JPH07313098A - 減塩醤油の製造方法および製造装置 - Google Patents

減塩醤油の製造方法および製造装置

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JPH07313098A
JPH07313098A JP6110044A JP11004494A JPH07313098A JP H07313098 A JPH07313098 A JP H07313098A JP 6110044 A JP6110044 A JP 6110044A JP 11004494 A JP11004494 A JP 11004494A JP H07313098 A JPH07313098 A JP H07313098A
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貢 山本
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宣契 山本
Toshio Furukawa
俊夫 古川
Munenori Nakano
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気透析装置を用いて、醤油のpH変化を小
さくできるとともに、醤油中のアミノ酸組成を変化させ
ることなく、塩分を減少させる減塩醤油の製造方法なら
びにその製造装置を提供する。 【構成】 陰陽両電極間に陽極側から陽イオン交換膜、
バイポーラ膜、陰イオン交換膜の順に設置した1個以上
の繰り返し単位と、陽イオン交換膜、陰イオン交換膜の
順に設置した1個以上の繰り返し単位とにより構成した
電気透析装置を有することを特徴とする減塩醤油の製造
装置、ならびにこれを用いて、該脱塩室に醤油を送液
し、該醤油中の塩分を減少させることを特徴とする減塩
醤油の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、減塩醤油の製造方法な
らびに製造装置に関するものであって、より詳しくは、
電気透析装置を用いて、醤油のpH変化を小さくできる
とともに、醤油中のアミノ酸組成を変化させることな
く、塩分を減少させることを特徴とする減塩醤油の製造
方法ならびにその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電気透析装置を用いて醤油の脱塩を行う
方法として、従来、「無塩醤油の製造方法」(特公昭4
7−46360号公報)、「減塩醤油の製造方法」(特
公昭61−20263号公報)などが知られている。こ
れらの方法は、陰陽両極間に陰陽イオン交換膜を配列し
た電気透析槽に醤油を供給し、直流電流の作用により醤
油中の食塩をイオン交換膜を介して隣室に移動脱塩さ
せ、エキス分を該室に残留させてなる醤油の製造方法で
ある。
【0003】これらの従来の陰陽イオン交換膜を用いた
電気透析法では、醤油中の食塩濃度を所定濃度まで低下
させることのみを目的としており、陽イオン交換膜およ
び陰イオン交換膜を介してそれぞれ移動したNaイオン、
Clイオンは濃縮室に移動し、食塩水溶液として系外に廃
棄している。しかし、このような陰陽イオン交換膜を用
いた電気透析法による減塩醤油の製造方法にあっては、
交換膜の性能によって所定の通電電圧に達すると、それ
以上の効果が得られず、電流効率が悪くなり、また醤油
の呈味をなすアミノ酸組成のバランスが崩れたり、pH
が上昇することによって減塩醤油の品質が悪化するとい
う問題があった。
【0004】このような従来技術の認識の元に、本出願
人らは既にバイポーラ膜を配した三室式電気透析装置を
用いて醤油中の塩分を減少させる方法として、陰陽両電
極間に陽イオン交換膜と陰イオン交換膜、およびバイポ
ーラ膜を順次配列して陰イオン交換膜と陽イオン交換膜
との間に醤油を、バイポーラ膜と陽イオン交換膜との間
にアルカリ性液、バイポーラ膜と陰イオン交換膜との間
に酸性液をそれぞれ通液しながら陰陽両電極間に直流電
流を通じて、アミノ酸のバランスを崩すことなく醤油中
の塩分を減少させる方法について特許出願をしている。
【0005】この方法によれば、脱塩室は陰イオン交換
膜を介して酸性液と接触し、他方は陽イオン交換膜を介
してアルカリ性液と接触しているため、膜内のpH挙動
からアミノ酸の等電点付近で脱塩するためにアミノ酸が
膜を透過し難く、脱塩室の醤油中のアミノ酸のロスが低
減されると考えられるとともに醤油中のpH変化を抑制
でき、しかも電流効率よく、酸およびアルカリを生成し
て脱塩することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記発
明を追試し、さらなる研究を継続する過程において、前
記の三室式電気透析法で脱塩を行う場合、脱塩室は陰イ
オン交換膜を介して酸性液と接触し、他方は陽イオン交
換膜を介してアルカリ性液と接触しているため、陰陽イ
オン交換膜は電気泳動によるイオンの移動の他、通電量
と無関係にそれぞれ酸およびアルカリの濃度差が駆動源
となる拡散をともなう、即ち、酸液は陰イオン交換膜を
介し脱塩室に拡散移動し、アルカリ液は陽イオン交換膜
を拡散移動する現象を呈することを見いだした。
【0007】したがって、このような三室式電気透析槽
により醤油を脱塩する場合、脱塩室に拡散移動する酸お
よびアルカリ量は、イオン交換面積、透析時間、酸およ
びアルカリの濃度に比例して増大するため、脱塩室にあ
る醤油のpHの変化が起こり易く、得られる脱塩醤油の
品質が安定しないという結果を招くおそれがある。ま
た、三室式電気透析槽では、醤油の脱塩室1室に対して
酸とアルカリが生成する、すなわち、減塩する醤油の塩
分を、全て酸およびアルカリとして生成する構造を有す
るため、必要以上に酸とアルカリを生成すると貯蔵する
タンク容量が大きくなり、設備費が増大する。
【0008】そこで、本発明者らは前記課題の解決にむ
けて鋭意研究の結果、陰イオン交換膜、陽イオン交換膜
およびバイポーラ膜を配列した特定の構成を有する本発
明による電気透析槽を用いることにより、上記の問題が
解決し得るという知見を得、本発明を完成するに至っ
た。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決するために提案されたものであって、次の構成を特
徴とする。すなわち、本発明によれば、陰陽両極間に陽
極側から陽イオン交換膜、バイポーラ膜、陰イオン交換
膜の順に設置した1個以上の繰り返し単位と陽イオン交
換膜、陰イオン交換膜の順に設置した1個以上の繰り返
し単位とにより構成した電気透析装置において、陽極側
から陰イオン交換膜と陽イオン交換膜との間に形成され
る室に醤油を送液し、該醤油中の塩分を減少させること
を特徴とする減塩醤油の製造方法が提供される。
【0010】また本発明によれば、陰陽両極間に陽極側
から陽イオン交換膜、バイポーラ膜、陰イオン交換膜の
順に設置した1個以上の繰り返し単位と陽イオン交換
膜、陰イオン交換膜の順に設置した1個以上の繰り返し
単位とにより構成した透析槽、すなわち、酸、アルカリ
室の片側が、脱塩室と接触しない濃縮室を1室以上設け
る電気透析槽を有することを特徴とする減塩醤油の製造
装置が提供される。
【0011】上記構成から成ることにより、減塩醤油を
製造するに当たって、脱塩室と接触する酸室、アルカリ
室の面積割合を減らすことにより、拡散移動する酸、ア
ルカリ室および膜内のpHの影響によりアミノ酸が膜を
透過し難い効果を発現することができる。
【0012】
【作用】本発明の電気透析槽においては、バイポーラ膜
と陽イオン交換膜との間に形成されるアルカリ室にアル
カリ性液、バイポーラ膜と陰イオン交換膜との間に形成
される酸室に、酸性液、陰イオン交換膜と陽イオン交換
膜との間に形成される脱塩室に脱塩される醤油、および
該陽イオン交換膜と他の陰イオン交換膜との間に形成さ
れる濃縮室に塩水溶液をそれぞれ通液しながら、陰陽両
電極間に直流電流を通じることにより、脱塩液のpHの
変化をなくし、またバイポーラ膜の両側の酸、アルカリ
室および膜内のpHの効果によりアミノ酸が膜を透過し
ない効果、すなわち、アミノ酸が他の室に移動し醤油中
のアミノ酸をロスすることなく塩分を減少させることが
できる。
【0013】
【発明の具体的説明】以下に、本発明を添付図面に基づ
いて説明する。ここで、図1は、本発明に係る減塩醤油
の製造方法を適用した代表的な製造装置の模式図であ
る。透析槽1は電気透析槽であって、陽電極2から陽イ
オン交換膜、バイポーラ膜、陰イオン交換膜の順に設置
した1個の繰り返し単位と、陽イオン交換膜、陰イオン
交換膜の順に設置した1個の繰り返し単位とにより構成
した膜が所定の間隔を置いて配列された電気透析装置に
おいて、バイポーラ膜と陽イオン交換膜の間にアルカリ
室4、バイポーラ膜と陰イオン交換膜との間に酸室5、
陰イオン交換膜と陽イオン交換膜との間に脱塩室6、お
よび該陽イオン交換膜と他の陰イオン交換膜との間に濃
縮室7を有する。なお、本発明の電気透析槽において、
電極と膜との基本的な構成は、陽極−(C−B−A)n
−(C−A)n−(C−B−A)n−(C−A)n−C
−陰極である。(ただし、nは()内の繰り返しを意味
する。)
【0014】ここで、バイポーラ膜Bは従来公知のもの
をなんら制限なく使用することができ、例えばイオン交
換基導入可能な高分子フィルムの片面を部分的に被覆
し、カバーフィルムの接触していない方の表面をスルホ
ン化して陽イオン交換基を導入した後、カバーフィルム
を剥離し、剥離した表面に陰イオン交換基を導入したバ
イポーラ膜(特開昭55−86821号公報、特開昭5
5−99927号公報)、陰イオン交換膜と陽イオン交
換膜との界面を無機化合物で処理し、両膜を接合したバ
イポーラ膜(特開昭59−47235号公報)などを使
用することができる。
【0015】陰イオン交換膜Aは、特に限定されず、公
知の陰イオン交換膜を用いることができる。例えば、4
級アンモニウム基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級
アミノ基、更にこれらのイオン交換基の複数種類が混在
したような陰イオン交換膜を使用することができる。ま
た、該陰イオン交換基は重合型、縮合型、均一型、不均
一型の別なく、また、補強芯材の有無や炭化水素系のも
の、弗素系のもの、材料・製造方法に由来する陰イオン
交換膜の種類、型式などの別なく如何なるものであって
も良い。さらに、2規定食塩水溶液を5A/dm2 の電
流密度で電気透析し、電流効率が70%以上の実質的に
陰イオン交換膜として機能するものであれば、一般に両
性イオン交換膜と称されるものであっても本発明の陰イ
オン交換膜として使用することができる。陰イオン交換
膜は、酸を透過させ易い傾向があるので酸を透過させに
くい陰イオン交換膜を使用するのが好ましい。
【0016】陽イオン交換膜Cは、特に限定されず、公
知の陽イオン交換膜を用いることができる。例えば、ス
ルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、硫酸エステ
ル基、リン酸エステル基を有するもの、更にこれらのイ
オン交換基の複数種類が混在したような陽イオン交換膜
を使用することができる。また、陽イオン交換基は重合
型、縮合型、均一型、不均一型の別なく、また、補強心
材の有無や炭化水素系のもの、弗素系のもの、材料・製
造方法に由来する陽イオン交換膜の種類、型式などの別
なく如何なるものであっても良い。さらに、2規定食塩
水溶液を5A/dm2 の電流密度で電気透析し、電流効
率が70%以上の実質的に陽イオン交換膜として機能す
るものであれば、一般に両性イオン交換膜と称されるも
のであっても本発明の陽イオン交換膜として使用するこ
とができる。高い水酸イオン濃度中でも安定で電流効率
が高く、電気抵抗が低い陽イオン交換膜を使用するのが
好ましい。
【0017】そして、この透析槽1には、タンク10内
の醤油11をポンプ12によって陽極側の陰イオン交換
膜Aと陰極側の陽イオン交換膜Cとの間の脱塩室6に醤
油を供給して脱塩室6からタンク10に回収し、タンク
13内の水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)などのア
ルカリ性液14をポンプ15によってバイポーラ膜Bと
陽イオン交換膜Cとの間のアルカリ室4に供給して、ア
ルカリ室4からタンク13に回収し、タンク16内の塩
酸水溶液(HCl)などの酸性液17をポンプ18によ
ってバイポーラ膜Bと陰イオン交換膜Aとの間の酸室5
に供給し、酸室5からタンク16に回収し、タンク19
内の塩化ナトリウム水溶液(NaCl)などの塩濃縮液
20をポンプ21によって陽極側の陽イオン交換膜Cと
陰極側の陰イオン交換膜Aとの間の塩濃縮室7に供給
し、塩濃縮室7からタンク19に回収して、これら醤
油、アルカリ性液、酸性液、塩濃縮液を循環させる。
【0018】ここで、この製造装置によって製造される
醤油としては、生醤油及び火入れ醤油があり、種類とし
ては、濃口、淡口、たまり醤油、白醤油、酵素分解によ
る化学醤油などを挙げることができる。醤油の生成過程
は、先ず、熟成されたもろ味が圧搾機によって圧搾され
て、そのろ過液が生醤油となる。そして、この生醤油を
ろ過して芽胞子、バクテリアなどの夾雑物を除去した
後、プレートヒーターで加熱殺菌、すなわち火入れをす
る。この工程後、醤油をタンクに静置して、火入れオリ
をタンクの低部に沈降させた所謂オリ工程を行い上部の
清澄液を回収して火入れ醤油、すなわち製品とする。
【0019】また、アルカリ室4及び酸室5に供給する
アルカリ液および酸液の仕込濃度は、通常0.05規定
から3規定のもの、好ましくは0.1規定から2規定の
ものを使用する。また、生成してきた酸またはアルカリ
を抜き出す方法としては、次の方法を好適に採用するこ
とができる。 酸室及びアルカリ室に初めに薄い酸またはアルカリ
水溶液をそれぞれ仕込み、酸またはアルカリを生成させ
所定の濃度になったとき、所定量を抜き出し、次に水を
補充して薄め、初めの酸またはアルカリ濃度にするバッ
チ式方法。 酸室及びアルカリ室に予め所定の酸またはアルカリ
水溶液を仕込んでおき、通電時に通電電気量に応じて連
続的に水を添加することにより所定濃度の酸またはアル
カリ水溶液をオーバーフローさせる連続方法。
【0020】本発明において、電気透析を行う時の各種
液の温度は、通常、5ないし50℃、好ましくは、10
ないし40℃の範囲で行う。また、電流密度は、特に制
限を受けないが、一般には1ないし30A/dm2 、好
ましくは2ないし20A/dm2 で行う。
【0021】以上のように構成した本発明の電気透析槽
で減塩醤油を製造するには、醤油11を陰イオン交換膜
Aと陽イオン交換膜Cとの間の脱塩室6に供給して、水
酸化ナトリウム水溶液(NaOH)などのアルカリ性液
14ををバイポーラ膜Bと陽イオン交換膜Cとの間のア
ルカリ室4に、塩酸水溶液(HCl)などの酸性液17
をバイポーラ膜Bと陰イオン交換膜Aとの間の酸室5に
供給し、塩化ナトリウム水溶液(NaCl)などの塩濃
縮液20を陽極側の陽イオン交換膜Cと陰極側の陰イオ
ン交換膜Aとの間の塩濃縮室7に供給し、これら醤油、
アルカリ性液、酸性液および塩濃縮液を循環させる。
【0022】ここで、図2および3に陰陽両電極間に陽
イオン交換膜Cと陰イオン交換膜Aおよびバイポーラ膜
Bを用いた本発明の電気透析槽の他の例を、また、図4
に三室式電気透析槽の膜配列、脱塩室の室数を、図2、
3と同数、たとえば6室にした模式図を示す。本発明の
電気透析槽(図1)において、脱塩室6の片面はイオン
交換膜を介してアルカリ室4または酸室5と隣接する
が、他面はイオン交換膜を介して濃縮室7と隣接してい
る。
【0023】電気透析槽(図2)は、陽極から(C−B
−A)の繰り返し単位が1個、(C−A)の繰り返しが
3個、(C−B−A)の繰り返し単位が1個、(C−
A)の単位が1個、−C−陰極の模式図である。この脱
塩室6の片面は酸室5に2か所、アルカリ室4に1か所
が隣接し、他面は濃縮室7に隣接している。電気透析槽
(図3)では、陽極から(C−A)の繰り返し単位が3
個、(C−B−A)の繰り返しが1個、(C−A)の繰
り返しが2個、−C−陰極で構成されている。
【0024】これに対して、三室式電気透析槽(図4)
においては、すべての脱塩室6が、両面ともに、イオン
交換膜を介してアルカリ室4または酸室5のいずれかと
隣接している。そのため、本発明の電気透析槽では、三
室式電気透析槽に比べて、脱塩室6にイオン交換膜を介
してアルカリ液または酸液と接触する面積が約1/5と
小さい。したがって、本発明の実施においては、脱塩室
6に拡散するアルカリ液および酸液の量が少なく、脱塩
される醤油のpH変化が小さいという結果を得ることが
できる。
【0025】このことは、従来の陰イオン交換膜、陽イ
オン交換膜、バイポーラ膜を使用した三室式電気透析法
に比べて、醤油のpH変化を小さくできるとともに、こ
れら陰イオン交換膜、陽イオン交換膜、バイポーラ膜を
使用した三室式電気透析法の特徴であるアミノ酸を損失
せず、その組成バランスを崩すことなく、塩分を減少さ
せることができるという利点を意味するものである。ま
た、副生産物である塩酸および水酸化ナトリウムにより
電気透析膜を洗浄することができる。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、陰陽両極間に陽極側か
ら陽イオン交換膜、バイポーラ膜、陰イオン交換膜の順
に設置した1個以上の繰り返し単位と、陽イオン交換
膜、陰イオン交換膜の順に設置した1個以上の繰り返し
単位とにより構成した電気透析装置において、バイポー
ラ膜と陽イオン交換膜の間にアルカリ性液、バイポーラ
膜と陰イオン交換膜との間に酸性液、陽極側から陰イオ
ン交換膜と陽イオン交換膜との間に形成される室に醤
油、および該陽イオン交換膜との間に濃縮液をそれぞれ
通液できる電気透析槽を用いることにより、前記陰陽両
電極間に直流電流を通じて脱塩液のpHの変化をなく
し、醤油の塩分を減少させることができる。また、陽イ
オン交換膜、バイポーラ膜、陰イオン交換膜の順に設置
した1個以上の繰り返し単位を任意の数にすることで、
副生物である塩酸、苛性ソーダの生成量を制御すること
ができる。
【0027】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために下記
に実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれ
らの実施例に限定されるものではない。
【0028】<実施例1>バイポーラ膜電気透析槽(株
式会社トクヤマ製TS3B−2−5型)を用い、図1に
示すように一対の陰陽極間に陽イオン交換膜(株式会社
トクヤマ製ネオセプタCMS)と陰イオン交換膜(株式
会社トクヤマ製ネオセプタACS)、およびバイポーラ
膜(株式会社トクヤマ製ネオセプタBP−1)を配列し
た。通常の製造方法により醸造された濃口生醤油4Lを
脱塩室に、酸室に0.1規定の塩酸4L、アルカリ室に
0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液4L、塩濃縮室に
塩化ナトリウム溶液4Lをそれぞれ透析室内の線速度が
6cm/sec.になるように循環供給し、また、両極
室に1規定の炭酸ナトリウム溶液を循環供給した。各液
温度は、熱交換器により20ないし30℃に制御した。
電流密度は10A/dm2 で120分間、バッチ式電気
透析を行った。
【0029】<実施例2>バイポーラ膜電気透析槽(株
式会社トクヤマ製TSB−2−5型)を用い、図1に示
す様に一対の陰陽極間に陽イオン交換膜(株式会社トク
ヤマ製ネオセプタCMS)と陰イオン交換膜(株式会社
トクヤマ製ネオセプタACS)、およびバイポーラ膜
(株式会社トクヤマ製ネオセプタBP−1)を配列し
た。通常の製造方法により醸造された濃口生醤油4Lを
脱塩室に、酸室に0.1規定の塩酸4L、アルカリ室に
0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液4L、塩濃縮室に
塩化ナトリウム溶液4Lをそれぞれ透析室内の線速度が
6cm/sec.になるように循環供給し、また、両極
室に1規定の炭酸ナトリウム溶液を循環供給した。各液
温度は、熱交換器により20ないし30℃に制御した。
電流密度は6A/dm2 で200分間、バッチ式電気透
析を行った。
【0030】<比較例1>脱塩室、酸室、アルカリ室か
らなる三室式バイポーラ膜電気透析槽(株式会社トクヤ
マ製TS3B−2−5型)を用い一対の陰陽極間に陽イ
オン交換膜(株式会社トクヤマ製ネオセプタCMS)と
陰イオン交換膜(株式会社トクヤマ製ネオセプタAC
S)およびバイポーラ膜(株式会社トクヤマ製ネオセプ
タBP−1)を配列し、実施例1と同数の脱塩室とし
た。通常の製造方法により醸造された濃口生醤油4Lを
脱塩室に、酸室に0.1規定の塩酸4L、アルカリ室に
0.2規定の水酸化ナトリウム水溶液をそれぞれ透析室
内の線速度が6cm/sec.になるように循環供給
し、また、両極室に1規定炭酸ナトリウム溶液を循環供
給した。各液温度は、熱交換器により20ないし25℃
に制御した。電流密度は10A/dm2 120分間、バ
ッチ式電気透析を行った。
【0031】<比較例2>脱塩室、酸室、アルカリ室か
らなる三室式バイポーラ膜電気透析槽(株式会社トクヤ
マ製TS3B−2−5型)を用い、一対の陰陽極間に陽
イオン交換膜(株式会社トクヤマ製ネオセプタCMS)
と陰イオン交換膜(株式会社トクヤマ製ネオセプタAC
S)およびバイポーラ膜(株式会社トクヤマ製ネオセプ
タBP−1)を配列し、実施例1と同数の脱塩室とし
た。通常の製造方法により醸造された濃口生醤油4Lを
脱塩室に、酸室に0.1規定の塩酸4L、アルカリ室に
0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液をそれぞれ透析室
内の線速度が6cm/sec.になるように循環供給
し、また、両極室に1規定の炭酸ナトリウム溶液を循環
供給した。各液温度は、熱交換器により20ないし25
℃に制御した。電流密度は6A/dm2 で200分間、
バッチ式電気透析を行った。
【0032】<比較例3>脱塩室、濃縮室からなる二室
式電気透析槽(株式会社トクヤマ製TS−2−5型)を
用い1対の陰陽極間に陽イオン交換膜(株式会社トクヤ
マ製ネオセプタCMS)と陰イオン交換膜(株式会社ト
クヤマ製ネオセプタACS)を配列し、実施例1と同数
の脱塩室とした。通常の製造方法により醸造された濃口
生醤油4Lを脱塩室に、濃縮室に0.1規定の食塩水溶
液4L、をそれぞれ透析室内の線濃度が6cm/se
c.になるように循環供給し、また両極室に1規定の炭
酸ナトリウムを循環供給した。各液温度は、熱交換器に
より20ないし25℃に制御した。電流密度は6A/d
2 で20分間、バッチ式電気透析を行った。
【0033】上記した具体的実施例と比較例による方法
について、醤油の減塩処理を行い、通電時間に対する醤
油中の食塩濃度とpHについて比較した。実施例ならび
に比較例の結果を表1に示す。また、脱塩醤油中のアミ
ノ酸組成の面から比較した結果を表2に示す。表2は原
液を100とした場合のアミノ酸の残存率を示す。
【表1】
【表2】
【0034】表1より、比較例1および比較例2におい
ては、脱塩が進行するとともにpHが低下し、比較例3
においてはpHが上昇するが、実施例1および実施例2
においては、脱塩が進行してもpHは変化しないことが
わかる。表2より、バイポーラ膜を使用して醤油の脱塩
をした実施例1、2および比較例1、2のアミノ酸の減
少率に比べ、比較例3のバイポーラ膜を使用しない2室
式電気透析槽による脱塩は、終了時の醤油中のアミノ酸
が減少していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る減塩醤油の製造方法を適用した製
造装置の模式図である。
【図2】本発明に係る減塩醤油の製造方法を適用した製
造装置の他の模式図である。
【図3】本発明に係る減塩醤油の製造方法を適用した製
造装置の他の模式図である。
【図4】従来法による減塩醤油の製造方法を適用した製
造装置の模式図である。
【符号の説明】
A 陰イオン交換膜 B バイポーラ膜 C 陽イオン交換膜 1 透析槽 2 陽電極 3 陰電極 4 アルカリ液室 5 酸性液室 6 脱塩室 7 塩濃縮液室 8 醤油タンク 10 醤油タンク 11 醤油 12 醤油循環ポンプ 13 アルカリ液タンク 14 アルカリ液 15 アルカリ液循環ポンプ 16 酸性液タンク 17 酸性液 18 酸性液循環ポンプ 19 塩濃縮タンク 20 塩濃縮液 21 塩濃縮液循環ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古川 俊夫 千葉県野田市野田339番地 キッコーマン 株式会社内 (72)発明者 中野 宗徳 千葉県野田市野田339番地 キッコーマン 株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰陽両電極間に陽極側から陽イオン交換
    膜、バイポーラ膜、陰イオン交換膜の順に設置した1個
    以上の繰り返し単位と、陽イオン交換膜、陰イオン交換
    膜の順に設置した1個以上の繰り返し単位とにより構成
    した電気透析装置において、陽極側から陰イオン交換膜
    と陽イオン交換膜との間に形成される室に醤油を送液
    し、該醤油中の塩分を減少させることを特徴とする減塩
    醤油の製造方法。
  2. 【請求項2】 陰陽両電極間に陽極側から陽イオン交換
    膜、バイポーラ膜、陰イオン交換膜の順に設置した1個
    以上の繰り返し単位と、陽イオン交換膜、陰イオン交換
    膜の順に設置した1個以上の繰り返し単位とにより構成
    した電気透析装置を有することを特徴とする減塩醤油の
    製造装置。
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