JPH11323552A - 連続蒸着フィルムの製造方法 - Google Patents

連続蒸着フィルムの製造方法

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JPH11323552A
JPH11323552A JP33943998A JP33943998A JPH11323552A JP H11323552 A JPH11323552 A JP H11323552A JP 33943998 A JP33943998 A JP 33943998A JP 33943998 A JP33943998 A JP 33943998A JP H11323552 A JPH11323552 A JP H11323552A
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film
vapor
deposition
vapor deposition
polymer film
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JP33943998A
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English (en)
Inventor
Koji Azuma
浩二 東
Akiko Shimizu
朗子 清水
Takahiro Hishinuma
高広 菱沼
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 、蒸着により得られる無機誘電体層を用いた
光学素子は非常に有用ではあるが、透明高分子フィルム
を基板として用い、かつ無機誘電体層の厚みが数百Åか
ら数μmの厚みまで、特に1000Åを越える厚みで作
成できる量産性に優れた有効な方法を提供する。 【解決手段】 非昇華性でかつ融点が1000℃以上で
ある無機誘電体からなる蒸着材料を透明高分子フィルム
8上へ連続蒸着する際、蒸着角度範囲を規定する防着板
5と蒸着源7の間または/および防着板5と透明高分子
フィルム8の間に蒸着源7からの輻射熱を防ぐ少なくと
も1枚の冷却板6を配置して冷却効率を上げて製造する
連続蒸着フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は連続蒸着フィルムの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】光学
用途に用いられる無機誘電体の蒸着層を形成した透明高
分子フィルムとしては、二軸延伸されたポリエチレンテ
レフタレートフィルム上に無機誘電体薄膜の多層膜を形
成した反射防止フィルムや、配向が小さい高分子フィル
ム上にITOなどの透明導電膜を形成したプラスチック
液晶表示装置用の高分子フィルム基板などが良く知られ
ている。これらのフィルムは無機誘電体1層当たりの厚
みが数百Å程度と薄いことから、容易に膜の緻密性を上
げることができるスパッタリング法により製造されてい
る。
【0003】また、液晶表示装置として最も一般的に採
用されているノーマリホワイト(以下、NWと表わす)
モードのツイステッドネマチック型液晶表示装置(以
下、TN−LCDと表わす)は、液晶が有する複屈折性
の影響により視野角特性が十分でないという表示装置と
して重大な問題を有している。この問題を大きく改善す
る方法として無機誘電体の斜方蒸着層を用いた光学軸が
フィルム法線方向から傾斜した方向にありかつ正の屈折
率異方性を有する位相差板を用いる方法が、特開平7−
306406号公報およびWO96/10773号公報
などに記載されている。また、これに用いる位相差板の
製造方法が、これらに引用されているApplied
Optics 28巻(1989年)2466頁〜24
82頁に記載されている。
【0004】液晶表示装置や4分の1波長板などに利用
される蒸着法で作成される位相差板は、反射防止膜や透
明導電膜と比較して数千Å〜数μmと非常に厚い膜厚が
必要となるため、蒸着法と比較して製膜速度が1桁以上
遅いスパッタリング法を用いることは現実的でない。ま
た、これらに記載されているようなガラス基板上への無
機誘電体の斜方蒸着層による作成方法では、重く、柔軟
性に欠け、量産性に欠けるだけでなく、200℃を越え
る基板温度と後処理としての熱処理を長時間にわたって
必要としている。
【0005】このように、蒸着により得られる無機誘電
体層を用いた光学素子は非常に有用ではあるが、透明高
分子フィルムを基板として用い、かつ無機誘電体層の厚
みが数百Åから数μmの厚みまで、特に1000Åを越
える厚みで作成できる量産性に優れた有効な方法につい
てはこれまで知られていなかった。
【0006】かかる状況に鑑み、本発明者らは無機誘電
体からなる蒸着材料を透明高分子フィルム上に連続蒸着
する際、冷却効率を上げて製造する光学用途向けの連続
蒸着フィルムの製造方法を見出すことができ、本発明を
完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、非昇
華性でかつ融点が1000℃以上である無機誘電体から
なる蒸着材料を透明高分子フィルム上に連続蒸着する
際、蒸着角度範囲を規定する防着板と蒸着源の間または
/および防着板と透明高分子フィルムの間に蒸着源から
の輻射熱を防ぐ少なくとも1枚の冷却板を配置して冷却
効率を上げて製造する連続蒸着フィルムの製造方法に関
する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いる透明高分子フィル
ムとしては、透明性に優れ、均一なものであれば特に制
限されないが、フィルムの製造のしやすさなどの点で熱
可塑性の高分子からなるものが好ましく用いられる。熱
可塑性高分子としては、セルロース系高分子、ポリカー
ボネート系高分子、ポリアリレート系高分子、ポリエス
テル系高分子、アクリル系高分子、ポリサルフォン、ポ
リエーテルサルフォンなどを例示することができる。中
でもポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンなど耐熱
性に優れた高分子が蒸着については有利であるが、コス
ト的に安価で均一なフィルムが入手可能であるセルロー
ス系高分子フィルム、ポリカーボネート系高分子フィル
ムも好ましく用いられる。
【0009】また、下記計算式(1) Rb=(nbx−nby)×db (1) 〔式中、nbxは透明高分子フィルムのフィルム面内の
遅相軸方向の屈折率を、nbyは透明高分子フィルムの
フィルム面内の進相軸方向の屈折率を、dbは透明高分
子フィルムの厚みをそれぞれ示す。〕で示される透明高
分子フィルムのフィルム面内のレターデーション値(R
b)が小さいものが適している用途については、固有複
屈折が小さいセルロース系高分子フィルム、アクリル系
高分子フィルムが特に好ましく用いられ、数十nmのレ
ターデーション値(Rb)が必要な場合には固有複屈折
が大きいポリカーボネート系高分子フィルム、ポリエス
テル系高分子フィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリ
エーテルサルフォンフィルムなどが好ましく用いられ
る。さらに連続フィルム上に無機誘電体を斜方蒸着する
場合には、蒸着時の熱とフィルム搬送のために生じる応
力によるフィルムの変形が少ないトリアセチルセルロー
スフィルムやポリエーテルサルフォンフィルムが好まし
く用いられる。
【0010】透明高分子フィルムの製膜方法としては、
溶剤キャスト法やフィルムの残留応力を小さくできる精
密押出法などを用いることができるが、均一性の点で溶
剤キャスト法が好ましく用いられる。特にRb値が小さ
いフィルムを作製するには溶剤キャスト法が好ましい。
【0011】このようにして製膜されたフィルム、中で
も溶剤キャスト法により製膜されたフィルムはRb値は
小さいが、製膜時の高分子の面内配向性によりフィルム
厚み方向の屈折率(nbt)がフィルム面内の平均屈折
率(nbp)よりも小さいという屈折率構造を持つよう
になる。このため、この透明高分子フィルムはフィルム
厚み方向の複屈折性により、下記計算式(2) R’b=(nbp−nbt)×db (2) (式中、nbtは透明高分子フィルムの厚み方向の屈折率
を、nbpはフィルム面内の平均屈折率を、dbは透明
高分子フィルムの厚みをそれぞれ示す。)で示される厚
み方向のレターデーション値(R’b)が0ではない値
を有するようになり、R’bが0ではない値を有する場
合には、この透明高分子フィルムは単なる蒸着のための
基材ではなく、それ単独で複屈折性を有する光学素子と
して利用することもできる。
【0012】例えば、NW−TN−LCDに適用する場
合、正の屈折率異方性を有しかつ光学主軸がフィルム法
線方向から傾斜している単一層からなる無機誘電体層と
組み合わせて用いられる光学軸がフィルム法線方向にあ
る負の屈折率異方性を有する位相差フィルムとして利用
することができる。この時この透明高分子フィルムの
R’b値は0nm〜250nm程度の範囲で用いられ
る。また、透明高分子フィルムのR’b値が所定の値に
対して不足する場合には、透明高分子フィルム上に特開
平5−196819号公報に記載されている無機層状化
合物を含む層を形成してR’b値の大きさを調整するこ
ともできる。
【0013】一方、透明高分子フィルムをRb値を有す
る一軸配向性のフィルムとして用いることもでき、この
場合には溶剤キャスト法や精密押出法により製膜したフ
ィルムをロール間延伸法、テンター延伸法などを用いて
延伸することにより得ることができる。一軸配向性のフ
ィルムとした場合のRb値は、通常100nm以下の範
囲に設定されるが、必要に応じて任意に調整することが
できる。一軸配向性とは、完全一軸配向だけでなく、フ
ィルム面内にRb値を有する二軸配向性も含むものであ
る。
【0014】これらの透明高分子フィルムの厚みは、特
に制限はないが、通常、約50μm〜500μmのもの
が用いらる。
【0015】本発明において、例えば透明高分子フィル
ムの少なくとも片面に無機誘電体からなる斜方蒸着層を
設けて位相差フィルムとする場合などでは、反射防止層
などを誘電体薄膜の多層蒸着層で形成する場合と比較し
て、必要とするレターデーション値が発現するように蒸
着層の厚みをかなり厚くすることが必要となるため、密
着性を上げて透明高分子フィルムとの密着性を向上し、
蒸着層の割れを防止する中間層を設けることが好まし
い。また、この中間層は透明高分子フィルムの耐熱性を
向上する効果もある。
【0016】中間層としては、アクリル系樹脂、ウレタ
ン系樹脂、シリコン系樹脂、カルド樹脂またはポリシラ
ザンからなる高分子膜が例示される。
【0017】これら高分子膜の形成方法としては、高分
子化されたものを溶剤に溶解して透明高分子フィルムに
塗布する方法や、低分子モノマーまたはオリゴマーと重
合開始剤を含む組成物を透明高分子フィルムに塗布した
後に光硬化または熱硬化により高分子化する方法などが
用いられる。透明高分子フィルムへの塗布方法には特に
制限はなく、コンマコート法、ダイコート法、ダイレク
ト・グラビア法、バーコート法などの公知の塗布方法を
用いることができる。
【0018】セルロース系高分子フィルムやポリカーボ
ネート系高分子フィルムやポリエステル系高分子フィル
ムには紫外線硬化型のアクリル系樹脂膜が好ましく用い
られ、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンなどの
耐熱性が高い高分子フィルムには熱硬化型のポリシラザ
ン膜も用いることができる。
【0019】中間層としての高分子膜の膜厚は密着性改
良が実現される厚みであれば特に制限はなく、約0.2
μm〜10μmの範囲に設定される。約0.2μmより
薄いとコーティングによる均一な膜が得られにくく、ま
た約10μmより厚くなると透明高分子フィルムと中間
層の密着性が低下するようになるため好ましくない。
【0020】本発明に用いる無機誘電体からなる蒸着材
料としては、真空蒸着により薄膜の形成が可能で、耐久
性などで優れるものであれば特に制限されないが、融点
が1000℃以上で非昇華性の無機誘電体が、膜質が緻
密でクラックなどの欠陥が発生しない膜を製膜しやすい
ため好ましい。特に、斜方蒸着により正の屈折率異方性
を発現し、その光学主軸がフィルム法線方向から20度
〜70度傾斜した光学特性を発現する位相差フィルムを
作成できる蒸着材料としてはTa25〔酸化タンタル
(V)〕、TiO2〔酸化チタン(IV)〕またはZr
2〔酸化ジルコニウム(IV)〕を主成分とする金属
酸化物からなる無機誘電体が複屈折性を発現しやすく、
透明性や耐久性に優れるなどの点で好ましく用いられ
る。Ta25を主成分とする金属酸化物からなる無機誘
電体の蒸着層を形成する場合には、Ta25を50重量
%以上含有する金属酸化物およびその混合物を用いるこ
とができる。TiO2を主成分とする金属酸化物からな
る無機誘電体の蒸着層を形成する場合にはTiO2を5
0重量%以上含有する金属酸化物およびその混合物を用
いることができる。ZrO2を主成分とする金属酸化物
からなる無機誘電体の蒸着層を形成する場合にはZrO
2を50重量%以上含有する金属酸化物およびその混合
物を用いることができる。これらの蒸着材料を用いるこ
とにより、Ta25、TiO2またはZrO2を主成分と
する蒸着層が得られる。蒸着材料として、Ta25を使
用する場合、単独で使用してもよいが、蒸着の容易性、
蒸着レート、輻射熱の問題からTa25とTa(金属)
の混合物がより好ましい。Ta25とTa(金属)の混
合比としては、通常、約1:0.05〜1:1の範囲で
用いられる。
【0021】連続フィルム上への蒸着には、例えば図1
に示するフィルムに連続して蒸着できる蒸着装置を用い
て、不要な蒸着角度で飛来してくる無機誘電体をカット
して、キャンロール(4)上にあるフィルムに所定の蒸
着角度で飛来してくる無機誘電体のみを選択的に蒸着さ
せる方法を用いることができる。不要な蒸着角度で飛来
してくる無機誘電体をカットするためには蒸着源(7)
とフィルム(8)の間に防着板(5)やスリットを設
け、蒸着開始角度(11)および蒸着終了角度(12)
を設定する。この時、無機誘電体が効率良くフィルム上
に蒸着されるように、蒸着源から引いた垂線(14)が
フィルム面との交点でなす蒸着中心角度(13)が蒸着
開始角度と蒸着終了角度の間となるように蒸着源、防着
板およびフィルムを配置する。なお、角度はフィルム面
法線方向となす角度を指す。
【0022】このような連続蒸着装置で非昇華性でかつ
融点が1000℃以上である無機誘電体を蒸着する場
合、融点が1000℃未満の無機誘電体を蒸着する場合
と比較して、蒸着源からの輻射熱の放射が大きくなる。
蒸着角度範囲における蒸着源からの輻射熱および蒸着物
質のフィルム上への堆積による熱の供給は避けることが
できないが、同時に蒸着源からの熱で加熱された防着板
や真空チャンバーからの輻射熱の影響もあり、これらの
熱のために蒸着の際に高分子フィルムの温度が上昇し、
フィルムに変形を誘発するなどの不具合が発生する危険
がある。これを回避するためには、通常採用されるキャ
ンロールの冷却だけではなく、余分な輻射熱が加わらな
いように防着板(5)と蒸着源(7)の間および/また
は防着板(5)と高分子フィルム(8)の間に少なくと
も1枚の冷却板(6)を設けることが好ましい。
【0023】冷却板は防着板やキャンロール面に平行に
設置してもよいし、平面状のものをその効果が同様とな
るように設置してもよい。また、上記の場所以外にも蒸
着源からの輻射熱で加熱される場所と高分子フィルムと
の間などに設置することも有効である。このように透明
高分子フィルムを十分に冷却することで、融点が高い蒸
着材料でも高エネルギーで蒸着できるため、厚い蒸着層
を形成した場合にも、密着性や耐久性に優れた蒸着フィ
ルムを得ることができる。
【0024】例えば、位相差フィルムとするための連続
斜方蒸着フィルムを製造する場合は、図2に例示するよ
うな連続斜方蒸着装置などを用いる。この装置では、蒸
着物質の成長に異方性を生じて複屈折性を効率良く発現
させるために、防着板(5)を蒸着開始角度(11)が
60度〜85度、蒸着角度幅が10度以上でかつ蒸着終
了角度(12)が蒸着開始角度よりも小さい角度となる
ように蒸着終了角度を設定する。この時、無機誘電体が
効率良くフィルム上に蒸着されるように、蒸着源から引
いた垂線(14)がフィルム面との交点でなす蒸着中心
角度(13)が蒸着開始角度と蒸着終了角度の間となる
ように、好ましくは50度〜80度の範囲にあるよう
に、蒸着源、防着板およびフィルムを配置する。このよ
うな装置を用いた斜方蒸着では、通常の垂直方向からの
蒸着と比較して製膜効率がかなり遅くなるため、フィル
ムの搬送速度を遅くすることが必要となり、フィルムへ
の輻射熱の照射が増大するため、冷却板の設置がより必
要となる。
【0025】位相差フィルムとして用いる場合、斜方蒸
着された無機誘電体層の厚さは、蒸着物質の成長に異方
性を生じて複屈折性を示す膜厚以上であれば特に制限さ
れないが、下記計算式(3) Ra=(nax−nay)×da (3) 〔式中、naxは斜方蒸着層のフィルム面内の遅相軸方
向の屈折率を、nayは斜方蒸着層のフィルム面内の進
相軸方向の屈折率を、daは斜方蒸着層の厚みをそれぞ
れ示す。〕で示される無機誘電体の斜方蒸着層のフィル
ム面内のレターデーション値(Ra)が約10nm〜2
00nmの範囲にある所定のレターデーション値が得ら
れる厚みとする。この厚みは、使用する物質(無機誘電
体)の複屈折率と光学主軸のフィルム法線方向からの傾
斜角度により異なるが、通常、約0.2μm〜5μmの
範囲であり、好ましくは約0.4μm〜1μmの範囲で
設定される。無機誘電体層の光学主軸のフィルム法線に
対する傾斜角度やRa値の大きさ、透明高分子フィルム
のRb値などは位相差フィルムを適用する用途により適
宜変更して設定される。
【0026】斜方蒸着においてこのような厚みを得る方
法としては、蒸着を多数回繰り返して多層膜とする方法
も考えられる。しかし、このような装置で連続して斜方
蒸着フィルムを作成した場合、図4に例示する垂直方向
からの通常の蒸着で非晶質の等方層が形成されるのとは
異なり、蒸着物質が図5に例示するような湾曲した柱状
構造として成長し、多層膜とした場合には図6に例示す
るようにその界面が不連続面となるため、不要な干渉色
が発生したり、耐久性試験において光学特性が大きく低
下することがある。このため、フィルム上に連続して斜
方蒸着層を形成する場合には1回の蒸着により単一層と
して斜方蒸着層を形成することが好ましい。この場合に
はフィルムの搬送速度をさらに遅くすることが必要とな
るため、冷却板が不可欠であり、複数枚の冷却板を配置
することがより好ましい。
【0027】ここでいう位相差フィルムの光学特性と
は、位相差フィルムは通常偏光フィルムと積層して用い
られることから、位相差フィルムのフィルム面内の遅相
軸を偏光フィルムの吸収軸に対して45度となるように
貼合した場合の図7に示される光学系で測定されるクロ
スニコル下での分光透過率によりJIS−Z8722に
基づいて算出されるY値を意味する。この光学特性は、
光学主軸がフィルム法線方向から20度〜70度傾斜し
ていることにより発現する屈折率異方性に起因するRa
値により決まるものであり、耐久性試験においてはこの
値の変化により屈折率異方性の変化を代表させる。位相
差フィルムの耐久性としては、60℃90%RHの高温
高湿下に96時間放置した後の光学特性の残存率が70
%以上であることが好ましく、残存率80%であること
がより好ましく、残存率90%以上であることがさらに
好ましい。
【0028】本発明で用いる蒸着方法としては、電子ビ
ーム蒸着法、イオンプレーティング法など公知の方法を
用いることができる。生産性および耐久性の点から、電
子ビーム蒸着法が好ましく用いられる。
【0029】また、冷却板、防着板およびキャンロール
などの冷却温度は、高分子のガラス転移温度未満であ
り、好ましくは熱変形温度未満であることが好ましい
が、室温例えば25℃)以下の冷媒を用いて冷却するこ
とがより好ましく、0℃以下の冷媒を用いて冷却するこ
とがさらに好ましい。
【0030】Ta2O5のように蒸着の際にタンタルと
酸素の組成比が崩れて酸素不足となって着色を起こすこ
とがある物質を用いる場合には、必要に応じて蒸着機内
に酸素ガスを導入して蒸着層中の酸素の組成比を調整し
て透明性を上げる手法を用いてもよい。
【0031】酸素ガスの導入量は、蒸着装置の容積と排
気能力等により異なるため適宜選択される。導入量が少
なすぎると酸素導入の効果が十分でなく、逆に導入量が
多すぎる場合は気圧が上昇して蒸着速度が低下すること
があるため注意が必要である。一般的には、装置内の気
圧が10-3Torrより大きくならないように導入量を
調節する。
【0032】本発明において、透明高分子フィルム上に
無機誘電体の斜方蒸着層を設ける際、無機誘電体の斜方
蒸着層と基材の透明高分子フィルムあるいは中間層を設
けた透明高分子フィルムとの密着性を向上させるため、
透明高分子フィルムおよび中間層の蒸着する側の表面に
何らかの表面処理を施した後に蒸着を行うことも可能で
ある。表面処理方法については特に限定されないが、一
般的に用いられているものとしては真空中での加熱処理
や、コロナ処理、イオンボンバード処理、プラズマ処
理、紫外線照射、酸・アルカリ処理等を挙げることがで
きる。表面処理方法や処理の程度は、使用する透明高分
子フィルムや中間層、蒸着材料、および最終的に得られ
る位相差フィルムに必要な機械的強度、耐久性、光学特
性により適宜選択される。
【0033】
【発明の効果】本発明により、非昇華性でかつ融点が1
000℃以上である無機誘電体からなる蒸着材料を透明
高分子フィルム上へ連続蒸着する際、特に位相差フィル
ムとして用いる蒸着層厚みが厚い蒸着フィルムを製造す
る場合際に、蒸着時の熱のために高分子フィルムの温度
が上昇してフィルムが変形するなどの不具合が発生する
することもなく、無機誘電体の蒸着層と透明高分子フィ
ルムとの密着性や耐久性に優れた蒸着フィルムを連続し
て製造することができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実
施例におけるRa値及びRb値の測定は、偏光顕微鏡を
用いて波長546nmの単色光で常法により行った。ま
た、光学主軸のフィルム法線方向からの傾斜角度はフィ
ルム面内の進相軸を傾斜軸とした時のレターデーション
値(透明高分子フィルムが複屈折性を有する場合には透
明高分子フィルムのレターデーション値を差し引いた
値)の傾斜角依存性から、屈折率構造が一軸性であると
仮定して当業者の常法により求めた。
【0035】耐久性試験には、本発明による位相差フィ
ルムのフィルム面内の遅相軸が偏光フィルム(SQ−1
852AP7、住友化学工業株式会社製)の吸収軸に対
して45度となるように、位相差フィルムの透明高分子
フィルム側に偏光フィルムを貼合し、斜方蒸着層側に光
学的に等方なアクリル系粘着剤を介して厚さ1.1mm
のガラス板を貼合した大きさが30mm×30mmのサ
ンプルを用いた。
【0036】光学特性を求めるための分光透過率は、分
光器(MCPD−2000、大塚電子株式会社製)を用
いて図6に示した光学系にて入射光側の偏光プリズムと
サンプルの偏光フィルムの吸収軸を平行として測定し、
JIS−Z8722に基づきY値を算出した。Y値の初
期値に対する、60℃90%RH下に96時間放置後の
Y値の割合を光学特性の残存率とした。なお、分光透過
率のレファレンスは、偏光プリズムの吸収軸を平行とし
て測定し、レファレンス測定後に偏光プリズムの吸収軸
を直交にしてサンプルの測定を実施した。
【0037】実施例1 トリアセチルセルロースフィルム(商品名 フジTAC
SH−80 富士写真フィルム(株)製、Rbは約1
1nm)上にコンマコーターにより紫外線硬化型のアク
リル系樹脂をコート後、紫外線照射により硬化させて、
中間層として厚さ約5μmのアクリル系樹脂膜を形成し
た透明高分子フィルムを得た。このフィルムを130m
m幅にスリットした連続フィルムを得た。この透明高分
子フィルムを図5の連続真空蒸着機内にセットし、気圧
1×10 -4Torrまで排気し、電子ビーム蒸着法によ
り、蒸着開始角度80度、蒸着終了角度45度、蒸着中
心角度60度、フィルムの蒸着中心と基板間の距離約3
50mm、となるように遮蔽板を配置し、その防着板と
蒸着源の間に蒸着源からの輻射熱を防ぐ1枚の冷却板を
設置し、EBガン出力6KW、搬送速度0.2m/分、
キャンロールの冷却温度0℃、蒸着材料としてTa25
を主成分としたTa(金属)との混合物(オプトロン社
製、商品名:OA−100)を用いて、厚さ4700Å
の単一層からなる斜方蒸着層を連続的に形成して位相差
フィルムを得た。
【0038】この位相差フィルムの外観を目視により評
価したところ、蒸着時の輻射熱による基材の変形もな
く、またクラック等の蒸着層の剥離も認められなかっ
た。この位相差フィルムはフィルム面内のレターデーシ
ョン値が29nmであり、光学主軸は、連続蒸着時の蒸
着角度の変化に対応してフィルム厚み方向に連続して変
化しているが、変化していないものと仮定して求めた値
はフィルム法線方向から約33度傾斜したものであっ
た。この位相差フィルムを耐久性試験にかけたところ、
光学特性の残存率は95%であった。
【0039】比較例1 実施例1と同様にして得た中間層を形成し表面処理を透
明高分子フィルムを図5の連続真空蒸着機内にセット
し、気圧1×10-4Torrまで排気し、電子ビーム蒸
着法により、蒸着開始角度80度、蒸着終了角度45
度、蒸着中心角度0度、フィルムの蒸着中心と基板間の
距離約325mm、となるように遮蔽板を配置し、EB
ガン出力6KW、搬送速度0.2m/分、キャンロール
の冷却温度0℃で、蒸着材料としてTa25を主成分と
したTa(金属)との混合物(オプトロン社製、商品
名:OA−100)を用いて、厚さ3500Åの単一層
からなる斜方蒸着層を連続的に形成して位相差フィルム
を得た。
【0040】この位相差フィルムの外観を目視により評
価したところ、蒸着時の輻射熱により基材が変形し、ま
たTAC面に発泡も認められた。この位相差フィルムは
フィルム面内のレターデーション値が16nmであり、
光学主軸は、連続蒸着時の蒸着角度の変化に対応してフ
ィルム厚み方向に連続して変化しているが、変化してい
ないものと仮定して求めた値はフィルム法線方向から約
27度傾斜したものであった。また、この位相差フィル
ムを耐久性試験にかけたところ、光学特性の残存率は3
6%と冷却板を設置して作製したものと比較して劣るも
のであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による連続蒸着フィルムを製造するため
の第1の装置例の概略図。
【図2】本発明による連続蒸着フィルムを製造するため
の第2の装置例の概略図。
【図3】本発明による連続蒸着フィルムを製造するため
の第3の装置例の概略図。
【図4】図1に例示した垂直方向から蒸着する連続真空
蒸着装置を用いて連続した透明高分子フィルム上に単一
層からなる斜方蒸着層が形成されたフィルムの断面の模
式図。
【図5】図2または図3に例示した斜方蒸着を行う連続
真空蒸着装置を用いて連続した透明高分子フィルム上に
単一層からなる斜方蒸着層が形成された位相差フィルム
の断面の模式図。
【図6】図2または図3に例示した斜方蒸着を行う連続
真空蒸着装置を用いて連続した透明高分子フィルム上に
多層からなる斜方蒸着層が形成された位相差フィルムの
断面の模式図。
【図7】位相差フィルムの光学特性の測定のための光学
系の概略図。
【符号の説明】
1 連続フィルム巻き出し部 2 連続フィルム書き取り部 3 ガイドロール 4 キャンロール 5 防着板 6 冷却板 7 蒸着源 8 透明高分子連続フィルム 11 蒸着開始角度 12 蒸着終了角度 13 蒸着中心角度 14 蒸着源から引いた垂線 15 フィルム搬送方向 21 連続蒸着法による斜方蒸着層 22 中間層 23 透明高分子フィルム 51 入射光 52 入射光側の偏光プリズム 53 測定用サンプルの偏光フィルム 54 測定用サンプルの位相差フィルム 55 測定用サンプルを貼合したガラス板 56 出射光側の偏光プリズム 57 出射光 61 入射側の偏光プリズムの吸収軸方向 62 測定用サンプルの偏光フィルムの吸収軸方向 63 測定用サンプルの位相差フィルムのフィルム面内
の遅相軸方向 64 測定用サンプルの偏光フィルムの吸収軸方向と位
相差フィルムの遅相軸方向のなす角度(45度) 65 出射光側の偏光プリズムの吸収軸方向
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08J 7/06 CEP C08J 7/06 CEPZ CEZ CEZZ G02F 1/1335 510 G02F 1/1335 510

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非昇華性でかつ融点が1000℃以上であ
    る無機誘電体からなる蒸着材料を透明高分子フィルム上
    へ連続蒸着する際、蒸着角度範囲を規定する防着板と蒸
    着源の間または/および防着板と透明高分子フィルムの
    間に蒸着源からの輻射熱を防ぐ少なくとも1枚の冷却板
    を配置して冷却効率を上げて製造する連続蒸着フィルム
    の製造方法。
  2. 【請求項2】防着板および冷却板およびキャンロールが
    室温以下の冷媒により冷却されている請求項1に記載の
    連続蒸着フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】防着板および冷却板が、蒸着開始角度が6
    0度〜85度でかつ蒸着角度幅が10度以上となるよう
    に配置されている請求項1に記載の連続蒸着フィルムの
    製造方法。
  4. 【請求項4】透明高分子フィルムが、熱可塑性高分子フ
    ィルムである請求項1に記載の連続蒸着フィルムの製造
    方法。
  5. 【請求項5】熱可塑性高分子が、セルロース系高分子、
    ポリカーボネート系高分子、ポリアリレート系高分子、
    ポリエステル系高分子、アクリル系高分子、ポリサルフ
    ォンまたはポリエーテルサルフォンである請求項4に記
    載の連続蒸着フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】無機誘電体からなる蒸着材料が、Ta25
    を50重量%以上含有した組成物もしくは混合物、また
    はTiO2を50重量%以上含有した組成物もしくは混
    合物、またはZrO2を50重量%以上含有した組成物
    もしくは混合物を用いたものである請求項1に記載の連
    続蒸着フィルムの製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002327267A (ja) * 2001-04-26 2002-11-15 Toppan Printing Co Ltd 酸化チタン薄膜被覆フィルムの形成方法
US6825904B2 (en) 2000-07-14 2004-11-30 Seiko Epson Corporation Liquid crystal device, color filter substrate with vapor deposited metal oxide insulating layer under transparent conductor, method for manufacturing liquid crystal device, and method for manufacturing color filter substrate
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JP2012256024A (ja) * 2011-05-16 2012-12-27 Dexerials Corp 位相差素子

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