JPH11217459A - 多孔質膜の製造方法 - Google Patents
多孔質膜の製造方法Info
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- JPH11217459A JPH11217459A JP2193798A JP2193798A JPH11217459A JP H11217459 A JPH11217459 A JP H11217459A JP 2193798 A JP2193798 A JP 2193798A JP 2193798 A JP2193798 A JP 2193798A JP H11217459 A JPH11217459 A JP H11217459A
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- Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 不織布などの多孔質シート状支持体を補強材
として使用した場合でも、透過流束の低下を最小限に抑
え、透過流束と分画分子量のバランスの良好な多孔質膜
の製造方法を提供する。 【解決手段】 多孔質のシート状支持体の一方の面に製
膜性を有する重合体及び溶剤を含有する溶液を、該シー
ト状支持体の他方の面に該重合体を溶解し、かつ凝固液
と容易に混合する溶剤を塗布したシート状支持体を、凝
固液中に浸漬することによって、該重合体を相分離させ
た分離膜の製造方法。 【効果】 本発明の製造方法によれば、多孔質シート状
支持体で強化された従来の多孔質膜と比較して、透過流
束と分画分子量のバランスに優れている。本発明の製造
方法によれば、同じ分画分子量もしくは阻止率ならば、
より高い透過流束を示す多孔質膜を製造することができ
る。
として使用した場合でも、透過流束の低下を最小限に抑
え、透過流束と分画分子量のバランスの良好な多孔質膜
の製造方法を提供する。 【解決手段】 多孔質のシート状支持体の一方の面に製
膜性を有する重合体及び溶剤を含有する溶液を、該シー
ト状支持体の他方の面に該重合体を溶解し、かつ凝固液
と容易に混合する溶剤を塗布したシート状支持体を、凝
固液中に浸漬することによって、該重合体を相分離させ
た分離膜の製造方法。 【効果】 本発明の製造方法によれば、多孔質シート状
支持体で強化された従来の多孔質膜と比較して、透過流
束と分画分子量のバランスに優れている。本発明の製造
方法によれば、同じ分画分子量もしくは阻止率ならば、
より高い透過流束を示す多孔質膜を製造することができ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多孔質のシート状支
持体で補強された平膜型多孔質膜の製造方法に関し、更
に詳しくは、透過流束と分画分子量のバランスに優れて
いる多孔質膜の新規な製造方法に関する。本発明は、精
密濾過膜、限外濾過膜、逆浸透膜、透析膜、吸着剤、バ
イオリアクター、バイオセンサー、人工臓器等に利用さ
れる。
持体で補強された平膜型多孔質膜の製造方法に関し、更
に詳しくは、透過流束と分画分子量のバランスに優れて
いる多孔質膜の新規な製造方法に関する。本発明は、精
密濾過膜、限外濾過膜、逆浸透膜、透析膜、吸着剤、バ
イオリアクター、バイオセンサー、人工臓器等に利用さ
れる。
【0002】
【従来の技術】多孔質膜は、化学工業、電子工業、医薬
品工業、食品工業、排水処理、医療(人工臓器等の医療
用具や検査含む)、造水等の分野で使用される種々の分
離プロセスにおいて、蛋白質、コロイド、バクテリア、
ウイルス、塩等の濾過分離の用途に広く使用されてい
る。
品工業、食品工業、排水処理、医療(人工臓器等の医療
用具や検査含む)、造水等の分野で使用される種々の分
離プロセスにおいて、蛋白質、コロイド、バクテリア、
ウイルス、塩等の濾過分離の用途に広く使用されてい
る。
【0003】平膜型多孔質膜(以下、単に「膜」と称す
る場合もある)の製造方法としては、製膜性を有する重
合体を溶剤(工業的には水溶性の溶剤が好ましく用いら
れる)に均一に溶解させて得た製膜液を、ガラス、金属
等の基板上に流延し、必要に応じて表面を若干乾燥させ
た後、製膜液中の溶剤と混和するが該重合体を溶解しな
い凝固液(工業的には水が好ましく用いられる)と接触
させて、重合体を網目状に凝固させた後に基板から剥離
する、いわゆる湿式法により得る方法が最も広く利用さ
れている。この湿式法により製造することのできる非対
称膜は、厚さ0.001〜1μm程度の孔径の細孔を有
する緻密層と、その下の、緻密層より大きな孔径の細孔
から成る多孔性の支持層からなる。
る場合もある)の製造方法としては、製膜性を有する重
合体を溶剤(工業的には水溶性の溶剤が好ましく用いら
れる)に均一に溶解させて得た製膜液を、ガラス、金属
等の基板上に流延し、必要に応じて表面を若干乾燥させ
た後、製膜液中の溶剤と混和するが該重合体を溶解しな
い凝固液(工業的には水が好ましく用いられる)と接触
させて、重合体を網目状に凝固させた後に基板から剥離
する、いわゆる湿式法により得る方法が最も広く利用さ
れている。この湿式法により製造することのできる非対
称膜は、厚さ0.001〜1μm程度の孔径の細孔を有
する緻密層と、その下の、緻密層より大きな孔径の細孔
から成る多孔性の支持層からなる。
【0004】一方、膜の強度や耐圧性を向上させる目的
で、基板として不織布などの多孔質のシート状支持体を
使用する方法によって、支持体と一体化した強化多孔質
膜を製造することができる。
で、基板として不織布などの多孔質のシート状支持体を
使用する方法によって、支持体と一体化した強化多孔質
膜を製造することができる。
【0005】例えば、特開昭62−68503号公報に
は、支持体との接着性を高める目的で、膜となる重合体
を水溶性溶剤に溶解した製膜原液を補強材となる不織布
の片面に塗布した後、該塗布面の反対の不織布の面に該
重合体に対して沈殿剤であり、かつ製膜原液と容易に混
合する溶剤を塗布し、その後、全体を水あるいは水を主
成分とする浴中に浸漬することを特徴とする多孔質膜の
製造方法が開示されている。
は、支持体との接着性を高める目的で、膜となる重合体
を水溶性溶剤に溶解した製膜原液を補強材となる不織布
の片面に塗布した後、該塗布面の反対の不織布の面に該
重合体に対して沈殿剤であり、かつ製膜原液と容易に混
合する溶剤を塗布し、その後、全体を水あるいは水を主
成分とする浴中に浸漬することを特徴とする多孔質膜の
製造方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法で得られる膜は、分離性能には優れているものの、膜
の分画分子量と透過流束が背反の関係にあり、高い分画
分子量では透過流束が低下しすぎてしまうのが常であっ
た。そこで、高い透過流束を維持しながら、分離性能に
も優れた多孔質膜の製造方法が望まれていた。
法で得られる膜は、分離性能には優れているものの、膜
の分画分子量と透過流束が背反の関係にあり、高い分画
分子量では透過流束が低下しすぎてしまうのが常であっ
た。そこで、高い透過流束を維持しながら、分離性能に
も優れた多孔質膜の製造方法が望まれていた。
【0007】本発明が解決しようとする課題は、膜の強
度や耐圧性に優れ、透過流束の低下が少なく、透過流束
と分画分子量のバランスに優れた多孔質膜の製造方法を
提供することにある。
度や耐圧性に優れ、透過流束の低下が少なく、透過流束
と分画分子量のバランスに優れた多孔質膜の製造方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、(1)多孔質のシート状支持体の一方の面
に製膜性を有する重合体及び溶剤を含有する溶液(A)
を、該シート状支持体の他方の面に該重合体を溶解し、
かつ凝固液(C)と容易に混合する溶剤(B)を塗布し
たシート状支持体を、凝固液(C)中に浸漬することに
よって、該重合体を相分離させることを特徴とするシー
ト状支持体により補強された多孔質膜の製造方法を提供
する。
するために、(1)多孔質のシート状支持体の一方の面
に製膜性を有する重合体及び溶剤を含有する溶液(A)
を、該シート状支持体の他方の面に該重合体を溶解し、
かつ凝固液(C)と容易に混合する溶剤(B)を塗布し
たシート状支持体を、凝固液(C)中に浸漬することに
よって、該重合体を相分離させることを特徴とするシー
ト状支持体により補強された多孔質膜の製造方法を提供
する。
【0009】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(2)溶液(A)に用いる製膜性を有する重合体
が、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、芳香族ポリアミド、及び芳香族ポリイミドから成
る群から選ばれる重合体である上記(1)記載の多孔質
膜の製造方法を提供する。
に、(2)溶液(A)に用いる製膜性を有する重合体
が、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、芳香族ポリアミド、及び芳香族ポリイミドから成
る群から選ばれる重合体である上記(1)記載の多孔質
膜の製造方法を提供する。
【0010】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(3)溶剤(B)が水溶性溶剤であり、かつ凝固液
(C)が水又は水を主成分とする溶液である上記(1)
又は(2)記載の多孔質膜の製造方法を提供する。
に、(3)溶剤(B)が水溶性溶剤であり、かつ凝固液
(C)が水又は水を主成分とする溶液である上記(1)
又は(2)記載の多孔質膜の製造方法を提供する。
【0011】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(4)水溶性溶剤が、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリ
ドン及びジメチルスルホキシドから成る群から選ばれる
溶剤である上記(3)記載の多孔質膜の製造方法を提供
する。
に、(4)水溶性溶剤が、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリ
ドン及びジメチルスルホキシドから成る群から選ばれる
溶剤である上記(3)記載の多孔質膜の製造方法を提供
する。
【0012】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(5)溶剤(B)が溶液(A)に含有される溶剤と
同じものである上記(1)、(2)、(3)又は(4)
記載の多孔質膜の製造方法を提供する。
に、(5)溶剤(B)が溶液(A)に含有される溶剤と
同じものである上記(1)、(2)、(3)又は(4)
記載の多孔質膜の製造方法を提供する。
【0013】更に、本発明は上記課題を解決するため
に、(6)多孔質のシート状支持体が不織布である上記
(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)記載の多孔
質膜の製造方法を提供する。
に、(6)多孔質のシート状支持体が不織布である上記
(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)記載の多孔
質膜の製造方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する溶液(A)に用いる重合体は、製膜性
を有する重合体であって、該重合体を溶解する溶剤と、
該重合体を溶解しない液体、即ち凝固液が存在するもの
であれば任意の重合体が使用できる。強度、伸度、剛
性、耐熱性、耐久性などの物性に優れた多孔質体を作製
するためには、溶液(A)に用いる重合体は、ポリスル
ホン、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系ポリ
マー;脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、脂環族ポ
リアミドなどのアミド系ポリマー;アセチルセルロー
ス、ニトロセルロース、エチルセルロースなどのセルロ
ース系ポリマー;ポリメチルメタクリレート、ポリアク
リロニトリルなどの(メタ)アクリル系ポリマー;ポリ
フッ化ビニリデンなどの含フッ素ポリマー;塩化ビニル
などの含塩素ポリマー、芳香族ポリイミドなどのイミド
系ポリマー;スチレン系ポリマー;ポリカーボネート系
ポリマー等であることが好ましく、これらの中でも、ポ
リスルホン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリアミ
ド、芳香族ポリイミド、酢酸セルロースが特に好まし
い。該重合体は勿論、共重合体や混合物であってよい。
本発明で使用する溶液(A)に用いる重合体は、製膜性
を有する重合体であって、該重合体を溶解する溶剤と、
該重合体を溶解しない液体、即ち凝固液が存在するもの
であれば任意の重合体が使用できる。強度、伸度、剛
性、耐熱性、耐久性などの物性に優れた多孔質体を作製
するためには、溶液(A)に用いる重合体は、ポリスル
ホン、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系ポリ
マー;脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、脂環族ポ
リアミドなどのアミド系ポリマー;アセチルセルロー
ス、ニトロセルロース、エチルセルロースなどのセルロ
ース系ポリマー;ポリメチルメタクリレート、ポリアク
リロニトリルなどの(メタ)アクリル系ポリマー;ポリ
フッ化ビニリデンなどの含フッ素ポリマー;塩化ビニル
などの含塩素ポリマー、芳香族ポリイミドなどのイミド
系ポリマー;スチレン系ポリマー;ポリカーボネート系
ポリマー等であることが好ましく、これらの中でも、ポ
リスルホン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリアミ
ド、芳香族ポリイミド、酢酸セルロースが特に好まし
い。該重合体は勿論、共重合体や混合物であってよい。
【0015】一方、溶液(A)に用いる溶剤は、この重
合体を5重量%以上溶解する溶剤であれば、任意のもの
が使用できる。例えば、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、2−メチルピロリ
ドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスル
ホキシド系溶剤;アセトン、2−ブタノン等のケトン系
溶剤;ブチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロ
ソルブ系溶剤;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ン等のエーテル系溶剤;ジクロロメタン、ジクロロエタ
ンなどの塩素系溶剤;スルホランなどが挙げられるが、
工業的には水溶性溶剤が好ましく、中でも、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
2−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドのような
高沸点の水溶性溶剤が、製造安定性面や安全性の面から
特に好ましい。溶剤は勿論混合溶剤であっても良い。
合体を5重量%以上溶解する溶剤であれば、任意のもの
が使用できる。例えば、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、2−メチルピロリ
ドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスル
ホキシド系溶剤;アセトン、2−ブタノン等のケトン系
溶剤;ブチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロ
ソルブ系溶剤;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ン等のエーテル系溶剤;ジクロロメタン、ジクロロエタ
ンなどの塩素系溶剤;スルホランなどが挙げられるが、
工業的には水溶性溶剤が好ましく、中でも、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
2−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドのような
高沸点の水溶性溶剤が、製造安定性面や安全性の面から
特に好ましい。溶剤は勿論混合溶剤であっても良い。
【0016】重合体を溶剤に溶解し、製膜性を有する重
合体及び溶剤を含有する溶液(A){以下、この溶液を
重合体溶液(A)と称する}を得る。重合体溶液(A)
は概ね均一であれば良く、少量の非混和部を含んでいて
も良いが、均一であることが好ましい。重合体溶液
(A)の溶剤の割合は、充分な力学的強度を有しかつ高
い透過流束を得るためには、30〜95重量%の範囲が
好ましく、70〜90重量%の範囲が特に好ましい。
合体及び溶剤を含有する溶液(A){以下、この溶液を
重合体溶液(A)と称する}を得る。重合体溶液(A)
は概ね均一であれば良く、少量の非混和部を含んでいて
も良いが、均一であることが好ましい。重合体溶液
(A)の溶剤の割合は、充分な力学的強度を有しかつ高
い透過流束を得るためには、30〜95重量%の範囲が
好ましく、70〜90重量%の範囲が特に好ましい。
【0017】重合体溶液(A)には、酸、アルカリ、
塩、重合体の非溶剤などの孔径調節剤;凝固液(C)に
溶解するポリマー等の粘度調節剤;光架橋剤や水架橋剤
などの架橋剤;着色剤;殺菌剤;防黴剤;無機物などの
その他の成分を、溶解または分散させた状態で含有させ
ることもできる。
塩、重合体の非溶剤などの孔径調節剤;凝固液(C)に
溶解するポリマー等の粘度調節剤;光架橋剤や水架橋剤
などの架橋剤;着色剤;殺菌剤;防黴剤;無機物などの
その他の成分を、溶解または分散させた状態で含有させ
ることもできる。
【0018】本発明に用いる多孔質シート状支持体は、
不織布、網、織物、編み物、紙、焼結体など任意の連通
多孔質体が使用できるが、中でも不織布が好ましい。ま
た、素材には、有機ポリマー、無機ポリマー、金属など
が使用できるが、有機ポリマーが好ましく、中でもポリ
エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミ
ド、レーヨン、ポリ塩化ビニリデン等が好ましく用いら
れる。また、多孔質シート状支持体の素材は、凝固液
(C)との接触角が大きい場合、即ち70度以上の場
合、中でも90度以上の場合に、溶剤(B)を使用しな
い従来法に比べて特に効果が発揮される。従って、素材
がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペ
ンテン−1などのポリオレフィン;塩化ビニリデン;フ
ッ化ビニリデン、四フッ化エチレン−パーフルオロビニ
ルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素含有ポリマ
ーなどが好ましい。中でも、重合性溶液(A)が適度に
浸み込むことにより、多孔質膜と支持体の高い接着強度
が得られるので、過度に浸み込まず、高い透過流束の膜
を得易い素材として、ポリエチレンおよびポリプロピレ
ンが特に好ましい。多孔質シート状支持体の厚みは、強
度、製造の容易さ、膜性能の点から、厚さ30〜300
μm程度が好ましく、構成される繊維による毛羽立ちが
なく、密なものが好ましい。
不織布、網、織物、編み物、紙、焼結体など任意の連通
多孔質体が使用できるが、中でも不織布が好ましい。ま
た、素材には、有機ポリマー、無機ポリマー、金属など
が使用できるが、有機ポリマーが好ましく、中でもポリ
エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミ
ド、レーヨン、ポリ塩化ビニリデン等が好ましく用いら
れる。また、多孔質シート状支持体の素材は、凝固液
(C)との接触角が大きい場合、即ち70度以上の場
合、中でも90度以上の場合に、溶剤(B)を使用しな
い従来法に比べて特に効果が発揮される。従って、素材
がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペ
ンテン−1などのポリオレフィン;塩化ビニリデン;フ
ッ化ビニリデン、四フッ化エチレン−パーフルオロビニ
ルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素含有ポリマ
ーなどが好ましい。中でも、重合性溶液(A)が適度に
浸み込むことにより、多孔質膜と支持体の高い接着強度
が得られるので、過度に浸み込まず、高い透過流束の膜
を得易い素材として、ポリエチレンおよびポリプロピレ
ンが特に好ましい。多孔質シート状支持体の厚みは、強
度、製造の容易さ、膜性能の点から、厚さ30〜300
μm程度が好ましく、構成される繊維による毛羽立ちが
なく、密なものが好ましい。
【0019】重合体溶液(A)を多孔質シート状支持体
に塗布する方法は任意であり、周知のコーティング方
法、例えば、バーコート法、ロールコート法、カーテン
コート法などを採用できるが、重合体溶液(A)が多孔
質支持体に完全に浸み込まない方法であることが好まし
い。重合体溶液(A)の多孔質支持体への若干の入り込
みは、多孔質膜と支持体との剥離を防ぐ点で好ましい
が、過剰な浸透は透過流束の低下を招く。多孔質支持体
に浸み込む量は、コーティング方法の他、重合体溶液
(A)と多孔質支持体の界面張力の関係や、重合体溶液
(A)の粘度によって変わりうる。コーティング膜厚も
任意であるが、膜の濾過性能の低下を防ぎ、安定した製
造を行うには、コーティング膜厚は10μm〜500μ
mが好ましく、50μm〜250μmがさらに好まし
い。コートされた重合体溶液はその一部が多孔質シート
状支持体に浸み込むこと、および凝固によって一般的に
は膜厚が減少するため、得られる多孔質膜は、シート状
支持体の厚みとコーティング膜厚との和より薄くなる。
に塗布する方法は任意であり、周知のコーティング方
法、例えば、バーコート法、ロールコート法、カーテン
コート法などを採用できるが、重合体溶液(A)が多孔
質支持体に完全に浸み込まない方法であることが好まし
い。重合体溶液(A)の多孔質支持体への若干の入り込
みは、多孔質膜と支持体との剥離を防ぐ点で好ましい
が、過剰な浸透は透過流束の低下を招く。多孔質支持体
に浸み込む量は、コーティング方法の他、重合体溶液
(A)と多孔質支持体の界面張力の関係や、重合体溶液
(A)の粘度によって変わりうる。コーティング膜厚も
任意であるが、膜の濾過性能の低下を防ぎ、安定した製
造を行うには、コーティング膜厚は10μm〜500μ
mが好ましく、50μm〜250μmがさらに好まし
い。コートされた重合体溶液はその一部が多孔質シート
状支持体に浸み込むこと、および凝固によって一般的に
は膜厚が減少するため、得られる多孔質膜は、シート状
支持体の厚みとコーティング膜厚との和より薄くなる。
【0020】本発明の主題は、該シート状支持体の、重
合体溶液(A)を塗布した面と反対の面に、重合体を溶
解し、かつ凝固液(C)と容易に混合する溶剤(B)
{以下、この溶剤を単に溶剤(B)と称する}を塗布す
るところにある。
合体溶液(A)を塗布した面と反対の面に、重合体を溶
解し、かつ凝固液(C)と容易に混合する溶剤(B)
{以下、この溶剤を単に溶剤(B)と称する}を塗布す
るところにある。
【0021】溶剤(B)は、該重合体を溶解し、かつ凝
固液(C)と容易に混合する溶剤であれば任意であり、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤;ジ
メチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;アセトン
などのケトン系溶剤;ブチルセロソルブ、エチルセロソ
ルブなどのセロソルブ系溶剤、スルホランなどが好まし
く使用できる。勿論溶剤(B)は混合物であってよい。
これらの中でも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、2−メチルピロリドン、ジ
メチルスルホキシドのような高沸点の水溶性溶剤が特に
好ましい。溶剤(B)は溶液(A)に含有される溶剤と
同じものであっても異なるものであっても良いが、同じ
ものであることが膜性能や廃水処理の点から好ましい。
固液(C)と容易に混合する溶剤であれば任意であり、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤;ジ
メチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;アセトン
などのケトン系溶剤;ブチルセロソルブ、エチルセロソ
ルブなどのセロソルブ系溶剤、スルホランなどが好まし
く使用できる。勿論溶剤(B)は混合物であってよい。
これらの中でも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、2−メチルピロリドン、ジ
メチルスルホキシドのような高沸点の水溶性溶剤が特に
好ましい。溶剤(B)は溶液(A)に含有される溶剤と
同じものであっても異なるものであっても良いが、同じ
ものであることが膜性能や廃水処理の点から好ましい。
【0022】溶剤(B)は、多孔質シート状支持体に浸
透するもの、即ち、多孔質シート状支持体の素材との接
触角が90度以下であることが好ましく、60度以下で
あることがより好ましく、45度以下であることがさら
に好ましく、20度以下であることが最も好ましい。溶
剤(B)はまた、例えば界面活性剤や粘度調節剤など
の、その他の成分を含有することも可能である。
透するもの、即ち、多孔質シート状支持体の素材との接
触角が90度以下であることが好ましく、60度以下で
あることがより好ましく、45度以下であることがさら
に好ましく、20度以下であることが最も好ましい。溶
剤(B)はまた、例えば界面活性剤や粘度調節剤など
の、その他の成分を含有することも可能である。
【0023】溶剤(B)を塗布する方法もまた任意であ
り、周知のコーティング方法、例えば、バーコート法、
ロールコート法、カーテンコート法などを採用できる。
り、周知のコーティング方法、例えば、バーコート法、
ロールコート法、カーテンコート法などを採用できる。
【0024】シート状支持体に、重合体溶液(A)と溶
剤(B)を塗布する順序は任意であり、どちらが先であ
っても、あるいは実質的に同時であっても、これらを含
む複数回であっても良いが、溶液(A)を塗布した後に
溶剤(B)を塗布する方法が、濾過性能の安定化の面で
好ましい。
剤(B)を塗布する順序は任意であり、どちらが先であ
っても、あるいは実質的に同時であっても、これらを含
む複数回であっても良いが、溶液(A)を塗布した後に
溶剤(B)を塗布する方法が、濾過性能の安定化の面で
好ましい。
【0025】重合体溶液(A)および溶剤(B)を塗布
した多孔質のシート状支持体は、次いで凝固液(C)に
接触させる。接触方法は任意であり、凝固液(C)への
浸漬、凝固液(C)のスプレー、凝固液(C)蒸気との
接触等が挙げられるが、中でも浸漬が好ましい。シート
状支持体に塗布された重合体溶液(A)は、凝固液
(C)と接触することで、ゲル化すると共に脱溶剤さ
れ、重合体が多孔質状に凝固する。
した多孔質のシート状支持体は、次いで凝固液(C)に
接触させる。接触方法は任意であり、凝固液(C)への
浸漬、凝固液(C)のスプレー、凝固液(C)蒸気との
接触等が挙げられるが、中でも浸漬が好ましい。シート
状支持体に塗布された重合体溶液(A)は、凝固液
(C)と接触することで、ゲル化すると共に脱溶剤さ
れ、重合体が多孔質状に凝固する。
【0026】凝固液(C)は、重合体を溶解しないもの
であり、重合体溶液(A)と接触することによって、重
合体が多孔質状に凝固するものであれば特に制約はな
く、例えば、カプリン酸メチル等のアルキルエステル
類;ジイソブチルケトン等のジアルキルケトン類;メタ
ノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの
アルコール類;水などが使用できるが、工業的製造にあ
たっては、水又は水を主成分とする溶液であることが特
に好ましい。
であり、重合体溶液(A)と接触することによって、重
合体が多孔質状に凝固するものであれば特に制約はな
く、例えば、カプリン酸メチル等のアルキルエステル
類;ジイソブチルケトン等のジアルキルケトン類;メタ
ノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの
アルコール類;水などが使用できるが、工業的製造にあ
たっては、水又は水を主成分とする溶液であることが特
に好ましい。
【0027】その他、多孔質膜の孔径制御や性能向上を
目的として、凝固液(C)に、塩、酸、アルカリ、溶
剤、非溶剤などの孔径調節剤;凝固液に溶解するポリマ
ー等の粘度調節剤;光架橋剤や水架橋剤等の架橋剤;着
色剤;殺菌剤;防黴剤;無機物などを含有することもで
きる。
目的として、凝固液(C)に、塩、酸、アルカリ、溶
剤、非溶剤などの孔径調節剤;凝固液に溶解するポリマ
ー等の粘度調節剤;光架橋剤や水架橋剤等の架橋剤;着
色剤;殺菌剤;防黴剤;無機物などを含有することもで
きる。
【0028】凝固により得られた多孔質膜は、必要に応
じて、任意の方法による洗浄で、溶剤、凝固液(C)等
を除去することができる。
じて、任意の方法による洗浄で、溶剤、凝固液(C)等
を除去することができる。
【0029】以上のような方法により、強化材なしの場
合と比較して、濾過性能の低下がほとんど見られない
か、条件によってはかえって向上した、多孔質シート状
支持体と一体化した強化多孔質膜を製造することが可能
となる。
合と比較して、濾過性能の低下がほとんど見られない
か、条件によってはかえって向上した、多孔質シート状
支持体と一体化した強化多孔質膜を製造することが可能
となる。
【0030】
【0031】以下、実施例および比較例により本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にの
み限定されるものではない。なお、例中の「部」は「重
量部」を示す。
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にの
み限定されるものではない。なお、例中の「部」は「重
量部」を示す。
【0032】実施例および比較例で製造した膜の濾過試
験方法を次に示す。
験方法を次に示す。
【0033】《膜の濾過試験方法》 1.水の透過流束 濾過器としてザルトリウス社製の限外濾過試験装置SM
−165−26を使用し、水には蒸留水を使用し、圧力
98キロパスカル(kPa)、温度25℃、濾過測定時
間は濾過開始5分後から5分間とした。
−165−26を使用し、水には蒸留水を使用し、圧力
98キロパスカル(kPa)、温度25℃、濾過測定時
間は濾過開始5分後から5分間とした。
【0034】2.牛血清アルブミン阻止率 分画分子量測定の代わりに牛血清アルブミン(分子量6
7000)の阻止率を測定した。阻止率が高いほど分画
分子量が小さいことを示す。濾過器としては上記と同じ
ものを使用し、濾過原液は牛血清アルブミンの0.5重
量%水溶液(pH7.0緩衝液)、圧力49kPa、温
度は25℃、濾過測定時間は、濾過開始5分後から5分
間とした。阻止率の算出は下記式によった。
7000)の阻止率を測定した。阻止率が高いほど分画
分子量が小さいことを示す。濾過器としては上記と同じ
ものを使用し、濾過原液は牛血清アルブミンの0.5重
量%水溶液(pH7.0緩衝液)、圧力49kPa、温
度は25℃、濾過測定時間は、濾過開始5分後から5分
間とした。阻止率の算出は下記式によった。
【0035】
【数1】
【0036】〈実施例1〉ポリアミド樹脂(帝人株式会
社製、コーネックス)17部を、N,N−ジメチルアセ
トアミド83部に溶解し、溶液(A)とした。多孔質シ
ート状支持体として、旭・デュポンフラッシュスパンプ
ロダクツ社製のポリエチレン不織布「タイベック107
3D」を用いた。溶剤(B)として、N,N−ジメチル
アセトアミドを用いた。多孔質シート状支持体の一方の
面に、180μmのバーコターを用いて連続的に重合体
溶液(A)を塗布し、その後、もう一方の面に、溶剤
(B)を連続的に塗布し、次いで、この多孔質シート状
支持体に塗布したものを、連続的に凝固液(C)として
用いた17℃の水に浸漬した。凝固液(C)中に5分間
滞留させた後、流水中で4時間洗浄して、多孔質膜を得
た。得られた膜は、その一部を蒸留水中に浸漬した状態
で保存して濾過試験に供した。また、他の一部を40℃
にて真空乾燥し、細孔径観察に供した。 試験結果を表
1に示した。また、この膜を走査型電子顕微鏡(SE
M)で観察した結果、表面に極薄い緻密層が観察された
が、シート状支持体に接触している面には、緻密層は観
察されなかった。
社製、コーネックス)17部を、N,N−ジメチルアセ
トアミド83部に溶解し、溶液(A)とした。多孔質シ
ート状支持体として、旭・デュポンフラッシュスパンプ
ロダクツ社製のポリエチレン不織布「タイベック107
3D」を用いた。溶剤(B)として、N,N−ジメチル
アセトアミドを用いた。多孔質シート状支持体の一方の
面に、180μmのバーコターを用いて連続的に重合体
溶液(A)を塗布し、その後、もう一方の面に、溶剤
(B)を連続的に塗布し、次いで、この多孔質シート状
支持体に塗布したものを、連続的に凝固液(C)として
用いた17℃の水に浸漬した。凝固液(C)中に5分間
滞留させた後、流水中で4時間洗浄して、多孔質膜を得
た。得られた膜は、その一部を蒸留水中に浸漬した状態
で保存して濾過試験に供した。また、他の一部を40℃
にて真空乾燥し、細孔径観察に供した。 試験結果を表
1に示した。また、この膜を走査型電子顕微鏡(SE
M)で観察した結果、表面に極薄い緻密層が観察された
が、シート状支持体に接触している面には、緻密層は観
察されなかった。
【0037】〈比較例1〉溶剤(B)を塗布しなかった
以外は実施例1と同様にして不織布強化多孔質膜を作製
した。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定した濾
過試験の結果を、表1に示した。また、この膜を、走査
型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表面に緻密層
が観察された。
以外は実施例1と同様にして不織布強化多孔質膜を作製
した。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定した濾
過試験の結果を、表1に示した。また、この膜を、走査
型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表面に緻密層
が観察された。
【0038】〈比較例2〉溶剤(B)として、水溶性で
かつポリアミド樹脂の非溶剤であるエタノールを用いた
以外は実施例1と同様にして不織布強化多孔質膜を作製
した。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定した濾
過試験の結果を、表1に示した。また、この膜を、走査
型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表面、およ
び、シート状支持体に接触している面に緻密層が観察さ
れた。
かつポリアミド樹脂の非溶剤であるエタノールを用いた
以外は実施例1と同様にして不織布強化多孔質膜を作製
した。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定した濾
過試験の結果を、表1に示した。また、この膜を、走査
型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表面、およ
び、シート状支持体に接触している面に緻密層が観察さ
れた。
【0039】〈実施例2〉重合体溶液(A)として、ポ
リスルホン(アモコ・ケミカル社製、ユーデルP−17
00NT)18部をN,N−ジメチルアセトアミド82
部に溶解したものを用いた以外は実施例1と同様にして
不織布強化多孔質膜を作製した。得られた膜を、実施例
1と同じ方法で測定した濾過試験の結果を、表1に示し
た。また、この膜を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観
察した結果、表面に緻密層が観察されたが、シート状支
持体に接触している面には緻密層は観察されなかった。
リスルホン(アモコ・ケミカル社製、ユーデルP−17
00NT)18部をN,N−ジメチルアセトアミド82
部に溶解したものを用いた以外は実施例1と同様にして
不織布強化多孔質膜を作製した。得られた膜を、実施例
1と同じ方法で測定した濾過試験の結果を、表1に示し
た。また、この膜を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観
察した結果、表面に緻密層が観察されたが、シート状支
持体に接触している面には緻密層は観察されなかった。
【0040】〈比較例3〉溶剤(B)として、水溶性で
かつポリスルホンの非溶剤であるエタノールを用いた以
外は実施例2と同様にして不織布強化多孔質膜を作製し
た。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定した濾過
試験の結果を、表1に示した。また、この膜を、走査型
電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表面、および、
シート状支持体に接触している面に緻密層が観察され
た。
かつポリスルホンの非溶剤であるエタノールを用いた以
外は実施例2と同様にして不織布強化多孔質膜を作製し
た。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定した濾過
試験の結果を、表1に示した。また、この膜を、走査型
電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表面、および、
シート状支持体に接触している面に緻密層が観察され
た。
【0041】〈実施例3〉ポリアミド樹脂に代えてポリ
エーテルスルホン(アモコ・ケミカル社製、レーデルA
−300)を用いた以外は実施例1と同様にして不織布
強化多孔質膜を作製した。得られた膜を、実施例1と同
じ方法で測定した濾過試験の結果を、表1に示した。ま
た、この膜を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した
結果、表面に緻密層が観察されたが、シート状支持体に
接触している面には、緻密層は観察されなかった。
エーテルスルホン(アモコ・ケミカル社製、レーデルA
−300)を用いた以外は実施例1と同様にして不織布
強化多孔質膜を作製した。得られた膜を、実施例1と同
じ方法で測定した濾過試験の結果を、表1に示した。ま
た、この膜を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した
結果、表面に緻密層が観察されたが、シート状支持体に
接触している面には、緻密層は観察されなかった。
【0042】〈比較例4〉溶剤(B)として、水溶性で
かつポリエーテルスルホンの非溶剤であるエタノールを
用いた以外は実施例3と同様にして不織布強化多孔質膜
を作製した。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定
した濾過試験の結果を、表1に示した。また、この膜
を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表
面、および、シート状支持体に接触している面に緻密層
が観察された。
かつポリエーテルスルホンの非溶剤であるエタノールを
用いた以外は実施例3と同様にして不織布強化多孔質膜
を作製した。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定
した濾過試験の結果を、表1に示した。また、この膜
を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表
面、および、シート状支持体に接触している面に緻密層
が観察された。
【0043】〈実施例4〉ポリアミド樹脂に代えてポリ
イミド(旭チバ株式会社製、マトリミド5218)を用
いた以外は実施例1と同様にして不織布強化多孔質膜を
作製した。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定し
た濾過試験の結果を、表1に示した。また、この膜を、
走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表面に極
薄い緻密層が観察されたが、シート状支持体に接触して
いる面には、緻密層は観察されなかった。
イミド(旭チバ株式会社製、マトリミド5218)を用
いた以外は実施例1と同様にして不織布強化多孔質膜を
作製した。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定し
た濾過試験の結果を、表1に示した。また、この膜を、
走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表面に極
薄い緻密層が観察されたが、シート状支持体に接触して
いる面には、緻密層は観察されなかった。
【0044】〈比較例5〉溶剤(B)として、水溶性で
かつポリイミドの非溶剤であるエタノールを用いた以外
は実施例4と同様にして不織布強化多孔質膜を作製し
た。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定した濾過
試験の結果を、表1に示した。また、この膜を、走査型
電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表面、および、
シート状支持体に接触している面に緻密層が観察され
た。
かつポリイミドの非溶剤であるエタノールを用いた以外
は実施例4と同様にして不織布強化多孔質膜を作製し
た。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定した濾過
試験の結果を、表1に示した。また、この膜を、走査型
電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表面、および、
シート状支持体に接触している面に緻密層が観察され
た。
【0045】〈実施例5〉重合体としてポリアミド樹脂
に代えて酢酸セルロース(関東化学株式会社製)を用い
た以外は実施例1と同様にして不織布強化多孔質膜を作
製した。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定した
濾過試験の結果を、表1に示した。また、この膜を、走
査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表面に極薄
い緻密層が観察されたが、シート状支持体に接触してい
る面には、緻密層は観察されなかった。
に代えて酢酸セルロース(関東化学株式会社製)を用い
た以外は実施例1と同様にして不織布強化多孔質膜を作
製した。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定した
濾過試験の結果を、表1に示した。また、この膜を、走
査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表面に極薄
い緻密層が観察されたが、シート状支持体に接触してい
る面には、緻密層は観察されなかった。
【0046】〈比較例6〉溶剤(B)として、水溶性で
かつ酢酸セルロースの非溶剤であるエタノールを用いた
以外は実施例5と同様にして不織布強化多孔質膜を作製
した。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定した濾
過試験の結果を、表1に示した。また、この膜を、走査
型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表面、およ
び、シート状支持体に接触している面に緻密層が観察さ
れた。
かつ酢酸セルロースの非溶剤であるエタノールを用いた
以外は実施例5と同様にして不織布強化多孔質膜を作製
した。得られた膜を、実施例1と同じ方法で測定した濾
過試験の結果を、表1に示した。また、この膜を、走査
型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、表面、およ
び、シート状支持体に接触している面に緻密層が観察さ
れた。
【0047】
【表1】
【0048】実施例1と比較例1および比較例2との比
較、実施例2と比較例3との比較、実施例3と比較例4
との比較、実施例4と比較例5との比較、実施例5と比
較例6との比較から、実施例で得た各多孔質膜は、対応
する比較例で得たものと比べて、牛血清アルブミン阻止
率がほぼ同様でありながら、高い透過流束を示している
ことがわかる。
較、実施例2と比較例3との比較、実施例3と比較例4
との比較、実施例4と比較例5との比較、実施例5と比
較例6との比較から、実施例で得た各多孔質膜は、対応
する比較例で得たものと比べて、牛血清アルブミン阻止
率がほぼ同様でありながら、高い透過流束を示している
ことがわかる。
【0049】
【発明の効果】本発明の製造方法で得られる多孔質膜
は、多孔質シート状支持体で強化された従来の多孔質膜
と比較して、透過流束と分画分子量のバランスに優れて
いる。本発明の製造方法によれば、同じ分画分子量もし
くは阻止率ならば、より高い透過流束を示す多孔質膜を
製造することができる。
は、多孔質シート状支持体で強化された従来の多孔質膜
と比較して、透過流束と分画分子量のバランスに優れて
いる。本発明の製造方法によれば、同じ分画分子量もし
くは阻止率ならば、より高い透過流束を示す多孔質膜を
製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01D 69/10 B01D 69/10 71/10 71/10 71/56 71/56 71/64 71/64 71/68 71/68 // C08L 1:00 77:00 81:06
Claims (6)
- 【請求項1】 多孔質のシート状支持体の一方の面に製
膜性を有する重合体及び溶剤を含有する溶液(A)を、
該シート状支持体の他方の面に該重合体を溶解し、かつ
凝固液(C)と容易に混合する溶剤(B)を塗布したシ
ート状支持体を、凝固液(C)中に浸漬することによっ
て、該重合体を相分離させることを特徴とするシート状
支持体により補強された多孔質膜の製造方法。 - 【請求項2】 溶液(A)に用いる製膜性を有する重合
体が、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルス
ルホン、芳香族ポリアミド、及び芳香族ポリイミドから
成る群から選ばれる重合体である請求項1記載の多孔質
膜の製造方法。 - 【請求項3】 溶剤(B)が水溶性溶剤であり、かつ凝
固液(C)が水又は水を主成分とする溶液である請求項
1又は2記載の多孔質膜の製造方法。 - 【請求項4】 水溶性溶剤が、N,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピ
ロリドン及びジメチルスルホキシドから成る群から選ば
れる溶剤である請求項3記載の多孔質膜の製造方法。 - 【請求項5】 溶剤(B)が溶液(A)に含有される溶
剤と同じものである請求項1、2、3又は4記載の多孔
質膜の製造方法。 - 【請求項6】 多孔質のシート状支持体が不織布である
請求項1、2、3、4又は5記載の多孔質膜の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2193798A JPH11217459A (ja) | 1998-02-03 | 1998-02-03 | 多孔質膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2193798A JPH11217459A (ja) | 1998-02-03 | 1998-02-03 | 多孔質膜の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11217459A true JPH11217459A (ja) | 1999-08-10 |
Family
ID=12068971
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2193798A Pending JPH11217459A (ja) | 1998-02-03 | 1998-02-03 | 多孔質膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11217459A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007510801A (ja) * | 2003-11-04 | 2007-04-26 | ポーレックス コーポレイション | 複合多孔質材料並びにそれらを作製する方法及びそれらを使用する方法 |
JP2009518809A (ja) * | 2005-12-06 | 2009-05-07 | エルジー・ケム・リミテッド | モルフォロジーグラジエントを有する有機/無機複合分離膜、その製造方法及びこれを備えた電気化学素子 |
CN102921316A (zh) * | 2012-11-07 | 2013-02-13 | 中国海洋大学 | 均相紫外光接枝制备改性聚砜超滤膜的方法 |
WO2015083766A1 (ja) * | 2013-12-05 | 2015-06-11 | 富士フイルム株式会社 | 複合体の製造方法 |
JP2015144999A (ja) * | 2014-02-04 | 2015-08-13 | 富士フイルム株式会社 | 複合体の製造方法 |
KR20180034861A (ko) * | 2016-09-28 | 2018-04-05 | 롯데케미칼 주식회사 | 지지재 코팅용 조성물, 이를 이용한 분리막 제조방법, 분리막 |
KR20210102011A (ko) * | 2020-02-11 | 2021-08-19 | 한국화학연구원 | 투과증발 복합 분리막의 제조방법 및 이에 의해 제조되는 투과증발 복합 분리막 |
-
1998
- 1998-02-03 JP JP2193798A patent/JPH11217459A/ja active Pending
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007510801A (ja) * | 2003-11-04 | 2007-04-26 | ポーレックス コーポレイション | 複合多孔質材料並びにそれらを作製する方法及びそれらを使用する方法 |
JP2011190465A (ja) * | 2003-11-04 | 2011-09-29 | Porex Corp | 複合多孔質材料並びにそれらを作製する方法及びそれらを使用する方法 |
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WO2015083766A1 (ja) * | 2013-12-05 | 2015-06-11 | 富士フイルム株式会社 | 複合体の製造方法 |
JP2015107473A (ja) * | 2013-12-05 | 2015-06-11 | 富士フイルム株式会社 | 複合体の製造方法 |
JP2015144999A (ja) * | 2014-02-04 | 2015-08-13 | 富士フイルム株式会社 | 複合体の製造方法 |
WO2015118770A1 (ja) * | 2014-02-04 | 2015-08-13 | 富士フイルム株式会社 | 複合体の製造方法 |
US10183257B2 (en) | 2014-02-04 | 2019-01-22 | Fujifilm Corporation | Method of producing composite |
KR20180034861A (ko) * | 2016-09-28 | 2018-04-05 | 롯데케미칼 주식회사 | 지지재 코팅용 조성물, 이를 이용한 분리막 제조방법, 분리막 |
KR20210102011A (ko) * | 2020-02-11 | 2021-08-19 | 한국화학연구원 | 투과증발 복합 분리막의 제조방법 및 이에 의해 제조되는 투과증발 복합 분리막 |
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