JPH11211914A - 位相差フィルム - Google Patents

位相差フィルム

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JPH11211914A
JPH11211914A JP10009543A JP954398A JPH11211914A JP H11211914 A JPH11211914 A JP H11211914A JP 10009543 A JP10009543 A JP 10009543A JP 954398 A JP954398 A JP 954398A JP H11211914 A JPH11211914 A JP H11211914A
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JP
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film
refractive index
vapor deposition
transparent polymer
tio2
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JP10009543A
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Akiko Shimizu
朗子 清水
Takahiro Hishinuma
高広 菱沼
Koji Azuma
浩二 東
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3083Birefringent or phase retarding elements

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  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 TN−LCDの視野角特性を改良するのに適
し、容易に大面積のものを安価に得ることができる位相
差フィルムを提供する。 【解決手段】 透明高分子フィルムの少なくとも片面
に、正の屈折率異方性を有しかつ光学主軸がフィルム法
線方向から20度〜70度傾斜している少なくとも一層
のTiO2を主成分とする無機誘電体からなる斜方蒸着
層が形成されてなる位相差フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示装置の視野
角特性を改良する位相差フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置(以下、LCDと表わす)
として現在最もよく用いられているものは、吸収軸が直
交となるように配置された一対の直線偏光フィルムの間
に、透明電極を形成した一対のガラス基板の間にガラス
基板法線方向に螺旋軸を有し、そのネジレ角度が約90
度であるような配向構造を有したネマチック液晶を挟持
した液晶セルを挟んだ、ノーマリホワイト(以下、NW
と表わす)モードのツイステッドネマチック型LCD
(以下、TN−LCDと表わす)である。NWモードの
TN−LCDは、電圧を印加しない状態では入射した直
線偏光が液晶セルの旋光性により90度回転して出射さ
れるため白状態となり、電圧を印加した状態では液晶分
子がガラス基板に対して起き上がり、旋光性が消失し、
入射した直線偏光はその状態を保ったまま出射されるた
め黒状態となる。また、この白状態、黒状態とその中間
状態を利用することで、階調表示を行っている。しか
し、LCDに用いられるネマティック液晶は、分子構造
が棒状をしており分子軸方向の屈折率が大きい正の屈折
率異方性を示すものであり、LCDを斜めに通過する光
の偏光状態の変化はこの液晶の屈折率異方性による位相
差のためにLCDの法線方向とは異なったものとなる。
このため、LCD法線方向から外れた角度から表示を見
た場合、コントラストが低下したり、階調表示が逆転す
る階調反転などの現象が起こるという視野角特性を示
す。
【0003】この視野角特性は液晶分子の屈折率異方性
が原因であることから、液晶分子の屈折率異方性による
位相差を補償するための液晶とは逆の屈折率異方性を示
す位相差フィルムを用いた改良が検討されている。視野
角特性の改良は黒表示即ち電圧印加状態における視野角
特性を改良することで大きな効果が得られる。電圧印加
状態では液晶分子はガラス基板に垂直に近い状態に配向
していることから、この状態をガラス基板法線方向に光
学軸を有する正の屈折率異方体と見なして、これを補償
する位相差フィルムとしてフィルム法線方向に光学軸を
有しかつ負の屈折率異方性を有する位相差フィルムを用
いる方法が特開平2−015239号公報や特開平3−
103823号公報などに開示されている。また、実際
のLCDにおいては電圧印加状態にあってもガラス基板
付近の液晶は基板の配向膜の拘束力のためにガラス基板
に近い部分では傾斜状態のままであることから、位相差
フィルムの光学軸がフィルム法線方向から傾斜した方向
にありかつ負の屈折率異方性を有する位相差フィルムを
用いる方法も特開昭63−239421号公報や特開平
6−214116号公報などに記載されている。また別
の方法として、液晶と同じ正の屈折率異方性を持ちなが
らも、光学軸をフィルム法線方向から傾斜させた状態と
した位相差板を用いても視野角特性を改良できること
が、特開平5−080323号公報、特開平7−306
406号公報やWO96/10773号公報などに記載
されている。
【0004】最近TN−LCDはパーソナルコンピュー
タを初めとする多様な用途に利用されるようになり、大
型化、高精細化、広視野角化、軽量化や低コスト化が強
く求められている。フィルム法線方向に光学軸を有しか
つ負の屈折率異方性を有する位相差フィルムを用いた場
合には、視野角の改良効果が必ずしも十分ではない。ま
た、光学軸がフィルム法線方向から傾斜した方向にあり
かつ負の屈折率異方性を有する位相差フィルムでは、視
野角の改良効果は大きいものの、特開昭63−2394
21号公報に開示されているような負の屈折率異方性を
示すように配向した高分子ブロックから光学軸がフィル
ム法線方向から傾斜した方向となるように切りだす方法
では均一でかつ大面積の位相差フィルムを効率よく得る
ことは難しく、特開平6−214116号公報に開示さ
れているような円盤状の液晶化合物を用いる方法では液
晶化合物の製造や液晶の均一配向が難しくコスト的に不
利である。
【0005】光学軸がフィルム法線方向から傾斜した方
向にありかつ正の屈折率異方性を有する位相差フィルム
を用いた場合でも、視野角の改良効果は大きいものの、
特開平5−080323号公報に開示されているような
正の屈折率異方性を示すように配向した高分子ブロック
から光学軸がフィルム法線方向から傾斜した方向となる
ように切り出す方法では均一でかつ大面積の位相差フィ
ルムを効率よく得ることは難しく、また、特開平7−3
06406号公報に開示されているApplied O
ptics 28巻(1989年)、2466頁〜24
82頁に記載されているようなガラス基板上への無機誘
電体の斜方蒸着による方法や、WO96/10773号
公報に開示されているようなガラス基板上へのTa2O
5の斜方蒸着による方法では、光学軸が法線方向から傾
斜した方向にありかつ正の屈折率異方性を有する位相差
板を得ることはできるが、これらの方法ではガラス基板
を用いるため、重く、柔軟性に欠け、量産性に劣る位相
差板しか得ることはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようにTN−LC
Dの視野角特性の改良に用いられる位相差フィルムにつ
いては、視野角特性の改良性能以外の性質も含めて市場
の要望を満足する位相差フィルムは見いだされていない
状況にあった。かかる状況に鑑み、本発明者らは透明高
分子フィルムの少なくとも片面に、少なくとも一層のT
iO2を主成分とする無機誘電体からなる斜方蒸着層を
設けることにより、光学軸がフィルム法線方向から傾斜
した、大面積で軽量で量産性に優れた位相差フィルムを
開発することができ、本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、透明
高分子フィルムの少なくとも片面に、正の屈折率異方性
を有しかつ光学主軸がフィルム法線方向から20度〜7
0度傾斜している少なくとも一層のTiO2を主成分と
する無機誘電体からなる斜方蒸着層が形成されてなるこ
とを特徴とする位相差フィルムを提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いる透明高分子フィル
ムとしては、透明性に優れ、均一なものであれば特に制
限されないが、フィルムの製造のしやすさなどの点で熱
可塑性の高分子からなるものが好ましく用いられる。熱
可塑性高分子としては、セルロース系高分子、ポリカー
ボネート系高分子、、ポリアリレート系高分子、ポリエ
ステル系高分子、アクリル系高分子、ポリサルフォン、
ポリエーテルサルフォンなどを例示することができる。
中でもポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンなど耐
熱性に優れた高分子が蒸着については有利であるが、コ
スト的に安価で均一なフィルムが入手可能であるセルロ
ース系高分子フィルム、ポリカーボネート系高分子フィ
ルムも好ましく用いられる。また、透明高分子フィルム
のフィルム面内のレターデーション値(Rb=(nbx
−nby)×db、nbx:透明高分子フィルムのフ
ィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nby:透明高分子
フィルムのフィルム面内の進相軸方向の屈折率、db:
透明高分子フィルムの厚み)が小さいものが適している
用途については、固有複屈折が小さいセルロース系高分
子フィルム、アクリル系高分子フィルムが特に好ましく
用いられ、数十nmのレターデーション値が必要な場合
には固有複屈折が大きいポリカーボネート系高分子フィ
ルム、ポリエステル系高分子フィルム、ポリサルフォン
フィルム、ポリエーテルサルフォンフィルムなどが好ま
しく用いられる。特に連続フィルム上に無機誘電体の斜
方蒸着層を設ける場合には、蒸着時の熱とフィルム搬送
のために生じる応力によるフィルムの変形が少ないトリ
アセチルセルロースフィルムやポリエーテルサルフォン
フィルムが好ましく用いられる。
【0009】透明高分子フィルムの製膜方法としては、
溶剤キャスト法やフィルムの残留応力を小さくできる精
密押出法などを用いることができるが、均一性の点で溶
剤キャスト法が好ましく用いられる。特にRb値が小さ
いフィルムを作製するには溶剤キャスト法が好ましい。
このようにして製膜されたフィルム、中でも溶剤キャス
ト法により製膜されたフィルムはRb値は小さいが、製
膜時の高分子の面内配向性によりフィルム厚み方向の屈
折率(nbt)がフィルム面内の平均屈折率(nbp)よ
りも小さいという屈折率構造を持つようになる。このた
め、この透明高分子フィルムはこのフィルム厚み方向の
複屈折性により厚み方向のレターデーション値(R’b
=(nbp −nbt)×db)を有するようになり、単
なる蒸着のための基材ではなく、本発明による正の屈折
率異方性を有しかつ光学主軸がフィルム法線方向から傾
斜している無機誘電体からなる斜方蒸着層と組み合わせ
て用いられる光学軸がフィルム法線方向にある負の屈折
率異方性を有する位相差フィルムとして利用することが
できるようになる。この透明高分子フィルムのR’b値
は0nm〜250nm程度の範囲で用いられる。また、
透明高分子フィルムのR’b値が所定の値に対して不足
する場合には、透明高分子フィルム上に特開平5−19
6819号公報に記載されている無機層状化合物を含む
層を形成してR’bの大きさを調整することもできる。
【0010】一方、透明高分子フィルムをRb値を有す
る一軸配向性のフィルムとして用いることもでき、この
場合には溶剤キャスト法や精密押出法により製膜したフ
ィルムをロール間延伸法、テンター延伸法などを用いて
延伸することにより得ることができる。一軸配向性のフ
ィルムとした場合のRb値は、通常100nm以下の範
囲に設定される。また、本発明における一軸配向性と
は、完全一軸配向だけでなく、フィルム面内にR値を有
する二軸配向性も含むものである。
【0011】これらの透明高分子フィルムの厚みは、特
に制限はないが、通常、約50μm〜500μmのもの
が用いられる。
【0012】本発明において、透明高分子フィルムの少
なくとも片面に、少なくとも一層のTiO2を主成分と
する無機誘電体からなる斜方蒸着層を設ける際に、無機
誘電体の斜方蒸着層が位相差フィルムとして用いるため
の所定のレターデーション値を発現するためには、反射
防止層などを誘電体の多層蒸着膜で形成する場合の膜厚
と比較してかなり厚くなるため、密着性を上げて蒸着層
の割れを防止する中間層を設けることが好ましい。
【0013】本発明に用いる中間層としては、アクリル
系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、カルド樹脂
またはポリシラザンからなる高分子膜が例示される。
【0014】これら高分子膜の形成方法としては、高分
子化されたものを溶剤に溶解して透明高分子フィルムに
塗布する方法や、低分子モノマーまたはオリゴマーと重
合開始剤を含む組成物を透明高分子フィルムに塗布した
後に光硬化または熱硬化により高分子化する方法などが
用いられる。透明高分子フィルムへの塗布方法には特に
制限はなく、コンマコート法、ダイコート法、ダイレク
ト・グラビア法、バーコート法などの公知の塗布方法を
用いることができる。
【0015】セルロース系高分子フィルムやポリカーボ
ネート系高分子フィルムやポリエステル系高分子フィル
ムには紫外線硬化型のアクリル系樹脂膜が好ましく用い
られ、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンなどの
耐熱性が高い高分子フィルムには熱硬化型のポリシラザ
ン膜も用いることができる。
【0016】中間層としての高分子膜の膜厚は密着性改
良が実現される厚みであれば特に制限はなく、約0.2
μm〜10μmの範囲に設定される。約0.2μmより
薄いとコーティングによる均一な膜が得られにくく、ま
た約10μmより厚くなると透明高分子フィルムと中間
層の密着性が低下するようになるため好ましくない。
【0017】本発明における斜方蒸着層としては、Ti
O2を主成分とする無機誘電体からなる斜方蒸着層が用
いられる。位相差フィルムに用いる無機誘電体として
は、真空蒸着により薄膜の形成が可能で、斜方蒸着を行
った場合に正の屈折率異方性を発現し、その光学主軸が
フィルム法線方向から20度〜70度傾斜した光学特性
を発現するものであり、透明性に優れ、かつ膜質が硬い
金属酸化物が好ましい。さらに、生産性の点においては
斜方蒸着した場合に屈折率異方性が発現しやすく、なる
べく薄い膜厚で必要な光学特性が得られるものが好まし
い。そのような特性を有する無機誘電体として一般的に
はTa2O5〔酸化タンタル(V)〕、TiO2〔酸化
チタン(IV)〕またはZrO2〔酸化ジルコニウム
(IV)〕を主成分とする金属酸化物等が挙げられる。
ここでいうTa2O5、TiO2またはZrO2を主成
分とする金属酸化物とは、Ta2O5、TiO2または
ZrO2を50重量%以上100重量%以下含むものを
指す。これらの中でも、本発明において使用するTiO
2を主成分とする金属酸化物は、電子ビーム蒸着法等の
方法による成膜時において、蒸着材料として使用するT
iの酸化物および金属Tiが完全に溶融する性質を有す
るために蒸着源のるつぼ内に平滑な溶融面が形成され、
蒸着材料が安定して蒸発するため、均一性に優れた蒸着
層が安定して得られる点で好ましい。さらにTiO2を
主成分とする金属酸化物は、Ta2O5を主成分とする
金属酸化物、ZrO2を主成分とする金属酸化物と比べ
て比較的低温で蒸着することが可能であり、蒸着基板と
なる透明高分子フィルムに熱による損傷を与えずにしか
も速い速度で成膜が可能であるという点でも好ましい。
【0018】斜方蒸着の角度は、蒸着源からのフィルム
上の蒸着点を結んだ線とフィルム面の法線がなす角度に
より定義されるが、この蒸着角度を約50度〜85度の
範囲とすることで、誘電体層の光学主軸とフィルム法線
方向がなす角度を約20度〜70度の所定の角度となる
ようにすることができる。具体的な蒸着角度は、用いる
透明高分子フィルムと蒸着物質との組み合わせにより異
なるため、組み合わせ毎に適宜決められる。
【0019】斜方蒸着されたTiO2を主成分とする無
機誘電体からなる斜方蒸着層の厚さは、蒸着物質の成長
に異方性を生じて複屈折性を示す膜厚以上であれば特に
制限されないが、無機誘電体からなる斜方蒸着層のフィ
ルム面内のレターデーション値(Ra=(nax −n
ay)×da、nax:斜方蒸着層のフィルム面内の遅
相軸方向の屈折率、nay:斜方蒸着層のフィルム面内
の進相軸方向の屈折率、da:斜方蒸着層の厚み)が約
20nm〜200nmの範囲にある所定のレターデーシ
ョン値を得られる厚みとする。この厚みは、使用する物
質の複屈折率と光学主軸のフィルム法線方向からの傾斜
角度により異なるが、通常、約0.2μm〜5μmの範
囲であり、好ましくは約0.4μm〜1μmの範囲で設
定される。
【0020】斜方蒸着によるTiO2を主成分とする無
機誘電体層は少なくとも1層であり、適用するLCDの
視野角特性の改良の目的に応じて、光学軸のフィルム法
線方向からの傾斜角度が異なる複数の層を形成したもの
や、同一傾斜角度であっても傾斜する方向の方位角が異
なる複数の層を形成したもの、およびこれらの組み合わ
せも本発明に含むものである。また、必要に応じて他の
無機誘電体からなる層と組み合わせて多層構造としたも
のなども本発明に含むものである。
【0021】本発明で用いる斜方蒸着の蒸着方法として
は、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法など、
公知の方法を用いることができる。生産性の点から、電
子ビーム蒸着法が好ましく用いられる。
【0022】連続フィルム上への斜方蒸着は、フィルム
を連続して蒸着できる蒸着装置に、不要な蒸着角度で飛
来してくる無機誘電体をカットして所定の蒸着角度で飛
来してくる無機誘電体のみを選択的に蒸着できるように
蒸着源とフィルムの間にスリットや遮蔽板を設けること
で実施することができる。この時、無機誘電体が効率良
くフィルム上に蒸着されるように、蒸着源の真上をフィ
ルムが通過するように蒸着源、遮蔽板およびフィルムを
配置する。また、蒸着の際には高分子フィルムの温度が
上昇し、フィルムに変形を誘発するなどの不具合が発生
する危険があるため、余分な輻射熱が加わらないように
輻射熱の遮断板を設けるなどすることが好ましい。
【0023】フィルムの変形が起こることは問題である
が、斜方蒸着時のフィルム温度により形成される誘電体
層の特性が変わるため、蒸着部でのフィルム温度を適宜
制御できるようにフィルムのガイドロールやキャンロー
ルなどを温度制御可能なものとすることが好ましい。温
度の制御範囲は、高分子のガラス転移温度未満であり、
好ましくは熱変形温度未満であるが、0℃以下に冷却で
きることがより好ましい。
【0024】蒸着材料としては、Tiの酸化物、あるい
は金属Tiを用いることができる。Tiの酸化物を使用
する場合、TiO2を使用してもよいが、蒸着の容易
性、蒸着レート、輻射熱等の問題からTi3O5がより
好ましい。このとき、必要に応じて蒸着機内に酸素ガス
を導入して蒸着膜中の酸素の組成比を調節して透明性を
上げる手法を用いてもよい。蒸着材料として金属Tiを
使用する場合には、Ti酸化物の蒸着層を得るため酸素
ガス流量下での反応性蒸着となる。いずれの材料を使用
する場合においても、酸素ガスの導入量は、蒸着装置の
容積と排気能力等により異なるため適宜選択される。導
入量が少なすぎると酸素導入の効果が十分でなく、逆に
導入量が多すぎる場合は気圧が上昇して蒸着速度が低下
することがあるため注意が必要である。一般的には、装
置内の気圧が10-3Torrより大きくならないように
導入量を調節する。
【0025】本発明において、透明高分子フィルムの少
なくとも片面にTiO2 を主成分とする無機誘電体の
斜方蒸着層を設ける際、TiO2 を主成分とする斜方
蒸着層と基材の透明高分子フィルムあるいは中間層を設
けた透明高分子フィルムとの密着性を向上させるため、
透明高分子フィルムおよび中間層の蒸着する側の表面に
何らかの表面処理を施した後に蒸着を行うことも可能で
ある。表面処理方法については特に限定されないが、一
般的に用いられているものとしては真空中での加熱処理
や、コロナ処理、イオンボンバード処理、プラズマ処
理、紫外線照射、酸・アルカリ処理等を挙げることがで
きる。表面処理方法や処理の程度は、使用する透明高分
子フィルムや中間層、蒸着材料、および最終的に得られ
る位相差フィルムに必要な機械的強度、耐久性、光学特
性により適宜選択される。
【0026】本発明の位相差フィルムは、TN−LCD
の視野角改良用位相差フィルムとして用いるものである
が、同様にスーパーツイステッドネマチック(STN)
型LCDの視野角改良用位相差フィルムとしても用いる
ことができる。この場合、TiO2を主成分とする無機
誘電体層の光学主軸のフィルム法線に対する傾斜角度や
レターデーション値の大きさ、透明高分子フィルムのレ
ターデーション値などは適宜変更して設定される。
【0027】
【発明の効果】本発明の位相差フィルムは、TN−LC
Dの視野角特性を改良するのに適した光学主軸がフィル
ム法線方向から傾斜した方向にありかつ正の屈折率異方
性を有する位相差フィルムであって、本発明の構成とす
ることによって、大面積のものを容易に安価に得ること
ができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実
施例におけるRa値及びRb値の測定は、偏光顕微鏡を
用いて波長546nmの単色光で常法(セナルモン法)
により行った。また、光学主軸のフィルム法線方向から
の傾斜角度はフィルム面内の進相軸を傾斜軸とした時の
レターデーション値(透明高分子フィルムが複屈折性を
有する場合には透明高分子フィルムのレターデーション
値を差し引いた値)の傾斜角依存性に測定光の屈折を考
慮し、屈折率構造が一軸性であると仮定して常法により
求めた。
【0029】実施例1 トリアセチルセルロースフィルム(商品名 フジTAC
SH−80 富士写真フィルム(株)製、Rb≒11
nm)上にコンマコーターにより紫外線硬化型のアクリ
ル系樹脂をコート後、紫外線照射により硬化させて、中
間層として厚さ約5μmのアクリル系樹脂膜を形成した
透明高分子フィルムを得た。この中間層を形成した透明
高分子フィルムを真空蒸着機内のホルダーにセットし、
真空度2×10-5Torrまで排気し、電子ビーム蒸着
法により、蒸着中心角度75度、フィルムの蒸着中心と
基板間の距離300mm、電子銃出力2.4KW、蒸着
材料としてTi3O5(オプトロン社製、商品名:OS
−50)を用いて、蒸着レート平均121Å/秒で厚さ
7300Åの単一層からなる斜方蒸着層を形成し、位相
差フィルムを得た。このとき、フィルム基材の温度上昇
を抑えるために同一傾斜角度で2回に分けて斜方蒸着層
を積層した。蒸着材料は、るつぼ内で全体が完全に溶融
し、るつぼ内に平滑な溶融面が形成されていた。この位
相差フィルムはフィルム面内のレターデーション値が7
1nmであり、光学主軸がフィルム法線方向から約57
度傾斜したものであった。この位相差フィルムの外観を
目視により評価したところ、蒸着時の輻射熱による基材
の変形もなく、またクラック等の蒸着層の剥離も認めら
れず、非常に優れたものであった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明高分子フィルムの少なくとも片面に、
    正の屈折率異方性を有しかつ光学主軸がフィルム法線方
    向から20度〜70度傾斜している少なくとも一層のT
    iO2を主成分とする無機誘電体からなる斜方蒸着層が
    形成されてなることを特徴とする位相差フィルム。
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