JP3967586B2 - 脱アルカリ水ガラスの製造方法 - Google Patents

脱アルカリ水ガラスの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤注入用材として有用な脱アルカリ水ガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
土木工事において、掘削等により崩壊のおそれのある地盤、湧水などにより掘削が困難な地盤などに対して、外部より地盤改良材を注入して地盤を改良する薬液注入工法が汎用されている。
【0003】
現在使用される地盤改良材は種々のものが知られているが、最近では注入による固化物の強度が高くその耐久性に優れること、注入液が一液でありゲルタイムの調節も容易で取り扱いに便利なことから、水ガラスを主成分とするシリカゾル系地盤改良注入材が多く用いられている。
【0004】
しかし、このシリカゾル系地盤改良注入材にはアルカリ金属塩が多く含まれており、これが得られる固結体の強度の低下原因になったり、時間の経過に伴って固結体からアルカリあるいは塩が遊離ないし逸脱して固結体が収縮してその耐久性が低下するといった問題がある。
【0005】
このような欠点を改良するために水ガラスをイオン交換樹脂法によりアルカリ分を除去する方法が採用されている(特開平11−279552号公報)。
【0006】
しかしながら、イオン交換樹脂法による脱アルカリ処理は樹脂の再生を必要とするため長期間の脱アルカリ処理は不可能であり、さらに再生廃液が排出されることやSiO濃度の高い水ガラスは樹脂近傍でゲル化するため、使用する条件に制約が生じてしまう。
【0007】
そこで、最近ではイオン交換膜法電気透析装置により水ガラスを脱アルカリする方法が採用されている(特開平11−61124号公報)。この方法では、電気透析槽と、この槽内部の対向する両端面にそれぞれ配置された一対の陽極および陰極と、これら陽陰電極間の最も陽極側には陰イオン交換膜が、最も陰極側には陽イオン交換膜がそれぞれ位置して、交互に、かつ複数の区画を形成するように配置された陽および陰イオン交換膜とからなり、これら複数の区画のうち、陽極および陰極の位置する区画に水を填充するとともに、その他の区画にそれぞれ水ガラスおよび水を交互に填充し、かつ陽陰電極間に電流を通電することにより、水ガラス中のNaイオンが陽イオン交換膜を介して隣接する一方の側の区画に填充された水中に該膜を通して透過放出され、かつOHイオンが陰イオン交換膜を介して隣接する他方の側の区画に填充された水中に該膜を通して放出され、これにより前記水ガラスが脱アルカリ処理されて脱アルカリ水ガラスを得ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記方法を長期間連続して実施したところ、透析時間の経過と共に脱アルカリ処理能力が低下することが分かった。
【0009】
そこで、本発明は、イオン交換膜法電気透析装置により水ガラスを脱アルカリする方法において、長期連続運転後に低下した脱アルカリ処理能力を効率よく回復させる方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、長期連続運転後に脱アルカリ処理能力が低下するのは、透析時間の経過と共に脱塩室に珪酸塩を主成分とする析出物が付着し、原料供給が困難となったりすることが原因であることを突き止めた。更に、この析出物は全ての脱塩室ではなく、一部の脱塩室にのみ発生することを突き止めた。そして、この析出物の効率的な除去方法について更に検討を行なったところ、析出物が発生した脱塩室にアルカリ水溶液を供給した場合には、上記析出物をほぼ完全に溶解除去でき、当初の脱アルカリ処理能力が回復することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、陽極と陰極との間に陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを交互に配置して、陽極側及び陰極側がそれぞれ陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜で仕切られた複数の脱塩室と、陽極側及び陰極側がそれぞれ陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜で仕切られた複数の濃縮室とを交互に形成した電気透析装置を用い、前記脱塩室に水ガラスを供給して電気透析を行なって脱アルカリ水ガラスを製造する方法において、複数の脱塩室の内、析出物が付着した少なくとも1つの脱塩室にアルカリ水溶液を供給しつつ、少なくとも1つの他の脱塩室に水ガラスを供給して電気透析を行なうことを特徴とする脱アルカリ水ガラスの製造方法である。
本発明の製造方法において、脱塩室に供給するアルカリ水溶液として、脱アルカリ水ガラスを製造する際に副生するアルカリ水溶液、すなわち濃縮室から回収される原料水ガラス由来のアルカリを含むアルカリ水溶液を用いれば、新たなアルカリ水溶液を補給する必要が無いので効率的な製造が可能となる。また、析出物の溶解性の観点から、析出物が発生した脱塩室に供給するアルカリ水溶液の温度を35℃〜40℃とすることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、複数の脱塩室の内、析出物が付着した少なくとも1つの脱塩室にアルカリ水溶液を供給して脱塩室の洗浄を行ないつつ、少なくとも1つの他の脱塩室に水ガラスを供給して電気透析を行なうこと以外は、従来の電気透析による水ガラスの脱塩方法と特に変わる点はない。
【0013】
即ち、電気透析装置としては、例えば特開平11−61124号公報に開示されているような、陽極および陰極の間に陽イオン交換膜(以下、CE膜ともいう。)と陰イオン交換膜(以下、AE膜ともいう。)を交互に配置して、陽極側及び陰極側がそれぞれ陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜で仕切られた複数の脱塩室、並びに陽極側及び陰極側がそれぞれ陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜で仕切られた複数の濃縮室を交互に形成した電気透析装置が何ら制限なく使用できる。
【0014】
また、上記のような装置を構成するのに必要な部材である電極及び各イオン交換膜についても従来の電気透析装置で使用されているものが特に制限なく使用される。
【0015】
即ち、本発明で使用する陽極及び陰極としては、水電解や食塩電解などの電気化学工業で採用されている電極が制限なく用いられる。例えば、陽極材料としてはニッケル、鉄、鉛、チタン、白金、黒鉛などが、また、陰極材料としてはニッケル、鉄、ステンレススチール、白金、チタンなどが好適に用いられる。
【0016】
本発明で使用する陰イオン交換膜(AE膜)は、陰イオン交換基が結合した樹脂からなる陰イオン選択透過性を有する膜であれば特に制限されず公知の陰イオン交換膜が使用できる。陰イオン交換基としては、水溶液中で正の電荷となり得る官能基が特に制限なく採用できる。具体的には、1〜3級アミノ基、ピリジル基、4級アンモニウム塩基、4級ピリジニウム塩基、さらにこれらのイオン交換基が混在したものなどが挙げられる。AE膜としては、重合型、縮合型、均質型、不均質型等の区別無く使用することができ、さらに、補強のために使用する補強材の有無や、イオン交換基が結合する樹脂の材質(通常、炭化水素系樹脂またはフッ素系樹脂が使用されている)も特に制限されない。なお、本発明の製造方法においては、使用する液が水ガラス、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性溶液であるため、耐アルカリ性のAE膜を使用することが望ましい。
【0017】
本発明で使用する陽イオン交換膜(CE膜)は、陽イオン交換基が結合した樹脂からなる陽イオン選択透過性を有する膜であれば特に制限されず公知の陽イオン交換膜が使用できる。陽イオン交換基としては、水溶液中で負の電荷となり得る官能基が特に制限なく採用できる。具体的には、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、さらにこれらのイオン交換基が混在したものなどが挙げられる。CE膜としては、重合型、縮合型、均質型、不均質型等の区別無く使用することができ、さらに、補強のために使用する補強材の有無や、イオン交換基が結合する樹脂の材質(通常、炭化水素系樹脂またはフッ素系樹脂が使用されている)も特に制限されない。なお、本発明の製造方法においては、使用する液が水ガラス、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性溶液であるため、耐アルカリ性のCE膜を使用することが望ましい。
【0018】
本発明で使用する電気透析装置においては、互いに対向するように配置された陽極と陰極の間に、AE膜とCE膜とを交互に配置して、陽極側及び陰極側がそれぞれAE膜及びCE膜で仕切られた(すなわち陽極側の隔膜がAE膜であり陰極側の隔膜がCE膜である)脱塩室と、該脱塩室と隣り合うように、陽極側及び陰極側がそれぞれCE膜及びAE膜で仕切られた(すなわち陽極側の隔膜がCE膜であり陰極側の隔膜がAE膜である)濃縮室とが形成されている。
【0019】
本発明においてはこのような構成の電気透析装置が好適に使用できる。図1に代表的な電気透析装置を示した。
【0020】
図1に示す電気透析装置1においては、互いに対向するように配置された陽極2と陰極3との間に、陽極側から順にCE膜5とAE膜4とが交互に且つ最も陰極側がCE膜5となるように配列されて、陽極室6、陰極室7、脱塩室8、及び濃縮室9が構成されている。各室内には、流路を確保するためのスペーサーや液を均等配流するための配流板が設けられている。これらスぺーサーや配流板の形状については特に限定されないが、析出物発生防止効果があり、仮に析出物が発生した場合においても容易にこれを除去出来る構造のもの、例えばトンネル型構造のものを使用するのが好適である。また、各室枠には液供給口および液排出口が設けられ、各液供給口、液排出口は必要に応じて枝管を経由して主管に接続されている。
【0021】
上記脱塩室8には、原料液である水ガラスを供給するための原料液供給路10が接続されており、原料液が連続的或いは断続的に水ガラスタンク18(該タンクには、図示しないラインによってフレッシュな原料水ガラスが供給できるようになっている。)から供給できるようになっている。また、濃縮室9には濃縮液供給路11を通して水酸化ナトリウム等の電解質の水溶液からなる濃縮液が濃縮液タンク19(該タンクには、図示しないラインによってフレッシュな濃縮液、或いは濃度調整用の稀釈水が供給できるようになっている。)から連続的に或いは断続的に供給できるようになっている。また、脱塩室8には脱アルカリ(脱塩)された原料液(すなわち生成液)の全部又は一部を連続的又は断続的に抜き出すための生成液抜出し路12が接続されており、さらに生成液の一部は水ガラスタンク18に循環できるようになっている。また、濃縮室には塩濃度が増大した濃縮液の全部又は一部を連続的又は断続的に抜き出すための濃縮液抜出し路13が接続されており、さらに塩濃度が増大した濃縮液の一部は濃縮液タンク19に循環できるようになっている。
析出物が発生した脱塩室21には、析出物を溶解させるアルカリ水溶液を供給するためのアルカリ水溶液供給路22が接続されており、アルカリ水溶液が連続的或いは断続的にアルカリ水溶液タンク20(該タンクには、図示しないラインによってフレッシュなアルカリ水溶液が供給できるようになっている。)から供給されるようになっている。また、析出物が発生した脱塩室21には析出物を溶解したアルカリ水溶液の全部又は一部を連続的又は断続的に抜き出すためのアルカリ水溶液抜出し路23が接続されており、さらにアルカリ水溶液の一部はアルカリ水溶液タンク20に循環できるようになっている。
【0022】
また、陽極室6及び陰極室7にはそれぞれ陽極液供給路14および陰極液供給路15、並びに陽極液抜出し路16及び陰極液抜出し路17が接続されており、電解開始時に陽極液及び陰極液としての電解液(電解質の水溶液)が供給できるようになっていると共に、運転時においては電解質水溶液を連続的又は断続的に供給し、濃度が増大した液を抜き出せるようになっている。
【0023】
なお、ここで、脱塩室とは、電気透析時において該室に塩の水溶液を供給した場合に塩に由来するアニオンが陽極側のAE膜を透過して拡散すると共に、塩に由来するカチオンが陰極側のCE膜を透過して拡散し、結果として該室内の塩濃度が低下する室を意味する。また、濃縮室とは、同様にして電気透析を行なったときにAE膜及びCE膜からそれぞれ隣接する脱塩室に供給された塩由来のアニオン及びカチオンが各膜を透過して流入し、結果として該室内の塩濃度が増大する室を意味する。したがって、本発明の製造方法においては、脱塩室に原料水ガラスを供給し、濃縮室に水酸化アルカリ水溶液等の電解質水溶液からなる濃縮液を供給して電気透析を行なうことにより、脱塩室に供給された水ガラス中に存在するNaイオン等のアルカリ金属イオンがCE膜を透過して該CE膜を介して隣接する濃縮室に拡散するとともに、同じく水ガラス中に存在するOHイオンがAE膜を透過して該AE膜を介して隣接する濃縮室に拡散し、結果として水ガラス中のアルカリ濃度が低下した水ガラスを得ることができる。また、このとき、濃縮室では、両隣の脱塩室から拡散してきたNaイオン等のアルカリ金属イオン及びOHイオンが閉じ込められ、濃度の上昇した水酸化アルカリ水溶液が得られる。
【0024】
本発明においては、脱塩室および濃縮室がそれぞれ複数形成されたものであれば良いが、工業的な規模での実施をする場合には、製造効率の観点から電気透析装置における膜の配列は、陽極−CE膜−(AE膜−CE膜)n−陰極(但し、nはAE膜とCE膜の配列の繰り返し数である。)で示したときにnが5〜200とするのが好適である。特に、各室を形成するための切欠部を中央に有する室枠を介して前記した好適なnの範囲となるように各膜を配列し、両端より締め付ける、いわゆるフィルタープレス型の構造とするのが好適である。
【0025】
また、このような装置を用いて水ガラスの脱塩を行なう方法も従来の方法と変わる点は特に無く、例えば次のような方法により行なうことができる。
【0026】
即ち、電気透析を行なうに際しては、先ず陽極室6、陰極室7、及び濃縮室9にそれぞれ水酸化ナトリウム等の電解質の水溶液からなる陽極液、陰極液、及び濃縮液を供給し、更に脱塩室8に原料液となる水ガラスを供給し、次いで陽極と陰極の間に電圧を印加し、電気透析を開始すればよい。
【0027】
このとき、原料として使用する水ガラスは、二酸化珪素とアルカリとを融解して得られたアルカリ金属珪酸塩水溶液であれば特に限定されないが、調製の容易さから高シリカ(SiO)濃度の水ガラスを水で希釈し、シリカ(SiO)濃度が3〜8wt%、特に5〜7wt%に調製したものを使用するのが好適である。高シリカ(SiO)濃度の水ガラスとしては、工業的に入手できることからJIS規格3号水ガラス(シリカ濃度28〜30wt%)を用いるのが好適である。
【0028】
また、陽極液、陰極液、及び濃縮液となる電解質の水溶液としては、一般に0.1〜2(mol/L)の水酸化アルカリ水溶液が用いられる。
【0029】
電気透析中においては、原料液や濃縮液を連続的又は断続的に供給すると共に脱塩された原料液や濃度が増大した濃縮液を連続的又は断続的に抜き出せばよい。このとき、各イオン交換膜の電気抵抗の上昇を防止するために、各室内の溶液を撹拌しながら電気透析を行うことが好適である。撹拌の手段としては、各液を循環させるのが好適であり、そのためには各室の外部に液の種類ごとにタンクを設けて、各々の室と外部タンクとの間でポンプ等を用いて液を循環させるのが好適である。このような方式を採用することにより、生成物の脱アルカリ水ガラスの脱塩状態を制御することも容易になる。
【0030】
電気透析を行なう際の電流密度は特に制限を受けないが、一般には0A/dmを越えて10A/dm2以下、特に0A/dm2を越えて5A/dm2以下が好適である。
【0031】
通常、このような方法で電気透析を行ない水ガラスの脱塩を長時間行なうと、脱塩室に徐々に珪酸塩を主成分とする析出物が発生し、原料水ガラスの供給が困難になったり、膜抵抗が上昇したりして、脱塩を続けることが困難となる。
【0032】
本発明の製造方法においては、このような現象発生の原因となる上記析出物を溶解除去しながら運転を継続する。つまり、複数の脱塩室の内、析出物が付着した少なくとも1つの脱塩室にアルカリ水溶液を供給しつつ、少なくとも1つの他の脱塩室に水ガラスを供給して電気透析を行なう。析出物が発生した脱塩室にアルカリ水溶液を供給することによって、脱塩室に付着した析出物を溶解することができる。
【0033】
一般には、析出物は電極室に近い脱塩室、通常は陰極室および陽極室からそれぞれ数えて5室目以内の脱塩室に析出しやすいため、この脱塩室にアルカリ水溶液を供給すれば十分目的を達成することができる。ただし、析出物が発生する場所は電極室近辺だけではなく、他の場所でも発生する恐れがあるため、析出物が析出した脱塩室には、本発明によりアルカリ水溶液を供給すればよい。
【0034】
析出物の発生した脱塩室を発見する方法は、電気透析中の電圧を用いることができる。これは、析出物が発生した脱塩室の電圧は、析出物が発生していない脱塩室の電圧より高くなることを利用したもので、数枚毎の脱塩室の電圧をモニターしておくことによって、析出物の発生を発見することができる。なお、析出物の量が多くなりすぎると、溶解除去が困難になる場合があるので、電気透析時の電圧、電流密度、原料液供給圧、又は生成液が特定の塩濃度に達するのに要する時間等をモニターしておき、これらが予め定めた特定値になった時に脱塩室にアルカリ水溶液を供給するようにしておくのが好適である。
【0035】
本発明の製造方法で洗浄液として使用するアルカリ水溶液は特に限定されないが、水ガラスとして好適に使用されるJIS規格3号水ガラスがナトリウム塩である観点から、水酸化ナトリウム水溶液であるのが好適である。また、洗浄時間を短く、且つ洗浄に要する液量を少なくし、イオン交換膜面に付着した析出物を効率よく除去できるという観点から、洗浄に用いるアルカリ水溶液の濃度は装置等に悪影響を与えない範囲で高い方が好ましい。このようなことから、本発明における洗浄液としては、0.5mol/L以上、特に1mol/L以上の濃度の水酸化ナトリウム溶液を用いるのが好ましい。
【0036】
さらに、析出物が発生した脱塩室に供給するアルカリ水溶液として、脱アルカリ水ガラスを製造する際に副生するアルカリ水溶液、すなわち濃縮室から回収される原料水ガラス由来のアルカリを含むアルカリ水溶液を用いれば、新たなアルカリ水溶液を補給する必要が無いので効率的な製造が可能となる。
【0037】
また、析出物の溶解性の観点から、析出物が発生した脱塩室に供給するアルカリ水溶液の温度は装置等に悪影響を与えない範囲で高い方が好ましい。このようなことから、本発明におけるアルカリ水溶液としては、30℃〜40℃、特に35℃〜40℃の温度の水酸化ナトリウム水溶液を用いるのが好ましい。
【0038】
析出物が発生した脱塩室にアルカリ水溶液を供給する時間は特に制限を受けないが、アルカリ水溶液の供給を終了する目安として、運転中の電圧を用いることができる。これは、脱塩室に発生した析出物がアルカリ水溶液に溶解すると脱塩室の電圧が低下することを利用したもので、析出物の溶解が進むに連れて脱塩室の電圧が減少する。本発明においては、発生した析出物の全てを溶解除去する必要はなく、上記電圧値が予め定めた特定値になった時に終了すればよいが、脱塩能力をより回復させるという観点からは、析出物の全てを溶解除去するのが好適である。
【0039】
脱塩室に供給する液を水ガラスからアルカリ水溶液に、或いはアルカリ水溶液から水ガラスに切り替える方法は、水ガラスタンクとアルカリ水溶液タンクからの供給液を切り替える切替バルブを各液の供給路に設ければよく、特に析出物が析出しやすい陰極および陽極近辺の脱塩室5室程度に供給する各液の供給路に切り替えバルブを設けておけばよい。
【0040】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限られるものではない。
【0041】
実施例1
原料水ガラスの脱塩は、表1に示す仕様のトクヤマ社製の電気透析装置(TS2-10型)を用い、JIS規格3号水ガラスを水で希釈してSiO含有量を4.6wt%(NaO濃度1.45wt%)に調整した水ガラスを脱塩室に供給し、水酸化ナトリウムを水で希釈して0.5mol/Lに調整した水酸化ナトリウム水溶液を濃縮室に供給して脱塩処理を行なった。新しいイオン交換膜を用いた上記装置による初回の電気透析で原料液である2Lの水ガラスのNaO濃度が0.49wt%になるまで処理した場合の平均電流密度は1.4A/dm2であり、脱アルカリに要した時間は52分であった。電気透析前後の液組成および電気透析性能を表2に示す。この時、各濃縮室に挿入した白金線により脱塩室1室と濃縮室1室とを合わせた1対毎の電圧を測定したところ、全て0.5V/対であった。
【0042】
初回の電気透析のあと、同様の運転を繰返していくと、平均電流密度が徐々に低下し、透析時間が徐々に長くなった。通算で250時間通電(以下、単に長期通電という。)を行なった後、原料液として2Lの水ガラスを用い104分間通電を行ない、電気透析性能を測定した。電気透析前後の液組成および電気透析性能を表3に示す。なお、この時の平均電流密度は0.7A/dm2であった。また、この時の1対毎の電圧値を測定したところ、陰極側から1対目の電圧値は1V/対であり、残りの9対は0.44V/対であった。
長期通電後に電気透析槽を解体したところ、陰極側から1対目の脱塩室に珪酸塩を主成分とする析出物が発生していた。電気透析槽を再度組立てて、表4に示す条件で電気透析を実施した。陰極側から1対目の脱塩室に25℃の1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を供給すること以外は表1と同じ条件である。この時の電気透析条件および電圧変化を表4に示す。陰極側から1対目の脱塩室の電圧は徐々に低下して、2時間後に0.1Vに収束した。
その後、表1の条件で電気透析を実施した。原料液である2Lの水ガラスのNaO濃度が0.49wt%になるまで処理を行なった。その結果、平均電流密度は1.4A/dm2、脱アルカリに要した時間は52分であり、電気透析性能が回復していることが確認された。透析終了後、電気透析槽を解体して陰極側から1対目の脱塩室を観察したところ、析出物の発生は見られなかった。
【0043】
【表1】
Figure 0003967586
【0044】
【表2】
Figure 0003967586
【0045】
【表3】
Figure 0003967586
【0046】
【表4】
Figure 0003967586
【0047】
実施例2
イオン交換膜を新品に交換した後、実施例1と同様に長期通電を実施した。長期通電を行なった後、原料液として2Lの水ガラスを用い104分間通電を行ない、電気透析性能を測定した。電気透析前後の液組成および電気透析性能を表3に示す。なお、この時の平均電流密度は0.7A/dm2であった。また、この時の1対毎の電圧値を測定したところ、陰極側から1対目の電圧値は1V/対であり、残りの9対は0.44V/対であった。
長期通電後に電気透析槽を解体したところ、陰極側から1対目の脱塩室に珪酸塩を主成分とする析出物が発生していた。電気透析槽を再度組立てて、表4に示す条件で電気透析を実施した。陰極側から1対目の脱塩室に25℃の濃縮液(水酸化ナトリウム濃度1mol/L)を供給すること以外は表1と同じ条件である。陰極側から1対目の脱塩室の電圧は徐々に低下して、2時間後に0.1Vに収束した。
その後、表1の条件で電気透析を実施した。原料液である2Lの水ガラスのNaO濃度が0.49wt%になるまで処理を行なった。その結果、平均電流密度は1.4A/dm2、脱アルカリに要した時間は52分であり、電気透析性能が回復していることが確認された。透析終了後、電気透析槽を解体して陰極側から1対目の脱塩室を観察したところ、析出物の発生は見られなかった。
【0048】
実施例3
イオン交換膜を新品に交換した後、実施例1と同様に長期通電を実施した。長期通電を行なった後、原料液として2Lの水ガラスを用い104分間通電を行ない、電気透析性能を測定した。電気透析前後の液組成および電気透析性能を表3に示す。なお、この時の平均電流密度は0.7A/dm2であった。また、この時の1対毎の電圧値を測定したところ、陰極側から1対目の電圧値は1V/対であり、残りの9対は0.44V/対であった。
長期通電後に電気透析槽を解体したところ、陰極側から1対目の脱塩室に珪酸塩を主成分とする析出物が発生していた。電気透析槽を再度組立てて、表4に示す条件で電気透析を実施した。陰極側から1対目の脱塩室に31℃の濃縮液(水酸化ナトリウム濃度1mol/L)を供給すること以外は表1と同じ条件である。陰極側から1対目の脱塩室の電圧は徐々に低下して、1.5時間後に0.1Vに収束した。
その後、表1の条件で電気透析を実施した。原料液である2Lの水ガラスのNaO濃度が0.49wt%になるまで処理を行なった。その結果、平均電流密度は1.4A/dm2、脱アルカリに要した時間は52分であり、電気透析性能が回復していることが確認された。透析終了後、電気透析槽を解体して陰極側から1対目の脱塩室を観察したところ、析出物の発生は見られなかった。
【0049】
実施例4
イオン交換膜を新品に交換した後、実施例1と同様に長期通電を実施した。長期通電を行なった後、原料液として2Lの水ガラスを用い104分間通電を行ない、電気透析性能を測定した。電気透析前後の液組成および電気透析性能を表3に示す。なお、この時の平均電流密度は0.7A/dm2であった。また、この時の1対毎の電圧値を測定したところ、陰極側から1対目の電圧値は1V/対であり、残りの9対は0.44V/対であった。
長期通電後に電気透析槽を解体したところ、陰極側から1対目の脱塩室に珪酸塩を主成分とする析出物が発生していた。電気透析槽を再度組立てて、表4に示す条件で電気透析を実施した。陰極側から1対目の脱塩室に38℃の濃縮液(水酸化ナトリウム濃度1mol/L)を供給すること以外は表1と同じ条件である。陰極側から1対目の脱塩室の電圧は徐々に低下して、1時間後に0.1Vに収束した。
その後、表1の条件で電気透析を実施した。原料液である2Lの水ガラスのNaO濃度が0.49wt%になるまで処理を行なった。その結果、平均電流密度は1.4A/dm2、脱アルカリに要した時間は52分であり、電気透析性能が回復していることが確認された。透析終了後、電気透析槽を解体して陰極側から1対目の脱塩室を観察したところ、析出物の発生は見られなかった。
【0050】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、イオン交換膜電気透析法により水ガラスを脱アルカリして、地盤改良材として好適に使用できる脱アルカリ水ガラスを製造するに際し、電気透析中に一部の脱塩室に珪酸塩を主成分とする析出物が発生して脱アルカリ処理能力が低下した場合に、当該脱塩室にアルカリ水溶液を供給することによりその効率を回復させ、再び高い脱塩効率で脱アルカリ水ガラスを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本図は、本発明の製造方法で使用できる代表的な電気透析装置の模式図である。
【符号の説明】
1・・・電気透析装置
2・・・陽極
3・・・陰極
4・・・陰イオン交換膜
5・・・陽イオン交換膜
6・・・陽極室
7・・・陰極室
8・・・脱塩室
9・・・濃縮室
10・・原料液供給路
11・・濃縮液供給路
12・・生成液抜出し路
13・・濃縮液抜出し路
14・・陽極液供給路
15・・陰極液供給路
16・・陽極液抜出し路
17・・陰極液抜出し路
18・・水ガラスタンク
19・・濃縮液タンク
20・・アルカリ水溶液タンク
21・・析出物が発生した脱塩室
22・・アルカリ水溶液供給路
23・・アルカリ水溶液抜出し路

Claims (3)

  1. 陽極と陰極との間に陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを交互に配置して、陽極側及び陰極側がそれぞれ陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜で仕切られた複数の脱塩室と、陽極側及び陰極側がそれぞれ陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜で仕切られた複数の濃縮室とを交互に形成した電気透析装置を用い、前記脱塩室に水ガラスを供給して電気透析を行なって脱アルカリ水ガラスを製造する方法において、複数の脱塩室の内、析出物が付着した少なくとも1つの脱塩室にアルカリ水溶液を供給しつつ、少なくとも1つの他の脱塩室に水ガラスを供給して電気透析を行なうことを特徴とする脱アルカリ水ガラスの製造方法。
  2. 脱塩室に供給するアルカリ水溶液として、脱アルカリ水ガラスを製造する際に副生するアルカリ水溶液を用いることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 温度が30℃〜40℃のアルカリ水溶液を脱塩室に供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
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