽和できるほどのイオン濃度に調整されていた方が好ま
しい。
【0025】無機イオンを配位した樹脂Aから、無機化
合物を析出させる場合には、目的とする無機化合物を析
出することが可能な陰イオンを含む溶液を用いて、樹脂
Aを浸漬させる。この時も上述した方法と同様な作業を
行う必要がある。析出させる無機化合物がをアルカリ溶
液の場合は、多くの場合水酸化物を形成するが、低温で
分解し、酸化物を形成させるものが可能なものであれ
ば、必要に応じて加熱処理を施し、酸化物を析出させる
ことも可能である。
【0026】上述した無機化合物Bは、イオン交換基に
配位した無機イオンを析出させることにより得られるた
め、その無機化合物の大きさは数nmオーダーである。
nmオーダーで分散した無機化合物Bを含有する樹脂A
は、上述したような工程を経て作成されるため、時間と
労力がかかる。それゆえ、その樹脂Aをベース樹脂とし
て用いるよりは、マスターバッチとして、樹脂Cに添加
した方が、作業性や加工性やコストの点でも好ましい。
この時、樹脂Cに添加する樹脂Aの添加量は50重量部
以下であることが好ましい。
【0027】樹脂Aと樹脂Cよりなる高分子化合物10
0重量部に対して、この無機化合物Bが0.05乃至1
0重量部の範囲で含まれている。0.05重量部以下で
は、無機化合物により機能性を付与する効果が低く、1
0重量部以上では、上述したように、樹脂Aに多量のビ
ニル単量体を付加する必要があり、加工性が低下する。
【0028】以下に本発明の実施例を示すが、これらの
実施例に限られるものではない。
【0029】<実施例1>樹脂Aとしてマレイン酸(以
下、MAHと記す)を1wt%グラフト重合させたポリ
プロピレン樹脂(以下、PP−MAH)100g用い
た。この樹脂Aを用いて厚さ15μmのフィルムを作成
し、そのフィルムを液体窒素で凍結させた後、粉砕器に
より粉砕した。この微粉砕物を5mol/lの塩化亜鉛
水溶液中に、攪拌・振動処理を行いながら一昼夜浸漬し
た。この溶液をろ過・洗浄後、さらに0.5mol/l
の水酸化ナトリウム水溶液中に、攪拌・振動処理を行い
ながら一昼夜浸漬した。ろ過・洗浄後、改めて厚さ15
μmのフィルムを作成し、この処理と同様の作業を行っ
た。最終的に、熱プレスにより厚さ0.5mmの平台プ
レートを、成形温度200℃で作成した。そのプレート
を用いて、紫外線領域の光線透過度、無機化合物の分散
状態、透明性を評価し、樹脂A単体と比較した。光線透
過度は光線透過度測定器で、無機化合物の分散状態は走
査型電子顕微鏡で、透明性は目視で評価した。また、無
機化合物の含有量はEPMAおよびESCAを用いて測
定した。
【0030】<実施例2>樹脂Aにおけるイオン交換性
を有するビニル単量体をスルホン酸基修飾スチレン誘導
体(以下、PP−VBSO3H)にした以外は実施例1
と同じである。
【0031】<実施例3>樹脂Aにおけるイオン交換性
を有するビニル単量体をカルボキシル基修飾スチレン誘
導体(以下、PP−VBCOOH)にした以外は実施例
1と同じである。
【0032】<実施例4>樹脂Aにおけるイオン交換性
を有するビニル単量体を水酸基修飾スチレン誘導体(以
下、PP−VBOH)ににした以外は実施例1と同じで
ある。
【0033】<実施例5>樹脂Aとしてポリスチレン
(PS)にVBSO3Hを25wt%主鎖共重合させた
樹脂を用いた以外は以外は実施例1と同じである。
【0034】<実施例6>樹脂Aとしてアクリロニトリ
ルースチレン共重合体(AS)にVBSO3Hを25w
t%主鎖共重合させた樹脂を用いた。この樹脂を5mo
l/l塩化カルシウム溶液に浸漬した。この樹脂を十分
洗浄した後、0.5M炭酸アンモニウム溶液に浸漬させ
た。この時得られた樹脂を、実施例1同様に、熱プレス
により厚さ0.5mmの平台プレートを成形温度230
℃で作成した。このサンプルの評価としては、透明性、
無機化合物の分散性、機械的強度であり、機械的強度
は、引張弾性率、曲げ弾性率、落錘衝撃試験により評価
した。
【0035】<実施例7>樹脂AとしてPPーMAHを
使用した以外は実施例6と同様である。
【0036】<実施例8>樹脂Aとしてアクリル酸含有
量が30wt%のエチレン−アクリル酸共重合体(EM
AA)を用いた以外は、実施例1と同様である。ただ
し、得られた高分子/無機化合物複合体を、EMAA
(樹脂B)中に30重量部添加し、バッチ式混練機によ
り200℃で溶融混練を行った。
【0037】<実施例9>樹脂Aとしてエチレンーαオ
レフィン共重合体(以下、LLDPE C:8)にMA
H2wt%をグラフト化させた樹脂を用いた以外は、実
施例1と同等である。また、得られた高分子/無機化合
物複合体を、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE 樹脂
B)に30重量部添加し、バッチ式混練機により240
℃で溶融混練を行った。
【0038】<実施例10>樹脂Aとしてメタクリル酸
メチル含有量が10wt%のエチレンーメタクリル酸メ
チル樹脂(以下、EMMA)にアクリル酸を20wt%
主鎖共重合化させた樹脂を用いた以外は、実施例1と同
等である。また、得られた高分子/無機化合物複合体
を、EMMA(樹脂B)に30重量部添加し、バッチ式
混練機により240℃で溶融混練を行った。
【0039】<実施例11>樹脂Aとしてアクリル酸エ
チル含有量が15wt%のエチレンーアクリル酸エチル
共重合体(EEA)にアクリル酸を20wt%を主鎖共
重合させた樹脂を用いた以外は実施例1と同様である。
また、得られた高分子/無機化合物複合体を、EEA
(樹脂B)に30重量部添加し、バッチ式混練機により
200℃で溶融混練を行った。
【0040】<実施例12>樹脂Aとして酢酸ビニル含
有量が15wt%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(E
VA)に、アクリル酸を1.5wt%グラフト重合した
樹脂を用いた以外は、実施例1と同様である。ただし、
得られた高分子/無機化合物複合体を、EVA(樹脂
B)中に20重量部添加し、バッチ式混練機により20
0℃で溶融混練を行った。
【0041】<実施例13>樹脂Aとしてポリメタクリ
ル酸メチル樹脂(以下、PMMA)にアクリル酸を25
wt%主鎖共重合化させた樹脂を用いた以外は、実施例
1と同等である。また、得られた高分子/無機化合物複
合体を、PMMA(樹脂B)に20重量部添加し、バッ
チ式混練機により240℃で溶融混練を行った。
【0042】<実施例14>樹脂Aとしてビニルアルコ
ール含有量が15wt%のエチレン−ビニルアルコール
共重合体に(EVOH)、アクリル酸を30wt%主鎖
共重合させた樹脂を用いた以外は、実施例1と同様であ
る。ただし、得られた高分子/無機化合物複合体を、E
VOH(樹脂B)中に10重量部添加し、バッチ式混練
機により260℃で溶融混練を行った。
【0043】<比較例1>ポリプロピレン樹脂A100
g中に平均粒径100nmの酸化亜鉛粉末10gをバッ
チ式の混練機で240℃で溶融混練を行った。評価内容
は実施例1と同じである。
【0044】<比較例2>樹脂Aとしてイオン交換基を
導入していないビニルベンゼン(以下PP−VB)を2
wt%グラフト共重合させたものを用いた以外は実施例
1と同等である。
【0045】<比較例3>実施例1の高分子/無機化合
物複合体を、PP(樹脂B)に2重量部添加し、バッチ
式の混練機で240℃で溶融混練を行った。
【0046】<比較例4>樹脂AとしてMAH含有量を
1wt%のPPーMAHを用いた以外は実施例7と同様
であるが、得られた高分子/無機化合物複合体をPP
(樹脂B)に2.5重量部添加し、さらにバッチ式の混
練機で240℃で溶融混練を行った。
【0047】
【表1】
【0048】これらの結果より以下のことが言える。今
回機能性を評価したうち、酸化亜鉛を用いた場合は、樹
脂Aと比較して紫外線吸収能に優れることから、透明性
を維持しながらも機能性を有していることがわかる。ま
た、炭酸カルシウムを加えた場合も、樹脂A単体と比較
し、透明性を維持しながらも、引張・曲げ弾性率、落錘
衝撃試験結果が15%から40%向上した。一方、比較
例1の場合、酸化亜鉛粉末を直接樹脂に練り込むと、粒
子の2次凝集が発生し、樹脂A単体と比較して機能性は
優れるが透明性が著しく劣る結果となる。比較例2の場
合は、イオン交換性基を用いていないため、高分子中に
無機化合物が析出せず、ただの樹脂Aと樹脂Bのブレン
ド物になってしまう。比較例3および4の場合は、分散
レベルも400nm以下で透明性に優れるものの、無機
化合物の添加量が少なすぎるが為、紫外線吸収能および
機械的物性が樹脂A単体とほぼ同等であり、機能性を発
揮していないことがわかる。
【0049】
【発明の効果】このことから、ポリオレフィン樹脂、ポ
リビニル樹脂、あるいはこれらの共重合物からなる高分
子化合物を、イオン交換性を有するスルホン酸基、カル
ボキシル基、フェノール系水酸基などのビニル単量体を
付加した樹脂Aに、無機陽イオンを配位させ、その無機
陽イオンを陰イオンを用いて析出させ、また必要に応じ
てその析出物を加熱処理を施し、樹脂A中に無機化合物
Bを、その分散粒子径を5乃至400nmの範囲で分散
した高分子化合物と無機化合物からなる複合体が生成さ
れることがわかる。本発明の高分子化合物と無機化合物
からなる複合体、通常の汎用樹脂のみならず、接着性樹
脂、バリア性樹脂等の機能樹脂としても使用できるた
め、種々の分野の用途に展開できる。また、樹脂A中に
無機化合物Bを、その分散粒子径を5乃至400nmの
範囲で分散しているために、可視光の散乱を防ぎ、透明
性の低下を伴わないことから、透明性、紫外線吸収能等
に優れた、且つ耐衝撃性等の種々の機能性を付与した高
分子と無機化合物からなる複合体およびその製造法を提
供することができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂ある
    いはこれらの共重合物からなる樹脂に、イオン交換基を
    有するビニル単量体を付加させた高分子化合物Aに、粒
    子径が5乃至400nmの範囲を満たす無機化合物Bを
    分散させたことを特徴とする高分子と無機化合物からな
    る複合体。
  2. 【請求項2】前記イオン交換基がスルホン酸基、カルボ
    キシル基、フェノール系水酸基の何れか1種以上から成
    ることを特徴とする請求項1に記載の高分子と無機化合
    物からなる複合体。
  3. 【請求項3】前記樹脂Aはイオン交換基を有するビニル
    単量体を0.1乃至50wt%含有していることを特徴
    とする請求項1乃至2記載の何れかの高分子と無機化合
    物からなる複合体。
  4. 【請求項4】前記樹脂Aに付加するイオン交換基を有す
    るビニル単量体が、脂肪族不飽和カルボン酸もしくはス
    ルホン酸基、カルボキシル基、水酸基を導入したスチレ
    ン誘導体であることを特徴とする請求項1乃至3記載の
    何れかの高分子と無機化合物からなる複合体。
  5. 【請求項5】前記無機化合物Bが、酸化亜鉛、炭酸カル
    シウムの何れかであることを特徴とする請求項1乃至4
    記載の何れかの高分子と無機化合物からなる複合体。
  6. 【請求項6】前記無機化合物Bの添加量が、少なくとも
    樹脂Aを含む樹脂100重量部に対して0.05乃至1
    0重量部であることを特徴とする請求項1乃至5記載の
    何れかの高分子と無機化合物からなる複合体。
  7. 【請求項7】ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂ある
    いはこれらの共重合物の何れか1種以上から構成される
    高分子化合物C100重量部に対し、請求項1 記載の高
    分子と無機化合物からなる複合体を、50重量部以下で
    配合したことを特徴とする請求項1乃至6に記載の高分
    子と無機化合物からなる複合体。
  8. 【請求項8】前記樹脂Aおよび樹脂Cにおけるポリオレ
    フィン樹脂、ポリビニル樹脂あるいはこれらの共重合物
    は、炭素数C2〜C8からなるオレフィン、スチレン、
    アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリ
    ル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、ビ
    ニルアルコールの単一もしくは何れかの組み合わせで重
    合することにより得られることを特徴とする請求項1乃
    至4記載の何れかの高分子と無機化合物からなる複合
    体。請求項1乃至3記載の何れかの高分子と無機化合物
    からなる複合体において、前記樹脂Aおよび樹脂Cにお
    けるポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂あるいはこれ
    らの共重合物は、炭素数C2〜C8からなるオレフィ
    ン、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステ
    ル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、ビニルアルコ
    ールの単一もしくは何れかの組み合わせで重合すること
    により得られることを特徴とする請求項1乃至7記載の
    何れかの高分子と無機化合物からなる複合体。
  9. 【請求項9】前記樹脂Aに付加したイオン交換基に無機
    陽イオンを配位させ、該無機陽イオンを陰イオンを用い
    て析出させ、無機化合物Bを分散させることを特徴とす
    る高分子と無機化合物からなる複合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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