JPH1121688A - 高純度銀の製法 - Google Patents

高純度銀の製法

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JPH1121688A
JPH1121688A JP19523397A JP19523397A JPH1121688A JP H1121688 A JPH1121688 A JP H1121688A JP 19523397 A JP19523397 A JP 19523397A JP 19523397 A JP19523397 A JP 19523397A JP H1121688 A JPH1121688 A JP H1121688A
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silver
electrolyte
exchange membrane
cathode
electrolytic cell
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JP19523397A
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Shigeru Nakatsu
滋 中津
Takashi Ito
高志 伊藤
Fumio Hanada
文夫 花田
Shintaro Katayama
信太郎 片山
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Tokuyama Corp
Ishifuku Metal Industry Co Ltd
Original Assignee
Tokuyama Corp
Ishifuku Metal Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間安定して電解精製することを可能とし
た、電解による粗銀から高純度銀を製造する方法の提
供。 【解決手段】 陽極に粗銀を使用して電解により、高純
度銀を製造する方法であって、不純物に汚染された電解
液を電解槽から取り出し、表層部に陽イオン性の物質を
存在させた陽イオン交換膜を用いた電気透析槽で電気透
析して、得られた多価イオンを減少せしめた濃縮液を該
電解槽中へ戻すことにより高純度銀を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粗銀から高純度銀
を電解製造する方法に関する。詳しくは、粗銀が電解液
に溶解する際に同時に溶出する不純物の蓄積に伴う、電
解液の汚染の進行を比較的簡便な手段で安定的に阻止
(抑制)することにより、長期間安定して高純度銀を製
造することのできる技術を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】粗銀から高純度銀を製造する方法は、粗
銀よりなる陽極と銀析出用の陰極とを設けた電解槽に銀
イオンを含有する電解液を供給して電解を行い、該陰極
に銀を析出させる、電解法がよく知られている。ところ
が、上記原料として使用する粗銀には、銀以外の金属が
混在しているため、これが電解液に溶解し次第にその濃
度が高くなり、その結果陰極に析出する銀中に共析する
不純物の濃度が増大し、取得した銀の純度を低下させる
という問題を有する。すなわち、電解を継続していくと
電解液中に、銅、ニッケルなどの多価金属イオンが蓄積
し、ついには陰極に銀と共に析出してしまい、精製銀の
純度を低下させてしまう。
【0003】それを回避するために、上記電解法におい
て、陽極と陰極の間にセロハンの隔膜を設け、電解液中
に存在するコロイド状金属を除去する方法(特開昭48
−94620号)が提案されているが、この方法はあく
まで電解液中に存在するコロイドを除去するというもの
であって、そこで共存する多価陽イオンが陰極に析出し
ないように隔離するというものではないし、この方法で
はそれを達成することは難しい。
【0004】また、パラジウムを含有する粗銀から銀を
電解により精製する方法において、電流密度に対するパ
ラジウム濃度を特定の範囲に調整することにより、陰極
への銀の析出を選択的に行う方法(特開昭54−402
28号)も知られている。この方法では、隔膜を使用し
ないでパラジウムの混入量を低く抑えることが可能では
あるものの、電流密度に対してパラジウム濃度を特定の
範囲内に維持する必要があるため、短時間でパラジウム
濃度が増加する。その結果、パラジウム濃度の調整が効
かなくなった電解液は廃棄して新しい液に更新すること
が必要となり、廃液中に含まれている銀の損失を招く。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、粗銀の電解による高純度銀の製造において、粗銀に
含有される不純物が銀の溶解に伴って電解液中に溶出す
ることによって起こる電解液の汚染の進行を比較的簡便
な手段を使って安定的に抑制することにより、長期間電
解を継続しても、電解液の不純物金属イオンによる劣化
の進行を回避し、安定して高純度銀を得ることのできる
方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この銀の
精製方法上の問題を解決し、長期間にわたって電解液を
更新すること無く、高純度銀の電解精製を継続して行い
うる方法を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、連
続的にあるいは断続的に電解液の一部を取り出し、陽イ
オン交換膜、特に表層部に陽イオン性の物質を存在させ
た陽イオン交換膜と陰イオン交換膜の組み合わせからな
る電気透析槽の脱塩室に該電解液を供給して電気透析
し、得られる濃縮液を電解槽中へ電解液として循環する
ことにより目的が達成されることを見い出し、本発明を
完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、銀イオンを含有する
電解液中に、粗銀よりなる陽極と銀析出用の陰極とを設
けて電解を行い、該陰極に銀を析出させる高純度銀の製
法において、上記電解液の少なくとも一部を取り出し、
取り出された電解液を電気透析槽の脱塩室に供給して電
気透析し、銀を選択的に濃縮室に透過させて、この室よ
り多価陽イオン濃度、すなわち多価金属イオン濃度が減
少された銀イオンを含有する電解液を得るという比較的
簡便な手法で電解液を精製し、この精製した電解液を電
解槽に循環する精製循環手段を設けたことを特徴とする
ものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において、電解液として
は、銀を溶解することが可能な溶液であれば特に制限さ
れないが、通常硝酸銀と硝酸を含有する溶液が使用され
る。硝酸銀イオン濃度は0.5〜2.0モル/L、硝酸
濃度は0.1〜2.0モル/Lである。また、陽極とし
ては、銅や鉛の電解精練の陽極泥などから得た既知の粗
銀が特に制限なく使用される。一方、陰極としては、高
純度銀の他、鉄、ニッケル、白金、チタン/白金、カー
ボン、ステンレス鋼などが使用されるが、陰極に高純度
銀以外のものを使用する場合は、析出した銀の取り外し
が容易な電極の材質を選択することが好ましい。例え
ば、かかる観点からするとステンレススチールが好適で
ある。
【0009】更に、上記陰極の構造も既知の構造が特に
制限なく採用される。一般的な構造としては、メッシュ
状、格子状、板状等が挙げられる。それらのうちでは、
精製銀の取り外し易さから、板状のものが好適に使用さ
れる。本発明において、高純度銀の製造は、上記粗銀よ
りなる陽極と任意の陰極とを備えた電解槽に前記電解液
を供給して、電極間に通電することによって実施され
る。
【0010】図1に、本発明において使用される電解槽
の代表的な態様の概略図を示す。この図において、1は
陽極、2は陰極、3は電解室である。上記電解槽の構造
は、既知のものが特に制限されること無く採用される。
また、電解条件も既知の条件が特に制限なく採用され
る。例えば、電流密度は通常10〜60mA/cm2
採用される。また、電解液の温度は通常10〜50℃に
調節される。
【0011】上記電解において、電解を継続すると電解
液中の多価陽イオン濃度が次第に上昇する。本発明にあ
っては、かかる電解液の少なくとも一部を取り出し、電
気透析槽の脱塩室に供給して電気透析を行い、濃縮室よ
り多価陽イオン濃度を減少された銀イオンを含有する電
解液を得た後、再度電解に供する電解液の循環手段を設
けることによって該多価陽イオン濃度の上昇を防止した
ことを特徴とする。
【0012】上記操作によって電解槽中の電解液に含有
される多価陽イオン濃度を5000ppm以下、好まし
くは、3000ppm以下に調整することが望ましい。
上記電解槽より電解液の少なくとも一部を取り出す方法
は、電解槽から配管により移液することによって行われ
る。通常、移液は液受けタンクを設け、これに必要に応
じてポンプを設けて行う。移液の仕方は連続でも、間欠
でもよい。
【0013】上記電気透析で使用される陽イオン交換膜
は特に制限されず、既知の陽イオン交換膜を用いること
ができる。陽イオン交換膜の陽イオン交換基としては、
スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、硫酸エス
テル基、リン酸エステル基等やこれらのイオン交換基の
複数種類を併用させたものが挙げられる。この陽イオン
交換膜は、重合型、縮合型、均一型、不均一型の別な
く、また、補強心材の有無や、炭化水素系のもの、ふっ
素系のもの、材料・製法に由来する陽イオン交換膜の種
類、型式などの別なく如何なるものであっても良い。さ
らに、2N−食塩水溶液を50mA/cm2 の電流密度
で電気透析し、電流効率が70%以上の実質的に陽イオ
ン交換膜として機能するものであれば、一般に両性イオ
ン交換膜と称されるものであっても本発明の陽イオン交
換膜として使用できる。
【0014】上記陽イオン交換膜として、少なくとも一
方の膜表層部に陽イオン性の物質が存在する陽イオン交
換膜を使用することが、多価陽イオンの透過を阻止する
ため特に好ましい。かかる構造のイオン交換膜として
は、既知のものが何等制限されることなく使用される。
例えば、特公昭60−43857号公報、特公昭62−
5179号公報、特開昭62−205135号公報等に
記載のものがある。
【0015】この陽イオン交換膜の膜表層部に存在させ
る陽イオン性物質についても、既知のものが何等制限さ
れることなく使用できる。例えば、1級アミノ基、2級
アミノ基、3級アミノ基および4級アンモニウム基、さ
らにこれらの陽イオン性物質が複数混在したものであ
る。こうした陽イオン性物質の存在量は、特に制限され
るものではないが、不純物を含有し、それが溶出してく
る粗銀の電解液の精製においては、0.0001〜1.
0meq/gであるのが好ましく、より好ましくは0.
0005〜0.9meq/gの範囲が良い。また、選択
透過係数P(Mg/Na)は0.01〜1.0のものを
使用するのが好ましい。
【0016】少なくとも一方の膜表層部に陽イオン性物
質が存在する陽イオン交換膜として好適に使用されるも
のを例示すれば、例えば以下の製法により得られるもの
が挙げられる。即ち、布基材とスチレン/ジビニルベン
ゼン重合体からなる高分子膜状物をクロルスルホン酸/
硫酸混合溶液へ浸漬してベンゼン環にスルホニルクロラ
イド基を導入し、ついでこの膜状物の表面でスルホニル
クロライドとポリエチレンイミン等の多価のアミノ基を
有するポリアミンとを結合させ、さらに膜の内部のスル
ホニルクロライド基を水酸化ナトリウム溶液で加水分解
させて得たものである。
【0017】また、他のものとして、3価の3級アミン
であるペンタメチルイミノビスプロピルアミンを3倍量
のクロルメチルスチレンと反応させて第4級アンモニウ
ム塩基とビニルベンジル基とを3個有する化合物を得、
ついで、この化合物の水溶液中に陽イオン交換膜を浸漬
し陽イオン交換膜の表面部分に該化合物を吸着させ、さ
らに、膜表面のビニル基を重合させて得たものが挙げら
れる。
【0018】そして、陰イオン交換膜も、陽イオン交換
膜同様既知のものが何等制限されること無く使用でき
る。例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ
基、4級アンモニウム基、さらにこれらのイオン交換基
が複数混在した陰イオン交換膜を使用できる。また、こ
の陰イオン交換膜は、重合型、縮合型、均一型、不均一
型の別なく使用でき、その上補強心材の有無や、炭化水
素系のもの、ふっ素系のもの、材料・製法に由来する陰
イオン交換膜の種類、型式などの別なく如何なるもので
あっても良い。さらに、2N−食塩溶液を50mA/c
2 の電流密度で電気透析し、電流効率が70%以上の
実質的に陰イオン交換膜として機能するものであれば、
一般に両性イオン交換膜と称されるものであっても本発
明の陰イオン交換膜として使用できる。
【0019】上記電気透析において、表層部に陽イオン
性の物質を存在させた陽イオン交換膜を使用すると、こ
の膜は選択透過性が一段と優れていることから多価陽イ
オン濃度がさらに減少された銀イオンを含有する電解液
を濃縮室から安定的に得ることができる。多価陽イオン
濃度が減少された銀イオンを含有する電解液を元の電解
槽に循環する方法は、通常はポンプで移液することによ
って行われるものであり、その際の移液は、連続でも、
間欠でもよい。
【0020】本発明において、電気透析槽は、上記した
陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを、陽極と陰極の間
に交互に配置する既知の構造が何等制限なく使用でき
る。最も好適な構造は、各室を形成するための切欠部を
中央に形成して構成される額縁状の室枠を介して陰イオ
ン交換膜と陽イオン交換膜とを交互に配列し、両端より
締め付ける、いわゆるフィルタープレス型の構造であ
る。各室枠には液供給口および液排出口が設けられ、各
液供給口、液排出口は必要に応じて枝管を経由して主管
に接続される。また、室枠内には、室枠の厚みを均一に
維持すると共に、供給された液の流れを均一にするため
の配流作用を有するスペーサーを設けるのが一般的であ
る。
【0021】図2に、本発明で用いられる電気透析槽の
代表的態様の模式図を示す。即ち、図2は陽極11と陰
極12との間に陰イオン交換膜15(A)と陽イオン交
換膜16(C)とを交互に配置した電気透析槽である。
この電気透析槽では、陽極側から陽極室13、脱塩室1
7、濃縮室18、脱塩室17、濃縮室18、陰極室14
に分かれている。この図における陽極11としては、白
金、黒鉛、ニッケル等が、また陰極12としては、白
金、鉄、ステンレス鋼、ニッケル等が好適に用いられ
る。陽極液および陰極液には、既知のものが使用でき、
一般には陰・陽極液として硝酸、硝酸ナトリウム、硫
酸、硫酸ナトリウム及び苛性ソーダの水溶液が用いられ
るが、好ましくは硝酸、硝酸ナトリウムが特によい。
【0022】図3に本発明の電解槽と電気透析槽を組み
合わせた代表的な態様の模式図を示す。図において、電
解槽3は、電気透析槽の脱塩室17の液供給口に連結す
る脱塩室タンク19および必要に応じて電気透析槽の濃
縮室18の液供給口に連結する濃縮液タンク20とに連
結している。そして、上記濃縮室18の液排出口は、ラ
イン21により電解槽3に連結され、脱塩室より移動し
た銀イオンを含む溶液を電解槽に循環するように構成さ
れている。該ライン21には、銀イオンの濃度を調整す
るための液戻しライン22が必要に応じて設けられる。
また、濃縮液タンク20には、水を補給するための供給
ラインが設けられる。さらに説明を続けると、上記脱塩
室17の液排出口は脱塩液タンク19に連結し、脱塩液
を循環できるようになっている。また、脱塩液タンク
は、2価陽イオンの量が増加した脱塩液の一部を抜き出
すための回収タンクが設けられる。次に、上記の電気透
析槽で汚染された電解液を精製する方法において、硝酸
銀を電解液として使用した場合を例にして、以下に説明
する。
【0023】まず電解槽より抜き出された電解液が脱塩
液タンク19を経て脱塩室17に導かれる。次いで、該
脱塩室において主に硝酸イオンと銀イオンが陰陽イオン
交換膜を通過して濃縮室18へと移動する。この際不純
物金属イオンは、陽イオン交換膜が選択透過性であるか
らこの膜を通過することができず、脱塩室には不純物金
属イオンが残存し、その結果濃縮室では高純度の硝酸銀
の溶液を得ることができる。また、この際電気透析に供
される電解液は、電気透析槽のイオン交換膜の目詰まり
を防ぐ意味から、あらかじめ限外ろ過、マイクロろ過ま
たは遠心分離により不溶性懸濁物を除き、清澄な状態と
しておくのが好ましい。
【0024】他方、不純物金属イオン、すなわち、多価
陽イオンが増大した脱塩室液は、前記したように、回収
タンクに回収して廃棄処理される。また、濃縮室におけ
る濃縮液の補給には、水を使用することもできし、電解
槽3の電解液を使用することもできる。その際には電解
槽の電解液の一部を濃縮液タンク20に取り出し、これ
に必要な水を補給しながら、濃縮室18に供給するのが
よい。脱塩室17から銀イオンの選択的な補給を受けた
濃縮液は、多価陽イオンの減少された硝酸銀を含む電解
液として電解槽3に供給され、電解に供される。なお、
電解槽から電気透析槽への電解液の供給は、一定時間電
解を行うごとに断続的に電気透析槽へ供給しても良い
し、電解液の一部を連続的に電気透析槽へ供給し、電解
と電気透析とが並行して行っても良い。
【0025】本発明における電気透析槽の運転条件は、
特に制限されるものではなく、既知の電気透析の運転条
件で実施することができる。一般には電圧が0.1ボル
トから5ボルト/セル、また、電流密度は、特に制限を
受けないが、一般には10〜300mA/cm2、好ま
しくは、20〜200mA/cm2である。温度は、通
常、5〜70℃、好ましくは10〜50℃の範囲であ
る。硝酸銀を完全に濃縮側に移行させようとすると電流
が流れ難くなったり、多価陽イオンが濃縮室へ移行する
ようになる。そのため、バッチで電気透析を行う場合、
硝酸銀の90%が移行したとき好ましくは80%が移行
したとき電気透析を終了するのがよい。
【0026】
【発明の効果】本発明では、陽極室及び陰極室内の電解
液中への不純物金属イオンの蓄積を回避して、電解質の
汚染の進行を阻止するものであり、それにより電解槽内
の電解室の汚染を長期間回避でき、その結果ごく低品位
の粗銀から従来の電解精製法で得られる銀よりもさらに
高純度の銀を長期間にわたって安定して得ることができ
る。また電解液に含まれる銀以外の有価物回収について
も有効である。
【0027】
【実施例】本発明を更に具体的に説明するために下記に
実施例を掲げて説明するが、本発明はこの実施例に限定
されるものではない。電解槽は、図1に示すように1対
の陰陽極を有するものである。有効断面積は100cm
2 である。陽極に粗銀板を陰極にステンレス板(SUS
304板)を設置して電解槽とした。電極間距離は10
cmとした。電解槽には初期に濃度1molの硝酸銀溶
液1000mlを仕込んだ。この実施例では、比較のた
めに実施例そのもである電気透析槽を作動させた状態
と、比較例ともいえる電気透析槽を作動させない状態と
の2つの状態で電解を実施した。
【0028】まずは電気透析槽を作動させずに、電流5
アンペアで、1時間電解させ、陰極に銀20gを析出さ
せた。その時の銀の析出状態は針状であった。また、電
解終了後、電解液中のパラジウム濃度は電解初期より上
昇して500ppmとなっており、得られた析出銀の純
度は99.900%であった。一方、図3に示すよう
に、電解槽と電気透析槽とを併用した装置により、上記
と同様な硝酸銀溶液を使用して本発明の実施例に当たる
電解を実施した。すなわち、電解において、電解液の一
部を連続的に抜き出して電気透析を行い、濃縮室より得
られた2価陽イオンの減少した電解液を電解槽に連続的
に循環して粗銀の電解を行った。
【0029】その際に使用した表層部に陽イオン性物質
を存在させた陽イオン交換膜は以下のようにして製造し
た。すなわち、3価の3級アミンであるペンタメチルイ
ミノビスプロピルアミン20.1g(0.1mol)と
クロルメチルスチレン46g(0.3mol)をメタノ
ール200ml中にて48時間反応させ、第4級アンモ
ニウム塩基とビニルベンジル基を各3個有する化合物を
得た。
【0030】この化合物の1000ppmを含む水溶液
中に(株)トクヤマ製陽イオン交換膜ネオセプタCM−
1を30℃で2時間浸漬し、ついで、窒素雰囲気下重合
開始剤として過硫酸カリウムおよび亜硫酸ナトリウムを
それぞれ1000ppmになるように加え10時間激し
く攪拌した。このようにして陽イオン交換膜を得た。な
お、この陽イオン交換膜は、イオン交換容量が2.20
meq/gであり、膜表面の陰イオン交換性物質(すな
わち陽イオン性物質)の存在量は0.04meq/gで
あった。又、選択透過係数P(Mg/Na)は0.1で
あった。
【0031】電気透析槽は、図2に示すように、(株)
トクヤマ製 フィルタープレス型電気透析槽TS2型を
使用した。有効膜面積は200cm2 /枚である。この
電気透析槽は、1対の陰陽極間に陰イオン交換膜AMX
((株)トクヤマ製)と上記で得られた陽イオン交換膜
を交互に配列して脱塩室と濃縮室とを構成した。電解
は、図3に示すように、電解槽3と電気透析槽とを組み
合わせた装置を使用して行った。
【0032】すなわち、上記電解槽3内の電解液の一部
を連続的に抜き出して脱塩液タンク19を経てポンプに
より脱塩室17に供給した。脱塩室より排出される液は
脱塩液タンクに戻し、一部を回収タンクに排出した。ま
た電気透析槽の濃縮室18には、電解槽3の電解液の一
部が濃縮液タンク20を経てポンプにより連続的に供給
され、ライン21より、パラジウム濃度が50ppm以
下に調整された銀イオンを含有する電解液を電解槽3に
連続的に循環した。なお前記回収タンクに排出された液
量に見合う水を濃縮液タンク20に補給した。
【0033】また、ライン21の電解液は、液戻しライ
ン22よりその一部を濃縮液タンク20に戻し、該電解
液の銀イオン濃度の調整を行った。電解は前記比較例と
同様電流5アンペアで行い、かかる電解を陽極に粗銀を
補給しながら15時間連続して実施した。その結果、得
られた析出銀の純度は99.995%であり、本発明に
よれば、長期間の銀の析出においても、安定して高純度
の銀が得られることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる電解槽の概略を示す模式図
である。
【図2】本発明で用いられる電気透析槽の代表的態様の
模式図を示す。
【図3】本発明の電解槽と電気透析槽を組み合わせた代
表的な態様の模式図を示す。
【符号の説明】
1 陽極 2 陰極 3 電解室 11 陽極 12 陰極 13 陽極室 14 陰極室 15 陰イオン交換膜(A) 16 陽イオン交換膜(C) 17 脱塩室 18 濃縮室 19 脱塩液タンク 20 濃縮液タンク 21 濃縮液の電解槽戻しライン 22 液戻しライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 花田 文夫 山口県徳山市御影町1番1号 株式会社ト クヤマ内 (72)発明者 片山 信太郎 山口県徳山市御影町1番1号 株式会社ト クヤマ内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀イオンを含有する電解液中に、粗銀よ
    りなる陽極と銀析出用の陰極とを設けた電解槽で電解を
    行い、該陰極に銀を析出させる高純度銀の製法におい
    て、上記電解液の少なくとも一部を取り出し、取り出さ
    れた電解液を電気透析槽の脱塩室に供給して電気透析
    し、濃縮室より多価金属イオン濃度が減少された銀イオ
    ンを含有する電解液を得、該電解液を電解槽に循環する
    電解液の精製循環手段を設けたことを特徴とする高純度
    銀の製法。
  2. 【請求項2】 電解液の電気透析によって電解槽内の多
    価金属イオン濃度を5000ppm以下に調整する請求
    項1記載の高純度銀の製法。
  3. 【請求項3】 電気透析槽に使用する陽イオン交換膜
    が、表層部に陽イオン性の物質を存在させた陽イオン交
    換膜である請求項1又は2記載の高純度銀の製法。
  4. 【請求項4】 陽イオン性の物質の存在量を0.000
    5〜0.9meq/gとした請求項3記載の高純度銀の
    製法。
JP19523397A 1997-07-07 1997-07-07 高純度銀の製法 Pending JPH1121688A (ja)

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JP19523397A Pending JPH1121688A (ja) 1997-07-07 1997-07-07 高純度銀の製法

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