JPH11217297A - シリコン種結晶の処理方法およびシリコン種結晶ならびにシリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
シリコン種結晶の処理方法およびシリコン種結晶ならびにシリコン単結晶の製造方法Info
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- JPH11217297A JPH11217297A JP3224098A JP3224098A JPH11217297A JP H11217297 A JPH11217297 A JP H11217297A JP 3224098 A JP3224098 A JP 3224098A JP 3224098 A JP3224098 A JP 3224098A JP H11217297 A JPH11217297 A JP H11217297A
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Abstract
ン単結晶の成長工程において、ネッキング法、無転位種
付け法のいずれの場合でも、無転位化成功率を低下させ
ることなく、単結晶棒の生産性と歩留りを向上させるシ
リコン種結晶の処理方法、この処理によって得られたシ
リコン種結晶およびこのシリコン種結晶を使用して単結
晶棒を成長させるシリコン単結晶の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 チョクラルスキー法によるシリコン単結
晶の育成に用いられるシリコン種結晶の処理方法におい
て、該シリコン種結晶をシリコン融液に接触させる以前
に、シリコン種結晶表面の酸化膜を除去しておく方法で
あって、特にシリコン種結晶に少なくともフッ酸水溶液
処理を施すか、種結晶を引上げ機炉内の種ホルダに保持
した後、高温、不活性ガス雰囲気下のエッチング作用に
より酸化膜を除去する方法である。
Description
法(Czochralski Method、CZ法)によるシリコン単結
晶の成長に用いる種結晶の処理方法および処理されたシ
リコン種結晶ならびにこのシリコン種結晶を使用してシ
リコン単結晶棒を成長させるシリコン単結晶の製造方法
に関する。
造においては、シリコン単結晶を種結晶として用い、こ
れをシリコン融液に接触させた後、回転させながらゆっ
くりと引上げることで単結晶棒を成長させている。この
際、シリコン種結晶をシリコン融液に接触させた後に、
熱衝撃によりシリコン種結晶に高密度で発生するスリッ
プ転位から伝播する転位を消滅させるために、直径を3
mm程度に一旦細くし絞り部を形成するいわゆる種絞り
(ネッキング)を行い、次いで、所望の口径になるまで
結晶径を太らせて、無転位のシリコン単結晶を引上げて
いる。このような、種絞りはDash Necking
法として広く知られており、CZ法で単結晶棒を引上げ
る場合の常識とされている。
結晶の形状は、例えば直径あるいは一辺約8〜20mm
の円柱状や角柱状のシリコンの単結晶に、種ホルダーに
セットするための切り欠き部を設けたもので、最初にシ
リコン融液に接触する下方の先端形状は、平坦面となっ
ている。そして、高重量の単結晶棒の重量に耐えて安全
に引上げるためには、種結晶の太さは、素材の強度から
して上記以下に細くすることは難しい。
リコン融液と接触する先端の熱容量が大きいために、シ
リコン種結晶がシリコン融液に接触した瞬間に結晶内に
急激な温度差を生じ、スリップ転位を高密度に発生させ
る。従って、この転位を消去してシリコン単結晶を育成
するために前記ネッキングが必要になるのである。
件を種々に選択しても、無転位化するためには、最小直
径を3〜5mm程度までは絞り込む必要があり、近年の
シリコン単結晶径の大口径化に伴い、高重量化した単結
晶棒を支持するには強度が不充分であり、単結晶棒引上
げ中に、この細い絞り部が破断して単結晶棒が落下する
等の重大な事故を生じる恐れがあった。
人は先に特開平5−139880号公報、特開平9−2
55485号公報のような発明を提案した。これらの発
明は、シリコン種結晶の先端部の形状を楔形あるいは中
空部を有する形状とし、シリコン種結晶がシリコン融液
に接触する時に入るスリップ転位をできるだけ低減する
ことによって、絞り部の直径を比較的太くしても無転位
化を可能とし、もって絞り部の強度を向上させるもので
ある。
とができるので、ある程度絞り部の強度の向上ができる
けれども、ネッキングを行い、スリップ転位のある絞り
部を形成することには変わりがなく、近年ますます大直
径、長尺化し、例えば150Kg以上にもなる単結晶棒
の引上げには、強度が不充分となる場合があり、根本的
な解決にまで至っていない。
ネッキングによる絞り部を形成することなく、結晶を単
結晶化させる方法を開発し先に提案した(特願平9−1
7687号)。この方法は、シリコン種結晶としてシリ
コン融液に接触させる先端部の形状が尖った形状、また
は尖った先端を切り取った形状とし、先ず、該シリコン
種結晶の先端をシリコン融液に静かに接触させた後、シ
リコン種結晶を低速度で下降させることによってシリコ
ン種結晶の先端部が所望の太さとなるまで溶融し、その
後、シリコン種結晶をゆっくりと上昇させ、ネッキング
を行うことなく、所望径のシリコン単結晶を育成させる
というものである。
の先端をシリコン融液に接触させた時、接触面積が小さ
く、先端部の熱容量が小さいため、シリコン種結晶に熱
衝撃又は急激な温度勾配が生じないので、スリップ転位
が導入されない。そして、その後、シリコン種結晶を低
速度で下降させてシリコン種結晶の先端部が所望の太さ
となるまで溶融すれば、急激な温度勾配を生じないので
溶融時にもスリップ転位がシリコン種結晶内に導入され
ることはない。そして、最後にシリコン種結晶をゆっく
りと引上げれば、シリコン種結晶は所望の太さで、無転
位であるから、ネッキングを行う必要はなく、強度も十
分あるので、そのまま所望の径まで太らせてシリコン単
結晶を育成させることができる。
け法においては、初期の転位密度を低減させる方法とし
て、シリコン種結晶の融液上での保温や加温、種付け時
の熱衝撃を低減させるような形状や、方法が開示されて
きたが、ネックの太さに限界があり、大直径化、高重量
化した単結晶棒には追随できなくなってきている。そこ
で、上述した大直径化、高重量化にも耐えられ、しか
も、種付け時の転位の発生のない究極的な方法が、ネッ
キングを行わない無転位種付け法として確立された。
となるのは、その無転位化成功率である。すなわち、こ
の方法では、一度シリコン種結晶に転位が導入される
と、シリコン種結晶を交換しなければ、やり直しができ
ないので、無転位化成功率を向上させることが特に重要
である。そしてこの場合、無転位で種付けしても、シリ
コン種結晶のテーパー付き先端部をある所定長さ溶融後
にシリコン融点近傍で放置しておいたり、あるいは、結
晶成長を開始するまでに要する時間によってはスリップ
転位が発生し、さらにはこの転位が増加して行く現象が
ある。このような現象が発生する原因を調査、究明した
所、その発生源として種結晶表面に形成された酸化膜が
大きく関与していることを見出した。この現象は従来の
ネッキング種付け法の場合も同様の傾向が見られ、無転
位化成功率が低下する一因であることが判ってきた。
ような従来の問題点に鑑みてなされたもので、ネッキン
グ種付け法、無転位種付け法のいずれの場合でも、無転
位化成功率を低下させることなく、シリコン単結晶の生
産性と歩留りを向上させるシリコン種結晶の処理方法、
この処理によって得られたシリコン種結晶およびこのシ
リコン種結晶を使用して単結晶棒を成長させるシリコン
単結晶の製造方法を提供することを主たる目的とする。
本発明の請求項1に記載した発明は、チョクラルスキー
法によるシリコン単結晶の育成に用いられるシリコン種
結晶の処理方法において、該シリコン種結晶をシリコン
融液に接触させる以前に、シリコン種結晶表面の酸化膜
を除去しておくことを特徴とするシリコン種結晶の処理
方法である。
した種結晶素材を加工処理して単結晶引上げ機炉内の種
ホルダーにセットし、これを降下させてシリコン融液に
接触させる直前までに、シリコン種結晶表面に形成され
た酸化膜を除去しておけば、種付けおよびそれ以後のネ
ッキング工程において、シリコン種結晶の固液界面近傍
で格子間シリコン原子が注入されてもシリコン種結晶の
側面に外方拡散するので、スリップ転位の発生は殆どな
くなり、無転位化成功率を向上させることができる。
に、シリコン種結晶表面の酸化膜除去方法として、引上
げ機の炉外でシリコン種結晶に少なくともフッ酸水溶液
処理を施せば、シリコン種結晶表面の酸化膜は、容易に
除去され、従って、酸化膜に起因するスリップ転位の発
生は殆どなくなり、無転位化成功率を向上させることが
できる。
は、シリコン種結晶表面の酸化膜除去方法として、該種
結晶を引上げ機炉内の種ホルダーに保持した後、高温雰
囲気下の不活性ガス中でのエッチング作用により酸化膜
を除去することを特徴とするシリコン種結晶の処理方法
である。このように、シリコン種結晶を引上げ機炉内の
種ホルダーに保持した後、高温雰囲気下の不活性ガス中
でのエッチング作用により酸化膜を除去するようにすれ
ば、前記したフッ酸処理後、シリコン種結晶をシリコン
融液に種付けするまでの間に形成される自然酸化膜を種
付け直前に除去することができるので、酸化膜起因のス
リップ転位の発生は殆どなくなり、一層無転位のシリコ
ン単結晶の生産性向上に寄与するものである。
したように、雰囲気ガスが、アルゴンまたはアルゴンを
含む不活性混合ガスであること、並びに雰囲気ガスの流
量を単結晶棒引上げ時の流量よりも多く流すことが望ま
しい。このようにすれば、シリコン種結晶表面の酸化膜
は前記炉内高温状態と相まってアルゴンガスのエッチン
グ作用によりエッチングされて除去され、シリコン表面
が露出するので、酸化膜起因のスリップ転位の発生は殆
どなくなり、無転位でシリコン単結晶を引上げることが
できる。そして、雰囲気ガスの流量を単結晶棒引上げ時
の流量よりも多く流せば、シリコン融液から蒸発してく
る酸化性のガス(例えばSiO)の上昇を抑えることが
できるので、雰囲気ガスによるエッチング作用を助ける
役割を果たすことになる。
は、チョクラルスキー法により、シリコン種結晶を用い
て単結晶棒を成長させるシリコン単結晶の製造方法にお
いて、シリコン種結晶表面の酸化膜を、少なくともフッ
酸水溶液処理により除去した後、該シリコン種結晶を引
上げ機炉内の種ホルダーに保持し、次いで、雰囲気ガス
としてアルゴンまたはアルゴンを含む不活性混合ガスを
単結晶棒引上げ時の流量よりも多く流しつつ、高温、不
活性ガス雰囲気下のエッチング作用により酸化膜を除去
した後、シリコン種結晶をシリコン融液に接触させて、
シリコン単結晶の引上げを行なうことを特徴とするシリ
コン単結晶の製造方法である。
法として、湿式のフッ酸処理と乾式の不活性ガスによる
エッチング処理を併用すれば、シリコン種結晶が融液に
接触するまでに形成された酸化膜は除去され、従って酸
化膜起因のスリップ転位の発生は殆どなくなり無転位シ
リコン単結晶の生産性、歩留りの向上を図ることができ
る。
求項6に記載のシリコン単結晶の製造方法において、円
柱状または角柱状のシリコン種結晶を使用し、ネッキン
グを行なう種付け法により単結晶棒を成長させれば、こ
れらのシリコン種結晶は上記処理方法により酸化膜を除
去したものであるから、酸化膜起因のスリップ転位の発
生は殆どなくなり、絞りの太さを比較的太くしても、無
転位化することが可能となるので、無転位シリコン単結
晶の生産性、歩留りが向上する。
に、請求項6に記載のシリコン単結晶の製造方法におい
て、先端部の形状が、尖った形状または尖った先端を切
り取った形状であるシリコン種結晶を使用し、ネッキン
グを行わない無転位種付け法により単結晶棒を成長させ
れば、これらのシリコン種結晶は上記処理方法により酸
化膜を除去したものであるから、酸化膜起因のスリップ
転位の発生は殆どなくなり無転位化成功率を向上させる
ことができる。
は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の処
理方法により処理されたシリコン種結晶である。このシ
リコン種結晶は、シリコン融液に接触させる前に表面に
形成された酸化膜は殆ど除去されているので、種付け以
降の工程において、酸化膜が原因で発生するスリップ転
位が導入されることもなくなり、無転位化成功率を向上
させることができる。
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本
発明者らは、単結晶棒の成長に際し、前述したネッキン
グを行う種付け法とネッキングを行わない無転位種付け
法のいずれの方法においても、その無転位化成功率が満
足し得る水準に達しない場合があり、その原因を調査、
究明した所、この転位の発生源として、シリコン種結晶
表面に形成された酸化膜に問題があることを見出した。
形成されると、格子間シリコン原子が注入される。これ
を逆に考えれば、表面に酸化膜が形成されると、格子間
シリコンの外方拡散が抑制されると云える。従って、シ
リコン種結晶の機械加工後の歪み除去工程として通常混
酸処理を行なうが、その結果、表面に酸化膜が形成され
ており、この酸化膜が上記の作用により、種付け時に融
液界面から注入された格子間シリコン原子の外方拡散を
妨げていると解釈することができる。
を除去しても、空気中に長時間暴露していれば、自然酸
化膜が形成され、このような十数オングストローム程度
の酸化膜でも格子間シリコン原子の外方拡散を妨げる作
用をしていることが容易に想像できる。混酸処理によっ
て形成された酸化膜であれ、自然酸化膜であれ、引上げ
機の炉内の高温雰囲気下に曝されれば、その酸化が内部
に進もうとするから、格子間シリコン原子の外方拡散を
妨げるだけでなく、新たに格子間シリコン原子を注入す
る作用が起こっていると考えられる。
リップ転位発生を防止する対策として、シリコン種結晶
の表面の酸化膜除去を試み、下記のような条件を設定す
ることで、酸化膜起因のスリップ転位の発生を防止する
ことができ、無転位化成功率の向上を図ることができ
た。
晶素材は、通常超音波洗浄でパーティクルを除去し、次
いで混酸処理により機械加工で生じた歪み層を除去して
いる。しかしこの工程で極めて薄い酸化膜が形成される
ことは避けられない。
グ法として広範に使用されている方法で、20〜80k
Hzの超音波振動を洗浄液に与えると、洗浄液中に圧力
差が生じ、気泡が発生する。この気泡の破裂により種結
晶表面をスクラビングして洗浄する。洗浄液は、通常、
有機微粒子には超純水が、無機微粒子に対してはエタノ
ールとアセトンの1:1混合液が除去効果が大きい。ま
た、混酸処理は、フッ酸−硝酸−酢酸の混合水溶液で種
結晶素材の機械加工後の歪み層を除去する工程である。
る、この混酸処理で形成された酸化膜の除去に、少なく
ともフッ酸水溶液で洗浄することにした。例えば、種結
晶を5%フッ酸水溶液に10分間程度浸漬すれば十分で
ある。
液で酸化膜を除去しても、単結晶引上げ機炉内の種ホル
ダーにセットするまでの間、炉外の空気中に長時間曝さ
れていれば自然酸化膜が形成され、格子間シリコン原子
の外方拡散を妨げる作用をすることになる。さらに引上
げ機炉内で種付けのために、シリコン融液面上に降下さ
せれば、炉内の高温雰囲気下に曝されて、酸化が内部に
進行し、格子間シリコン原子の外方拡散を一層妨げるよ
うになるし、新たに格子間シリコン原子を注入している
とも考えられる。
融液に接触させる直前までに酸化膜を除去しておけば極
めて効果的であると判断し、炉内での酸化膜除去方法を
確立した。このシリコン種結晶表面の酸化膜除去方法
は、該シリコン種結晶を引上げ機炉内の種ホルダに保持
した後、高温、不活性ガス雰囲気下のエッチング作用に
より酸化膜を除去するものである。このように、シリコ
ン種結晶を引上げ機炉内の種ホルダーに保持した後、高
温雰囲気下の不活性ガス中でのエッチング作用により酸
化膜を除去するようにすれば、フッ酸処理後シリコン種
結晶をシリコン融液に種付けするまでの間に形成される
自然酸化膜を種付け直前に除去することができるので、
酸化膜起因のスリップ転位の発生は殆どなくなり、無転
位化成功率の向上を図ることができる。
アルゴンを含む不活性混合ガスであることが望ましい。
このようにすれば、炉内は既に高温状態となっているか
ら、シリコン種結晶表面の酸化膜は、高温状態と相まっ
てアルゴンガスのエッチング作用によりエッチングされ
て容易に除去され、シリコン表面が露出する。従って、
酸化膜のないシリコン種結晶で種付けすることになるの
で、酸化膜起因のスリップ転位の発生は殆どなくなり、
無転位でシリコン単結晶を引上げることができる。
結晶棒引上げ時の流量よりも多く流すことが望ましい。
こうすると、シリコン融液から蒸発してくる酸化性のガ
ス(例えばSiO)の上昇を抑えることができるので、
不活性ガスによるエッチング作用を助ける役割を果たす
ことになる。また、処理されるシリコン種結晶の高さ方
向の位置は、シリコン融液の直上であるとSiOガスで
酸化され易いので、湯面からある程度離して不活性ガス
の流れの中に位置するようにするのがよい。
酸化膜除去処理方法は、図1の(A)および(B)に示
した円柱状または角柱状のシリコン種結晶(先端は平端
面)を使用してネッキングを行なう種付け法に適用する
ことができる。上記処理方法により酸化膜を除去したこ
のような形状のシリコン種結晶を使用して単結晶棒を成
長させれば、酸化膜起因のスリップ転位の発生は殆どな
くなり、種絞りの太さを比較的太くしても、転位を除去
することが可能となり、無転位化成功率を著しく高め、
生産性、歩留りが向上する。
(D)、(E)および(F)に示したような、先端部の
形状が尖った形状または尖った先端を切り取った形状で
あるシリコン種結晶を使用してネッキングを行わない無
転位種付け法により単結晶棒を成長させる場合にも適用
できる。このような形状のシリコン種結晶は上記処理方
法により酸化膜を除去したものであるから、格子間シリ
コン原子の外方拡散は容易になるので、スリップ転位は
入りにくくなり、無転位化成功率を向上させることがで
きる。
成形加工後、超音波洗浄、混酸処理等をしたシリコン種
結晶を少なくともフッ酸水溶液で処理して酸化膜を除去
した後、該シリコン種結晶を引上げ機炉内の種ホルダー
に保持し、次いで、雰囲気ガスとしてアルゴンまたはア
ルゴンを含む不活性混合ガスを単結晶棒引上げ時の流量
よりも多く流しつつ、高温、不活性ガス雰囲気下のエッ
チング作用により酸化膜を除去した後、シリコン種結晶
をシリコン融液に接触させて、シリコン単結晶の引上げ
を行なえば、シリコン種結晶の表面に酸化膜は殆ど存在
せず、従って、格子間シリコン原子は容易に外方に拡散
するようになるので、スリップ転位が入りにくくなり、
高い無転位化成功率でシリコン単結晶を引上げることが
できる。
は、直径約5mm以上の太絞りが可能となり、ネッキン
グを行なわない無転位種付け法でも、種先端部の溶かし
込み直径を約5mm以上と太くすることができるので、
単結晶棒の今後の大口径化、高重量化に対しても十分対
処することができ、生産性、歩留りを著しく改善するこ
とが可能になる。
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例1)ネッキングを行なわない無転位種付け法の
シリコン種結晶として、図1の(C)に示したように、
直径15mmの丸棒の先端部を円錐状に加工し、超音波
洗浄と混酸処理をした後、表面酸化膜除去のためフッ酸
水溶液処理(フッ酸5%水溶液に10分間浸漬)を施し
た。このように処理されたシリコン種結晶を1時間以内
に引上げ機炉内の種ホルダにセットし、直ちに真空排
気、アルゴンガス100%置換を行なった。その後、シ
リコン融液面上方に20分保温し、直径7mmの太さま
で3mm/minの一定速度で溶かし込んだ。次に、シ
リコン種結晶を0.5mm/minの速度で引上げて、
単結晶コーン部を作製し、直径150mmの単結晶直胴
部を10cmまで引上げて丸めた。この単結晶棒を冷却
して炉内から取り出し、セコエッチング処理してスリッ
プ転位の発生状態を調査した。
スリップ転位の発生はなかった。すなわち、シリコン単
結晶引上げ本数に対する転位発生がなかったシリコン単
結晶本数の割合を百分率で表した値である無転位化成功
率(%)は、90%であった。ここで、セコ(Secc
o)エッチングとは、先ず表面を弗酸と硝酸の混合水溶
液でエッチングして除去した後、K2 Cr2O7 と弗酸と
水との混合水溶液でエッチングするもので、結晶表面の
スリップ転位発生の有無の確認に使用される。
位種付け法のシリコン種結晶として直径15mmの丸棒
の先端部を円錐状に加工し、超音波洗浄と混酸処理とを
施した。このように処理されたシリコン種結晶を1時間
以内に引上げ機炉内の種ホルダにセットし、直ちに真空
排気、アルゴンガス100%置換を行なった。その後、
アルゴンガスの流量を単結晶直胴部引上げ中の150%
多い流量を流しながら、シリコン融液面直上で60分保
温し、直径7mmの太さまで3mm/minの一定速度
で溶かし込んだ。次に、シリコン種結晶を0.5mm/
minの速度で引上げて、単結晶コーン部を作製し、直
径150mmの単結晶直胴部を10cmまで引上げて丸
めた。この単結晶棒を冷却して炉内から取り出し、セコ
エッチング処理してスリップ転位の発生状態を調査し
た。その結果、単結晶棒10本引上げて10本共スリッ
プ転位の発生はなく、無転位化成功率(%)は、100
%であった。
種付け法のシリコン種結晶として直径15mmの丸棒の
先端部を円錐状に加工し、超音波洗浄と混酸処理とを施
した。このように処理されたシリコン種結晶を1時間以
内に引上げ機炉内の種ホルダーにセットし、直ちに真空
排気、アルゴンガス100%置換を行なった。その後、
シリコン融液面上方に20分保温し、直径7mmの太さ
まで3mm/minの一定速度で溶かし込んだ。次に、
シリコン種結晶を0.5mm/minの速度で引上げ
て、単結晶コーン部を作製し、直径150mmの単結晶
直胴部を10cmまで引上げて丸めた。この単結晶棒を
冷却して炉内から取り出し、セコエッチング処理してス
リップ転位の発生状態を調査した。その結果、単結晶棒
10本引上げて6本にスリップ転位の発生はなく、無転
位化成功率は60%であった。スリップ転位の発生した
4本については、全て先端円錐部の溶かし込み部近傍か
らの発生であった。
ように、シリコン種結晶を少なくともシリコン融液に接
触させる以前にシリコン種結晶表面の酸化膜除去処理を
施せば、無転位化成功率を格段に向上させることができ
ることが判る。
るものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明
の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同
一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いか
なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
0mm(6インチ)のシリコン単結晶棒を成長させてい
るが、近年の200mm(8インチ)〜400mm(1
6インチ)への大直径化にも十分対応することができ
る。本発明では、結晶保持装置等を用いることなく、シ
リコンの物性限界値以下であれば、原則としていかなる
直径、長さ、重量の単結晶棒の引上げであっても当然に
適用することができる。
法のみならず、シリコン単結晶引上げ時に磁場を印加す
るMCZ法(Magnetic Field Applied Czochralski Cry
stalGrowth Method)にも同様に適用できることは言う
までもなく、本明細書中で使用したチョクラルスキー法
という用語には、通常のチョクラルスキー法だけでな
く、MCZ法も含まれる。
シリコン種結晶表面の酸化膜に起因する有転位化は防止
され、無転位化成功率はほぼ100%を達成することが
できる。これは、ネッキングを不要とする無転位種付け
法においてのみならず、ネッキングを行う種付け法にお
いても有効で、単結晶棒の大直径化、高重量化にも適応
させることが可能となり、生産性、歩留りならびにコス
トを著しく改善することができる。
を示す斜視図である。 (A)円柱状種結晶、 (B)角柱状種結晶、(C)
円錐状種結晶、 (D)角錐状種結晶、(E)尖った
先端を切り取った円錐状種結晶、(F)尖った先端を斜
めに切り取った円錐状種結晶。
Claims (9)
- 【請求項1】 チョクラルスキー法によるシリコン単結
晶の育成に用いられるシリコン種結晶の処理方法におい
て、該シリコン種結晶をシリコン融液に接触させる以前
に、シリコン種結晶表面の酸化膜を除去しておくことを
特徴とするシリコン種結晶の処理方法。 - 【請求項2】 前記シリコン種結晶表面の酸化膜除去方
法として、シリコン種結晶に少なくともフッ酸水溶液処
理を施すことを特徴とする請求項1に記載のシリコン種
結晶の処理方法。 - 【請求項3】 前記シリコン種結晶表面の酸化膜除去方
法として、該シリコン種結晶を引上げ機炉内の種ホルダ
に保持した後、高温雰囲気下の不活性ガス中でのエッチ
ング作用により酸化膜を除去することを特徴とする請求
項1に記載のシリコン種結晶の処理方法。 - 【請求項4】 前記雰囲気ガスが、アルゴンまたはアル
ゴンを含む不活性混合ガスであることを特徴とする請求
項3に記載のシリコン種結晶の処理方法。 - 【請求項5】 前記引上げ機炉内におけるシリコン種結
晶の酸化膜除去処理において、雰囲気ガスの流量を単結
晶棒引上げ時の流量よりも多く流すことを特徴とする請
求項3または請求項4に記載のシリコン種結晶の処理方
法。 - 【請求項6】 チョクラルスキー法により、シリコン種
結晶を用いて単結晶棒を成長させるシリコン単結晶の製
造方法において、シリコン種結晶表面の酸化膜を、少な
くともフッ酸水溶液処理により除去した後、該シリコン
種結晶を引上げ機炉内の種ホルダに保持し、次いで、雰
囲気ガスとしてアルゴンまたはアルゴンを含む不活性混
合ガスを単結晶棒引上げ時の流量よりも多く流しつつ、
高温、不活性ガス雰囲気下のエッチング作用により酸化
膜を除去した後、シリコン種結晶をシリコン融液に接触
させて、単結晶棒の引上げを行なうことを特徴とするシ
リコン単結晶の製造方法。 - 【請求項7】 請求項6に記載のシリコン単結晶の製造
方法において、円柱状または角柱状のシリコン種結晶を
使用し、ネッキングを行なう種付け法により単結晶棒を
成長させることを特徴とするシリコン単結晶の製造方
法。 - 【請求項8】 請求項6に記載のシリコン単結晶の製造
方法において、先端部の形状が、尖った形状または尖っ
た先端を切り取った形状であるシリコン種結晶を使用
し、ネッキングを行わない無転位種付け法により単結晶
棒を成長させることを特徴とするシリコン単結晶の製造
方法。 - 【請求項9】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
に記載の処理方法により処理されたシリコン種結晶。
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