JPH11213383A - 磁気テープ - Google Patents

磁気テープ

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JPH11213383A
JPH11213383A JP19086798A JP19086798A JPH11213383A JP H11213383 A JPH11213383 A JP H11213383A JP 19086798 A JP19086798 A JP 19086798A JP 19086798 A JP19086798 A JP 19086798A JP H11213383 A JPH11213383 A JP H11213383A
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JP
Japan
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layer
magnetic tape
dye
magnetic
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JP19086798A
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Inventor
Akira Ishikawa
彰 石川
Takashi Ishii
たかし 石井
Mitsuhiro Katashima
充弘 片嶋
Masato Hoshi
正人 星
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 データエリアの面積を減少させることなくサ
ーボトラッキングを行い得る磁気テープを提供すること 【解決手段】 支持体における磁性層が設けられている
面と反対側の面上に、色素を含有する層を形成し、該層
をトラッキング用サーボ信号の光学的な記録が可能な層
となしたことを特徴とする磁気テープ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トラッキング用サ
ーボ信号の光学的な記録が可能な磁気テープに関し、更
に詳しくは磁気記録面と反対側の面に、トラッキング用
サーボ信号の光学的な記録が可能な磁気テープに関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】磁気テ
ープは、一般にそのトラック密度が低いため、記録密度
が低く、特にサーペンタイン方式の磁気テープの記録密
度は低い。これに対して、ヘリカルスキャン方式の磁気
テープはATF(Automatic Track Finding )と呼ばれ
るサーボトラッキング方式を採用しているため、サーペ
ンタイン方式の磁気テープよりもトラック密度が高い。
【0003】サーペンタイン方式の磁気テープにおける
サーボトラッキング方式として磁気記録面のデータトラ
ックと同じトラックにサーボ信号を書込む方式(埋め込
みサーボ方式)や、磁気記録面に専用のサーボトラック
を設ける方法等が提案されてきた。特にデータトラック
のピッチが数十μmになった場合のサーボトラッキング
方式として、特公平7−82626号公報においては磁
気記録面に専用のサーボトラックを設け且つ複数のサー
ボ信号再生ヘッドによってサーボ信号を読み出してトラ
ッキングする方式が提案されている。しかしながらこの
方法では、トラック数の増加に伴いサーボ信号再生ヘッ
ドの数を増やさなければならず、それを避ける為にはサ
ーボトラックを増やさなければならない。このように従
来のサーボトラッキング方式は、磁気記録面のデータエ
リアと同じエリアをサーボトラッキングのためのエリア
として使用するため、データエリアの面積が減少してし
まうという問題がある。特に特公平7−82626号公
報記載のサーボトラッキング方式では、トラック密度が
約30tpmm(トラック/mm)以上といった高トラ
ック密度になるとその問題が著しくなる。
【0004】従って、本発明の目的は、データエリアの
面積を減少させることなくサーボトラッキングを行い得
る磁気テープを提供することにある。また、本発明の目
的は、トラック密度が向上した磁気テープを提供するこ
とにある。更に、本発明の目的は、高記録容量を有する
磁気テープを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、磁気テー
プにおける磁気記録面と反対側の面に、トラッキング用
サーボ信号の光学的な記録が可能な層を形成することに
よって、上記目的を達成し得る磁気テープが得られるこ
とを知見した。
【0006】本発明は上記知見に基づきなされたもので
あり、支持体の一方の面上に磁性層が形成されてなる磁
気テープにおいて、上記支持体における上記磁性層が設
けられている面と反対側の面上に、色素を含有する層を
形成し、該層をトラッキング用サーボ信号の光学的な記
録が可能な層となしたことを特徴とする磁気テープを提
供することにより上記目的を達成したものである。
【0007】また、本発明は、支持体の一方の面上に磁
性層が形成されてなる磁気テープにおいて、上記支持体
における上記磁性層が設けられている面と反対側の面上
に、色素を含有する層を形成し、該層にトラッキング用
サーボ信号を光学的に記録したことを特徴とする磁気テ
ープを提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気テープを、そ
の好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。
ここで、図1は、本発明の磁気テープの第1実施形態の
構成を示す概略図であり、図2は色素含有層に光ビーム
を照射して変色パターンを形成する方法を示す模式図で
あり、図3は光ビームを照射後の色素含有層の要部拡大
平面図である。
【0009】図1に示す実施形態の磁気テープ1におい
ては、支持体2上に中間層3が設けられており、中間層
3に隣接して最上層としての磁性層4が設けられてい
る。また、支持体2の他方の面上に色素を含有する層
(以下「色素含有層」という)5が設けられている。
【0010】図1に示す磁気テープ1は、サーペンタイ
ン記録方式に用いられるものであり、磁性層4は、磁気
テープ1の走行方向と平行に複数本のデータトラックが
形成されるようになされている。この磁気テープ1の使
用時には、所定個数の磁気ヘッドを備えたヘッドユニッ
トを磁気テープ1の幅方向に順次移動させてデータトラ
ックの切り替えを行いながら、各磁気ヘッドにより対応
するデータトラックに対して記録または再生が行われ
る。そして、データトラックの切り替えの際ならびに記
録および再生の際に、各磁気ヘッドが適正なデータトラ
ック上に位置するようにサーボトラッキングが行われ
る。
【0011】色素含有層5は、磁性層4と共に磁気テー
プ1の最外層をなしている。色素含有層5には、所定波
長の光の照射によって変色し、所定波長における光の吸
光度が変化する色素が含まれている。尚、これら二種類
の光の波長は同じでもよく或いは異なっていてもよい。
本明細書において、「光」とは、可視光のみならず、そ
れ以外の波長領域の光も意味する。従って、本明細書に
おいて「色素」とは、可視光の波長領域において発色さ
れている物質、即ち、可視光の波長領域において光を吸
収する物質のみならず、それ以外の波長領域、例えば近
赤外の波長領域において光を吸収する物質も意味する。
【0012】色素含有層5は、磁気テープ1における該
色素含有層5の側から所定波長の光が照射されて上記色
素が変色することにより、該色素含有層5にサーボ信号
が記録された所定形状の変色パターンが形成されるよう
になされている。この変色パターンの形成方法を図2を
参照して説明する。
【0013】図2に示すように、磁気テープ1の幅方向
に沿って所定間隔をおいて配列された複数個のレーザー
光源40,40,・・から、図中、矢印A方向に所定速
度で走行する磁気テープ1の色素含有層5に向けてレー
ザービーム41,41,・・をそれぞれ互いに平行に照
射する。色素含有層5におけるレーザービーム41が照
射された部分に存在する色素は、このレーザービーム4
1のエネルギーによって分解反応を起こして変色する。
この場合、レーザービーム41が照射された部分におけ
る色素含有層5の色素の変色が起こるようにレーザービ
ーム41の照射条件を調整する。この変色によって色素
含有層5には所定形状の変色パターン10が形成され
る。この変色は、変色の有無が透過光、反射光またはリ
ン光の強度を測定することにより認識できる程度であれ
ばよい。本実施形態における変色パターンは、図2に示
すように磁気テープ1の長手方向に沿う複数本の所定幅
を有する連続な線からなるパターンである。変色パター
ン10の幅w及び色素含有層5の厚さ方向における変色
の程度はレーザービーム41のビーム径および出力をコ
ントロールすることによって調節することができる。本
実施形態の場合、ビーム径は0.25〜30μm、特に
1〜25μmであることが好ましく、出力は1〜100
0mW、特に10〜100mWであることが好ましい。
また、レーザービームの波長は、用いられる色素が十分
に変色するように、その種類に応じて適切な値が選択さ
れる。尚、図2においては、変色パターン10は強調し
て描かれている。この変色パターン10の形成は、磁気
テープ1の使用前に、専用の装置を用いて行ってもよ
く、或いは図2に示す装置が内蔵された記録再生ドライ
ブに磁気テープ1を装填して行ってもよい。
【0014】上述のようにして形成された変色パターン
の詳細について図3を参照して説明すると、変色パター
ン10,10,・・は、それぞれ所定幅を有する直線状
であり、磁気テープ1の幅方向に亘って等間隔に且つ磁
気テープ1の長手方向に平行に形成されている。また、
これらの変色パターン10は、通常、磁気テープ1の長
さ方向において、磁性層4が形成されている領域に対応
する色素含有層5の領域の全長に亘って形成されてい
る。しかし、変色パターンの形成される領域はこれに限
定されるものではない。これらの変色パターン10は、
色素含有層5における変色していない部分との関係にお
いて光学的にコントラストを生じさせ得るものとなされ
ている。尚、上述の通り、磁性層4におけるデータトラ
ックも変色パターン10と同様に磁気テープ1の長手方
向に平行に形成されるが、データトラックと変色パター
ン10との相対的な位置関係については特に制限はな
い。
【0015】上記変色パターン10による光学的なコン
トラストの発生の具体例としては、該変色パターン10
に所定波長の光を入射させ、その透過光の強度の強弱に
よるコントラストや、該変色パターン10に所定波長の
光を入射させ、その反射光の強度の強弱によるコントラ
ストが挙げられる。
【0016】透過光の強度の強弱によるコントラストを
用いてサーボトラッキングを行う場合には、透過光の強
度を検出して、プッシュプル法や3ビーム法等の光サー
ボ方式によりサーボトラッキングを行うことができる。
反射光の強度の強弱によるコントラストを用いてサーボ
トラッキングを行う場合も同様であり、反射光の強度を
検出して上記光サーボ方式によりサーボトラッキングを
行うことができる。プッシュプル法や3ビーム法等の光
サーボ方式は、各種光ディスクのサーボトラッキングに
一般的に用いられている技術である。
【0017】透過光の強度を検出してのサーボトラッキ
ングを、プッシュプル法を用いた場合を例にとり図4を
参照して説明する。図4(a)に示すように、紙面に対
して直角方向に走行する磁気テープにおける色素含有層
5に対向して設置された半導体レーザー等の光源30か
らの光はレンズ31によって所定径のビーム状に絞られ
た後、色素含有層5に形成された変色パターン10に入
射する。この際、ビーム径は変色パターン10の幅より
も若干小さくなされている。変色パターン10並びに支
持体2(図示せず)、中間層3(図示せず)及び磁性層
4(図示せず)を通過した光、即ち透過光は、光検出器
33によって検出される。検出された透過光は、変色パ
ターン10に記録されたサーボ信号に相当するものであ
り、この透過光は光検出器33において電気信号に変換
されてサーボトラッキング処理装置34に送られる。サ
ーボトラッキング処理装置34では、透過光のビーム強
度の対称性についての処理がなされる。即ち、ビーム強
度が、ビームの中心線に関して左右対称であれば、図4
(b)に示すように、ビーム35は変色パターン10の
中心線上に入射していると判断する。この状態はオント
ラックの状態であり、磁気ヘッドは磁性層4における所
定のデータトラック上に適正に位置していることにな
る。一方、ビーム強度が、ビームの中心線に関して左右
何れかに非対称であれば、図4(c)及び(d)に示す
ように、ビーム35は変色パターン10の中心線から左
方または右方の何れかの方向にずれて入射していると判
断する。この状態はオフトラックの状態であり、磁気ヘ
ッドは磁性層におけるデータトラック上に適正に位置し
ていないことになる。そこで、図4(a)に示すよう
に、サーボトラッキング処理装置34は磁気ヘッド36
の駆動装置35に対して磁気ヘッド36を適正な位置に
移動するよう指令を発し、その結果、駆動装置35によ
って磁気ヘッド36は適正な位置、即ちオントラックの
状態に復帰する。尚、このサーボトラッキングの際に用
いられる光源の波長は、変色前後の色素の色に応じて適
切な値が選択される。
【0018】図3に示すように、変色パターン10の幅
wは磁気テープ1の幅もよるが、0.25〜50μmで
あることが好ましい。この幅wが0.25μmに満たな
いと、現状の光学技術では充分にビーム径を絞れないた
め、光学的に変色パターンを検出する際に支障が発生す
ることがある。一方、幅wが50μmを超えると、図3
に示すように変色パターン10を多数形成する方式の場
合、変色パターン10の形成密度が減少し好ましくな
い。変色パターン10の幅wの更に好ましい範囲は、
0.25〜30μmであり、特に0.8〜25μmであ
る。
【0019】隣り合う変色パターン10,10間のピッ
チp(図3参照)は、変色パターン10の本数等にもよ
るが、磁性層4に形成されるデータトラック幅の以上で
あり且つ該トラックの幅の整数倍であることが好まし
い。
【0020】サーボ信号の読み取りに透過光が用いられ
る場合には、該サーボ信号の読み取りに用いられる光の
波長における磁気テープ10全体の光透過率は、変色
前、即ち、サーボ信号記録前において3%以上であるこ
とが好ましく、5%以上であることが更に好ましい。光
透過率の上限値に特に制限はなく、その値は大きいほど
好ましいが、磁性層4の光透過率との関係で、実施上の
上限値としては40%程度となる。
【0021】変色パターン10は、図3に示すように磁
気テープ1の幅方向全域に亘り所定間隔をおいて存在し
ていてもよく、或いは、磁気テープ10の幅方向に関し
て一部分にのみ、例えば幅方向中央部に所定間隔をおい
て複数本存在していてもよく、また左右何れかの側方部
にのみ所定間隔をおいて複数本存在していてもよい。更
には磁気テープ10の幅方向に関して二カ所またはそれ
以上の箇所に所定間隔をおいて存在していてもよい。例
えば、左右両側方部に同一または異なる本数でそれぞれ
一本以上、中央部および左右何れかの側方部に同一また
は異なる本数でそれぞれ一本以上、或いは中央部および
左右両側方部に同一または異なる本数でそれぞれ一本以
上存在していてもよい。そして、これら何れの場合にお
いても、変色パターン10の本数は磁性層4におけるデ
ータトラックの本数の整数分の1であることが好まし
い。
【0022】上記色素としては、所定波長の光の照射に
よって変色し且つ所定波長における光の吸光度が変化す
る物質であれば、その種類に特に制限はない。具体的に
は、有機色素であるシアニン系色素、スクアリリウム系
色素、クロコニウム系色素、アズレニウム系色素、トリ
アリールアミン系色素、アントラキノン系色素、金属含
有アゾ系色素、ジチオール金属錯塩系色素、インドアニ
リン金属錯体系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロ
シアニン系色素、ポルフィリン系色素、分子間電荷移動
錯体系色素等が好ましく用いられる。これらの色素は、
それぞれ単独で用いてもよく或いは二種以上を併用して
もよい。
【0023】特に上記色素として下記式(1)又は
(2)で表されるシアニン系色素を用いるとバインダと
の相溶性が良好であることから好ましい。斯かるシアニ
ン系色素は近赤外領域に吸収を有するものである。
【0024】
【化1】
【0025】色素含有層5は上記色素のみから形成され
ていてもよいが、該色素含有層5をバックコート層と兼
用させて磁気テープ10の走行性や耐久性を高める観点
から、該色素含有層5は結合剤を更に含有することが好
ましい。この場合、色素と結合剤との重量比(前者:後
者)は、用いられる色素の種類等にもよるが、0.0
1:100〜10:100とすることが好ましく、0.
05:100〜5:100とすることが更に好ましい。
【0026】結合剤としては、磁気テープに用いられる
ものであれば制限なく使用することができる。例えば熱
可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び反応型樹脂並びにこれら
の混合物などが挙げられる。具体的には、塩化ビニルの
共重合体及びその変成物、アクリル酸、メタクリル酸及
びそのエステルの共重合体、ポリビニルアルコールの共
重合体、アクリロニトリルの共重合体(ゴム系の樹
脂)、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ
樹脂、繊維素系樹脂(ニトロセルロース、酢酸セルロー
ス、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセ
テートプロピオネート等)、ポリビニルブチラール樹
脂、ポリアミド樹脂などを使用できる。上記結合剤の数
平均分子量は2,000〜200,000であることが
好ましい。また、色素含有層5に含有させ得る各種粉末
(これらの粉末の詳細については後述する)の分散性を
向上させるために、上記結合剤に水酸基、カルボキシル
基またはその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又
はその塩、ニトロ基または硝酸エステル基、アセチル
基、硫酸エステル基またはその塩、エポキシ基、ニトリ
ル基、カルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ア
ルキルアンモニウム塩基、スルホベタイン、カルボベタ
インなどのベタイン構造などの分極性の官能基(いわゆ
る極性基)を含有させてもよい。
【0027】また、色素含有層5は、上記色素の安定性
を高める観点から、酸化防止剤を含有することも好まし
い。この場合、酸化防止剤は、上記色素の十分な安定性
を確保するために、該色素100重量部に対して0.5
〜20重量部、特に3〜10重量部含有されることが好
ましい。酸化防止剤の具体例としてはBis(4-tert-butyl
-1,2-dithiophenolate)copper-tetra-n-butylammonium
やBis(4-tert-butyl-1,2-dithiophenolate)nickel-tetr
a-n-butylammonium 等が挙げられ、有機色素の酸化防止
剤であれば特に制限なく用いられる。
【0028】磁気テープ1における色素含有層5は、上
述の通りサーボトラッキングに用いられるサーボ信号を
記録するために用いられ、この機能に加えて上述の通り
バックコート層本来の機能を有していることが好まし
い。そのような機能には(1) 磁気テープに良好な走行性
を付与する、(2) 磁気テープに帯電防止性能を付与す
る、(3) テープの始め(BOT)や終わり(EOT)の
検出等がある。
【0029】上記(1) の機能が発現されるためには、色
素含有層5が適切な表面粗さを有していることが好まし
い。一方、テープ巻回時に色素含有層5の表面形状が磁
性層4に転写しないようにするためには、色素含有層5
はできる限り平滑であることが好ましい。これらのバラ
ンスを考慮して、色素含有層5の算術平均粗さRaは、
7〜50nm、特に8〜30nmであることが好まし
く、十点平均粗さRzは40〜250nm、特に50〜
200nmであることが好ましい。
【0030】算術平均粗さRaは、触針式表面粗さ計を
用い、JIS−B0601−1994に準じ、次の条件
にて測定した。尚、Raは下記式(i)で定義される。 ・針:針径 1.5〜2.5μm、曲率 60° ・触針圧:50〜300μN ・カットオフ:80μm ・基準長:80μm ・測定長:400μm
【0031】
【数1】
【0032】測定片は、顕微鏡用のJIS−R−350
2を満足する物性のスライドグラス〔本明細書では、松
浪硝子(株)製のスライドグラスを使用したがこれに限
定されない〕上に、水又はエタノールにて貼付け測定す
る。この際、過剰の水又はエタノールがあると再現性の
良い結果が得られないので、ある程度の水又はエタノー
ルが蒸発し、スライドグラスの裏側から見て干渉縞が見
える状態の間に測定したものをRaとする。
【0033】十点平均粗さRzは、JIS−B0601
−1994に準じ、Raと同様の条件下で、下記式(i
i)にて求めた。尚、測定片は上記Raと同じであり、
基準長さl=80μm、評価長さl0 =400μmとし
た。
【0034】
【数2】
【0035】色素含有層5の算術平均粗さRa及び十点
平均粗さRzを上述の好ましい範囲とするためには、色
素含有層5に平均粒子径が1〜700nmの無機粉末を
含有させることが好ましい。特に、平均粒子径が1〜1
00nmの無機粉末(これを粉末Aという)及び平均粒
子径が50〜700nmの無機粉末(これを粉末Bとい
う)を含む二種以上の無機粉末を含有させることが好ま
しい。粉末Aと粉末Bとの混合比率(重量比)は10
0:0.1〜100:20であることが好ましく、10
0:0.2〜100:15であることが好ましい。粉末
Aおよび粉末Bとしては、平均粒子径が上記範囲内を満
たすものであればその種類に特に制限はなく、例えばT
iO、TiO2 、α−Fe2 3 、BaCO3 、BaS
4 、Fe 3 4 、α−Al2 3 、γ−Al2 3
CaCO3 、Cr2 3 、ZnO、ZnSO4 、α−F
eOOH、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライ
ト、ZnS、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(AT
O)、インジウムドープ酸化錫(ITO)、酸化インジ
ウム、カーボンブラック、グラファイトカーボン、Si
2 、シロキサン結合が三次元的に伸びた網目構造を有
し且つSiにメチル基が結合した構造のシリコーン樹脂
からなる球状粒子等が挙げられる。この場合、粉末Aお
よび粉末Bの種類は同じでもよく或いは異なっていても
よい。
【0036】無機粉末のうち、カーボンブラック等の黒
色系粉末は遮光性が高い。従って、サーボ信号の読み取
りに透過光を利用する場合に色素含有層5にこのような
黒色系粉末を多量に配合すると、遮光性が高くなり光が
十分に透過できなくなる場合がある。そこで、該黒色系
粉末に代えて又は該黒色系粉末と共に、色素含有層5の
厚さよりも粒径の小さい非該黒色系粉末を上記粉末Bと
して該色素含有層5に含有させて、上記(1) の機能が発
現されるようになすことが好ましい。該粉末Bの平均粒
子径の好ましい範囲は、上述の通り50〜700nm、
特に50〜500nmである。該粉末Bは、上記結合剤
100重量部に対して0.5〜150重量部、特に1〜
80重量部、とりわけ2〜40重量部配合されることが
好ましい。
【0037】上記(2) の機能が発現されるためには、色
素含有層5に導電性を有する物質を添加することが好ま
しい。そのような物質の代表的なものとしては上述した
カーボンブラック等の黒色系粉末がある。しかし、上述
した通り、該黒色系粉末は遮光性が高いことから、サー
ボ信号の読み取りに透過光を利用する場合に色素含有層
5に該黒色系粉末を多量に配合すると、遮光性が高くな
り光が十分に透過できなくなる場合がある。そこで、該
黒色系粉末に代えて又は該黒色系粉末と共に、上記粉末
Aとして導電性無機質微粒子を色素含有層5に含有させ
て、上記(2) の機能が発現されるようになすことも好ま
しい。上記(2) の機能が発現されるためには、上記磁気
テープ10における色素含有層5側の表面電気抵抗を1
×109Ω/□以下とすることが好ましい。この表面電
気抵抗の下限値に特に制限はなく、低ければ低いほど好
ましい。
【0038】上記導電性無機質微粒子としては導電性の
酸化錫、ATO、ITO、酸化インジウム等が挙げられ
る。これらの導電性無機質微粒子は光透過性が高いの
で、この点からも該導電性無機質微粒子の使用はサーボ
信号の読み取りに透過光を利用する場合に有利である。
特に好ましく用いられる導電性無機質微粒子は、酸化
錫、ATO、ITOまたは酸化インジウムである。上記
粉末Aとして用いられるこれらの導電性無機質微粒子の
平均粒子径は、上述の通り1〜100nmであることが
好ましく、特に2〜100nm、とりわけ5〜50nm
であることが好ましい。上記粉末Aとして用いられるこ
れらの導電性無機質微粒子は、上記結合剤100重量部
に対して10〜800重量部、特に30〜700重量
部、とりわけ50〜700重量部配合されることが好ま
しい。
【0039】上記粉末Aと上記粉末Bとの合計配合部数
は、上記結合剤100重量部に対して50〜800重量
部、特に100〜700重量部であることが、上記算術
平均粗さRa及び十点平均粗さRzを上述の好ましい範
囲とし得る点および上記(2)の機能が十分に発現する点
から好ましい。
【0040】上記(3) の機能については、本発明の磁気
テープにおいては、変色パターン10によって、その機
能が代替される。その結果、従来のEOTやBOTの検
出法では光透過法を用いていたため、バックコート層に
カーボンブラックを配合することが必須であったが、本
発明においては、バックコート層と兼用される色素含有
層5にEOTやBOTの検出のためのカーボンブラック
の配合は不要となる。これは、上述の通り、サーボ信号
の読み取りに透過光を利用する場合に極めて有利であ
る。
【0041】色素含有層5は、上述した成分に加えて、
潤滑剤および硬化剤等を含んでいてもよい。
【0042】潤滑剤としては、一般に脂肪酸及び脂肪酸
エステルが用いられる。上記脂肪酸としては、例えば、
カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミ
リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステア
リン酸、リノレン酸、オレイン酸、エライジン酸、ベヘ
ン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、
アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
1,12−ドデカンジカルボン酸、オクタンジカルボン
酸等が挙げられる。一方、上記脂肪酸エステルとして
は、例えば、上記脂肪酸のアルキルエステル等が挙げら
れ、総炭素数16〜46のものが好ましい。また、潤滑
剤としてリン酸エステル等の無機酸エステル、フッ素系
化合物、シリコン化合物等を用いることもできる。これ
らの潤滑剤は、上記結合剤100重量部に対して0.0
5〜15重量部、好ましくは0.2〜10重量部配合さ
れる。
【0043】硬化剤としては、一般に、日本ポリウレタ
ン工業(株)製のコロネートL(商品名)に代表される
イソシアネート系硬化剤やアミン系硬化剤が用いられ
る。該硬化剤は、上記結合剤100重量部に対して5〜
40重量部、好ましくは5〜30重量部配合される。
【0044】色素含有層5には、上記色素の安定剤や増
感剤等を必要に応じて添加することもできる。
【0045】色素含有層5は、上述の各成分が溶剤に分
散されてなる色素含有塗料を支持体2上に塗布すること
によって形成されている。該溶剤としては、ケトン系の
溶剤、エステル系の溶剤、エーテル系の溶剤、芳香族炭
化水素系の溶剤、塩素化炭化水素系の溶剤およびセロソ
ルブ系溶剤などが挙げられる。上記溶剤は、上記色素含
有塗料の固形分が10〜50重量%、特に20〜40重
量%になるよう配合されることが好ましい。
【0046】上記色素含有塗料を塗布して形成される色
素含有層5の厚さは、変色パターン10における光の透
過度や磁性層4及び中間層3の厚さとのバランス等を考
慮して0.1〜2.0μm、特に0.2〜1.5μmと
することが好ましい。
【0047】本実施形態の磁気テープ1における色素含
有層5においては、図3に示すように、磁気テープ1の
長手方向に沿う複数本の変色パターン10,10,・・
が形成されているが、このような変色パターンに代え
て、磁気テープ1の長手方向に沿う一本の直線状の連続
な変色パターンが色素含有層5に形成されてもよい。ま
た、磁気テープ1の長手方向に沿う一本または複数本の
正弦波状の連続な変色パターンが色素含有層5に形成さ
れてもよい。更に図5に示すように、磁気テープ1の長
手方向に沿う不連続な変色パターン10が色素含有層5
に形成されてもよい。
【0048】図5に示す変色パターン10について説明
すると、該変色パターン10は磁気テープ1の長手方向
に関して角度θ°傾斜した変色パターン10aと、角度
−θ°傾斜した変色パターン10bとが、磁気テープ1
の長手方向に沿って交互に且つ磁気テープの長手方向に
沿う中心線cに関して対称に形成されたものから構成さ
れている。角度θの値はサーボトラッキングの位置決め
の精度に影響を与えるので、充分な精度を確保するため
に、該角度θの値を5〜85°、特に10〜30°とす
ることが好ましい。変色パターン10a及び変色パター
ン10bの長さは異なっていてもよいが、同じであるこ
とが好ましく、それぞれ5〜140mm、特に5〜80
mmであることが好ましい。磁気テープ1の長手方向に
関する変色パターン10aと変色パターン10bとの間
隔gは、出来るだけ小さい方が望ましい。そして、図5
に示す変色パターン10を用いた場合にも、図3に示す
変色パターン10を用いた場合と同様にサーボ信号の読
み取りを行うことができる。
【0049】次に、本発明の磁気テープの第2〜第4実
施形態について図6〜図9を参照して説明する。ここ
で、図6は、本発明の磁気テープの第2実施形態の構成
を示す概略図であり、第1実施形態における図1に相当
する図である。図7は、本発明の磁気テープの第3実施
形態の構成を示す概略図であり、やはり第1実施形態に
おける図1に相当する図である。図8は、第3の実施形
態におけるサーボトラッキングの方法を示す模式図であ
り、第1実施形態における図4に相当する図である。図
9は、本発明の磁気テープの第4実施形態の構成を示す
概略図であり、第3実施形態における図7に相当する図
である。尚、第2〜第4実施形態については、第1実施
形態と異なる点についてのみ説明し同じ点については特
に説明しないが、第1実施形態に関して詳述した説明が
適宜適用される。また、図6〜図9において図1〜図5
と同じ部材には同じ符号を付してある。
【0050】図6に示す第2実施形態の磁気テープ1に
おいては、第1実施形態の磁気テープと同様に磁気テー
プの使用に先立ち色素含有層5にサーボ信号が記録され
た変色パターンが形成され、磁気テープの使用に際して
は、磁気テープ1の一方の面側から上記変色パターンに
所定波長の光を照射して他方の面側から透過してきた光
を検出することにより、検出された該光の強度で示され
る上記サーボ信号が読み取られるようになされている。
そして、本実施形態の磁気テープ1が第1実施形態の磁
気テープと異なる点は、第1実施形態の磁気テープにお
ける色素含有層がバックコート層を兼用しているのに対
して、第2実施形態の磁気テープ1においては、色素含
有層5に隣接して該色素含有層5とは別個に最外層とし
てのバックコート層6が形成されている点である。従っ
て、本実施形態の磁気テープ1においては、色素含有層
5にサーボ信号の記録および読み取りの機能を担わせ且
つバックコート層6にバックコート層本来の機能を担わ
せるという機能の分担が可能となっており、磁気テープ
1の設計の自由度が第1実施形態の場合よりも増してい
る。
【0051】本実施形態における色素含有層5は、色素
のみから構成されているか又は色素に加えて他の成分を
含有して構成されていることが好ましい。
【0052】色素含有層5が色素のみから構成されてい
る場合には、該色素含有層5は例えば下記の(1) 〜(3)
の方法により形成することができる。 (1) 化学気相成長法(CVD)や物理気相成長法(PV
D)のような薄膜形成方法。 (2) 色素を溶剤に溶解させ、更に必要に応じて界面活性
剤を加えた塗料を支持体2上に塗布する方法。 (3) 色素を高分子樹脂またはポリマーエマルション等に
溶解させたものを、支持体2の溶融押出成形の際に共押
出する方法。
【0053】一方、色素含有層5が色素に加えて他の成
分を含有して構成されている場合、該他の成分として
は、第1実施形態の磁気テープにおける色素含有層に含
有され得る結合剤、無機粉末、潤滑剤等が挙げられる。
これらの成分の詳細および配合量は第1実施形態と同様
であるので特に説明しないが、第1実施形態に関して詳
述した説明が適宜適用される。特に、上記無機粉末、と
りわけ上記粉末A及び粉末Bを配合することで、色素含
有層5に帯電防止性能を付与することができ、また後述
するように色素含有層5とバックコート層とをウエット
オンウエット方式による同時塗布で形成する場合に両層
の界面が乱れないようにすることができるので好まし
い。これらの成分を含む色素含有層5は、これらの成分
が溶剤に分散されてなる色素含有塗料を支持体上に塗布
することによって形成される。この色素含有塗料の詳細
は、第1実施形態において用いられる色素含有塗料と同
様であるので特に説明しないが、第1実施形態に関して
詳述した説明が適宜適用される。
【0054】本実施形態における色素含有層5の厚さ
は、該色素含有層5がバックコート層を兼用していない
ことから第1実施形態の磁気テープにおける色素含有層
の厚さよりも小さくすることができ、30〜200n
m、特に50〜150nmであることが好ましい。
【0055】バックコート層6は、磁気テープにおける
バックコート層本来の機能が発現されるために、結合
剤、無機粉末(特に上記粉末A及び粉末B)、潤滑剤、
硬化剤等を含有していることが好ましい。これらの成分
の詳細は第1実施形態と同様であるので特に説明しない
が、第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用され
る。バックコート層6におけるこれらの成分の含有量
は、結合剤100重量部に対してそれぞれ下記の範囲で
あることが好ましい。 ・無機粉末:50〜800重量部、特に70〜700重
量部 ・潤滑剤:0〜20重量部、特に0〜10重量部 ・硬化剤:0〜40重量部、特に5〜30重量部 また、第1実施形態の場合と同様に、磁気テープ全体の
光透過率を上述した範囲内とするために、バックコート
層6に配合される上記無機粉末、特に導電性の無機粉末
は、光透過性を有することが好ましい。従って、該無機
粉末は非黒色系の色相を有し且つ適切な範囲で小粒径で
あることが好ましい。具体的は該無機粉末の粒径は1〜
100nm、特に2〜100nm、とりわけ5〜50n
mであることが好ましい。また、バックコート層5に走
行性を一層付与するために、斯かる粒径の無機粉末と、
粒径が50〜700nmの無機粉末(例えば上記無機粉
末B)とを併用することもできる。
【0056】バックコート層6は上述の成分が溶剤に分
散されてなるバックコート塗料を色素含有層5上に塗布
することによって形成されている。この場合、色素含有
層5が、色素を溶剤に溶解させた塗料〔上記(2) の方法
における塗料〕または色素、結合剤およびカーボンブラ
ック等を含有する上記色素含有塗料を塗布することによ
って形成されているときには、これら色素を含有する塗
料およびバックコート塗料は、逐次塗布および同時塗布
の何れの塗布方法によっても塗布することができる。但
し、逐次塗布法を用いた場合には、生産性が低く、また
逐次塗布の際に色素含有層5から色素が溶出してバック
コート塗料と混合するおそれがあるので、このようなお
それが少なく、生産性も高いウエットオンウエット方式
の同時塗布法を用いることが好ましい。
【0057】図7に示す第3実施形態の磁気テープ1
は、第1実施形態の磁気テープと同様に磁気テープの使
用に先立ち色素含有層5にサーボ信号が記録された変色
パターンが形成される。そして、本実施形態の磁気テー
プ1が第1実施形態の磁気テープと異なる点は、支持体
2(例えばプラスチックフィルム)と色素含有層5との
間及び/又は支持体2と中間層3との間に金属薄膜層
7,8が更に形成されており、且つ磁気テープ10にお
ける色素含有層側から変色パターン10に所定波長の光
を照射して反射してきた光を検出することにより、検出
された該光の強度で示される上記サーボ信号が読み取ら
れるようになされている点である。つまり、第1実施形
態の磁気テープでは、透過光によってサーボ信号が読み
取られるのに対して、本実施形態の磁気テープ1では、
金属薄膜を支持体2(プラスチックフィルム)の上に設
けてなる複合体を新たな支持体として用いる形態となっ
ており、且つ反射光によってサーボ信号が読み取られ
て、サーボトラッキングが行われる。尚、金属薄膜層
7,8は何れか一方のみ、特に金属薄膜層7が設けられ
れば光の反射層として十分である。
【0058】本実施形態におけるサーボトラッキングに
ついて図8を参照して説明する。ここで図8は、反射光
の強度を検出してのサーボトラッキングの方法を示す模
式図であり、第1実施形態における図4(a)に相当す
る図である。尚、図8においては、図7に示される磁気
テープにおける中間層3及び磁性層4は省略されてい
る。
【0059】図8に示すサーボトラッキング方法は、図
4に示すサーボトラッキング方法と同様にプッシュプル
法を用いている。詳述すると、図8に示すように、紙面
に対して直角方向に走行する磁気テープにおける色素含
有層5に対向して設置された半導体レーザー等の光源3
0からの光はレンズ31によって所定径のビーム状に絞
られた後、ハーフミラー37を通過して色素含有層5に
形成された変色パターン10に入射する。この際、ビー
ム径は変色パターン10の幅よりも若干小さくなされて
いる。変色パターン10を透過した光は、金属薄膜層7
において反射して入射方向と反対方向に進行する。この
反射光は、ハーフミラー37において更に反射して進行
方向が変わり光検出器33に入射する。そして、この光
検出器33によって反射光の強度が検出される。検出さ
れた反射光は、変色パターン10に記録されたサーボ信
号に相当するものであり、この反射光は光検出器33に
おいて電気信号に変換されてサーボトラッキング処理装
置34に送られる。この後のサーボ信号の処理は図4に
示す場合と同様であるので特に説明しないが、図4に関
して詳述した説明が適宜適用される。
【0060】両金属薄膜層7,8を構成する材料として
は光の反射率が高いものが好ましく用いられ、その例と
してはAu、Al、Ag及びこれらを主成分とする合金
等が好ましく用いられる。両金属薄膜層7,8を構成す
る材料は同一でもよく或いは異なっていてもよい。
【0061】両金属薄膜層7,8は何れも真空成膜法を
用いた公知の薄膜形成手段によって形成されていること
が好ましい。斯かる成膜法を用いることによって、形成
される両金属薄膜層7,8の耐食性が極めて向上し、保
存耐久性に優れた磁気テープが得られる。斯かる真空成
膜法としては、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレ
ーティング等が挙げられ、両金属薄膜層7,8を形成す
る材料等に応じ、適宜選択して用いられる。
【0062】両金属薄膜層7,8の厚さは、入射してき
た光を十分に反射する程度あればよく、それぞれ0.0
1〜1μm、特に0.02〜0.7μmであることが好
ましい。両金属薄膜層7,8の厚さは同一でもよく或い
は異なっていてもよい。
【0063】本実施形態の磁気テープ1における色素含
有層5側のサーボ信号記録前における光反射率は、該サ
ーボ信号の読み取りに用いられる光の波長において5%
以上、特に10%以上、とりわけ15%以上であること
が好ましい。光反射率の上限値に特に制限はなく、その
値は大きいほど好ましいが、実施上の上限値としては7
0%程度となる。
【0064】本実施形態の磁気テープ1において、色素
含有層5側に金属薄膜層7が形成されていると、該金属
薄膜層7が反射膜としての機能を担うと共に帯電防止の
機能も担うので、第1実施形態の磁気テープ1と異な
り、色素含有層5に帯電防止剤としてのカーボンブラッ
クや上記導電性無機質微粒子を配合しなくてもよくな
る。その結果、色素含有層5の光透過率が第1実施形態
の磁気テープ1における色素含有層の光透過率よりも高
くなり、反射光の強度が一層強くなるので、一層正確な
サーボトラッキングを行い得る。
【0065】図9に示す第4実施形態の磁気テープ1
は、第3実施形態の磁気テープと同様に、支持体2と色
素含有層5との間及び/又は支持体2と中間層3との間
に金属薄膜層7,8が形成されており、反射光によって
サーボ信号が読み取られて、サーボトラッキングが行わ
れるようになされている。そして、本実施形態の磁気テ
ープ1が第3実施形態の磁気テープと異なる点は、第3
実施形態の磁気テープにおける色素含有層がバックコー
ト層を兼用しているのに対して、第4実施形態の磁気テ
ープ1においては、色素含有層5に隣接して該色素含有
層5とは別個に最外層としてのバックコート層6が形成
されている点である。この色素含有層5及びバックコー
ト層6の構成は、上述した第2実施形態と同様である。
つまり、本実施形態の磁気テープ1は、第2実施形態の
色素含有層5及びバックコート層6と、第3実施形態の
金属薄膜層7,8とを組み合わせた構成となっている。
従って、本実施形態の磁気テープにおけるこれらの層の
詳細については、第2実施形態および第3実施形態にお
ける対応部分の説明が適宜適用される。
【0066】本実施形態の磁気テープ1においては、第
2実施形態と同様に、色素含有層5にサーボ信号の記録
および読み取りの機能を担わせ且つバックコート層6に
バックコート層本来の機能を担わせるという機能の分担
が可能となっており、磁気テープ1の設計の自由度が第
1実施形態の場合よりも増している。また、第3実施形
態と同様に、金属薄膜層7が設けられていると、これが
反射膜としての機能を担うと共に帯電防止の機能も担う
ので、色素含有層5やバックコート層6に帯電防止剤と
してのカーボンブラックや上記導電性無機質微粒子を配
合しなくてもよくなる。その結果、色素含有層5及びバ
ックコート層6の光透過率が第2実施形態の磁気テープ
における色素含有層およびバックコート層の光透過率よ
りも高くなり、反射光の強度が一層強くなるので、一層
正確なサーボトラッキングを行い得る。尚、本実施形態
においても第3実施形態と同様に、磁気テープ1におけ
る色素含有層5側のサーボ信号記録前における光反射率
は、該サーボ信号の読み取りに用いられる光の波長にお
いて5%以上、特に10%以上、とりわけ15%以上で
あることが好ましい。
【0067】次に、上記各実施形態の磁気テープに共通
する一般事項について説明する。
【0068】上記各実施形態の磁気テープ1において
は、磁性層4は、強磁性粉末および結合剤を含む磁性塗
料を塗布することにより形成されている。即ち、上記磁
気テープ1は塗布型の磁気テープである。
【0069】上記強磁性粉末としては、例えば針状また
は紡錘状の強磁性粉末および板状の強磁性粉末を用いる
ことができる。該針状または紡錘状の強磁性粉末として
は、鉄を主体とする強磁性金属粉末や、強磁性酸化鉄系
粉末などが挙げられる。一方、該板状の強磁性粉末とし
ては、強磁性六方晶系フェライト粉末などが挙げられ
る。
【0070】更に詳しくは、上記強磁性金属粉末として
は、金属分が50重量%以上であり、該金属分の50%
以上が鉄である強磁性金属粉末が挙げられる。該強磁性
金属粉末の具体例としては、例Fe−Co、Fe−N
i、Fe−Al、Fe−Ni−Al,Fe−Co−N
i、Fe−Ni−Al−Zn、Fe−Al−Siなどが
挙げられる。これら針状または紡錘状の強磁性粉末は、
その長軸長が0.03〜0.2μm、特に0.05〜
0.10μmであることが好ましく、針状比(即ち、長
軸長/短軸長)が3〜15、特に3〜10であることが
好ましい。また、その保磁力(Hc)は125〜200
kA/mであることが好ましく、その飽和磁化(σs)
は119〜167Am2 /kgであることが好ましい。
また、これら針状強磁性粉末のBET比表面積は30〜
70m2 /gであることが好ましい。
【0071】上記強磁性六方晶系フェライト粉末として
は、微小平板状のバリウムフェライト及びストロンチウ
ムフェライト並びにそれらのFe原子の一部がTi,C
o,Ni,Zn,Vなどの原子で置換された磁性粉末な
どが挙げられる。該強磁性六方晶系フェライト粉末は、
その板径が0.1μm以下、特に10〜90nm、とり
わけ10〜40nmであることが好ましく、板状比(板
径/板厚)が2〜7、特に2〜5であることが好まし
い。その保磁力(Hc)は135〜260kA/mであ
ることが好ましく、その飽和磁化(σs)は27〜72
Am2 /kg、特に43〜72Am2 /kgであること
が好ましい。また、上記強磁性六方晶系フェライト粉末
のBET比表面積は30〜70m2 /gであることが好
ましい。
【0072】上記結合剤としては、色素含有層5やバッ
クコート層6の形成に用いられる結合剤として例示した
ものと同様のものを用いることができる。従って、該結
合剤の詳細については特に説明しないが、色素含有層5
及びバックコート層6に関して詳述した説明が適宜適用
される。該結合剤は、上記強磁性粉末100重量部に対
して10〜40重量部、特に15〜25重量部配合され
ることが好ましい。
【0073】磁性層4は、上述の成分に加えて、研磨材
粒子、カーボンブラック、潤滑剤、硬化剤等を含んでい
てもよい。
【0074】上記研磨材粒子としては、例えばアルミ
ナ、シリカ、ZrO2 、Cr2 3 等のモース硬度が7
以上の物質の粉末が好ましく用いられる。該研磨材粒子
の粒子径は、走行時の摩擦係数の低下および走行耐久性
の向上の点から0.03〜0.6μmであることが好ま
しく、0.05〜0.3μmであることが更に好まし
い。上記研磨材粒子は、上記強磁性粉末100重量部に
対して、2〜20重量部、特に3〜15重量部配合され
ることが好ましい。
【0075】上記カーボンブラック、潤滑剤および硬化
剤としては、色素含有層5やバックコート層6の形成に
用いられるものと同様のものを用いることができる。従
って、これらの成分の詳細については特に説明しない
が、色素含有層5及びバックコート層6に関して詳述し
た説明が適宜適用される。上記カーボンブラックは上記
強磁性粉末100重量部に対して、0.1〜10重量
部、特に0.1〜5重量部配合されることが好ましい。
上記潤滑剤は、上記強磁性粉末100重量部に対して、
0.5〜10重量部、特に0.5〜5重量部配合される
ことが好ましい。上記硬化剤は、上記結合剤100重量
部に対して、2〜30重量部、特に5〜20重量部配合
されることが好ましい。
【0076】磁性層4には、上述の成分の他に、磁気テ
ープに通常用いられている分散剤、防錆剤、防黴剤等の
各種添加剤を必要に応じて添加することもできる。
【0077】磁性層4は、上述の各成分を溶剤に分散さ
せた磁性塗料を中間層3上に塗布することによって形成
されている。該溶剤としては、色素含有塗料やバックコ
ート塗料に用いられる溶剤として例示したものと同様の
ものを用いることができる。上記磁性塗料における該溶
剤の配合量は、該磁性塗料に含まれる上記強磁性粉末1
00重量部に対して、80〜500重量部、特に100
〜350重量部であることが好ましい。
【0078】上記磁性塗料を調製するには、例えば、強
磁性粉末および結合剤を溶剤の一部と共にナウターミキ
サー等に投入し予備混合して混合物を得、この混合物を
連続式加圧ニーダー等や二軸スクリュー混練機により混
練し、次いで上記溶剤の一部で希釈し、サンドミル等を
用いて分散処理した後、潤滑剤等の添加剤を混合して、
濾過し、更に硬化剤や上記溶剤の残部を混合する方法等
を挙げることができる。
【0079】上記磁性塗料から形成された磁性層4の保
磁力は十分な記録再生特性を付与し得る点から119〜
280kA/m(1495〜3519Oe)であること
が好ましく、更に好ましくは120〜250kA/m
(1508〜3141Oe)、一層好ましくは125〜
222kA/mである。また、磁性層4の飽和磁束密度
は、0.1〜0.5T、特に0.15〜0.45Tであ
ることが好ましい。
【0080】磁性層4の厚さは、S/Nの向上や自己減
磁の防止の点から0.01〜1μmであることが好まし
く、更に好ましくは0.05〜0.8mであり、特に好
ましくは0.05〜0.3μmである。
【0081】次に、中間層3について説明する。中間層
3は、磁性を有する層であってもよく、非磁性の層であ
ってもよい。中間層3が磁性を有する層である場合に
は、該中間層3は磁性粉末を含有する磁性の層であり、
磁性粉末、非磁性粉末、結合剤および溶剤を主成分とす
る磁性の塗料を用いて形成される。一方、中間層3が非
磁性の層である場合には、該中間層5は非磁性粉末、結
合剤および溶剤を主成分とする非磁性の塗料を用いて形
成される(以下、これらの塗料を総称して「中間層塗
料」という)。
【0082】上記磁性粉末としては、強磁性粉末が好ま
しく用いられ、該強磁性粉末としては硬磁性粉末および
軟磁性粉末の何れもが好ましく用いられる。
【0083】上記硬磁性粉末としては、例えば、磁性層
4に用いられる強磁性六方晶系フェライト粉末、強磁性
金属粉末および強磁性酸化鉄系粉末などが挙げられる。
これらの磁性粉末の詳細については、磁性層4に用いら
れる強磁性粉末と同様であり特に説明しないが、該強磁
性粉末に関する説明が適宜適用される。
【0084】上記磁性粉末には、磁性層4に含まれる強
磁性粉末と同様に、必要に応じて希土類元素や遷移金属
元素を含有させることができ、また、該強磁性金属粉末
に施される表面処理と同様の表面処理を施してもよい。
【0085】非磁性粉末としてはモース硬度6未満の無
機物の粉末が好適に用いられ、その例としては、非磁性
の酸化鉄(ベンガラ)、硫酸バリウム、硫化亜鉛、炭酸
マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化
亜鉛、酸化マグネシウム、二酸化マグネシウム、二硫化
タングステン、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、二酸化
錫、炭化珪素、酸化セリウム、コランダム、人造ダイヤ
モンド、ザクロ石、ケイ石、窒化珪素、炭化モリブデ
ン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化チタン、ケイ
ソウ土、ドロマイト、樹脂性の粉末などが挙げられる。
これらの中でも非磁性の酸化鉄、酸化チタン、窒化ホウ
素などが好ましく用いられる。これら非磁性粉末は単独
で又は二種以上を混合して用いてもよい。上記非磁性粉
末の形状は、球状、板状、針状、無定形の何れでもよ
い。その大きさは球状、板状、無定形のものにおいては
5〜200nmであることが好ましく、針状のものにお
いては長軸長が20〜300nmで針状比が3〜20で
あることが好ましい。上記非磁性粉末は、上記磁性粉末
と併用される場合(即ち、中間層3が磁性の層の場合)
には、該磁性粉末100重量部に対して、好ましくは3
0〜70重量部、更に好ましくは40〜60重量部用い
られる。一方、上記磁性粉末が用いられない場合(即
ち、中間層3が非磁性の層の場合)には、該非磁性粉末
100重量部に基づいて他の成分の配合量が決定され
る。上述した各種非磁性粉末には、必要に応じて、上記
磁性粉末に施される表面処理と同様の処理を施してもよ
い。
【0086】中間層3は、磁性であると非磁性であると
を問わず、上述した成分に加えて結合剤を含み、更に研
磨材粒子、潤滑剤、カーボンブラックおよび硬化剤等を
含んでいてもよい。これらの成分としては、特に説明し
ないが、色素含有層5、バックコート層6及び磁性層4
に用いられる成分と同様のものが用いられる。これらの
成分の好ましい配合量は、上記磁性粉末および非磁性粉
末の合計量100重量部(中間層3が磁性の層である場
合)または該非磁性粉末100重量部(中間層3が非磁
性の層である場合)に対して、それぞれ以下の通りであ
る。 ・結合剤:8〜40重量部、特に10〜30重量部 ・研磨材粒子:1〜30重量部、特に1〜12重量部 ・潤滑剤:0.5〜20重量部、特に1〜7重量部 ・カーボンブラック:0.5〜30重量部、特に2〜1
0重量部 ・硬化剤:0.5〜12重量部、特に2〜8重量部 また、中間層3には、必要に応じて磁性層4に配合され
る添加剤と同様のものを配合することもできる。
【0087】中間層3は、上述の成分および溶剤を含む
中間層塗料を支持体2上に塗布して形成される。該溶剤
としては、上述した色素含有塗料、バックコート塗料お
よび磁性塗料に含有される溶剤と同様のものが用いられ
る。該溶剤の使用量は、上記磁性粉末および非磁性粉末
の合計量100重量部(中間層3が磁性の層である場
合)または該非磁性粉末100重量部(中間層3が非磁
性の層である場合)に対して、100〜700重量部と
することが好ましく、特に300〜500重量部とする
ことが好ましい。
【0088】中間層3の厚さは、磁気テープ1の耐久性
に影響する潤滑剤の保持能力を制御する点から、ある程
度の厚みが必要であり、一方、厚すぎると変形時にクラ
ックが発生しやすくなることから、0.1〜3μm、特
に0.1〜2μmであることが好ましい。
【0089】中間層3が磁性を有する層である場合、そ
の保磁力は、オーバライト特性及び低域〜高域での出力
バランスの点から、80〜350kA/m、特に150
〜300kA/mであることが好ましい。また、その飽
和磁束密度は、低域〜高域での出力のバランスの点か
ら、0.04〜0.5T、特に0.05〜0.4Tであ
ることが好ましい。
【0090】支持体2を構成する材料としては、公知の
ものが使用でき、例えばポリエチレンテレフタレート;
ポリエチレンナフタレート;ポリアミド;ポリイミド;
ポリカーボネート等の非磁性材料が挙げられる。これら
は単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができ
る。これらの材料から構成される上記支持体には、必要
に応じて一軸または二軸の延伸処理や、コロナ放電処
理、易接着処理等が施されていてもよい。
【0091】支持体2の厚さには特に制限はないが、本
発明の磁気テープは特に高容量の磁気テープに適したも
のであることから、支持体2は薄い方が好ましく、具体
的には1〜13μm、特に1〜8μmであることが好ま
しい。
【0092】次に本発明の磁気テープを製造するための
好ましい方法の概略を、図1に示す第1実施形態の磁気
テープ1の製造を例にとり説明する。まず、支持体2上
に磁性層4を形成する磁性塗料と中間層3を形成する中
間層塗料とを、各層が所定の厚さとなるようにウエット
・オン・ウエット方式により同時重層塗布を行い、磁性
層4および中間層3の塗膜を形成する。即ち、磁性層4
は、中間層3の湿潤時に塗設・形成されることが好まし
い。次いで、これらの塗膜に対して、磁場配向処理を行
った後に乾燥処理を行い巻き取る。この後、カレンダー
処理を行い、更に支持体2の裏面上に色素含有塗料を塗
布して色素含有層5を形成する。あるいは色素含有層5
を形成した後に磁性層4および中間層3を形成してもよ
い。次いで、40〜80℃下で6〜100時間エージン
グ処理し、所望の幅にスリットして上記磁気テープ1を
得る。そして、この磁気テープの使用に際しては、上述
した方法によって、サーボ信号が記録された所定の変色
パターン10を色素含有層5に形成する。
【0093】上記ウエット・オン・ウエット方式による
重層塗布は、特開平5−73883号公報の第42欄3
1行〜第43欄13行に記載されており、中間層塗料が
乾燥する前に磁性塗料を塗布する方法であり、この方法
によりドロップアウトが少なく、高密度記録に対応で
き、且つ塗膜の耐久性にも優れた磁気テープが得られ
る。
【0094】上記磁場配向処理は、各塗料が乾燥する前
に行われ、上記磁性塗料の塗布面に対して平行方向に約
40kA/m以上、好ましくは約80〜800kA/m
の磁界を印加する方法や、上記磁性塗料が湿潤状態の内
に約80〜800kA/mのソレノイド等の中を通過さ
せる方法により行うことができる。このような条件下で
磁場配向処理を行うことで、磁性層4に含まれている上
記強磁性粉末を磁気テープ1の長手方向に配向させるこ
とができる。尚、磁場配向処理後の乾燥処理中に、該強
磁性粉末の磁場配向状態が変化しないようにするため
に、磁場配向処理直前に、30〜50℃の温風を磁性層
4の上方から吹き付けて、その予備乾燥を行い、各層中
の残存溶剤量をコントロールすることも好ましい。
【0095】上記乾燥処理は、例えば30〜120℃に
加熱された気体の供給により行うことができ、この際、
気体の温度とその供給量を制御することにより塗膜の乾
燥の程度を制御することができる。
【0096】上記カレンダー処理は、メタルロールとコ
ットンロール若しくは合成樹脂ロールとの間、又は二本
のメタルロールの間を通すスーパーカレンダー法等によ
り行うことができる。カレンダー処理の条件は、例えば
温度60〜140℃、線圧1〜5kN/cmとすること
が好ましい。
【0097】尚、上記磁気テープ1の製造に際しては、
必要に応じ、磁性層4の表面の研磨やクリーニング工程
等の仕上げ工程を施すこともできる。また、磁性塗料お
よび中間層塗料の塗布は、通常公知の逐次重層塗布方法
により行うこともできる。
【0098】以上、本発明の磁気テープをその好ましい
実施形態に基づき説明したが、本発明は、上記実施形態
に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において
種々の変更が可能である。例えば、図1、図6、図7及
び図9に示す実施形態の磁気テープ1は何れも支持体2
上に磁性層4および中間層3が形成されている多層構造
の磁気テープであるが、これに代えて、それぞれ図10
〜図13に示すように支持体上に磁性層4のみが形成さ
れている単層構造の磁気テープとなしてもよい。また、
図1、図6、図10及び図11にに示す実施形態の磁気
テープ1では、主に透過光を利用してサーボ信号を読み
取るが、色素含有層5又はバックコート層6として適当
な反射率、屈折率等を有するものを用いれば、反射光を
利用してサーボ信号を読み取ることもできる。また、上
記各実施形態においては、磁気テープ1の長手方向に沿
う一本もしくは複数本の所定幅を有する連続な線からな
る変色パターン10と、磁気テープ1の長手方向に沿
う、所定幅を有する不連続な線からなる変色パターン1
0とを組み合わせて用いてもよい。また、変色パターン
10として、直線状もしくは曲線状の点線またはこれら
の組み合わせを用いてもよい。また、変色パターン10
として、円や楕円もしくはその他の形状またはこれらの
形状の任意の組み合わせを用いてもよい。また、図1及
び図6に示す実施形態の磁気テープ1において、支持体
2と中間層3又は色素含有層5との間にプライマー層を
設けてもよい。また、上述した実施形態は塗布型の磁気
テープであるが、これに代えて金属蒸着型の磁気テープ
を用いても同等の効果が奏される。
【0099】
【実施例】以下、実施例により本発明の磁気テープを更
に詳細に説明すると共にその有効性を例証する。しかし
ながら、本発明は斯かる実施例に限定されるものではな
い。以下の例中、色素含有塗料の粘度(E型粘度計を用
いたときの100rpmでの粘度)は実施例I−1を標
準とし、他の実施例および比較例における色素含有塗料
の粘度は、実施例I−1の色素含有塗料の粘度の±30
%以内になるように溶剤の配合量を適宜増減させて調整
した。尚、特に断らない限り、「部」及び「%」はそれ
ぞれ重量部および重量%を意味する。
【0100】〔実施例I−1〕下記の配合成分を(硬化
剤を除く)を、それぞれニーダーにて混練し、次いで撹
拌器にて分散し、更にサンドミルによって微分散し、1
μmのフィルターにて濾過後、硬化剤を最後に添加して
下記組成の色素含有塗料、磁性塗料および中間層塗料を
それぞれ調製した。
【0101】 <色素含有塗料の配合> ・ITO(平均粒子径:35nm) 100部 ・シリコーン粒子(平均粒子径:0.5μm) 3部 〔東芝シリコーン(株)製、商品名「トスパール105」〕 ・リン酸エステル(潤滑剤) 3部 〔東邦化学(株)製、ホスファノールRE610(商品名)〕 ・3,3’−Dipropylthiadicarbocyanine iodide (色素) 0.3部 ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 28部 〔数平均分子量25000、スルホン酸基含有量:1.2×10-4モル/g、ガ ラス転移点45℃〕 ・ステアリン酸(潤滑剤) 0.5部 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 4部 〔日本ポリウレタン工業(株)製の「コロネートL」(商品名)、固形分75 %〕 ・メチルエチルケトン(MEK,溶剤) 120部 ・トルエン(溶剤) 80部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 40部
【0102】 <磁性塗料の配合> ・鉄を主体とする針状強磁性金属粉末 100部 〔Fe:Co:Al:Y:Ba=70:25:2:2:1(重量比)〕 〔長軸長:0.07μm、軸比:5、保磁力:160kA/m(2010Oe) 、飽和磁化:142Am2 /kg、比表面積:56m2 /g、X線粒径:0.0 14μm〕 ・アルミナ(研磨材、平均粒子径:0.15μm) 8部 ・カーボンブラック 0.5部 (平均一次粒子径:0.018μm) ・塩化ビニル共重合体(結合剤) 10部 (平均重合度:280、エポキシ基含有量:1.2%、スルホン酸基含有量:8 ×10-5モル/g) ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 7部 (数平均分子量:25000、スルホン酸基含有量:1.2×10-4モル/g、 ガラス転移点:45℃) ・ステアリン酸(潤滑剤) 1.5部 ・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) 2部 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 5部 〔日本ポリウレタン工業(株)製のコロネートL(商品名)、固形分75%〕 ・MEK(溶剤) 120部 ・トルエン(溶剤) 80部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 40部
【0103】 <中間層塗料の配合> ・針状のα−Fe2 3 100部 〔平均粒径(長軸長):0.12μm、軸比:10、比表面積:48m2 /g〕 ・アルミナ(研磨材、一次粒径:0.15μm) 3部 ・塩化ビニル共重合体(結合剤) 12部 (平均重合度:280、エポキシ基含有量:1.2%、スルホン酸基含有量:8 ×10-5当量/g) ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 8部 (数平均分子量:25000、スルホン酸基含有量:1.2×10-4当量/g、 ガラス転移点:45℃) ・ステアリン酸(潤滑剤) 1部 ・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) 4部 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 4部 〔日本ポリウレタン工業(株)製のコロネートL(商品名)、固形分75%〕 ・MEK(溶剤) 90部 ・トルエン(溶剤) 60部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 30部
【0104】厚さ4.5μmのポリエチレンナフタレー
トフィルムからなる支持体上に、中間層塗料および磁性
塗料を、中間層および磁性層の乾燥厚さがそれぞれ1.
5μm及び0.2μmとなるように、ダイコーターにて
同時重層塗布を行い、それぞれの塗膜を形成した。次い
で、これらの塗膜が湿潤状態にある間に400kA/m
のソレノイドにより磁場配向処理を行った。更に、乾燥
炉にて80℃の温風を10m/分の速度で塗膜に吹きつ
け乾燥した。乾燥後、塗膜をカレンダー処理し、中間層
および磁性層を形成した。引き続き、上記支持体の反対
の面上に上記色素含有塗料を塗布し、更に90℃にて乾
燥し、厚さ1.0μmの色素含有層を形成した。このよ
うにして得られた磁気テープの原反を12.7mm幅に
スリットして、図1に示す構造を有する磁気テープを得
た。得られた磁気テープにおける磁性層の保磁力は16
5kA/m(2073Oe)、飽和磁束密度は0.37
T、角形比は0.86であり、また算術平均粗さRaは
4.3nm、十点平均粗さRzは41nmであった。
【0105】次に図2に示すように、得られた磁気テー
プにおける色素含有層にレーザービームを照射して、該
色素含有層にサーボ信号が記録された複数本の変色パタ
ーンを形成した。変色パターンの形成条件は、レーザー
ビームの波長1020nm、出力50mW、ビーム径2
μmであった。形成された変色パターンは直線状で、磁
気テープの長手方向に平行に且つ連続したものであり、
磁気テープの幅方向に亘って等間隔に形成されていた。
【0106】〔実施例I−2〕実施例I−1で用いた色
素含有塗料におけるITOの配合量を70部とし、色素
の配合量を0.6部とし、且つ平均粒子径80nmの球
状のマグネタイトを30部加える以外は実施例I−1と
同様にして磁気テープを得、この磁気テープの色素含有
層に実施例I−1と同様の変色パターンを形成した。
【0107】〔実施例I−3〕実施例I−1で用いた色
素含有塗料におけるシリコーン粒子を配合しない以外は
実施例I−1と同様にして磁気テープを得、この磁気テ
ープの色素含有層に実施例I−1と同様の変色パターン
を形成した。
【0108】〔実施例I−4〕実施例I−1で用いた色
素含有塗料における色素に代えてCrystal Violetを用い
る以外は実施例I−1と同様にして磁気テープを得、こ
の磁気テープの色素含有層に実施例I−1と同様の変色
パターンを形成した。
【0109】〔実施例I−5〕実施例I−1で用いた色
素含有塗料における色素に代えてThionineを用いる以外
は実施例I−1と同様にして磁気テープを得、この磁気
テープの色素含有層に実施例I−1と同様の変色パター
ンを形成した。
【0110】〔実施例I−6〕実施例I−1で用いた色
素含有塗料におけるITOの配合量を50部とし且つ平
均粒子径30nmのTiO2 を50部加える以外は実施
例I−1と同様にして磁気テープを得、この磁気テープ
の色素含有層に実施例I−1と同様の変色パターンを形
成した。
【0111】〔実施例I−7〕実施例I−1で用いた色
素含有塗料におけるシリコーン粒子の配合量を6部とす
る以外は実施例I−1と同様にして磁気テープを得、こ
の磁気テープの色素含有層に実施例I−1と同様の変色
パターンを形成した。
【0112】〔実施例I−8〕実施例I−1で用いた色
素含有塗料におけるITOの配合量を10部とし且つ平
均粒子径20nmの球状のα−Fe2 3 を90部加え
る以外は実施例I−1と同様にして磁気テープを得、こ
の磁気テープの色素含有層に実施例I−1と同様の変色
パターンを形成した。
【0113】〔比較例I−1〕実施例I−1で用いた色
素含有塗料において色素を配合しない以外は実施例I−
1と同様にして磁気テープを得た。
【0114】〔比較例I−2〕実施例I−1で用いた色
素含有塗料に代えて下記の成分から調製されたバックコ
ート塗料を用いる以外は実施例I−1と同様にして磁気
テープを得た。 ・カーボンブラック 40部 (帯電防止剤、平均一次粒子径0.018μm) ・ニッポラン2301(結合剤) 50部 〔商品名 日本ポリウレタン工業(株)のポリウレタン(固形分40%)〕 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 4部 〔日本ポリウレタン工業(株)製のコロネートL(商品名)、固形分75%〕 ・ニトロセルロース 20部 ・ステアリン酸 1部 ・MEK(溶剤) 140部 ・トルエン(溶剤) 140部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 140部
【0115】実施例および比較例で得られた磁気テープ
の性能を評価するために、下記の方法で磁気テープの再
生出力および光透過率、色素含有層の動摩擦係数、表面
電気抵抗および変色の有無を測定し、更にサーボトラッ
キングテストを行った。その結果を表1に示す。
【0116】<再生出力>ヘッドテスター法を用い、記
録波長0.6μmの信号を記録して、その再生出力を測
定し、比較例1を基準(0dB)として表わした。
【0117】<光透過率>サーボ信号の読み取りに使用
する光の波長の単色光を磁気テープに照射して、入射光
に対する透過光の比(%)を求め、光透過率の値とし
た。表1に示した値は、サーボ信号が記録された変色パ
ターンが色素含有層に形成される前の測定値である。
【0118】<動摩擦係数>(株)横浜システム研究所
製のテープ走行試験機TBT−300Dを用いて、磁気
テープを、その色素含有層の面が5mm径シリンダーに
180°接触する状態で、テープ速度3.36cm/秒
にて走行させた。巻出側および巻取側のテンションをそ
れぞれ測定し、次式(iii )により摩擦係数(μ)を求
めた。
【0119】
【数3】
【0120】<表面電気抵抗>24カラットの金メッキ
が施され、粗さがN4(ISO 1302参照)に仕上
げられている、半径10mmの2本の電極を用い、これ
らの電極を、色素含有層上に、中心間の距離d=12.
7mmとなるように水平状態で平行に置く。磁気テープ
の両端に0.25Nの力を加え、且つ電極に100V±
10Vの直流電圧を印加して、電極間電流を測定する。
この値から表面電気抵抗を求める。
【0121】<変色パターン部分の変色の有無>色素含
有層にレーザー光を照射し、変色(脱色)した部分を光
学顕微鏡にて観察し、変色パターンの有無を判定した。
【0122】<サーボトラッキングテスト>実施例およ
び比較例で得られた磁気テープについて、透過光を利用
したプッシュプル方式のサーボトラッキングを行いつつ
磁性層に信号を記録し、その制御の可否を評価した。
尚、サーボ信号の検出に用いられる光は、表1に示す磁
気テープの透過率の測定に用いられる光と同じ波長のも
のであり、その検出は、色素含有層における変色部分と
非変色部分との当該光の透過率の差を電気信号に変換す
ることにより行った。更に、この評価と併せて、記録さ
れた信号の再生出力をヘッドテスター法を用いて測定す
ると共にエンベロープ特性を測定した。尚、再生出力は
実施例1の値を基準とした。また、エンベロープ特性は
下記の基準で評価した。 ○・・・1つのトラック全体に亘り一定の出力レベルで
あり、均一なエンベロープ形状であった。 △・・・1つのトラックのうち、前半分または後半分で
出力の低い部分がある歪んだエンベロープ形状であっ
た。
【0123】
【表1】
【0124】表1に示す結果から明らかなように、実施
例の磁気テープ(本発明品)は、高い再生出力が得られ
且つ確実なサーボトラッキングが行われることが判る。
特に、実施例の磁気テープでは、600本のデータトラ
ックを記録した場合にも表1に示すように確実なサーボ
トラッキングが行われた。また、実施例の磁気テープで
は動摩擦係数および表面電気抵抗の何れもが低くなって
おり、色素含有層がバックコート層本来の機能も発揮し
ていることも判る。尚、表には示していないが、実施例
の磁気テープにおける色素含有層の算術平均粗さ及び十
点平均粗さは通常の磁気テープにおけるバックコート層
のそれと同程度であった。
【0125】〔実施例II−1〕下記の配合成分を(硬化
剤を除く)を、それぞれニーダーにて混練し、次いで撹
拌器にて分散し、更にサンドミルによって微分散し、1
μmのフィルターにて濾過後、硬化剤を最後に添加して
下記組成の色素含有塗料、磁性塗料および中間層塗料を
それぞれ調製した。
【0126】 <色素含有塗料の配合> ・ITO(平均粒子径:35nm) 100部 ・シリコーン粒子(平均粒径:0.5μm) 3部 〔東芝シリコーン(株)製、商品名「トスパール105」〕 ・リン酸エステル(潤滑剤) 3部 〔東邦化学(株)製、ホスファノールRE610(商品名)〕 ・3,3’−Dipropylthiadicarbocyanine iodide (色素) 0.2部 ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 28部 〔数平均分子量25000、スルホン酸基含有量:1.2×10-4モル/g、ガ ラス転移点45℃〕 ・ステアリン酸(潤滑剤) 0.5部 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 4部 〔日本ポリウレタン工業(株)製の「コロネートL」(商品名)、固形分75% 〕 ・MEK(溶剤) 120部 ・トルエン(溶剤) 80部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 40部
【0127】 <磁性塗料の配合> ・鉄を主体とする針状強磁性金属粉末 100部 〔Fe:Co:Al:Y:Ba=83:10:4:2:1(重量比)〕 〔長軸長:0.09μm、軸比:7、保磁力:145kA/m(1822Oe) 、飽和磁化:145Am2 /kg、比表面積:56m2 /g、X線粒径:0.0 13μm〕 ・アルミナ(研磨材、粒子径:0.15μm) 9部 ・カーボンブラック 0.3部 (平均一次粒子径:0.05μm) ・塩化ビニル共重合体(結合剤) 6部 (平均重合度:280、エポキシ基含有量:1.2%、スルホン酸基含有量:8 ×10-5モル/g) ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 7部 (数平均分子量:25000、スルホン酸基含有量:1.2×10-4モル/g、 ガラス転移点:45℃) ・ステアリン酸(潤滑剤) 1部 ・2−エチルヘキシルステアレート(潤滑剤) 2部 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 4部 〔日本ポリウレタン工業(株)製のコロネートL(商品名)〕 ・MEK(溶剤) 120部 ・トルエン(溶剤) 80部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 40部
【0128】 <中間層塗料の配合> ・針状のα−Fe2 3 100部 〔平均粒径(長軸長):0.12μm、軸比:10、比表面積:48m2 /g〕 ・アルミナ(研磨材、一次粒径:0.15μm) 3部 ・塩化ビニル共重合体(結合剤) 12部 (平均重合度:280、エポキシ基含有量:1.2%、スルホン酸基含有量:8 ×10-5モル/g) ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 8部 (数平均分子量:25000、スルホン酸基含有量:1.2×10-4モル/g、 ガラス転移点:45℃) ・ステアリン酸(潤滑剤) 1部 ・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) 4部 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 4部 〔日本ポリウレタン工業(株)製のコロネートL(商品名)〕 ・MEK(溶剤) 90部 ・トルエン(溶剤) 60部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 30部
【0129】厚さ4.5μmのポリエチレンナフタレー
トフィルムの両面に真空成膜法によって、Auからなる
厚さ0.05μmの金属薄膜層をそれぞれ形成し、これ
を支持体として用いた。一方の金属薄膜層上に、中間層
塗料および磁性塗料を、中間層および磁性層の乾燥厚さ
がそれぞれ1.5μm及び0.2μmとなるように、ダ
イコーターにて同時重層塗布を行い、それぞれの塗膜を
形成した。次いで、これらの塗膜が湿潤状態にある間に
400kA/mのソレノイドにより磁場配向処理を行っ
た。更に、乾燥炉にて80℃の温風を10m/分の速度
で塗膜に吹きつけ乾燥した。乾燥後、塗膜をカレンダー
処理し、中間層および磁性層を形成した。引き続き、他
方の金属薄膜層上に上記色素含有塗料を塗布し、更に9
0℃にて乾燥し、厚さ1.0μmの色素含有層を形成し
た。このようにして得られた磁気テープの原反を12.
7mm幅にスリットして、図7に示す構造を有する磁気
テープを得た。得られた磁気テープにおける磁性層の保
磁力は151kA/m(1898Oe)、飽和磁束密度
は0.36T、角形比は0.90であり、また算術平均
粗さRaは4.6nm、十点平均粗さRzは55nmで
あった。
【0130】次に図2に示すように、得られた磁気テー
プにおける色素含有層にレーザービームを照射して、該
色素含有層にサーボ信号が記録された複数本の変色パタ
ーンを形成した。変色パターンの形成条件は、レーザー
ビームの波長1020nm、出力50mW、ビーム径2
μmであった。形成された変色パターンは直線状で、磁
気テープの長手方向に平行に且つ連続したものであり、
磁気テープの幅方向に亘って等間隔に形成されていた。
【0131】〔実施例II−2〕実施例II−1で用いた色
素含有塗料におけるシリコーン粒子を配合しない以外は
実施例II−1と同様にして磁気テープを得、この磁気テ
ープの色素含有層に実施例II−1と同様の変色パターン
を形成した。
【0132】〔実施例II−3〕実施例II−1で用いた色
素含有塗料における色素に代えてCrystal Violetを用い
る以外は実施例II−1と同様にして磁気テープを得、こ
の磁気テープの色素含有層に実施例II−1と同様の変色
パターンを形成した。
【0133】〔実施例II−4〕実施例II1で用いた色素
含有塗料における色素に代えてThionineを用いる以外は
実施例II−1と同様にして磁気テープを得、この磁気テ
ープの色素含有層に実施例II−1と同様の変色パターン
を形成した。
【0134】〔実施例II−5〕実施例II−1で用いた色
素含有塗料におけるITOの配合量を80部とし且つ平
均粒子径40nmのTiO2 を20部加える以外は実施
例II−1と同様にして磁気テープを得、この磁気テープ
の色素含有層に実施例II−1と同様の変色パターンを形
成した。
【0135】〔実施例II−6〕実施例II−1で用いた色
素含有塗料におけるシリコーン粒子の配合量を6部とす
る以外は実施例II−1と同様にして磁気テープを得、こ
の磁気テープの色素含有層に実施例II−1と同様の変色
パターンを形成した。
【0136】〔実施例II−7〕Alからなる金属薄膜層
7(膜厚0.03μm)を蒸着により形成し、金属薄膜
層8は形成しなかった。また、色素含有塗料及びバック
コート塗料として下記のものを用い、色素含有塗料とバ
ックコート塗料とをこの順で金属薄膜層7上にウエット
オンウエット方式で同時重層塗布し、色素含有層(膜厚
0.15μm)及び最外層としてのバックコート層(膜
厚0.35μm)を形成した。それ以外は実施例II−1
と同様にして磁気テープを得た。この磁気テープの色素
含有層に、波長680nm、出力20mW、ビーム径3
μmのレーザービームを照射して実施例II−1と同様の
変色パターンを形成した。
【0137】 <色素含有塗料の配合> ・ITO(平均粒子径:35nm) 100部 ・シアニン系色素〔上記式(1)においてR1 及びR2 が何れもC4 9 、nが 2で、X- が過塩素酸イオンの化合物) 6部 ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 28部 〔数平均分子量25000、スルホン酸基含有量:1.2×10-4モル/g、ガ ラス転移点45℃〕 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 4部 〔日本ポリウレタン工業(株)製の「コロネートL」(商品名)、固形分75% 〕 ・MEK(溶剤) 120部 ・トルエン(溶剤) 80部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 40部
【0138】 <バックコート塗料の配合> ・ITO(平均粒子径:35nm) 100部 ・シリコーン樹脂(平均粒径:0.5μm) 1部 〔東芝シリコーン(株)製、商品名「トスパール105」〕 ・リン酸エステル(潤滑剤) 3部 〔東邦化学(株)製、ホスファノールRE610(商品名)〕 ・ポリウレタン樹脂(結合剤) 28部 〔数平均分子量25000、スルホン酸基含有量:1.2×10-4モル/g、ガ ラス転移点45℃〕 ・ステアリン酸(潤滑剤) 0.5部 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 4部 〔日本ポリウレタン工業(株)製の「コロネートL」(商品名)、固形分75% 〕 ・MEK(溶剤) 120部 ・トルエン(溶剤) 80部 ・シクロヘキサノン(溶剤) 40部
【0139】〔比較例II−1〕実施例II−1で用いた色
素含有塗料において色素を配合しない以外は実施例II−
1と同様にして磁気テープを得た。
【0140】〔比較例II−2〕実施例II−1で用いた色
素含有塗料に代えて下記の成分から調製されたバックコ
ート塗料を用いる以外は実施例II−1と同様にして磁気
テープを得た。 ・カーボンブラック 40部 (帯電防止剤、平均一次粒子径0.018μm) ・ニッポラン2301(結合剤) 50部 〔商品名 日本ポリウレタン工業(株)のポリウレタン(固形分40%)〕 ・ポリイソシアネート(硬化剤) 4部 〔日本ポリウレタン工業(株)製のコロネートL(商品名)、固形分75%〕 ・ニトロセルロース 20部 ・ステアリン酸 1部 ・メチルエチルケトン 140部 ・トルエン 140部 ・シクロヘキサノン 140部
【0141】実施例および比較例で得られた磁気テープ
の性能を評価するために、上述の方法で磁気テープの再
生出力、色素含有層の動摩擦係数、表面電気抵抗および
変色の有無を測定し、更にサーボトラッキングテストを
行った。更に、磁気テープにおける色素含有層側の光反
射率を下記の方法で測定した。その結果を表2に示す。
【0142】<光反射率>サーボ信号の読み取りに使用
する光の波長の単色光を磁気テープの色素含有層側に照
射して、入射光に対する反射光の比(%)を求め、光反
射率の値とした。表2に示した値は、サーボ信号が記録
された変色パターンが色素含有層に形成される前の測定
値である。
【0143】
【表2】
【0144】表2に示す結果から明らかなように、実施
例II−1〜II−7の磁気テープ(本発明品)は、実施例
I−1〜I−8の磁気テープと同様に、高い再生出力が
得られ且つ確実なサーボトラッキングが行われることが
判る。特に、実施例II−1〜II−7の磁気テープでは、
600本のデータトラックを記録した場合にも表2に示
すように確実なサーボトラッキングが行われた。また、
実施例II−1〜II−6の磁気テープでは動摩擦係数およ
び表面電気抵抗の何れもが低くなっており、色素含有層
がバックコート層本来の機能も発揮していることも判
る。尚、表には示していないが、実施例II−1〜II−6
の磁気テープにおける色素含有層及び実施例II−7の磁
気テープにおけるバックコート層の算術平均粗さ及び十
点平均粗さは通常の磁気テープにおけるバックコート層
のそれと同程度であった。
【0145】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明によれば、
データエリアの面積を減少させることなくサーボトラッ
キングを行い得る磁気テープが得られる。また、本発明
によれば、バックコート層本来の機能が損なわれること
なくサーボトラッキングを行い得る磁気テープが得られ
る。また、本発明によれば、トラック密度が向上した磁
気テープが得られる。更に、本発明によれば、高記録容
量を有する磁気テープが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気テープの第1実施形態の構成を示
す概略図である。
【図2】バックコート層に光ビームを照射して変色パタ
ーンを形成する方法を示す模式図である。
【図3】光ビームを照射後のバックコート層の要部拡大
平面図である。
【図4】プッシュプル方式によるサーボトラッキングの
方法を示す模式図である。
【図5】変色パターンの別の形態を示す模式図(図3相
当図)である。
【図6】本発明の磁気テープの第2実施形態の構成を示
す概略図である。
【図7】本発明の磁気テープの第3実施形態の構成を示
す概略図である。
【図8】第3の実施形態におけるサーボトラッキングの
方法を示す模式図である。
【図9】本発明の磁気テープの第4実施形態の構成を示
す概略図である。
【図10】本発明の磁気テープの他の実施形態の構成を
示す概略図(図1相当図)である。
【図11】本発明の磁気テープの他の実施形態の構成を
示す概略図(図6相当図)である。
【図12】本発明の磁気テープの他の実施形態の構成を
示す概略図(図7相当図)である。
【図13】本発明の磁気テープの他の実施形態の構成を
示す概略図(図9相当図)である。
【符号の説明】
1 磁気テープ 2 支持体 3 中間層 4 磁性層 5 色素含有層 6 バックコート層 7,8 金属薄膜層 10 変色パターン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 星 正人 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の一方の面上に磁性層が形成され
    てなる磁気テープにおいて、 上記支持体における上記磁性層が設けられている面と反
    対側の面上に、色素を含有する層を形成し、該層をトラ
    ッキング用サーボ信号の光学的な記録が可能な層となし
    たことを特徴とする磁気テープ。
  2. 【請求項2】 色素を含有する上記層は、上記磁気テー
    プにおける該層の側から所定波長の光が照射されて上記
    色素が変色することにより、上記サーボ信号が記録され
    た所定形状の変色パターンが形成されていることを特徴
    とする請求項1記載の磁気テープ。
  3. 【請求項3】 上記磁気テープにおける色素を含有する
    上記層側の動摩擦係数が0.15〜0.35である請求
    項1又は2記載の磁気テープ。
  4. 【請求項4】 色素を含有する上記層上に、結合剤およ
    び無機粉末を含有する最外層としてのバックコート層が
    更に形成されている請求項1〜3の何れかに記載の磁気
    テープ。
  5. 【請求項5】 上記支持体と色素を含有する上記層との
    間に金属薄膜層が更に形成されており、且つ上記磁気テ
    ープにおける色素を含有する上記層側から上記変色パタ
    ーンに所定波長の光を照射して反射してきた光を検出す
    ることにより、検出された該光の強度で示される上記サ
    ーボ信号が読み取られるようになされていることを特徴
    とする請求項1〜4の何れかに記載の磁気テープ。
  6. 【請求項6】 上記サーボ信号の読み取りに用いられる
    光の波長における上記磁気テープの色素を含有する上記
    層側の光反射率が、該サーボ信号記録前において5%以
    上であることを特徴とする請求項5記載の磁気テープ。
  7. 【請求項7】 支持体の一方の面上に磁性層が形成され
    てなる磁気テープにおいて、 上記支持体における上記磁性層が設けられている面と反
    対側の面上に、色素を含有する層を形成し、該層にトラ
    ッキング用サーボ信号を光学的に記録したことを特徴と
    する磁気テープ。
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JP19086798A JPH11213383A (ja) 1997-11-21 1998-07-06 磁気テープ
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AU11733/99A AU1173399A (en) 1997-11-21 1998-11-18 Magnetic tape
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US10/346,197 US20030194582A1 (en) 1997-11-21 2003-01-16 Magnetic tape
US10/675,796 US7276302B2 (en) 1997-11-21 2003-09-29 Magnetic tape

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002343617A (ja) * 2001-05-17 2002-11-29 Sony Corp 磁性粉末および該磁性粉末を用いた磁気記録媒体
JP2004087058A (ja) * 2002-08-29 2004-03-18 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体

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