JPH11214803A - 狭帯域発振エキシマレーザ及びその波面最適化方法 - Google Patents

狭帯域発振エキシマレーザ及びその波面最適化方法

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JPH11214803A
JPH11214803A JP2380398A JP2380398A JPH11214803A JP H11214803 A JPH11214803 A JP H11214803A JP 2380398 A JP2380398 A JP 2380398A JP 2380398 A JP2380398 A JP 2380398A JP H11214803 A JPH11214803 A JP H11214803A
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達也 有我
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孝昇 中池
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 狭帯域化エキシマレーザにおいて、良質な光
品位を得ることのできる光学部品の組み合わせを選定
し、この光学部品の特性を調整して波面の最適化を行な
う。 【解決手段】 狭帯域発振エキシマレーザの狭帯域化の
ための狭帯域化ユニット12の各光学部品の波面特性W
(X,Y) を測定し、その波面特性W(X,Y) を足し合わせる
ことによって、前記狭帯域化ユニット12から出射する
ユニット波面34の波面形状KU(X,Y)を演算によって求
め、これに基づいて部品選定を行なうとともに、選定し
た光学部品を組み立てて前記狭帯域化ユニット12を構
成し、この波面形状KU(X,Y)を実測しながら光学部品の
曲率を調整して波面の最適化を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学部品を組み合
わせて狭帯域発振エキシマレーザの波面を最適化する方
法、及び波面を最適化された狭帯域発振エキシマレーザ
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、半導体製造装置用の縮小投影
露光装置(以下ステッパと言う)の光源として、エキシ
マレーザの実用化が進められている。これは、エキシマ
レーザの波長が短いことから、加工の際にレンズなどの
光学素子によって微細なパターンを解像できるので、よ
り精密な加工が可能であることによる。
【0003】しかしながら、このエキシマレーザから発
振する光は、その波長のスペクトル幅である線幅がステ
ッパ用としては広く、しかも中心波長が変動しているの
で、そのままではレンズなどの光学素子を透過する際に
色収差や焦点ボケが生じて露光ミスの原因となる。その
ため、エキシマレーザの共振器内にグレーティングなど
の波長選択素子を搭載して、前記線幅を狭くし、かつ前
記中心波長を安定化する狭帯域化という技術が不可欠で
ある。この線幅と中心波長の安定性を、波長特性と総称
する。
【0004】図15は、本願出願人が特願平9−174
478号(未公開)に開示した技術の一例であり、以下
同図に基づいて従来技術を説明する。同図において、エ
キシマレーザ4のチャンバ1にはレーザガスが封止され
ており、放電電極2による放電によってエネルギーが供
給され、レーザ光3を発振させる。このレーザ光3はリ
アウィンドウ5から出射し、ビームエキスパンダ9を通
過する間にその径が拡げられ、グレーティング10に入
射する。グレーティング10は、図示しない角度アクチ
ュエータによってレーザ光3の光路に対する角度が制御
されており、選択された所定の波長だけを発振させるこ
とで前記狭帯域化を行なっている。ビームエキスパンダ
9及びグレーティング10を、狭帯域化ユニット12と
総称する。この狭帯域化ユニット12によって波長を制
御されたレーザ光3はフロントウィンドウ13を透過
し、一部が部分反射ミラーであるフロントミラー14を
透過して図中左方向へ出射する。また、このままではレ
ーザ光3の断面形状が放電の状況によって変動するので
ステッパの露光などに使用するには不適であり、これを
所望の形状に整形するため、アパーチャ6が共振器内に
挿入されている。
【0005】ところで、前記従来技術によれば、当初は
光軸に対して垂直な波面を持つ平面波であったレーザ光
3の波面が、レーザ光3が光学部品の内部を通過したり
表面で反射したりする間に歪むことが知られている。こ
れは、光学部品の内部の屈折率分布の不均一性やその表
面の加工精度の不均一性、或いはアパーチャ6の端部に
おける回折などの原因によるものである。
【0006】以下、図16、図17に基づいて、前記波
面の歪みについて説明する。図16に、図中左方から光
軸18に対して垂直な垂直波面を持つ平面波19である
レーザ光3が、例えば中央部がわずかに膨らんだ形状を
したウィンドウ16に入射する場合を示す。ガラスの比
屈折率がおよそ1.5程度であるため、ガラス中を透過
する際には光速がほぼ2/3に低下し、このウィンドウ
16の中央部を通過する光はその端部を通過する光に比
べて長い距離を通過しなければならないために波面の進
行が遅れる。すなわち、ウィンドウ16は、透過するレ
ーザ光3の波面を進行方向に対して中央が凹んだ凹面波
21に変化させる特性を持つ。さらにこのレーザ光3
が、例えば中央がわずかに凹んだ形状のウィンドウ17
に入射すると、このウィンドウ17は前述したウィンド
ウ16の場合とは反対の理由で透過光の波面を中央が突
出した凸面波にする特性を持つので、レーザ光3の波面
は元の平面波19にほぼ戻ることになる。
【0007】次に図17には、図中左方から入射した平
面波19を持つレーザ光3が、前記と同様に中央部がわ
ずかに膨らんだウィンドウ16を通過して前記凹面波2
1に変化した後、反射面の中央がわずかにふくらんだ形
状をした全反射ミラー22で反射される場合を示す。凹
面波21は凹面を保った状態で反射され、図中左方向へ
向かう凸面波23となる。そして、前記ウィンドウ16
を再通過することによって平面波19に戻される。この
ように、さまざまな特性を有する光学部品を組み合わせ
ることによって、レーザ光3の波面の歪みもさまざまに
変化する。
【0008】このような凸面波23や凹面波21が平坦
な形状のグレーティング10に入射すると、グレーティ
ング10のそれぞれの溝にレーザ光3が異なる角度で入
射することになるので、グレーティング10による波長
選択性能を低下させてしまう。このため、前記線幅が広
がるなどの現象が起きて狭帯域化がうまくゆかず、レー
ザの波長特性が低下する。
【0009】そこで、前記従来技術においては、グレー
ティング10に入射するレーザ光3の波面の凹凸に対
し、図示しない曲率アクチュエータによってグレーティ
ング10を曲げることによってその波長選択特性を補正
し、良質な前記波長特性を得るようにしている。これ
を、波面補正と言う。
【0010】図18に基づいて、前記波面補正について
詳細に説明する。同図は、狭帯域化ユニット12の詳細
図である。ここで、ビームエキスパンダ9は、同図に示
すように例えばプリズム7A及びプリズム7Bから構成
されているものとし、またこれに入射した入射波面32
が、前記ビームエキスパンダ9を通過することによって
中央が凹んだ凹面波を有するグレーティング波面15に
なるものとする。前記従来技術では、これに対して図示
しない前記曲率アクチュエータによってグレーティング
10に図中矢印10aの力を加えてその表面を凸面に湾
曲させ、前記凹面波に平行に合わせるようにしている。
これにより、グレーティング10のそれぞれの溝にレー
ザ光3がほぼ等しい角度で入射するので、良好な波長特
性を得ることができる。もしグレーティング波面15が
凸面波であれば、グレーティング10の表面を逆に凹面
に湾曲させるようにすればよい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来技術における波面補正には次のような問題点がある。
【0012】まず、従来技術ではグレーティング10の
曲げのみによって前記波面補正を行なっているが、この
曲げによってグレーティング10が破損する可能性があ
る。また、グレーティング10の表面には精密な溝が刻
まれており、その波長選択性能を低下させずに曲げられ
る曲率の許容範囲には限界がある。そのため、グレーテ
ィング波面15の歪みが前記許容範囲よりも大きくなっ
た場合は、この方法ではグレーティング波面15に対す
る波面補正を行なうことができなくなり、エキシマレー
ザ4の前記波長特性が低下する。
【0013】また、前記波面補正は前記狭帯域化ユニッ
ト12をエキシマレーザ4に搭載し、エキシマレーザ4
を発振させて、その波長特性を計測しながら行なわなけ
ればならない。そのため、実際に発振させるまでは波面
補正の効果が不明であり、波面補正がうまくゆかなかっ
た場合には前記狭帯域化ユニット12の一部の光学部品
を交換するなどして波長特性を再計測しなければならな
いため、原因の究明に長時間を要する。また、前記波面
補正には熟練を必要とするため、作業者によって波面補
正の結果が異なり、波長特性に関する繰り返し精度のば
らつきが大きくなる。
【0014】さらに、個々の光学部品が波面を歪める程
度は大きくなくても、これらを組み合わせることによっ
て前記波面の歪みが増幅されることがある。従来技術で
は、各々の光学部品をランダムに組み合わせ、結果とし
て生じた波面の歪みに対応してグレーティング10で波
面補正を行なっている。そのため、各々の光学部品の特
性が不明であり、組み合わせの選択を誤ると適切な光学
部品を不適切であると判断して放棄することがあるな
ど、部品購入のコストが増大する。
【0015】本発明は、上記の問題点に着目してなされ
たものであり、波面が最適化されたエキシマレーザ用光
学部品の組み合わせにより構成できる狭帯域発振エキシ
マレーザ及びその波面最適化方法を提供することを目的
としている。
【0016】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記の目
的を達成するために、請求項1に記載の発明は、狭帯域
発振を行なう狭帯域発振エキシマレーザ4において、そ
れぞれの光学部品に対して既知の波面を入射させた際の
出射波面41の形状である波面特性W(X,Y) を測定し、
このそれぞれの波面特性W(X,Y) に基づいて、エキシマ
レーザ4から出射するレーザ光3の波面であるレーザ波
面39の波面形状KL(X,Y)を演算し、このレーザ波面3
9の波面形状KL(X,Y)が所定の形状になるように選択及
び調整された光学部品を備えている。
【0017】請求項1に記載の発明によれば、エキシマ
レーザの各光学部品について波面特性を計測し、これに
基づいて光学部品を選択して組み合わせ、エキシマレー
ザから出射するレーザ波面の波面形状が所定の形状にな
るようにしている。レーザ波面の波面形状は、波長特性
に対して最適形状を有するので、これによって実際に発
振を行なわずとも波長特性を又は所定の範囲に収めるよ
うに最適化することができ、良質な光品位のレーザ光を
得ることができる。
【0018】また、請求項2に記載の発明は、狭帯域化
を行なうための光学部品を有する狭帯域化ユニット12
を備え、狭帯域発振を行なう狭帯域発振エキシマレーザ
4において、それぞれの光学部品に対して既知の波面を
入射させた際の出射波面41の形状である波面特性W
(X,Y) を測定し、このそれぞれの波面特性W(X,Y) に基
づいて、狭帯域化ユニット12から出射するレーザ光3
の波面であるユニット波面34の波面形状KU(X,Y)を演
算し、このユニット波面34の波面形状KU(X,Y)が所定
の形状になるように選択及び調整された狭帯域化ユニッ
ト12の光学部品を備えている。
【0019】請求項2に記載の発明によれば、狭帯域化
ユニットの各光学部品について波面特性を計測し、これ
に基づいて光学部品を選択して組み合わせ、狭帯域化ユ
ニットから出射するユニット波面の波面形状が所定の形
状になるようにしている。ユニット波面の波面形状は、
波長特性に対して最適形状を有するので、これによって
実際に発振を行なわずとも波長特性を又は所定の範囲に
収めるように最適化することができ、良質な光品位のレ
ーザ光を得ることができる。
【0020】また、請求項3に記載の発明は、発振した
レーザ光3を整形するビームエキスパンダ9と、ビーム
エキスパンダ9の出射光を入射して狭帯域化するグレー
ティング10とを有する狭帯域発振エキシマレーザ4に
おいて、それぞれの光学部品に対して既知の波面を入射
させた際の出射波面41の形状である波面特性W(X,Y)
を測定し、このそれぞれの波面特性W(X,Y) に基づい
て、前記ビームエキスパンダ9から出射するレーザ光3
の波面を構成する成分であるグレーティング波面15の
波面形状KG(X,Y)を演算し、このグレーティング波面1
5の波面形状KG(X,Y)が所定の形状になるように選択及
び調整された前記ビームエキスパンダ9の光学部品を備
えている。
【0021】請求項3に記載の発明によれば、各光学部
品について波面特性を計測し、これに基づいて光学部品
を選択して組み合わせ、ビームエキスパンダを出射して
グレーティングに入射するレーザ光の波面形状を所定の
形状にするようにしている。これにより、波面補正のた
めにグレーティングを大きく曲げる必要がなくなるの
で、グレーティングの波長選択特性が低下せず、好適に
波面補正を行なえる。また、良質な光品位のレーザ光を
得ることができる。
【0022】また、請求項4に記載の発明は、狭帯域発
振を行なう狭帯域発振エキシマレーザ4において、前記
狭帯域発振エキシマレーザ4に既知の波面を入射させた
際の出射波面41であるレーザ波面39の波面形状KL
(X,Y)を測定して、この波面形状KL(X,Y)が所定の形状
になるように波面を調整する調整手段を備えている。
【0023】請求項4に記載の発明によれば、狭帯域発
振エキシマレーザに既知の波面を入射させた際の出射波
面であるレーザ波面の波面形状を測定し、これを所定の
形状になるように光学部品を調整している。レーザ波面
の波面形状は、波長特性に対して最適形状を有するの
で、これによって実際に発振を行なわずとも波長特性を
又は所定の範囲に収めるように最適化することができ、
良質な光品位のレーザ光を得ることができる。また、個
々の光学部品の前記波面特性によらず、エキシマレーザ
全体を最適化することが可能である。
【0024】また、請求項5に記載の発明は、狭帯域化
を行なうための光学部品を有する狭帯域化ユニット12
を備え、狭帯域発振を行なう狭帯域発振エキシマレーザ
4において、前記狭帯域化ユニット12に既知の波面を
入射させた際の出射波面41であるユニット波面34の
波面形状KU(X,Y)を測定し、この波面形状KU(X,Y)が所
定の形状になるように波面を調整する調整手段を有する
狭帯域化ユニット12を備えている。
【0025】請求項5に記載の発明によれば、前記狭帯
域化ユニットに既知の波面を入射させた際の出射波面で
あるユニット波面の波面形状を測定して、これを所定の
形状になるように光学部品を調整している。ユニット波
面の波面形状は波長特性に対して最適形状を有するの
で、これによって実際に発振を行なうことなしに波長特
性を最適化するか、又は所定の範囲に収めることがで
き、良質な光品位のレーザ光を得ることができる。ま
た、個々の光学部品の前記波面特性によらず、狭帯域化
ユニット全体を最適化することが可能である。
【0026】また、請求項6に記載の発明は、狭帯域発
振を行なう狭帯域発振エキシマレーザ4の波面最適化方
法において、既知の波面を入射させた際の出射波面41
の形状である波面特性W(X,Y) をそれぞれの光学部品に
対して測定し、このそれぞれの波面特性W(X,Y) に基づ
いて、各光学部品を組み合わせた際の波面形状K(X,Y)
を演算し、この波面形状K(X,Y) が所定の形状となるよ
うに前記各光学部品の選択を行なうようにしている。
【0027】請求項6に記載の発明によれば、各光学部
品に対して波面特性を測定し、これらの光学部品を組み
合わせた際にこれらの光学部品から出射するレーザ光の
波面形状を演算によって導き、これが所定の形状となる
ように光学部品の選択を行なっている。光学部品の波面
形状は波長特性に対して最適形状を有するので、これに
よりあらかじめ適切な光学部品の組み合わせを選択して
エキシマレーザを組み立てることができ、良質な光品位
のレーザ光を得ることができる。
【0028】また、請求項7に記載の発明は、狭帯域発
振を行なう狭帯域発振エキシマレーザ4の波面最適化方
法において、狭帯域化ユニット12を組み立て、前記狭
帯域化ユニット12に既知の波面を入射させた際の出射
波面41であるユニット波面34の波面形状KU(X,Y)を
前記組み立てられた狭帯域化ユニット12に対して測定
し、この波面形状KU(X,Y)が所定の形状となるように光
学部品の調整を行なうようにしている。
【0029】請求項7に記載の発明によれば、狭帯域化
ユニットを組み立て、この狭帯域化ユニットに既知の波
面を入射させた際の出射波面であるユニット波面の波面
形状を測定して、これが所定の形状になるように狭帯域
化ユニットの各光学部品を調整している。この狭帯域化
ユニットの波面形状は波長特性に対して最適形状を有す
るので、これを所定の形状に調整することにより、良質
な光品位のレーザ光を得ることができる。また、組み立
てた光学部品をレーザに搭載する前に調整を行なうこと
ができるので、実際に発振を行なうことなしに波長特性
を所定の範囲に収めることができ、搭載してから調整が
うまくゆかないということがなく、調整時間を短縮でき
る。また、調整時に発振のための電力が不要であり、調
整のためのコストを低減できる。
【0030】また、請求項8に記載の発明は、狭帯域発
振を行なう狭帯域発振エキシマレーザ4の波面最適化方
法において、狭帯域発振エキシマレーザ4を組み立て、
この狭帯域発振エキシマレーザ4に既知の波面を入射さ
せた際の出射波面41であるレーザ波面39の波面形状
KL(X,Y)を前記組み立てられたエキシマレーザ4に対し
て測定し、この波面形状KL(X,Y)が所定の形状となるよ
うに光学部品の調整を行なうようにしている。
【0031】請求項8に記載の発明によれば、狭帯域発
振エキシマレーザを組み立て、このエキシマレーザに既
知の波面を入射させた際の出射波面であるレーザ波面の
波面形状を測定して、これが所定の形状になるようにエ
キシマレーザの各光学部品を調整している。エキシマレ
ーザの波面形状は波長特性に対して最適形状を有するの
で、これを所定の形状に調整することにより、良質な光
品位のレーザ光を得ることができる。また、組み立てた
光学部品をレーザに搭載する前に調整を行なうことがで
きるので、実際に発振を行なうことなしに波長特性を所
定の範囲に収めることができ、搭載してから調整がうま
くゆかないということがなく、調整時間を短縮できる。
また、調整時に発振のための電力が不要であり、調整の
ためのコストを低減できる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、図を参照しながら、本発明
に係わる実施形態を詳細に説明する。なお、図において
同一の符号を付したものは、従来技術と同一の構成を表
すものとする。
【0033】図1〜図2に基づいて、第1の実施形態を
説明する。図1に、フィゾー干渉計によって、測定対象
8であるプリズム7の特性を計測する際の構成を示す。
同図において、例えばKrFエキシマレーザの発振波長
である248nmの発振波長に近い発振波長を持つアルゴ
ン倍波レーザ25から発振したレーザ光29を基準光と
し、このレーザ光29を拡散レンズ26、ビームスプリ
ッタ28及びコリメータレンズ27を透過させて拡大
し、拡大された平面波40を部分透過ミラーからなる参
照ミラー31に入射させる。この参照ミラー31は両面
が平行に精密研磨されており、透過或いは反射による波
面の歪みを最小限に抑えている。
【0034】前記レーザ光29は、前記参照ミラー31
で一部が反射されて参照光となり、一部は参照ミラー3
1を透過して、測定対象8であるプリズム7に入射す
る。プリズム7を透過した光の波面を出射波面41とす
ると、これがミラー24に垂直に入射して反射され、前
記プリズム7を逆向きに透過して参照ミラー31に逆向
きに入射し、波面42を有した測定光となる。ミラー2
4は、前記参照ミラー31と同様にその表面が平坦に精
密研磨されており、入射した光の波面をそのままの形で
反射するようにしている。
【0035】ここで、前記参照光と測定光とはビームス
プリッタ28で図中下向きに反射され、結像レンズ35
を通過して波面情報を含む干渉縞33をCCDカメラ3
6に結像する。また前記参照ミラー31は、例えばCP
Uを備えた干渉計コントローラ38からの指令に基づい
て、ピエゾ素子を使ったピエゾアクチュエータ30を駆
動することによって図中Z軸方向に微動可能であり、こ
の移動に伴って前記干渉縞33が移動する。この干渉縞
33の像を前記干渉計コントローラ38で分析すること
によって、測定光の波面42の形状を知ることができ、
ここから出射波面41の形状を演算することができる。
出射波面41の形状は、このプリズム7に平面波40を
入射させたときに、どのような出射波面41が出射する
かを表したもので、図中X,Y軸の関数として表すこと
ができ、この関数をプリズム7の波面特性Wp(X,Y)と呼
ぶ。また、干渉計コントローラ38での演算によって、
この波面特性Wp(X,Y)を曲面で近似して、出射波面41
の曲率半径Rp を算出することも可能である。このよう
に、同図に示したフィゾー干渉計をプリズム7の波面特
性Wp(X,Y)を測定する波面特性測定装置20として利用
することができる。
【0036】このとき、前記図18に示すように狭帯域
化ユニット12に入射する入射波面32が平面波であ
り、前記測定によってプリズム7A,7Bの波面特性W
(X,Y)がそれぞれ波面特性WpA(X,Y) ,波面特性WpB(X,
Y) であったとすると、グレーティング10に入射する
グレーティング波面15の形状は図中X,Y軸の関数と
して表すことができる。この関数を波面形状KG(X,Y)と
呼び、次の数1で表される。
【数1】 KG(X,Y)=WpA(X,Y) +WpB(X,Y) すなわち、各光学部品の波面特性W(X,Y) を測定するこ
とによって、これらの光学部品を通過又は反射した波面
の波面形状K(X,Y) を知ることができる。
【0037】また、このグレーティング波面15の波面
形状KG(X,Y)から、グレーティング波面15の曲率半径
RG を演算することができる。この曲率半径RG を、グ
レーティング10の波長選択特性が低下しない許容範囲
内に収めることができれば、前記波面補正を行なうこと
が可能である。
【0038】図2に、狭帯域化ユニット12を構成する
各光学部品の前記波面特性W(X,Y)を測定して、前記曲
率半径RG を前記許容範囲内に収めるための手順の一例
を、フローチャートで示す。まず、狭帯域化ユニット1
2に使用するプリズム7A,7Bを選定し(ステップS
1)、前記図1で説明したように波面特性測定装置20
を用いて上記選定したプリズム7A,7Bのそれぞれの
波面特性WpA(X,Y) ,WpB(X,Y) を測定し(ステップS
2)、そこからそれぞれの波面の曲率半径RA,RB を
演算する(ステップS3)。次に、これらの曲率半径R
A ,RB が所定の許容範囲に入っているか否かを確認し
(ステップS4)、許容範囲に入っていないものについ
ては光学部品を新たに選定して(ステップS5)、ステ
ップS2に戻って波面特性W(X,Y) の再測定を行なう。
これは、前記出射波面41の曲率半径Rが許容範囲から
はずれているものは、加工精度が悪かったり内部が歪ん
でいたりしていると判断できるからである。ステップS
3で各光学部品の曲率半径Rが許容範囲内であれば、前
記数1に従ってグレーティング10に入射するグレーテ
ィング波面15の波面形状KG(X,Y)を求め(ステップS
6)、グレーティング波面15の曲率半径RG を求める
(ステップS7)。ここで、この曲率半径RG が、所定
の許容範囲に入っているか否かを確認し(ステップS
9)、許容範囲に入っていなければグレーティング10
を曲げても前記波面補正がうまくゆかないのでステップ
S1に戻って部品の選定をやり直し、許容範囲内に入っ
ていればこれらの部品を使って狭帯域化ユニット12を
組み立てる(ステップS11)。
【0039】前記手順の中で、ビームエキスパンダ9が
2個のプリズム7A,7B以外に他の光学部品を含んで
いる場合は、ステップS2でそれらの光学部品の波面特
性W(X,Y) を測定して曲率半径Rを求め、ステップS4
でそれらが許容範囲内にあることを確認し、ステップS
6でグレーティング波面15の波面形状KG(X,Y)を求め
る際に、数1と同様にそれぞれの波面特性W(X,Y) をす
べて足し合わせるようにすればよい。
【0040】このように本実施形態によれば、まず各光
学部品についてその波面特性W(X,Y) を測定し、それら
の波面特性W(X,Y) を足し合わせることによって、グレ
ーティング10に入射するグレーティング波面15の波
面形状KG(X,Y)を求め、そこから曲率半径RG を演算
し、これが所定の許容範囲内に収まるように光学部品を
選定している。これにより、実際に狭帯域化ユニット1
2を組み立てることなく、短時間で前記狭帯域化に適切
な部品を選定することができる。そうすれば、前記曲率
半径RG が所定の許容範囲内に収まっているので、グレ
ーティング10を曲げて前記波面補正を行なうことが可
能であり、良質な光品位のエキシマレーザ4を得ること
ができる。また、グレーティング10を曲げることなく
良好な波長特性を得ることも可能である。
【0041】次に、図3〜図7に基づいて、第2の実施
形態を説明する。なお、図において同一の符号を付した
ものは、従来技術及び前記実施形態と同一の構成を表す
ものとする。図3に、第2の実施形態に係わるエキシマ
レーザ4の構成を示す。同図に示すように、このエキシ
マレーザ4の前記狭帯域化ユニット12は、プリズム7
A,7B,7C、ミラー37、及びグレーティング10
から構成されている。前記実施形態と同様にリアウィン
ドウ5から出射したレーザ光3は、プリズム7A,7B
を通過する間にその径を拡げられ、ミラー37で反射し
てプリズム7Cによって再度その径を拡げられ、グレー
ティング10に入射する。ミラー37は図示しない回転
アクチュエータによって図中矢印方向に回転可能であ
り、この回転によってグレーティング10の選択波長を
変更することができる。グレーティング10は、図示し
ない角度アクチュエータによってレーザ光3の光路に対
する角度を制御されており、選択された所定の波長だけ
を発振させることで前記狭帯域化を行なっている。ま
た、前記実施形態と同様に、図示しない曲率アクチュエ
ータによってグレーティング10を曲げて前記波面補正
を行なうことが可能である。
【0042】図4に、前記図1のプリズム7と同様に前
記グレーティング10やミラー37を測定対象8として
設置し、グレーティング10の波面特性Wg(X,Y)やミラ
ー37の波面特性Wm(X,Y)を計測する際の構成を示す。
このように、同図に示したフィゾー干渉計を、狭帯域化
ユニット12を構成する各光学部品の波面特性W(X,Y)
を測定する波面特性測定装置20として利用することが
できる。
【0043】このとき、狭帯域化ユニット12から出射
するレーザ光3の波面をユニット波面34とし、その波
面形状を波面形状KU(X,Y)とすると、この波面形状KU
(X,Y)は前記数1と同様に、狭帯域化ユニット12を構
成する各光学部品の波面特性W(X,Y) を、光路に沿った
順序で加えることによって求められる。
【0044】そこで、前記図1及び図4に基づいて、狭
帯域化ユニット12を構成する各光学部品の波面特性W
(X,Y) を計測する。プリズム7A,7B,7C、ミラー
37、及びグレーティング10の波面特性W(X,Y) を、
それぞれWpA(X,Y) ,WpB(X,Y) ,WpC(X,Y) ,Wm(X,
Y),Wg(X,Y)とすると、波面形状KU(X,Y)は次の数2に
よって求められる。
【数2】 KU(X,Y)=WpA(X,Y) +WpB(X,Y) +Wm(X,
Y)+WpC(X,Y) +Wg(X,Y)+WpC(X,Y) +Wm(X,Y)+W
pB(X,Y) +WpA(X,Y) この波面形状KU(X,Y)から、ユニット波面34の曲率半
径RU を求めることができる。ここで、曲率半径RU の
逆数を平面度FU とする。
【0045】図5に、エキシマレーザ4の前記線幅と、
前記ユニット波面34の平面度FUとの関係を示す。前
記平面度FU が0になる点が、前記ユニット波面34が
平面波となる点である。同図より、平面度FU が、エキ
シマレーザ4の線幅に対して最適平面度FUop を持つこ
とがわかる。すなわち、エキシマレーザ4の線幅を最小
にするためには、平面度FU を最適平面度FUop に一致
させれば前記ユニット波面34を最適化でき、前記線幅
が最小となる。また、線幅を例えばステッパの露光に必
要な線幅許容値以下に抑えるためには、前記平面度FU
を所定の許容範囲内に収めるようにすればよい。
【0046】さらに、エキシマレーザ4の前記中心波長
の安定性(線幅純度とも言う)に関しても、やはり同様
の最適平面度FUop2が存在する。すなわち、前記波面特
性を例えばステッパの露光に必要な許容範囲内に収める
ためには、前記線幅と中心波長の安定性を共に所定の許
容範囲内に収めるようにすればよく、そのためには前記
平面度FU を所定の許容範囲内に収めるようにすればよ
い。
【0047】図6に、前記波面特性測定装置20を用い
て、前記ユニット波面34の最適化を行なう手順の一例
をフローチャートで示す。まず、前記プリズム7A,7
B,7C、ミラー37、及びグレーティング10を選定
し(ステップS21)、次に、前記図1及び図4で説明
したように干渉計を用いて、前記各光学部品の波面特性
W(X,Y) を測定し(ステップS22)、各光学部品の出
射波面41の曲率半径Rを演算する(ステップS2
3)。次に、これらの曲率半径Rが所定の許容範囲に入
っているか否かを確認し(ステップS24)、許容範囲
に入っていないものについては光学部品を新たに選定し
て(ステップS25)、ステップS22に戻って波面特
性W(X,Y) の再計測を行なう。ステップS24で前記曲
率半径Rが許容範囲内であれば、前記数2に従って前記
ユニット波面34の波面形状KU(X,Y)を求め(ステップ
S26)、それから前記平面度FU を求める(ステップ
S27)。ここで、この平面度FU が所定の許容範囲に
入っているか否かを確認し(ステップS29)、許容範
囲に入っていなければステップS21に戻って部品の選
定をやり直し、許容範囲内に入っていればこれらの部品
を使って狭帯域化ユニット12を組み立てる(ステップ
S31)。
【0048】このとき、同図の手順に、前記実施形態に
おいて図2で説明した手順を加えた一例を図7に示す。
すなわち、ステップS24とステップS26との間に点
線で囲んだ部分を挿入し、各光学部品の曲率半径Rが許
容範囲内であることを確認した後、前記グレーティング
波面15の波面形状KG(X,Y)を求める(ステップS3
3)。これは、次の数3による。
【数3】 KG(X,Y)=WpA(X,Y) +WpB(X,Y) +Wm(X,
Y)+WpC(X,Y) そして、この波面形状KG(X,Y)からグレーティング10
に入射するグレーティング波面15の曲率半径RG を求
め(ステップS34)、これが所定の許容範囲内にある
か否かを確認し(ステップS35)、許容範囲に入って
いなければステップS21に戻って部品の選定をやり直
し、許容範囲内に入っていれば、ステップS26に移行
して前記波面形状KU(X,Y)を求める。
【0049】このように本実施形態によれば、狭帯域化
ユニット12の各光学部品についてその波面特性W(X,
Y) を測定し、それらの和であるユニット波面34の波
面形状KU(X,Y)から、前記平面度FU を求め、これが所
定の許容範囲内に収まるように光学部品を選定してい
る。前記図5に説明したように、この平面度FU はエキ
シマレーザ4の波長特性について最適値を持ち、これを
所定の範囲に収めることによって、前記波長特性を所定
の範囲に収めることができる。すなわち、この平面度F
U が所定の許容範囲になるように狭帯域化ユニット12
の光学部品を選定することによって、狭帯域化したレー
ザ光3の光品位を、要求される範囲に収めることができ
る。
【0050】次に、図8に基づいて第3の実施形態を説
明する。なお、図において同一の符号を付したものは、
従来技術及び前記実施形態と同一の構成を表すものとす
る。
【0051】図8は、前記波面特性測定装置20を用い
て、前記図3に示した狭帯域化ユニット12を測定対象
8とし、これから出射するユニット波面34の波面形状
KU(X,Y)を測定する際の構成図である。同図において、
前記図1と同様に参照ミラー31を通過したレーザ光2
9は、プリズム7A,7Bを通過し、ミラー37で反射
し、プリズム7Cを通過して、グレーティング10に入
射する。グレーティング10で反射した光は、前記の光
路を逆向きに通って、測定光として参照ミラー31に入
射する。測定光と前記参照光とによって形成された干渉
縞33を前記CCDカメラ36上に結像させ、これを前
記干渉計コントローラ38で分析することによって、前
記波面形状KU(X,Y)を計測することができる。このと
き、上述の各光学部品はランダムに選定してもよいし、
前記第2実施形態において説明したような手順で選定し
た光学部品を使用してもよい。
【0052】すなわち本実施形態では、前記図6に示し
た手順で演算によって求めた波面形状KU(X,Y)を波面特
性測定装置20で実際に計測している。そして、前記平
面度FU を演算しながら、前記曲率アクチュエータでグ
レーティング10の曲率を調整してこの平面度FU を前
記所定の許容範囲内に収めるとともに、これを前記最適
平面度FUop にさらに近づけることができる。
【0053】またこのとき、曲率アクチュエータをグレ
ーティング10だけでなく前記ミラー37にも装着し、
前記平面度FU を測定しながらこのミラー37の曲率を
調整して前記波面形状KU(X,Y)を最適化することも可能
である。また、前記各プリズム7(7A,7B,7C
等)に例えばペルチェ素子等の温調素子を貼り、前記平
面度FU を測定しながらこの温度を制御してプリズム7
の波面特性Wp(X,Y)を変化させ、前記波面形状KU(X,Y)
を最適化することも可能である。
【0054】このように、前記第1、第2実施形態では
各光学部品の波面特性W(X,Y) に基づいて光学部品の選
定を行なったのに対し、本実施形態では狭帯域化ユニッ
ト12を組み立て、その狭帯域化ユニット12から出射
する波面の波面形状KU(X,Y)を波面特性測定装置20で
測定している。そして、この波面形状KU(X,Y)に基づい
て平面度FU を演算しながら、これを所定の範囲内に収
めるように、各光学部品の曲率や温度を調整して前記波
面補正を行なっている。このように、波面形状KU(X,Y)
をさらに最適化できるので、エキシマレーザ4から出射
するレーザ光3の光品位を、さらに良質のものにするこ
とができる。
【0055】また本実施形態によれば、狭帯域化ユニッ
ト12の調整をエキシマレーザ4に搭載する前に行なう
ことができるので、搭載してから調整がうまくゆかない
ということがなく、調整時間を短縮できる。また、調整
時に発振のための電力が不要であり、調整のためのコス
トを低減できる。また、狭帯域化ユニット12をエキシ
マレーザ4と別の場所で調整して搭載することが可能な
ので、エキシマレーザ4の波長特性に問題が起きたとき
などに狭帯域化ユニット12をあらかじめ調整済みのも
のと交換することで調整時間を短縮でき、例えばステッ
パなどのダウンタイムを短縮できる。また、前記狭帯域
化ユニット12を波面補正した結果を例えば平面度FU
という数値で評価しているので補正の目標値が設定で
き、作業者の熟練度によって波面補正の度合いが異なる
ということがなくなるので、繰り返し精度の良い波面補
正が可能である。
【0056】次に、図9〜図12に基づいて、第4の実
施形態を説明する。なお、図において同一の符号を付し
たものは、従来技術及び前記実施形態と同一の構成を表
すものとする。図9は本実施形態によるエキシマレーザ
4の構成図であり、狭帯域化ユニット12内に4個のプ
リズム7A〜7Dを備えている。このエキシマレーザ4
から出射される波面をレーザ波面39、レーザ波面39
の形状を波面形状KL(X,Y)、レーザ波面39の曲率半径
Rを曲率半径RL 、曲率半径RL の逆数を平面度FL と
する。
【0057】ここで図10に、エキシマレーザ4の前記
線幅と、前記レーザ波面平面度FLとの関係を示す。レ
ーザ波面平面度FL が0になる点が、前記レーザ波面3
9が平面波となる点である。同図より、前記図5と同様
に前記平面度FL が、エキシマレーザ4の線幅に対して
最適平面度FLop を持つことがわかる。すなわち、エキ
シマレーザ4の線幅を最小にするためには、平面度FL
を最適平面度FLop に一致させて前記レーザ波面39を
最適化すればよい。また、前記線幅を例えばステッパの
露光に必要な線幅許容値以下に抑えるためには、前記平
面度FL を所定の許容範囲内に収めるようにすればよ
い。
【0058】また、エキシマレーザ4の前記中心波長の
安定性に関しても、やはり同様の最適平面度FLop2が存
在する。すなわち、前記波長特性を例えばステッパの露
光に必要な許容範囲内に収めるためには、前記線幅と中
心波長の安定性を共に所定の許容範囲内に収めるように
すればよく、そのためには前記平面度FL を所定の許容
範囲内に収めるようにすればよい。
【0059】図11に、前記波面特性測定装置20を用
いて前記レーザ波面39の最適化を行なう手順の一例を
フローチャートで示す。まず、プリズム7A,7B,7
C,7D、ミラー37、グレーティング10、リアウィ
ンドウ5、フロントウィンドウ13、及びフロントミラ
ー14を選定し(ステップS41)、次に、前記図1及
び図4で説明したように干渉計を用いて前記各光学部品
の波面特性W(X,Y) を測定し(ステップS42)、各光
学部品の曲率半径Rを求める(ステップS43)。次
に、各光学部品の曲率半径Rが所定の許容範囲に入って
いるか否かを確認し(ステップS44)、許容範囲に入
っていないものについては光学部品を新たに選定して
(ステップS45)、ステップS41に戻って各光学部
品の波面特性W(X,Y) の計測を行なう。ステップS44
で各光学部品の曲率半径Rが許容範囲内であれば、エキ
シマレーザ4の部品構成順序で各光学部品の波面特性W
(X,Y)を足し合わせて、前記レーザ波面39の波面形状
KL(X,Y)を演算する(ステップS46)。さらに前記平
面度FU を求め(ステップS47)、この平面度FU が
所定の許容範囲に入っているか否かを確認し(ステップ
S49)、許容範囲に入っていなければステップS41
に戻って部品の選定をやり直し、許容範囲内に入ってい
ればこれらの部品を使って前記図9に記載したエキシマ
レーザ4を組み立てる(ステップS51)。
【0060】さらに本実施形態では図12に示すよう
に、前記波面特性測定装置20を使用して、エキシマレ
ーザ4のレーザ波面39における前記平面度FL を測定
している。
【0061】同図において、前記図1と同様に参照ミラ
ー31を通過したレーザ光29は、フロントミラー1
4、フロントウィンドウ13、リアウィンドウ5、プリ
ズム7A,7Bを通過し、ミラー37で反射し、プリズ
ム7C,7Dを通過して、グレーティング10に入射す
る。グレーティング10で反射した光は、前記の光路を
逆向きに通ってレーザ波面39となり、測定光として参
照ミラー31に入射する。測定光と前記参照光とによっ
て形成された干渉縞33を前記CCDカメラ36上に結
像させ、これを前記干渉計コントローラ38で分析する
ことによって、レーザ波面39の波面形状KL(X,Y)を計
測し、前記平面度FL を演算できる。
【0062】これにより、前記平面度FL を測定しなが
ら、第3の実施形態と同様にグレーティング10やミラ
ー37の曲率、或いはプリズム7の温度等を調整して、
この平面度FL をさらに最適化することが可能である。
【0063】このように本実施形態によれば、エキシマ
レーザ4を構成する光学部品についてそれぞれの波面特
性W(X,Y) を測定し、それらの和であるレーザ波面39
の波面形状KL(X,Y)から、その平面度FL を求めてこれ
が所定の許容範囲になるようにエキシマレーザ4の各光
学部品を選定している。また、このレーザ波面39の平
面度FL を計測しながら、前述したグレーティング10
やミラー37の曲率、或いはプリズム7の温度等を調整
することによって、さらにこの平面度FL を最適化する
ことが可能である。これにより、狭帯域化したレーザ光
3の光品位を最適化することができる。またこのとき、
前記アパーチャ6の端部における回折の影響も考慮して
調整を行なっているので、レーザ波面39の最適化をい
っそう正確に行なうことができる。
【0064】また、以上の各実施形態の説明において
は、前記波面形状K(X,Y) から波面の曲率半径Rを求
め、その逆数である平面度Fを演算するようにしている
が、このとき図13に示すように、曲率半径Rの代わり
にレーザ光3の波面の測定点43の最大値と最小値の差
であるPV値PV を算出し、その逆数を演算して、これ
を許容範囲内に収めるようにしてもよい。また、同様に
図14に示すように波面の近似曲線44と測定点43と
の距離の自乗の総和の平方根であるrms値を算出し、
これを許容範囲内に収めるようにしてもよい。これらの
値は、前記干渉計コントローラ38で参照ミラー31を
移動させながら干渉縞33を分析することによって求め
ることができる。
【0065】以上説明したように、本発明によれば狭帯
域化ユニット12における各光学部品の波面特性W(X,
Y) を測定し、それらを合計してグレーティング10に
入射するグレーティング波面15の波面形状KG(X,Y)を
算出し、これから演算した曲率半径Rを所定の許容範囲
内に収めるようにしている。これにより、グレーティン
グ波面15の曲率半径Rを、常にグレーティング10を
曲げて前記波面補正を行なえる範囲に収められるので、
良質な光品位のエキシマレーザ4を得ることができる。
また、グレーティング10を曲げることなく良好な波長
特性を得ることも可能である。
【0066】また、本発明によれば、狭帯域化ユニット
12における各光学部品の波面特性W(X,Y) を測定し、
それらの波面特性W(X,Y) を合計して、狭帯域化ユニッ
ト12から出射するユニット波面34の波面特性WU(X,
Y)を算出し、これを所定の許容範囲に収めるようにして
いる。これにより、狭帯域化ユニット12の波面を最適
化できるので、良質な光品位のエキシマレーザ4を得る
ことができる。また、各光学部品の波面特性W(X,Y) を
把握しているので、光学部品の組み合わせを適切に行な
うことができ、前述したように適切な部品を不適切であ
ると判断して放棄することがなく、部品が無駄にならな
いのでエキシマレーザ4を製作するためのコストを低減
することができる。
【0067】さらに本発明によれば、狭帯域化ユニット
12から出射するユニット波面34の波面形状KU(X,Y)
を計測し、このユニット波面34の平面度FU を所定の
許容範囲に収め、かつなるべく最適平面度Fopに近くな
るようにグレーティング10やミラー37の曲率を調整
することができる。これにより、エキシマレーザ4を発
振させることなく狭帯域化ユニット12を調整可能であ
るので、実際に発振させる場合に比べて調整時間が短縮
できると共に、前記調整の程度を平面度FU という数値
で把握できるので、作業者による調整のばらつきが少な
くなり、繰り返し精度を向上させることができる。
【0068】また本発明によれば、エキシマレーザ4の
光学部品すべてについて前記波面特性W(X,Y) を計測す
るとともに、エキシマレーザ4から出射するレーザ波面
39の波面形状K(X,Y) を測定し、これを調整している
ので、すべての光学部品における前記歪みの影響を抑え
ることができる。
【0069】以上の実施形態の説明においては、波面特
性測定装置20としてフィゾー干渉計を使用している
が、本発明はこれに限定されず、前記波面特性を測定で
きるものであればよく、例えばマイケルソン干渉計等を
使用してもよい。
【0070】また、前記波面特性測定装置20から入射
させる波面は平面波40として説明したが、これは波面
の形状が既知の波面であればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる波面特性測定の
説明図。
【図2】曲率半径を許容範囲に収める手順の一例を示す
フローチャート。
【図3】第2実施形態に係わるエキシマレーザの構成
図。
【図4】波面特性測定の説明図。
【図5】エキシマレーザの線幅と波面との関係の説明
図。
【図6】ユニット波面の最適化を行なう手順の一例を示
すフローチャート。
【図7】ユニット波面の最適化を行なう手順の一例を示
すフローチャート。
【図8】第3実施形態に係わる曲率半径測定の説明図。
【図9】第4実施形態に係わるエキシマレーザの構成
図。
【図10】曲率半径測定の説明図。
【図11】レーザ波面の最適化を行なう手順の一例を示
すフローチャート。
【図12】エキシマレーザの波面特性測定の説明図。
【図13】PV値の説明図。
【図14】rms値の説明図。
【図15】従来技術によるエキシマレーザの構成図。
【図16】波面の歪みの説明図。
【図17】波面の歪みの説明図。
【図18】従来技術による波面補正の説明図。
【符号の説明】
1…チャンバ、2…放電電極、3…レーザ光、4…エキ
シマレーザ、5…リアウィンドウ、6…アパーチャ、7
…プリズム、8…測定対象、9…ビームエキスパンダ、
10…グレーティング、12…狭帯域化ユニット、13
…フロントウィンドウ、14…フロントミラー、15…
グレーティング波面、16…ウィンドウ、17…ウィン
ドウ、18…光軸、19…平面波、20…波面特性測定
装置、21…凹面波、22…全反射ミラー、23…凸面
波、24…ミラー、25…アルゴン倍波レーザ、26…
拡散レンズ、27…コリメータレンズ、28…ビームス
プリッタ、29…レーザ光、30…ピエゾアクチュエー
タ、31…参照ミラー、32…入射波面、33…干渉
縞、34…ユニット波面、35…結像レンズ、36…C
CDカメラ、37…ミラー、38…干渉計コントロー
ラ、39…レーザ波面、40…平面波、41…出射波
面、42…波面、43…測定点、44…近似曲線。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 狭帯域発振を行なう狭帯域発振エキシマ
    レーザ(4) において、 それぞれの光学部品に対して既知の波面を入射させた際
    の出射波面(41)の形状である波面特性W(X,Y) を測定
    し、このそれぞれの波面特性W(X,Y) に基づいて、エキ
    シマレーザ(4) から出射するレーザ光(3) の波面である
    レーザ波面(39)の波面形状KL(X,Y)を演算し、このレー
    ザ波面(39)の波面形状KL(X,Y)が所定の形状になるよう
    に選択及び調整された光学部品を備えたことを特徴とす
    る狭帯域発振エキシマレーザ(4) 。
  2. 【請求項2】 狭帯域化を行なうための光学部品を有す
    る狭帯域化ユニット(12)を備え、狭帯域発振を行なう狭
    帯域発振エキシマレーザ(4) において、 それぞれの光学部品に対して既知の波面を入射させた際
    の出射波面(41)の形状である波面特性W(X,Y) を測定
    し、このそれぞれの波面特性W(X,Y) に基づいて、狭帯
    域化ユニット(12)から出射するレーザ光(3) の波面であ
    るユニット波面(34)の波面形状KU(X,Y)を演算し、この
    ユニット波面(34)の波面形状KU(X,Y)が所定の形状にな
    るように選択及び調整された狭帯域化ユニット(12)の光
    学部品を備えた ことを特徴とする狭帯域発振エキシマ
    レーザ(4) 。
  3. 【請求項3】 発振したレーザ光(3) を整形するビーム
    エキスパンダ(9) と、 ビームエキスパンダ(9) の出射光を入射して狭帯域化す
    るグレーティング(10)とを有する狭帯域発振エキシマレ
    ーザ(4) において、 それぞれの光学部品に対して既知の波面を入射させた際
    の出射波面(41)の形状である波面特性W(X,Y) を測定
    し、このそれぞれの波面特性W(X,Y) に基づいて、前記
    ビームエキスパンダ(9) を用いたとき出射するレーザ光
    (3) の波面を構成する成分であるグレーティング波面(1
    5)の波面形状KG(X,Y)を演算し、このグレーティング波
    面(15)の波面形状KG(X,Y)が所定の形状になるように選
    択及び調整された前記ビームエキスパンダ(9) の光学部
    品を備えたことを特徴とする狭帯域発振エキシマレーザ
    (4) 。
  4. 【請求項4】 狭帯域発振を行なう狭帯域発振エキシマ
    レーザ(4) において、 前記狭帯域発振エキシマレーザ(4) に既知の波面を入射
    させた際の出射波面(41)であるレーザ波面(39)の波面形
    状KL(X,Y)を測定して、この波面形状KL(X,Y)が所定の
    形状になるように波面を調整する調整手段を備えたこと
    を特徴とする狭帯域発振エキシマレーザ(4) 。
  5. 【請求項5】 狭帯域化を行なうための光学部品を有す
    る狭帯域化ユニット(12)を備え、狭帯域発振を行なう狭
    帯域発振エキシマレーザ(4) において、 前記狭帯域化ユニット(12)に既知の波面を入射させた際
    の出射波面(41)であるユニット波面(34)の波面形状KU
    (X,Y)を測定して、この波面形状KU(X,Y)が所定の形状
    になるように波面を調整する調整手段を有する狭帯域化
    ユニット(12)を備えたことを特徴とする狭帯域発振エキ
    シマレーザ(4) 。
  6. 【請求項6】 狭帯域発振を行なう狭帯域発振エキシマ
    レーザ(4) の波面最適化方法において、 既知の波面を入射させた際の出射波面(41)の形状である
    波面特性W(X,Y) をそれぞれの光学部品に対して測定
    し、 このそれぞれの波面特性W(X,Y) に基づいて、各光学部
    品を組み合わせた際の波面形状K(X,Y) を演算し、 この波面形状K(X,Y) が所定の形状となるように前記各
    光学部品の選択を行なうようにしたことを特徴とする狭
    帯域発振エキシマレーザ(4) の波面最適化方法。
  7. 【請求項7】 狭帯域発振を行なう狭帯域発振エキシマ
    レーザ(4) の波面最適化方法において、 狭帯域化ユニット(12)を組み立て、 前記狭帯域化ユニット(12)に既知の波面を入射させた際
    の出射波面(41)であるユニット波面(34)の波面形状KU
    (X,Y)を前記組み立てられた狭帯域化ユニット(12)に対
    して測定し、 この波面形状KU(X,Y)が所定の形状となるように前記光
    学部品の調整を行なうようにしたことを特徴とする狭帯
    域発振エキシマレーザ(4) の波面最適化方法。
  8. 【請求項8】 狭帯域発振を行なう狭帯域発振エキシマ
    レーザ(4) の波面最適化方法において、 狭帯域発振エキシマレーザ(4) を組み立て、 この狭帯域発振エキシマレーザ(4) に既知の波面を入射
    させた際の出射波面(41)であるレーザ波面(39)の波面形
    状KL(X,Y)を前記組み立てられたエキシマレーザ(4) に
    対して測定し、 この波面形状KL(X,Y)が所定の形状となるように前記光
    学部品の調整を行なうようにしたことを特徴とする狭帯
    域発振エキシマレーザ(4) の波面最適化方法。
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